JP2002201081A - 軽量無機質系成形品及びその製造方法 - Google Patents

軽量無機質系成形品及びその製造方法

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JP2002201081A JP2000397232A JP2000397232A JP2002201081A JP 2002201081 A JP2002201081 A JP 2002201081A JP 2000397232 A JP2000397232 A JP 2000397232A JP 2000397232 A JP2000397232 A JP 2000397232A JP 2002201081 A JP2002201081 A JP 2002201081A
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Koichi Shino
浩一 示野
Akira Inoue
顕 井上
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Asahi Fiber Glass Co Ltd
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    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
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    • C04B28/34Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing cold phosphate binders
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 不燃性、耐炎性及び軽量性に優れ、且つ、機
械的強度や耐水性にも優れた無機質系成形品及びその製
造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の軽量無機質系成形品は、酸性リ
ン酸金属塩(A)及び酸性リン酸金属塩の硬化剤(B)
を含有する硬化性組成物が反応、硬化してなるマトリッ
クスと、無機質繊維(C)とで構成される無機質系成形
品であって、前記無機質繊維(C)同士が前記マトリッ
クスによって互いに接着され、且つ、前記無機質繊維
(C)同士の間に空隙部が存在することによって全体と
して多孔質となっていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築用材料、土木
用材料及び産業用材料として好適な、不燃性、耐炎性及
び軽量性に優れ、且つ、機械的強度や耐水性にも優れた
無機質系成形品及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、下地材やコンクリート型枠を
始めとする建築用材料や土木用材料として、種々の軽量
複合材が提案されている。
【0003】例えば、特公平8−6235号公報には、
連続ガラス繊維束よりなるマット状物と該マット状物に
含浸した熱可塑製樹脂とから形成されている軽量複合材
が開示されていて、この複合材においては、マット状物
の弾性反撥力によって形成された多数の空隙部を繊維束
同士の間に存在させることによって、軽量化が図られて
いる。
【0004】しかしながら、上記特公平8−6235号
公報に記載された軽量複合材は、可燃性の材料である熱
可塑性樹脂を用いているために、難燃性や耐炎性を要求
される用途には使用できないという問題を有していた。
【0005】一方、建築用材料、耐火材料、耐熱材料と
して使用することができる無機質系材料として、ポルト
ランドセメント系の水硬化性セメントを用いたセメント
系材料や、リン酸及び/又はリン酸塩と各種金属化合物
とを含有する硬化性組成物を硬化させて得た無機質系材
料、更にこの無機質系材料を強化材で強化した各種の板
材や成形品が提案されている。
【0006】上記のセメント系材料や無機質系材料は、
不燃性や耐炎性には優れているものの、密度が高くな
る、即ち重量が大きくなる傾向にあり、従って、軽量性
が要求される用途に使用する場合には、これらの材料に
軽量骨材を含有させるか、発泡剤を用いることによって
これらの材料を多孔質材料(発泡体)とするかの何れか
の方法によって、軽量化が図られていた。
【0007】具体的には、上記無機質系材料において
は、例えば特開昭64−37477号公報には、粘土3
0〜80重量部、軽量骨材20〜70重量部及びリン酸
塩系バインダー1〜30重量部を配合した耐火性軽量硬
化体が開示されている。
【0008】又、特開平4−83771号公報には、リ
ン酸類の金属塩、ホウ酸の金属塩及び/又はアルミン酸
類の金属塩、並びに、必要により多価金属水酸化物及び
/又は多価金属炭酸塩から誘導される無機質多孔体が開
示されており、発泡剤として金属炭酸塩等を用いること
も開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、多孔質
材料(発泡体)の破壊荷重(強度)は、その材料の密度
や厚さと密接な関係があるので、破壊荷重がより大きい
多孔質材料を得ようとすると、密度を高くしたり、厚さ
を厚くする必要がある。このため、破壊荷重が大きく、
且つ、密度が低い又は厚さが薄い多孔質材料を得ること
は困難である。
【0010】又、上記のような方法で軽量化した無機質
材料を構成する基材は、樹脂のような有機質の基材と比
