JP2001042108A - マットフィルム、面光源装置、及び液晶表示装置 - Google Patents

マットフィルム、面光源装置、及び液晶表示装置

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JP2001042108A
JP2001042108A JP11214912A JP21491299A JP2001042108A JP 2001042108 A JP2001042108 A JP 2001042108A JP 11214912 A JP11214912 A JP 11214912A JP 21491299 A JP21491299 A JP 21491299A JP 2001042108 A JP2001042108 A JP 2001042108A
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mat
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film
liquid crystal
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Fumihiro Arakawa
文裕 荒川
Tadahiro Mazaki
忠宏 真崎
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏光分離シートと液晶表示パネルとの間に設
けるマットフィルムを、出光面での輝度低下が抑制さ
れ、他の透光性材料の平滑面と接触する際の干渉縞発
生、平滑面の損傷を防止する。 【解決手段】 光透過性基材12からなるマットフィル
ム10において、光透過性基材12の一面に微細マット
層14を設け、光透過性基材12は、波長550nmの
入射光に対して、リタデーションが100nm以下とな
るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マットフィルム、
それを用いた面光源装置及び液晶表示装置に係り、とり
わけ液晶表示装置の面光源において偏光分離シートを用
い、偏光分離シートからの出射光の偏光を維持しながら
拡散して、液晶表示装置の視角特性、輝度を高めると共
に、偏光分離シートと干渉ムラを生じないマットフィル
ム、そのマットフィルムを用いた面光源装置及び液晶表
示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ、テレビジョン等のディス
プレイとして用いられる液晶表示装置は、偏光板に光を
透過させることによって得られた偏光光を液晶層で変調
するものであり、例えば、図14に示される従来の代表
的な液晶表示装置1は、バックライト装置2の光源3か
ら出射された光を略板状の導光体4の一側端面4Aから
入射させ、図において上面となる出光面4Bから出射さ
せ、この光を拡散シート5により拡散させた後、プリズ
ムシート6により集光して、液晶表示パネル7をその背
面から照明するように構成されている。
【0003】前記バックライト装置2において、前記一
側端面4Aから入射した光源光は、導光体4内で全反射
を繰り返しながら進行し、且つ、その光の一部が、導光
体4の出光面4Bと反対側の裏面4Cに配置された光拡
散体4Dにより反射されて、出光面4Bから拡散シート
5を経て液晶表示パネル7方向に出射され、又、導光体
4における前記裏面4Cから、図において下方に出射し
た光は、下方に配置された反射シート8によって反射さ
れ、再度導光体4内に戻されるようになっている。
【0004】ここで、前記プリズムシート6は、三角柱
プリズム(断面形状が三角形、又は、頂点が丸みを帯び
た三角形)からなる単位プリズム6A、又は、断面形状
が半円形又は半楕円形である柱状の単位レンズ(図示省
略)を、その稜線が平行となるように複数列配置して備
えている。
【0005】又、前記液晶表示パネル7は、液晶セル7
A及び偏光板7B、7Cから構成され、前記液晶セル7
Aは、液晶層(TN型液晶、STN型液晶、IPS用液
晶、VA用液晶、等)をガラス基板やプラスチック製基
板(共に図示省略)で挟持したものであり、前記偏光板
7B、7Cは、前記基板の外側(図12において上下)
を挟持した構成とされている。
【0006】前記液晶表示パネル7は、前記液晶セル7
Aにおける液晶層に電界を加えることによって、ここを
透過する光の状態を変調し、前記偏光板7B、7Cの光
透過軸と、液晶層を透過した光の偏光方向との関係を制
御することによって、液晶セル7Aを透過する光量を変
化させて、情報の表示をするものである。
【0007】図15に示される他の従来の液晶表示装置
1Aは、バックライト装置2Aにおけるプリズムシート
6の方向が反対、即ち、単位プリズム6A側が図14の
場合と反対の下向きに配置され、又、導光体4の代わり
に光散乱導光体9が用いられている点において、図14
の液晶表示装置1と相違する。
【0008】ここで、光散乱導光体9は、例えば透光性
樹脂に、微細な間隔で屈折率の異なる物質を含んで構成
し、これ自体が光を散乱する作用を有するものであり、
この場合、液晶表示装置1におけるような光拡散体4D
は不要である。
【0009】他の構成は、図14の液晶表示装置1と同
一であるので、同一部分に同一符号を付することにより
説明を省略する。
【0010】図16に示される更に他の液晶表示装置1
Bにおけるバックライト装置2Bは、前記バックライト
装置2Aにおける光散乱導光体9に代えて、表面凹凸導
光体9Aを設けた点において、バックライト装置2Aと
相違する。ここで、表面凹凸導光体9Aは、透明な導光
体4の出光面4Bに微細な凹凸模様を施し、この出光面
4C自体が光を拡散する作用を有し、導光体4内を進行
する光線の進行方向を変更するものであり、前記のよう
な光拡散体4Dは不要である。なお、微細な凹凸を出光
面4Bと反対側の面に施してもよい。
【0011】他の構成は、図15の液晶表示装置1Aに
おけると同一であるので、同一部分に同一の符号を付す
ることにより説明を省略する。
【0012】前記いずれの液晶表示装置1、1A、1B
においても、液晶セル7Aは、偏光板7B、7Cに挟持
される構成であり、偏光板7B、7Cが入射光の略50
%を吸収してしまうために、光の利用効率(透過率)が
低く、液晶表示パネル7の表面における十分な明るさを
得るためには、より多くの光源光を偏光板7Bに入射さ
せる必要があった。
【0013】しかしながら、このようにすると、バック
ライト装置における光源3の消費電力が増大するのみな
らず、該光源3からの熱が液晶セル7Aにおける液晶層
に悪影響を与えて、液晶表示パネル7における表示が不
明瞭となってしまう等の問題点を生じる。
【0014】これに対して、図17に基本構成が示され
るように、例えば、特開平7−49496号公報、特開
平8−146416号公報、あるいは特表平9−506
985号公報に開示されるように、バックライト装置2
(2A、2B)からの無偏光光を、互いに旋光方向が逆
の関係にある2つの円偏光に分離した後に直線偏光に変
換するか、又は、互いに直交関係にある2つの直線偏光
に分離する偏光分離シート9Bを用いて分離し、分離さ
れた一方の偏光光を液晶表示パネル7に入射させ、他方
の偏光成分をバックライト装置2(2A、2B)側に戻
して、そのバックライト装置内の反射シート(図示省
略)等により、再度偏光分離シート9B側に導いて再利
用し、光利用効率を向上させるようにしたものがある。
【0015】前記特開平7−49496号公報に開示さ
れたものは、面状導光体の光出射面側に、互いに屈折率
の異なる層を隣接して積層してなる偏光分離シートを設
け、光出射面からの無偏光光を互いに直交関係にある2
つの偏光光に分離し、一方の偏光光を液晶セルに向けて
出射し、他方の偏光光を光源側に戻して反射させた後、
再度偏光分離シートに入射するようにしている。
【0016】又、前記特開平8−146416号公報に
開示されたものは、面状導光体の光出射面側に、コレス
テリック液晶層からなる偏光分離シートを配置し、光発
生源からの無偏光光を、互いに旋光方向が逆の関係にあ
る2つの円偏光に分離し、一方の円偏光光を、1/4波
長位相差層によって直線偏光に変換した後に、液晶セル
に向けて出射し、他方の円偏光光は光源側に戻して反射
させた後、再度偏光分離シートに入射するようにしてい
る。
【0017】更に、前記特表平9−506985号公報
に開示されたものは、バックライト装置の光出射面側に
延伸多層フィルムからなる偏光分離シートを設け、光出
射面からの無偏光光を、互いに直交関係にある2つの偏
