JP2001047548A - 化粧無機質系成形品の製造方法 - Google Patents

化粧無機質系成形品の製造方法

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JP2001047548A
JP2001047548A JP11226367A JP22636799A JP2001047548A JP 2001047548 A JP2001047548 A JP 2001047548A JP 11226367 A JP11226367 A JP 11226367A JP 22636799 A JP22636799 A JP 22636799A JP 2001047548 A JP2001047548 A JP 2001047548A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 意匠性や機械的強度が高く、耐水性、耐熱
性、難燃性、耐炎性に優れる化粧無機質系成形品を、高
い生産性で得ることができる製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の化粧無機質系成形品の製造方法
は、例えば以下の各工程を含むことを特徴とする。 (1)酸性リン酸金属塩100重量部、その硬化剤80
〜200重量部及び尿素0.1〜10重量部を含有する
硬化性組成物を得る工程、(2)前記硬化性組成物10
0重量部と無機質強化材5〜100重量部とを複合させ
て成形用材料を得る工程、(3)前記成形用材料を所望
の形状に成形して半硬化材料を得る工程、並びに、
(4)熱硬化性樹脂を主成分としたシート状の化粧材と
前記半硬化材料とを積層した後、両者を積層した状態で
120℃以上の温度で加熱して前記半硬化材料の硬化を
完了させると共に、前記化粧材と硬化後の前記半硬化材
料とを一体化する工程。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、建築物や
車両の内装材等として好適に用いることができる、難燃
性や耐炎性が良好な化粧無機質系成形品の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】建築材料、耐火・耐熱材料又は電気絶縁
材料等として使用可能な無機質系の材料として、リン酸
及び/又はリン酸塩と各種金属化合物とを含有する硬化
性組成物や、その硬化性組成物を硬化させて得た無機質
系材料が提案されている。又、この無機質系材料を強化
材で補強した各種の板材や成形品も提案されている。
【0003】上記の無機質系材料の中でも、鉄道車両や
バスを始めとする旅客車両、又は、オフィスビルディン
グや公共施設を始めとする建築物等の内装材として用い
られるものについては、当該無機質系材料の表面に意匠
性が付与されていることが望まれる。
【0004】無機質系材料の表面に意匠性を付与する方
法としては、例えば、特公昭59−3958号公報及び
特開昭60−228142号公報に、リン酸又はリン酸
塩と各種金属化合物とを含有する硬化性組成物及び繊維
系強化材を複合した無機質系材料を製造する工程におい
て、エンボス加工を施すことによってこの無機質系材料
の表面に凹凸模様を付与することが開示されている。
【0005】又、上記の方法以外にも、硬化性組成物に
顔料等の着色剤を配合する方法、無機質系材料の表面を
塗料を用いて塗装する方法、無機質系材料にシート状の
化粧材を接着剤を用いて接合する方法等が知られてい
る。
【0006】更に、機械的強度や外観が良好な無機質系
材料を得る方法のひとつとして、特開平4−31740
3号公報には次のような技術が開示されている。すなわ
ち、リン酸及び/又はリン酸塩と各種金属化合物とを含
有する硬化性組成物における、リン酸又はリン酸塩と各
種金属化合物との反応を抑制することによって、硬化性
組成物のポットライフを長くしたり、硬化性組成物のゲ
ル化を抑えて繊維系強化材への含浸性を良好にすること
で無機質系材料の強度低下を防いだり、内部でのボイド
の発生や表層部でのクラックの発生を抑えて無機質系材
料の機械的強度や外観を良好にしたりすることを目的
に、又、無機質系材料を得る際の作業性や成形性を改善
することを目的に、硬化性組成物に有機液体緩衝剤を添
加することが同公報に開示されており、同公報ではこの
有機液体緩衝剤としてカルボン酸類、アミン類、尿素等
が挙げられている。
【0007】尚、上記のような表面に意匠性を付与され
た無機質系材料は、従来から旅客車両の内装材として用
いられている、表面に化粧材を貼付した繊維強化樹脂
(FRP)板と比較して、難燃性や耐炎性に優れるとい
う利点を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エンボ
ス加工、着色剤の添加又は塗装によって無機質系材料に
意匠性を付与する方法においては、単純な色彩や模様に
限られてしまうので意匠性が不十分であったり、表面の
平滑性や光沢性に劣るという問題を有している。
【0009】一方、シート状の化粧材を接着する方法に
よれば、高い意匠性を無機質系材料に付与することがで
きるが、この方法は次のような問題点を有している。
【0010】すなわち、火災などで無機質系材料が火炎
にさらされた場合に、上記方法では有機物である樹脂系
の接着剤を用いるために、火炎にさらされた部分以外へ
類焼してしまうので無機質系材料の耐炎性が低下すると
いう問題や、曲面部分や角部を有する比較的に形状が複
雑な無機質系材料の場合には、化粧材の接着が難しいと
いう問題、或いは、無機質系材料を使用する環境によっ
ては接着剤が劣化してしまって化粧材が剥離する場合が
あるという問題、及び、成形した無機質系材料に化粧材
を接合するという工程がひとつ増えることによって生産
性が低下するという問題を有しているのである。
【0011】又、特開平4−317403号公報に開示
された技術において有機液体緩衝剤として使用されるカ
ルボン酸類及びアミン類は、硬化性組成物の硬化を完了
