JP2002187761A - 無機質系成形品の製造方法 - Google Patents

無機質系成形品の製造方法

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JP2002187761A JP2000380862A JP2000380862A JP2002187761A JP 2002187761 A JP2002187761 A JP 2002187761A JP 2000380862 A JP2000380862 A JP 2000380862A JP 2000380862 A JP2000380862 A JP 2000380862A JP 2002187761 A JP2002187761 A JP 2002187761A
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清太朗 尾上
Akira Inoue
顕 井上
Koichi Shino
浩一 示野
Toshiyuki Fujie
敏幸 藤江
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Asahi Fiber Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬化にいたるまでの流動性を向上させ、作業
性を良好にするとともに、得られる硬化物の機械的強
度、耐水性に優れた無機質系成形品を得るための製造方
法を提供する。 【解決手段】 リン酸と2価の金属よりなる塩基性の金
属化合物との反応を予め進めた後、加熱下で水酸化アル
ミニウムを均一に混和させた硬化性組成物を使用し、更
に、この硬化性組成物を得る際に、リン酸イオンとそれ
ぞれに含まれる金属イオンの総価数の比を規定して、ク
ラックやボイドがなく、耐水性に優れるうえに、機械的
強度、寸法安定性、耐熱性に優れた無機質系成形品を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、例えば、建築材料、産
業用の構造材や部材などとして好適に用いられる無機質
系成形品の製造方法に関し、詳しくは、従来から汎用さ
れている無機質系材料であるセメント系材料又は珪酸カ
ルシウム系材料と比べて、作業性、成形性を向上させる
とともに、強度、耐水性、耐熱衝撃性、寸法安定性に優
れた無機質系成形品を得るための製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、建築材料や、不燃性が要求される
用途での構造材又は部材として、セメント板、珪酸カル
シウム板等が広く使用されている。しかしながら、セメ
ント系材料及び珪酸カルシウム系材料は、それらの硬化
に水が関与しているために水和水を含有している。した
がって、水和水が気化する温度以上の高温にセメント系
材料及び珪酸カルシウム系材料が曝されると、クラック
が入って寸法が大きく変化したり、強度が著しく低下し
たりすることがある。
【0003】そのような高温においても耐性のある無機
質系の材料として、リン酸及び/又はリン酸塩と各種金
属化合物とを含有する硬化性組成物や、その硬化性組成
物を硬化させて得た無機質系材料が提案されている。ま
た、この無機質系材料に強化材を含浸させて補強した各
種の成形品、構造材及び建築材料も提案されている。
【0004】上記硬化性組成物として、例えば、特公平
2−28547号公報では、Al23、MgO、Ca
O、又はZnO、又はそれらの水和物からなる群から選
んだ少なくとも1種の金属酸化物11〜65重量部とリ
ン酸溶液の重量に基づいて当量の約5〜75重量%の五
酸化リンからなるリン酸溶液約80〜約90重量部と珪
酸カルシウム約100重量部から構成されることを特徴
とする硬質、耐水性のリン酸塩セラミック材料が提案さ
れている。
【0005】又、特開平9−241583号公報では、
水の存在下でリン酸と金属元素源化合物とを反応させて
リン酸塩水溶液を得、該リン酸塩水溶液の水分量を調整
することにより得られる無機系結合剤組成物であって、
該無機系結合剤組成物の組成を P25 + MxOy + H2O に換算して、該無機系結合剤組成物中のP、M、及びH
2Oの量の割合を表すとき、P25の1モルに対し金属
元素が2.8〜3.6当量の範囲内に、H2Oが10〜4
0モルの範囲内にある無機系結合組成物が提案されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、リン酸
及びリン酸金属塩水溶液等のリン酸類と、金属酸化物及
び金属水酸化物等の金属化合物よりなる硬化性組成物に