較して脆い性質を有している。このため、多孔質材料の
セル構造の壁部を構成している部分や、軽量骨材の粒子
同士の接着に寄与している部分のように、基材が薄膜状
で存在するような部位がある場合、当該部位に外力がか
かると、簡単に破壊してしまったり、表面層が部分的に
容易に剥がれ落ちでしまったりするという問題がある。
【0011】更に、上記多孔質材料を建築用材料又は土
木用材料として用いる場合、その取り扱い方法や施工方
法によっては、局部的に圧縮されることにより部分的な
破壊や陥没が生じたり、釘打ちなどの衝撃を隅部に受け
た際に欠け落ちてしまう、いわゆる「角欠け」が生じる
という問題を有していた。
【0012】更に又、水硬化性セメントを用いたセメン
ト系材料は、硬化後においても内部に水和水を含有して
おり、この水和水が気化する温度以上に加熱されると、
外部へ逃げようとする水和水の圧力によって材料に亀裂
が発生するという問題と、長時間水に接触していると機
械的強度が低下する、即ち耐水性が低いという問題とを
有していた。
【0013】従って、本発明の目的は、上記従来技術の
問題点を解消し、不燃性、耐炎性及び軽量性に優れ、且
つ、機械的強度や耐水性にも優れた無機質系成形品及び
その製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
になされた本発明の軽量無機質系成形品の構成は、酸性
リン酸金属塩(A)及び酸性リン酸金属塩の硬化剤
(B)を含有する硬化性組成物が反応、硬化してなるマ
トリックスと、無機質繊維(C)とで構成される無機質
系成形品であって、前記無機質繊維(C)同士が前記マ
トリックスによって互いに接着され、且つ、前記無機質
繊維(C)同士の間に空隙部が存在することによって全
体として多孔質となっていることを特徴とするものであ
る。
【0015】本発明の軽量無機質系成形品は、酸性リン
酸金属塩(A)及びその硬化剤(B)を含有する硬化性
組成物が反応、硬化してなるマトリックスによって、無
機質繊維(C)同士が互いに接着されているため、無機
質繊維(C)が強化材として十分機能することにより、
機械的強度に優れており、且つ、無機質繊維(C)同士
の間、すなわち成形品の内部に多数の空隙部が存在する
ために全体として多孔質となっており、かさ密度が低く
なるので、軽量でもある。また、本発明の軽量無機質系
成形品は、ほとんどが無機質成分で構成されるので、不
燃性や耐炎性にも優れており、更に、従来のセメント系
材料のような耐水性が低いという問題はない。
【0016】本発明の軽量無機質系成形品においては、
そのかさ密度が0.5〜1.2g/cm3であることが
好ましく、かさ密度がこの範囲であれば、機械的強度と
軽量性とのバランスが良く、各種用途において実用的で
ある。
【0017】本発明の軽量無機質系成形品においては、
前記硬化性組成物として、更に尿素(D)を酸性リン酸
金属塩(A)100質量部に対して0.1〜10質量部
含有するものを使用してもよい。尿素は、酸性リン酸金
属塩とその硬化剤との反応を抑制して、硬化性組成物の
粘度上昇や硬化を遅延させる作用をなす。
【0018】又、尿素は、120℃くらいの温度までは
分解せず、それ以上の温度に加熱されると分解が開始す
るため、硬化性組成物の表面部だけが硬化してしまうの
を防ぎ、内部の水の気化による膨張やクラックの発生が
抑えられるため、得られる軽量無機質系成形品の機械的
強度や外観が損なわれるのを防ぐことができる一方で、
加熱、硬化によって得られた軽量無機質系成形品の内部
に残存せず、耐水性の低下等の悪影響を及ぼすことがな
い。
【0019】又、同じく上記目的を達成するためになさ
れた本発明の軽量無機質系成形品の製造方法の構成は、
酸性リン酸金属塩(A)100質量部、酸性リン酸金属
塩の硬化剤(B)80~200質量部、及び、得られる
組成物が流動するために必要な量の水を混合して硬化性
組成物を得る第1工程と、前記硬化性組成物100質量
部及び無機質繊維(C)の層状物15〜100質量部を
圧縮しつつ複合させて圧縮状態の成形用材料を得る第2
工程と、前記圧縮状態の成形用材料を、所望の間隙を有
する型の中で当該圧縮状態を解除して無機質繊維(C)
の層状物の反発力によって膨張させることにより、全体
として多孔質となるように無機質繊維(C)同士の間に
空隙部を形成させた後、加熱して前記硬化性組成物を反
応、硬化させる第3工程とを含むことを特徴とする。
【0020】本発明の軽量無機質系成形品の製造方法に
よれば、硬化性組成物と圧縮しつつ複合させた後にその
圧縮状態を解除し、無機質繊維(C)の層状物をその反
発力によって膨張させることで、容易且つ均一に無機質
繊維(C)同士の間、すなわち得られる成形品が全体と
して多孔質となるように、その内部に多数の空隙部を形
成させることができる。従って、機械的強度及び軽量性
の両方に優れた本発明の軽量無機質系成形品を、高い生
産性で安定的に製造することができる。
【0021】本発明の軽量無機質系成形品の製造方法に
おいても、前記硬化性組成物として、更に尿素(D)を
酸性リン酸金属塩(A)100質量部に対して0.1〜
10質量部含有するものを使用してもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について実施例に
より更に詳細に説明する。尚、以下の記載においては、
特に断りがない限り、「部」という単位は「質量部」を
意味し、又、「%」という単位は「質量百分率」を意味
する。
【0023】本発明において硬化性組成物とは、酸性リ
ン酸金属塩(A)、その硬化剤(B)、及び、必要に応