光光に分離し、一方の偏光光を液晶セルに向けて出射さ
せ、他方の偏光光をバックライト装置側に戻して反射さ
せた後、再び偏光分離シートに入射するようにしてい
る。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平7−494
96号公報等に開示されたものは、偏光分離シートで反
射された光をリサイクルするので、光吸収型偏光板を用
いた液晶表示装置と比較して光利用効率は大幅に向上
(理論的最大値は2倍)するが、光分離シートとこれに
隣接する他の光学部材との間で光による明暗の繰り返し
模様、即ち、干渉縞が観察され、この光により液晶表示
パネルを照明する場合、各画素から形成される画像を乱
して、視認性を著しく低下させてしまうという問題点が
ある。
【0019】この視認性の著しい低下は、偏光分離シー
トを用いない従来の光吸収型偏光板を用いた液晶表示装
置におけるとは比較にならないほど、その表示品質を低
下させるものである。
【0020】これは、従来の光吸収型偏光板の光反射率
が数%以下であるのに対して、前記のような偏光分離シ
ートの光反射率が約50%であることに起因する。
【0021】即ち、偏光分離シートから反射された光線
が、再度光源側へリサイクルされるために、偏光分離シ
ートと他の光学部材(プリズムシート、拡散シート、導
光体、反射シート等)との間で干渉を形成する光量が、
光吸収型偏光板における場合と比較して10倍前後とな
るからである。
【0022】例えば、従来の光吸収型偏光板の反射率を
4%、偏光分離シートの光反射率を40%とすれば、偏
光分離シートと他の光学部材との間で干渉を形成する光
量は、光吸収型偏光板の場合の10倍になる。
【0023】ここで、偏光分離シート9の消光比が従来
の光吸収型の偏光板の消光比に及ばないため、図17に
おいて二点鎖線で示されるように、偏光分離シート9と
液晶表示パネル7との間に光吸収型の偏光板9Aを挿入
して、消光比の向上を図ることがある。
【0024】しかしながら、この場合、偏光分離シート
9Bと偏光板9Aとの間で干渉縞が生じてしまうことが
新たに判明した。その理由は、前述と同様であり、偏光
分離シート9Bの光反射率が約50%と非常に高いこと
を起因にする。
【0025】又、上記のような干渉現象が、バックライ
ト装置側からの光のみならず、液晶表示パネルに入射す
る外光に起因することがある。即ち、液晶表示パネルに
入射した外光が、偏光分離シートで反射して、これに接
近して配置された光吸収型偏光板との間で干渉縞を発生
する。
【0026】これに対して、例えば特開平1−2348
22号公報の液晶表示装置において、偏光板の下面に光
散乱面を形成する、あるいはマットフィルムを配置する
かにより、前記偏光分離シートに光拡散層を形成して、
干渉縞発生を抑制することも想起できるが、この場合
も、次のような4つの問題点がある。
【0027】(1)輝度低下 微細なマット層を、偏光分離シートと液晶表示装置パネ
ルの下部偏光板間に設けた場合、偏光分離シートからの
入射光が、マット層で拡散されるため、光線の進行方向
が様々な方向に乱されて、偏光分離シート表面での法線
方向近傍から観測した輝度が大幅に低下してしまう。
【0028】(2)疵発生 微細なマット層を、偏光分離シートと液晶表示装置パネ
ルの下部偏光板間に設けた場合、マット層表面の凹凸に
おける凸部が、これと接触した偏光分離シートを疵付け
てしまい、発生した疵によって全体として均一な面状発
光状態が得られなくなってしまう。
【0029】(3)偏光度低下 微細なマット層あるいはマットフィルムが偏光分離シー
トと液晶表示パネルの下部偏光板間に設けられた場合、
偏光分離シートを透過した光がマット層やマットフィル
ムの光透過性基材で拡散されるため、光の偏光方向が乱
されてしまい、従来の光吸収偏光板で吸収される光が増
大して、その吸収分だけ光の利用効率が低下してしま
う。
【0030】(4)偏光分離シートのカール 偏光分離シートは、光源の熱等により、又は偏光分離シ
ートに直接マット層を形成した場合、マット層の収縮に
より、カールが発生し全体として均一な面状態が得られ
ない。
【0031】この発明は、上記従来の問題点に鑑みてな
されたものであって、輝度低下、疵発生、偏光度低下、
偏光分離シートのカール等の問題を伴なうことなく、干
渉縞の発生を抑制し、光の利用効率を向上するようした
マットフィルム、面光源装置及び液晶表示装置を提供す
ることを目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】マットフィルムの発明
は、請求項1のように、光透過性基材の少なくとも一方
の表面が微細なマット形状とされたマットフィルムにお
いて、前記光透過性基材に対する波長550nmの入射
光のリターデーションが100nm以下とすることによ
り、前記目的を達成するものである。このマットフィル
ムは前記偏光度の低下が小さく、偏光分離シートと液晶
表示パネルの下部偏光板間に配置することができる。
【0033】ここで、リタデーションRは、下記の式に
よって算出される。なお屈折率は、550nmでの屈折
率とする。
【0034】R=(nx−ny)×d nx:フィルム面のX軸方向の屈折率 ny:フィルム面のY軸方向の屈折率 d:フィルムの厚み
【0035】前記光透過性基材を、トリアセテートセル
ロースあるいはポリカーボネートとしてもよい。
【0036】又、前記光透過性基材表面の微細なマット
形状が、Rzで1μm〜10μm以下となるようにして
もよい。
【0037】又、前記微細マット層の上に、屈折率が、
前記微細マット層を形成する物質の屈折率より低い低屈
折率層を積層してもよい。
【0038】前記マットフィルムの少なくとも一方の面
の表面抵抗値が1012Ω/□以下としてもよい。
【0039】この発明は、マットフィルムについて、リ
ターデーションの小さな光透過性基材を選択することで
前記の偏光度低下を防止するができ、更にそのマットフ
ィルムの表面微細マット層のRzを1μm〜10μmに
調整することで、フィルム間の干渉縞の防止と疵発生
を、又屈折率差による内部ヘイズと表面マット形状によ
る外部ヘイズを調整することで、偏光分離シート等の視
角による色変化や外観欠点が隠せる拡散性を最小限の法
線方向の輝度低下で得られる。
【0040】又、前記のマットフィルムを、偏光分離シ
ートと液晶表示パネルの下部偏光板間に配置して、偏光
分離シート等の外観欠点を隠し、且つ偏光分離シートが
カールしないように押さえ付けることができる。
【0041】又、輝度低下を防止するために、マット層
の表面に反射防止の低屈折率層を積層することで透過率
が向上する。
【0042】更に、異物の付着や他の部材との静電密着
を防止するために、マットフィルムの表面電気抵抗値が
1012Ω/□以下であることが望ましい。
【0043】又、面光源装置の第1発明は、請求項6の
ように、透光性材料からなる板状体であって、少なくと
も一側端面から導入された光を一方の面である光放出面
から出射するようにされた導光体と、この導光体の少な
くとも前記一側端面から内部に光を入射させる光源と、
前記導光体における前記光放出面側に設けられた入射光
中の一方の偏光成分を透過し、他方の偏光成分を反射す
る偏光分離シートと、を有してなり、更に偏光分離シー
トの出射面上に上記のようなマットフィルムを積層した
面光源装置により、上記目的を達成するものである。
【0044】又、前記導光体、光源及び偏光分離シート
を筐体内に収納し、前記マットフィルムは、その厚さが
50μm以上、500μm以下とし、且つ、その外周縁
を前記筐体に固定して、前記偏光分離シートの外周縁を
押圧するようにしてもよい。
【0045】又、面光源装置の第2発明は、請求項8の
ように、拡散板と、この拡散板に光を照射する光源と、
この光源の前記拡散板と反対側に配置され、光源からの
光を前記拡散板方向へ反射する反射板と、前記拡散板の
光源と反対側に配置され、入射光中の一方の偏光成分を
透過し、他方の偏光成分を反射する偏光分離シートと、
を有してなり、更に偏光分離シートの出射面上に上記の
ようなマットフィルムを積層した面光源装置により、前
記目的を達成するものである。
【0046】又、前記拡散板、反射板、光源及び偏光分
離シートを筐体内に収納し、前記マットフィルムは、そ
の厚さが50μm以上、500μm以下とし、且つ、そ
の外周縁を前記筐体に固定して、前記偏光分離シートの
外周縁を押圧するようにしてもよい。
【0047】更に、液晶表示装置の発明は、請求項10
のように、上記の面光源装置上に液晶パネルを配置した
表示装置により、前記目的を達成するものである。
