JP2015106060A - 位相差フィルム及び位相差フィルムの製造方法、並びに光学フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】フィラーを含有する基材を用いて、例えば垂直配向膜からなる配向層を備えた位相差フィルムを構成するにあたり、位相差層(液晶層)のハジキの発生を効果的に抑制することができる位相差フィルムを提供する。【解決手段】本発明に係る位相差フィルム1は、フィラー50を含有する基材11と、例えば垂直配向膜からなる配向層12と、位相差層13とがこの順で積層されてなり、配向層12の厚みが、基材11の平面からのフィラー50の突出高さ以上の厚みであることを特徴としている。具体的には、配向層12の厚みを、例えば1.5μm以上とする。【選択図】図1

Description

本発明は、位相差フィルム及び位相差フィルムの製造方法、並びにその位相差フィルムを配置させてなる光学フィルムに関する。
近年、フラットパネルディスプレイ等に適用される光学フィルムは、位相差層により透過光に所望の位相差を付与して所望する光学特性を確保するものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。この種の光学フィルム(位相差フィルム)は、透明フィルム等による基材の表面に配向膜が作製され、この配向膜の配向規制力により液晶材料を配向させた状態で硬化して位相差層が作製される。このような位相差層に適用される液晶材料は、通常、正の波長分散特性を備えているものの、近年、逆分散特性による液晶材料が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。ここで、逆分散特性とは、短波長側ほど透過光における位相差が小さい波長分散特性であり、より具体的に、450nmの波長におけるリタデーション(R450)と、550nmの波長におけるリタデーション(R550)との関係が、R450<R550である。
また、画像表示パネルにおいては、Aプレート、Cプレート等を利用して視野角特性、色味等の種々の光学特性を改善する方法が提案されており、例えば特許文献4には、Aプレート、Cプレートを使用したISP液晶表示装置の光学補償に係る工夫が提案されている。ここで、光学補償とは、黒表示の際に直線偏光板からの斜め方向の光漏れを低減する構成である。また、Cプレートは、nx=ny<nz又はnx=ny>nzで表され、nx=ny<nzは正のCプレートであり、nx=ny>nzは負のCプレートである。また、Aプレートは、nx>ny=nz又はnz=nx>nyで表され、nx>ny=nzは正のAプレートであり、nz=nx>nyは負のAプレートである。なお、nx、ny(nx≧ny)は面内方向の屈折率であり、nzは厚さ方向の屈折率である。
これらの光学フィルムのうち正のAプレートは、位相差層に適用される正の波長分散特性による液晶材料、逆分散特性による液晶材料を使用して、それぞれ正の波長分散特性、逆分散特性により作製することができる。また、正のCプレートにおいては、いわゆるCプレート用の液晶材料による塗工液を塗布して乾燥硬化させることにより作製することができる。また、バーチカル・アライメント(VA)液晶表示装置等では、垂直配向膜により液晶材料を垂直方向に配向させており、VA液晶に関する垂直配向膜の工夫が種々提案されている。
さて、このような位相差フィルムにおいては、その基材として、ブロッキング等を防止するためにフィラーを練り込ませた基材を用いることがある。
ところが、フィラーを含有する基材では、練り込まれたフィラーの突出により基材表面に凹凸が形成され、この基材上に配向膜を塗膜して配向層を形成すると、その配向層の表面(位相差層との接触面)においても凹凸をもたらすことになる。そして、このような凹凸が形成され表面粗さ(Ra)の大きくなった配向層上に液晶組成物を含む位相差層形成用塗工液を塗工しようとすると、そのフィラーの突出に起因して、塗工液を配向層上に均一に塗工することができずに配向層が露出してしまう、いわゆる「ハジキ」を発生させる。
このハジキのような塗工欠陥の発生は、位相差フィルムの歩留まりを低下させるとともに、ハジキの生じた位相差フィルムに偏光板を積層させて外観検査を行うと、ハジキが生じた部分の位相差が小さくなり、欠点等を発生させて外観不良を引き起こす。