じて配合される尿素(D)等のその他の成分を、所定の
比率で含有するものをいう。又、本発明において、マト
リックスとは、主として酸性リン酸金属塩(A)とその
硬化剤(B)とが反応、硬化した部分を意味し、無機質
繊維(C)や空隙部を除いた部分を意味する。
【0024】本発明において使用される酸性リン酸金属
塩(A)とは、リン原子に結合した水酸基を少なくとも
1個有するリン酸金属塩のことであり、第一リン酸金属
塩(リン酸二水素金属塩)、セスキリン酸金属塩及び第
二リン酸金属塩(リン酸水素金属塩)等の総称である。
【0025】上記第一リン酸金属塩としては、例えば第
一リン酸アルミニウム、第一リン酸マグネシウム、第一
リン酸亜鉛等が好ましく用いられ、これらの中でも水に
対する溶解性が良く、又、経済性も良好な点から第一リ
ン酸アルミニウムを用いることがより好ましい。尚、第
一リン酸アルミニウムは、水溶液としてだけではなく固
形状のものも市販されているので、水溶液と固形物とを
組み合わせることで硬化性組成物の硬化前における水分
調整が容易となる。
【0026】又、上記セスキリン酸金属塩としては、例
えばセスキリン酸アルミニウムを、上記第二リン酸金属
塩としては、例えば第二リン酸アルミニウム、第二リン
酸鉄等が好ましく用いられる。尚、このセスキリン酸金
属塩及び第二リン酸金属塩は、第一リン酸金属塩とは異
なり水に対する溶解性が乏しいので、セスキリン酸金属
塩又は第二リン酸金属塩を水に分散させた水分散液とし
て用いることが好ましい。
【0027】上記酸性リン酸金属塩(A)は、硬化性組
成物を無機質繊維(C)と共に成形加工する際の流動性
が良好となり、且つ、得られた成形品の組織を緻密にす
ることができるという点から、固形分が40〜90%の
水溶液又は水分散液として用いることが好ましく、50
〜70%の水溶液又は水分散液として用いることがより
好ましい。更に、酸性リン酸金属塩には前述のように種
々のものがあるので、これらの中から1種を単独で又は
2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0028】本発明において使用される、上記酸性リン
酸金属塩の硬化剤(B)としては、例えば金属水酸化
物、塩基性金属酸化物、塩基性金属酸化物を成分として
含有する複合酸化物及び水和金属塩化物等の金属化合物
を挙げることができ、これらの中から1種を単独で又は
2種以上を組み合わせて使用することができる。これら
の硬化剤は、酸性リン酸金属塩と混合、加熱することに
より、反応、硬化して、軽量無機質系成形品のマトリッ
クスを形成する。
【0029】上記金属水酸化物としては水酸化アルミニ
ウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等を、塩
基性金属酸化物としては酸化アルミニウム、酸化マグネ
シウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム等を、塩基性金属酸
化物を成分として含有する複合酸化物としては珪酸カル
シウム(ウォラストナイト)、アルミン酸カルシウム
(アルミナセメント)、カオリナイト、コーディエライ
ト(2MgO・2Al23・5SiO2)、マグネサイ
ト、タルク等を、水和金属塩化物としては水和塩化アル
ミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化マグネシウム六
水和物等をそれぞれ例示することができる。
【0030】上記硬化剤(B)は、酸性リン酸金属塩
(A)100部(固形分として)に対して、固形分とし
て例えば80〜200部を使用する。硬化剤の使用量が
80部未満では、硬化性組成物を成形、加熱、硬化して
得られた軽量無機質系成形品に酸性リン酸金属塩が残存
してしまい、十分な機械的強度が得られないばかりか、
成形品の耐水性を損なう場合がある。一方、硬化剤の使
用量が200部を超えると、硬化剤に対して酸性リン酸
金属塩が少なくなるため、成形品のマトリックスが粗に
なり、十分な機械的強度が得られない。尚、酸性リン酸
金属塩100部に対して、上記硬化剤を100〜180
部使用することがより好ましい。
【0031】又、後述する本発明の軽量無機質系成形品
の製造方法においては、硬化性組成物の硬化が完了する
以前に、圧縮状態の成形用材料を膨張させることによっ
て、得られる成型品が全体として多孔質となるように無
機質繊維同士の間に空隙部を形成させる必要があるた
め、硬化性組成物の硬化が短時間で完了してしまうこと
は、膨張を阻害するので好ましくない。従って、上記の
硬化剤としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の酸性リン酸
金属塩との反応性が高いものを多量に使用することを避
け、水酸化アルミニウム等の酸性リン酸金属塩との反応
性が緩やかなものを主として使用することが好ましい。
【0032】本発明において使用する無機質繊維(C)
としては、従来の繊維強化複合材で用いられている繊維
強化材と同様のものを使用することができる。しかし、
後述する製造方法によって本発明の軽量無機質系成形品
を製造するに際して、硬化性組成物と無機質繊維とを圧
縮しつつ複合させた圧縮状態の成形用材料を、その圧縮
状態を解除して膨張させることによって、得られる成形
品が全体として多孔質となるように無機質繊維同士の間
に空隙部を形成させるためには、無機質繊維が反発力
(圧縮変形に対する形状の復元力)を有している必要が
ある。このため、無機質繊維は、層状に形成されている
もの、即ち層状物であることが必要である。又、無機質