【0048】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態の例を図
面を参照して詳細に説明する。
【0049】図1に示されるように、本発明の実施の形
態に係るマットフィルム10は、光透過性基材12を含
み、その一方の表面(図において下側面)に微細マット
層14が形成されていて、前記光透過性基材12を、波
長550nmの入射光に対してリタデーションが100
nm以下となるようにしたものである。
【0050】ここで、本発明において、前記リタデーシ
ョンとは、フィルム状の異方性材料である光透過性基材
12を厚さ方向に透過する光のうち、偏光方向を異にす
る二つの光線間の光路差を言う。
【0051】本発明のマットフィルム10は、図2に示
されるように、面光源装置20と液晶表示パネル30と
からなる液晶表示装置40において、前記面光源装置2
0の偏光分離シート22と液晶表示パネル30の間に配
置されるために、偏光分離シート22から液晶表示パネ
ル30に出射される偏光光の偏光度を低下させること
は、極力避ける必要があり、光透過性基材12として
は、リターデーションが100nm以下であることが必
要である。
【0052】光透過性基材12の材料は、リターデーシ
ョンが100nm以下のものであれば特に限定されない
が、例えばトリアセテートセルロース(TAC)フィル
ム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、
ジアセチルセルロースフィルム、アセテートブチレート
セルロースフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、
ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィ
ルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネート(P
C)フィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフ
ィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケ
トンフィルム、(メタ)アクリロニトリルフィルム等が
使用できる。
【0053】又、厚さは通常50μm〜500μm程度
が望ましい。その理由は、後述するように、偏光分離シ
ート22が光源の熱等によってカールし易く、カールし
た場合には、面光源において均一な面状発光状態が得ら
れないが、本発明のマットフィルム10を図2に示され
るように、偏光分離シート22上に積層し、面光源24
の筐体25にマットフィルム10の端部を固定すること
によって、偏光分離シート22のカールを強制的に押さ
える効果が期待されており、そのためには50μm以上
の厚さが必要となり、面光源装置20の薄型化、ロール
での加工適性から500μm以下であることが望まし
い。
【0054】上記光透過性基材12の材料としては前述
の如くであるが、そのうちリターデーションが30nm
以下と小さく、表面へのコーティング加工が容易なこと
からTACフィルムが、又表面へのエンボスやコーティ
ング加工が容易で、フィルムのコシが強いPCフィルム
が特に望ましい。
【0055】前記微細マット層14は、光透過性基材1
2の表面を直接凹凸加工したり、該表面に他の材料をマ
ット状に積層したりして構成する。
【0056】図1のマットフィルム10は、微細マット
形状の型が形成されたロール版(図示省略)で、光透過
性基材12の表面に直接エンボス加工を行い、微細マッ
ト層14を形成したものであり、マットフィルムについ
てのその他の各種構成を図3に示す。
【0057】図3(A)は、微細マット形状の型が形成
されたロール版(図示省略)に電離放射線硬化性樹脂を
充填し、光透過性基材12に接触させ、接触している間
に電離放射線を照射して電離放射線樹脂を硬化、密着さ
せた後にロール版から剥離する方法やロール版の代わり
に表面に微細マット層14が形成されたフィルム(図示
省略)を積層する方法により、微細マット層14Aを形
成したマットフィルム10Aを示す。
【0058】図3(B)は、光透過性基材12の表面に
球状ビーズ16を分散した光透過性樹脂(バインダー樹
脂)18をコーティングすることによって微細マット層
14Bを形成したマットフィルム10Bを示す。
【0059】図3(B)に示したような球状ビーズ16
を含む微細マット層14Bは、球状ビーズ16を透光性
バインダーに分散させた塗料を、吹付け塗装、ロールコ
ート等で塗工して形成されるが、同時にその微細マット
層14の塗膜表面に球状ビーズ16の一部又は全部がラ
ンダムに突出される。
【0060】前記微細マット層14、14A、14B
は、光透過性基材12の両面に形成してもよい。例えば
図4に示されるように、上記図3(B)の微細マット層
14Bを光透過性基材12の両面に形成して、マットフ
ィルム10Cを構成する。このようにすると、偏光分離
シート22と液晶表示パネル30に対して重ねたときの
干渉縞発生を防止することが可能となるために望まし
い。
【0061】図1、図3及び図4に示されるように、本
発明に係るマットフイルムは、光透過性基材12の一方
の面(図1において下面)あるいは両面に微細マット層
14、14A、14Bが設けられたものであり、更に、
この微細マット層14、14A、14Bは、Rzが1〜
8μmであるものが下記の理由から望ましい。
【0062】又、微細マット層14、14A、14Bの
表面形状としては、ランダムな2次元分布状態で突出し
て、多数の丘状突起を構成している。このようにマット
フィルム10の表面に、Rzが1〜8μmの微細マット
層14、14A、14Bを形成することによって、光線
進行方向が微細マット層14、14A、14Bで乱され
ることを抑制することができ、且つ、光の偏光方向が微
細マット層14、14A、14Bで乱されことをも抑制
することができる。
【0063】又、図5に示されるように、マットフィル
ム10Cを、その微細マット層14B側が偏光分離シー
ト22の平滑面22Aと接触もしくは接近して配置する
ことにより、該平滑面22Aと微細マット層14の表面
との間には必ず1〜8μm程度の隙間21が発生する。
【0064】このため、微細マット層14と平滑面22
Aとの間に光が入射してきても、干渉縞の発生を抑制で
きる。
【0065】又、前述のマットフィルム10B、10C
の場合、微細マット層14Bの表面の微細凹凸は、球状
ビーズ16の直径を選択することにより決定され、通常
前記直径とRzは一致し、この発明ではRzが8μm以
下となるように選択されているので、該球状ビーズ16
が、図5に示されるように、偏光分離シート22におけ
る平滑面22Aに接触しても、大きく突出した球状ビー
ズ16との接触による集中荷重の発生がなく、偏光分離
シート22の損傷が防止される。
【0066】ここで、Rzを1μm以上、即ち球状ビー
ズ16の直径を1μm以上としたのは、この大きさを1
μm未満にすると、光源光(可視光)の波長に接近して
色がついてしまうという問題点があり、更に1μm未満
とすると、図3(B)のような球状ビーズ16の材料と
しての透光性ビーズ(例えばアクリルビーズ)の量産が
困難であり、且つ、この球状ビーズを微細マット層14
Bを構成するバインダーである光透過性樹脂18中に均
一に分散することが困難になるという問題点を避けるた
めである。
【0067】又、微細凹凸のRzを8μm以下としたの
は、これよりも大きくなると、マットフィルムから出射
した光の進行方向を大きく乱してしまうので、これを避
けるためである。
【0068】前述のように、微細マット層14、14
A、14Bの凹凸形状は、表面において2次元的にラン
ダム分布されていて、周期的に配列されていない。
【0069】例えばカラー液晶表示装置のバックライト
の出光面側に、上記のようなマットフィルム10、10
A、10B、10Cを設けた場合、仮に、微細マット層
の凹凸が、周期的に配列されていると、液晶表示装置の
画素の配列周期と重なり合うことによってモアレ縞が発
生する恐れがあるが、この発明に係るマットフィルム1
0、10A、10B、10Cにおいては、微細マット層
の凹凸を2次元的にランダム配置しておけば、上記のよ
うなモアレ縞の発生が防止される。
【0070】通常、上記のような微細マット層における
光拡散性を発現するために拡散剤を含有させなければな
らないが、上記マットフィルム10Bにおいては、マッ
ト層14Bを構成するバインダー樹脂(光透過性樹脂1
8)の屈折率と球状ビーズ16の屈折率の差Δnを0.
