JP2004258358A - 反射型液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射防止層なしで導光板下面や液晶パネル表面での外光反射を防止でき、面発光における輝度の均一性にも優れてコントラストや明るさに優れ、見やすい表示のフロントライト式の反射型液晶表示装置の開発。
【解決手段】上下面とその上下面間の側面からなる入射側面を具備する透明板(1)の上面に、前記入射側面からの入射光を下面に向けて反射してその下面より出射させる光路変換斜面(A1)を具備する凹部又は凸部(A)の複数からなる光出射手段を有する導光板を、反射層(32)を具備する液晶セル(3)の視認側に接着層(2)を介し接着してなり、かつその接着層と液晶セルとの間に、偏光板(37)と、それよりも接着層側に位置して前記透明板よりも低屈折率の透明層(38)とを少なくとも有すると共に、前記入射側面に光源(4)を配置してなる反射型液晶表示装置。
【選択図】 図1
【解決手段】上下面とその上下面間の側面からなる入射側面を具備する透明板(1)の上面に、前記入射側面からの入射光を下面に向けて反射してその下面より出射させる光路変換斜面(A1)を具備する凹部又は凸部(A)の複数からなる光出射手段を有する導光板を、反射層(32)を具備する液晶セル(3)の視認側に接着層(2)を介し接着してなり、かつその接着層と液晶セルとの間に、偏光板(37)と、それよりも接着層側に位置して前記透明板よりも低屈折率の透明層(38)とを少なくとも有すると共に、前記入射側面に光源(4)を配置してなる反射型液晶表示装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、反射防止層なしで外光の反射が少なく、明るくて見易い表示のフロントライト式反射型液晶表示装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
暗部等での視認を可能とするサイドライト型導光板よりなる面光源装置を視認側に有するフロントライト式の反射型液晶表示装置が知られていた(特開平12−111900号公報)。フロントライト式では導光板を通して表示光を視認するため導光板には、側面からの入射光ないしその伝送光が上面より液晶表示の視認方向に漏れ出ないこと、下面からの出射光が法線方向の指向性に優れること、その出射光を液晶パネルの反射層で反転させて上面から透過させる際に光を散乱させず表示像を乱さないことの特性が要求され、光の利用効率が高くて輝度に優れることなども望まれる。
【0003】
また反射型液晶表示装置では、導光板による外光反射、特に下面での反射光や液晶パネル表面での反射光が表示光と重複してコントラストを低下させやすく、特に外光モードでの表示品位を低下させやすい。そのためその反射防止を目的に誘電体多層膜からなる高度な反射防止手段を採る必要があり、その製造に多時間、多労力を要する難点があった。
【0004】
前記に鑑み導光板よりも低屈折率の粘着層を介して導光板と液晶パネルを接着することにより、反射防止膜の付設を不要化する技術も提案されている(特開2002−23155号公報)。しかしながらフッ素等の導入で粘着層の低屈折率化を図ると表面エネルギーの低下と共に粘着層の接着力も低下して必要な接着力が発現せず、必要な接着力を維持した粘着剤組成では低屈折率化に不足して、光源から遠離るほど導光板の発光輝度が低下し面発光における明暗のバラツキが大きい問題点があった。
【0005】
【発明の技術的課題】
本発明は、反射防止層を設ける必要なく導光板下面や液晶パネル表面での外光反射を低減でき、面発光における輝度の均一性にも優れてコントラストや明るさに優れ、見やすい表示のフロントライト式反射型液晶表示装置の開発を課題とする。
【0006】
【課題の解決手段】
本発明は、上下面とその上下面間の側面からなる入射側面を具備する透明板の上面に、前記入射側面からの入射光を下面に向けて反射してその下面より出射させる光路変換斜面を具備する凹部又は凸部の複数からなる光出射手段を有する導光板を、反射層を具備する液晶セルの視認側に接着層を介し接着してなり、かつその接着層と液晶セルとの間に、偏光板と、それよりも接着層側に位置して前記透明板よりも低屈折率の透明層とを少なくとも有すると共に、前記入射側面に光源を配置してなることを特徴とする反射型液晶表示装置を提供するものである。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、反射防止層を設ける必要なく導光板下面や液晶パネル表面での外光反射を低減でき、入射側面からの入射光を光源から遠離る位置にも効率よく伝送できて導光板による面発光の輝度やその均一性に優れ、コントラストや明るさに優れて見やすい表示のフロントライト式反射型液晶表示装置を得ることができる。
【0008】
【発明の実施形態】
本発明による反射型液晶表示装置は、上下面とその上下面間の側面からなる入射側面を具備する透明板の上面に、前記入射側面からの入射光を下面に向けて反射してその下面より出射させる光路変換斜面を具備する凹部又は凸部の複数からなる光出射手段を有する導光板を、反射層を具備する液晶セルの視認側に接着層を介し接着してなり、かつその接着層と液晶セルとの間に、偏光板と、それよりも接着層側に位置して前記透明板よりも低屈折率の透明層とを少なくとも有すると共に、前記入射側面に光源を配置してなるものである。
【0009】
前記装置の例を図1に示した。100が反射型液晶表示装置であり、1が導光板を形成する透明板、2が接着層、3が液晶セル、4が透明板1の入射側面に配置された光源である。またAが透明板1の上面に設けた光出射手段を形成する凹部又は凸部、A1が光路変換斜面であり、32が反射層、37が偏光板、38が低屈折率の透明層である。
【0010】
導光板を形成する透明板としては、図例の如く上面、それに対向する下面、上下面間の側面からなる入射側面を少なくとも具備する形態を有するものが用いられる。透明板は、図例の如く均一厚のものであってもよいし、厚さを入射側面から対向する端部に向けて順次薄くした楔形などの形態を有するものであってもよい。
【0011】
前記した楔形等による対向端の薄型化は、軽量化や入射側面からの入射光ないしその伝送光の、上面に形成した光出射手段への入射効率の向上などの点より有利である。透明板の平面形状は、長方形や正方形が一般的であるが、その他の形状であってもよく、方形の角部が面取りされたものなどであってもよい。
【0012】
導光板は、図例の如く透明板1の上面に複数の凹部又は凸部Aからなる光出射手段を設けることにより形成される。またその凹部又は凸部は、光路変換斜面A1を具備して、光源4を配置する入射側面からの入射光ないしその伝送光を当該光路変換斜面を介し透明板の下面に向けて反射してその下面より出射させる特性を示すものとして形成される。
【0013】
入射側面からの入射光ないしその伝送光を反射して透明板の下面より垂直指向性よく出射させると共に、斜面からの漏れ光を抑制する点より好ましい光路変換斜面は、導光板の基準平面に対する傾斜角θ1が35〜48度のものである。斯かる傾斜角の光路変換斜面とすることにより、下面の法線に対して30度以内に最大強度を示す出射光を得ることができる。
【0014】
前記出射光の垂直指向性の向上、就中、下面の法線に対して25度以内、特に20度以内に最大強度を示す出射光を得ると共に、入射側面からの入射光ないしその伝送光を効率よく全反射して斜面からの漏れ光を低減する点より光路変換斜面のより好ましい傾斜角θ1は、38〜45度、就中40〜44である。
【0015】
なお垂直指向性に優れる出射光は、反射型液晶パネルの照明光として利用したときに反射層を介した反射光をパネルの正面方向に近い角度で透過させてパネル正面方向での明るい表示の達成を目的とする。また斜面からの漏れ光の抑制は、反射型液晶パネルの照明光として利用したときに表示像とその漏れ光とが重複してコントラストが低下することの抑制を目的とする。
【0016】
光出射手段を形成する凹部又は凸部は、横断面に基づいて三角形や四角形のものなどの適宜な形態に形成でき、二等辺三角形等の等辺面からなる凹部や凸部にても形成することができる。凹部又は凸部は、上面より溝状に窪んでいるか(凹)、山状に突出しているか(凸)による。
【0017】
光路変換斜面を傷付き難くして耐久性の向上を図る点よりは、図例の如く溝構造(凹)による光出射手段が好ましい。なお横断面は、凹部又は凸部の導光板上面における短辺方向の断面を意味する。また前記の多角形は、厳密なものではなく、面の角度変化や交点の丸みなどは許容される。
【0018】
光源を介した入射側面よりの入射光(矢印)の利用効率や、前記した下面よりの出射光を反射層で反転させて上面より正面(垂直)方向に指向性よく出射させる点などより好ましい光出射手段は、図2に例示した如く、入射側面側に位置する光路変換斜面A1と、その対向面として、導光板の基準平面に対する傾斜角θ2が0超〜10度以下の緩斜面A2を具備する横断面三角形の凹部又は凸部の複数がその横断面方向に隣接して平行に配列したものである。
【0019】
また図3の例の如く、入射側面側に位置する光路変換斜面A1と、その対向面として、導光板の基準平面に対する傾斜角θ3が60度以上の立面A3を具備する凹部又は凸部の複数が間隔をおいて分散分布してなる光出射手段を有し、その分散分布する凹部又は凸部間に、導光板の基準平面に対する傾斜角が0度以上〜10度以下の、導光板1の上面に基づく平坦面11を有する構造も前記の隣接構造と同様に好ましい。なおその場合、図例の如く横断面三角形の凹部からなる光出射手段であることが特に好ましい。
【0020】
前記した光出射手段構造の如く光路変換斜面A1を入射側面と対面させることにより、矢印の如く入射側面から光を入射させた場合にその入射光ないし伝送光を光路変換斜面を介し効率よく受光して下面方向に反射し、液晶パネルの反射層を介し反転させた場合にパネル正面方向への指向性に優れる出射光(照明光)を効率よく得ることができて明るい表示を達成することができる。
【0021】
一方、前記した光路変換斜面間の緩斜面A2や凹部間等の平坦面11は、その部分に入射する板内の伝送光を反射して光路変換斜面に供給すると共に、光路変換斜面による反射光を液晶パネルの反射層を介し反転させて上面より透過させること、及び外光モードでの外光を入射させてそれを反射層を介し反射させ、上面より透過させることを目的とする。斯かる点より平坦面11又は緩斜面A2は、前記した角度範囲にあることが好ましい。
【0022】
伝送光の平行光化による出射光の集光化や正面方向の光量増加、漏れ光の抑制などの点より緩斜面等の好ましい傾斜角は、8度以下、就中5度以下である。上記の如く光路変換斜面と平坦面ないし緩斜面の当該傾斜角を調節することにより、出射光に指向性をもたせることができ、それにより下面に対して垂直方向ないしそれに近い角度で光を出射させることが可能になる。
【0023】
図2に例示の如き凹部又は凸部の隣接構造からなる光出射手段において、導光板上面の当該緩斜面を介した表示光の視認性などの点より好ましい光出射手段は、導光板の全体における緩斜面の傾斜角θ2の角度差(最大・最小値差)を5度以内、就中4度以内、特に0〜3度としたものであり、最寄りの緩斜面間における傾斜角θ2の角度差を1度以内、就中0.3度以内、特に0〜0.1度としたものである。
【0024】