繊維は、数十本以上のフィラメントが同一方向に集束し
ているものであることが好ましい。
【0033】無機質繊維(C)の層状物としては、連続し
た繊維又は所望の長さに切断した繊維の多数を集積させ
て、結合剤を用いる等の方法によってマット状や不織布
状に予め成形したものを用いてもよいし、或いは、硬化
性組成物と複合させる際に、連続した繊維又は所望の長
さに切断した繊維の多数を堆積させて層状としてもよ
い。
【0034】上記無機質繊維としては、例えばガラス繊
維、セラミック繊維、カーボン繊維等を使用することが
できる。又、上記ガラス繊維のガラス組成としては、A
ガラス、Eガラス、ECRガラス、Sガラス、ARガラ
ス等を例示することができ、上記セラミック繊維として
はアルミナ繊維、珪素−アルミナ繊維、窒化珪素繊維等
を例示することができる。尚、無機質繊維としては、コ
ストが安く、汎用されていることからEガラス組成のガ
ラス繊維を用いることが特に好ましい。
【0035】上記無機質繊維(C)は、硬化性組成物1
00部(固形分として)に対して、15〜100部を使
用する。無機質繊維の使用量が15部未満であると、無
機質繊維の反発力が不十分となって膨張によって生じる
空隙部が少なくなり、無機質成形品の軽量化が困難とな
る場合がある。一方、無機質繊維の使用量が100部を
超えると、無機質繊維に対する硬化性組成物の量が不足
するのでマトリックスが粗となり、無機質繊維同士の接
着力が低下して得られる軽量無機質系成形品の機械的強
度が不十分となる場合がある。尚、無機質繊維の使用量
は、硬化性組成物100部に対して30〜80部である
ことがより好ましい。
【0036】上記無機質繊維の内、アルミナ繊維、珪素
−アルミナ繊維等は、硬化性組成物に含有される酸性リ
ン酸金属塩と反応することができ、マトリックスとの濡
れ性又は接着性が比較的良好であるために表面処理は必
ずしも要しないが、これらを除いた無機質繊維、特にガ
ラス繊維及びカーボン繊維は、酸性リン酸金属塩との反
応性が比較的低いため、例えば、エポキシ樹脂等を含有
する表面処理剤を付与されていることが好ましい。特に
エポキシ樹脂は、酸性リン酸金属塩との相溶性が良好
で、又、酸性リン酸金属塩と容易に反応するので、ガラ
ス繊維及びカーボン繊維にエポキシ樹脂を含有する表面
処理剤を付与することにより、マトリックスとガラス繊
維又はカーボン繊維との濡れ性又は接着性が向上し、得
られる成形品の機械的強度等が良好となる。
【0037】本発明における硬化性組成物は、これを硬
化させるために加熱するので、エポキシ樹脂及びその他
の表面処理剤の成分は熱可塑性ではないことが好まし
い。なぜならば、熱可塑性の成分を使用すると、加熱硬
化時に無機質強化材に付与された表面処理剤が流動し
て、硬化性組成物と無機質強化材との界面での接着を損
なう場合があるからである。尚、表面処理剤のエポキシ
樹脂以外の成分として好ましいものとしては、エポキシ
架橋ポリ酢酸ビニル、又は、ウレタン架橋ポリ酢酸ビニ
ルが挙げられる。
【0038】上記表面処理剤は、表面処理剤を付与され
た無機質繊維の質量を基準にして、固形分として0.5
〜1.5%となる量を付与することが好ましい。表面処
理剤の付与量が0.5%未満であると、硬化性組成物と
無機質繊維との濡れ性又は接着性を向上させる効果が十
分でなく、一方、表面処理剤の付与量が1.5%を超え
ても、界面での接着性に対する改良効果が付与量の割に
は観察されず、反って不経済となる。
【0039】更に、本発明の軽量無機質系成形品におい
ては、硬化性組成物に含有される酸性リン酸金属塩
(A)とその硬化剤(B)との高い反応性を抑制するた
めに、更に尿素(D)を使用することが好ましい。すな
わち、硬化剤と混合する前の酸性リン酸金属塩へ、又
は、酸性リン酸金属塩とその硬化剤とを混合した直後の
混合物へ尿素を添加することにより、尿素の二つのアミ
ノ基と酸性リン酸金属塩の水酸基とが相互作用を起こ
し、酸性リン酸金属塩とその硬化剤との反応が抑制され
て、硬化性組成物の粘度の上昇が抑えられる。その結
果、硬化性組成物の流動性が損なわれないので、硬化性
組成物の無機質繊維への含浸や、硬化性組成物と無機質
繊維とを複合させた成形用材料の所望の形状への成形が
容易となる。
【0040】又、尿素は120℃くらいの温度までは分
解せず、それ以上の温度に加熱されると分解を開始す
る。従って、硬化性組成物の硬化を完了させるために加
熱する場合であっても、硬化性組成物に含まれる水分の
大部分が気化して外部へ放出されるまで、尿素が酸性リ
ン酸金属塩とその硬化剤との反応を抑えているので、硬
化性組成物の表面部だけが硬化してしまうことがなく、
内部の水の気化による膨張やクラックの発生が抑えら
れ、得られる軽量無機質系成形品の機械的強度や外観等
が損なわれることはない。
【0041】従って、本発明において、硬化性組成物に
尿素(D)を添加する場合には、最終的には120℃以
上の温度で加熱して硬化性組成物の硬化を完了させるこ
とが好ましい。この温度であれば、熱によって尿素がア
ンモニアと二酸化炭素とに分解されて外部に放出され、
軽量無機質系成形品に残存することはないので、硬化性
組成物に反応抑制成分としてアミン類等を添加した場合
のように、有機物が無機質系成形品中に残存してその性
能に悪影響を及ぼすようなことはない。又、尿素の熱分
解で生じたアンモニアの一部は、硬化性組成物に含有さ
れる酸性リン酸金属塩に補足されて、酸性リン酸金属塩
とその硬化剤との反応を促進し、硬化性組成物の硬化の
度合いをより高めるので、得られる無機質系成形品の耐
