JP2001049031A - 無機粒子分散組成物 - Google Patents

無機粒子分散組成物

Info

Publication number
JP2001049031A
JP2001049031A JP31646599A JP31646599A JP2001049031A JP 2001049031 A JP2001049031 A JP 2001049031A JP 31646599 A JP31646599 A JP 31646599A JP 31646599 A JP31646599 A JP 31646599A JP 2001049031 A JP2001049031 A JP 2001049031A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cellulose
dispersion
water
present
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP31646599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4282848B2 (ja
Inventor
Hirobumi Ono
博文 小野
Naoharu Sawada
直治 沢田
Kenji Kanekiyo
健治 兼清
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP31646599A priority Critical patent/JP4282848B2/ja
Publication of JP2001049031A publication Critical patent/JP2001049031A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4282848B2 publication Critical patent/JP4282848B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Cosmetics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 できるだけ少量の分散安定剤で無機粒子を高
度に分散させ、かつ各種用途分野で要求される広範な環
境下で安定性を維持でき、さらに長時間分散状態が変化
しない分散組成物を提供する。 【解決手段】 無機粒子0.1〜80重量%、及びセル
ロース0.1〜10重量%を液状分散媒体に均一に分散
させてなる分散組成物であって、該セルロースの平均重
合度(DP)が100以下で、セルロースI型結晶成分
の分率が 0.1以下、セルロースII型結晶成分の分率
が 0.4以下であり、かつ構成するセルロースの平均
粒径が5μm以下である無機粒子分散組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機粒子とセルロ
ース分散体とを含有する組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】無機粒子が液体分散媒体中に分散した組
成物は、塗料などの各種コーティング剤、研磨剤、光触
媒、化粧料等として広範に利用されている。いずれの用
途にも問われるのは、水などの分散媒体中で無機粒子が
凝集することなく安定に長時間分散していることであ
る。この目的のために分散安定剤が用いられる。従来か
ら、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導
体、ポリエチレングリコール、カルボキシビニルポリマ
ー等の水溶性高分子、非イオン界面活性剤を中心とする
界面活性剤等が使われてきた。しかし、これらは、必ず
しも満足できるものではなかった。また、無機粒子配合
物の使用用途が、広範になったり、逆に特殊化されるに
連れて、従来の分散安定剤では対応できない事例も生じ
てきた。
【0003】例えば、カルボキシメチルセルロース、カ
ルボキシビニルポリマー等のイオン性高分子物質を用い
た場合、無機粒子の種類を選ぶ必要があったり、低pH
領域や無機塩の存在下では分散効果が激減し無機粒子の
凝集が起こるなどの問題があった。また、水溶性高分子
の中には、水に分散することに難があったり、長時間の
保存で水溶性高分子自体が析出したりゲル化したりする
結果、分散安定効果が低下する等の課題もあった。更
に、コーティング剤や研磨剤用途では、水溶性高分子に
特有な粘性や曳糸性が、均一薄膜塗布や精密研磨の妨げ
になる等の課題もあった。
【0004】また、界面活性剤は、無機粒子の分散性は
十分あるが、第2,第3の成分が配合された際に系が不
安定化し凝集が起こる等の課題があり、その処方に著し
い制約があった。近年、電子材料関連の加工技術が急速
に進歩し、それに伴いそれら電子材料をより精密かつ平
滑に研磨するCMP(Chemical Mechan
icalPolishing)技術が要求されている。
CMPでは、従来の中性付近での研磨ではなく、より酸
性領域(pHが3程度)やアルカリ領域(pHが9前
後)で行われる傾向にあり、そのため、低pH状態や高
pH領域で無機粒子を従来以上に均一に分散する分散系
(分散組成物)が望まれていた。従来の分散安定剤で
は、既述の如く、対応が難しくなってきている。また、
既述の水溶性高分子は、分散安定効果を高めるために添
加量を増大させると、曳糸性が発現し、精密加工の妨げ
になる事態も発生している。また、化粧料にあっても、
合成系界面活性剤よりも皮膚刺激性が少なく、かつ水溶
性セルロース誘導体等よりも無機粒子の分散安定性に優
れた分散安定剤からなる分散系が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、でき
るだけ少量の分散安定剤で無機粒子を高度に分散させ、
かつ各種用途分野で要求される広範な環境下で安定性を
維持でき、さらに長時間分散状態が変化しない分散組成
物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、先のPC
T/JP98/05462において、透明〜半透明のセ
ルロースの分散体を得ている。本発明者らは、先の発明
を更に詳細に検討した結果、このセルロース分散体が無
機粒子の分散安定剤として極めて有効であり、これを配
合して調製した無機粒子の分散体が広範な環境下で高い
安定性を有することを見いだし、本発明を完成させた。
【0007】すなわち、本発明は、(1) 無機粒子
0.1〜80重量%、及びセルロース0.1〜10重量