前記により、透過する緩斜面の傾斜角θ2の相違等により表示光が受ける影響を抑制することができる。緩斜面による透過角度の偏向が場所によって大きく相違すると不自然な表示光となり、特に近接画素の近傍における透過像の偏向差が大きいと著しく不自然な表示光となりやすい。
【0025】
また明るい表示光を得る点よりは、外光の入射効率や表示光の透過効率ないし出射効率に優れるものが好ましい。斯かる点より平坦面ないし緩斜面の、導光板の基準平面に対する投影面積が光路変換斜面のそれの5倍以上、就中10〜100倍、特に15〜50倍の光出射手段(凹部又は凸部)とすることが好ましい。これにより液晶パネルによる表示光の大部分を平坦面ないし緩斜面を介して透過させることができる。
【0026】
一般に液晶セルの画素ピッチが100〜300μmであることに鑑みた場合、緩斜面等を介した前記光透過率の確保の点より光路変換斜面は、横断面における導光板上面での長さに基づいて40μm以下、就中1〜30μm、特に5〜20μmに形成されていることが好ましい。斯かる長さは、光路変換斜面を目立ち難くして液晶表示の視認性の向上にも有効である。なお当該長さは、導光板の基準平面に対する光路変換斜面の投影における短辺長(投影幅)を意味する。
【0027】
光路変換斜面は、導光板側面からの入射光ないしその伝送光の実質的な出射機能部分であり、その間隔が広すぎると点灯時の照明が疎となって不自然な表示となる場合がある。その不自然な表示を防止する点より、図2に例示した如き隣接構造の光出射手段を形成する凹部又は凸部の、横断面における導光板上面での長さ(ピッチ)Pは、50μm〜1.5mmとすることが好ましい。また図3に例示した分散分布の光出射手段を形成する凹部又は凸部の配置ピッチPについても50μm〜1.5mmとすることが好ましい。
【0028】
なお前記の長さないし配置ピッチPは、一定であってもよいし、例えばランダムピッチや所定数のピッチ単位をランダム又は規則的に組合せたものなどの如く不規則であってもよい。斯かる長さないし配置ピッチは、光出射手段、特にその光路変換斜面を目立ち難くして液晶表示の視認性の向上にも有効であり、この点よりは長さないし配置ピッチを小さくするほど有利である。
【0029】
光出射手段を形成する凹部又は凸部は、横断面に対し直交する方向において、従って入射側面の長辺方向において、導光板の一端から他端まで連続したものであってもよいし、所定寸法のものが所定のピッチで断続配置された分断状態のものであってもよい。
【0030】
前記の凹部又は凸部、特に導光板の一端から他端まで連続したものからなる光出射手段では、液晶セルの画素と干渉してモアレを生じる場合がある。モアレの防止は、凹部又は凸部の前記した長さないし配置ピッチの調節で行いうる。また画素に対して凹部又は凸部が交差状態となるようにその凹部等を入射側面に対し傾斜状態に形成してモアレを防止することもできる。
【0031】
前記した交差方式の場合、傾斜角が大きすぎると光路変換斜面等を介した反射に偏向を生じて出射光の方向に大きな偏りが発生し、導光板の光伝送方向における発光強度の異方性が大きくなって光利用効率も低下し、表示品位の低下原因となりやすい。
【0032】
前記した不都合の発生防止の点より、入射側面に対する凹部又は凸部の傾斜角は、導光板の上面側から見たときに、光路変換斜面に対する法線と入射側面に対する法線との交差角度に基づいて、0〜30度、就中25度以下、特に20度以下とすることが好ましい。液晶セルの解像度が低くてモアレを生じない場合や、モアレを無視しうる場合には凹部又は凸部の長辺方向は、入射側面に平行なほど好ましい。
【0033】
モアレ防止の点より有利な光出射手段は、図3の例の如く光路変換斜面A1と立面A3からなる横断面三角形の凹部又は凸部、特に上記した断続配置のものを間隔をおいて分布させたものである。その分布は、規則的であってもよいし、不規則であってもよい。モアレ防止には不規則な分布が有利である。光出射手段を形成する凹部又は凸部は、面発光における輝度の均一化を目的に入射側面より遠離るほど密に配置した分布であってもよい。面発光における輝度の均一化の達成は、入射側面より遠離るほど凹部又は凸部の、例えば深さ又は高さや長さに基づく面積、特にその光路変換斜面の面積を大きくする方式などにても行うことができる。
【0034】
また光出射手段の光路変換斜面は、光源と対面していることが光の受光効率ないし出射効率の向上の点より好ましいことから、例えば冷陰極管のような線状光源を入射側面に配置する場合には、光路変換斜面の長辺方向を入射側面に可及的に平行に配置した分布であってもよいし、光源の長さが短い場合には、光源の端部近傍における光路変換斜面については、その長辺方向が光源側を向くように入射側面に対し傾斜させた分布であってもよい。さらに光源が発光ダイオードのような点光源の場合には、光路変換斜面の長辺方向が点光源と対面するようにピット状(同心円状)に配置した分布であってもよい。
【0035】
図3に例示の如き光路変換斜面A1と立面A3からなる凹部又は凸部による光出射手段は、視覚され難くする点よりも有利である。その場合には、導光板の基準平面に対する立面の傾斜角を60度以上、就中65度以上、特に70〜90度とすることが好ましい。また光出射手段を形成する複数の凹部又は凸部が導光板上面に占める面積を20%以下、就中2〜15%、特に4〜10%とすることが好ましい。
【0036】
前記の場合、外光モードと点灯モードにおける明るさをバランスさせる点より、光出射手段を形成する凹部又は凸部の大きさを、導光板上面における平面形状に基づいてその長辺長を短辺長の5倍以上、就中8〜500倍、特に10〜100倍とし、長辺長を5μm〜1mm、就中10〜500μm、特に20〜300μmとすることが好ましい。
【0037】
導光板を形成する透明板は、上記したように適宜な形態とすることができる。楔形等とする場合にもその形状は適宜に決定でき、直線面や曲面などの適宜な面形状とすることができる。ちなみに光出射効率やその均一化の向上の点よりは導光板の上面を凸形に湾曲させた形態が好ましい。導光板の下面や入射側面の形状についても特に限定はなく、適宜に決定してよい。一般には可及的に平滑でフラットな下面及びその下面に対して垂直な入射側面とされる。入射側面については、例えば湾曲凹形などの光源の外周等に応じた形状として、光の入射効率の向上を図ることもできる。さらに光源との間に介在する導入部を有する入射側面構造などとすることもでき、その導入部は、光源などに応じて適宜な形状とすることができる。
【0038】
光出射手段を形成する凹部又は凸部の光路変換斜面や緩斜面等についても直線面や屈折面や湾曲面等の適宜な面形態とすることができる。面の交点からなる角部は、その丸みの曲率半径の和が凹部又は凸部の深さ又は高さの25%以下、就中20%以下、特に15%以下であることが視覚性の低減や散乱光の低減ないし光出射光率の向上の点より好ましい。光出射手段を形成する凹部又は凸部は、ピッチに加えてサイズや形状なども異なるものの組合せとすることもできる。
【0039】
導光板ないし透明板は、光源の波長域に応じそれに透明性を示す有機や無機の適宜な材料にて形成しうる。ちなみに可視光域では、例えばポリメチルメタクリレートの如きアクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系樹脂やポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂、アセテート系樹脂やポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレートやエポキシ系樹脂等で代表される熱可塑性や熱硬化性、光硬化性の透明樹脂、ガラスなどがあげられる。無機材料と有機材料の組合わせ物であってもよい。複屈折を示さないか、複屈折の小さい材料で形成した透明板が好ましく用いられる。
【0040】
導光板は、切削法にて透明板に所定の光出射手段を形成する方法などにても製造でき、適宜な方法で製造することができる。量産性等の点より好ましい製造方法としては、所定の光出射手段を形成しうる金型等を予め準備してその型に、熱可塑性樹脂を加熱下に押付て形状を転写する方法、加熱溶融させた熱可塑性樹脂あるいは熱や溶媒を介して流動化させた樹脂を充填する方法、熱や紫外線ないし放射線等で重合処理しうる液状樹脂やオリゴマーやモノマー等を充填ないし流延して重合処理する方法などがあげられる。所定の光出射手段を形成しうる中駒を取り付けた金型を使用して射出成形方式により導光板を製造することもできる。
【0041】
また所定の光出射手段形状に成形しうる型に前記の液状樹脂等を充填し、その上に透明板を静置して当該充填層を重合処理する方法や、透明板に前記の液状樹脂等を塗布しその塗布層を所定の光出射手段形状に成形しうる型を介し成形した後、その成形層を重合処理する方法などもあげられる。前記の場合、透明板に代えて透明フィルム等を用いて重合処理した後、所定の形状に打抜き方式等の適宜な方式で裁断し、そのフィルムを接着剤等を介し透明板に接着する方法なども採ることができる。
【0042】
従って導光板は、光の伝送を担う導光部としての透明板に、光出射手段を形成した塗工層や透明フィルムを接着したものの如く、同種又は異種の材料からなる積層体などとして形成されていてもよく、1種の材料による一体的単層物として形成されている必要はない。
【0043】
前記の場合、光出射手段を有する層は、塗工層として透明板に直接設けることもできるし、光出射手段を形成した透明フィルムとしてそれを透明板に接着層を介し積層する方式などにても設けることができる。その場合、塗工層と透明板との屈折率差、あるいは透明フィルムと透明板と接着層との屈折率差が大きいと界面反射により光の利用効率が低下しやすいので、それら層間の屈折率差は0.05以内、就中0.01以内、特に0.005以内にあることが好ましい。
【0044】
前記の接着層を形成する接着剤としては、光透過性の適宜なものを用いうる。接着作業の簡便性の点よりは、例えばアクリル系やシリコーン系、ポリエステル系やポリウレタン系、ポリエーテル系やゴム系などで代表される粘着剤が好ましく用いられる。就中、耐熱性や光学特性等に優れるアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
【0045】
導光板の厚さは、使用目的による導光板のサイズや光源の大きさなどにより適宜に決定することができる。一般的な厚さは、その入射側面に基づき10mm以下、就中0.1〜5mm、特に0.3〜3mmである。明るい表示を達成する点などより好ましい導光板は、上下面方向の入射光、特に下面から上面への垂直入射光の全光線透過率が90%以上、就中92%以上、特に95%以上で、ヘイズが30%以下、就中15%以下、特に10%以下のものである。
【0046】
反射型液晶表示装置の形成に際して導光板は、図1に例示の如く透明板1の入射側面に光源4を配置して面光源装置とされる。光源は、透明板に設けた1又は2以上の入射側面に配置することができる。また光源は、導光板を液晶セルに対して配置する前又は後の適宜な段階で配置しうる。
【0047】
光源としては適宜なものを用いうる。一般には例えば(冷,熱)陰極管等の線状光源、発光ダイオード等の点光源や、それを線状や面状等に配列したアレイ体、あるいは点光源を一定又は不定間隔の線状発光状態に変換する装置を用いた光源などが好ましく用いうる。就中、入射側面への適用性などの点より細長い形態を有してその長さ方向に細長く発光する発光体である線状光源、特に低消費電力性や耐久性等の点より冷陰極管が好ましく用いられる。
