JP4968762B2 - 外光・照明両用式液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、薄型軽量性に優れる外光・照明両用式液晶表示装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
従来、外光・照明両用式の液晶表示装置としては、裏面に光反射層を具備するサイドライト型導光板を液晶表示パネルの背面側に配置し、その導光板を介した照明光をパネルに供給して透過した表示光を照明モードとして視認し、外光モードでは入射外光を裏面の光反射層で反射させて視認するようにしたものが知られていた。
【0003】
しかしながらサイドライト型導光板では光伝送の必要上、少なくとも約3mmの板厚を要することとなり、液晶表示装置の厚みや重量が大きくなる問題点があった。そのため特に携帯パソコンや携帯電話等の携帯用途の外光・照明両用式液晶表示装置ではその薄型軽量化が重要な課題となっていた。
【0004】
【発明の技術的課題】
本発明は、サイドライト型導光板ではほぼ限界ともいえる薄型軽量化が達成されていることに鑑み、その薄型軽量性をより図りうる外光・照明両用式液晶表示装置の開発を課題とする。
【0005】
【課題の解決手段】
本発明は、透明基板に少なくとも透明電極を設けてなる視認側と背面側のセル基板をそれらの電極側を対向させて配置した間に液晶を挟持してなる液晶セルを少なくとも具備する透過型の液晶表示パネルにおける側面の1又は2以上に照明装置を有すると共に、前記背面側セル基板の外表面側に光出射手段を有する厚さが10〜300μmの光路制御層と光反射層を有してなり、その光出射手段が前記照明装置を介し当該側面より入射させた光を前記視認側セル基板の側に反射する光路変換斜面を具備し、光出射手段における光路変換斜面が液晶表示パネルの基準平面に対し35〜48度の傾斜角を有するものであり、光反射層が接着層を介して光路制御層の背面側に接着されてなり、かつ、光路制御層の光出射手段が接着層で充満していない状態にあり、視認側セル基板における透明基板の厚さが背面側セル基板における透明基板の厚さの2/3以下であることを特徴とする外光・照明両用式液晶表示装置を提供するものである。
【0006】
【発明の効果】
本発明によれば、液晶表示パネルの側面に配置した照明装置からの入射光を背面側に配置した光路制御層の光出射手段を介して液晶表示パネルの視認側に効率よく光路変換して液晶表示に利用できるバックライト機構を形成でき、また入射外光の光反射層による反射機構も形成できて、薄さに優れる光路制御層と照明装置の側面配置にて薄型軽量性に優れる外光・照明両用式液晶表示装置を得ることができる。
【0007】
すなわち前記のバックライト機構によれば液晶表示パネルのセル基板、特に背面側の透明基板を介して側面配置の照明装置からの入射光を伝送しつつ光路制御層に供給することができる。従って液晶表示パネル、特にセル基板を導光層として利用することで導光板に比べて遙かに薄い光路制御層にても良好な光の出射を実現できて照明モードでの明るい表示とすることができる。また外光モードにても従来の反射式にほぼ匹敵する明るい表示とすることができる。
【0008】
【発明の実施形態】
本発明による外光・照明両用式液晶表示装置は、透明基板に少なくとも透明電極を設けてなる視認側と背面側のセル基板をそれらの電極側を対向させて配置した間に液晶を挟持してなる液晶セルを少なくとも具備する透過型の液晶表示パネルにおける側面の1又は2以上に照明装置を有すると共に、前記背面側セル基板の外表面側に光出射手段を有する厚さが10〜300μmの光路制御層と光反射層を有してなり、その光出射手段が前記照明装置を介し当該側面より入射させた光を前記視認側セル基板の側に反射する光路変換斜面を具備し、光出射手段における光路変換斜面が液晶表示パネルの基準平面に対し35〜48度の傾斜角を有するものであり、光反射層が接着層を介して光路制御層の背面側に接着されてなり、かつ、光路制御層の光出射手段が接着層で充満していない状態にあり、視認側セル基板における透明基板の厚さが背面側セル基板における透明基板の厚さの2/3以下であるものよりなる。
【0009】
前記した外光・照明両用式液晶表示装置の例を図1に示した。100が液晶表示パネル、90が液晶セル、10が透明基板11に透明電極12を設けた背面側セル基板、20が透明基板21に透明電極22を設けた視認側セル基板、30が液晶層、40が光路変換斜面A1を具備する光出射手段Aを有する光路制御層、50が照明装置、60が光反射層である。なお図中の13、23は配向膜、14、25は偏光板、15、24は位相差板、17、18は接着層、31はセル基板の10と20の間に液晶30を封入するシール材、51は光源、52はリフレクタである。
【0010】
液晶表示パネルとしては図例の如く、透明基板に少なくとも透明電極を設けてなる視認側と背面側のセル基板をそれらの電極側を対向させて配置した間に液晶を挟持してなる液晶セルを少なくとも具備して、背面側セル基板の外表面より入射した光を当該液晶層を介し表示光として透過し、その表示光を視認側セル基板より出射させて視認するようにした適宜な透過型のものを用いることができ、その種類について特に限定はない。
【0011】
ちなみに前記した液晶セルの具体例としては、液晶の配向形態に基づいてTN液晶セルやSTN液晶セル、垂直配向セルやHANセル、OCBセルの如きツイスト系や非ツイスト系、ゲストホスト系や強誘電性液晶系のもの、光拡散を利用したものなどがあげられ、液晶の駆動方式も例えばアクティブマトリクス方式やパッシブマトリクス方式などの適宜なものであってよい。液晶の駆動は通例、図例の如く一対のセル基板10、20の内側に設けた透明電極12、22を介して行われる。