おいては、使用する金属化合物により、混合後すぐに硬
化反応を開始するものや、混合後全く反応せず、200
℃以上の高温をかける必要のあるものがあり、有機系の
硬化性組成物と比較して硬化反応の制御が難しいという
問題を有している。
【0007】すなわち、前記特公平2−28547号公
報の組成物では、リン酸類と金属化合物とが混合直後か
ら反応を開始するため、硬化性組成物のポットライフが
短く、成形工程における使用に制限がある。
【0008】また、特開平9−241583号公報の組
成物では、ポットライフが長く、成形品として使用が可
能であるが、硬化性組成物中のリン酸類の含有率が高
く、耐水性のある硬化物を得るためには、200℃〜8
00℃の加熱下で1〜2時間の硬化過程を必要とし、エ
ネルギーコストが高く、生産性に劣るという問題を有し
ている。
【0009】したがって、本発明の目的は、上記問題点
に鑑み、硬化にいたるまでの流動性を向上させ、作業性
を良好にするとともに、得られる硬化物の機械的強度、
耐水性に優れた無機質系成形品を得るための製造方法を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の無機質系成形品の製造方法は、以下の
(1)〜(4)の工程を含むことを特徴とする。 (1)P25を10〜80質量%含むリン酸水溶液と、
2価の金属よりなる塩基性の金属化合物より選択される
少なくとも1種とを、それぞれに含まれるリン酸イオン
(PO4 3-)の総価数と、金属イオンの総価数の比
(A1)が、 0.1≦A1≦0.6 となるように混合し反応させ、該反応後に70〜100
℃の加熱下で水酸化アルミニウムを加え、添加後のリン
酸イオン(PO4 3-)の総価数と、金属イオンの総価数
の比(A2)が、 0.7≦A2≦1.2 となるように混合した硬化性組成物を得る工程。(但
し、総価数の比(A1)および(A2)は A1=(M1×n1+M2×n2+M3×n3…)/(P×3) A2=(M0×n0+M1×n1+M2×n2+M3×n3…)/
(P×3) で示され、Pはリン酸水溶液に含まれるリン酸イオンの
モル数、M0は加えた水酸化アルミニウムに含まれる金
属イオンのモル数、M1,M2、…は2価の金属化合物に
含まれる金属イオンのモル数を表し、n0、n1、n2
…は上記金属イオンに対応する各金属イオンの価数を示
す。) (2)前記硬化性組成物の固形分100質量部に対して
強化材5〜100質量部とを複合させて成形用材料を得
る工程。 (3)前記成形用材料に含まれる水分量が10質量%以
上の場合には、10質量%未満となるように調整する工
程。 (4)前記成形用材料を所望の形状に成形し、120〜
200℃の温度で成形する工程。
【0011】ここで、本発明においては、前記の2価の
金属よりなる塩基性の金属化合物が、バリウム、マグネ
シウム、カルシウム、ストロンチウム、亜鉛の金属酸化
物及び金属水酸化物より選択される少なくとも1種であ
ることが好ましい。
【0012】本発明の無機質系成形品の製造方法によれ
ば、リン酸とその硬化剤となる金属化合物の反応を、予
め進めておくことにより、硬化温度の低減あるいは、硬
化時間を短縮するので、成形品の生産性、あるいは成形
時の経済性を向上させることが可能となる。
【0013】また、リン酸とその硬化剤となる金属化合
物の反応を、予め進めておくことにより、組成物の表面
部と内部とでの反応の度合いに大きな差が出来ず、表面
部だけが先に硬化することが無い。更に、反応が進行す
るに従い発生する縮合水(副生成物)の量が低減される。
したがって、加熱により気化した内部の水が容易に外部
に放出され、しかも硬化途中に発生する縮合水の量が少
なくなるために、組成物の硬化の途中でクラックが発生
したり、得られた成形品の内部にボイドが出来たりする
ことがない。
【0014】更に、リン酸と金属化合物の反応を、予め
進めておくことにより、リン酸類の水への溶解性が低下
し、硬化過程での成形材料中の水の表面層への移行に追
随することなく、成形品の内部でも接着強度のあるマト
リックスを形成することが可能となる。
【0015】更に、前記硬化性組成物は強化材との複合
を容易にさせ、さらに上記の特定の割合で複合させたこ
とにより、従来品に比べて、非常に優れた機械的強度、
耐水性、耐熱性、寸法安定性が付与され、建築材料、あ
るいは産業上の耐熱性が要求される様々な構造材や部材
等に使用することが可能となる。
【0016】尚、本発明においては、前記硬化性組成物
の固形分100質量部に対して尿素0.1〜10質量部
を更に含む含むことが好ましい。
【0017】これにより、硬化性組成物の反応が抑制さ
れて粘度の上昇が抑えられ、流動性が損なわれないの