させるための加熱によっては気化又は分解しないので、
硬化した組成物、即ち無機質系材料の内部に残存する
が、無機質系材料の内部にカルボン酸類が残存している
場合には、その耐水性が低くなるという問題がある。一
方、無機質系材料の内部にアミン類が残存している場合
には、無機質系材料が例えば400℃以上の高温に曝さ
れると、炭化したアミン類がその内部に残ることによっ
て、理由はよくわからないが無機質系材料の強度が著し
く低下するので、無機質系材料が本来有すべき耐熱性を
損なうという問題がある。
【0012】更に、特開平4−317403号公報に開
示された硬化性組成物においては、リン酸1モルに対し
て有機液体緩衝剤0.25〜1モルを添加しており、こ
のモル比を有機液体緩衝剤の種類毎に重量比に換算する
と、リン酸(濃度100%換算)100部に対して有機
液体緩衝剤15〜155部程度を添加していることに相
当し、このようにリン酸に対して比較的多量の有機液体
緩衝剤を使用した場合には、得られた無機質系材料の中
に有機物が多く残存しているので、無機質系材料の耐熱
性が低下するという問題がある。
【0013】更に又、上記したような量比で、有機液体
緩衝剤として尿素を使用した場合には、硬化性組成物を
硬化させるために加熱した際に、尿素が分解して発生す
るアンモニアや二酸化炭素の量が多くなるので、無機質
系材料にボイドができてしまい、得られた無機質系材料
の機械的強度等が低くなるという問題がある。
【0014】したがって、本発明の目的は、意匠性や機
械的強度が高く、耐水性、耐熱性、難燃性、耐炎性に優
れる化粧無機質系成形品を、高い生産性で得ることがで
きる製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた本発明の化粧無機質系成形品の製造方法の第
一は、以下の各工程を含むことを特徴とする。 (1)酸性リン酸金属塩100重量部、その硬化剤80
〜200重量部及び尿素0.1〜10重量部を含有する
硬化性組成物を得る工程、(2)前記硬化性組成物10
0重量部と無機質強化材5〜100重量部とを複合させ
て成形用材料を得る工程、(3)前記成形用材料を所望
の形状に成形して半硬化材料を得る工程、並びに、
(4)熱硬化性樹脂を主成分としたシート状の化粧材と
前記半硬化材料とを積層した後、両者を積層した状態で
120℃以上の温度で加熱して前記半硬化材料の硬化を
完了させると共に、前記化粧材と硬化後の前記半硬化材
料とを一体化する工程。
【0016】同じく、上記課題を解決するためになされ
た本発明の化粧無機質系成形品の製造方法の第二は、以
下の各工程を含むことを特徴とする。 (1)酸性リン酸金属塩100重量部、その硬化剤80
〜200重量部及び尿素0.1〜10重量部を含有する
硬化性組成物を得る工程、(2)前記硬化性組成物10
0重量部と無機質強化材5〜100重量部とを複合させ
て成形用材料を得る工程、(3)熱硬化性樹脂を主成分
としたシート状の化粧材と前記成形用材料とを積層した
後、両者を積層した状態で所望の形状に成形して半硬化
材料を得る工程、並びに、(4)前記半硬化材料を12
0℃以上の温度で加熱して前記半硬化材料の硬化を完了
させると共に、前記化粧材と硬化後の前記半硬化材料と
を一体化する工程。
【0017】本発明の好ましい態様においては、前記成
形用材料を所望の形状に成形する前に、その水分含有量
が5〜10重量%となるように調整する工程を更に含
む。
【0018】又、前記化粧材を構成する熱硬化性樹脂
が、半硬化状態であることが好ましく、前記化粧材がメ
ラミン樹脂を主成分としたものであることが好ましい。
【0019】更に、前記無機質強化材が、エポキシ樹脂
を含有する表面処理剤を付与されたガラス繊維又はカー
ボン繊維であることが好ましい。
【0020】本発明の化粧無機質系成形品の製造方法の
第一によれば、硬化性組成物と無機質強化材とを複合し
た成形用材料を所望の形状に成形して得た半硬化材料
を、熱硬化性樹脂を主成分としたシート状の化粧材と積
層した状態で加熱することによって、半硬化材料の硬化
を完了させると共に、化粧材と硬化後の半硬化材料とを
一体化するのであり、又、本発明の化粧無機質系成形品
の製造方法の第二によれば、熱硬化性樹脂を主成分とし
たシート状の化粧材と、硬化性組成物及び無機質強化材
を複合した成形用材料とを積層した後、両者を積層した
状態で所望の形状に成形して半硬化材料を得、この半硬
化材料を加熱することによって、前記半硬化材料の硬化
を完了させると共に、前記化粧材と硬化後の前記半硬化
材料とを一体化する。
【0021】すなわち、本発明の化粧無機質系成形品の
製造方法によれば、成形品の製造工程の中において化粧
材と半硬化材料とを一体化するので、別工程での化粧材
の接着等は不要となり、したがって、平板のような形状
が単純なもののみならず、曲面部分や角部を有する比較
的に形状が複雑な化粧無機質系成形品であっても、高い
生産性で製造することができる。
【0022】又、化粧材を構成する熱硬化性樹脂に対す
る硬化性組成物の優れた接着性によって、接着剤を用い
ることなく半硬化材料と化粧材とを接合し、一体化でき
るので、両者の接合強度が高くなると共に耐炎性も良好
となり、又、接着剤の劣化による化粧材の剥離も発生し
ない。
【0023】又、酸性リン酸金属塩及びその硬化剤を含
有する硬化性組成物に尿素を添加することにより、酸性
リン酸金属塩とその硬化剤との反応を抑制して組成物の
粘度の上昇を抑え、無機質強化材、中でも無機質繊維へ
の硬化性組成物の含浸が容易且つ良好になるので、得ら
れる成形品の機械的強度が低くなることがない。
【0024】更に、尿素によって酸性リン酸金属塩とそ
の硬化剤との反応が抑制されるので、硬化性組成物を加
熱して硬化させる際においても、組成物の表面部と内部
とでは反応の度合いに大きな差ができず、表面部だけが
先に硬化することがない。したがって、加熱によって気
化した内部の水が容易に外部へ放出されるので、組成物
の硬化の途中でクラックが発生したり、得られた成形品