熱性や耐水性が向上する。
【0042】本発明の製造方法において尿素(D)を使
用する場合には、酸性リン酸金属塩(A)100部(固
形分として)に対して0.1〜10部を使用する。使用
量が0.1部未満であると、尿素の反応抑制効果は不十
分であり、使用量が10部を超えると、硬化性組成物を
硬化させるために加熱した際に、尿素が分解して発生す
るアンモニアや二酸化炭素の量が多くなるので、軽量無
機質系成形品のマトリックス中にボイドができてしま
い、その機械的強度等が低くなる。尚、尿素の使用量
は、酸性リン酸金属塩100部(固形分として)に対し
て0.5〜8部であることがより好ましい。
【0043】本発明においては、無機質系成形品の軽量
化や低コスト化を図ったり、成形品に意匠性を付与した
りするために、硬化性組成物に各種添加剤を添加するこ
とも可能である。このような添加剤としては、充填剤、
顔料等を挙げることができ、填剤としては酸性酸化物を
主成分とする珪砂、シリカフューム、ガラス粉、クレイ
等を、顔料としては酸化チタン、酸化亜鉛、フタロシア
ニン、弁柄、マピコ等を例示することができる。尚、こ
れらの材料を添加する場合は、それぞれの目的に合わせ
て適宜選択し、適当量を使用すれば良い。
【0044】一方、本発明の軽量無機質系成形品の製造
方法は、上記の硬化性組成物及び無機質繊維(C)を用
いて、以下に具体例を示したような第1工程、第2工程
及び第3工程により構成されるが、夫々の工程の詳細な
態様は、これに限定されるものではない。
【0045】第1工程:酸性リン酸金属塩(A)、その
硬化剤(B)、水、及び、必要な場合には尿素(D)を
所定の割合で混合して、硬化性組成物を得る。この際、
酸性リン酸金属塩(A)、その硬化剤(B)及び尿素
(D)の使用量については、すでに説明をした通りであ
り、水の使用量については、得られる硬化性組成物が所
望の流動状態となるように調整する。又、各成分を混合
する方法には制限はなく、更に、必要に応じて各種添加
剤を添加することもできる。
【0046】第2工程:第1工程で得られた硬化性組成
物と、無機質繊維(C)の層状物とを所定の割合で圧縮
しつつ複合させて、次工程で所望の形状に成形するため
の圧縮状態の成形用材料を得る。この工程における硬化
性組成物と無機質繊維の層状物の使用量については、す
でに説明をした通りであり、これらを複合させる方法と
しては、以下の(1)又は(2)に例示する方法の中か
ら、適宜選択することができるが、これらの方法に限定
されるものではない。
【0047】(1)無機質繊維の多数をマット状又は不
織布状に予め成形したものを層状物として使用し、硬化
性組成物の浴中に当該無機質繊維を浸漬しつつ引き抜き
ながら、硬化性組成物を当該無機質繊維に含浸又は付着
させる。この際、無機質繊維に対する硬化性組成物の含
浸性を向上させたり、硬化性組成物の付着量を制御する
ために、浴中から引き抜きつつ無機質繊維を2本のロー
ラーで挟圧して両者を複合し、圧縮状態の成形用材料と
することが好ましい。
【0048】(2)硬化性組成物を予めある程度粘度の
高い状態にしておき、樹脂フィルム等のキャリア材の表
面に塗布し、塗布された組成物の上に、無機質繊維のロ
ービングを所定の長さにカットしつつ撒いて集積させて
層状にするか、或いは、予めカットしてある無機質繊維
のチョップドストランドを撒いて集積させて層状にした
後、その上からキャリア材を介して圧縮装置で圧縮して
無機質繊維に硬化性組成物を含浸させ、圧縮状態の成形
用材料とする。
【0049】尚、必須ではないが、次工程までの成形用
材料の取扱い性を良好にし、且つ、成形や硬化を完了さ
せる際に気化する水分の量を抑えて、内部の水の急激な
気化よる成形品の膨張やクラック発生を防ぐ目的で、成
形用材料が含有するの水分の量を成形用材料に対して1
0%以下になるように調整することが好ましい。上記の
範囲に成形用材料が含有する水分の量を調整するには、
80〜110℃の温度の加熱器中で2〜8時間加熱して
乾燥させることが好ましい。
【0050】第3工程:第2工程で得た圧縮状態の成形
用材料を、その圧縮状態を解除して中の無機質繊維の層
状物の圧縮に対する反発力によって膨張させて、無機質
繊維同士の間、すなわち成形用材料の内部に得られる成
形品が全体として多孔質となるように空隙部を形成させ
た後、加熱して硬化性組成物を反応、硬化させて軽量無
機質系成形品を得る。この工程における成形用材料の圧
縮状態を解除して無機質繊維の層状物の反発力によって
膨張させる方法としては、以下の(3)乃至(5)に例
示する方法の中から適宜選択することができるが、これ
らの方法に限定されるものでない。
【0051】(3)マット状又は不織布状に成形された
無機質繊維と硬化性組成物とを上記(1)の方法によっ
て複合させた成形用材料を、成形用材料の厚さより大き
い寸法で、且つ、最終的に得られる軽量無機質系成形品
の厚さと同等の寸法の間隙を有する型の中に載置し、加
熱して硬化性組成物を反応、硬化させる。この場合に
は、無機質繊維と硬化性組成物とを複合させた直後か
ら、成形用材料に含まれる水分が気化して外部へ放出さ
れるに伴って、厚さが型の間隙の寸法と同じになるまで
成形用材料が膨張する。
【0052】(4)成形用材料を、加熱装置が付いた平
板プレス装置を用いて加熱しつつ0.4〜3.0MPa
の圧力で圧縮し、平板状の形状にして表面を平坦にした
後、圧力を解除して、最終的に得られる軽量無機質系成
形品の厚さと同じになるように、平板プレス装置の上型
と下型との面を開放し、無機質繊維の層状物の反発力で
成形用材料を膨張させながら、或いは、成形用材料が完