【0048】
面光源装置の形成に際しては、必要に応じて図例の如く光源4からの発散光を透明板1の入射側面に導くために、光源を包囲するランプリフレクタ41などの適宜な補助手段を配置した組合せ体とすることもできる。ランプリフレクタとしては、高反射率金属薄膜を付設した樹脂シートや金属箔などが一般に用いられる。ランプリフレクタは、透明板の端部に接着剤等を介し接着して光源の保持手段として利用することもでき、その場合にはランプリフレクタの接着部分については光出射手段の形成を省略することもできる。
【0049】
図1の例の如く反射型液晶表示装置は、導光板1ないしそれを面光源装置としたものをサイドライト型のフロントライトとして利用するために、反射層を具備する液晶セルの視認側に配置することにより形成される。その場合、導光板1は、光出射手段を有しない側をセル側にして配置され、かつセルの視認側に接着層2を介して接着処理される。
【0050】
前記の接着処理により導光板下面や、液晶セルないしそれに偏光板等の光学層を付設してなる液晶パネルの表面での外光反射を低減でき、反射防止層の付設を不要化することができる。接着層には上記の導光板で例示したものなどの適宜なものを用いることができ、粘着層が好ましく用いうる。外光反射の低減の点よりは、導光板の透明板との屈折率差が0.03以内、就中0.01以内、特に0.005以内の接着層を介した接着処理が好ましい。
【0051】
図1の例の如く反射型液晶表示装置100は、上記したフロントライト、電極を具備して液晶シャッタとして機能する液晶セルとそれに付随の駆動装置、反射層及び必要に応じての光学層等の構成部品を適宜に組立てることなどにより形成され、本発明においては図例の如く、接着層2と液晶セルとの間に、偏光板37と、それよりも接着層2の側に位置して導光板の透明板1よりも低屈折率の透明層38とを少なくとも有するものとされる。
【0052】
液晶セルとしては、例えばTN液晶セルやSTN液晶セル、垂直配向セルやHANセル、OCBセルの如きツイスト系や非ツイスト系、ゲストホスト系や強誘電性液晶系の液晶セルなどの適宜なものを用いることができ、特に限定はない。また液晶セルにおける液晶の駆動方式についても特に限定はなく、例えばアクティブマトリクス方式やパッシブマトリクス方式などの適宜な駆動方式であってよい。なお図1において液晶セル3は、セル基板31、35の間に液晶層33をシール剤にて封入することにより形成されている。セル基板内に設けた透明電極や配向膜の図示は省略されている。
【0053】
反射型液晶表示装置では反射層の配置が必須であるが、その配置位置については適宜に決定でき、例えば液晶セルの背面側セル基板31の外側に設けることもできるし、図例の如く液晶セルの背面側セル基板31の内側に設けることもできる。後者の反射層32を液晶セルの内側に有するものは、パララックスの発生防止の点で好ましい。
【0054】
反射層は、例えばアルミニウムや銀、金や銅やクロム等の高反射率金属の粉末をバインダ樹脂中に含有する塗工層や、蒸着方式等による金属薄膜の付設層、その塗工層や付設層を基材で支持した反射シート、金属箔などの従来に準じた適宜な反射層として形成することができる。
【0055】
液晶セルの内部に反射層32を設ける場合、その反射層は、前記の高反射率金属等の高導電性材料にて電極を兼ねるものとして形成することもできるし、透明電極等と併設することもでき、また透明電極にて形成することもできる。なおセル基板や電極は、照明光や表示光を透過させる必要のない位置にあるものでは、透明基板や透明電極である必要はなく、不透明体にて形成することもできる。
【0056】
図例の如く接着層2と視認側セル基板35との間に配置する偏光板37としては、適宜なものを用いることができ、特に限定はない。ちなみにその例としてはポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて延伸し、必要に応じ架橋処理したフィルム、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン配向フィルムなどの、透過光として直線偏光が得られる偏光フィルムがあげられる。
【0057】
また偏光板は、前記偏光フィルムの片面又は両面に耐水性等の保護目的で、樹脂の塗布層やフィルムのラミネート層等からなる透明保護層を有するものであってもよい。さらに液晶ポリマーや液晶含有のポリマーからなる偏光層を有する偏光板などもあげられる。透過率の高い偏光板が明るい表示等の点より好まし用いられる。なお図例では、偏光板を視認側にのみ配置したものを示したが、反射層が背面側セル基板31の外側に位置する場合にはその基板31と反射層の間にも偏光板を配置した構造とすることもできる。
【0058】
図1の例の如く接着層2と視認側偏光板37の間に配置する、導光板の透明板1よりも低屈折率の透明層38は、輝度とその均一性の向上を目的とする。すなわち視認側の偏光板上に透明板1よりも屈折率の低い層を設けることで、光源4からの入射光が導光板内を伝送される際に、その伝送光を透明板1と透明層38との屈折率差を介し全反射させて導光板内に効率よく閉じ込めて、伝送光を入射側面に対向する側面側(後方)に効率よく伝送し、光源から遠い位置における光出射手段の光路変換斜面A1にも伝送光を均等性よく供給し、その斜面による反射を介し光路変換して光出射面全体における発光の明るさの均一性の向上を目的とする。
【0059】
また低屈折率の透明層は、前記の伝送光がその透明層よりもセル側に位置する偏光板等の光学層に入射して減衰や複屈折を受け、それにより伝送状態が部分的に変化して伝送光が減少したり不均一化することの防止なども目的とする。すなわち伝送光が偏光板に入射すると吸収されて減衰する。また光学層として位相差板を付加したものではその位相差板による位相差により、偏光板を介した直線偏光が楕円偏光となり、偏光板に再入射した際に吸収され減衰する。
【0060】
導光板1を液晶セルの視認側に接着層2を介し接着して界面反射を抑制する構造では、透明板との屈折率差が可及的に小さい接着層を用いて界面反射を防止することが有利である。しかしその場合には、入射側面からの入射光やその伝送光が接着層を透過して液晶セル側に入射しやすくなり、前記した伝送光の減衰等が生じやすくなる。
【0061】
前記伝送光の減衰は、そのまま出射光量の減少となり照明光が暗くなって液晶表示が暗くなる。また伝送距離に応じて減衰も大きくなり、光源から遠離るほど照明光が暗くなって明るさの均一性が低下する。さらに図1の例の如くセル内にカラーフィルタ34などの光吸収体を設けた構造では、入射側面からの入射光やその伝送光がセル内に入射すると吸収されて輝度が大きく低下する。
【0062】
従って低屈折率の透明層を設けて入射側面からの入射光やその伝送光を屈折率差による全反射で導光板内に効率よく閉じ込めて、液晶セル側への透過を防止することにより、後方への光伝送効率や入射光の利用効率が向上し、導光板による面発光の輝度とその均一性が向上して、液晶表示の明るさとその均一性の向上に大きく寄与する。
【0063】
伝送光の全反射による後方への伝送効率等の点より、低屈折率の透明層と導光板を形成する透明板との屈折率差は、大きいほど有利であり、0.07以上、就中0.1以上、特に0.2〜0.4であることが好ましい。斯かる程度の屈折率差では外光モードによる表示品位に殆ど影響しない。ちなみに当該屈折率差が0.1の場合、その界面での外光の反射率は0.1%以下であり、その反射損による明るさやコントラストの低下は極めて小さい。
【0064】
低屈折率の透明層は、例えば無機系や有機系の低屈折率誘電体、特にフッ素含有化合物やシリコーン系樹脂、超低密度樹脂の如き適宜な材料の1種又は2種以上を用いて、真空蒸着方式やスピンコート等のコーティング方式、ゾルゲル方式などの適宜な方式の1種又は2種以上を適用して形成することができ、その材料や形成方法について特に限定はない。低屈折率化や耐久性などの点よりは、例えばフッ化マグネシウムの如き無機誘電体による低屈折率透明層が好ましい。低屈折率の超微粒子を含有させた樹脂の塗工層などとして形成することもできる。
【0065】
低屈折率の透明層の配置位置は、前記した働きの点より導光板に可及的に近いことが好ましい。斯かる点より通例、図1の例の如く導光板1を液晶セルの視認側に接着する接着層2に隣接して設けることが好ましい。その場合、低屈折率の透明層は、液晶セル側において接着層2の最寄り位置に配置される光学層の視認側表面に前記したコート方式等にて直接設けることもできるし、別体の透明フィルムに付設した状態で必要に応じ接着層を介して接着配置することもできる。斯かる方式によれば低屈折率透明層の連続製造も可能である。導光板の下面に低屈折率透明層を直接設ける方式ではバッチ式となり連続製造が困難である。
【0066】
従って図例の如く接着層2に最寄りの当該光学層が偏光板37である場合にはその視認側表面に低屈折率の透明層を設けることができ、透明フィルムに付設したものであるときにはそのフィルムを偏光板の上記した透明保護層として配置することもできる。なお低屈折率の透明層の付設面は、平滑なほど平滑な透明層を形成できて伝送光の散乱防止や表示光への影響防止の点より好ましい。また低屈折率の透明層に隣接する接着層やフィルムは、前記した導光板を形成する透明板に準じた屈折率であることが好ましい。
【0067】
低屈折率の透明層の厚さは、薄すぎると波動のしみだし現象で上記した閉じ込め効果に薄れる場合があることより厚いほど有利である。その厚さは、全反射効果等の点より適宜に決定しうるが一般には、可視光に対する全反射効果等の点より100nm〜10μm、就中200nm〜8μm、特に400nm〜5μm、さらには600nm〜3μmとされる。
【0068】
上記したように液晶表示装置の形成に際しては、例えば位相差板や視差補償フィルム、光拡散層などの、反射型液晶表示装置の形成に用いられることのある光学層の1層又は2層以上を必要に応じて配置することができる。その光学層の種類について特に限定はない。光学層がフィルム等の別体物として形成されたものである場合には、図例の如く接着層36を介して接着されていることが液晶表示の明るさの点より好ましい。
【0069】
前記の光学層は、液晶表示装置の製造工程で液晶セルに順次別個に積層して適用でき、また導光板と予め積層して液晶セルに適用することもできる。さらに光学層の2層以上を予め接着層等を介し積層一体化してなる光学シートとして液晶セル又は導光板に接着適用することもできる。また液晶セルに偏光板等の光学層を付設してなる液晶パネルとして導光板との接着処理に供することもできる。導光板に適用する場合、光出射手段を有しない側に光学層を配置することが一般的である。
【0070】
前記した位相差板としては、1/4波長板や1/2波長板の如き各種の波長板やその他の位相差特性を示す、例えば液晶セルによる複屈折の補償を目的とするものなどの適宜なものを1層又は2層以上配置することができる。位相差板は、例えば偏光板と液晶パネルとの間などの適宜な位置に配置でき、表示精度の点よりは図1の例の偏光板との組合せにて円偏光ないし楕円偏光モードにて液晶表示を達成するようにしたものが好ましい。
【0071】