%を液状分散媒体に均一に分散させてなる分散組成物で
あって、該セルロースの平均重合度(DP)が100以
下で、セルロースI型結晶成分の分率が 0.1以下、
セルロースII型結晶成分の分率が 0.4以下であり、
かつ構成するセルロースの平均粒径が5μm以下である
ことを特徴とする無機粒子分散組成物、(2) 液状分
散媒体が、水、水溶性アルコール又は水と水溶性アルコ
ールの混合物である上記(1)の無機粒子分散組成物、
(3) 無機粒子が金属酸化物粒子、ケイ素を含む無機
粒子、金属粒子、金属合金粒子、ダイアモンド、金属炭
化物の中から選ばれる少なくとも1種である上記(1)
又は(2)に記載の無機粒子分散組成物、(4) 上記
(1)〜(3)のいずれかに記載の無機粒子分散組成物
を含有してなるコーティング剤、(5) 上記(1)〜
(3)のいずれかに記載の無機粒子分散組成物を含有し
てなる研磨用組成物、(6) 上記(1)〜(3)のい
ずれかに記載の無機粒子分散組成物を含有してなる化粧
料、である。
【0008】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
において用いるセルロースは、後述する製造方法で得ら
れる分散媒体に分散したセルロース分散体として供給す
ることが好ましい。該セルロース分散体は、好適な場合
には、水溶性高分子水溶液に匹敵するほどの透明性を持
ち、高度に分散媒体に分散した状態となし得るものであ
り、また無機粒子を極めて高度に分散させた組成物の提
供を可能にするものである。本発明で用いる液体分散媒
体は、水、水溶性アルコール又は水/水溶性アルコール
の混合物であることが好ましい。
【0009】本発明の組成物において必須成分として使
用するセルロースの平均重合度(DP)、セルロースI
及びセルロースII型結晶成分の分率(χIおよび
χII)、平均粒子径は、下記手順で算出した。セルロー
スI型結晶成分の分率(χI)は、セルロース分散体を乾
燥して得られた乾燥セルロース試料を粉状に粉砕し錠剤
に成形し、線源CuKαで反射法で得た広角X線回折図
において、セルロースI型結晶の(110)面ピークに
帰属される2θ=15.0゜における絶対ピーク強度h
0と、この面間隔におけるベースラインからのピーク強
度h1から、下記(1)式によって求められる値を用い
た。同様に、セルロースII型結晶成分の分率(χII
は、乾燥セルロース試料を粉状に粉砕し錠剤に成形し、
線源CuKαで反射法で得た広角X線回折図において、
セルロースII型結晶の(110)面ピークに帰属される
2θ=12.6゜における絶対ピーク強度h0*とこの
面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1*か
ら、下記(2)式によって求められる値を用いた。 χI=h1/h0 (1) χII=h1*/h0* (2) 図1に、χIおよびχIIを求める模式図を示す。なお、
セルロース試料は、減圧乾燥法等の手段で乾燥して、乾
燥セルロース試料とした。本発明で規定する平均重合度
(DP)は、上述の乾燥セルロース試料をカドキセンに
溶解した希薄セルロース溶液の比粘度をウベローデ型粘
度計で測定し(25℃)、その極限粘度数[η]から下記
粘度式(3)および換算式(4)により算出した値を採
用した。 [η]=3.85×10-2×MW0.76 (3) DP=MW/162 (4)
【0010】本発明においていう「構成するセルロース
の平均粒子径」は、レーザ回折式粒度分布測定装置
((株)堀場製作所製、レーザ回折/散乱式粒度分布測
定装置LA−920;下限検出値は0.02μm)で測
定して求められる平均粒子径である。分散媒体中の粒子
間の会合を可能な限り切断した状態で粒子径を測定する
ために、次の工程で試料を調製した。セルロース濃度が
約0.5重量%になるようにセルロースの水分散体を水
で希釈した後、回転速度15000rpm以上の能力を
持つブレンダーで10分間混合処理を行い均一な懸濁液
を作る。次いでこの懸濁液に超音波処理を30分間施し
て得られた水分散試料を粒度分布測定装置のセルに供給
し、再び超音波処理(3分間)を行った後、粒径分布を
測定した。
【0011】本発明では、平均重合度(DP)が100
以下であり、セルロースI型結晶成分の分率が0.1以
下で、セルロースII型結晶成分の分率が0.4以下であ
って、かつ構成するセルロースの平均粒径が5μm以下
である低重合度、低結晶性のセルロースを用いることに
特徴がある。本発明においてセルロース分散体中のセル
ロースは、平均重合度(DP)が100以下、好ましく
は50以下である。DPが100を超えると、分散媒体
に高度に分散したセルロース分散体を得ることが難し
い。本発明のセルロースは、水に不溶なセルロースの分
散体であり、DPは20以上である。
【0012】また、本発明のセルロースは、セルロース
I型結晶成分の分率(χI)が0.1以下、好ましくは
0.06以下であり、セルロースII型結晶成分の分率
(χII)が0.4以下、好ましくは0.3以下の低結晶
性であることが必要である。本発明のセルロースの結晶
成分の分率は(χc、即ちχIとχIIとの和)は殆ど零に
近い値にまですることができる。χIが0.1を超える
又はχIIが0.4を超えるセルロースは、分散媒体に高
度に分散し難くなり、無機粒子を安定かつ均一に分散さ
せる機能が極端に低下し、無機粒子の分散性が悪くな
る。さらに、本発明は、セルロース分散体において構成
するセルロースの平均粒子径が、上記測定法で5μm以
下、好ましくは3.5μm以下、更に好ましくは2μm以
下である。平均粒子径の下限は、本発明が規定する測定
法の検出下限値に近い0.02μm程度にすることがで
きる。5μmを超えると、無機粒子を安定かつ均一に分
散させる機能が極端に低下し、無機粒子の分散性が悪く
なり、不均一な性状になるため、本発明には含めない。
【0013】本発明で言う構成するセルロースの平均粒
子径とは、セルロース分散体において、分散媒体中で等
方的に会合して分散しているセルロースの微小ゲル体
を、本発明の平均粒子径の測定法に準じて、超音波等の
手段で可能な限り微細に分散化させた時のセルロースが
持つ「広がり(直径)」の大きさを意味する。こうした
取り扱いが必要なことは、本発明のセルロースが分散媒
体中で存在する形態と、既存の微細化セルロース(MC
C)や微小フィブリル状セルロース(MFC)のセルロ
ース微粒子が懸濁液中で存在する形態とは明らかに異な
ることを示している。
【0014】本発明のセルロース分散体中のセルロース
は、既存のMCC等とは異なり、光学顕微鏡による観察