全に膨張した後、硬化性組成物を硬化させて軽量無機質
系成形品を得る。この場合においても、成形用材料に含
まれる水分が気化して外部に放出されるのに伴って、成
形用材料が膨張する。
【0053】(5)含有する水分量を10%以下にして
形状を保持できるようにした成形用材料を、成形用材料
の厚さより大きい寸法で、且つ、最終的に得られる軽量
無機質系成形品の厚さと同等の寸法の間隙を有する型の
中に載置して、型ごと加熱装置内に投入して加熱する。
加熱する温度を硬化性組成物が硬化を開始する温度未満
に設定することによって、硬化していない成形用材料を
軟化させることができる。成形用材料に含まれる水分が
気化して外部に放出されるのに伴って、成形用材料が軟
化して硬化性組成物による無機質繊維同士の拘束力が弱
まると、無機質繊維の層状物の反発力によって成形用材
料の膨張が開始する。型の間隙の寸法まで成形用材料を
膨張させた後、硬化性組成物が硬化を開始する温度以上
にて加熱し、硬化性組成物の硬化を完了させて軽量無機
質系成形品を得る。この方法の場合の成形用材料を軟化
させる加熱条件としては、80〜120℃の加熱器の中
でおおよそ10分乃至1時間加熱することが好ましい。
【0054】尚、この第3工程における硬化性組成物の
反応、硬化を完了させるための成形用材料を加熱条件
は、120〜200℃の加熱器の中でおおよそ20分乃
至8時間加熱することが好ましい。特に、硬化性組成物
に尿素を添加した場合には、尿素が分解して外部へ放出
されるように、120℃以上の温度まで成形用材料を加
熱する必要がある。成形用材料を120℃未満の温度で
加熱した場合には、尿素が成形用材料の内部に残って反
応を阻害するので、硬化が不完全となって、得られる成
形品の耐水性や機械的強度が不十分となる。
【0055】更に、硬化性組成物に配合する酸性リン酸
金属塩として第一リン酸金属塩を使用した場合には、第
一リン酸金属塩とその硬化剤とを充分に反応させること
によって、得られる軽量無機質系成形品の耐水性等の物
性の低下を防ぐために、150℃以上の温度で成形用材
料を加熱することが好ましく、具体的には、150〜2
00℃の加熱機中でおおよそ1〜8時間加熱することが
好ましい。
【0056】上記に例示した製造方法においては、無機
質繊維の層状物に硬化性組成物を含浸させて圧縮形状の
成形用材料としてから、それに含まれる水分を気化させ
て外部へ放出させるに伴ってその圧縮状態が解除され
て、無機質繊維の層状物の反発力によって成形用材料を
主に厚さ方向に膨張させた後、加熱硬化させている。従
って、これによって得られた本発明の軽量無機質系成形
品は、酸性リン酸金属塩及びその硬化剤を含有する硬化
性組成物が反応、硬化してなるマトリックスによって、
無機質繊維同士が互いに接着されていて、且つ、無機質
繊維同士の間、すなわち成形品の内部に多数の空隙部が
存在することによって、全体として多孔質となってい
る。尚、本発明の軽量無機質系成形品は、機械的強度と
軽量性とのバランスが良く、各種用途において実用的で
ある点から、そのかさ密度が0.5〜1.2g/cm3
であることが好ましい。
【0057】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって更に詳細に
説明する。
【0058】実施例1 まず、酸性リン酸金属塩としての第一リン酸アルミニウ
ム及び第二リン酸アルミニウムを質量比で1:1に混合
した酸性リン酸アルミニウム100部と、その硬化剤と
してのウォラストナイト3部と、同じく水酸化アルミニ
ウム(平均粒子径:50μm)17部と、同じく酸化ア
ルミニウム100部と、反応抑制剤としての尿素2部と
水とをディゾルバーによって混合して硬化性組成物を得
た。尚、上記量比はすべて固形分としての量を示してお
り、得られた硬化性組成物の固形分含有量が約70%と
なるように、配合する水分の量を調整した。
【0059】又、Eガラス組成の連続ガラスフィラメン
トの200本に、エポキシ架橋ポリ酢酸ビニルを含有す
る表面処理剤を付与しつつ集束させて巻き取り、これを
加熱乾燥させて連続ガラス繊維を得た。この連続ガラス
繊維を長さ50mmに切断して無機質繊維として用いる
ガラスチョップドストランドとした。尚、上記の表面処
理剤を付与された連続ガラス繊維の質量を基準にして、
表面処理剤が固形分として1%付着しているように処理
を施した。
【0060】次に、キャリア材であるPET(ポリエチ
レンテレフタレート)樹脂フィルムの表面に上記硬化性
組成物を塗布し、その上に上記ガラスチョップドストラ
ンドを撒いて無機質繊維の層状物を形成させ、更にその
上に上記硬化性組成物を表面に塗布した別のPET樹脂
フィルムを、組成物を塗布した面が無機質繊維の層状物
に接するように載置した後、メッシュベルトプレス装置
で挟んで圧縮して、ガラスチョップドストランドからな
る無機質繊維の層状物に硬化性組成物を含浸させて両者
を複合させ、シート状の成形用材料とした。この成形用
材料を適当な大きさに裁断してから両面のPET樹脂フ
ィルムを剥がしたものを、温度80℃の乾燥機の中で加
熱乾燥させて、成形用材料が含有する水分量を成形用材
料に対して5%程度となるように調整し、目付(単位面
積当たりの質量)が5.2kg/m2の成形用材料を得
た。尚、上記の成形用材料の作製においては、固形分と
しての量比が、硬化性組成物100部に対してガラスチ
ョップドストランド40部となるように調整した。
【0061】続いて、面の寸法が縦1000mm、横1
000mmで、高さ20mmの間隙を有する型を備えた