【0012】
視認側及び背面側のセル基板には表示光や照明光の透過を可能とするため透明基板が用いられる。その透明基板は、ガラスや樹脂などの適宜な材料で形成でき就中、複屈折を可及的に抑制して光損失を低減する点などより光学的に等方性の材料からなるものが好ましい。また輝度や表示品位の向上等の点より青ガラス板に対する無アルカリガラス板の如く無色透明性に優れるものが好ましく、さらに軽量性等の点よりは樹脂基板が好ましい。
【0013】
前記セル基板を形成する透明基板の厚さについては視認側セル基板における透明基板の厚さが背面側セル基板における透明基板の厚さの2/3以下であれば特に限定はなく、液晶の封入強度などに応じて適宜に決定しうる。一般には側面入射光の伝送効率と薄型軽量性のバランスなどの点より10μm〜5mm、就中50μm〜3mm、特に100μm〜2mmの厚さとされる。図例の如く背面側のセル基板10を照明装置50からの入射光の伝送基板として用いる場合には入射効率や伝送効率等の点より透明基板の断面積が大きいほど有利であり厚いほど好ましい。
【0014】
前記の場合、視認側のセル基板は薄型軽量化の点より薄いほど有利であることより、視認側セル基板の透明基板の厚さは背面側セル基板の透明基板の厚さの2/3以下であり、就中5〜60%、特に10〜50%であることが好ましい。前記した視認側と背面側のセル基板の厚さを変える方式は、同厚のセル基板とする場合よりも明るい表示とできる利点がある。
【0015】
透明基板の形状は、同厚板であってもよいし、光路制御層の傾斜配置による光路変換斜面への伝送光の入射効率の向上などを目的に断面楔形の如く厚さが部分的に相違するものであってもよい。また視認側と背面側のセル基板は、平面寸法が同じであってもよいし、相違していてもよい。背面側セル基板を照明装置からの入射光の伝送基板として用いる場合には図例の如く、少なくとも照明装置50を配置する側の側面において、視認側セル基板20が形成する側面よりも背面側セル基板10の形成する側面が突出する状態にあることが、その突出側面に照明装置を配置した場合の入射効率等の点より好ましい。
【0016】
セル基板の透明基板に設ける透明電極は、例えばITO等の従来に準じた適宜な材料にて形成することができる。液晶セルの形成に際しては必要に応じて、液晶を配向させるためのラビング処理膜等からなる配向膜やカラー表示のためのカラーフィルタ、低屈折率の透明層などの適宜な機能層の1層又は2層以上を設けることができる。なお図例の如く配向膜13、23は通常、液晶30と接触するように透明電極12、22の上側に形成される。またカラーフィルタは通常、セル基板10、20の一方における透明基板11又は21と透明電極の間に設けられる。
【0017】
一方、前記した低屈折率の透明層は、照明モードでの表示画面全体における明るさの均一性の向上を目的とする。ちなみに図1の例において背面側セル基板10の透明基板11と透明電極12の間にその透明基板よりも屈折率の低い層として低屈折率の透明層を設けることにより図例の折れ線矢印βの如く、照明装置50からの入射光が背面側セル基板10の内部を伝送される際にその伝送光を透明基板と低屈折率透明層との屈折率差を介し全反射させて背面側セル基板内に効率よく閉じ込めることができる。
【0018】
前記の結果、背面側セル基板内の伝送光を後方に効率よく伝送して照明装置から遠い位置における光路制御層の光路変換斜面にも伝送光を均等性よく供給でき、光路変換斜面を介した反射による光路変換を介して表示画面全体における明るさの均一性を向上させることができる。
【0019】
また前記の如く低屈折率の透明層を設けた場合には、前記の伝送光が液晶層30に入射して複屈折や散乱を受け、それにより伝送状態が部分的に変化して伝送光が減少したり不均一化することを防止して表示が暗くなることや、照明装置近傍での表示が後方においてゴースト化して表示品位を低下させることの防止などにも有効である。さらにカラーフィルタ等を配置した場合にそれによる伝送光の急激な吸収を防止して伝送光の減少を回避することにも有効である。
【0020】
照明装置からの入射光が液晶層内を伝送されるものでは液晶層で伝送光が散乱されて不均一な伝送状態となり、出射光の不均一化やゴーストを生じて表示像が見ずらくなりやすい。従って低屈折率の透明層を背面側セル基板に前記の如く設けて、その背面側セル基板の側面に照明装置を配置してなる装置形態が明るさや表示品位等の点より好ましい。
【0021】
低屈折率の透明層は、セル基板を形成する透明基板よりも屈折率の低い例えば無機系や有機系の低屈折率誘電体の如き適宜な材料を用いて真空蒸着方式やスピンコート方式などの適宜な方式で形成することができ、その材料や形成方法について特に限定はない。前記した全反射による後方への伝送効率等の点より低屈折率透明層と透明基板の屈折率差は、大きいほど有利であり、就中0.05以上、特に0.1〜0.5であることが好ましい。
【0022】
低屈折率透明層の配置位置は適宜に決定しうるが、前記した伝送光の閉じ込め効果や液晶層への浸入防止などの点より透明基板と透明電極の間に位置させることが好ましい。また透明基板と透明電極の間にカラーフィルタを配置する場合には、カラーフィルタによる伝送光の吸収損を防止する点よりそのカラーフィルタよりも透明基板側に位置させることが好ましい。
【0023】