位相差板は、上記の透明板で例示の透明樹脂などからなる高分子フィルムを延伸した複屈折性フィルムや液晶ポりマーの配向層などとして得ることができる。特に前記した視角補償フィルムは、液晶表示装置の画像が鮮明に見える角度を広げる機能を有する補償用位相差板の1種であり、トリアセチルセルロース等からなる高分子フィルムにディスコチック液晶層を塗工付設したものなどがあげられる。なお前記の複屈折性フィルムは、自由端や固定端による一軸延伸や二軸延伸、熱収縮性フィルムの接着下に加熱処理する方式などで厚さ方向にも分子配向させる延伸などの、各種の方式で延伸処理したものであってよい。
【0072】
光拡散層は、明暗ムラの防止による明るさの均等化や隣接光線の混交によるモアレの低減などを目的に必要に応じて設けられる。光拡散層としても適宜なものを用いることができる。ちなみにその例としては低屈折率の透明樹脂中に高屈折率の透明粒子を分散させた塗布硬化層や、気泡を分散させた透明樹脂の塗布硬化層、表面を溶媒を介し膨潤させてクレイズを発生させたものや、不規則な光出射手段面を有する透明板、あるいはそれらの層を支持基材に設けた拡散シートなどがあげられる。
【0073】
前記の不規則な光出射手段面は、透明板やその上に設けた透明樹脂の塗布層の表面に粗面化処理したロールや金型等の粗面形状を転写する機械的方式又は/及び化学的処理方式などの適宜な方式で形成することができる。従って光拡散層は、導光板に対しても設けることができ、液晶表示装置の適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。また光拡散層としては表示光を乱さない程度の弱い拡散能を示すものが好ましく用いられる。
【0074】
なお前記の透明粒子には例えば平均粒径が0.5〜30μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性のこともある無機系粒子や、架橋又は未架橋ポリマー等の有機系粒子などの適宜なものを1種又は2種以上用いうる。
【0075】
反射型液晶表示装置の形成に際して導光板は、少なくともその入射側面側を液晶セルの端部より外側に突出させて配置することもできる。斯かる突出配置は、光源部4,41による液晶表示の視認妨害や液晶セルに対する照明妨害を防止できて好ましい。また斯かる突出配置は、光源部が障害とならずに液晶セル等との接着処理、その接着処理後の光源の交換等の取り付け、さらにはリフレクタによる光源の被覆やその取り付けの際の導光板の上下面に対する密着処理などを容易に行える利点などもある。
【0076】
反射型液晶表示装置の視認は、上記したように導光板を介して行われる。すなわち図例では面光源装置の点灯モードにおいて、導光板の下面より出射した光が液晶層33等を経由して反射層32を介し反射され、液晶層等を逆経由して導光板1に至り、凹部又は凸部A間の平坦面11を透過した表示光が視認される。
【0077】
一方、面光源装置が非点灯の外光モードの場合においても、導光板上面の平坦面11より入射した光が導光板や液晶層等を前記に準じ透過・逆経由して導光板1に至り、平坦面を透過した表示光が視認される。なお面光源装置の点灯・消灯は適宜な方式にて行うことができる。
【0078】
液晶表示装置を形成する各部品は、その部品間に空気層が介在しないように必要に応じ接着層等を介して固着されていることが明るい表示の点より好ましい。その固着処理には上記に例示の適宜な透明接着剤を用いることができ、その接着層に上記した透明粒子等を含有させて拡散機能を示す接着層などとすることもできる。また前記の部品、特に視認側に配置される部品は、その耐久性や信頼性の向上を目的に紫外線吸収能を有する安定剤を添加したものであってもよい。
【0079】
【実施例】
例1
予め所定形状に加工したポリメチルメタクリレートからなる透明板(屈折率1.495)の表面をダイヤモンドバイトにて切削し、上面に光出射手段を有する導光板を形成した。その導光板は、幅30mm、奥行40mm、入射側面の厚さ1mm、対向端の厚さ0.8mmであり、上下面が平坦である。
【0080】
また光出射手段は、傾斜角41.5〜43度の光路変換斜面と傾斜角1〜2度の緩斜面からなる横断面三角形で、入射側面に平行な連続溝を隣接して210μmのピッチで有し(図2)、入射側面側に位置してそれと対面する光路変換斜面の下面に対する投影幅が6〜9μmであり、緩斜面/光路変換斜面の下面に対する投影面積比が20/1以上のものであった。また最寄り緩斜面間の傾斜角度差は0.1度以内であった。なお光出射手段は、入射側面より2mm離れた位置より形成した。
【0081】
次に視認側表面に屈折率1.38のフッ化マグネシウムを厚さ610nmに真空蒸着して低屈折率透明層を設けた偏光板を屈折率1.52のアクリル系粘着層を介し前記導光板の下面に接着し、それをその偏光板側を介し液晶セル内に拡散型反射層を有する市販の液晶パネルの視認側に屈折率1.52のアクリル系粘着層を介し接着して、オートクレー部内で加熱・加圧し密着させた。
【0082】
ついで入射側面側を液晶パネル端よりも約2mm突出させて接着した前記導光板の入射側面に直径2mmの冷陰極管(ハリソン電機社製)を密着配置し、それを銀蒸着を施したポリエステルフィルムからなるランプリフレクタにて包囲して、その縁を導光板の上下端面に両面粘着テープで接着して固定し、反射型液晶表示装置を得た。
【0083】
なお前記の冷陰極管には入射側面長よりも十分に長いものを用い、その管径の中心部と入射側面の厚さ方向の中心部とを対応させて、かつ冷陰極管の長さ方向の中心部と入射側面の長さ方向の中心部とを対応させて配置した。また冷陰極管にインバータ、直流電源を接続し、その電源のオン・オフで点灯/消灯を切り替えうるようにした。
【0084】
例2
予め所定の形状に形成した金型を用いて異なる光出射手段を有する導光板を形成しそれを用いたほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。光出射手段は、傾斜角が約42度の光路変換斜面と傾斜角が約75度の立面を有する横断面三角形であり、導光板上面での長辺長が100μmで、短辺長が10μmの矩形凹部を当該上面に均等な密度で分散配置してなり、凹部の長辺方向を入射側面に平行とし、光路変換斜面を入射側面側に位置させた(図3)。なお光出射手段/凹部間の平坦面(上面)の投影面積比は1/15である。
【0085】
例3
無延伸のポリカーボネートフィルムに低屈折率の透明層を設けてそのフィルムの両面に屈折率1.52のアクリル系粘着層を付設し、それを介して導光板と偏光板を接着したほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
【0086】
例4
低屈折率の透明層を設けないほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
【0087】
例5
導光板の下面に屈折率が1.41の硬化層を形成する紫外線硬化性のフッ素含有アクリル系樹脂を塗布して偏光板と密着させ、紫外線を照射して接着層を兼ねる低屈折率の透明層を設けたほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
【0088】
例6
導光板の下面に屈折率が1.43のフッ素含有アクリル系粘着層を設けて偏光板と接着し、接着層を兼ねる低屈折率の透明層を設けたほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
【0089】
例7
光路変換斜面の傾斜角を30度とした導光板を用いたほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
【0090】
例8
サンドブラストにて粗面化した金型を用いて光散乱性の凹凸を有する導光板を形成してそれを用いたほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
【0091】
例9
接着層を用いずに導光板と偏光板を厚さ0.5mmの枠スペーサを介して配置したほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
【0092】
評価試験
実施例、比較例で得た反射型液晶表示装置を、暗室中で面光源装置を点灯して白表示状態の点灯モードとし、導光板の幅方向中心における入射側面より10mm、20mm、30mmの位置における視認面での正面輝度を輝度計(トプコン社製、BM−7)にて調べると共に、視認性を目視評価した。
【0093】
前記の結果を下表に示した。
【0094】
表より、例9が明るいが導光板下面での表面反射が大きくて白ボケの表示であり、コントラストに乏しく、明るい環境での外光モードによる表示においても導光板とパネル表面に外光が映り込んで非常に見難い表示であった。一方、例1〜3では点灯モードによる輝度が高く、そのバラツキも少なくて均一性に優れており、外光モードによる表示も良好であった。
【0095】
例4では低屈折率透明層がないために偏光板による吸収減衰が発生して光源から遠離るほど輝度が大きく低下した。例5、6では40℃、湿度95%の恒温恒湿環境に120時間放置後、通常の室内環境に24時間放置したときに接着層(低屈折率透明層)と偏光板の界面で剥離し、点灯モードによる視認において剥離部分での外光反射が大きく非常に見難い表示であった。例1〜3では同様の試験で剥離は発生せず、良好な表示品位を維持した。
【0096】
例7、8では光出射手段の影響で良好な面発光が得られなかった。なお例5では接着処理後に導光板を剥がし難く、未硬化時においても導光板を一旦剥がすと気泡が混入して再接着に供することができず、導光板が接着用樹脂で汚染されて非常に使いづらかった。
【0097】
以上より例1〜3において、反射防止層を設けない構造で外光反射を抑制して点灯・外光両モードにおいて、明るくてその均一性に優れる良好な表示品位のフロントライ式反射型液晶表示装置の実現されていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射型液晶表示装置の断面図
【図2】導光板の断面図
【図3】他の導光板の断面図
【符号の説明】
100:反射型液晶表示装置
1:透明板(導光板)
A:光出射手段を形成する凹部又は凸部
A1:光路変換斜面 A2:緩斜面 A3:立面
2:接着層 3:液晶セル(32:反射層) 4:光源
37:偏光板 38:低屈折率の透明層
【発明の技術分野】
本発明は、反射防止層なしで外光の反射が少なく、明るくて見易い表示のフロントライト式反射型液晶表示装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
暗部等での視認を可能とするサイドライト型導光板よりなる面光源装置を視認側に有するフロントライト式の反射型液晶表示装置が知られていた(特開平12−111900号公報)。フロントライト式では導光板を通して表示光を視認するため導光板には、側面からの入射光ないしその伝送光が上面より液晶表示の視認方向に漏れ出ないこと、下面からの出射光が法線方向の指向性に優れること、その出射光を液晶パネルの反射層で反転させて上面から透過させる際に光を散乱させず表示像を乱さないことの特性が要求され、光の利用効率が高くて輝度に優れることなども望まれる。
【0003】