特開平10−68816号公報 米国特許第8119026号明細書 特表2010−522892号公報 特表2006−520008号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、フィラーを含有する基材を用いて、位相差フィルムを構成するにあたり、位相差層(液晶層)のハジキの発生を効果的に抑制することができる位相差フィルム及びその製造方法、並びにその位相差フィルムを配置してなる光学フィルムを提供する。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、フィラーを含有する基材上に形成する配向層の厚み(膜厚)と、その配向層の表面(位相差層との接触面)の表面粗さに相関があることを発見し、フィラーの突出量に基づいて配向層の厚みを制御することによって、フィラーに起因する配向層の表面の凹凸の発生を抑え、位相差層形成時におけるハジキの発生を効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明は、フィラーを含有する基材と、配向層と、位相差層とがこの順で積層されてなり、前記配向層の厚みが、前記基材平面からの前記フィラーの突出高さ以上の厚みであることを特徴とする位相差フィルムである。
(2)また本発明は、(1)の発明において、前記配向層の厚みが、1.5μm以上であることを特徴とする位相差フィルムである。
(3)また本発明は、(1)又は(2)の発明において、前記配向層が、垂直配向膜から構成されることを特徴とする位相差フィルムである。
(4)また本発明は、(1)乃至(3)の何れかの発明において、当該位相差フィルムが、転写用であることを特徴とする。
(5)本発明は、フィラーを含有する基材と、配向層と、位相差層とがこの順で積層されてなる位相差フィルムの製造方法であって、前記基材上に、該基材平面からの前記フィラーの突出高さ以上の厚みとなるように前記配向層を形成することを特徴とする位相差フィルムの製造方法である。
(6)本発明は、(1)乃至(4)の何れかに記載の位相差フィルムが、前記基材が剥離された状態で配置されてなる光学フィルムであって、前記配向層において、剥離した前記基材との剥離界面に凹みを有することを特徴とする光学フィルムである。
(7)また本発明は、(6)の発明において、前記配向層における前記基材との剥離界面の凹みの深さが、0.3〜0.7μmであることを特徴とする光学フィルムである。
本発明によれば、基材平面からのフィラーの突出高さ以上の厚みの配向層を形成していることにより、配向層の表面における凹凸の発生を抑えることができ、位相差層を形成する際のハジキの発生を効果的に抑制することができる。
位相差フィルムの一例を示す断面模式図である。 フィラーを含有するPET基材の表面のフィラーの突出について測定した結果を示す図であり、(A)はPET基材表面のフィラーによる凹凸状態を示す図であり、(B)はPET表面における数カ所の凸部について、その高さ(フィラー突出量)を測定した結果を示す図である。 フィラーを含有した基材を用いて作製した、従来の位相差フィルムの断面図であり、ハジキの発生の様子を模式的に示す図である。 配向層の厚み(膜厚)とハジキの発生との相関についての検証実験により得られた、配向層の表面の3次元性状を示す図である。 配向層の厚み(膜厚)と、その配向層表面の表面粗さ(Ra)との関係を示したグラフ図である。 位相差フィルムの製造工程の流れを示すフロー図である。 位相差フィルムを配置させた光学フィルムを製造する際の流れを説明するための図である。 転写後の位相差フィルムにおける配向層の凹みについて測定した図であり、(A)は配向層の表面を白色干渉計により観察したときの表面性状を示す図であり、(B)は配向層の表面に存在する数か所の凹みについて、その深さを測定した結果を示す図である。
以下、本発明に係る位相差フィルムの具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について、以下の順で図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
1.位相差フィルムの構成
2.配向層の厚みについて
3.位相差フィルムの製造方法
4.転写型位相差フィルムとしての適用
≪1.位相差フィルムの構成≫
図1は、本実施の形態に係る位相差フィルム1の一例を示す断面模式図である。図1に示すように、位相差フィルム1は、透明フィルム材からなる基材11と、配向層12と、位相差層(液晶層)13とが順次積層されてなる。
この位相差フィルム1は、特に限定されないが、例えば、転写用として用いられる位相差フィルム(以下、「転写型位相差フィルム」ともいう)とすることができる。転写型位相差フィルムは、その位相差フィルムを構成する位相差層等を、離型性を有する基材(離型性基材)から他の任意の基材に転写することによって、その任意の基材上に位相差層を形成するために用いられるものである。転写型位相差フィルムでは、例えば、位相差層13上に延伸フィルム等の高分子フィルムを粘着剤を介して貼合し、さらに偏光板等を貼合させることによって、所定の光学フィルムを作製することができる。なお、その光学フィルムの作製に際しては、例えば、転写用である位相差フィルム1に延伸フィルム等の高分子フィルム(保護フィルム)を貼合させた後に、基材(離型性基材)のみが剥離される。