の内部にボイドができたりすることがない。
【0025】又、本発明においては、熱硬化性樹脂を主
成分としたシート状の化粧材と半硬化材料とを積層した
状態で、120℃以上の温度で加熱して半硬化材料の硬
化を完了させるので、硬化性組成物に添加された尿素
は、この温度でアンモニアと二酸化炭素とに分解して外
部へ放出され、得られた成形品の中に残らない。したが
って、カルボン酸類やアミン類を組成物の反応を抑制す
る成分として用いた場合に起る、その成分が残存して成
形品へ悪影響を及ぼすようなことはない。尚、尿素の分
解で生じたアンモニアの一部が第一リン酸金属塩に補足
されることによって、得られた成形品の耐熱性や耐水性
が向上する。
【0026】更に又、本発明においては、酸性リン酸金
属塩100重量部に対して尿素0.1〜10重量部を用
いるので、尿素の量比が比較的小さく、半硬化材料の加
熱時に尿素が分解して発生するアンモニアと二酸化炭素
の量が少ないので、得られた成形品にボイドができず、
その強度低下もない。
【0027】本発明の好ましい態様においては、成形用
材料を所望の形状に成形する前に、その水分含有量が5
〜10重量%となるように調整する工程を更に含むの
で、成形用材料の取扱い性が良好となり、後に続く工程
において、水の急激な気化による成形品が膨張すること
もない。
【0028】又、熱硬化性樹脂が半硬化状態である化粧
材を用いる場合には、半硬化材料の形状が曲面部分や角
部を有する比較的複雑な場合であっても、その形状に化
粧材がなじみやすく、化粧材と硬化後の半硬化材料との
接着強度をより高めることができ、又、成形品の製造工
程とは別の、熱硬化性樹脂を加熱硬化させるためだけの
工程が不要となるので生産性が高くなるばかりではな
く、別工程において熱硬化性樹脂の硬化を完了させた化
粧材を、成形品の製造工程にて再び加熱する必要がない
ので、化粧材の表面の熱劣化によって外観が悪くなるこ
とがない。
【0029】更に、熱硬化性樹脂としてメラミン樹脂を
用いた化粧材を使用する場合には、表面の平滑性、光沢
性、耐候性が優れた成形品を得ることができる。
【0030】更に又、無機質強化材としてエポキシ樹脂
を含有する表面処理剤を付与されたガラス繊維又はカー
ボン繊維を使用する場合には、酸性リン酸金属塩及びそ
の硬化剤の反応硬化によって形成されたマトリックス
と、ガラス繊維又はカーボン繊維との濡れ性又は接着性
が向上し、得られる成形品の機械的強度等が良好とな
る。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。
【0032】本発明の化粧無機質系成形品の製造方法に
おける硬化性組成物は、酸性リン酸金属塩、その硬化剤
及び尿素を特定の量比で含有するものである。
【0033】本発明において使用される酸性リン酸金属
塩とは、リン原子に結合した水酸基を少なくとも1個有
するリン酸金属塩のことであり、第一リン酸金属塩(リ
ン酸二水素金属塩)及び第二リン酸金属塩(リン酸水素
金属塩)の総称である。
【0034】第一リン酸金属塩としては、第一リン酸ア
ルミニウム、第一リン酸マグネシウム、第一リン酸亜鉛
等が好ましく用いられ、これらの中でも水に対する溶解
性が良く、又、経済性も良好な点から、第一リン酸アル
ミニウムを用いることが好ましい。尚、第一リン酸アル
ミニウムは、水溶液だけではなく固形状のものも市販さ
れているので、水溶液と固形物とを組合わせることで、
硬化性組成物の硬化前における水分調整が容易となる。
【0035】又、第二リン酸金属塩としては、第二リン
酸アルミニウム、第二リン酸鉄等を用いることができ
る。尚、この第二リン酸金属塩は、上記第一リン酸金属
塩とは異なり水に対する溶解性が乏しいので、第二リン
酸金属塩を水中に分散させた分散液として用いることが
好ましい。
【0036】更に、後述する成形加工の際の流動性が良
好となり、且つ、得られた成形品の組織を緻密にするこ
とができるという点から、酸性リン酸金属塩は固形分が
40〜90重量%の水溶液又は水分散液で用いることが
好ましく、50〜70重量%の水溶液又は水分散液で用
いることが更に好ましい。
【0037】酸性リン酸金属塩とその硬化剤は、混合及
び加熱することで反応、硬化して、得られる化粧無機質
系成形品のマトリックスを形成するものであり、この酸
性リン酸金属塩の硬化剤としては、金属水酸化物、塩基
性金属酸化物、塩基性金属酸化物を成分として含有する
複合酸化物、又は、水和金属塩化物等の金属化合物を使
用することができ、これらの中から1種を単独で、又は
2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0038】金属水酸化物としては水酸化アルミニウ
ム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等を、塩基
性金属酸化物としては酸化アルミニウム、酸化マグネシ
ウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム等を、塩基性金属酸化
物を成分として含有する複合酸化物としては珪酸カルシ
ウム(ウオラストナイト)、アルミン酸カルシウム(ア
ルミナセメント)、カオリナイト、コーディエライト
(2MgO・2Al23・5SiO2)、マグネサイ
ト、タルク等を、水和金属塩化物としては水和塩化アル
ミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化マグネシウム六
水和物等を例示することができる。
【0039】上記の硬化剤は、酸性リン酸金属塩100
重量部(固形分として)に対して80〜200重量部を
使用する。硬化剤の使用量が80重量部未満では、硬化
性組成物を成形、加熱、硬化して得られた化粧無機質系
成形品に酸性リン酸金属塩が残存してしまい、十分な機
械的強度が得られないばかりか、成形品の耐水性を損な
う場合がある。一方、硬化剤の使用量が200重量部を
超えると、硬化剤に対して酸性リン酸金属塩が少なくな