従って低屈折率透明層は通例、透明基板に直接設けることが好ましい。その場合、透明基板における低屈折率透明層の付設面は平滑なほど、よって低屈折率透明層は平滑なほど伝送光の散乱防止に有利で好ましく、また表示光への影響防止の点よりも好ましい。低屈折率透明層の厚さは、上記した閉じ込め効果と薄型化の点より100nm以上、就中200nm以上、特に400nm〜5μmが好ましい。
【0024】
液晶表示パネルは、図1の例の如く液晶セルに偏光板14、25や位相差板15、24、光拡散層等の適宜な光学層の1層又は2層以上を付加したものであってもよい。偏光板は、TN型やSTN型等の液晶表示パネルの如く直線偏光を利用した表示の達成を目的とし、位相差板は液晶の複屈折性による位相差の補償等による表示品位の向上などを目的とする。
【0025】
また光拡散層は、表示光の拡散による表示範囲の拡大や光路制御層の光路変換斜面を介した輝線状発光の平準化による輝度の均一化、液晶表示パネル内の伝送光の拡散による光路制御層への入射光量の増大などを目的とする。従って光拡散層は通例、光路制御層と背面側セル基板の透明基板との間に設けられる。
【0026】
偏光板の配置は、図例の如く液晶セルの外側の両側とすることもできるし、その片側のみとすることもできる。偏光板としては適宜なものを用いることができ特に限定はない。高度な直線偏光の入射による良好なコントラスト比の表示を得る点などよりは、例えばポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて延伸したものからなる吸収型偏光フィルムやその片側又は両側に透明保護層を設けたものなどの如く偏光度の高いものが好ましく用いうる。
【0027】
前記透明保護層の形成には、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性などに優れるものが好ましく用いられ、その例としてはアセテート系樹脂やポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂やポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂やポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂やアクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂やポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂やノルボルネン系樹脂の如きポリマー、あるいはアクリル系やウレタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型ないし紫外線硬化型の樹脂などがあげられる。透明保護層は、フィルムとしたものの接着方式やポリマー液等の塗布方式などにより付与することができる。
【0028】
一方、位相差板としても例えば前記の透明保護層で例示したものなどの適宜なポリマーからなるフィルムを一軸や二軸等の適宜な方式で延伸処理してなる複屈折性フィルム、ネマチック系やディスコティック系等の適宜な液晶ポリマーの配向フィルムやその配向層を透明基材で支持したものなどの適宜なものを用いることができ、熱収縮性フィルムの加熱収縮力の作用下に厚さ方向の屈折率を制御したものなどであってもよい。
【0029】
補償用の位相差板は通例、視認側又は/及び背面側の偏光板と液晶セルの間に必要に応じて配置され、その位相差板には波長域などに応じ適宜なものを用いうる。また位相差板は位相差等の光学特性の制御を目的に2層以上を重畳して用いることもできる。
【0030】
液晶表示パネルの側面に配置する照明装置は、外光・照明両用式液晶表示装置の照明モードにおける照明光として利用する光を液晶表示パネルの側面から入射させることを目的とする。これによりパネルの背面側に配置する光路制御層との組合せにて液晶表示装置の薄型軽量化を図ることができる。照明装置からの入射光の液晶層への入射を防止する点より照明装置の好ましい配置方式は、上記した如く背面側セル基板の側面、特に視認側セル基板が形成する側面よりも突出させた背面側セル基板の側面に対して配置する方式である。
【0031】
照明装置としては適宜なものを用いることができ、例えば(冷,熱)陰極管等の線状光源、発光ダイオード等の点光源やそれを線状や面状等に配列したアレイ体、あるいは点光源と線状導光板を組合せて点光源からの入射光を線状導光板を介し線状光源に変換するようにした照明装置などが好ましく用いうる。図1の例では光源51とそれを包囲するリフレクタ52による照明装置50が用いられている。
【0032】
照明装置は、液晶表示パネルにおける1又は2以上の側面に配置することができる。照明装置を2以上の側面に配置する場合、その複数の側面は対向する側面の組合せであってもよいし、縦横に交差する側面の組合せであってもよく、それらを併用した3側面以上の組合せであってもよい。なお照明装置は、発光色を切り替えうる異色発光式のものであってもよく、また異種の照明装置を介して異色発光させうるものとすることもできる。
【0033】
照明装置は、図例の如く必要に応じ光源51による発散光を液晶表示パネルの側面に導くためにそれを包囲するリフレクタ52などの適宜な補助手段を配置した組合せ体とすることもできる。リフレクタとしては例えば高反射率の金属薄膜を付設した樹脂シートや白色シートや金属箔などの如く、少なくとも照明装置側が光を反射する適宜な反射シートを用いうる。リフレクタは、その端部を液晶表示パネルのセル基板、特に背面側セル基板の上下面の端部に接着する方式などにて光源の包囲を兼ねる保持手段として利用することもできる。
【0034】