で、強化材への含浸が容易になる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に
説明する。本発明の無機質系成形品の製造方法における
硬化性組成物は、リン酸、及び2価の金属よりなる塩基
性の金属化合物より選択される少なくとも1種とを特定
の量比で反応させた後、更に水酸化アルミニウムを特定
の量比で反応させたものである。
【0019】リン酸水溶液は、P25が10〜80質量
%を含有するものを用いることが好ましく、40〜60
質量%の水溶液を用いることが更に好ましく、これによ
り硬化性組成物を塗料、接着剤、バインダー、成形用材
料として加工する際の流動性が良好となる。前記リン酸
水溶液は、通常市販されている75%リン酸(P25
4質量%含有)、89%リン酸(P2564質量%含
有)を用いるか、前記リン酸、ポリリン酸(P25
5.3質量%含有)、五酸化リンを水により希釈するこ
とにより得ることができる。
【0020】P25の含有量が10質量%未満である
と、2価の金属よりなる金属化合物及び水酸化アルミニ
ウムとの反応後に得られる硬化性組成物に含まれる水分
量が多くなり、乾燥・硬化に要する時間が長くなり、上
記用途で使用する際の生産性を損ねるうえに、硬化過程
で製品に膨れやクラックが発生しやすくなり好ましくな
い。また前記含有量が80質量%を超えると、金属化合
物との反応の際に、反応が急速に進行し、部分的に水不
溶性の固形物が発生する場合があり、硬化性組成物の流
動性を損なう場合があり好ましくない。
【0021】次に、本発明においては、リン酸水溶液
と、2価の金属よりなる塩基性の金属化合物とを予め反
応させることにより、直鎖状の酸性リン酸金属塩を形成
する。このため、3価の金属よりなる塩基性の金属化合
物とを予め反応させた場合と比較して、酸性リン酸金属
塩同士の絡み合いが少なくなり、含有する水の量が少な
くても粘度を低く抑えられ、その結果得られる硬化性組
成物の粘度上昇を抑えることが可能となる。
【0022】本発明で使用する2価の金属よりなる塩基
性の金属化合物としては、バリウム、マグネシウム、カ
ルシウム、ストロンチウム、亜鉛の金属酸化物、金属水
酸化物、及び金属炭酸塩等が挙げられ、これらを単独あ
るいは複数併用することができる。このうち、金属酸化
物あるいは金属水酸化物を用いることが好ましく、なか
でも酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、
水酸化バリウムを用いることがより好ましい。
【0023】本発明においては使用する上記金属化合物
の量は、リン酸イオン(PO4 3-)の総価数と、金属イ
オンの総価数の比(A1)が、 0.1≦A1≦0.6 の範囲となるように混合することを特徴とするが、更に 0.25≦A1≦0.5 であることが好ましい。
【0024】ここで、A1はリン酸イオンの総価数に対
する総金属イオンの総価数の比であり以下で定義され
る。 A1=(M1×n1+M2×n2+M3×n3…)/(P×3) (但し、Pはリン酸水溶液に含まれるリン酸イオンのモ
ル数、M1,M2、…は2価の金属化合物に含まれる金属
イオンのモル数を表し、n1、n2、…は上記金属イオン
に対応する各金属イオンの価数である。) リン酸イオンの総価数に対する総金属イオンの総価数の
比(A1)が、0.1未満であると、リン酸と2価の金属
イオンが反応して形成される直鎖状のリン酸金属塩の含
有する比率が減少し、後から混合される水酸化アルミニ
ウムと反応する成分が増加して、得られる硬化性組成物
の粘度が上昇し、流動性に欠けたものになる。更に、硬
化性組成物を硬化して得られる硬化物中におけるリン酸
の水酸基の残存する割合が高くなり、耐水性を損なう場
合がある。一方、総価数の比(A 1)が、0.6を超える
と、使用する金属化合物の種類によっては、水不溶性の
固形物が発生し、硬化性組成物として作用しないものに
なる。
【0025】2価の金属よりなる塩基性の金属化合物
は、リン酸との反応性に富んでおり、リン酸中に混合撹
拌するだけで、直ちに反応を開始し、発熱する。したが
って、この反応物を合成する際は、金属化合物を少量ず
つ添加して、反応物が過剰に発熱して、リン酸水溶液に
含有される水が突沸しないように留意する必要がある。
また、反応液を十分に撹拌し、金属化合物の粒子の表面
でリン酸との反応をできるだけ抑制する必要がある。十
分に撹拌することで金属化合物は反応してリン酸水溶液
に溶解する。
【0026】本発明では、上記の工程に引き続き、酸性
リン酸金属塩の水溶液に、水酸化アルミニウムを70〜
100℃の加熱下で、特定の量比で混合する。