01≦Δn≦0.5とすると共に、拡散剤の平均粒径d
を、0.1μm≦d≦10μmとしている。
【0071】上記のように、屈折率差Δnが0.01以
上としたのは、0.01未満であると、微細マット層1
4Bにおける光拡散性を発現するには非常に多くの拡散
剤を光透過性樹脂18中に含有させなければならず、こ
のようにすると微細マット層14Bの光透過性基材12
への接着性及び塗工適性が悪化し、又Δnが0.5より
も大きい場合は、バインダー樹脂である光透過性樹脂1
8中の球状ビーズ16の含有量が少なく、均一で適度な
凹凸を持つ微細マット層14Bが得られないからであ
る。
【0072】球状ビーズ16の平均粒径dについては、
これが0.1μm未満である場合、球状ビーズ16のバ
インダー樹脂中への分散が困難となり、凝集が生じて均
一で適度な凹凸を持つ微細マット層14Bを形成するこ
とができず、又d>10μmの場合、突起により偏光分
離シートを疵つける可能性がある。
【0073】前記微細マット層14Bを形成するバイン
ダー樹脂18としては、主として紫外線・電子線によっ
て硬化する樹脂、即ち、電離放射線硬化型樹脂、電離放
射線硬化型樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤を混合したもの、
熱硬化型樹脂の3種類が使用される。
【0074】電離放射線硬化型樹脂組成物の被膜形成成
分は、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するも
の、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエ
ーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹
脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタ
ジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコー
ル等の多官能化合物の(メタ)アルリレート等のオリゴ
マー又はプレポリマー及び反応性希釈剤としてエチル
(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリ
ドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例え
ば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオ
ールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール
ジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するもの
が使用できる。
【0075】更に、上記電離放射線硬化型樹脂組成物を
紫外線硬化型樹脂組成物とするには、この中に光重合開
始剤としてアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒ
ラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステ
ル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキ
サントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリ
エチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等を混合し
て用いることができる。特に本発明では、オリゴマーと
してウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエ
リストリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合す
るのが好ましい。
【0076】更に、上記微細マット層14Bを形成する
ためのバインダー樹脂18として、上記のような電離放
射線硬化型樹脂に対して溶剤乾燥型樹脂を含ませてもよ
い。前記溶剤乾燥型樹脂には、主として熱可塑性樹脂が
用いられる。電離放射線硬化型樹脂に添加する溶剤乾燥
型熱可塑性樹脂の種類は通常用いられるものが使用され
るが、光透過性基材12として特に前述のようなTAC
等のセルロース系樹脂を用いるときには、電離放射線硬
化型樹脂に含ませる溶剤乾燥型樹脂には、ニトロセルロ
ース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロ
ピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等のセ
ルロース系樹脂が塗膜の密着性及び透明性の点で有利で
ある。
【0077】その理由は、上記のセルロース系樹脂に溶
媒としてトルエンを使用した場合、光透過性基材12で
あるポリアセチルセルロースの非溶解性の溶剤であるト
ルエンを用いるにも拘らず、光透過性基材12にこの溶
剤乾燥型樹脂を含む塗料の塗布を行っても、光透過性基
材12と塗膜樹脂との密着性を良好にすることができ、
しかもこのトルエンは、光透過性基材であるポリアセチ
ルセルロースを溶解しないので、該光透過性基材12の
表面は白化せず、透明性が保たれるという利点があるか
らである。
【0078】更に、次のように、電離放射線硬化型樹脂
組成物に溶剤乾燥型樹脂を含ませる利点がある。
【0079】電離放射線硬化型樹脂組成物をメタリング
ロールを有するロールコータで光透過性基材12に塗布
する場合、メタリングロール表面の液状残留樹脂膜が流
動して経時で筋やムラ等になり、これらが塗布面に再転
移して塗布面に筋やムラ等の欠点を生じるが、上記のよ
うに電離放射線硬化型樹脂組成物に溶剤乾燥型樹脂を含
ませると、このような塗布面の塗膜欠陥を防ぐことがで
きる。
【0080】上記のような電離放射線硬化型樹脂組成物
の硬化方法としては、前記電離放射線硬化型樹脂組成物
の硬化方法は通常の硬化方法、即ち、電子線又は紫外線
の照射によって硬化することができる。
【0081】KeVのエネルギーを有する電子線等が使
用され、紫外線硬化の場合には超高圧水銀灯、高圧水銀
灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メ
タルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用
できる。
【0082】前記電離放射線硬化型樹脂に混合される熱
可塑性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジア
リルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ
樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹
脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が使用され、こ
れらの樹脂に必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化
剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えて使用す
る。
【0083】前記微細マット層14Bに含有させる球状
ビーズ16としては、プラスチックビーズが好適であ
り、特に透明度が高く、バインダー樹脂18との屈折率
差が前述のような数値になるものが好ましい。
【0084】プラスチックビーズとしては、スチレンビ
ーズ(屈折率1.59)、メラミンビーズ(屈折率1.
57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル
−スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネー
トビーズ、ポリエチレンビーズ、塩ビビーズ等が用いら
れる。これらのプラスチックビーズの粒径は、前述のよ
うに0.1〜10μmのものを適宜選択して用いる。上
記プラスチックビーズのうち、スチレンビーズが特に好
ましく用いられる。
【0085】上記のような有機フィラーとしての球状ビ
ーズ16を添加した場合には、樹脂組成物(バインダー
樹脂18)中で有機フィラーが沈降し易いので、沈降防
止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。
なお、無機フィラーは添加すればする程有機フィラーの
沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与え
る。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フ
ィラーを、透光性樹脂16に対して塗膜の透明性を損な
わない程度に、0.1重量%未満程度含ませると沈降を
防止することができる。
【0086】有機フィラーの沈降防止のための沈降防止
剤である無機フィラーを添加しない場合は、光透過性基
材12への塗布時に有機フィラーが底に沈澱しているの
で、よく掻き混ぜて均一にして使用すればよい。
【0087】ここで、一般に、電離放射線硬化型樹脂の
屈折率は約1.5で、ガラスと同程度であるが、前記球
状ビーズ16の屈折率との比較において、用いる樹脂の
屈折率が低い場合には、該バインダー樹脂18に、屈折
率の高い微粒子であるTiO2(屈折率;2.3〜2.
7)、Y2O3(屈折率;1.87)、La2O3(屈折
率;1.95)、ZrO2(屈折率;2.05)、Al2
O3(屈折率;1.63)等を塗膜の拡散性を保持でき
る程度に加えて、屈折率を上げて調整することができ
る。
【0088】本発明のマットフィルムとしては、微細マ
ット層14、14A上に低屈折率層26を設け、あるい
は図6に示すように、微細マット層14B上に、又は、