光路制御層は、図1に例示した如く液晶表示パネルの側面に配置した照明装置50からの入射光ないしその伝送光を光出射手段Aの光路変換斜面A1を介し当該パネルの視認側セル基板方向に光路変換させて、照明光(表示光)として利用することを目的とし、液晶表示パネルの背面側セル基板10の外表面側に配置される。
【0035】
前記の目的より図例の如く光路制御層40は、照明装置からの入射光を反射して所定方向に光路変換するために、液晶表示パネルの基準平面(仮想水平面)、特に背面側セル基板の基準平面に対する傾斜角が35〜48度の光路変換斜面A1を具備する光出射手段Aを有する。また光路制御層は、一般に薄型化を目的に斯かる光出射手段の多数を分布させたものとされる。
【0036】
なおセル基板、特に背面側のそれに低屈折率透明層を設けた場合には光路制御層をその透明層よりも屈折率の高い層として形成することが好ましい。光路制御層の屈折率が当該透明層のそれよりも低いと照明装置からの入射光ないしその伝送光がセル基板内に閉じ込められやすくて光路制御層への入射が阻害され表示光として利用しにくくなる場合がある。
【0037】
光路制御層における光出射手段は、前記した光路変換斜面を有するものとする点を除き、適宜な形態のものとして形成することができる。光路変換等を介して正面方向への指向性に優れる表示光を得る点よりは、照明装置を配置した側面(すなわち入射側面)と対面する光路変換斜面A1を具備する光出射手段Aを有する光路制御層、特にプリズム状凸凹からなる光路変換斜面A1を具備する光出射手段Aを有する光路制御層が好ましい。
【0038】
前記した光路変換斜面ないしプリズム状凸凹を有する光出射手段の例を図2、3に示した。図2では二等辺三角形による2面の光路変換斜面A1を具備する光出射手段Aからなる。図3では光路変換斜面A1と基準平面に対する傾斜角が斜面A1よりも大きい急斜面Bを具備する光出射手段Aからなる。
【0039】
従って前記した例のように光出射手段は、等辺面ないし同じ傾斜角の斜面からなるプリズム状の凸部又は凹部にても形成できるし、光路変換斜面と急斜面又は緩斜面ないし傾斜角が相違する斜面からなるプリズム状の凸部又は凹部にても形成でき、その斜面形態は入射側面の数や位置にて適宜に決定することができる。耐擦傷性の向上による斜面機能の維持や伝送光の入射効率等の点よりは図例の如く、光路制御層の表面41よりも陥没したプリズム状凹部(溝)の形態が、該表面より突出したプリズム状凸部(突起)の形態よりも好ましい。
【0040】
また前記の図例では光路変換斜面A1に対する横断面に基づいて三角形の光出射手段Aを示した。断面三角形は形成容易性などの点より有利であるが、例えば断面四角形や断面五角形などの適宜な断面形態を有する光出射手段Aであってもよい。なお当該断面形の多角形は、厳密なものではなく、辺の角度変化や辺の交点からなる角の円化等の変形を許容する。
【0041】
上記した正面方向への指向性等の特性を達成する点などより好ましい光路制御層は、図例の如く基準平面に対する傾斜角が35〜48度の光路変換斜面A1を入射側面に対面して有するものである。従って液晶表示パネルの2側面以上に照明装置を配置して2以上の入射側面を有する場合には、その数と位置に対応して光路変換斜面A1を有する光路制御層としたものが好ましく用いられる。なお図中の矢印が入射側面から入射した光の伝送方向である。
【0042】
従って液晶表示パネルの対向する2側面に照明装置を配置してその2側面を入射側面とする場合には、図2の如き断面二等辺三角形からなる光出射手段Aによる2面の光路変換斜面A1や断面台形からなる光出射手段による2面の光路変換斜面をその稜線が入射側面に沿う方向となる状態で有する光路制御層が好ましく用いられる。
【0043】
また液晶表示パネルの縦横で隣接する2側面に照明装置を配置する場合には、その側面に対応して稜線が縦横の両方向に沿う状態で光路変換斜面を有する光路制御層が好ましく用いられる。さらには対向及び縦横を含む3側面以上に照明装置を配置する場合には、前記の組合せからなる光路変換斜面を有する光路制御層が好ましく用いられる。
【0044】
前記した光路変換斜面A1は、照明装置を介した入射側面よりの入射光ないしその伝送光の内、その面A1に入射する光を反射して光路変換し液晶表示パネルの視認側に供給する役割をする。その場合、光路変換斜面A1の基準平面に対する傾斜角を35〜48度とすることにより図1に折線矢印αで例示した如く、側面入射光ないしその伝送光を基準平面に対し垂直性よく光路変換して正面への指向性に優れる表示光を効率よく得ることができる。
【0045】
前記の傾斜角が35度未満では光路変換斜面を介した反射光の光路が正面方向より30度以上ずれて表示に有効利用しにくく表示品位も低下する場合がある。一方、当該傾斜角が48度を超えると側面入射光ないしその伝送光を全反射させる条件から外れて光路変換斜面よりの漏れ光が多くなり側面入射光の光利用効率に乏しくなる場合がある。
【0046】
正面への指向性に優れる光路変換や漏れ光の抑制等の点より光路変換斜面A1の好ましい傾斜角は、液晶表示パネル内を伝送される光のスネルの法則による屈折に基づく全反射条件などを考慮して38〜45度、就中40〜44度である。ちなみにガラス板の一般的な全反射条件は42度であり従ってその場合、側面入射光は±42度の範囲に集約された状態で伝送されつつ、光路変換斜面に入射することとなる。
【0047】