【0027】本発明で用いる水酸化アルミニウムは、リ
ン酸類との反応を緩慢に進行させ、硬化性組成物では、
硬化反応速度のコントロールやポットライフの延長を図
るために使用するものである。また、水酸化アルミニウ
ムの添加により最終的な成形品の耐熱性を向上させるこ
とを可能にする。
【0028】本発明においては、水酸化アルミニウムを
前記酸性リン酸金属塩水溶液と70〜100℃の加熱下
で混合することが重要であり、85〜98℃にすること
が好ましい。これにより、水分の蒸発を抑制させる上に
硬化反応を抑制しつつ、水酸化アルミニウムと酸性リン
酸金属塩の混和性を良好にし水酸化アルミニウムを均一
に分散させることを可能にする。また、100℃を越え
ると水分が蒸発し硬化反応を促進させるため好ましくな
く、70℃より低い温度であれば、前記混和が不十分と
なり、水酸化アルミニウムの分散性が劣り好ましくな
い。水酸化アルミニウム添加後の撹拌は、前記80〜1
00℃の加温下で1〜6時間撹拌混合させることがより
好ましい。
【0029】本発明で使用する水酸化アルミニウムは、
粒度等の品質に特に制限はないが、平均粒子径が10μ
m以下のものを使用することが好ましい。
【0030】本発明で使用する水酸化アルミニウムの量
は、水酸化アルミニウムを添加した後に、リン酸イオン
(PO4 3-)の総価数と、金属イオンの総価数の比
(A2)が 0.7≦A2≦1.2 の範囲となるように混合することを特徴とするが、更に 0.8≦A2≦1.1 であることがより好ましい。
【0031】ここで、A2はリン酸イオンの総価数に対
する総金属イオンの総価数の比であり以下で定義され
る。 A2=(M0×n0+M1×n1+M2×n2+M3×n3…)/
(P×3) (但し、Pはリン酸水溶液に含まれるリン酸イオンのモ
ル数、M0は第2の工程で加えた水酸化アルミニウムに
含まれる金属イオンのモル数、M1,M2、…は第1の工
程で加えた2価の金属化合物に含まれる金属イオンのモ
ル数を表し、n0、n1、n2、…は上記金属イオンに対
応する各金属イオンの価数を示す。) 前記総価数の比(A2)が、0.7未満であると、硬化物
中にリン酸類の水酸基が多く残存し、硬化物の耐水性を
損ね、また硬化物が水と接触すると酸性物質となり、例
えば、接着剤あるいはバインダー等として使用する際、
基材として用いる金属、窯業系材料の変質を引き起こす
可能性があり好ましくなく、前記総価数の比(A2
が、1.2を超えると、水酸化アルミニウムが塊状で存
在しやすく、水酸化アルミニウムが十分に分散しない上
に、硬化性組成物のポットライフが短くなり、経時保存
で粘度が上昇し、硬化性組成物を接着剤、バインダーあ
るいは成形用材料等として使用する際の作業性を低下さ
せ好ましくない。
【0032】本発明においては、硬化性組成物は、反応
を抑制するためや低コスト化を図るために、各種添加剤
を添加することも可能であり、特に、硬化性組成物の経
時保存による粘度上昇が著しい場合は、反応抑制成分と
しての尿素を硬化性組成物へ添加することが好ましい。
【0033】例えば、リン酸と2価の金属よりなる金属
化合物との反応させて水酸化アルミニウムを添加した直
後の硬化性組成物へ尿素を添加する。これによって、尿
素の二つのアミノ基とリン酸類の水酸基とが相互作用を
起こし、硬化性組成物の反応が抑制されて、硬化性組成
物の粘度の上昇が抑えられる。その結果、硬化性組成物
の流動性が損なわれないので、強化材への含浸が容易に
なる。
【0034】この場合、尿素の使用量は、硬化性組成物
の固形分100質量部に対して、尿素0.1〜10質量
部とすることが好ましい。尿素の使用量が0.1質量部
未満であると、尿素の反応抑制効果が不十分であり、一
方、尿素の使用量が10質量部を超えると、硬化性組成
物を硬化させる為に加熱した際に、尿素が分解して発生
するアンモニアや二酸化炭素の量が多くなるので、無機
質系成形品中にボイドができてしまって、その機械的強
度等が低くなる。尚、尿素の使用量は、硬化性組成物の
固形分100質量部に対して、0.5〜5質量部である
ことがより好ましい。
【0035】更に、他の添加剤としては、軽量骨材、充
填材、顔料等を使用することができる。軽量骨材として
は、シラスバルーン、ガラスバルーン、パーライト等
を、充填材としては、酸性酸化物を主成分とする、珪
砂、シリカフューム、ガラス粉、クレイ等を、顔料とし
ては、酸化チタン、フタロシアニン、弁柄、群青等を例
示することができる。これらの材料は、それぞれの目的
に合わせて適宜選択し適当量使用することが可能であり
特に限定されない。また、粒度等の品質も特に限定され