り、成形品のマトリックスが粗になってしまい、十分な
機械的強度が得られない。尚、酸性リン酸金属塩100
重量部に対して、上記硬化剤を100〜180重量部使
用することがより好ましい。
【0040】上記した硬化剤の中でも、金属水酸化物、
塩基性金属酸化物又は塩基性金属酸化物を成分として含
有する複合酸化物を用いる場合においては、平均粒子径
が5μm以下のものが硬化剤全体の30重量%以上含ま
れていることが好ましい。平均粒子径が5μm以下の硬
化剤が30重量%以上含まれていると、得られた成形品
のマトリックスが緻密になって、無機質強化材とマトリ
ックスとの接着が良好となり、成形品の機械的強度が良
好となる。しかし、平均粒子径が5μm以下の硬化剤が
30重量%未満であると、得られた成形品のマトリック
スの緻密さに欠ける場合がある。
【0041】又、硬化剤として金属水酸化物、塩基性金
属酸化物又は塩基性金属酸化物を成分として含有する複
合酸化物を用いる場合においては、平均粒子径が20μ
m以上のものが硬化剤全体の0.1〜10重量%含まれ
ていることが好ましい。平均粒子径が20μm以上の硬
化剤が0.1〜10重量%含まれていると、硬化性組成
物に含まれている水が気化した際に外部へ放出されやす
くなって、気化した水が放出され難いことが原因となる
マトリックスの膨張又はボイドの発生を抑制することが
できるので、得られる化粧無機質系成形品の機械的強度
が良好になる。尚、平均粒子径が20μm以上の硬化剤
は、少量でも含まれてればその効果を得ることができる
が、硬化剤全体に対して10重量%を超えて含まれてい
ると、得られる成形品のマトリックスが緻密でなくなる
場合がある。
【0042】本発明においては、硬化性組成物に含有さ
れる酸性リン酸金属塩とその硬化剤との高い反応性を抑
制するために、尿素を使用する。すなわち、硬化剤と混
合する前の酸性リン酸金属塩へ、又は、酸性リン酸金属
塩とその硬化剤とを混合した直後の混合物へ、尿素を添
加することにより、尿素の二つのアミノ基と酸性リン酸
金属塩の水酸基とが相互作用を起こし、酸性リン酸金属
塩とその硬化剤との反応が抑制されて、硬化性組成物の
粘度の上昇が抑えられる。その結果、硬化性組成物の流
動性が損なわれないので、後述する繊維状の強化材への
含浸及び所望の形状への成形が容易となる。
【0043】又、尿素は120℃くらいの温度までは分
解せず、それ以上の温度に加熱されると分解を開始する
ので、硬化性組成物の硬化を完了させるために加熱する
場合であっても、硬化性組成物に含まれる水分の大部分
が気化して外部へ放出されるまで、尿素が酸性リン酸金
属塩とその硬化剤との反応を抑えているので、硬化性組
成物の表面部だけが硬化してしまうことがなく、内部の
水の気化による膨張やクラックの発生が抑えられ、得ら
れる化粧無機質系成形品の機械的強度や外観等が損なわ
れることはない。
【0044】更に、本発明においては、硬化性組成物及
び無機質強化材を複合した成形用材料を所望の形状に成
形して得た半硬化材料を、熱硬化性樹脂を主成分とした
シート状の化粧材と積層した状態で、120℃以上の温
度で加熱して半硬化材料の硬化を完了させるので、この
温度であれば、熱によって尿素がアンモニアと二酸化炭
素とに分解されて外部に放出され、化粧無機質系成形品
に残存することはない。したがって、硬化性組成物にア
ミン類等を添加した場合のように、有機物が無機質系成
形品中に残存してその性能に悪影響を及ぼされることは
ない。
【0045】更に又、尿素の熱分解で生じたアンモニア
の一部は、硬化性組成物に含有される酸性リン酸金属塩
に補足されて、硬化性組成物の硬化を促進するので、得
られる化粧無機質系成形品の耐熱性や耐水性が向上す
る。
【0046】本発明においては、酸性リン酸金属塩10
0重量部(固形分として)に対して尿素0.1〜10重
量部を使用する。尿素の使用量が0.1重量部未満であ
ると、尿素の反応抑制効果は不十分であり、一方、尿素
の使用量が10重量部を超えると、硬化性組成物を硬化
させるために加熱した際に、尿素が分解して発生するア
ンモニアや二酸化炭素の量が多くなるので、化粧無機質
系成形品中にボイドができてしまい、その機械的強度等
が低くなる。尚、尿素の使用量は、酸性リン酸金属塩1
00重量部に対して0.5〜8重量部であることがより
好ましい。
【0047】本発明の化粧無機質系成形品の製造方法に
おける成形用材料は、上記硬化性組成物及び無機質強化
材を特定の量比で複合させたものである。
【0048】本発明において使用する無機質強化材とし
ては、従来の無機質系材料で用いられている強化材と同
様なものを使用することができ、中でも、無機質繊維や
ウィスカを用いることが好ましく、特に、汎用性がある
ことから無機質繊維を使用することが好ましい。
【0049】上記無機質繊維としてはガラス繊維、セラ
ミック繊維、カーボン繊維等を、ウィスカとしてはホウ
酸アルミニウムウィスカ等を使用することができる。
【0050】上記ガラス繊維のガラス組成としては、A
ガラス、Eガラス、ECRガラス、Sガラス、ARガラ
ス等を例示することができ、上記セラミック繊維として
はアルミナ繊維、珪素−アルミナ繊維、窒化珪素繊維等
を例示することができる。
【0051】上記無機質繊維は、短繊維及び長繊維の何
れの形態でも使用することができ、マット、織布、不織
布、ペーパー等の形態に加工した無機質繊維も含めて、
各種の形態の無機質繊維を硬化性組成物の加工方法や成
形品の用途等に合わせて、適宜選択して用いることがで
きる。尚、無機質繊維としては、コストが安く、汎用さ
れていることからEガラス組成のガラス繊維を用いるこ
とが特に好ましい。Eガラス組成のガラス繊維は、ミル
ドファイバーやチョップドストランドのような短繊維、
ヤーンやロービングのような連続繊維、マット、織布、
不織布等に加工した形態のものを使用することができ
る。尚、無機質強化材は、質及び形態を適宜選択して、
1種を単独で使用し、又は、2種以上を併用することが
できる。