光路変換斜面A1を具備する光出射手段Aは、上記のように光路制御層の薄型化を目的に通例その複数を配置した構造として形成される。その場合、図1の如く入射側面からの入射光を後方に反射し対向側面側に効率よく伝送して液晶表示全面で可及的に均一に発光させる点よりは、図2、3に例示の如く基準平面に対する傾斜角が略0度の平坦面41を含む構造とすることが好ましい。従って図3に例示の急斜面Bを含む光出射手段Aでは、その急斜面の角度を50度以上、就中60度以上、特に70〜90度として平坦面41の幅を広くできる構造とすることが好ましい。斯かる構造は、外光モードでの表示品位の向上の点よりも好ましい。
【0048】
光出射手段Aは、その稜線、従って光路変換斜面が照明装置を配置した液晶表示パネルの入射側面に平行又は傾斜状態で沿うように設けられる。その場合、プリズム状凹部等からなる光出射手段Aは、光路制御層の一端から他端にわたり連続して形成されていてもよいし、断続的に不連続に形成されていてもよい。
【0049】
前記の不連続に形成する場合、従って光出射手段Aを微小溝の複数で形成する場合、伝送光の入射効率や光路変換効率などの点よりその溝又は突起からなる凹凸の入射側面に沿う方向の長さ、又は光路変換斜面の長辺の長さを溝の深さ又は突起の高さの5倍以上とすることが好ましい。またパネル表示面の均一発光化の点より前記長さを500μm以下、就中10〜480μm、特に50〜450μmとすることが好ましい。さらに光路変換斜面A1は、その基準平面に対する投影幅に基づいて40μm以下、就中3〜20μm、特に5〜15μmであることが好ましい。
【0050】
光出射手段Aの断面形状やそれを介した光路変換斜面A1の配置間隔については特に限定はない。光路変換斜面A1が照明モードでの輝度決定要因となることより、その照明モードにおけるパネル表示面の発光の均一性などに応じて適宜に決定でき、その分布密度にて光路変換光量を制御することができる。従って光路変換斜面の傾斜角等が光路制御層の全面で一定な形状であってもよいし、吸収ロスや先の光路変換による伝送光の減衰に対処してパネル表示面の発光の均一化を図ることを目的に入射側面から遠離るほど光出射手段Aを大きくしてもよい。
【0051】
また一定な配置間隔の光出射手段Aとすることもできるし、入射側面から遠離るほど徐々に配置間隔を狭くして光出射手段Aの分布密度を多くしたものとすることもでき、さらにランダムな配置間隔にてパネル表示面における発光の均一化を図ることもできる。
【0052】
加えて光出射手段Aが不連続な溝又は突起からなる凹凸の場合には、その凹凸の大きさや形状、分布密度や稜線の方向等を不規則なものとしたり、その不規則な又は規則的ないし画一的な凹凸をランダムに配置してパネル表示面における発光の均一化を図ることもできる。よって前記した例の如くパネル表示面での発光の均一化は、光出射手段Aに適宜な方式を適用して達成することができる。
【0053】
光出射手段Aの配置間隔は、その光路変換斜面A1が上記したように側面入射光の光路変換による実質的な照明光形成の機能部分であるから、その間隔が広すぎるとパネルの照明が疎となって不自然な表示となる場合がありそれを鑑みた場合、5mm以下、就中20μm〜3mm、特に50μm〜2mmの配置間隔とすることが好ましい。
【0054】
また光出射手段の配置構造に基づく発光が液晶セルの画素と干渉してモアレを生じる場合がある。モアレの防止は、ランダム配置などの光出射手段の配置間隔の調節で行いうるが、上記したように配置間隔には好ましい範囲がある。従ってその範囲でモアレが生じる場合の解決策が問題となる。本発明においては画素に対して光出射手段を交差状態で配列しうるように凹凸の稜線を入射側面に対し傾斜する状態に形成してモアレを防止する方式が好ましい。
【0055】
前記方式の場合、入射側面に対する傾斜角が大きすぎると光路変換斜面A1を介した反射に偏向を生じて光路変換の方向に大きな偏りが発生し表示品位の低下原因となりやすいことから、その稜線の入射側面に対する傾斜角は、±30度以内、就中±25度以内とすることが好ましい。なお±の符号は入射側面を基準とした稜線の傾斜方向を意味する。
【0056】
液晶セルの解像度が低くてモアレを生じない場合やモアレを無視しうる場合には、かかる稜線は入射側面に平行なほど好ましい。またモアレの防止策としては上記したサイズよりなるプリズム状凹部等の微小溝又はプリズム状凸部等の微小突起からなる光出射手段の複数個を光路制御層の表面に不連続に、かつ不規則に分布させる方式も好ましい。
【0057】
光路制御層は、照明装置の波長域に応じそれに透明性を示す適宜な材料にて形成しうる。ちなみに可視光域では、上記の透明保護層等で例示したポリマーないし硬化型樹脂やガラスなどがあげられる。複屈折を示さないか、複屈折の小さい材料で形成した光路制御層が好ましい。また照明装置からの入射光ないしその伝送光を背面側セル基板から光路制御層に効率よく入射させて光路変換斜面を介し明るい表示を達成する点より、背面側セル基板の透明基板との屈折率差が0.15以内、就中0.10以内、特に0.05以内の光路制御層であること、殊に当該透明基板よりも高い屈折率の光路制御層であることが好ましい。
【0058】
光路制御層は、適宜な方法で形成することができ、その製造方法について特に限定はない。量産性等の点より好ましい製造方法としては例えば熱可塑性樹脂を所定の光出射手段を形成しうる金型に加熱下に押付て形状を転写する方法、加熱溶融させた熱可塑性樹脂あるいは熱や溶媒を介して流動化させた樹脂を所定の光出射手段を形成しうる金型に充填する方法があげられる。
【0059】