低屈折率層26を設けてマットフィルム10Dを構成し
てもよい。
【0089】本発明において用いられる低屈折率層26
はシリコン含有フッ化ビニリデン共重合体からなり、具
体的には、フッ化ビニリデン30〜90重量%及びヘキ
サフルオロプロピレン5〜50重量%を含有するモノマ
ー組成物が共重合されてなるフッ素含有割合が60〜7
0重量%であるフッ素含有共重合体100重量部と、エ
チレン性不飽和基を有する重合性化合物80〜150重
量部とからなる樹脂組成物であることを特徴とする。こ
の樹脂組成物を用いて、膜厚200nm以下の薄膜であ
って、且つ耐擦傷性が付与された屈折率1.60未満
(好ましくは1.45以下)の低屈折率層26を形成す
る。
【0090】この低屈折率層26に用いられる前記フッ
素含有共重合体は、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロ
プロピレンとを含有するモノマー組成物を共重合するこ
とによって得られる共重合体であり、当該モノマー組成
物における各成分の割合は、フッ化ビニリデンが30〜
90重量%、好ましくは40〜80重量%、特に好まし
くは40〜70重量%であり、又ヘキサフルオロプロピ
レンが5〜50重量%、好ましくは10〜50重量%、
特に好ましくは15〜45重量%である。このモノマー
組成物は、更にテトラフルオロエチレンを0〜40重量
%、好ましくは0〜35重量%、特に好ましくは10〜
30重量%含有するものであってもよい。
【0091】又、このフッ素含有共重合体を得るための
モノマー組成物は、本発明の目的及び効果が損なわれな
い範囲において、他の共重合体成分が、例えば、20重
量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲で含有され
たものであってもよい。ここに、当該他の共重合成分の
具体例として、例えばフルオロエチレン、トリフルオロ
エチレン、クロロトリフルオロエチレン、1,2−ジク
ロロ−1,2−ジフルオロエチレン、2−ブロモー3,
3,3−トリフルオロエチレン、3−ブロモー3,3−
ジフルオロプロピレン、3,3,3−トリフルオロプロ
ピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフ
ルオロプロピレン、α−トリフルオロメタクリル酸等の
フッ素原子を有する重合性モノマーを挙げることができ
る。
【0092】このようなモノマー組成物から得られるフ
ッ素含有共重合体は、そのフッ素含有割合が60〜70
重量%であることが必要であり、好ましいフッ素含有割
合は62〜70重量%、特に好ましくは64〜68重量
%である。
【0093】このフッ素含有重合体は、特にそのフッ素
含有割合が上述の特定の範囲であることにより、後述の
溶剤に対して良好な溶解性を有する。又、このようなフ
ッ素含有重合体を成分として含有することにより、種々
の基材に対して優れた密着性を有し、高い透明性と低い
屈折率を有すると共に十分に優れた機械的強度を有する
薄膜を形成するので、基材の表面の耐傷性等の機械的特
性を十分に高いものとすることができ、極めて好適であ
る。
【0094】このフッ素含有共重合体は、その分子量が
ポリスチレン換算数平均分子量で5000〜20000
0、特に10000〜100000であることが好まし
い。このような大きさの分子量を有するフッ素含有共重
合体を用いることにより、得られるフッ素系樹脂組成物
の粘度が好適な大きさとなり、従って、確実に好適な塗
布性を有するフッ素系樹脂組成物とすることができる。
【0095】更に、フッ素含有共重合体は、それ自体の
屈折率が1.45以下、特に1.42以下、更に1.4
0以下であるものが好ましい。屈折率が1.45を越え
るフッ素含有共重合体を用いた場合には、得られるフッ
素系塗料により形成される薄膜が反射防止効果の小さい
ものとなる場合がある。
【0096】本発明において用いられる重合性化合物
は、光重合開始剤の存在下又は非存在下で活性エネルギ
ー線が照射されることにより、又は熱重合開始剤の存在
下で加熱されることにより、付加重合を生ずるエチレン
性不飽和基を有する化合物である。
【0097】このような重合性化合物の具体例として
は、例えば、前述の特開平8−94806号に挙げるも
のを使用することができる。
【0098】これらの化合物のうち、ジペンタエリスリ
トールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト
ールペンタ(メタ)アクリレート、及びカプロラクトン
変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
トが特に好ましい。
【0099】用いる重合性化合物が、エチレン性不飽和
基を1分子中に3個以上含有するものである場合には、
得られるフッ素系樹脂組成物は、特に、基材に対する密
着性及び基材の表面の耐傷性等の機械的特性が極めて良
好な薄膜を形成するものとなる。
【0100】重合性化合物の使用量は、フッ素含有共重
合体100重量部に対して30〜150重量部、好まし
くは35〜100重量部、特に好ましくは40〜70重
量部である。
【0101】この重合性化合物の使用割合が過小である
と、得られる塗料によって形成される薄膜は、基材に対
する密着性が低いものとなり、一方、使用割合が過大で
あると、形成される薄膜は屈折率の高いものとなって良
好な反射防止効果を得ることが困難となる。
【0102】前記フッ素系樹脂組成物においては、フッ
素含有共重合体及び重合性化合物を含む重合体形成成分
の合計量におけるフッ素含有割合が30〜55重量%、
特に35〜50重量%であることが好ましい。このよう
な条件が満足される場合には、本発明の目的及び効果を
更に十分に達成する薄膜を確実に形成することができ
る。フッ素含有割合が過大であるフッ素系樹脂組成物に
よって形成される薄膜は、基材に対する密着性が低いも
のとなる傾向と共に、基材の表面の耐傷性等の機械的特
性が若干低下するものとなり、一方、フッ素含有割合が
過小であるフッ素系樹脂組成物により形成される薄膜
は、屈折率が大きいものとなって反射防止効果が低下す
る傾向が生じる。
【0103】本発明の低屈折率層26は、シリコン含有
フッ化ビニリデン重合体からなり、シリコン及びフッ素
が表面の防汚性、耐傷性を向上させることができる。
【0104】前記マットフィルム10Dにおいては、低
屈折率層が、フッ化ビニリデン30〜90重量%及びヘ
キサフルオロプロピレン5〜50重量%を含有するモノ
マー組成物が共重合されてなるフッ素含有割合が60〜
70重量%であるフッ素含有共重合体100重量部と、
エチレン性不飽和基を有する重合性化合物30〜150
重量部からなる樹脂組成物を用いて形成されているの
で、特に、そのフッ素含有共重合体中においてヘキサフ
ルオロプロピレン5〜50重量%のモノマー成分を含ん
でいるので、この樹脂組成物の塗布により形成される低
屈折率層において、1.45以下の低屈折率を実現する
ことができ、又、特に、そのフッ素含有共重合体中にお
いてフッ化ビニリデン80〜90重量%のモノマー成分
を含んでいるため、得られる樹脂組成物の溶剤溶解性が
増し、塗布適性が良好となり、その膜厚を反射防止に適
した200nm以下の薄膜とすることができる。更に、
塗布される樹脂組成物中に、エチレン性不飽和基を有す
る重合性化合物30〜150重量部が含まれているた
め、得られる塗膜は耐擦傷性の機械的強度の優れたもの
となる。又、各樹脂成分は透明性が高いため、これらの
成分を含有した樹脂組成物を用いて形成された低屈折率
層26は、透明性に優れている。
【0105】前記マットフィルム10Dでは、接する空
気からその内部に至るまで、空気層(屈折率1.0)、
低屈折率層26(屈折率1.60未満、好ましくは1.
45以下)、微細マット層14B(屈折率1.50以
上)、光透過性基材12(微細マット層14Bより低く
あるいはほぼ同様の屈折率)となっているので、効率の
よい反射防止を行うことができる。微細マット層14B
の屈折率が光透過性基材12の屈折率よりも高く構成さ
れることが望ましく、このような場合には、光透過性基
材12と微細マット層14Bとの間の界面における反射
を防止する効果が更に付加される。
【0106】前記低屈折率層26に使用される溶剤は、
当該フッ素系樹脂組成物の塗布性及び形成される薄膜の
基材に対する密着性の点から、760ヘクトパスカルの
圧力下における沸点が50〜200℃の範囲内のものが
好ましい。
【0107】このような溶剤の具体例としては、例えば
アセトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチル
エチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、
ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、酢酸メ
チル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル。
酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸ア
ミル、酢酸イソアミル、酢酸第二アミル、プロピオン酸
メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチ
ル、乳酸メチル等のケトン類又はカルボン酸エステル類
よりなる溶剤を挙げることができる。これらの溶剤は単
一でも2成分以上の混合物でもよく、更に上記に例示し
たもの以外の溶剤を、樹脂組成物の性能が損なわれない
範囲で加えることもできる。
【0108】溶剤の使用量は、フッ素含有共重合体と重
合性化合物との合計量100重量部に対して、通常20
0〜10000重量部、好ましくは1000〜1000
0重量部、特に好ましくは1200〜4000重量部で
ある。
【0109】溶剤の使用量をこの範囲とすることによ
り、フッ素系樹脂組成物の粘度の大きさを、樹脂組成物