【0052】上記無機質強化材は、硬化性組成物100
重量部(固形分として)に対して、5〜100重量部を
使用する。無機質強化材の使用量が5重量部未満である
と、化粧無機質系成形品の機械的強度が不十分となり、
一方、無機質強化材の使用量が100重量部を超える
と、強化材に対して組成物が不足するのでマトリックス
が粗となり、やはり化粧無機質系成形品の機械的強度が
不十分となる。尚、無機質強化材の使用量は、硬化性組
成物100重量部に対して15〜80重量部であること
がより好ましい。
【0053】上記無機質強化材の内、アルミナ繊維、珪
素−アルミナ繊維及びウィスカ等は、硬化性組成物に含
有される酸性リン酸金属塩と反応することができ、マト
リックスとの濡れ性又は接着性が比較的良好であるため
に表面処理は必ずしも要しないが、これらを除いた強化
材、特にガラス繊維及びカーボン繊維は、エポキシ樹脂
を含有する表面処理剤を付与されていることが好まし
い。エポキシ樹脂は、リン酸化合物と相溶性が良く、
又、リン酸化合物と容易に反応するので、上記ガラス繊
維及びカーボン繊維にエポキシ樹脂を含有する表面処理
剤を付与することにより、マトリックスとガラス繊維又
はカーボン繊維との濡れ性又は接着性が向上し、得られ
る成形品の機械的強度等が良好となる。
【0054】表面処理剤に使用するエポキシ樹脂として
は、芳香族ポリグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂
肪族ポリグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂肪族ポ
リグリシジルエステル系エポキシ樹脂等を使用すること
ができる。特に制限はないが、硬化性組成物を硬化させ
るために加熱するので、表面処理剤の耐熱性という観点
から、芳香族ポリグリシジルエーテル系エポキシ樹脂を
用いることが好ましく、その中でも、フェノールノボラ
ックポリグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、クレゾー
ルノボラックポリグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、
ビスフェノールAジグリシジルエーテル系エポキシ樹脂
を用いることが特に好ましい。
【0055】又、上記表面処理剤が含有するエポキシ樹
脂以外の成分については、特に制限がないが、硬化性組
成物を硬化させるために加熱するので、エポキシ樹脂以
外の成分は熱可塑性ではないことが好ましい。なぜなら
ば、熱可塑性の成分を使用すると、加熱硬化時に無機質
強化材に付与された表面処理剤が流動して、硬化性組成
物と無機質強化材との界面での接着を損なう場合がある
からである。尚、表面処理剤のエポキシ樹脂以外の成分
として好ましいものとしては、エポキシ架橋ポリ酢酸ビ
ニル、又は、ウレタン架橋ポリ酢酸ビニルが挙げられ
る。
【0056】上記表面処理剤は、表面処理剤を付与され
た無機質強化材の重量を基準にして、固形分として0.
5〜1.5重量%となる量を付与することが好ましい。
表面処理剤の付与量が0.5重量%未満であると、硬化
性組成物と無機質強化材との濡れ性又は接着性を向上さ
せる効果が十分でなく、一方、表面処理剤の付与量が
1.5重量%を超えても、界面での接着性に対する改良
効果が付与量の割には観察されず、反って不経済とな
る。
【0057】本発明おいて使用される熱硬化性樹脂を主
成分としたシート状の化粧材とは、熱硬化性樹脂を常法
にしたがってシート状に成形したものである。
【0058】上記化粧材を得る際の熱硬化性樹脂として
は、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を
使用することができ、これらの中でも、化粧材としての
汎用性が高く、化粧材に優れた耐候性、平滑性、光沢性
を付与することができる点で、メラミン樹脂を使用する
ことが好ましい。尚、上記の熱硬化性樹脂に対しては、
必要に応じて、顔料等の着色剤、充填材剤、潤滑剤、レ
ベリング剤等の添加剤を配合して樹脂組成物として使用
することもできる。
【0059】又、化粧材を構成する熱硬化性樹脂は、硬
化が完了した状態であっても、シートとして取り扱うこ
とができる程度の半硬化状態のものであってもよく、後
者のようにした場合は、化粧材を積層する対象である半
硬化材料の形状が、曲面部分や角部を有する比較的複雑
な場合であっても、その形状になじませやすく、化粧材
と半硬化材料との接着強度をより高めることができ、
又、熱硬化性樹脂を加熱硬化させるためだけの工程を省
略することができる点から好ましい。
【0060】又、上記化粧材は、熱硬化性樹脂又はそれ
に添加剤を配合した樹脂組成物を単体でシート状に成形
したものであってもよいが、化粧材の強度が高く、取り
扱い性が良好である点から、有機繊維又は無機繊維から
なる紙或いは不織布に、熱硬化性樹脂又はそれに添加剤
を配合した樹脂組成物を含浸させて作製した化粧材を用
いることが好ましい。
【0061】上記化粧材は、シート状に成形した熱硬化
性樹脂に対して、常法にしたがって意匠性を付与するこ
とによって得られるものであるが、この方法に特に制限
はなく、例えば、熱硬化性樹脂に着色剤を配合する方法
や、シート状に成形した熱硬化性樹脂に印刷によって色
彩や模様を付与する方法、印刷等によって色彩や模様を
付与した紙又は不織布に熱硬化性樹脂或いはそれに添加
剤を配合した樹脂組成物を含浸させる方法を挙げること
ができる。
【0062】更に、上記化粧材の厚さには特に制限はな
いが、例えば、厚さ0.1〜2mmのものを使用するこ
とができる。又、構成する熱硬化性樹脂が異なる2種類
以上の化粧材を積層して使用してもよい。
【0063】尚、本発明においては、化粧無機質系成形
品の軽量化や低コスト化等を目的に、硬化性組成物に各
種添加剤を添加することも可能である。このような添加
剤としては軽量骨材、充填剤等を使用することができ
る。
【0064】上記軽量骨材としてはシラスバルーン、ガ