また熱や紫外線、電子線ないし放射線等で重合処理しうる液状樹脂ないしモノマーやオリゴマーを所定の光出射手段を形成しうる型に充填ないし流延して重合処理する方法、又はその際に充填ないし流延した層の上に透明フィルムを密着させて重合処理しフィルムと一体化させる方法、透明フィルムに前記の液状樹脂等を塗布しその塗布層を所定の光出射手段を形成しうる金型に押付て形状を転写したのち重合処理してフィルムと一体化させる方法などがあげられる。
【0060】
従って光路制御層は、背面側セル基板等に直接その所定形態を付与して形成することもできるし、所定の形態を付与した透明シート等として形成することもできる。なお前記の製造の際に成形層と一体化させたフィルムは、必要に応じ剥離剤で処理したフィルムを用いる方式などにより成形層と分離できるものとすることもできる。その場合には不透明なフィルムを用いうるときもある。
【0061】
光路制御層の厚さは、薄型化などの点より10〜300μm、就中15〜200μm、特に20〜100μmとされる。光路制御層には必要に応じ反射防止層や防眩層を設けることもできる。その場合、付設した反射防止層や防眩層で光出射手段の機能が阻害されないようにすることが好ましい。
【0062】
なお前記の如く光路制御層を透明シート等として独立に形成した場合には、その透明シート等を背面側セル基板の透明基板よりも大きい屈折率を有する接着層、就中その透明シート等と可及的に等しい屈折率の接着層、特にその透明シート等と背面側セル基板との中間の屈折率の接着層を介して液晶表示パネルにおける背面側セル基板の外表面側に接着することが入射光等を背面側セル基板から光路制御層に効率よく入射させて明るい表示を達成する点などより好ましい。従って斯かる接着層の屈折率は上記した光路制御層に準じうる。なお図1において17が接着層である。
【0063】
前記の接着層は、適宜な透明接着剤にて形成でき、その接着剤の種類については特に限定はない。接着処理作業の簡便性などの点よりは粘着層による接着方式が好ましい。その粘着層の形成には、例えばゴム系やアクリル系、ビニルアルキルエーテル系やシリコーン系、ポリエステル系やポリウレタン系、ポリエーテル系やポリアミド系、スチレン系などの適宜なポリマーをベースポリマーとする粘着剤などを用いうる。就中アクリル酸ないしメタクリル酸のアルキルエステルを主体とするポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤の如く透明性や耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
【0064】
光路制御層は、液晶表示パネルの背面側に配置されるがその場合、図1に例示の如く光出射手段Aを形成した面を外側にして配置することが、光出射手段Aの光路変換斜面A1を介した反射効率、ひいては側面入射光の有効利用による輝度向上の点などより好ましい。
【0065】
図1の例の如く光路制御層40の背面側には光反射層60が設けられる。斯かる光反射層は、光路制御層からの漏れ光の防止にも有効であるが、主には外光モードでの視認を可能とすることを目的とする。すなわち視認側の表面より外光を入射させ、その入射外光を光反射層で反射させて液晶表示を達成する外光モードでの視認を可能とする。これにより外光モードと照明モードの切替えによる外光・照明両用型の液晶表示装置を形成することができ、これは本発明による薄型化を有効利用したものである。
【0066】
前記の外光モードでは、視認側の表面より入射した外光が光路制御層の光出射手段における光路変換斜面以外の緩斜面、ないし平坦な部分を介し反射されて逆進し、液晶表示パネルを透過してその表示光が視認側セル基板等を介して視認される。
【0067】
光反射層は、従来に準じた白色シートなどの適宜なものにて形成することができる。就中、例えばアルミニウムや銀、金や銅やクロム等の高反射率の金属ないしその合金の粉末をバインダ樹脂中に含有させた塗工層、前記の金属等や誘電体多層膜を真空蒸着方式やスパッタリング方式等の適宜な薄膜形成方式で付設してなる層、前記の塗工層や付設層をフィルム等からなる基材で支持した反射シート、金属箔などからなる高反射率の光反射層が好ましい。
【0068】
また光反射層は、光散乱機能を示すものであってもよい。散乱反射面にて反射光を拡散させることにより正面方向への指向性の向上を図ることができる。光散乱型の光反射層の形成は、例えばサンドブラストやマット処理等による表面の粗面化方式や、粒子添加方式などの適宜な方式で表面を微細凹凸構造としたフィルム基材等にその微細凹凸構造を反映させた光反射層を設ける方式などにより行うことができる。
【0069】
前記の表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の光反射層の形成は、例えば真空蒸着方式やイオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属をフィルム基材等の表面に付設する方法などにより行うことができる。
【0070】
光反射層は、接着方式で密着配置された状態にある。好ましくは図1の例の如く、シートタイプの光反射層60を接着層18を介して光路制御層40の背面側に接着したものである。その場合、照明モード時における側面入射光を有効利用する点より、図例の如く光路制御層の光出射手段Aが接着層18で充満していない状態にあり、光出射手段Aの光路変換斜面A1が可及的に接着層で汚染されていない。
【0071】
なお前記において、光反射層を光路制御層に接着する接着層は、光の有効利用による明るさの向上の点より、例えば屈折率が1.2〜1.47、就中1.30〜1.45、特に1.35〜1.43のものであるなど、背面側セル基板を形成する透明基板よりも小さい屈折率を有すること、さらには光路制御層よりも小さい屈折率を有することが好ましい。接着層の形成には、上記した粘着剤等の適宜な透明接着剤を用いることができる。就中、光学特性の安定性等の点より貯蔵弾性率が5×104N/m2以上の接着層、特に粘着層を形成しうるもの好ましく用いうる。