では粒子が明確には確認できないほどに、高度に分散媒
体中に分散した構造を有する。更に、本発明のセルロー
スは、直径約0.01μm(10nm)の球状粒子が数
珠状に連結した構造を有している。本発明の分散体中に
含まれるセルロースは、このような微細な構造体が無数
に交絡して網目状構造体を構成していて、ある有限の大
きさで会合してミクロゲルとして存在していると推定さ
れる。
【0015】このような本発明の分散媒体中のセルロー
スは、極めて会合性が高く、会合状態の切断度合いによ
って「広がり」の大きさが変化する。例えば、本発明の
分散体の平均粒子径は、長時間静置したままの試料を、
超音波処理を施さずに測定した場合には数百μm程度に
測定されることもあるのに対し、同じ分散体を本発明で
規定する平均粒子径測定法で測定すれば、平均粒子径は
5μm以下に測定される。このことは、粒径の小さなセ
ルロースが、本発明の組成物中で極めて高度に会合して
いる証左である。MCCやMFCの分散液では、通常、
例示したような極端な平均粒子径の変化は観察されな
い。
【0016】本発明の無機粒子分散組成物においては、
無機粒子が均一に、かつ安定に分散している。本発明で
用いているセルロース分散体が、従来の微細化セルロー
スが到達できない優れた増粘性、分散安定性、乳化安定
性、保水性、吸湿性、透明性等の作用効果を発現するこ
とが、無機粒子を高度かつ安定に分散させ得る要因と推
定される。本発明の無機粒子分散組成物は、上述したセ
ルロースを0.1〜10重量%含有する。該範囲内であ
ると、均一な性状の無機粒子分散組成物を好適に与える
ことができる。好ましくは、0.1〜5重量%、さらに
好ましくは0.1〜2重量%の範囲であるが、0.1〜
10重量%の範囲内で使用目的に応じて適正な組成を決
定すればよい。
【0017】本発明の無機粒子分散組成物においては、
無機粒子含有量は0.1〜80重量%である。該範囲内
であれば好適な均一に分散した組成物を与える。好まし
くは0.1〜50重量%、さらに好ましくは0.1〜3
0重量%の範囲であるが、0.1〜80重量%の範囲内
で、適宜用途に応じて決定すれば良い。本発明における
均一に分散した状態とは、各種混合処理により組成物を
調製した後、これを20℃で24時間静置した際に、配
合成分同士の分離や沈降あるいは配合成分の凝集が全く
起こらない状態を言う。ここで、分離および沈降につい
ては、静置した後の組成物について目視で確認すること
ができる。また、凝集の有無は、組成物の一部を透明ガ
ラスプレート上に採取し、目視で判定する。この際に成
分の分離が観察されるものを凝集が起こっていると判定
する。
【0018】例えば、ある種の分散組成物の中には、混
合処理後一定時間経過した後に、一見すると、分離も沈
降も起こっていないように観察されるが、内容物を検査
すると配合成分の凝集などによって部分ゲル化が進行
し、不均一な性状を来している場合がある。このような
分散組成物は、無機粒子を均一に分散させ、かつ長時間
分散状態が変化しないような所期の無機粒子分散体とし
ての機能を果たすことができないので、本発明には含め
ない。
【0019】本発明で分散安定剤として用いるセルロー
スは、分子鎖骨格中に水酸基を多数含むため親水性では
あるが、同時に親油性にも富むため、親水性無機粒子の
他に疎水性の無機粒子も好適に分散することができる。
分散系組成物の製品特性を高めるために種々の疎水性機
能剤が添加される場合が多いことを考慮すると、両親媒
性に富む本発明で用いているセルロースは、広範な配合
組成において適用でき、極めて有効である。
【0020】また、従来の無機粒子分散体に適用される
分散安定剤の殆どは、pHが3以下では、分散媒体との
分離(離液現象を伴う。)や凝集を起こすため、添加剤
としての機能が著しく損なわれる。一方、本発明の無機
粒子分散組成物は、広範な組成範囲においてpHが2〜
3の範囲でも離水が極めて起こり難く、しかも配合成分
の凝集が抑えられ、均一な性状を維持していることが確
認されている。さらに、本発明の組成物は、例えば、近
年精密研磨や超精密研磨の分野で適用されるようになっ
てきた弱アルカリの環境下でも極めて安定性である。こ
れらは、本発明で原料として使用するセルロース分散体
が、広範なpH領域で使用可能な優れた分散安定性を有
していることに起因している。
【0021】また、本発明において用いられているセル
ロース分散体は、レオロジー特性の温度変化が少ないと
いう特性を有し、おそらくこの性質に起因して、本発明
の無機粒子分散組成物は、通常の使用温度である室温か
ら100℃の温度範囲で、粘度変化が極めて小さい。例
えば、精密研磨などの工程中に、摩擦による発熱に伴っ
た粘度の急激な変化が起こらず、好適な研磨用組成物と
して適用できる。また本発明で用いられているセルロー
スは、保水力が極めて高いため、特に電子基板向け精密
研磨において、研磨終了後洗浄までのわずかな時間に研
磨表面が乾燥しダスト等の異物付着が起こる等の不都合
を防止する効果も有する。
【0022】本発明で言う無機粒子とは、例えば、二酸
化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウ
ム、酸化クロム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物粒
子、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ砂、粘
土類、微小質無水ケイ酸類などのケイ素を含む無機粒
子、さらには、チタン、鉄、クロム、ニッケル、金、
銀、白金、銅、鉛、亜鉛などの金属粒子およびこれらの
金属合金粒子、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、炭酸水酸化マグネシウム、
炭酸リチウム、塩化銀、臭化銀などの水やその他溶剤に
不溶または難溶な金属塩、ダイアモンド、立方晶窒化ホ
ウ素、炭化ホウ素、金属炭化物などを挙げることがで
き、好ましくは金属酸化物粒子、ケイ素を含む無機粒
子、金属粒子およびこれらの金属合金粒子、ダイアモン
ド、金属炭化物である。本発明では、これらの無機粒子
を、適宜、1種又は、2種以上を選択して用いることが
できる。また、乳化法で得られる真球状の金属酸化物研
磨粒子を使用してもよい。
【0023】また、本発明の無機粒子の大きさは、約2
0μm以下であることが好ましい。これ以上の大きさを
もつ無機粒子を用いた際には均一な組成物を提供するこ
とが困難である。また、本発明では、平均粒子径0.0
1μmの無機粒子でも分散可能である。また、本発明の
無機粒子分散組成物は、使用目的に応じて、無機塩類、