ないが、平均粒子径が10μm以下のものを使用するこ
とが好ましい。
【0036】本発明において使用する強化材としては、
従来の有機質系複合材料で用いられている強化材と同様
なものを使用することができ、有機質繊維、無機質繊
維、ウィスカー等が挙げられる。無機質繊維としてはガ
ラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等が挙げら
れ、ウィスカーとしてはホウ酸アルミニウムウィスカー
等が挙げられ、これらを使用することにより硬化性組成
物との含浸性が良好なり好ましい。また、前記強化材
は、質及び形態を適宜選択して一種を単独、もしくは複
数併用して使用することができる。
【0037】上記ガラス繊維のガラス組成としては、A
ガラス、Eガラス、ECRガラス、Sガラス、ARガラ
ス等を例示することができる。上記セラミック繊維とし
てはアルミナ繊維、珪素−アルミナ繊維、窒化珪素繊維
等を例示することができる。
【0038】上記無機質繊維は、短繊維及び長繊維の何
れの形態でも使用することができ、マット、織布、不織
布、ペーパー等の形態に加工した無機質繊維も含めて、
各種の形態の無機質繊維を硬化性組成物の加工方法や成
形品の用途等合わせて、適宜選択して用いることができ
る。
【0039】なお、無機質繊維としては、コストが安
く、汎用されているEガラス組成のガラス繊維を用いる
ことが特に好ましい。Eガラス組成のガラス繊維は、ミ
ルドファイバーやチョップドストランドのような短繊
維、ヤーンやロービングのような連続繊維、マット、織
布、不織布等に加工した形態のものを使用することがで
きる。
【0040】強化材の量は、硬化性組成物100質量部
(固形分として)に対して5〜100質量部を使用する
ことが好ましく、15〜80質量部であることがより好
ましい。強化材の使用量が5質量部未満であると、無機
質系成形品の機械的強度が不十分となり、一方、強化材
の使用量が100質量部を超えると、強化材に対して組
成物が不足するのでマトリックスが粗となり、やはり無
機質系成形品の機械的強度が不十分となるので好ましく
ない。
【0041】本発明の無機質系成形品の製造方法におけ
る各工程については、特に制限されないが、以下のよう
に具体例を示すことができる。
【0042】第1工程:加熱装置がついた反応釜等で、
リン酸水溶液と2価の金属よりなる金属化合物とを混
合、反応させ、更に70〜100℃の加熱下で水酸化ア
ルミニウムを添加して混合、反応させ硬化性組成物を得
る。この際、必要に応じて尿素あるいは各種添加剤を添
加する。
【0043】第2工程:第1工程で得られた硬化性組成
物と強化材とを複合させて、次工程で所望の形状に成形
するための成形用材料を得る。なお、硬化性組成物と強
化材とを複合させる方法としては、以下の〜に例示
する方法の中から、次工程で採用する成形法や得られる
無機質系成形品の用途等によって、適宜選択することが
できるが、これらの方法に限定されるものではない。 マット状の強化材を使用し、硬化性組成物の浴中にマ
ット状強化材を浸漬しつつ引き抜きながら、組成物をマ
ット状強化材に含浸、付着させる方法。 硬化性組成物を予めある程度粘度の高い状態にしてお
き、樹脂フィルム等のキャリア材の表面に塗布し、塗布
された組成物の上に、ロービングを所定の長さにカット
しつつ、又は、予めカットしてあるチョップドストラン
ドを撒き、その上からキャリア材を介して圧縮装置で圧
縮して強化材に含浸させる方法。 ガラス繊維強化プラスチックを製造する際に採用され
ているような、ハンドレイアップ法やスプレーアップ法
にて、プラスチック(樹脂)に換えて硬化性組成物を用
いる方法。 強化材として、ウィスカー、又は、ミルドファイバー
やチョップドストランドのような短繊維状の無機質繊維
を使用し、ニーダー等の分散混合機を用いて硬化性組成
物と前記無機質繊維とを混練させる方法。 なお、上記の方法においては、硬化性組成物と強化材
である無機質繊維との複合を、所望する形状の金型の上
で行い、成形用材料の成形も併せて行うことが好まし
い。
【0044】第3工程:次工程までの成形用材料の取扱
い性を良好にし、かつ、成形や硬化を完了させる際に気
化する水分の量を抑えて、内部の水の急激な気化による
成形品の膨張を防ぐ目的で、成形用材料が含有する水分
の量を成形用材料に対して10重量%未満になるように
調整する。上記の範囲に成形用材料の水分を調整するに
は、80〜100℃の温度で2〜8時間加熱して乾燥さ
せることが好ましい。ただし、第1工程で硬化性組成物
を得る際、その水分量を低減することが可能であれば、
この工程を必要としない。また、第2工程のの方法で