本実施の形態に係る位相差フィルム1においては、基材11に、ブロッキング等を防止するためのフィラー50が含まれている。そして、この位相差フィルム1においては、配向層12の厚みが、基材11の平面(基材平面)からのフィラーの突出高さ以上の厚みであることを特徴としている。
このような位相差フィルム1では、基材11の平面からのフィラーの突出高さ以上の大きさの厚みで配向層12が形成されてなっていることにより、配向層12の表面(位相差層13との接触面)における表面粗さ(Ra)が小さくなり、位相差層13を形成する際の液晶組成物塗工時におけるハジキの発生を抑えることができる。つまり、フィラーの突出高さ以上の大きい厚みの配向層12とすることで、その配向層12がフィラーを包埋するようになってフィラーによる凹凸をキャンセルすることができる。これにより、位相差層13におけるハジキの発生を効果的に抑制することができる。
<1−1.基材>
基材11は、透明フィルム材であり、配向層12を支持する機能を有し、長尺に形成されている。この基材11は、例えば位相差フィルム1を転写用として用いる場合には、離型性支持体として機能し、転写用の配向層12及び位相差層13を支持するものであるとともに、その表面が配向層12に対して剥離可能な程度の接着力を有するものが好ましい。
なお、以下では、一例として、転写用に用いる位相差フィルム1を構成する基材(離型性支持基材)11について具体的に説明するが、基材11としてはこれに限定されない。
例えば、離型性支持体としての基材11は、配向層12や位相差層13等を支持することが可能な程度の自己支持性を有し、かつ、その表面が配向層12に対して剥離可能な程度の接着力(剥離力)を有するものであれば特に限定されるものではない。なお、所定の透明フィルム等の表面に対して、公知の離型性処理等を施して離型性を備えるようにして基材11としてもよい。また、基材11に対しては、その表面にコロナ放電処理やプラズマ処理等の公知の易接着処理を施して、接着性を適度に高めるようにしてもよい。
基材11を構成するフィルム材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、トリアセチルセルロース等を挙げることができる。基材11としては、これらの材料からなる単層でもよいが、2種以上の材料を積層させた積層体としてもよい。また、複数の層の積層体とする場合には、同一組成の層が積層されてもよい。
基材11の厚みとしては、特に限定されないが、例えば20μm〜200μmの範囲内とすることが好ましい。基材11の厚さが20μm未満であると、位相差フィルムとして最低限必要な自己支持性を付与できない場合があり好ましくない。一方で、厚さが200μmを超えると、位相差フィルムが長尺状である場合に、長尺状の位相差フィルムを裁断加工して枚葉の位相差フィルムとするにあたって、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまうことがあり好ましくない。
ここで、本実施の形態に係る位相差フィルム1を構成する基材11には、フィラーが含有されている。すなわち、フィラーが練り込まれた、例えばPET等のフィルムによって基材11が構成されている。このフィラーは、例えば、製造されたフィルム原反の巻取りを行う際におけるブロッキング等を防止する観点から付与されているものである。
具体的に、そのフィラーとしては、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の無機系フィラー、ポリメタクリル酸エステル系、ポリアクリル酸エステル系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ジビニルベンゼン系、ベンゾグアナミン系、有機シリコーン系等の有機系フィラーを挙げることができる。
また、フィラーの粒径としては、特に限定されないが、例えばその粒度分布が0.2〜7.0μm程度であり、平均粒径が2.0μmである。
さて、このようなフィラーを含有する基材上に配向層を形成すると、そのフィラーにより配向層の表面粗さ(Ra)が大きくなることがある。つまり、配向層表面(位相差層との接触面)にフィラーによる突出が生じた状態となる。この点、本実施の形態に係る位相差フィルム1によれば、詳しくは後述するように、配向層の厚みを制御していることにより、フィラーを含有する基材を用いた場合でも、配向層の表面粗さ(Ra)を小さくすることが可能となる。これにより、フィラーの突出に起因する液晶組成物塗工時等におけるハジキの発生を効果的に抑制することができるようになっている。
<1−2.配向層>