として好ましい塗布性が得られる0.5〜5cps(2
5℃)、特に0.7〜3cps(25℃)の範囲のもの
とすることが容易であり、その結果、当該フッ素系樹脂
組成物により、可視光線の反射防止膜として実用上好適
な均一で塗布ムラのない厚さ100〜200nmの薄膜
を容易に形成することができ、しかも基材に対する密着
性が特に優れた薄膜を形成することができる。
【0110】本発明のマットフィルムに使用されるフッ
素系樹脂組成物は、含有される重合性化合物のエチレン
性不飽和基が重合反応することによって硬化するもので
あり、従って、当該樹脂組成物が塗布されて形成された
塗膜に対し、当該重合性化合物を重合反応させる硬化処
理が施されて固体状の薄膜が形成される。
【0111】このような硬化処理の手段として、当該フ
ッ素系樹脂組成物の塗膜に活性エネルギー線を照射する
手段、又は塗膜を加熱する手段が利用され、これによ
り、本発明が目的とする硬化状態の薄膜を確実に且つ容
易に形成することができるので、実際上極めて有利であ
り、薄膜形成操作の点においても便利である。
【0112】本発明のマットフィルムに使用されるフッ
素系樹脂組成物を活性エネルギー線の照射によって硬化
処理する場合において、活性エネルギー線として電子線
を用いるときは、当該フッ素系樹脂組成物には特に重合
開始剤を添加することなしに、所期の硬化処理を行うこ
とができる。
【0113】又、硬化処理のための活性エネルギー線と
して、紫外線あるいは可視光線の如き光線を用いる場合
には、当該活性エネルギー線の照射を受けて分解して、
例えばラジカルを発生し、それによって重合性化合物の
重合反応を開始させる光重合開始剤がフッ素系樹脂組成
物に添加される。
【0114】このような光重合開始剤の具体例は、前述
の特開平8−94806号に開示されているが、1−ヒ
ドロキシルシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル
−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリ
ノプロバン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−1−
〔4−(モルフォリニル)フェニル〕−2−フェニルロ
チル)−1−ブタノン等が好ましい。
【0115】更に、硬化処理のために加熱手段が利用さ
れる場合には、加熱により、例えばラジカルを発生して
重合性化合物の重合を開始させる熱重合開始剤がフッ素
系樹脂組成物に添加される。
【0116】熱重合開始剤の具体例としては、例えばベ
ンゾイルパーオキサイト、tert−ブチル−オキシベ
ンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル、アセチルパ
ーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、tert−ブ
チルパーアセテート、クミルパーオキサイド、tert
−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパ
ーオキサイド、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチル
バレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ
−2,4−ジメチルバレロニトリル)等を挙げることが
できる。
【0117】前記フッ素系樹脂組成物における光重合開
始剤又は熱重合開始剤の添加量は、フッ素含有共重合体
と重合性化合物との合計100重量部に対し、通常、
0.5〜10重量部、好ましくは1〜8重量部、特に好
ましくは1〜3重量部である。この添加量が10重量部
を越えると、樹脂組成物の取り扱い並びに形成される薄
膜の機械的強度等に悪影響を及ぼすことがあり、一方、
添加量が0.5重量部未満では硬化速度が小さいものと
なる。
【0118】前記フッ素系樹脂組成物には、必要に応じ
て、本発明の目的及び効果が損なわれない範囲におい
て、各種添加剤、例えば、トリエタノールアミン、メチ
ルジエタノールアミン、トリエチルアミン、ジエチルア
ミン等のアミン系化合物から成る増感剤、もしくは重合
促進剤;エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミ
ド、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリクロロプレ
ン、ポリエーテル、ポリエステル、スチレン−ブタジエ
ンスチレンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹
脂、ケトン樹脂、シリコーン系オリゴマー、ポリスルフ
ィド系オリゴマー等のポリマー、あるいはオリゴマー;
フェノチアジン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−
メチルフェノール等の重合禁止剤;その他にレベリング
剤、漏れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収
剤、シランカップリング剤、無機充填剤、樹脂粒子、顔
料、染料等を配合することができる。
【0119】前記低屈折率層26の形成方法は、他の一
般的な薄膜成形手段、例えば真空蒸着法、スパッタリン
グ法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング
法、電気めっき法等の適宜な手段であってもよく、例え
ば前記以外の反射防止塗料の塗膜、膜厚0.1μm程度
のMgF2等の極薄膜や金属蒸着膜、あるいはSiOx
やMgF2の蒸着膜により形成してもよい。
【0120】なお、前述の如く、選択された低屈折率層
26の材料の屈折率に対して、(1)式を充足する屈折
率のバインダー樹脂18が得られない場合は、この透光
性樹脂中に、前述のような屈折率の高いTiO2等の微
粒子を加えて、屈折率を上げて調整する。
【0121】なお、上記図6のマットフィルム10D
は、両面に低屈折率層26を設けたものであるが、本発
明はこれに限定されるものではない。
【0122】又、図7に示される実施の形態の第6例の
マットフィルム10Eのように、光透過性基材12と微
細マット層14Cとの間に、透明導電性層28を設ける
とともに、微細マット層14C中に更に導電材料29を
含有するように構成することにより、帯電防止性能を付
与することができる。この帯電防止性能は透明導電性層
を設けることによって、本発明の各実施の形態の例にお
ける全てのマットフィルム10、10A、10B、10
Cに付与できる。
【0123】透明導電性層28は、導電性微粒子を樹脂
組成物に分散したものであり、導電性微粒子としては、
例えばアンチモンドープのインジウム・ティンオキサン
ド(以下、ATOと記載する)やインジウム・ティンオ
キサンド(ITO)、金及び/又はニッケルで表面処理
した有機化合物微粒子等を、樹脂組成物としては、アル
キッド樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メ
タ)アクリレート(以下本明細書では、アクリレートと
メタアクリレートとを(メタ)アクリレートと記載す
る)等のオリゴマー又はプレポリマー及び反応性の希釈
剤を比較的多量に含むものが使用できる。
【0124】微細マット層14Cに含有させる導電材料
29としては、金及び(又は)ニッケルで表面処理をし
た粒子を使用することができる。このような表面処理を
する前の粒子は、シリカ、カーボンブラック、金属粒子
及び樹脂粒子からなる群から選ぶことができる。
【0125】前記偏光分離シート22は、図8に示され
るように、互いに屈折率の異なる3枚の光透過性シート
22A〜22Cを積層して構成したものである。
【0126】前記光透過性シート22A〜22Cは、透
光性があればその材質は特に限定されず、特開平7−4
9496号公報に開示されいているような材質、PET
等のポリエステル樹脂、PC、PMMA等のアクリル樹
脂、TAC(三酢酸セルロース)、ガラス、シリカ、I
TO(Indium Tin Oxide)等を用いる。
【0127】上記のように、相互に屈折率が異なる光透
過性シート22A〜22Cの界面を光線が通過する際に
は、透過光及び反射光が偏光される現象(偏光分離作
用)が発生する。
【0128】このような偏光分離作用は、偏光分離シー
ト22への光の入射角によって異なるが、この入射角が
ブリュースター角の場合、即ち上記界面における屈折光
線と反射光線との間の角度が90°となるような光線入
射角の場合、偏光分離作用が最大となる。
【0129】ここで、光線入射角がブリュースター角の
場合は、例えば空気(屈折率n=1)中の1枚の光透過
性シート(屈折率n′>n)を用いると、反射光中のS
偏光成分と透過光中のP偏光成分の強度比Ts/Tp=
{2n′/(1+n′2)}4となる。
【0130】なお、より強い偏光分離作用を得るために
は、前記光透過性シートは少なくとも3枚、好ましくは
5枚以上とするのがよい。
【0131】上記のような偏光分離シート22に光が入
射すると、透過光はP偏光成分が多くなり、又反射光は
S偏光成分が多くなる。
【0132】次に、図9を参照して、本発明の偏光分離
シートの他の実施の形態について説明する。
【0133】この偏光分離シート50は、光入射面側か
ら順に、PET層50D、コレステリック液晶層50
C、1/4波長位相差層50B、及び、TAC層50A
を積層して構成されている。
【0134】ここで、前記コレステリック液晶層50C
は、入射する光のうち、一方向の旋光成分と、これと逆
回りの旋光成分とを分離する機能を有するようにするこ
とができる。
【0135】次に、図10を参照して、本発明における
偏光分離シートの更に他の実施の形態の例について説明
する。
【0136】図10の偏光分離シート52は、各層が複
屈折性を有する4層の平面状多層構造体としたものであ