硬化性組成物と強化材の複合及び成形を行った場合に
は、硬化性組成物中の水分のほとんどが気化するまで乾
燥させた後、脱型することが好ましい。
【0045】第4工程:成形用材料を、得られる成形品
の用途等によって適宜設定した、板状、波板状、凹凸形
等の形状に成形する。成形は、加熱と加圧を同時にして
成形するか、加圧により賦形した後、加熱して成形する
ことができる。加熱と加圧を同時に行う場合は、成形用
材料の成形は、有型プレス装置、平板プレス装置、ベル
トプレス装置、ロールプレス装置等の、加圧と加熱とを
同時にできる装置によって行うことができる。加熱温度
は120℃という比較的低温で成形することが可能であ
り、120〜200℃にすることが好ましく、120〜
150℃にすることがより好ましい。120℃未満であ
ると硬化が不十分となり、200℃を超えるとエネルギ
ーコストの点から好ましくない。加圧により賦形した
後、加熱して成形する場合は、加圧のみ又は加圧と加熱
とを同時にできる前記装置等を用い、所望の形状に賦形
し、必要により100℃未満にて予備加熱しながら半硬
化材料を得る。次に、これを120〜150℃の加熱機
中で反応させ、硬化を完了させて無機質系成形品を得
る。加熱時間はおおよそ15分〜4時間とすることが好
ましい。なお、第3工程による水分量調整を前記予備加
熱によって行うことができる。また、第2工程のの方
法で得られる成形用材料は、ガラス繊維強化プラスチッ
クを製造する際に採用されているようなトランスファー
成形法によって成形が可能である。
【0046】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって更に詳細に
説明する。
【0047】製造例1 89%リン酸(P2564質量%含有)100質量部と
イオン交換水45質量部を反応釜に投入し、撹拌しなが
ら、酸化亜鉛29.4質量部を徐々に添加した。この時
反応液の温度は95℃まで上昇した。酸化亜鉛を添加し
た後の総価数の比(A1)は0.266であった。反応液
をマントルヒーターにより95℃に保持させ、水酸化ア
ルミニウム58.8質量部を添加し、2時間撹拌を行っ
た。その後、尿素2.3gを添加して溶解するまで攪拌
し、硬化性組成物(1)を得た。この硬化性組成物中の
総価数の比(A2)は1.1であった。
【0048】製造例2 89%リン酸100質量部とイオン交換水45質量部を
反応釜に投入し、撹拌しながら、酸化亜鉛29.4質量
部を徐々に添加した。この時反応液の温度は95℃まで
上昇した。酸化亜鉛を添加した後の総価数の比(A1
は0.266であった。反応液をマントルヒーターによ
り95℃に保持させ、水酸化アルミニウム37.8質量
部を添加し、2時間撹拌を行った。その後、尿素3.5
gを添加して溶解するまで攪拌し、硬化性組成物(2)
を得た。この硬化性組成物中の総価数の比(A2)は0.
8であった。
【0049】製造例3 89%リン酸100質量部とイオン交換水55質量部を
反応釜に投入し、撹拌しながら、水酸化マグネシウム3
9.7質量部を徐々に添加した。この時反応液の温度は
95℃まで上昇した。水酸化マグネシウムを添加した後
の総価数の比(A1)は0.5であった。反応液をマント
ルヒーターにより95℃に保持させ、水酸化アルミニウ
ム28.3質量部を添加し、2時間撹拌を行った。その
後、尿素4.1gを添加して溶解するまで攪拌し、硬化
性組成物(3)を得た。この硬化性組成物中の総価数の
比(A2)は0.9であった。
【0050】製造例4 89%リン酸100質量部とイオン交換水50質量部を
反応釜に投入し、撹拌しながら、酸化亜鉛77.2質量
部を徐々に添加した。この時反応液の温度は95℃まで
上昇し、反応途中で水不溶性の固形物が発生した。酸化
亜鉛を添加した後の総価数の比(A1)は0.7であっ
た。反応液をマントルヒーターにより95℃に保持さ
せ、水酸化アルミニウム42.5質量部を添加し、2時
間撹拌を行った。その後、尿素2.7gを添加して溶解
するまで攪拌し、硬化性組成物(4)を得た。この硬化
性組成物中の総価数の比(A2)は1.3であった。
【0051】製造例5 89%リン酸100質量部とイオン交換水45質量部を
反応釜に投入し、撹拌しながら、酸化亜鉛29.4質量
部を徐々に添加した。この時反応液の温度は95℃まで
上昇した。酸化亜鉛を添加した後の総価数の比(A1
は0.266であった。反応液をマントルヒーターによ
り95℃に保持させ、水酸化アルミニウム23.6質量
部を添加し、2時間撹拌を行った。その後、尿素9.9
gを添加して溶解するまで攪拌し、硬化性組成物(5)
を得た。この硬化性組成物中の総価数の比(A2)は0.