また反射型液晶表示装置では、導光板による外光反射、特に下面での反射光や液晶パネル表面での反射光が表示光と重複してコントラストを低下させやすく、特に外光モードでの表示品位を低下させやすい。そのためその反射防止を目的に誘電体多層膜からなる高度な反射防止手段を採る必要があり、その製造に多時間、多労力を要する難点があった。
【0004】
前記に鑑み導光板よりも低屈折率の粘着層を介して導光板と液晶パネルを接着することにより、反射防止膜の付設を不要化する技術も提案されている(特開2002−23155号公報)。しかしながらフッ素等の導入で粘着層の低屈折率化を図ると表面エネルギーの低下と共に粘着層の接着力も低下して必要な接着力が発現せず、必要な接着力を維持した粘着剤組成では低屈折率化に不足して、光源から遠離るほど導光板の発光輝度が低下し面発光における明暗のバラツキが大きい問題点があった。
【0005】
【発明の技術的課題】
本発明は、反射防止層を設ける必要なく導光板下面や液晶パネル表面での外光反射を低減でき、面発光における輝度の均一性にも優れてコントラストや明るさに優れ、見やすい表示のフロントライト式反射型液晶表示装置の開発を課題とする。
【0006】
【課題の解決手段】
本発明は、上下面とその上下面間の側面からなる入射側面を具備する透明板の上面に、前記入射側面からの入射光を下面に向けて反射してその下面より出射させる光路変換斜面を具備する凹部又は凸部の複数からなる光出射手段を有する導光板を、反射層を具備する液晶セルの視認側に接着層を介し接着してなり、かつその接着層と液晶セルとの間に、偏光板と、それよりも接着層側に位置して前記透明板よりも低屈折率の透明層とを少なくとも有すると共に、前記入射側面に光源を配置してなることを特徴とする反射型液晶表示装置を提供するものである。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、反射防止層を設ける必要なく導光板下面や液晶パネル表面での外光反射を低減でき、入射側面からの入射光を光源から遠離る位置にも効率よく伝送できて導光板による面発光の輝度やその均一性に優れ、コントラストや明るさに優れて見やすい表示のフロントライト式反射型液晶表示装置を得ることができる。
【0008】
【発明の実施形態】
本発明による反射型液晶表示装置は、上下面とその上下面間の側面からなる入射側面を具備する透明板の上面に、前記入射側面からの入射光を下面に向けて反射してその下面より出射させる光路変換斜面を具備する凹部又は凸部の複数からなる光出射手段を有する導光板を、反射層を具備する液晶セルの視認側に接着層を介し接着してなり、かつその接着層と液晶セルとの間に、偏光板と、それよりも接着層側に位置して前記透明板よりも低屈折率の透明層とを少なくとも有すると共に、前記入射側面に光源を配置してなるものである。
【0009】
前記装置の例を図1に示した。100が反射型液晶表示装置であり、1が導光板を形成する透明板、2が接着層、3が液晶セル、4が透明板1の入射側面に配置された光源である。またAが透明板1の上面に設けた光出射手段を形成する凹部又は凸部、A1が光路変換斜面であり、32が反射層、37が偏光板、38が低屈折率の透明層である。
【0010】
導光板を形成する透明板としては、図例の如く上面、それに対向する下面、上下面間の側面からなる入射側面を少なくとも具備する形態を有するものが用いられる。透明板は、図例の如く均一厚のものであってもよいし、厚さを入射側面から対向する端部に向けて順次薄くした楔形などの形態を有するものであってもよい。
【0011】
前記した楔形等による対向端の薄型化は、軽量化や入射側面からの入射光ないしその伝送光の、上面に形成した光出射手段への入射効率の向上などの点より有利である。透明板の平面形状は、長方形や正方形が一般的であるが、その他の形状であってもよく、方形の角部が面取りされたものなどであってもよい。
【0012】
導光板は、図例の如く透明板1の上面に複数の凹部又は凸部Aからなる光出射手段を設けることにより形成される。またその凹部又は凸部は、光路変換斜面A1を具備して、光源4を配置する入射側面からの入射光ないしその伝送光を当該光路変換斜面を介し透明板の下面に向けて反射してその下面より出射させる特性を示すものとして形成される。
【0013】
入射側面からの入射光ないしその伝送光を反射して透明板の下面より垂直指向性よく出射させると共に、斜面からの漏れ光を抑制する点より好ましい光路変換斜面は、導光板の基準平面に対する傾斜角θ1が35〜48度のものである。斯かる傾斜角の光路変換斜面とすることにより、下面の法線に対して30度以内に最大強度を示す出射光を得ることができる。
【0014】
前記出射光の垂直指向性の向上、就中、下面の法線に対して25度以内、特に20度以内に最大強度を示す出射光を得ると共に、入射側面からの入射光ないしその伝送光を効率よく全反射して斜面からの漏れ光を低減する点より光路変換斜面のより好ましい傾斜角θ1は、38〜45度、就中40〜44である。
【0015】
なお垂直指向性に優れる出射光は、反射型液晶パネルの照明光として利用したときに反射層を介した反射光をパネルの正面方向に近い角度で透過させてパネル正面方向での明るい表示の達成を目的とする。また斜面からの漏れ光の抑制は、反射型液晶パネルの照明光として利用したときに表示像とその漏れ光とが重複してコントラストが低下することの抑制を目的とする。
【0016】
光出射手段を形成する凹部又は凸部は、横断面に基づいて三角形や四角形のものなどの適宜な形態に形成でき、二等辺三角形等の等辺面からなる凹部や凸部にても形成することができる。凹部又は凸部は、上面より溝状に窪んでいるか(凹)、山状に突出しているか(凸)による。
【0017】
光路変換斜面を傷付き難くして耐久性の向上を図る点よりは、図例の如く溝構造(凹)による光出射手段が好ましい。なお横断面は、凹部又は凸部の導光板上面における短辺方向の断面を意味する。また前記の多角形は、厳密なものではなく、面の角度変化や交点の丸みなどは許容される。
【0018】
光源を介した入射側面よりの入射光(矢印)の利用効率や、前記した下面よりの出射光を反射層で反転させて上面より正面(垂直)方向に指向性よく出射させる点などより好ましい光出射手段は、図2に例示した如く、入射側面側に位置する光路変換斜面A1と、その対向面として、導光板の基準平面に対する傾斜角θ2が0超〜10度以下の緩斜面A2を具備する横断面三角形の凹部又は凸部の複数がその横断面方向に隣接して平行に配列したものである。
【0019】
また図3の例の如く、入射側面側に位置する光路変換斜面A1と、その対向面として、導光板の基準平面に対する傾斜角θ3が60度以上の立面A3を具備する凹部又は凸部の複数が間隔をおいて分散分布してなる光出射手段を有し、その分散分布する凹部又は凸部間に、導光板の基準平面に対する傾斜角が0度以上〜10度以下の、導光板1の上面に基づく平坦面11を有する構造も前記の隣接構造と同様に好ましい。なおその場合、図例の如く横断面三角形の凹部からなる光出射手段であることが特に好ましい。
【0020】
前記した光出射手段構造の如く光路変換斜面A1を入射側面と対面させることにより、矢印の如く入射側面から光を入射させた場合にその入射光ないし伝送光を光路変換斜面を介し効率よく受光して下面方向に反射し、液晶パネルの反射層を介し反転させた場合にパネル正面方向への指向性に優れる出射光(照明光)を効率よく得ることができて明るい表示を達成することができる。
【0021】
一方、前記した光路変換斜面間の緩斜面A2や凹部間等の平坦面11は、その部分に入射する板内の伝送光を反射して光路変換斜面に供給すると共に、光路変換斜面による反射光を液晶パネルの反射層を介し反転させて上面より透過させること、及び外光モードでの外光を入射させてそれを反射層を介し反射させ、上面より透過させることを目的とする。斯かる点より平坦面11又は緩斜面A2は、前記した角度範囲にあることが好ましい。
【0022】
伝送光の平行光化による出射光の集光化や正面方向の光量増加、漏れ光の抑制などの点より緩斜面等の好ましい傾斜角は、8度以下、就中5度以下である。上記の如く光路変換斜面と平坦面ないし緩斜面の当該傾斜角を調節することにより、出射光に指向性をもたせることができ、それにより下面に対して垂直方向ないしそれに近い角度で光を出射させることが可能になる。
【0023】
図2に例示の如き凹部又は凸部の隣接構造からなる光出射手段において、導光板上面の当該緩斜面を介した表示光の視認性などの点より好ましい光出射手段は、導光板の全体における緩斜面の傾斜角θ2の角度差(最大・最小値差)を5度以内、就中4度以内、特に0〜3度としたものであり、最寄りの緩斜面間における傾斜角θ2の角度差を1度以内、就中0.3度以内、特に0〜0.1度としたものである。
【0024】
前記により、透過する緩斜面の傾斜角θ2の相違等により表示光が受ける影響を抑制することができる。緩斜面による透過角度の偏向が場所によって大きく相違すると不自然な表示光となり、特に近接画素の近傍における透過像の偏向差が大きいと著しく不自然な表示光となりやすい。
【0025】
また明るい表示光を得る点よりは、外光の入射効率や表示光の透過効率ないし出射効率に優れるものが好ましい。斯かる点より平坦面ないし緩斜面の、導光板の基準平面に対する投影面積が光路変換斜面のそれの5倍以上、就中10〜100倍、特に15〜50倍の光出射手段(凹部又は凸部)とすることが好ましい。これにより液晶パネルによる表示光の大部分を平坦面ないし緩斜面を介して透過させることができる。
【0026】
一般に液晶セルの画素ピッチが100〜300μmであることに鑑みた場合、緩斜面等を介した前記光透過率の確保の点より光路変換斜面は、横断面における導光板上面での長さに基づいて40μm以下、就中1〜30μm、特に5〜20μmに形成されていることが好ましい。斯かる長さは、光路変換斜面を目立ち難くして液晶表示の視認性の向上にも有効である。なお当該長さは、導光板の基準平面に対する光路変換斜面の投影における短辺長(投影幅)を意味する。
【0027】
光路変換斜面は、導光板側面からの入射光ないしその伝送光の実質的な出射機能部分であり、その間隔が広すぎると点灯時の照明が疎となって不自然な表示となる場合がある。その不自然な表示を防止する点より、図2に例示した如き隣接構造の光出射手段を形成する凹部又は凸部の、横断面における導光板上面での長さ(ピッチ)Pは、50μm〜1.5mmとすることが好ましい。また図3に例示した分散分布の光出射手段を形成する凹部又は凸部の配置ピッチPについても50μm〜1.5mmとすることが好ましい。
【0028】
なお前記の長さないし配置ピッチPは、一定であってもよいし、例えばランダムピッチや所定数のピッチ単位をランダム又は規則的に組合せたものなどの如く不規則であってもよい。斯かる長さないし配置ピッチは、光出射手段、特にその光路変換斜面を目立ち難くして液晶表示の視認性の向上にも有効であり、この点よりは長さないし配置ピッチを小さくするほど有利である。
【0029】
光出射手段を形成する凹部又は凸部は、横断面に対し直交する方向において、従って入射側面の長辺方向において、導光板の一端から他端まで連続したものであってもよいし、所定寸法のものが所定のピッチで断続配置された分断状態のものであってもよい。
【0030】
前記の凹部又は凸部、特に導光板の一端から他端まで連続したものからなる光出射手段では、液晶セルの画素と干渉してモアレを生じる場合がある。モアレの防止は、凹部又は凸部の前記した長さないし配置ピッチの調節で行いうる。また画素に対して凹部又は凸部が交差状態となるようにその凹部等を入射側面に対し傾斜状態に形成してモアレを防止することもできる。