【0072】
液晶表示装置の視認側の外表面には、外光の表面反射による視認阻害の防止を目的にノングレア処理や反射防止処理を施すこともできる。ノングレア処理は、サンドブラスト方式やエンボス加工方式等の粗面化方式、シリカ等の透明粒子の配合方式などの種々の方式で表面を微細凹凸構造化することにより施すことができ、反射防止処理は、干渉性の蒸着膜を形成する方式などにて施すことができる。またノングレア処理や反射防止処理は、前記の表面微細凹凸構造や干渉膜を付与したフィルムの接着方式などにても施すことができる。
【0073】
液晶表示装置ないし液晶表示パネルには上記した如く光拡散層を配置することもできる。光拡散層は前記のノングレア層に準じた表面微細凹凸構造を有する塗工層や拡散シートなどによる適宜な方式にて設けることができる。光拡散層の配置位置は、適宜に決定しうるが一般には上記した如く光路制御層と背面側セル基板の間への配置が表示品位の安定性などの点より好ましい。
【0074】
前記の場合、光拡散層は透明粒子の配合による光拡散型の接着層として形成し、光路制御層を形成する透明シートの接着、あるいは偏光板と位相差板の接着を兼ねる光拡散層として用いて薄型化を図ることもできる。従って光拡散層は、1層又は2層以上を配置することができる。
【0075】
なお前記の接着層に配合する透明粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や酸化インジウム、酸化カドミウムや酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系粒子などの適宜なものを1種又は2種用いうる。
【0076】
本発明による外光・照明両用式液晶表示装置によれば、照明モードにおいて、入射側面よりの入射光の殆どが液晶表示パネル、特にその背面側セル基板の透明基板を介し屈折の法則による反射を介して後方に伝送されパネル表面よりの出射(漏れ)が防止されつつ、光路制御層の光路変換斜面A1に入射した光が効率よく視認側セル基板方向に垂直指向性よく光路変換され、他の伝送光は全反射にて後方にさらに伝送されて後方における光路変換斜面A1に入射し効率よく視認側セル基板方向に垂直指向性よく光路変換され、明るい表示を達成することができる。
【0077】
また外光モードにおいては、視認側より入射した外光を光反射層を介し反射させて明るい表示を達成することができる。従って明るくて見やすく表示品位に優れる外光・照明両用式液晶表示装置を形成することができる。
【0078】
なお液晶表示装置を形成する光路制御層や液晶セル、偏光板や位相差板等の光学素子ないし部品は、全体的又は部分的に積層一体化されて固着されていてもよいし、分離容易な状態に配置されていてもよい。界面反射の抑制によるコントラストの低下防止などの点よりは固着状態にあることが好ましい。その固着密着処理には、粘着剤等の適宜な透明接着剤を用いることができ、その透明接着層に上記した透明粒子等を含有させて拡散機能を示す接着層などとすることもできる。
【0079】
また前記の光学素子ないし部品、特に視認側のそれには例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能をもたせることもできる。
【0080】
【実施例】
参考例1
屈折率1.52の無アルカリガラス板の上にITO透明導電層を形成した後、その上にポリビニルアルコール溶液をスピンコートしてその乾燥膜をラビング処理し視認側と背面側のセル基板を得た。その場合、視認側セル基板における透明電極は、エッチング処理により2分割した。
【0081】
ついで、前記の視認側と背面側のセル基板をそのラビング面をラビング方向が直交するように対向させてギャップ調節材を配し、周囲をエポキシ樹脂でシールしたのち液晶(メルク社製、ZLI−4792)を注入してTN系透過型液晶セルを形成し、その両面に反射防止処理とノングレア処理を施した偏光板(日東電工社製、NPF EGW1225DU)を貼着してノーマリーホワイトの透過型液晶表示パネルを得た。そのパネルサイズは、幅45mm、長さ34mmで、その長さ方向の背面側セル基板の一側面が視認側セル基板よりも2mm突出したものである。
【0082】
次に前記した背面側セル基板の突出側面に冷陰極管を配置し、銀蒸着のポリエステルフィルムで包囲してフィルム端部を背面側セル基板の上下面に両面粘着テープで接着し冷陰極管を保持固定した。
【0083】
参考例2
予め所定形状に加工した金型にアクリル系の紫外線硬化型樹脂(東亞合成社製、アロニックスUV−3701)をスポイトにて滴下充填し、その上に厚さ70μmの無延伸ポリカーボネート(PC)フィルム(屈折率1.58)を静置しゴムローラで密着させて余分な樹脂と気泡を除去しメタルハライドランプにて紫外線を照射して硬化処理した後、金型から剥離し所定寸法に裁断して屈折率1.51の光路制御層を有する透明シートを得た。
【0084】
なお前記の透明シートは、幅40mm、長さ30mmであり、傾斜角が約42度で基準平面に対する投影幅が10μmの光路変換斜面A1と傾斜角が約65度の急斜面からなる長さ80μmの光出射手段(図3)をその長さ方向が入射側面に平行な状態で、かつ入射側面から遠離るほど徐々に密度が増えるように不規則な分布状態で有するものであり、平坦部(41)の面積は、光路変換斜面と急斜面の基準平面に対する投影合計面積の10倍以上である。