る。
【0137】前記偏光分離シート52は、平面内で互い
に垂直な振動方向を持つ2つの光のうちの一方に対して
厚さ方向に隣接する層間における屈折率の差が実質的に
ゼロであり、他方に対して厚さ方向に隣接する層間にお
ける屈折率の差が実質的にゼロでないようにし、前記一
方の光を透過し、他方の光を反射するようにしたもので
ある。
【0138】上記の偏光分離シート52を構成する複屈
折性層52A〜52Dは、各々、例えば特開平3−75
705号公報等に開示されているように、ポリカーボネ
ート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポルビニルアルコー
ル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂等の面内複屈折性(屈
折率異方性)を示す物質を延伸等の方法によって得るこ
とができ、前記特表平9−506985号公報に開示さ
れているように、延伸したPENから形成してもよい。
【0139】更に具体的には、図10に示されるよう
に、偏光分離シート52を4枚の複屈折性層52A〜5
2Dから構成し、図において符号X及びYで示されるよ
うに、平面内で互いに直交する2方向の光振動方向を設
定した場合、各複屈折性層52A〜52Dの屈折率は次
のようになる。
【0140】例えば、複屈折性層52A、52B、52
C及び52Dのx軸方向に振動する光線に対する屈折率
は実質的にnxで同じであり、したがって、x軸方向で
の隣接する層間の屈折率差Δnx(=|nx−nx|)は
実質的にゼロである。
【0141】その理由は、上記の例で説明すると、x軸
方向に振動する光にとって、平面状多層構造体内の屈折
率は実質的に均一なので、平面状多層構造体の入射角及
び出射角の2か所で僅かな表面反射が起こるだけであ
る。
【0142】しかし、y軸方向に振動する光にとって
は、平面状多層構造体内の屈折率は隣接するそれぞれの
層間で異なっているので、平面状層構造体の入射面及び
出射面、並びに平面状多層構造体内のそれぞれの層間で
表面(界面)反射が起こる。従って、偏光分離体の層数
が多ければ多いほど表面(界面)反射が起こり、y軸方
向に振動する光を反射するのである。
【0143】なお、上記図10における偏光分離シート
は4層構造とされているが、本発明はこれに限定される
ものでなく、少なくとも3層、理想的には5層以上がよ
い。又、偏光分離シートを構成する複屈折性層の積層数
が多いほど、前述の表面反射が生じ、確実に他方向に振
動する光を反射することができる。実際は、100層程
度まで積層することがある。
【0144】又、偏光分離シート52における偏光分離
作用が最大となる光線の入射角は、該偏光分離シート5
2の表面に立てた法線方向である。
【0145】なお、偏光分離の状態を測定する方法とし
ては、互いに光の振動方向が直交するような直線偏光を
用いることが出来る。
【0146】次に、図11を参照して、本発明の実施の
形態の例に係る面光源装置60について説明する。
【0147】この面光源装置60は、前記偏光分離シー
ト22、50又は52を光放出面側に設けたものであ
り、透光性材料からなる板状体であって、図11におい
て左側の一側端面62Aから導入された光を、上側の光
放出面62Bから出射するようにされた導光体62と、
この導光体62の前記側端面62Aに沿って、これと平
行に配置され、該側端面62Aから前記導光体62内に
光を入射させる線状の光源64と、前記導光体62にお
ける、光放出面62Bと反対側の面62C、左側の側端
面62A以外の側端面を覆うようにして配置され、これ
らの面から出射する光を(偏光状態を乱して)反射し
て、導光体62内に戻すための光反射板66とを備えて
構成されている。図11の符号62Dは光拡散体を示
す。
【0148】前記偏光分離シート22、50、52及び
マットフィルム10、10A、10B、10C、10
D、10Eは、前記導光体62の光放出面62Bに対し
て、プリズムシート67及び拡散シート68を介して配
置されている。なお、通常、前記導光体62は、光放出
面62Bを窓とした収納筐体(図示省略)内に収納され
ている。
【0149】上記面光源60は、プリズムシート67や
拡散シート68が1枚配置されているが、本発明はこれ
に限定されるものではない。しかし、プリズムシート6
7を用いた方が高輝度化のためには好ましい。
【0150】なお、前記導光体62及びプリズムシート
67に替えて図13(詳細な説明は後述)、図14に示
すような導光体及び/又はプリズムシートを用いてもよ
い。
【0151】次に、図12を参照して、直下型の面光源
装置70について説明する。
【0152】この面光源装置70は、前記図8〜10に
示される偏光分離シート22、50又は52の裏面側に
光拡散シート68を配置すると共に、光源64からの光
を、凹面状の光反射板66により反射させ、及び直接
に、前記光拡散シート68から偏光分離シート22、5
0又は52の側に光を放出するようにされたものであ
る。
【0153】この面光源装置70においても、前述の面
光源装置60と同様に、偏光分離シート22、50又は
52の出射面側にマットフィルム10、10A、10B
を積層することで偏光分離シートを損傷することがな
く、干渉縞も防止することができる。
【0154】次に、前記図13に示される、本発明の実
施の形態の例に係る液晶表示装置80について説明す
る。
【0155】この液晶表示装置80は、前記図11又は
図12に示されるような面光源装置60又は70の出光
面側に、液晶パネル82を配置したものである。又、マ
ットフィルム10C、10D又は10Eを液晶パネル8
2と偏光分離シート22、50又は52の間に配置す
る。
【0156】この液晶表示装置80は、透過型であり、
液晶画面を形成する各画素を前記面光源装置60又は7
0からの出射光によって裏側から照明され、液晶パネル
82における表面及び裏面の偏光板84A、84Bのう
ち、裏面(バックライト側)の偏光板84Bの偏光透過
軸と面光源装置60又は70から出光する偏光軸をほぼ
一致させて、効率よく偏光光を透過させるようにしたも
のである。
【0157】この液晶表示装置80においては、前述の
如く、面光源装置60又は70からの照明光中に干渉縞
がないので、良好な画像を形成することができる。
【0158】
【実施例】本発明の実施例1〜12(表1参照)は、偏
光分離シート22、50、又は52を用いた図11に示
されると同様の面光源装置についてのものである。
【0159】
【表1】
【0160】表1は各実施例及びこれと比較するための
従来技術による比較例の条件をまとめたものを示したも
のであり、これらにおいて、マットフィルムは図3
(B)に示されると同様のものであり、光透過性基材1
2の表面に、次のような要領で球状ビーズ16を配設し
た。
【0161】微細マット層を形成するためのマットイン
キは、球状ビーズ16の材料としての透光性ビーズが、
表1に示した平均粒径の架橋アクリル樹脂(n=1.4
9)、バインダーがポリエステル樹脂(n=1.55)
からなる。
【0162】具体的には、上記透光性ビースを上記バイ
ンダー樹脂分の8%を入れたインキを、MET:トルエ
ン=1:1の溶剤で希釈し、その粘度をザーンカップ粘
度計#3で27秒とした。実施例1〜6に用いたマット
フィルムの製造方法は、このインキを、光透過性基材1
2の表面にスリットリバースコーティング法により塗布
し、その後溶剤を乾燥させて塗膜を固化させた。
【0163】この乾燥した塗膜には、JISB0601
での10点平均粗さRz=3μmの球状ビーズ16が、
平均間隔d=30μmで2次元的にランダムな配列で形
成されていた。
【0164】表2は、上記実施例及び比較例に用いたフ
ィルムと、そのリタデーションを示す。
【0165】
【表2】
【0166】表3は、実施例8、10で使用した低屈折
率層インキD、Eの詳細を示す。
【0167】
【表3】
【0168】表3において10%シリコン含有フッ化ビ
ニリデン及び10%DPHAにおける「10%」はMI
BKで希釈した状態でポリマー含有率が10%というこ
とである。
【0169】又、DPHAはジベンタエリスリトールヘ
キサアクリレートであり、これを希釈するための溶剤M
IBKは、メチルイソブチルケトンを示す。
【0170】次に実施例7〜12におけるマットフィル
ムの製造方法は、前記条件で得られたマット層の材料を
TAC基材上に60℃で1分間乾燥後、UV光(紫外
線)を90mJ照射してハーフキュアし、膜厚3〜4μ
m/m2のマット層を作成する。
【0171】次に、実施例8及び10は、上記得られた
マット層の上に表2に示される低屈折率層の材料となる
低屈折率インキD、Eを塗布し、80℃で1分間乾燥
後、窒素パージ下においてUV光500mJ照射して、
前記マット層と共に完全にキュアする。このとき、低屈
折率層の膜厚は0.1μm/m2である。
【0172】次に、実施例11について説明する。
【0173】実施例11は、実施例6と同様のマット層
を形成し、低屈折率層として、SiO2膜を蒸着により
膜厚0.1μmで形成し、更にその上からフッ素系コー
ティング層を設けたものである。SiO2の蒸着条件
は、真空度4×10-5Torr、電圧8KV、電流20
〜40mAである。
【0174】又、フッ素系コーティング層は、フッ素系
溶剤PF5080(商品名;3M製)により0.007
%に希釈したKP−801M(商品名;信越化学製)を
塗布し、80℃で1分間乾燥し、膜厚約5nmま防汚層
を形成したものである。
【0175】なお、実施例7、9は、実施例8、10で
の低屈折率層を省略したものである。
【0176】次に実施例12について説明する。
【0177】表2に記載されていないが、図6のよう
に、透明導電性層28と、導電材料29を設けた実施例
12についての製造方法について述べる。
【0178】まず、透明導電性層28の材料をTAC基
材上に膜厚2μm/m2となるようにコーティングし、