【0031】
前記した交差方式の場合、傾斜角が大きすぎると光路変換斜面等を介した反射に偏向を生じて出射光の方向に大きな偏りが発生し、導光板の光伝送方向における発光強度の異方性が大きくなって光利用効率も低下し、表示品位の低下原因となりやすい。
【0032】
前記した不都合の発生防止の点より、入射側面に対する凹部又は凸部の傾斜角は、導光板の上面側から見たときに、光路変換斜面に対する法線と入射側面に対する法線との交差角度に基づいて、0〜30度、就中25度以下、特に20度以下とすることが好ましい。液晶セルの解像度が低くてモアレを生じない場合や、モアレを無視しうる場合には凹部又は凸部の長辺方向は、入射側面に平行なほど好ましい。
【0033】
モアレ防止の点より有利な光出射手段は、図3の例の如く光路変換斜面A1と立面A3からなる横断面三角形の凹部又は凸部、特に上記した断続配置のものを間隔をおいて分布させたものである。その分布は、規則的であってもよいし、不規則であってもよい。モアレ防止には不規則な分布が有利である。光出射手段を形成する凹部又は凸部は、面発光における輝度の均一化を目的に入射側面より遠離るほど密に配置した分布であってもよい。面発光における輝度の均一化の達成は、入射側面より遠離るほど凹部又は凸部の、例えば深さ又は高さや長さに基づく面積、特にその光路変換斜面の面積を大きくする方式などにても行うことができる。
【0034】
また光出射手段の光路変換斜面は、光源と対面していることが光の受光効率ないし出射効率の向上の点より好ましいことから、例えば冷陰極管のような線状光源を入射側面に配置する場合には、光路変換斜面の長辺方向を入射側面に可及的に平行に配置した分布であってもよいし、光源の長さが短い場合には、光源の端部近傍における光路変換斜面については、その長辺方向が光源側を向くように入射側面に対し傾斜させた分布であってもよい。さらに光源が発光ダイオードのような点光源の場合には、光路変換斜面の長辺方向が点光源と対面するようにピット状(同心円状)に配置した分布であってもよい。
【0035】
図3に例示の如き光路変換斜面A1と立面A3からなる凹部又は凸部による光出射手段は、視覚され難くする点よりも有利である。その場合には、導光板の基準平面に対する立面の傾斜角を60度以上、就中65度以上、特に70〜90度とすることが好ましい。また光出射手段を形成する複数の凹部又は凸部が導光板上面に占める面積を20%以下、就中2〜15%、特に4〜10%とすることが好ましい。
【0036】
前記の場合、外光モードと点灯モードにおける明るさをバランスさせる点より、光出射手段を形成する凹部又は凸部の大きさを、導光板上面における平面形状に基づいてその長辺長を短辺長の5倍以上、就中8〜500倍、特に10〜100倍とし、長辺長を5μm〜1mm、就中10〜500μm、特に20〜300μmとすることが好ましい。
【0037】
導光板を形成する透明板は、上記したように適宜な形態とすることができる。楔形等とする場合にもその形状は適宜に決定でき、直線面や曲面などの適宜な面形状とすることができる。ちなみに光出射効率やその均一化の向上の点よりは導光板の上面を凸形に湾曲させた形態が好ましい。導光板の下面や入射側面の形状についても特に限定はなく、適宜に決定してよい。一般には可及的に平滑でフラットな下面及びその下面に対して垂直な入射側面とされる。入射側面については、例えば湾曲凹形などの光源の外周等に応じた形状として、光の入射効率の向上を図ることもできる。さらに光源との間に介在する導入部を有する入射側面構造などとすることもでき、その導入部は、光源などに応じて適宜な形状とすることができる。
【0038】
光出射手段を形成する凹部又は凸部の光路変換斜面や緩斜面等についても直線面や屈折面や湾曲面等の適宜な面形態とすることができる。面の交点からなる角部は、その丸みの曲率半径の和が凹部又は凸部の深さ又は高さの25%以下、就中20%以下、特に15%以下であることが視覚性の低減や散乱光の低減ないし光出射光率の向上の点より好ましい。光出射手段を形成する凹部又は凸部は、ピッチに加えてサイズや形状なども異なるものの組合せとすることもできる。
【0039】
導光板ないし透明板は、光源の波長域に応じそれに透明性を示す有機や無機の適宜な材料にて形成しうる。ちなみに可視光域では、例えばポリメチルメタクリレートの如きアクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系樹脂やポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂、アセテート系樹脂やポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレートやエポキシ系樹脂等で代表される熱可塑性や熱硬化性、光硬化性の透明樹脂、ガラスなどがあげられる。無機材料と有機材料の組合わせ物であってもよい。複屈折を示さないか、複屈折の小さい材料で形成した透明板が好ましく用いられる。
【0040】
導光板は、切削法にて透明板に所定の光出射手段を形成する方法などにても製造でき、適宜な方法で製造することができる。量産性等の点より好ましい製造方法としては、所定の光出射手段を形成しうる金型等を予め準備してその型に、熱可塑性樹脂を加熱下に押付て形状を転写する方法、加熱溶融させた熱可塑性樹脂あるいは熱や溶媒を介して流動化させた樹脂を充填する方法、熱や紫外線ないし放射線等で重合処理しうる液状樹脂やオリゴマーやモノマー等を充填ないし流延して重合処理する方法などがあげられる。所定の光出射手段を形成しうる中駒を取り付けた金型を使用して射出成形方式により導光板を製造することもできる。
【0041】
また所定の光出射手段形状に成形しうる型に前記の液状樹脂等を充填し、その上に透明板を静置して当該充填層を重合処理する方法や、透明板に前記の液状樹脂等を塗布しその塗布層を所定の光出射手段形状に成形しうる型を介し成形した後、その成形層を重合処理する方法などもあげられる。前記の場合、透明板に代えて透明フィルム等を用いて重合処理した後、所定の形状に打抜き方式等の適宜な方式で裁断し、そのフィルムを接着剤等を介し透明板に接着する方法なども採ることができる。
【0042】
従って導光板は、光の伝送を担う導光部としての透明板に、光出射手段を形成した塗工層や透明フィルムを接着したものの如く、同種又は異種の材料からなる積層体などとして形成されていてもよく、1種の材料による一体的単層物として形成されている必要はない。
【0043】
前記の場合、光出射手段を有する層は、塗工層として透明板に直接設けることもできるし、光出射手段を形成した透明フィルムとしてそれを透明板に接着層を介し積層する方式などにても設けることができる。その場合、塗工層と透明板との屈折率差、あるいは透明フィルムと透明板と接着層との屈折率差が大きいと界面反射により光の利用効率が低下しやすいので、それら層間の屈折率差は0.05以内、就中0.01以内、特に0.005以内にあることが好ましい。
【0044】
前記の接着層を形成する接着剤としては、光透過性の適宜なものを用いうる。接着作業の簡便性の点よりは、例えばアクリル系やシリコーン系、ポリエステル系やポリウレタン系、ポリエーテル系やゴム系などで代表される粘着剤が好ましく用いられる。就中、耐熱性や光学特性等に優れるアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
【0045】
導光板の厚さは、使用目的による導光板のサイズや光源の大きさなどにより適宜に決定することができる。一般的な厚さは、その入射側面に基づき10mm以下、就中0.1〜5mm、特に0.3〜3mmである。明るい表示を達成する点などより好ましい導光板は、上下面方向の入射光、特に下面から上面への垂直入射光の全光線透過率が90%以上、就中92%以上、特に95%以上で、ヘイズが30%以下、就中15%以下、特に10%以下のものである。
【0046】
反射型液晶表示装置の形成に際して導光板は、図1に例示の如く透明板1の入射側面に光源4を配置して面光源装置とされる。光源は、透明板に設けた1又は2以上の入射側面に配置することができる。また光源は、導光板を液晶セルに対して配置する前又は後の適宜な段階で配置しうる。
【0047】
光源としては適宜なものを用いうる。一般には例えば(冷,熱)陰極管等の線状光源、発光ダイオード等の点光源や、それを線状や面状等に配列したアレイ体、あるいは点光源を一定又は不定間隔の線状発光状態に変換する装置を用いた光源などが好ましく用いうる。就中、入射側面への適用性などの点より細長い形態を有してその長さ方向に細長く発光する発光体である線状光源、特に低消費電力性や耐久性等の点より冷陰極管が好ましく用いられる。
【0048】
面光源装置の形成に際しては、必要に応じて図例の如く光源4からの発散光を透明板1の入射側面に導くために、光源を包囲するランプリフレクタ41などの適宜な補助手段を配置した組合せ体とすることもできる。ランプリフレクタとしては、高反射率金属薄膜を付設した樹脂シートや金属箔などが一般に用いられる。ランプリフレクタは、透明板の端部に接着剤等を介し接着して光源の保持手段として利用することもでき、その場合にはランプリフレクタの接着部分については光出射手段の形成を省略することもできる。
【0049】
図1の例の如く反射型液晶表示装置は、導光板1ないしそれを面光源装置としたものをサイドライト型のフロントライトとして利用するために、反射層を具備する液晶セルの視認側に配置することにより形成される。その場合、導光板1は、光出射手段を有しない側をセル側にして配置され、かつセルの視認側に接着層2を介して接着処理される。
【0050】
前記の接着処理により導光板下面や、液晶セルないしそれに偏光板等の光学層を付設してなる液晶パネルの表面での外光反射を低減でき、反射防止層の付設を不要化することができる。接着層には上記の導光板で例示したものなどの適宜なものを用いることができ、粘着層が好ましく用いうる。外光反射の低減の点よりは、導光板の透明板との屈折率差が0.03以内、就中0.01以内、特に0.005以内の接着層を介した接着処理が好ましい。
【0051】
図1の例の如く反射型液晶表示装置100は、上記したフロントライト、電極を具備して液晶シャッタとして機能する液晶セルとそれに付随の駆動装置、反射層及び必要に応じての光学層等の構成部品を適宜に組立てることなどにより形成され、本発明においては図例の如く、接着層2と液晶セルとの間に、偏光板37と、それよりも接着層2の側に位置して導光板の透明板1よりも低屈折率の透明層38とを少なくとも有するものとされる。
【0052】
液晶セルとしては、例えばTN液晶セルやSTN液晶セル、垂直配向セルやHANセル、OCBセルの如きツイスト系や非ツイスト系、ゲストホスト系や強誘電性液晶系の液晶セルなどの適宜なものを用いることができ、特に限定はない。また液晶セルにおける液晶の駆動方式についても特に限定はなく、例えばアクティブマトリクス方式やパッシブマトリクス方式などの適宜な駆動方式であってよい。なお図1において液晶セル3は、セル基板31、35の間に液晶層33をシール剤にて封入することにより形成されている。セル基板内に設けた透明電極や配向膜の図示は省略されている。
【0053】