6であった。
【0052】製造例6 50%第一リン酸アルミニウム100質量部(総価数の
比(A1)は0.33)に水酸化アルミニウムを31.8
質量部を添加し、1時間撹拌を行った。その後、尿素
2.6gを添加して溶解するまで攪拌し、硬化性組成物
(6)を得た。この硬化性組成物中の総価数の比
(A2)は1.2であった。上記製造例1〜6で製造した
硬化性組成物の組成をまとめて表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】実施例1〜7、比較例1〜5の無機質系成
形品のサンプルの製造。 以下に示した方法によって、硬化性組成物と表2に示し
た強化材(無機質繊維のチョップドストランドを使用)
とを表3に示した比率で複合させて成形用材料とし、無
機質系成形品を得た。
【0055】キャリア材であるPET(ポリエチレンテ
レフタレート)樹脂フィルムの表面に上記硬化性組成物
を塗布し、その上にチョップした無機質繊維を撒き、そ
の上に上記硬化性組成物を表面に塗布したPET樹脂フ
ィルムを、組成物を塗布した面が無機質繊維に接するよ
うに載置した後、メッシュベルトプレス装置で圧縮して
無機質繊維に硬化性組成物を含浸させて両者を複合さ
せ、シート状の成形用材料とした。この成形用材料を温
度80℃の乾燥機で加熱乾燥させ、成形用材料が含有す
る水分量が成形用材料に対して5重量%となるように調
整した。この成形用材料を平板プレス装置を用いて、温
度140℃、圧力3.5MPa、加圧時間20分の条件
で加圧成形し硬化を完了させた後、自然冷却して無機質
系成形品を得た。
【0056】実施例8〜10、比較例6及び7の無機質
系成形品のサンプルの製造。 以下に示した方法によって、硬化性組成物と表2に示し
た強化材(ホウ酸アルミニウムウィスカまたはEガラス
繊維のミルドファイバーを使用)とを表3に示した比率
で複合させて成形用材料とし、無機質系成形品を得た。
【0057】まず、上記のようにして得た硬化性組成
物、強化材、及びその他の成分を表3に示した量比でニ
ーダーを用いて混練して、硬化性組成物と強化材とが混
練された成形用材料を得た。この際、配合する水の量
は、得られた成形用材料が自然に放置した状態で流動を
起こさない程度に、ニーダーでの混練の具合を見つつ適
宜調節した。
【0058】次に、上記成形用材料を平板プレス装置を
用いて、温度80℃、圧力3.5MPa、加圧時間2分
間の条件で加圧成形して平板状の半硬化材料を得た。こ
うして得られた半硬化材料を温度80℃の乾燥機で4時
間加熱して乾燥させた後、温度140℃の加熱機で30
分間加熱して硬化を完了させた後、自然冷却して無機質
系成形品を得た。
【0059】更に、比較例8としてガラス繊維強化石こ
うボード、比較例9として石綿スレート板、比較例10
として化粧石綿スレート板、比較例11として耐アルカ
リガラス繊維強化コンクリート板をサンプルとして用い
た。
【0060】
【表2】
【0061】試験例 以下に示す方法によって、実施例1〜10及び比較例1
〜11のサンプルを評価した。その結果を表3に示す。 ・厚さ、嵩比重:JIS A 5430の方法 ・曲げ強度:JIS A 1408の方法(常態、温度3
00℃の雰囲気で24時間加熱した後、及び、15℃の
水に24時間浸漬した後にて測定した。) ・吸水率:サンプルを15℃の水に24時間浸漬するこ
とで増加した重量と、浸漬する前の重量との比率を算出
した。 ・寸法変化率:サンプルを温度60℃の空気中にて24
時間加熱し、次に温度15℃の水に24時間浸漬し、続
いて温度105℃の空気中にて24時間加熱した後、常
温まで自然冷却した。これらの加熱及び浸漬を行う前と
後とでのサンプルの長さの変化をコンタクトゲージで測
定し、変化量の元の寸法に対する比率を算出した。 ・表面状態:サンプルを温度400℃の雰囲気で1時間
加熱した後、その表面状態を目視により観察し、クラッ
クや反り等が発生したか否かを確認した。
【0062】
【表3】
【0063】表3から分かるように、本発明の製造方法
によって得られた実施例1〜10の無機質系成形品は、
比較例1〜7の無機質系成形品に比べて、曲げ強度が高
く、吸水率及び寸法変化率が小さかった。また、比較例
8〜11のガラス繊維強化石こうボード、石綿スレート
板、化粧石綿スレート板及び耐アルカリガラス繊維強化
コンクリート板においては、吸水率や寸法変化率が極め
て大きく、高温で加熱した際にクラックが発生するが、
本発明による実施例1〜10の無機質系成形品は、吸水
率や寸法変化率が小さく、高温で加熱しても表面状態に
は変化がなかった。
【0064】また、硬化性組成物を得る工程において、
リン酸イオンと金属イオンの総価数の比(A1あるいは
2)が規定を外れる場合には、正常な成形品が得られ
ないことが分かる。即ち、リン酸イオンと金属イオンの
総価数の比A1およびA2が、共に本発明で規定する範囲
外である比較例3及び比較例7では、硬化性組成物が不
均一なものになり、曲げ強度が低下して成形品の機械的
強度が損なわれた。一方、A2が規定する範囲に満たな
い比較例4では、成形品の硬化が不十分となり、吸湿の
度合いが大きくなった。
【0065】また、従来のリン酸又はリン酸塩とその硬
化剤とを主成分とした無機質系材料において、最も一般
的に使用される第一リン酸アルミニウムを使用した比較
例5においては、本発明における硬化条件の規定範囲
(120℃〜200℃)では硬化が不十分となるため、
成形品の吸湿の度合いが大きくなった。