ラスバルーン、パーライト等を、充填剤としては酸性酸
化物を主成分とする珪砂、シリカフューム、ガラス粉、
クレイ等を例示することができ、これらの材料は、それ
ぞれの目的に合わせて適宜選択し、適当量を使用すれば
良い。
【0065】本発明の化粧無機質系成形品の製造方法
は、上記のような組成物、材料や化粧材を用い、以下の
(1)乃至(4)の工程により構成され、夫々の工程の
態様は特に制限されないが、以下のように具体例を示す
ことができる。
【0066】(1)この第1工程では、酸性リン酸金属
塩水溶液、その硬化剤及び尿素を所定の割合で混合し
て、硬化性組成物を得る。この際の混合方法に特に制限
はなく、又、必要に応じて各種添加剤を添加することが
できる。
【0067】(2)この第2工程では、第1工程で得ら
れた硬化性組成物と無機質強化材とを所定の割合で複合
させて、次工程で所望の形状に成形するための成形用材
料を得る。尚、硬化性組成物と無機質強化材とを複合さ
せる方法としては、以下の〔1〕〜〔4〕に例示する方
法の中から、次工程で採用する成形法や得られる化粧無
機質系成形品の用途等によって、適宜選択することがで
きるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0068】〔1〕マット状の無機質強化材を使用し、
硬化性組成物の浴中にマット状強化材を浸漬しつつ引き
抜きながら、組成物をマット状強化材に含浸、付着させ
る方法。 〔2〕硬化性組成物を予めある程度粘度の高い状態にし
ておき、樹脂フィルム等のキャリア材の表面に塗布し、
塗布された組成物の上に、ロービングを所定の長さにカ
ットしつつ、又は、予めカットしてあるチョップドスト
ランドを撒き、その上からキャリア材を介して圧縮装置
で圧縮して強化材であるカットしたロービングまたはチ
ョップドストランドに組成物を含浸させる方法。 〔3〕ガラス繊維強化プラスチックを製造する際に採用
されているような、ハンドレイアップ法やスプレーアッ
プ法により、プラスチック(樹脂)に換えて硬化性組成
物を用いる方法。 〔4〕無機質強化材として、ウィスカ、又は、ミルドフ
ァイバーやチョップドストランドのような短繊維状の無
機質繊維を使用し、ニーダー等の分散混合機を用いて硬
化性組成物と無機質強化材とを混練させる方法。 尚、上記〔3〕の方法においては、硬化性組成物と無機
質強化材である無機質繊維との複合を、所望の形状の金
型の上で行い、成形用材料の成形も併せて行うことが好
ましい。
【0069】必須ではないが、次工程までの成形用材料
の取扱い性を良好にし、且つ、成形や硬化を完了させる
際に気化する水分の量を抑えて、内部の水の急激な気化
よる成形品の膨張を防ぐ目的で、成形用材料が含有する
の水分の量を成形用材料に対して5〜10重量%になる
ように調整してもよい。ただし、第1工程で硬化性組成
物を得る際、その水分量を低減することが可能であれ
ば、この工程を必要とせず、又、第2工程の〔3〕の方
法で硬化性組成物と無機質繊維との複合及び成形を行っ
た場合には、硬化性組成物中の水分のほとんどが気化す
るまで乾燥させた後、脱型することが好ましい。尚、上
記の範囲に成形用材料の水分を調整するには、80〜1
10℃の温度で2〜8時間加熱して乾燥させることが好
ましい。
【0070】(3)この第3工程では、前工程で得た成
形用材料を、得られる成形品の用途等によって適宜設定
した、板状、波板状、凹凸形等の所望の形状に成形して
半硬化材料を得る。尚、成形用材料の成形は、有型プレ
ス装置、平板プレス装置、ベルトプレス装置、ロールプ
レス装置等の、加圧のみ又は加圧と加熱とを同時にでき
る装置によって行うことができる。又、第2工程の
〔4〕の方法で得られる成形用材料は、ガラス繊維強化
プラスチックを製造する際に採用されているようなトラ
ンスファー成形法によって成形が可能である。
【0071】(4)この第4工程では、前工程で得た半
硬化材料と化粧材とを積層した後、両者を積層した状態
で加熱して、半硬化材料が含有する酸性リン酸金属塩と
その硬化剤とを完全に反応させることによって半硬化材
料の硬化を完了させると共に、半硬化材料に含有される
硬化性組成物の接着力によって、硬化した半硬化材料と
化粧材とを接合一体化して化粧無機質系成形品を得る。
【0072】上記第4工程では、尿素が分解して外部へ
放出されるように、120℃以上の温度まで半硬化材料
を加熱する必要がある。又、半硬化材料と化粧材とを積
層した状態で加熱する際には、無加圧状態であっても加
圧状態であってもよいが、両者の接着状態や得られる化
粧無機質系成形品の表面状態を良好にするために、5〜
50kg/cm2程度の圧力で加圧しつつ加熱すること
が好ましい。
【0073】又、半硬化材料を加熱する条件としては、
120〜200℃の加熱機中で、おおよそ1〜8時間加
熱することが好ましい。半硬化材料を120℃未満の温
度で加熱した場合には、尿素が半硬化材料の内部に残っ
て反応を阻害するので、硬化が不完全となって、得られ
る成形品の耐水性や機械的強度が不十分となる。
【0074】更に、硬化性組成物に配合する酸性リン酸
金属塩として第一リン酸金属塩を使用した場合には、第
一リン酸金属塩とその硬化剤とを充分に反応させること
によって、得られる化粧無機質系成形品の耐水性等の物
性の低下を防ぐために、150℃以上の温度で半硬化材
料を加熱することが好ましく、具体的には、150〜2
00℃の加熱機中でおおよそ1〜8時間加熱することが
好ましい。
【0075】尚、上記した化粧無機質系成形品の製造方
法の各工程は、本発明製造方法の第一を示した例であ
り、本発明製造方法の第二においては、上記第4工程に
おけるように半硬化材料と化粧材とを積層するのではな
く、上記第2工程において得られた成形用材料と化粧材
とを積層した後、両者を積層した状態で上記第3工程と
同様の要領で所望の形状に成形して半硬化材料とし、こ
の半硬化材料を上記第4工程と同様の要領で加熱して、
半硬化材料の硬化を完了させると共に、半硬化材料と化
粧材とを接合一体化して化粧無機質系成形品を得る。