水溶性高分子、合成高分子、低分子機能性有機化合物等
が本発明の効果を損なわない程度に含まれていても構わ
ない。
【0024】本発明の無機粒子分散組成物の好ましい製
造方法を以下に示す。本発明の無機粒子分散組成物は、
原料である無機粒子とセルロース分散体と水などの液状
分散媒体、さらにはその他の配合物を混合処理して得ら
れるが、混合の際の順序は問わない。適宜、目的に応じ
て適当な混合処理の手順あるいは手法を選ぶことができ
る。例えば、この際の混合処理の方法としては、無機粒
子組成比率の高いケーク状の組成物の場合は混練処理が
適当であるし、無機粒子組成比率の低いサスペンジョン
の形態をなす組成物の場合には高圧ホモジナイザーやビ
ーズミル粉砕あるいは超高圧ホモジナイザーなどの高度
な粉砕・混合技術を用いると配合成分が高度に分散化さ
れた組成物を提供することができる。
【0025】本発明の無機粒子分散組成物の好ましい製
造方法において用いられるセルロース分散体は、例え
ば、本発明の調製例1に例示した方法を含む下記の何れ
かの方法で得ることができる。セルロース分散体は、無
機酸水溶液にセルロースを溶解させたセルロース溶液
を、水又は水を50重量%以上含む凝固剤中で再沈殿さ
せてセルロースの懸濁液を調製し、引き続きその懸濁液
中のセルロースに酸加水分解処理を施し、次いでその懸
濁液からその酸を除去することを含む方法(方法1)に
よって得られる。又は、無機酸水溶液にセルロースを溶
解させたセルロース溶液を、水又は水を50重量%以上
含む凝固剤中で再沈殿させてセルロースの懸濁液を調製
し、引き続きその懸濁液からセルロースの脱水ケークを
調製した後、その脱水ケークを50℃以上の水中に投入
しセルロースに酸加水分解処理を施し、次いでその懸濁
液からその酸を除去することを含む方法(方法2)によ
って得られる。
【0026】本発明の製造に用いられるセルロース分散
体は、方法1又は方法2より得られたセルロース分散体
を、混練機やホモジナイザー等の混練装置により混練及
び/又は粗粉砕し、更に必要に応じてビーズミル処理や
高圧/超高圧ホモジナイザー等の高度粉砕処理すること
によって得ることが好ましい。高度粉砕処理を行うと、
より透明性の高いセルロース分散体が得られる。本発明
の液状分散媒体が水以外の液状分散媒体もしくは水と水
以外の液状分散媒体との混合物である場合には、加水分
解後の何れかの工程で、水媒体を水以外の液状分散媒体
と置換する、もしくは水以外の液状分散媒体と混合する
ことが好ましい。
【0027】本発明の分散組成物の液状分散媒体として
は、特に水、または水溶性アルコール又は水/水溶性ア
ルコールの混合物を使用すると好適な組成物を与える。
配合成分の親水性・疎水性のバランスに応じて水と水溶
性アルコールの比率をコントロールするか、あるいはア
ルコールの疎水性置換基の構造を選択することができ
る。また、その組成範囲は水100%から水溶性アルコ
ール100%の範囲で任意に選ぶことができる。ここで
いう水溶性アルコールとは、代表的なものとしてメタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパ
ノール、メチルセロソルブ、グリセリン、エチレングリ
コールなどを挙げることができる。
【0028】次に、無機粒子として、金属酸化物粒子、
ケイ素を含む無機粒子、金属粒子、金属合金粒子、ダイ
アモンド、金属炭化物の中から選ばれる1種ないしは2
種以上の混合物であると好適に本発明の組成物を提供す
ることができる。既に述べたように本発明において分散
安定剤として用いるセルロースは、その表面に多くの水
酸基をもっているため、極めて水素結合形成能が高く、
金属酸化物やケイ素酸化合物などの酸素原子と有効に水
素結合を形成し、分散を安定化させると解釈されるが、
金属単体や金属合金の粒子に対しても、セルロースの分
子鎖骨格はキレート構造あるいは配位結合を形成するた
め、やはり高性能な分散安定剤として機能すると考えら
れる。
【0029】次に、本発明の無機粒子分散組成物は、コ
ーティング剤として用いられる。ここでいうコーティン
グ剤とは、顔料など無機粒子を分散させることが必須で
ある塗料をはじめ、磁性金属粒子を分散・固定化させる
磁気テープ(音楽,ビデオ,記憶用など)製造における
コーティング剤、紙やフィルムへの特殊コーティング剤
などを意味する。これらの製造においては、上述した本
発明の無機粒子分散組成物の製造方法に従って、適宜、
機能性を高めるための各種添加剤を配合してコーティン
グ剤の調製を行う。
【0030】また、本発明の無機粒子分散組成物は、研
磨用組成剤として用いられる。ここでいう研磨用組成剤
とは、ディスクメモリー(コンピュータ用ハードディス
クなど)の製造に必要な精密研磨用の研磨液やシリコン
ウェハーの製造時に必要となる超精密研磨に代表される
ように物質表面の研磨工程に使われる研磨用組成物のす
べてを意味する。例えば、家庭用として用いられるクレ
ンザーなどの洗浄剤や自動車用ワックスなどの各種コン
パウンド、さらには歯磨剤も、研磨剤として無機粒子を
配合する組成物であるので本発明の組成物といえる。特
に電子デバイスの研磨分野では、前述したように最近C
MPの技術が普及しており、本発明の組成物は、これら
低pH(2<pH<4)や弱アルカリ(8<pH<1
0)の条件下で高度な研磨を発揮し得る組成物といえ
る。これらの製造は、上述した本発明の無機粒子分散組
成物の製造方法に従って行う。
【0031】研磨用組成物の製造に際しては、製品の品
質保持や安定化を図る目的や、被加工物の種類、加工条
件およびその他の研磨加工上の必要に応じて、各種の公
知の添加剤を本発明の効果をそこなわない範囲で適宜加
えてもよい。このような添加剤の好適な例としては、下
記のものが挙げられる。 (1)セルロース類:例えば微結晶セルロース、カルボ
キシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース
等、 (2)水溶性アルコール類:例えばエタノール、プロパ
ノール、エチレングリコール、グリセリン等、 (3)界面活性剤:例えばアルキルベンゼンスルホン酸
ソーダ、ナフタリンスルホン酸のホルマリン縮合物等、 (4)有機ポリアニオン系物質:例えばリグニンスルホ
ン酸塩、ポリアクリル酸塩等、 (5)水溶性高分子(乳化剤)類:例えばポリビニルア
ルコール、アラビアゴム、ポリアクリル酸、ポリメタク
リル酸、ポリアクリルアミド類、ポリビニルエステル
類、ポリビニルアセテート類、ポリアクロレイン類等、 (6)キレート剤:例えばエチレンジアミン四酢酸塩、
ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロ
キシエ チルエチレンジアミン二酢酸塩、ジエチレント
リアミン五酢酸塩、ポリエチレンテトラミン六酢酸塩、
ヒドロキシエチルイミノ二酢酸塩、グルコン酸塩等、 (7)酸化剤またはエッチング剤:例えば過酸化水素、
過塩素酸銅等、 (8)殺菌剤:例えばアルギン酸ナトリウム、 炭酸水
素カリウム等、 (9)酸:例えばフッ化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、有
機酸等、 (10)塩基:例えばアンモニア水、アミン類、水酸化
ナトリウム、水酸カリウム、水酸セリウム、テトラエチ
ルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等、
【0032】さらに、本発明の無機粒子分散組成物は、
化粧料として用いられる。ここでいう化粧料とは、化粧
料の中でも様々な目的で無機粒子を配合した組成物のす
べてを意味する。例えば、無機粒子を配合したファンデ
ーション、ローション類、クリーム類、パック・マスク
類の他、アイライナー、アイシャドー、マスカラ、眉
墨、口紅などである。これらの製造においては、上述し
た本発明の無機粒子分散組成物の製造方法に従って、適
宜、機能性を高めるための各種添加剤を配合して化粧料
の調製を行う。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明を実施例により更に詳細に
説明する。下記実施例及び比較例において、平均粒径、
結晶成分の分率、平均重合度(DP)は前述した測定法
によって行った。
【0034】
【調製例1】本発明の分散組成物の原料であるセルロー
スの水分散体を調製した例を示す。5mm×5mmのチ
ップに切断したサルファイトパルプシート(DP=76
0)を、−5℃で65重量%硫酸水溶液にセルロース濃
度が6重量%になるように均一溶解し、セルロースドー
プを得た。このセルロースドープを、重量で2.5倍量
の水中(5℃)に攪拌しながら注ぎ、セルロースをフロ
ック状に析出及び凝集させ懸濁液(15℃)を得た。こ
の懸濁液を85℃で60分間加水分解し、次いでpHが
4以上になるまで十分に水洗と減圧脱水を繰り返し、セ
ルロース濃度が6.5重量%の透明性を帯びた白色のペ
ースト様のゲル状物を得た。このゲル状物をイオン交換
水でセルロース濃度4.0重量%に希釈し、ブレンダー
で5分間混合した。この希釈後の試料を、超高圧ホモジ
ナイザー(Microfluidizer M−110
EH型、みづほ工業(株)製、操作圧力1750kg/
cm2)で4回処理して、透明なセルロース分散体(J
1試料)を得た。J1試料のセルロースは、DPが3
2、χIが0.0、χIIが0.31、平均粒子径は0.
28μmであった。
【0035】
【調製例2】本発明の分散組成物の比較例における原料
として、MCC分散液を調製した例を示す。DP=76
0のサルファイトパルプを4%塩酸水溶液中に分散さ
せ、80℃で30分間加水分解し、得られた加水分解物
の塩酸水懸濁液を、洗液のpHが4以上になるまで十分
に水洗した。得られたセルロース濃度50重量%のケー
ク状物に水を加え、セルロース濃度が4重量%になるよ
うに混合、調整し、そのスラリーを、内容量2リット
ル,媒体充填率80%の媒体撹拌湿式粉砕装置(アシザ
ワ(株)製 パールミルTM)に0.69リットル/分の
流量で注入し、合計5回処理した。この工程により不透
明な乳白色のクリーム状の分散液を得た。この分散液を
調製例1と同様に超高圧ホモジナイザー処理を4回施し
た。得られた懸濁液をR1試料とする。R1試料のセル
ロースは、DPが120、結晶化度はχIが0.66、
χIIが0.0、平均粒子径が0.86μmであった。R
1試料は、平均粒子径は1μm以下と小さいが、乳白色
の分散液であった。
【0036】
【実施例1〜3および比較例1〜5】2種類の環境下
(pH=7およびpH=3)における本発明の無機粒子
分散組成物の安定性および無機粒子分散効果を調べるた
めに表1の配合組成物を調製した。本発明のJ1分散体
を使用した例(実施例1〜3)、比較例として分散安定
剤を使用しない例(比較例1、2及び5)、本発明以外
の分散安定剤を使用した例(比較例3及び4)の計8個
を調製した。組成物の調製は、各配合物をブレンダー中
に混入し、15000rpmにて5分間撹拌処理を行い
分散組成物を得た。シリカ微粒子は、サンスフェアH−
31(平均粒子径3.7μmの白色球状粉末,旭硝子
(株)製)、酸化チタン微粒子は、TTO−51(C)
(1次粒子径0.01〜0.03μm、石原産業(株)
製)を用いた。
【0037】
【表1】
【0038】ブレンダーによる撹拌の後、各分散液80
mlを、100ml用縦型ガラスサンプル管に導入し、
0.2Nの塩酸によりpH調整を行い、よく振った後に
各サンプル管を実験台上に静置した。pH調整してから
100時間後に、各分散液の離水性および沈降層の分散
状態の観察により分散効果を評価した。離水性に関して
は、サンプル管中での全分散液の高さHwに対する沈降
層の高さHdの比、Hd/Hwをもって評価(Hd/Hw
値が低いものほど離水性大)した。沈降層の分散状態
は、沈降層をピペットにより採取し、黒色の実験台上に
滴下して性状を観察した。結果を表2に示した。比較例
1〜5は、いずれも離水が起こり、沈降層での無機粒子
の分散状態も凝集のため不均一であった。これに対し、
実施例1〜3は、いずれも離水がほとんど起こらず、無
機粒子の均一な分散が達成されていることが明らかにな
った。
【0039】
【表2】
【0040】
【実施例4】<白色エマルジョン塗料への適用例> (1)二酸化チタン:22.5wt% (2)タルク:9.5wt% (3)炭酸カルシウム:5.0wt% (4)ヘキサメタリン酸ナトリウム(10%水溶液):
1.5wt% (5)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル:0.8wt
% (6)酢酸ビニルコポリマーエマルジョン(55wt%
水分散体):32.7wt% (7)エチレングリコールモノアセテートブチルエーテ
ル:1.0wt% (8)セルロース分散体J1:15wt%(セルロース
純分として0.6wt%相当) (9)水:残余 (10)必要に応じて、防腐剤、pH調整剤、消泡剤等
を加える。 <製法>(1)〜(3)をブレンダーで混合後、粉砕機
で処理する。水に(4)、(5)を加えた後、先の混合
物及び(6)、(7)を撹拌しながら加え、次いで