加熱装置中に、上記の成形用材料の3m2分を重ねるよ
うに置き、110℃の温度で30分間加熱して、型の間
隙の高さを充分に満たすように成形用材料を膨張させ
た。その後、150℃の温度で1時間加熱して硬化させ
て、平板状でかさ密度が0.75g/cm3の軽量無機
質系成形品を得た。
【0062】実施例2 まず、酸性リン酸金属塩としての第二リン酸アルミニウ
ム100部と、その硬化剤としてのウォラストナイト3
部と、同じく水酸化アルミニウム(平均粒子径:50μ
m)7部と、同じく酸化アルミニウム95部と、反応抑
制剤としての尿素2部と水とをディゾルバーによって混
合して硬化性組成物を得た。尚、上記量比はすべて固形
分としての量を示しており、得られた硬化性組成物の固
形分含有量が約70%となるように、配合する水分の量
を調整した。
【0063】又、ガラスチョップドストランドに代え
て、フィラメントの集束本数が120本のシリカ−アル
ミナ繊維を長さ50mmに切断したチョップドストラン
ドを用いた以外は、実施例1と同様の方法及び条件によ
って、平板状でかさ密度が0.75g/cm3の軽量無
機質系成形品を得た。
【0064】実施例3 まず、酸性リン酸金属塩としての第一リン酸亜鉛100
部と、その硬化剤としてのウォラストナイト20部と、
同じく水酸化アルミニウム50部と、同じく酸化アルミ
ニウム15部と、同じく酸化マグネシウム3部と、反応
抑制剤としての尿素2部と水とをディゾルバーによって
混合して硬化性組成物を得た。尚、上記量比はすべて固
形分としての量を示しており、得られた硬化性組成物の
固形分含有量が約70%となるように、配合する水分の
量を調整した。
【0065】次に、実施例1と同様の連続ガラス繊維を
切断せずに集積させて予めマット状に成形したものと、
上記硬化性組成物とを、実施例1と同様の方法及び条件
で複合させて、水分を除去して5%程度の含水量とした
状態での目付が5kg/m2の成形用材料を得た。続い
て、実施例1で使用した加熱装置の型の中に上記の成形
用材料の3m2分を重ねるように置き、100℃の温度
で1時間加熱して、型の間隙の高さを充分に満たすよう
に成形用材料を膨張させた。その後、150℃の温度で
1時間加熱して硬化させて、平板状でかさ密度が0.7
2g/cm3の軽量無機質系成形品を得た。
【0066】比較例1 まず、第一リン酸アルミニウム100部と、その硬化剤
としての水酸化アルミニウム20部と、充填材としての
カオリンクレイ80部と、軽量骨材としてのシラスバル
ーン250部と水とをディゾルバーによって混合して硬
化性組成物を得た。尚、上記量比はすべて固形分として
の量を示しており、得られた硬化性組成物の固形分含有
量が約70%となるように、配合する水分の量を調整し
た。
【0067】続いて、実施例1で使用した加熱装置の型
の中に上記硬化性組成物を注入した後、300℃の温度
で4時間加熱して硬化性組成物を硬化させて、平板状の
軽量無機質系成形品を得た。尚、この軽量無機質系成形
品のかさ密度は0.8g/cm3であった。
【0068】比較例2 まず、ポルトランドセメント100部とシリカヒューム
100部と水120部とをディゾルバーによって混合し
て硬化性組成物を得た。次に、耐アルカリガラス組成で
フィラメントの集束本数が200本の連続ガラス繊維を
集積させて予めマット状に成形したものと、上記硬化性
組成物とを、実施例1と同様の方法及び条件で複合させ
て、目付が5kg/m2の成形用材料を得た。
【0069】続いて、実施例1で使用した加熱装置の型
の中に上記の成形用材料の3m2分を重ねるように置
き、加熱せずに室温のまま24時間養生して硬化させ
て、平板状の軽量無機質系成形品を得た。尚、この軽量
無機質系成形品のかさ密度は0.72g/cm3であっ
た。
【0070】比較例3 まず、不飽和ポリエステル樹脂をスチレンモノマーに溶
解させた樹脂溶液(不飽和ポリエステル樹脂を60%含
有)100部と、難燃剤としての水酸化アルミニウム2
00部と、不飽和ポリエステル樹脂の硬化開始剤として
のt−ブチルペルオキシベンゾエート1部とを混合した
樹脂組成物を得た。次に、硬化性組成物及びガラスチョ
ップドストランドに代えて、上記の樹脂組成物及び実施
例3と同様の連続ガラス繊維のマットを用いて、乾燥工
程を省略した以外は、実施例1と同様の方法によって成
形用材料を得た。
【0071】続いて、実施例1で使用した加熱装置の型
の中に、上記の成形用材料から両面のPET樹脂フィル
ムを剥がしたものを置き、型の間隙の高さを充分に満た
すように成形用材料を膨張させた後、80℃で30分間
放置して硬化させて、平板状でかさ密度が0.75g/
cm3の軽量複合材を得た。
【0072】試験例 実施例1〜3及び比較例1〜2の軽量無機質系成形品、
並びに比較例3の軽量複合材のそれぞれの試料につい
て、次の方法によって耐炎性及び曲げ強さに関する評価
を行った。その結果を表1に示す。
【0073】耐炎性については、プロパンガスを燃料と
したブンゼンバーナーを用いて、バーナーの先端から2
0cm離した位置で試料の表面を火炎に15分間さら
し、その後の試料の表面の状態を観察して、変化の有無
によって評価した。
【0074】曲げ強さについては、各試料から幅40m
m、厚さ20mm、スパン幅200mmの試験片を作製
し、この試験片の曲げ試験を行って破壊荷重測定して評
価した。尚、曲げ試験は、常態及び試験片を水に24時
間浸漬した後について行った。
【0075】
【表1】
【0076】表1の結果から、本発明の軽量無機質系成
形品(実施例1、2及び3)は、耐炎性及び機械的強度
の両方に優れていると言える。これに対し、比較例1の