反射型液晶表示装置では反射層の配置が必須であるが、その配置位置については適宜に決定でき、例えば液晶セルの背面側セル基板31の外側に設けることもできるし、図例の如く液晶セルの背面側セル基板31の内側に設けることもできる。後者の反射層32を液晶セルの内側に有するものは、パララックスの発生防止の点で好ましい。
【0054】
反射層は、例えばアルミニウムや銀、金や銅やクロム等の高反射率金属の粉末をバインダ樹脂中に含有する塗工層や、蒸着方式等による金属薄膜の付設層、その塗工層や付設層を基材で支持した反射シート、金属箔などの従来に準じた適宜な反射層として形成することができる。
【0055】
液晶セルの内部に反射層32を設ける場合、その反射層は、前記の高反射率金属等の高導電性材料にて電極を兼ねるものとして形成することもできるし、透明電極等と併設することもでき、また透明電極にて形成することもできる。なおセル基板や電極は、照明光や表示光を透過させる必要のない位置にあるものでは、透明基板や透明電極である必要はなく、不透明体にて形成することもできる。
【0056】
図例の如く接着層2と視認側セル基板35との間に配置する偏光板37としては、適宜なものを用いることができ、特に限定はない。ちなみにその例としてはポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて延伸し、必要に応じ架橋処理したフィルム、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン配向フィルムなどの、透過光として直線偏光が得られる偏光フィルムがあげられる。
【0057】
また偏光板は、前記偏光フィルムの片面又は両面に耐水性等の保護目的で、樹脂の塗布層やフィルムのラミネート層等からなる透明保護層を有するものであってもよい。さらに液晶ポリマーや液晶含有のポリマーからなる偏光層を有する偏光板などもあげられる。透過率の高い偏光板が明るい表示等の点より好まし用いられる。なお図例では、偏光板を視認側にのみ配置したものを示したが、反射層が背面側セル基板31の外側に位置する場合にはその基板31と反射層の間にも偏光板を配置した構造とすることもできる。
【0058】
図1の例の如く接着層2と視認側偏光板37の間に配置する、導光板の透明板1よりも低屈折率の透明層38は、輝度とその均一性の向上を目的とする。すなわち視認側の偏光板上に透明板1よりも屈折率の低い層を設けることで、光源4からの入射光が導光板内を伝送される際に、その伝送光を透明板1と透明層38との屈折率差を介し全反射させて導光板内に効率よく閉じ込めて、伝送光を入射側面に対向する側面側(後方)に効率よく伝送し、光源から遠い位置における光出射手段の光路変換斜面A1にも伝送光を均等性よく供給し、その斜面による反射を介し光路変換して光出射面全体における発光の明るさの均一性の向上を目的とする。
【0059】
また低屈折率の透明層は、前記の伝送光がその透明層よりもセル側に位置する偏光板等の光学層に入射して減衰や複屈折を受け、それにより伝送状態が部分的に変化して伝送光が減少したり不均一化することの防止なども目的とする。すなわち伝送光が偏光板に入射すると吸収されて減衰する。また光学層として位相差板を付加したものではその位相差板による位相差により、偏光板を介した直線偏光が楕円偏光となり、偏光板に再入射した際に吸収され減衰する。
【0060】
導光板1を液晶セルの視認側に接着層2を介し接着して界面反射を抑制する構造では、透明板との屈折率差が可及的に小さい接着層を用いて界面反射を防止することが有利である。しかしその場合には、入射側面からの入射光やその伝送光が接着層を透過して液晶セル側に入射しやすくなり、前記した伝送光の減衰等が生じやすくなる。
【0061】
前記伝送光の減衰は、そのまま出射光量の減少となり照明光が暗くなって液晶表示が暗くなる。また伝送距離に応じて減衰も大きくなり、光源から遠離るほど照明光が暗くなって明るさの均一性が低下する。さらに図1の例の如くセル内にカラーフィルタ34などの光吸収体を設けた構造では、入射側面からの入射光やその伝送光がセル内に入射すると吸収されて輝度が大きく低下する。
【0062】
従って低屈折率の透明層を設けて入射側面からの入射光やその伝送光を屈折率差による全反射で導光板内に効率よく閉じ込めて、液晶セル側への透過を防止することにより、後方への光伝送効率や入射光の利用効率が向上し、導光板による面発光の輝度とその均一性が向上して、液晶表示の明るさとその均一性の向上に大きく寄与する。
【0063】
伝送光の全反射による後方への伝送効率等の点より、低屈折率の透明層と導光板を形成する透明板との屈折率差は、大きいほど有利であり、0.07以上、就中0.1以上、特に0.2〜0.4であることが好ましい。斯かる程度の屈折率差では外光モードによる表示品位に殆ど影響しない。ちなみに当該屈折率差が0.1の場合、その界面での外光の反射率は0.1%以下であり、その反射損による明るさやコントラストの低下は極めて小さい。
【0064】
低屈折率の透明層は、例えば無機系や有機系の低屈折率誘電体、特にフッ素含有化合物やシリコーン系樹脂、超低密度樹脂の如き適宜な材料の1種又は2種以上を用いて、真空蒸着方式やスピンコート等のコーティング方式、ゾルゲル方式などの適宜な方式の1種又は2種以上を適用して形成することができ、その材料や形成方法について特に限定はない。低屈折率化や耐久性などの点よりは、例えばフッ化マグネシウムの如き無機誘電体による低屈折率透明層が好ましい。低屈折率の超微粒子を含有させた樹脂の塗工層などとして形成することもできる。
【0065】
低屈折率の透明層の配置位置は、前記した働きの点より導光板に可及的に近いことが好ましい。斯かる点より通例、図1の例の如く導光板1を液晶セルの視認側に接着する接着層2に隣接して設けることが好ましい。その場合、低屈折率の透明層は、液晶セル側において接着層2の最寄り位置に配置される光学層の視認側表面に前記したコート方式等にて直接設けることもできるし、別体の透明フィルムに付設した状態で必要に応じ接着層を介して接着配置することもできる。斯かる方式によれば低屈折率透明層の連続製造も可能である。導光板の下面に低屈折率透明層を直接設ける方式ではバッチ式となり連続製造が困難である。
【0066】
従って図例の如く接着層2に最寄りの当該光学層が偏光板37である場合にはその視認側表面に低屈折率の透明層を設けることができ、透明フィルムに付設したものであるときにはそのフィルムを偏光板の上記した透明保護層として配置することもできる。なお低屈折率の透明層の付設面は、平滑なほど平滑な透明層を形成できて伝送光の散乱防止や表示光への影響防止の点より好ましい。また低屈折率の透明層に隣接する接着層やフィルムは、前記した導光板を形成する透明板に準じた屈折率であることが好ましい。
【0067】
低屈折率の透明層の厚さは、薄すぎると波動のしみだし現象で上記した閉じ込め効果に薄れる場合があることより厚いほど有利である。その厚さは、全反射効果等の点より適宜に決定しうるが一般には、可視光に対する全反射効果等の点より100nm〜10μm、就中200nm〜8μm、特に400nm〜5μm、さらには600nm〜3μmとされる。
【0068】
上記したように液晶表示装置の形成に際しては、例えば位相差板や視差補償フィルム、光拡散層などの、反射型液晶表示装置の形成に用いられることのある光学層の1層又は2層以上を必要に応じて配置することができる。その光学層の種類について特に限定はない。光学層がフィルム等の別体物として形成されたものである場合には、図例の如く接着層36を介して接着されていることが液晶表示の明るさの点より好ましい。
【0069】
前記の光学層は、液晶表示装置の製造工程で液晶セルに順次別個に積層して適用でき、また導光板と予め積層して液晶セルに適用することもできる。さらに光学層の2層以上を予め接着層等を介し積層一体化してなる光学シートとして液晶セル又は導光板に接着適用することもできる。また液晶セルに偏光板等の光学層を付設してなる液晶パネルとして導光板との接着処理に供することもできる。導光板に適用する場合、光出射手段を有しない側に光学層を配置することが一般的である。
【0070】
前記した位相差板としては、1/4波長板や1/2波長板の如き各種の波長板やその他の位相差特性を示す、例えば液晶セルによる複屈折の補償を目的とするものなどの適宜なものを1層又は2層以上配置することができる。位相差板は、例えば偏光板と液晶パネルとの間などの適宜な位置に配置でき、表示精度の点よりは図1の例の偏光板との組合せにて円偏光ないし楕円偏光モードにて液晶表示を達成するようにしたものが好ましい。
【0071】
位相差板は、上記の透明板で例示の透明樹脂などからなる高分子フィルムを延伸した複屈折性フィルムや液晶ポりマーの配向層などとして得ることができる。特に前記した視角補償フィルムは、液晶表示装置の画像が鮮明に見える角度を広げる機能を有する補償用位相差板の1種であり、トリアセチルセルロース等からなる高分子フィルムにディスコチック液晶層を塗工付設したものなどがあげられる。なお前記の複屈折性フィルムは、自由端や固定端による一軸延伸や二軸延伸、熱収縮性フィルムの接着下に加熱処理する方式などで厚さ方向にも分子配向させる延伸などの、各種の方式で延伸処理したものであってよい。
【0072】
光拡散層は、明暗ムラの防止による明るさの均等化や隣接光線の混交によるモアレの低減などを目的に必要に応じて設けられる。光拡散層としても適宜なものを用いることができる。ちなみにその例としては低屈折率の透明樹脂中に高屈折率の透明粒子を分散させた塗布硬化層や、気泡を分散させた透明樹脂の塗布硬化層、表面を溶媒を介し膨潤させてクレイズを発生させたものや、不規則な光出射手段面を有する透明板、あるいはそれらの層を支持基材に設けた拡散シートなどがあげられる。
【0073】
前記の不規則な光出射手段面は、透明板やその上に設けた透明樹脂の塗布層の表面に粗面化処理したロールや金型等の粗面形状を転写する機械的方式又は/及び化学的処理方式などの適宜な方式で形成することができる。従って光拡散層は、導光板に対しても設けることができ、液晶表示装置の適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。また光拡散層としては表示光を乱さない程度の弱い拡散能を示すものが好ましく用いられる。
【0074】
なお前記の透明粒子には例えば平均粒径が0.5〜30μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性のこともある無機系粒子や、架橋又は未架橋ポリマー等の有機系粒子などの適宜なものを1種又は2種以上用いうる。
【0075】
反射型液晶表示装置の形成に際して導光板は、少なくともその入射側面側を液晶セルの端部より外側に突出させて配置することもできる。斯かる突出配置は、光源部4,41による液晶表示の視認妨害や液晶セルに対する照明妨害を防止できて好ましい。また斯かる突出配置は、光源部が障害とならずに液晶セル等との接着処理、その接着処理後の光源の交換等の取り付け、さらにはリフレクタによる光源の被覆やその取り付けの際の導光板の上下面に対する密着処理などを容易に行える利点などもある。
【0076】
反射型液晶表示装置の視認は、上記したように導光板を介して行われる。すなわち図例では面光源装置の点灯モードにおいて、導光板の下面より出射した光が液晶層33等を経由して反射層32を介し反射され、液晶層等を逆経由して導光板1に至り、凹部又は凸部A間の平坦面11を透過した表示光が視認される。