(8)を加えて高圧ホモジナイザー処理を行う。 <結果>20℃において24時間静置した後も安定であ
る白色均一な塗料を得た。塗り性、乾燥後の塗膜の均一
性も良好であった。
【0041】
【実施例5】<紙コート剤への適用例> (1)二酸化チタン:8.0wt% (2)カオリン:32.0wt% (3)水:14.0wt% (4)ヘキサメタリン酸ナトリウム(10%水溶液):
0.4wt% (5)アンモニア水(15%水溶液):0.4wt% (6)セルロース分散体J1:25wt%(セルロース
純分として1.0wt%相当) (7)アンモニア水(15%水溶液):0.8wt% (8)ポリマーラテックス(SBR/PVA=50/5
0(g/g)):12.0wt% (9)水:残余 (10)必要に応じて、防腐剤、pH調整剤、消泡剤等
を加える。 <製法>(3)の水に(4)、(5)を溶解した後、ブ
レンダーで混合後粉砕処理した(1)、(2)を加えて
均一に分散し、粘土状スラリーとする。(9)の水に
(6)を加えて70℃に加熱した後、(8)を加え、更
に(7)を加えてpHを9前後に調整する。粘土状スラ
リーをこれに加え、高圧ホモジナイザー処理を行い、撹
拌しながら室温まで冷却し、脱気する。 <結果>20℃において24時間静置した後も安定であ
る白色均一な性状の紙コート剤を得た。塗り性,乾燥後
の塗膜の均一性も良好であった。
【0042】
【実施例6】<研磨剤組成物(練歯磨剤)への適用例> (1)第二リン酸カルシウム2水和塩:45.0wt% (2)無水ケイ酸:2.0wt% (3)グリセリン:15.0wt% (4)ラウリル硫酸ナトリウム:1.0wt% (5)サッカリンナトリウム:0.1wt% (6)セルロース分散体J1:30wt%(セルロース
純分として1.2wt%相当) (7)精製水:残余 (8)必要に応じて、適量の香料、防腐剤等を加える。 <製法>真空混合機で、精製水に(3),(4),
(5)を加える。次いで、(6)を加え、更に(1),
(2)を加えて均一になるまで混合した後、減圧脱気す
る。 <結果>20℃において24時間静置した後も安定であ
る白色均一な練歯磨剤を得た。粘調なクリーム状物質で
あり、保形性も良好であった。
【0043】
【実施例7】<化粧料(液体ファンデーション)への適
用例> (1)タルク:3.0wt% (2)二酸化チタン:5.0wt% (3)ベンガラ:0.5wt% (4)黄酸化鉄:1.4wt% (5)黒酸化鉄:0.1wt% (6)モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタ
ン:0.9wt% (7)トリエタノールアミン:1.0wt% (8)プロピレングリコール:10.0wt% (9)精製水:残余 (10)ステアリン酸:2.2wt% (11)イソヘキサデシルアルコール:7.0wt% (12)モノステアリン酸グリセリン:2.0wt% (13)液状ラノリン:2.0wt% (14)流動パラフィン:2.0wt% (15)セルロース分散体J1:20wt%(セルロー
ス純分として0.8wt%相当) (16)必要に応じて、防腐剤、香料等を加える。 <製法>精製水に(8)を加えて70℃に加熱した後、
(6)、(7)を加えて十分に撹拌する。これに十分混
合粉砕された(1)〜(5)の混合物を撹拌しながら添
加し、70℃でホモミキサー処理する。次に70〜80
℃で加熱溶解された(10)〜(14)を徐々に添加し
た後、(15)を加えて70℃で高圧ホモジナイザー処
理する。これを、撹拌しながら室温まで冷却し、最後に
脱気して容器に充填する。 <結果>20℃において24時間静置した後も安定であ
る均一な液体ファンデーションを得た。
【0044】
【実施例8】<化粧料(アイライナー)としての適用例
> (1)黒酸化鉄:14.0wt% (2)酢酸ビニル樹脂エマルジョン:45.0wt% (3)グリセリン:5.0wt% (4)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸エ
ステル:1.0wt% (5)クエン酸アセチルトリブチル:1.0wt% (6)セルロース分散体J1:20wt%(セルロース
純分として0.8wt%相当) (7)精製水:残余 (8)必要に応じて、防腐剤、香料等を加える。 <製法>精製水に(3)、(4)を加え、70℃で加熱
溶解した後(1)を加えてコロイドミルで処理する。
(2)、(5)、(6)を加えた後、70℃で高圧ホモ
ジナイザー処理する。これを撹拌しながら室温まで冷却
する。 <結果>20℃において24時間静置した後も安定であ
る均一な性状のアイライナーを得た。
【0045】
【実施例9】<化粧料(アイシャドー)への適用例> (1)タルク:10.0wt% (2)カオリン:2.0wt% (3)顔料:5.0wt% (4)ミリスチン酸イソプロピル:8.0wt% (5)流動パラフィン:5.0wt% (6)モノラウリル酸プロピレングリコール:3.0w
t% (7)精製水:残余 (8)ブチレングリコール:5.0wt% (9)グリセリン:1.0wt% (10)セルロース分散液J1:30wt%(セルロー
ス純分として1.2wt%相当) (11)必要に応じて、酸化防止剤、香料、防腐剤、金
属イオン封鎖剤等を加える。 <製法>(1)〜(3)をブレンダーで混合後、粉砕機
で処理する。精製水に(8)、(9)を加え、70〜7
5℃に加熱し、70〜80℃で加熱溶解した(4)〜
(6)の混合部を撹拌しながら加える。これによって得
られた(4)〜(9)混合部に(1)〜(3)混合部を
70〜75℃で撹拌しながら加え、次いで(10)を加
えて高圧ホモジナイザー処理する。撹拌しながら室温ま
で冷却する。 <結果>20℃において24時間静置した後も安定であ
る均一な性状のアイシャドーを得た。
【0046】
【実施例10】<電子機器(ディスク基板)仕上げ研磨
への応用> (研磨用組成剤の調製)酸化アルミニウム(平均粒子径
0.8μm)とセルロース分散体J130wt%(セルロ
ース純分として1.2wt%)を撹拌機を用いて水に分
散させて、研磨材である酸化アルミニウム濃度10重量
%のスラリーを調製した。スラリーは20℃で24時間静置
しても安定で均質であった。
【0047】(研磨試験)次に、この試料による研磨試
験を行った。条件は下記に示すとおりであった。 ・研磨条件 被加工物:2.5” カーボンディスク 研磨機:片面研磨機 研磨パッド:Surfin018−3((株)フジミイ
ンコーポレーテッド製) 加工圧力:100g/cm2 定盤回転数:130rpm 研磨用組成物供給量:10cm3/分 研磨時間:5分 研磨後、サブストレートを常法により順次洗浄、乾燥し
た後、研磨によるサブストレートの重量減を測定し、予