軽量無機質系成形品は耐炎性には優れている反面、多量
の軽量骨材を用いているために機械的強度に劣っている
ことが分かる。又、比較例2の軽量無機質系成形品は、
常態での機械的強度は良好であるるものの、耐水性及び
耐炎性に劣っていることが分かる。更に、比較例3の軽
量複合材は、機械的強度においては優れている反面、マ
トリックスが有機物である樹脂成分を主としているため
に耐炎性に劣るっていることが分かる。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の軽量無機
質系成形品は、無機質繊維同士が、硬化性組成物が反
応、硬化してなるマトリックスによって互いに接着さ
れ、且つ、前記無機質繊維同士の間に空隙部が存在する
ことによって全体として多孔質となっているので、軽量
で、火炎にさらされた場合においてもクラックや割れが
生じることはないので不燃性及び耐炎性に優れ、且つ、
機械的強度及び耐水性にも優れているので、建築用材
料、工事用材料および産業用材料として用いることがで
きる。
【0078】又、本発明の製造方法によれば、上記のよ
うな優れた性能の軽量無機質系成形品を、高い生産性で
安定的に製造することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年1月9日(2001.1.9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】又、同じく上記目的を達成するためになさ
れた本発明の軽量無機質系成形品の製造方法の構成は、
酸性リン酸金属塩(A)100質量部、酸性リン酸金属
塩の硬化剤(B)80200質量部、及び、得られる
組成物が流動するために必要な量の水を混合して硬化性
組成物を得る第1工程と、前記硬化性組成物100質量
部及び無機質繊維(C)の層状物15〜100質量部を
圧縮しつつ複合させて圧縮状態の成形用材料を得る第2
工程と、前記圧縮状態の成形用材料を、所望の間隙を有
する型の中で当該圧縮状態を解除して無機質繊維(C)
の層状物の反発力によって膨張させることにより、全体
として多孔質となるように無機質繊維(C)同士の間に
空隙部を形成させた後、加熱して前記硬化性組成物を反
応、硬化させる第3工程とを含むことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】上記に例示した製造方法においては、無機
質繊維の層状物に硬化性組成物を含浸させて圧縮状態
成形用材料としてから、それに含まれる水分を気化させ
て外部へ放出させるに伴ってその圧縮状態が解除され
て、無機質繊維の層状物の反発力によって成形用材料を
主に厚さ方向に膨張させた後、加熱硬化させている。従
って、これによって得られた本発明の軽量無機質系成形
品は、酸性リン酸金属塩及びその硬化剤を含有する硬化
性組成物が反応、硬化してなるマトリックスによって、
無機質繊維同士が互いに接着されていて、且つ、無機質
繊維同士の間、すなわち成形品の内部に多数の空隙部が
存在することによって、全体として多孔質となってい
る。尚、本発明の軽量無機質系成形品は、機械的強度と
軽量性とのバランスが良く、各種用途において実用的で
ある点から、そのかさ密度が0.5〜1.2g/cm3
であることが好ましい。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸性リン酸金属塩(A)及び酸性リン酸
    金属塩の硬化剤(B)を含有する硬化性組成物が反応、
    硬化してなるマトリックスと、無機質繊維(C)とで構
    成される無機質系成形品であって、前記無機質繊維
    (C)同士が前記マトリックスによって互いに接着さ
    れ、且つ、前記無機質繊維(C)同士の間に空隙部が存
    在することによって全体として多孔質となっていること
    を特徴とする軽量無機質系成形品。
  2. 【請求項2】 かさ密度が0.5〜1.2g/cm3
    ある請求項1に記載の軽量無機質系成形品。
  3. 【請求項3】 前記硬化性組成物が、更に尿素(D)を
    酸性リン酸金属塩(A)100質量部に対して0.1〜
    10質量部含有するものである請求項1に記載の軽量無
    機質系成形品。
  4. 【請求項4】 酸性リン酸金属塩(A)100質量部、
    酸性リン酸金属塩の硬化剤(B)80~200質量部、
    及び、得られる組成物が流動するために必要な量の水を
    混合して硬化性組成物を得る第1工程と、 前記硬化性組成物100質量部及び無機質繊維(C)の
    層状物15〜100質量部を圧縮しつつ複合させて圧縮
    状態の成形用材料を得る第2工程と、 前記圧縮状態の成形用材料を、所望の間隙を有する型の
    中で当該圧縮状態を解除して無機質繊維(C)の層状物
    の反発力によって膨張させることにより、全体として多
    孔質となるように無機質繊維(C)同士の間に空隙部を
    形成させた後、加熱して前記硬化性組成物を反応、硬化
    させる第3工程とを含むことを特徴とする軽量無機質系
    成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第1工程において、酸性リン酸金属
    塩(A)100質量部に対して更に尿素(D)0.1〜
    10質量部を混合させて前記硬化性組成物とする請求項
    4に記載の軽量無機質系成形品の製造方法。
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