【0076】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって更に詳細に
説明する。
【0077】実施例1 まず、酸性リン酸金属塩としての第一リン酸アルミニウ
ム100重量部と、その硬化剤としてのウォラストナイ
ト(平均粒子径:10μm)3重量部、水酸化アルミニ
ウム(平均粒子径:50μm)2重量部、水酸化アルミ
ニウム(平均粒子径:10μm)15重量部、酸化アル
ミニウム(平均粒子径:60μm)10重量部、酸化ア
ルミニウム(平均粒子径:15μm)20重量部、及
び、酸化アルミニウム(平均粒子径:3.7μm)70
重量部と、反応抑制剤としての尿素2重量部とをデイゾ
ルバーによって混合して硬化性組成物を得た。尚、上記
量比はすべて固形分としての量を示している。
【0078】又、エポキシ当量が450g/eqのエポ
キシ樹脂5重量%、エポキシ架橋ポリ酢酸ビニル5重量
%、及び、イオン交換水90重量%を混合して得た表面
処理剤を、Eガラス組成の連続ガラス繊維に付与して加
熱乾燥させた後、長さ50mmに切断して無機質強化材
として用いるガラスチョップドストランドを得た。尚、
上記の表面処理剤を付与された連続ガラス繊維の重量を
基準にして、固形分として1重量%付着しているように
表面処理を施した。
【0079】更に、印刷によって白を基調とした模様を
付与したセルロース繊維系の紙に、メラミン樹脂を含浸
させて、厚さ0.5mm、密度1.2g/cm3のシー
ト状の化粧材を得た。尚、化粧材におけるメラミン樹脂
は半硬化状態とした。
【0080】次に、キャリア材であるPET(ポリエチ
レンテレフタレート)樹脂フィルムの表面に上記硬化性
組成物を塗布し、その上に上記ガラスチョップドストラ
ンドを撒いて強化材の層を形成させ、更にその上に上記
硬化性組成物を表面に塗布したPET樹脂フィルムを、
組成物を塗布した面が強化材の層に接するように載置し
た後、メッシュベルトプレス装置で挟んで圧縮して、ガ
ラスチョップドストランドからなる強化材の層に硬化性
組成物を含浸させて両者を複合させ、シート状の成形用
材料とした。この成形用材料を温度80℃の乾燥機の中
で加熱乾燥させ、成形用材料が含有する水分量が成形用
材料に対して5重量%程度となるように調整した。尚、
上記の成形用材料の作製においては、固形分としての量
比が、硬化性組成物100重量部に対してガラスチョッ
プドストランド40重量部となるように調整した。
【0081】続いて、上記成形用材料を平板プレス装置
を用いて、温度120℃、圧力35kg/cm2、加圧
時間5分間の条件で加圧成形し、平板状の半硬化材料を
得た。この半硬化材料から両面のキャリア材を剥がした
ものと上記の化粧材との各1枚を積層して、平板プレス
装置を用いて温度200℃、圧力30kg/cm2、加
圧時間70分間の条件で加熱加圧し、半硬化材料の硬化
を完了させると共に、化粧材と半硬化材料とを接合一体
化させた後、加圧を解除してから自然冷却し、平板状の
化粧無機質系成形品を得た。尚、この化粧無機質系成形
品の全体の厚さは2.5mm、無機質部分の密度は1.
8g/cm3であった。
【0082】実施例2 まず、酸性リン酸金属塩としての第二リン酸アルミニウ
ム100重量部と、その硬化剤としてのウォラストナイ
ト(平均粒子径:10μm)3重量部、水酸化アルミニ
ウム(平均粒子径:50μm)2重量部、水酸化アルミ
ニウム(平均粒子径:10μm)5重量部、酸化アルミ
ニウム(平均粒子径:60μm)5重量部、酸化アルミ
ニウム(平均粒子径:15μm)30重量部、及び、酸
化アルミニウム(平均粒子径:3.7μm)70重量部
と、反応抑制剤としての尿素2重量部とをディゾルバ−
によって混合して硬化性組成物を得た。尚、上記量比は
すべて固形分としての量を示している。次に、実施例1
と同様のガラスチョップドストランド及び化粧材を用い
て、半硬化材料を加熱加圧する温度を140℃とした以
外は実施例1と同様の方法及び条件によって、平板状の
化粧無機質系成形品を得た。尚、この無機質系成形品の
全体の厚さは2.5mm、無機質部分の密度は1.8g
/cm3であった。
【0083】実施例3 実施例1と同様にして得た成形用材料から両面のキャリ
アフィルムを剥がしたものと、実施例1と同様の化粧材
との各1枚を積層して、平板プレス装置を用いて、温度
120℃、圧力35kg/cm2、加圧時間5分間の条
件で両者を積層した状態で加圧成形し、化粧材が積層さ
れた平板状の半硬化材料を得た。この半硬化材料を、平
板プレス装置を用いて温度200℃、圧力30kg/c
2、加圧時間70分間の条件で加熱加圧し、半硬化材
料の硬化を完了させると共に、化粧材と半硬化材料とを
接合一体化させた後、加圧を解除してから自然冷却し、
平板状の化粧無機質系成形品を得た。尚、この無機質系
成形品の全体の厚さは2.5mm、無機質部分の密度は
1.8g/cm3であった。
【0084】比較例 実施例と同様の半硬化材料を、平板プレス装置を用いて
温度200℃、圧力30kg/cm2、加圧時間70分
間の条件で加熱加圧し、半硬化材料の硬化を完了させた
後、加圧を解除してから自然冷却し、平板状の無機質系
成形品を得た。又、実施例と同様の化粧材を温度120
℃で60分間加熱して、メラミン樹脂を硬化させて常温
まで冷却した。エポキシ樹脂系接着剤を用いて、上記の
無機質系成形品と上記の樹脂を硬化させた化粧材とを接
着一体化して、平板状の化粧無機質系成形品を得た。
尚、この化粧無機質系成形品の全体の厚さは2.5m
m、無機質部分の密度は1.8g/cm3であった。
【0085】試験例 実施例1〜3及び比較例の化粧無機質系成形品のそれぞ
れについて、プロパンガスを燃料としたブンゼンバーナ
ーを用いて、バーナーの先端から20cm離した位置
で、化粧無機質系成形品の化粧材側の表面を火炎に30
秒間さらし、その後の表面の状態を観察する方法によっ
て、耐炎性に関する評価を行った。
【0086】結果 実施例1、2及び3の化粧無機質系成形品では、バーナ