【0066】更に又、本発明で規定している硬化性組成
物と強化材との量比(前者100部に対して後者5〜1
00部)を外れる範囲で強化材を使用した場合において
も、問題を生じることが分かる。即ち、強化材の量比が
少ない場合(比較例1及び比較例6)では、曲げ強度が
低下して成形品の機械的強度が低くなり、強化材の量比
が多い場合(比較例2)では、製造途中で不具合が生じ
て成形品を得ることができなかた。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、リン酸と2価の金属よりなる塩基性の金属化合物と
の反応を予め進めた後、加熱下で水酸化アルミニウムを
均一に混和させた硬化性組成物を使用し、更に、この硬
化性組成物を得る際に、リン酸イオンとそれぞれに含ま
れる金属イオンの総価数の比を規定したので、無機質系
成形品は、加熱・硬化の最中にクラックを生じたり、得
られた成形品にボイドができたりすることがなく、ま
た、不十分な硬化が原因となって成形品の耐水性が低下
したりすることがない。
【0068】また、本発明の製造方法によって得られた
無機質系成形品は、従来のものに比べて、優れた機械的
強度、耐水性、寸法安定性及び耐熱性を有しているの
で、建築材料や、産業用の構造材又は部材等に使用する
ことが可能である。例えば、加熱プレス成形装置の断熱
板、住宅等の建築物の内装材や外装材、又は、住宅のリ
フォーム用外装材等として使用できる。
【0069】更に、本発明の製造方法によって得られた
無機質系成形品と他の材料を積層一体化した成形品とし
たうえで使用することも可能である。積層する他の材料
としては、例えば、発泡ポリスチレン樹脂等の発泡樹脂
の板、メラミン樹脂シート等の合成樹脂製の化粧シー
ト、木材、又は、コンクリート板を挙げることができ
る。無機質系成形品と他の材料とを接着剤を用いて接合
する方法や、成形用材料と上記の他の材料とを積層した
状態で加圧成形して半硬化品とし、この半硬化品を加熱
して硬化を完了させると同時に、半硬化材料に含有され
る硬化性組成物の接着力によって他の材料と接合する方
法を、製品の用途や選択する他の材料の質等によって適
宜選択する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 111:27 C04B 111:27 (72)発明者 示野 浩一 東京都千代田区神田鍛冶町3丁目6番地3 旭ファイバーグラス株式会社内 (72)発明者 藤江 敏幸 東京都千代田区神田鍛冶町3丁目6番地3 旭ファイバーグラス株式会社内 Fターム(参考) 4G012 PB03 PB05 PB20 PC13 PC15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(1)〜(4)の工程を含むこと
    を特徴とする無機質系成形品の製造方法。 (1)P25を10〜80質量%含むリン酸水溶液と、
    2価の金属よりなる塩基性の金属化合物より選択される
    少なくとも1種とを、それぞれに含まれるリン酸イオン
    (PO4 3-)の総価数と、金属イオンの総価数の比
    (A1)が、 0.1≦A1≦0.6 となるように混合し反応させ、該反応後に70〜100
    ℃の加熱下で水酸化アルミニウムを加え、添加後のリン
    酸イオン(PO4 3-)の総価数と、金属イオンの総価数
    の比(A2)が、 0.7≦A2≦1.2 となるように混合した硬化性組成物を得る工程。(但
    し、総価数の比(A1)および(A2)は A1=(M1×n1+M2×n2+M3×n3…)/(P×3) A2=(M0×n0+M1×n1+M2×n2+M3×n3…)/
    (P×3) で示され、Pはリン酸水溶液に含まれるリン酸イオンの
    モル数、M0は加えた水酸化アルミニウムに含まれる金
    属イオンのモル数、M1,M2、…は2価の金属化合物に
    含まれる金属イオンのモル数を表し、n0、n1、n2
    …は上記金属イオンに対応する各金属イオンの価数を示
    す。) (2)前記硬化性組成物の固形分100質量部に対して
    強化材5〜100質量部とを複合させて成形用材料を得
    る工程。 (3)前記成形用材料に含まれる水分量が10質量%以
    上の場合には、10質量%未満となるように調整する工
    程。 (4)前記成形用材料を120〜200℃の温度で成形
    する工程。
  2. 【請求項2】 前記硬化性組成物の固形分100質量部
    に対して尿素0.1〜10質量部を更に含む請求項1に
    記載の無機質系成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記硬化性組成物に含有される2価の金
    属よりなる塩基性の金属化合物は、マグネシウム、カル
    シウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛の金属酸化物
    及び金属水酸化物より選択される少なくとも1種である
    請求項1又は2記載の無機質系成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記強化材が、無機質繊維又はウィスカ
    ーである請求項1〜3のいずれか一つに記載の無機質系
    成形品の製造方法。
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