め求められているカーボンディスクの比重 およびサブ
ストレートの面積より、研磨速度を求めた。
【0048】ピットについては、暗室内でシャドーグラ
フにて表面欠陥の有無および位置を確認した。表面欠陥
の発生が認められたサブストレートについてその箇所を
微分干渉顕微鏡を用いて観察し、表面欠陥がピットであ
るか否かを判定し、結果を下記表3に示した。その評価
基準は下記の通りである。 ◎:ピットは目視確認されない。 ○:ピットはほとんど目視確認されない。 △:ピットは目視確認されるが、問題とならないレベル
である。 ×:ピットはかなり目視確認され、問題となるレベルで
ある。 また、スクラッチについては、研磨後、サブストレート
を洗浄、乾燥して、暗室内においてスポットライトをあ
て、目視でスクラッチの有無を判定し、結果を下記表3
に示した。 その基準は下記の通りである。 ◎:スクラッチは目視確認されない。 ○:スクラッチはほとんど目視確認されない。 △:スクラッチはわずかに目視確認されるが、問題とな
らないレベルである。 ×:スクラッチはかなり目視確認され、問題となるレベ
ルである。
【0049】
【表3】
【0050】研磨試験結果から、十分な研磨速度をも
ち、かつ、研磨面のピットやスクラッチの少ない研磨面
を得ることができたことがわかる。
【0051】
【実施例11】<アルミウエハーの研磨> (研磨液の調製)シリカ(粒子径150nm)とセルロ
ース分散体J130wt%(セルロース純分として2wt
%)、アルカリを添加してpH10とした後、撹拌機を
用いて水に分散させて、 研磨材濃度10重量% のスラ
リーを調製した。スラリーは20℃で24時間静置しても安
定で均質であった。このようにして調整した研磨用スラ
リーを 使用して、6インチのシリコン基板にアルミを
蒸着させたウエーハ(アルミ厚み5000Å)を研磨し
た。 研磨条件は以下のとおりであった。 (研磨試験)被加工物をアルミ蒸着ウエハーとしたほか
条件は実施例10と同一とした。また、アルミ蒸着ウエ
ハの比重、面積より、研磨速度を求めた。また、ピッ
ト、スクラッチについては、実施例10と同様の方法で
評価した。結果を表4に示した。
【0052】
【表4】
【0053】研磨試験結果から、十分な研磨速度をも
ち、かつ、研磨面のピットやスクラッチの少ない研磨面
を得ることができたことが判る。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、無機粒子分散組成物
を、広範な組成範囲で、凝集、沈降、ゲル化を伴わず
に、かつ長時間にわたり安定な組成物として提供でき
る。特に、コーティング剤、研磨剤や化粧料として広範
なpH領域で安定性に優れ、かつレオロジー特性の温度
変化の少ない組成物を提供できるので、工業的に極めて
有用な技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】セルロースI型結晶分率χI及びセルロースII
型結晶分率χIIの求め方を示す模式図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/14 550 C09K 3/14 550Z Fターム(参考) 4C083 AB131 AB171 AB172 AB211 AB232 AB242 AB382 AB432 AB442 AC022 AC092 AC122 AC242 AC302 AC352 AC392 AC422 AC442 AC542 AC782 AC862 AD092 AD261 AD262 AD512 BB21 BB23 CC01 CC12 CC14 CC41 DD23 DD39 EE01 FF01 FF05 4J002 AB011 DA026 DA066 DB016 DC006 DE046 FA086 GB00 GH00 GT00 HA06 4J038 BA021 HA036 HA066 HA216 KA06 KA20 MA10 MA14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機粒子0.1〜80重量%、及びセル
    ロース0.1〜10重量%を液状分散媒体に均一に分散
    させてなる分散組成物であって、該セルロースの平均重
    合度(DP)が100以下で、セルロースI型結晶成分
    の分率が 0.1以下、セルロースII型結晶成分の分率
    が 0.4以下であり、かつ構成するセルロースの平均
    粒径が5μm以下であることを特徴とする無機粒子分散
    組成物。
  2. 【請求項2】 液状分散媒体が、水、水溶性アルコール
    又は水と水溶性アルコールの混合物である請求項1記載
    の無機粒子分散組成物。
  3. 【請求項3】 無機粒子が金属酸化物粒子、ケイ素を含
    む無機粒子、金属粒子、金属合金粒子、ダイアモンド、
    金属炭化物の中から選ばれる少なくとも1種である請求
    項1又は2に記載の無機粒子分散組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の無機粒
    子分散組成物を含有してなるコーティング剤。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載の無機粒
    子分散組成物を含有してなる研磨用組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかに記載の無機粒
    子分散組成物を含有してなる化粧料。
JP31646599A 1999-06-04 1999-11-08 無機粒子分散組成物 Expired - Lifetime JP4282848B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31646599A JP4282848B2 (ja) 1999-06-04 1999-11-08 無機粒子分散組成物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-158072 1999-06-04
JP15807299 1999-06-04
JP31646599A JP4282848B2 (ja) 1999-06-04 1999-11-08 無機粒子分散組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001049031A true JP2001049031A (ja) 2001-02-20
JP4282848B2 JP4282848B2 (ja) 2009-06-24