ーの火炎にさらされた部分の化粧材は炭化したが、火炎
にさらされていない部分へは類焼しなかった。又、火炎
にさらされた部分も含めて化粧材は無機質部分から剥離
しなかった。これに対し、比較例の無機質系成形品で
は、バーナーの火炎にさらされた部分では化粧材が無機
質部分から剥離して、接着剤の層を含めた有機質の部分
の厚さが大きくなり、火炎にさらされていない部分へも
火炎を発して類焼した。又、化粧材の剥離は火炎にさら
されていない部分へも広がった。
【0087】上記の結果から、本発明の製造方法によっ
て得られた実施例1、2及び3の化粧無機質系成形品は
耐炎性が良好であるのに対して、接着剤を用いて化粧材
を貼付した比較例の化粧無機質系成形品は耐炎性に劣っ
ていることが分かる。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
硬化性組成物と無機質強化材とを複合した成形用材料を
所望の形状に成形して得た半硬化材料を、熱硬化性樹脂
を主成分としたシート状の化粧材と積層した状態で加熱
することによって、半硬化材料の硬化を完了させると共
に、化粧材を構成する熱硬化性樹脂に対する硬化性組成
物の優れた接着性を利用して、接着剤を用いることなく
半硬化材料と化粧材とを接合一体化するので、火炎にさ
らされた場合においても類焼しないので耐炎性に優れ、
且つ、平板のような形状が単純なもののみならず、曲面
部分や角部を有する比較的に形状が複雑なものであって
も、両者の接合強度が高く、しかも化粧材の剥離という
問題が発生しない、意匠性に優れた化粧無機質系成形品
を得ることができる。
【0089】又、硬化性組成物に尿素を比較的少ない特
定量で添加したので、加熱硬化の最中に組成物が膨張し
たり、得られた成形品にボイドができたり、成形品の耐
水性が低下したりすることがない。
【0090】又、本発明の製造方法によって得られた無
機質系成形品は、従来のものに比べて、優れた意匠性、
機械的強度、耐水性、耐熱性、難燃性及び耐炎性を有し
ているので、旅客車両又は建築物等の内装材として用い
ることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 1/00 C09D 1/00 Fターム(参考) 4F100 AA01A AA04A AA19H AC10H AD11A AG00A AH02A AH03A AK01B AK22 AK36B AK53A BA02 CA02A DG03A DG10 DH01A EA061 EH012 EH461 EJ082 EJ181 EJ201 EJ202 EJ421 EJ422 EJ821 EJ911 GB08 GB33 HB00B JB07 JB12A JB13B JJ03 JJ07 JK01 JK06 JL04 YY00A YY00H 4J038 AA011 HA116 HA126 HA196 HA206 HA216 HA246 HA416 HA456 HA526 HA536 HA556 JB24 KA03 NA04 NA11 NA14 NA15 PB05 PC03 PC10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の各工程を含むことを特徴とする化
    粧無機質系成形品の製造方法。 (1)酸性リン酸金属塩100重量部、その硬化剤80
    〜200重量部及び尿素0.1〜10重量部を含有する
    硬化性組成物を得る工程、(2)前記硬化性組成物10
    0重量部と無機質強化材5〜100重量部とを複合させ
    て成形用材料を得る工程、(3)前記成形用材料を所望
    の形状に成形して半硬化材料を得る工程、並びに、
    (4)熱硬化性樹脂を主成分としたシート状の化粧材と
    前記半硬化材料とを積層した後、両者を積層した状態で
    120℃以上の温度で加熱して前記半硬化材料の硬化を
    完了させると共に、前記化粧材と硬化後の前記半硬化材
    料とを一体化する工程。
  2. 【請求項2】 以下の各工程を含むことを特徴とする化
    粧無機質系成形品の製造方法。 (1)酸性リン酸金属塩100重量部、その硬化剤80
    〜200重量部及び尿素0.1〜10重量部を含有する
    硬化性組成物を得る工程、(2)前記硬化性組成物10
    0重量部と無機質強化材5〜100重量部とを複合させ
    て成形用材料を得る工程、(3)熱硬化性樹脂を主成分
    としたシート状の化粧材と前記成形用材料とを積層した
    後、両者を積層した状態で所望の形状に成形して半硬化
    材料を得る工程、並びに、(4)前記半硬化材料を12
    0℃以上の温度で加熱して前記半硬化材料の硬化を完了
    させると共に、前記化粧材と硬化後の前記半硬化材料と
    を一体化する工程。
  3. 【請求項3】 前記成形用材料を所望の形状に成形する
    前に、その水分含有量が5〜10重量%となるように調
    整する工程を更に含む請求項1又は2に記載の化粧無機
    質系成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記化粧材を構成する熱硬化性樹脂が、
    半硬化状態のものである請求項1〜3のいずれかに記載
    の化粧無機質系成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記化粧材を構成する熱硬化性樹脂が、
    メラミン樹脂を主成分としたものである請求項1〜4の
    いずれかに記載の化粧無機質系成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記無機質強化材が、エポキシ樹脂を含
    有する表面処理剤を付与されたガラス繊維又はカーボン
    繊維である請求項1〜5のいずれかに記載の化粧無機質
    系成形品の製造方法。
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