70℃で1分間乾燥後、窒素パージ下でUV(紫外)光
54mJを照射してハーフキュアする。透明導電性層の
材料はDA−12(ATO含有導電インキ:住友大阪セ
メント製)を用いた。次に、この透明導電性層の上なマ
ット層の材料を膜厚3〜4μm/m2となるようにコー
ティングし、60℃で1分間乾燥後、窒素パージ下でU
V光90mJを照射してハーフキュアする。マット層の
材料は、実施例1で用いた材料に導電材料ブライトGN
R4,6−EH(金−ニッケルコート樹脂ビーズ:日本
化学工業製)を0.005g加えたものを用いた。更
に、マット層を窒素パージ下でUV光500mJを照射
して、前記透明導電性層及びマット層を完全にキュアす
る。
【0179】前記の実施例のマットフィルムを組込む面
光源装置は、図11に示される面光源装置60と同様の
ものであり、導光体62は、その裏面にドット状の光拡
散体62Dが印刷形成され、偏光分離シートは、図8に
示されるものと同様とし、入射面側から順にPC層とP
MMA層とが交互に隣接して、合計100層(図8にお
いては3層となっているが、実施例では100層)積層
した構成とされ、光拡散シート68は、厚さ1.25m
mのPETの出光面側に平均粒径10μmのアクリルビ
ーズ(球状ビーズ)をコーティングすることによって、
出光面を入光面よりも粗面にしたものである。
【0180】又、光反射板66は、発泡した白色PET
シートから構成している。更に、導光体62からの拡散
光の最大強度方向は、光拡散シート68によって、偏光
分離シート22のブリュースター角にほぼ一致するよう
にした。
【0181】更に、液晶パネル(図示省略)の導光体6
2側の偏光板の偏光光の透過方向軸と、偏光分離シート
20から出射する光線の偏光軸を一致させて、効率良く
偏光光が透過するように配置した。
【0182】上記液晶パネルを透過モードにして、その
表面側の偏光板から出射される光線の最大輝度を測定し
たところ、偏光分離シートが設けられていないバックラ
イトを使用した場合と比較して、最大輝度は30%向上
した。
【0183】透光性ビーズの平均粒径を種々に変更して
(第1〜第12実施例、第1〜第3比較例)、上記と同
様な光学シートを形成して、これを、前記図11、12
に示されるような面光源装置に組み込んで暗室で観察し
たところ、次の表4のようになった。
【0184】
【表4】
【0185】比較例1は、マットフィルムの光透過性基
材をリタデーションの大きな100μm厚みのPETフ
ィルムとする以外は、実施例1と同様にして行った。
【0186】比較例2、3は、マットフィルムのビーズ
粒径を0.5μm、15μm以外は、実施例1と同様に
して行った。
【0187】なお、比較例4は、マットフィルムを積層
して用いずに液晶表示装置を作成した。
【0188】評価方法は以下のように行った。
【0189】表面粗さRzは、表面粗さ計(小坂研究所
製)にて測定を行った。
【0190】輝度は、前述した面光源の法線方向の輝度
を輝度計(トプコン製BM−7)にて測定を行った。
【0191】疵は、偏光分離シート側にマットフィルム
の微細マット面を接するようにして10gの分銅を乗せ
て引きずった実験を行い、偏光分離シートの表面の疵を
目視で判定した。
【0192】偏光ムラ、カール、干渉縞は、面光源の上
に液晶パネルを重ねて目視で判定した。
【0193】表面抵抗値は、抵抗率計(三菱油化製)に
て測定した。
【0194】
【発明の効果】本発明は上記のように構成したので、輝
度低下、疵発生、偏光度低下、偏光分離シートのカール
等の問題を伴なうことなく、干渉縞の発生を抑制し、光
の利用効率を向上するようしたマットフィルム、面光源
装置及び液晶表示装置を得ることができるという優れた
効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の例に係るマットフィルム
の一部を拡大して示す断面図
【図2】同マットフィルムを組込んだ液晶表示装置を示
す断面図
【図3】同マットフィルムの実施の形態の第2例及び第
3例の一部を拡大して示す断面図
【図4】同マットフィルムの実施の形態の第4例の一部
を拡大して示す断面図
【図5】同第4例のマットフィルムを光学部材と接触し
て配置した状態を拡大して示す断面図
【図6】同マットフィルムの実施の形態の第5例を示す
斜視図
【図7】同マットフィルムの実施の形態の第6例を示す
斜視図
【図8】本発明の面光源装置又は液晶表示装置に用いる
偏光分離シートを示す拡大斜視図
【図9】同偏光分離シートの他の形態を示す拡大斜視図
【図10】同偏光分離シートの更に他の形態を示す拡大
斜視図
【図11】本発明の実施の形態の例に係る面光源装置の
要部を示す略示断面図
【図12】同実施の形態の第2例の面光源装置を示す略
示断面図
【図13】本発明の液晶表示装置の実施の形態の例の要
部を示す略示断面図
【図14】従来の液晶表示装置を示す略示側面図
【図15】従来の他の液晶表示装置を示す略示側面図
【図16】従来の更に他の液晶表示装置を示す略示側面
【図17】従来の更に又他の液晶表示装置を示す略示側
面図
【符号の説明】
10、10A、10B、10C、10D、10E…マッ
トフィルム 12…光透過性基材 14、14A、14B、14C…微細マット層 16…球状ビーズ 18…光透過性樹脂(バインダー樹脂) 20、60、70…面光源装置 22、50、52…偏光分離シート 24…面光源 25…筐体 26…低屈折率層 28…透明導電性層層 29…導電材料 30…液晶表示パネル 40…液晶表示装置 62…導光体 62A…一側端面 62B…光放出面 64…光源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G09F 9/00 332 G09F 9/00 336E 336 G02F 1/1335 530 Fターム(参考) 2H042 BA04 BA12 BA20 2H049 BA05 BA43 BB62 BC22 2H091 FA07Z FA08X FA08Z FA10Z FA21Z FA31Z FA41Z FB02 FC25 FD01 FD06 GA02 KA01 KA02 LA07 5G435 AA03 AA09 BB12 EE26 EE27 FF03 FF05 FF06 FF08 GG03 HH04 KK07 LL04 LL08

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光透過性基材を含み、この光透過性基材の
    少なくとも一方の表面に微細マット層が形成されたマッ
    トフィルムにおいて、前記光透過性基材を、波長550
    nmの入射光のリターデーションが100nm以下とな
    るようにしたことを特徴とするマットフィルム。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記光透過性基材がト
    リアセテートセルロース及びポリカーボネートの一方で
    あることを特徴とするマットフィルム。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、前記光透過性基
    材表面の微細マット層の凹凸が、Rzで1.0μm以上
    8μm以下であることを特徴とするマットフィルム。
  4. 【請求項4】請求項1、2又は3において、前記微細マ
    ット層の上に、屈折率が、前記微細マット層を形成する
    物質の屈折率より低い低屈折率層を積層してなることを
    特徴とするマットフィルム。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4のいずれかにおいて、マッ
    トフィルムの少なくとも一方の面の表面電気抵抗値が1
    12Ω/□以下であることを特徴とするマットフィル
    ム。
  6. 【請求項6】透光性材料からなる板状体であって、少な
    くとも一側端面から導入された光を一方の面である光放
    出面から出射するようにされた導光体と、この導光体の
    少なくとも前記一側端面から内部に光を入射させる光源
    と、前記導光体における前記光放出面側に設けられた入
    射光中の一方の偏光成分を透過し、他方の偏光成分を反
    射する偏光分離シートと、を有してなり、更に偏光分離
    シートの出射面上に請求項1乃至5のいずれかに記載の
    マットフィルムを積層したことを特徴とする面光源装
    置。
  7. 【請求項7】請求項6において、前記導光体、光源及び
    偏光分離シートは筐体内に収納され、前記マットフィル
    ムは、その厚さが50μm以上、500μm以下とさ
    れ、且つ、その外周縁を前記筐体に固定して、前記偏光
    分離シートの外周縁を押圧するようにしたことを特徴と
    する面光源装置。
  8. 【請求項8】拡散板と、この拡散板に光を照射する光源
    と、この光源の前記拡散板と反対側に配置され、光源か
    らの光を前記拡散板方向へ反射する反射板と、前記拡散
    板の光源と反対側に配置され、入射光中の一方の偏光成
    分を透過し、他方の偏光成分を反射する偏光分離シート
    と、を有してなり、更に偏光分離シートの出射面上に請
    求項1乃至5に記載のマットフィルムを積層したことを
    特徴とする面光源装置。
  9. 【請求項9】請求項8において、前記拡散板、反射板、
    光源及び偏光分離シートは筐体内に収納され、前記マッ
    トフィルムは、その厚さが50μm以上、500μm以
    下とされ、且つ、その外周縁を前記筐体に固定して、前
    記偏光分離シートの外周縁を押圧するようにしたことを
    特徴とする面光源装置。
  10. 【請求項10】請求項6乃至9のいずれかに記載の面光
    源装置上に液晶パネルを配置したことを特徴とする液晶
    表示装置。
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