Family

ID=26485322

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31646599A Expired - Lifetime JP4282848B2 (ja) 1999-06-04 1999-11-08 無機粒子分散組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4282848B2 (ja)

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001048114A1 (fr) * 1999-12-27 2001-07-05 Showa Denko K.K. Composition destinee au polissage d'un substrat de disque magnetique, procede de polissage, et substrat de disque magnetique poli au moyen de ladite composition
JP2003081768A (ja) * 2001-09-17 2003-03-19 Aaben:Kk 化粧料
WO2008129955A1 (ja) * 2007-04-13 2008-10-30 Dai-Ichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd. 水系分散体及び水系化粧料
JP2009161893A (ja) * 2007-12-11 2009-07-23 Kao Corp セルロース分散液の製造方法
JP2010500463A (ja) * 2006-08-16 2010-01-07 バイオイーコン インターナショナル ホールディング エヌ.ブイ. 無機粒状物を含んでいるバイオマスの安定な懸濁物
JP2011061089A (ja) * 2009-09-11 2011-03-24 Kao Corp 研磨液組成物
JP4883373B2 (ja) * 2006-02-24 2012-02-22 アイシン精機株式会社 モータ用金属黒鉛質ブラシ材料の製造方法
CN102047406B (zh) * 2008-06-20 2013-06-05 佳能安内华股份有限公司 真空处理设备、真空处理方法和电子装置制造方法
JP2013121949A (ja) * 2011-11-08 2013-06-20 Kose Corp 水系アイライナー化粧料
JP2014177736A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Dow Global Technologies Llc 紙コーティング配合物
JP2015518512A (ja) * 2012-04-19 2015-07-02 イメリス ソシエテ アノニム 塗料用組成物
WO2016111165A1 (ja) * 2015-01-07 2016-07-14 御国色素株式会社 増粘剤含有砥粒スラリー及びその製造法
CN107142083A (zh) * 2017-06-16 2017-09-08 宿迁德特材料科技有限公司 一种纤维素纳米纤维基研磨液及其制备方法
JP2019026749A (ja) * 2017-07-31 2019-02-21 ダイセル・オルネクス株式会社 塗膜剥離用組成物及び塗膜の剥離方法
WO2019198622A1 (ja) * 2018-04-11 2019-10-17 日揮触媒化成株式会社 研磨組成物

Cited By (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001048114A1 (fr) * 1999-12-27 2001-07-05 Showa Denko K.K. Composition destinee au polissage d'un substrat de disque magnetique, procede de polissage, et substrat de disque magnetique poli au moyen de ladite composition
JP2003081768A (ja) * 2001-09-17 2003-03-19 Aaben:Kk 化粧料
JP4883373B2 (ja) * 2006-02-24 2012-02-22 アイシン精機株式会社 モータ用金属黒鉛質ブラシ材料の製造方法
US8808408B2 (en) 2006-08-16 2014-08-19 Kior, Inc. Stable suspensions of biomass comprising inorganic particulates
JP2010500463A (ja) * 2006-08-16 2010-01-07 バイオイーコン インターナショナル ホールディング エヌ.ブイ. 無機粒状物を含んでいるバイオマスの安定な懸濁物
US8715377B2 (en) 2006-08-16 2014-05-06 Kior, Inc. Stable suspensions of biomass comprising inorganic particulates
WO2008129955A1 (ja) * 2007-04-13 2008-10-30 Dai-Ichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd. 水系分散体及び水系化粧料
JP2009161893A (ja) * 2007-12-11 2009-07-23 Kao Corp セルロース分散液の製造方法
CN102047406B (zh) * 2008-06-20 2013-06-05 佳能安内华股份有限公司 真空处理设备、真空处理方法和电子装置制造方法
JP2011061089A (ja) * 2009-09-11 2011-03-24 Kao Corp 研磨液組成物
JP2013121949A (ja) * 2011-11-08 2013-06-20 Kose Corp 水系アイライナー化粧料
JP2015518512A (ja) * 2012-04-19 2015-07-02 イメリス ソシエテ アノニム 塗料用組成物
JP2018127626A (ja) * 2012-04-19 2018-08-16 ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッド 塗料用組成物
JP2020073641A (ja) * 2012-04-19 2020-05-14 ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッド 塗料用組成物
JP2014177736A (ja) * 2013-03-14 2014-09-25 Dow Global Technologies Llc 紙コーティング配合物
WO2016111165A1 (ja) * 2015-01-07 2016-07-14 御国色素株式会社 増粘剤含有砥粒スラリー及びその製造法
CN107142083A (zh) * 2017-06-16 2017-09-08 宿迁德特材料科技有限公司 一种纤维素纳米纤维基研磨液及其制备方法
JP2019026749A (ja) * 2017-07-31 2019-02-21 ダイセル・オルネクス株式会社 塗膜剥離用組成物及び塗膜の剥離方法
WO2019198622A1 (ja) * 2018-04-11 2019-10-17 日揮触媒化成株式会社 研磨組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP4282848B2 (ja) 2009-06-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001049031A (ja) 無機粒子分散組成物
US6197100B1 (en) Dispersible water soluble polymers
TWI541335B (zh) Silicon wafer polishing composition
JP4963825B2 (ja) 研磨用シリカゾルおよびそれを含有してなる研磨用組成物
JP6965997B2 (ja) スラリ、研磨液の製造方法、及び、研磨方法
EP2106426B1 (de) Zusammensetzung zum polieren von oberflächen aus siliziumdioxid
JP2005530895A (ja) 特徴的用途粒子の物理的分散方法およびその組成物
KR20080077613A (ko) 수성 나노입자 분산액을 위한 착물형성 기를 갖는 분자, 및이의 용도
JPH02172529A (ja) 顔料の1種として水和硫酸カルシウムを含有する複数顔料の水性懸濁液の調製に使用される混和剤
CN105800661A (zh) 一种氧化铈水热制备方法及其cmp抛光应用
JPH0139459B2 (ja)
JP2004035632A (ja) 高い透明性と紫外線遮蔽能を有する無機酸化物分散体および分散方法
JPWO2018230472A1 (ja) 六角板状酸化亜鉛の製造方法
CN107254198A (zh) 纳米级钛白粉微粒复合物和包含该纳米级钛白粉微粒复合物的组合物
JP2010150388A (ja) セルロース組成物、および該セルロース組成物を含んでなるゲル組成物
WO2019065994A1 (ja) 研磨用組成物
JP4975326B2 (ja) 水性塗料組成物
US5282898A (en) Use of surfactants in processing abrasive pigments
JP5219335B2 (ja) 被覆組成物用原液
JP3969605B2 (ja) 研磨液組成物
JP3981161B2 (ja) 塗料用表面処理シリカ
KR20210007181A (ko) 멀티 필름 연마용 cmp 슬러리 조성물 및 그를 이용한 연마 방법
JP2006321967A5 (ja)
JP3935563B2 (ja) 塗料用艶消し剤、および塗料用艶消し剤の製造方法
JP7316177B2 (ja) 含水ケイ酸スラリー及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060904

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090304

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090317

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090318

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4282848

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120327

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120327

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130327

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140327

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term