【0077】
一方、面光源装置が非点灯の外光モードの場合においても、導光板上面の平坦面11より入射した光が導光板や液晶層等を前記に準じ透過・逆経由して導光板1に至り、平坦面を透過した表示光が視認される。なお面光源装置の点灯・消灯は適宜な方式にて行うことができる。
【0078】
液晶表示装置を形成する各部品は、その部品間に空気層が介在しないように必要に応じ接着層等を介して固着されていることが明るい表示の点より好ましい。その固着処理には上記に例示の適宜な透明接着剤を用いることができ、その接着層に上記した透明粒子等を含有させて拡散機能を示す接着層などとすることもできる。また前記の部品、特に視認側に配置される部品は、その耐久性や信頼性の向上を目的に紫外線吸収能を有する安定剤を添加したものであってもよい。
【0079】
【実施例】
例1
予め所定形状に加工したポリメチルメタクリレートからなる透明板(屈折率1.495)の表面をダイヤモンドバイトにて切削し、上面に光出射手段を有する導光板を形成した。その導光板は、幅30mm、奥行40mm、入射側面の厚さ1mm、対向端の厚さ0.8mmであり、上下面が平坦である。
【0080】
また光出射手段は、傾斜角41.5〜43度の光路変換斜面と傾斜角1〜2度の緩斜面からなる横断面三角形で、入射側面に平行な連続溝を隣接して210μmのピッチで有し(図2)、入射側面側に位置してそれと対面する光路変換斜面の下面に対する投影幅が6〜9μmであり、緩斜面/光路変換斜面の下面に対する投影面積比が20/1以上のものであった。また最寄り緩斜面間の傾斜角度差は0.1度以内であった。なお光出射手段は、入射側面より2mm離れた位置より形成した。
【0081】
次に視認側表面に屈折率1.38のフッ化マグネシウムを厚さ610nmに真空蒸着して低屈折率透明層を設けた偏光板を屈折率1.52のアクリル系粘着層を介し前記導光板の下面に接着し、それをその偏光板側を介し液晶セル内に拡散型反射層を有する市販の液晶パネルの視認側に屈折率1.52のアクリル系粘着層を介し接着して、オートクレー部内で加熱・加圧し密着させた。
【0082】
ついで入射側面側を液晶パネル端よりも約2mm突出させて接着した前記導光板の入射側面に直径2mmの冷陰極管(ハリソン電機社製)を密着配置し、それを銀蒸着を施したポリエステルフィルムからなるランプリフレクタにて包囲して、その縁を導光板の上下端面に両面粘着テープで接着して固定し、反射型液晶表示装置を得た。
【0083】
なお前記の冷陰極管には入射側面長よりも十分に長いものを用い、その管径の中心部と入射側面の厚さ方向の中心部とを対応させて、かつ冷陰極管の長さ方向の中心部と入射側面の長さ方向の中心部とを対応させて配置した。また冷陰極管にインバータ、直流電源を接続し、その電源のオン・オフで点灯/消灯を切り替えうるようにした。
【0084】
例2
予め所定の形状に形成した金型を用いて異なる光出射手段を有する導光板を形成しそれを用いたほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。光出射手段は、傾斜角が約42度の光路変換斜面と傾斜角が約75度の立面を有する横断面三角形であり、導光板上面での長辺長が100μmで、短辺長が10μmの矩形凹部を当該上面に均等な密度で分散配置してなり、凹部の長辺方向を入射側面に平行とし、光路変換斜面を入射側面側に位置させた(図3)。なお光出射手段/凹部間の平坦面(上面)の投影面積比は1/15である。
【0085】
例3
無延伸のポリカーボネートフィルムに低屈折率の透明層を設けてそのフィルムの両面に屈折率1.52のアクリル系粘着層を付設し、それを介して導光板と偏光板を接着したほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
【0086】
例4
低屈折率の透明層を設けないほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
【0087】
例5
導光板の下面に屈折率が1.41の硬化層を形成する紫外線硬化性のフッ素含有アクリル系樹脂を塗布して偏光板と密着させ、紫外線を照射して接着層を兼ねる低屈折率の透明層を設けたほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
【0088】
例6
導光板の下面に屈折率が1.43のフッ素含有アクリル系粘着層を設けて偏光板と接着し、接着層を兼ねる低屈折率の透明層を設けたほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
【0089】
例7
光路変換斜面の傾斜角を30度とした導光板を用いたほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
【0090】
例8
サンドブラストにて粗面化した金型を用いて光散乱性の凹凸を有する導光板を形成してそれを用いたほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
【0091】
例9
接着層を用いずに導光板と偏光板を厚さ0.5mmの枠スペーサを介して配置したほかは例1に準じて反射型液晶表示装置を得た。
【0092】
評価試験
実施例、比較例で得た反射型液晶表示装置を、暗室中で面光源装置を点灯して白表示状態の点灯モードとし、導光板の幅方向中心における入射側面より10mm、20mm、30mmの位置における視認面での正面輝度を輝度計(トプコン社製、BM−7)にて調べると共に、視認性を目視評価した。
【0093】
前記の結果を下表に示した。
【0094】
表より、例9が明るいが導光板下面での表面反射が大きくて白ボケの表示であり、コントラストに乏しく、明るい環境での外光モードによる表示においても導光板とパネル表面に外光が映り込んで非常に見難い表示であった。一方、例1〜3では点灯モードによる輝度が高く、そのバラツキも少なくて均一性に優れており、外光モードによる表示も良好であった。
【0095】
例4では低屈折率透明層がないために偏光板による吸収減衰が発生して光源から遠離るほど輝度が大きく低下した。例5、6では40℃、湿度95%の恒温恒湿環境に120時間放置後、通常の室内環境に24時間放置したときに接着層(低屈折率透明層)と偏光板の界面で剥離し、点灯モードによる視認において剥離部分での外光反射が大きく非常に見難い表示であった。例1〜3では同様の試験で剥離は発生せず、良好な表示品位を維持した。
【0096】
例7、8では光出射手段の影響で良好な面発光が得られなかった。なお例5では接着処理後に導光板を剥がし難く、未硬化時においても導光板を一旦剥がすと気泡が混入して再接着に供することができず、導光板が接着用樹脂で汚染されて非常に使いづらかった。
【0097】
以上より例1〜3において、反射防止層を設けない構造で外光反射を抑制して点灯・外光両モードにおいて、明るくてその均一性に優れる良好な表示品位のフロントライ式反射型液晶表示装置の実現されていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射型液晶表示装置の断面図
【図2】導光板の断面図
【図3】他の導光板の断面図
【符号の説明】
100:反射型液晶表示装置
1:透明板(導光板)
A:光出射手段を形成する凹部又は凸部
A1:光路変換斜面 A2:緩斜面 A3:立面
2:接着層 3:液晶セル(32:反射層) 4:光源
37:偏光板 38:低屈折率の透明層
Claims (16)
- 上下面とその上下面間の側面からなる入射側面を具備する透明板の上面に、前記入射側面からの入射光を下面に向けて反射してその下面より出射させる光路変換斜面を具備する凹部又は凸部の複数からなる光出射手段を有する導光板を、反射層を具備する液晶セルの視認側に接着層を介し接着してなり、かつその接着層と液晶セルとの間に、偏光板と、それよりも接着層側に位置して前記透明板よりも低屈折率の透明層とを少なくとも有すると共に、前記入射側面に光源を配置してなることを特徴とする反射型液晶表示装置。
- 請求項1において、光出射手段を形成する凹部又は凸部における光路変換斜面の、導光板の基準平面に対する傾斜角が35〜48度であり、透明層と透明板との屈折率差が0.07以上で、入射側面に配置した光源が線状光源である反射型液晶表示装置。
- 請求項1又は2において、光出射手段を形成する凹部又は凸部における光路変換斜面が入射側面と対面する反射型液晶表示装置。
- 請求項1〜3において、光出射手段を形成する凹部又は凸部がその横断面に基づいて三角形又は四角形である反射型液晶表示装置。
- 請求項1〜4において、光出射手段を形成する凹部又は凸部が光路変換斜面の対向面として緩斜面を具備する横断面三角形で、その断面における導光板上面での長さが50μm〜1.5mmのものであり、導光板の基準平面に対する前記緩斜面の傾斜角が10度以下で、かつその投影面積が光路変換斜面のそれの5倍以上であり、その凹部又は凸部の複数が当該横断面方向に隣接して平行に配列した状態の光出射手段を形成し、その光出射手段における緩斜面の当該傾斜角の角度差が5度以内であると共に、最寄りの緩斜面における当該傾斜角の角度差が1度以内である反射型液晶表示装置。
- 請求項1〜4において、光出射手段を形成する凹部又は凸部が光路変換斜面の対向面として立面を具備して、その立面の、導光板の基準平面に対する傾斜角が60〜90度であり、その凹部又は凸部の複数が導光板上面の2〜20%の面積を占有する状態に分散分布して光出射手段を形成する反射型液晶表示装置。
- 請求項6において、光出射手段が横断面三角形の凹部からなる反射型液晶表示装置。
- 請求項1〜7において、横断面における導光板上面での光路変換斜面の長さが1〜40μmである反射型液晶表示装置。
- 請求項1〜8において、導光板の上面側から見たときに光路変換斜面に対する法線と入射側面に対する法線との交差角度が0〜30度である反射型液晶表示装置。
- 請求項1〜9において、光出射手段を形成する凹部又は凸部の導光板上面における長辺長が短辺長の5倍以上である反射型液晶表示装置。
- 請求項10において、光出射手段を形成する凹部又は凸部の導光板上面における長辺長が5μm〜1mmである反射型液晶表示装置。
- 請求項6〜11において、光出射手段を形成する凹部又は凸部の導光板上面における分布が不規則である反射型液晶表示装置。
- 請求項1〜12において、低屈折率の透明層が無機誘電体からなる反射型液晶表示装置。
- 請求項1〜13において、低屈折率の透明層が透明フィルムに付設され、そのフィルムが視認側の偏光板に接着されてなる反射型液晶表示装置。
- 請求項1〜14において、導光板を液晶セルの視認側に接着する接着層と導光板の透明板との屈折率差が0.03以下である反射型液晶表示装置。
- 請求項1〜15において、接着層が粘着層である反射型液晶表示装置。
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-
2003
- 2003-02-26 JP JP2003049350A patent/JP2004258358A/ja active Pending
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