【0085】
参考例3
異なる金型を用いて参考例2に準じ光路制御層付の透明シートを得た。この透明シートは、傾斜角が約55度で基準平面に対する投影幅が10μmの斜面による二等辺三角形からなる長さ80μmの光出射手段をその長さ方向が入射側面に平行な状態で、かつ入射側面から遠離るほど徐々に密度が増えるように不規則な分布状態で有するものであり、平坦部の面積は、光路変換斜面と急斜面の基準平面に対する投影合計面積の10倍以上である。
【0086】
実施例1
視認側の無アルカリガラス板に厚さ0.6mmのもの、背面側の無アルカリガラス板に厚さ1.8mmのものを用いてなる参考例1の透過型液晶表示パネルの背面側に参考例2の透明シートをその光路制御層を有しない面に屈折率1.52の粘着層を付設して接着し、その外側に屈折率1.41の粘着層を介し、かつ粘着層が光出射手段に侵入しないように光反射シートを接着して、総厚3.3mmの外光・照明両用式液晶表示装置を得た。
【0087】
比較例1
参考例2の透明シートに代えて、参考例3の透明シートを用いた他は実施例1に準じて外光・照明両用式液晶表示装置を得た。
【0088】
比較例2
視認側及び背面側の無アルカリガラス板に厚さ1.2mmのものを用いてなる参考例1の透過型液晶表示パネルを使用したほかは、実施例1に準じて液晶表示装置を得た。
【0089】
比較例3
光反射シートとそれを接着するための粘着層を用いないほかは実施例1に準じて総厚3.2mmの外光・照明両用式液晶表示装置を得た。
【0090】
比較例4
光反射シートを粘着層を介して接着する際に、粘着層が光出射手段を埋めるようにしたほかは実施例1に準じて外光・照明両用式液晶表示装置を得た。
【0091】
評価試験
実施例、比較例で得た液晶表示装置について、明るい室にて液晶セルに電圧を印加しない状態で冷陰極管を点灯させ、入射側面より5mm、中央部、対向端より5mmの位置での正面輝度を輝度計(トプコン社製、BM7)にて調べた。
【0092】
前記の結果を次表に示した。
【0093】
前記の表より、実施例では明るい表示が達成されており、パネル全面での明るさの均一性にも優れていることがわかる。また実施例では外光モードにおいても明るくてその均一性に優れる表示であった。以上より本発明にて従来のサイドライト型導光板の使用による嵩高化、高重量化を回避しつつ、液晶表示パネルの側面に照明装置を設けるだけで発光が可能な薄型軽量の外光・照明両用式液晶表示装置を形成できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の側面説明図
【図2】光出射手段例の側面説明図
【図3】他の光出射手段例の側面説明図
【符号の説明】
100:液晶表示パネル
10:背面側セル基板
11:透明基板 12:透明電極
20:視認側セル基板
21:透明基板 22:透明電極
30:液晶層
40:光路制御層
A:光出射手段(A1:光路変換斜面)
50:照明装置
60:光反射層
18:接着層
Claims (8)
- 透明基板に少なくとも透明電極を設けてなる視認側と背面側のセル基板をそれらの電極側を対向させて配置した間に液晶を挟持してなる液晶セルを少なくとも具備する透過型の液晶表示パネルにおける側面の1又は2以上に照明装置を有すると共に、前記背面側セル基板の外表面側に光出射手段を有する厚さが10〜300μmの光路制御層と光反射層を有してなり、その光出射手段が前記照明装置を介し当該側面より入射させた光を前記視認側セル基板の側に反射する光路変換斜面を具備し、光出射手段における光路変換斜面が液晶表示パネルの基準平面に対し35〜48度の傾斜角を有するものであり、光反射層が接着層を介して光路制御層の背面側に接着されてなり、かつ、光路制御層の光出射手段が接着層で充満していない状態にあり、視認側セル基板における透明基板の厚さが背面側セル基板における透明基板の厚さの2/3以下であることを特徴とする外光・照明両用式液晶表示装置。
- 請求項1において、光反射層と光路制御層を接着する接着層の屈折率が1.47以下である外光・照明両用式液晶表示装置。
- 請求項1又は2において、光路制御層の光出射手段がプリズム状凹部からなり、その光出射手段の光路変換斜面が照明装置を配置した当該側面と対面する状態にある外光・照明両用式液晶表示装置。
- 請求項3において、プリズム状凹部が光路変換斜面に対する横断面に基づいて三角形である外光・照明両用式液晶表示装置。
- 請求項3又は4において、プリズム状凹部が光路制御層の一端から他端にわたる連続溝からなり、その溝における光路変換斜面が照明装置を配置した当該側面に平行な又は傾斜した状態にある外光・照明両用式液晶表示装置。
- 請求項3又は4において、プリズム状凹部が断面三角形の微小溝からなり、その三角形が光路変換斜面に対する横断面に基づくと共に、光路変換斜面の長辺の長さが微小溝の深さの5倍以上であり、光出射手段が前記微小溝の複数個を光路制御層の表面に不連続に、かつ不規則に分布させたものよりなる外光・照明両用式液晶表示装置。
- 請求項1〜6のいずれか一項において、光反射層と光路制御層を接着する接着層の貯蔵弾性率が5×10 4 N/m 2 以上である外光・照明両用式液晶表示装置。
- 請求項1〜7のいずれか一項において、光路制御層が光反射層を具備する透明シートからなり、それを背面側セル基板の透明基板よりも大きい屈折率を有する接着層にて背面側セル基板の外表面側に接着してなる外光・照明両用式液晶表示装置。
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