配向層12は、上述した基材11上に配向膜用組成物(配向膜組成物)を塗工して得られる配向膜により構成され、配向規制力を発現する。ここで、配向規制力とは、配向層12上に重合性液晶化合物(液晶材料)からなる層(位相差層13)を形成したとき、その液晶化合物を所定の方向に配列(配向)させる機能をいう。配向層12を構成する配向膜は、例えば、偏光照射により光配向性を発揮する光配向材料を用い、光照射によって配向させる光配向方式により形成することができる。
配向層12を構成する配向膜は、特に限定されるものではないが、例えば、位相差層13における液晶化合物の分子の分子軸をホメオトロピック配向(垂直配向)させる垂直配向膜とすることができる。この垂直配向膜としては、VA液晶表示装置等に適用される各種の垂直配向膜を適用することができ、例えば、ポリイミド配向膜、LB膜による配向膜等を適用することができる。
より具体的に、垂直配向膜としては、例えば、レシチン、シラン系界面活性剤、チタネート系界面活性剤、ピリジニウム塩系高分子界面活性剤、n−オクタデシルトリエトキシシラン等のシランカップリング系垂直配向膜用組成物、長鎖アルキル基や脂環式構造を側鎖に有する可溶性ポリイミドや長鎖アルキル基や脂環式構造を側鎖に有するポリアミック酸等のポリイミド系垂直配向膜用組成物等の材料を用いて形成することができる。なお、垂直配向膜用組成物として、ジェイエスアール(株)製のポリイミド系垂直配向膜用組成物「JALS−2021」や「JALS−204」、日産化学工業(株)製の「RN−1517」、「SE−1211」、「EXPOA−018」等の市販品を適用することができる。
配向膜組成物中に用いる溶媒(希釈溶媒)としては、配向材料を所望の濃度に溶解できるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン(CHN)等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」という。)等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、溶媒は、1種類であってもよいし、2種類以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
このような、垂直配向膜等からなる配向膜は、上述したような材料を含有する配向膜組成物による塗工液を基材11に塗布して乾燥し、加熱することにより作製される。このようにして作製された配向膜の硬化物により配向層12が構成される。
ここで、配向層12を構成する配向膜として、特に垂直配向膜である場合、位相差フィルム1を構成する配向層12と、位相差層13との表面エネルギーの差が大きくなっている。具体的には、配向層12の方が位相差層13の表面エネルギーよりも小さくなる関係となっており、これにより位相差層13の液晶化合物を効果的に垂直配向させることができるようになる。ところが、このようなエネルギー関係を有している垂直配向膜により配向層を形成した場合には、特に、配向層表面(位相差層との接触面)における凹凸の影響によって位相差層を形成する際にハジキが発生しやすくなる。
この点、本実施の形態に係る位相差フィルム1では、詳しくは後述するように、配向層12の厚みを制御している。このことにより、基材11に含まれるフィラーに基づく配向層12の表面の凹凸を有効にキャンセルすることができ、垂直配向膜からなる配向層を形成した場合であっても、フィラーの突出に起因する液晶組成物塗工時におけるハジキの発生を効果的に抑制することができる。
<1−3.位相差層(液晶層)>
位相差層(液晶層)13は、重合性液晶組成物を含有する。この重合性液晶組成物は、液晶性を示し分子内に重合性官能基を有する液晶化合物(棒状化合物)を含有する。
液晶化合物は、屈折率異方性を有し、規則的に配列することにより所望の位相差性を付与する機能を有する。液晶化合物としては、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料が挙げられるが、他の液晶相を示す液晶化合物と比較して規則的に配列させることが容易である点で、ネマチック相の液晶性を示す材料を用いることが好ましい。ネマチック相を示す液晶化合物としては、メソゲン両端にスペーサを有する材料であることが好ましい。メソゲン両端にスペーサを有する液晶化合物は、柔軟性に優れるため、位相差フィルム1を透明性に優れたものにすることができる。
また、上述した配向層12を垂直配向膜からなるものとし、液晶化合物をホメオトロピック配向させる場合には、ホメオトロピック配向を形成することができるホメオトロピック液晶材料であれば特に限定されない。なお、ホメオトロピック液晶材料としては、垂直配向膜を使用することなく、ホメオトロピック配向を形成できるものと、垂直配向膜を使用することによりホメオトロピック配向を形成できるものとを挙げることができるが、本実施の形態においては、どちらであっても好適に用いることができる。
液晶化合物は、上述したように分子内に重合性官能基を有する重合性液晶化合物である。重合性官能基を有することにより、液晶化合物を重合して固定することが可能になるため、配列安定性に優れ、位相差性の経時変化が生じにくくなる。また、重合性液晶化合物は、分子内に三次元架橋可能な重合性官能基を有することがより好ましい。三次元架橋可能な重合性官能基を有することで、配列安定性をより一層高めることができる。なお、「三次元架橋」とは、液晶性分子を互いに三次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることをいう。
重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線、あるいは熱の作用によって重合するものを挙げることができる。これら重合性官能基としては、ラジカル重合性官能基、カチオン重合性官能基等が挙げられる。ラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、例えば、置換基を有する若しくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。また、カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。その他、重合性官能基としては、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。その中でも、プロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
重合性液晶化合物の量としては、配向層12上に塗工する塗工方法に応じて、位相差層形成用塗工液(液晶組成物)の粘度を所望の値に調整できるものであれば特に限定されないが、例えば、液晶組成物中の量として5〜40質量部程度の範囲内とすることができる。なお、重合性液晶化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
上述した液晶化合物は、通常、溶媒(希釈溶媒)に溶かされている。溶媒としては、液晶化合物等を均一に分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン(CHN)等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られるものではない。また、溶媒は、1種類であってもよく、2種類以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
溶媒の量としては、特に限定されるものではなく、例えば液晶化合物100質量部に対して66〜900質量部程度とすることができる。溶媒の量が66質量部未満であると、液晶化合物を均一に溶かすことができない可能性があり好ましくない。一方で、900質量部を超えると、溶媒の一部が残存し、信頼性が低下する可能性、及び均一に塗工できない可能性があり好ましくない。
その他、液晶組成物には、上述した液晶化合物の配列秩序を害するものでなければ、必要に応じて他の化合物を含んでもよい。例えば、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤、及びシランカップリング剤等を挙げることができる。
上述したような液晶組成物を配向層12上に塗工して形成される位相差層13の厚さとしては、特に限定されるものでないが、適切な配向性能を得るためには、500〜2000nm程度であることが好ましい。
≪2.配向層の厚みについて≫
上述したように、本実施の形態に係る位相差フィルム1においては、基材11に、ブロッキング等を防止するためのフィラー50が含まれている。そのため、このような基材11の表面では、フィラー50が突出した状態となっている。
(フィラー突出量)
ここで、図2に、フィラーを含有するPET基材(膜厚38μm、K1648AS(開発品番),東洋紡(株)製)の表面のフィラーの突出(基材表面からの突出)を測定した結果を示す。なお、フィラーの突出量については、白色干渉計(製品名「Zygo NewView 6300」Zygo社製)を用いて測定した。図2における(A)は、PET基材表面のフィラーによる凹凸状態を示す図であり、(B)はPET表面における数カ所の凸部について、その高さ(フィラー突出量)を測定した結果を示す図である。
図2(A)に示すように、フィラーを練り込んだPET基材の表面では、そのフィラーに基づく凸部(突出部)が生じており、凹凸のある表面になっていることが分かる。なお、図2(A)の観察像において、多数存在する斑点状で表出している箇所が凸部である。そして、図2(B)に示すように、そのフィラーの凸部の高さ(フィラー突出量)としては、高いもので、そのPET基材表面から0.8〜1.5μm程度となっていることが分かる。
このように、ブロッキングを防止する観点等からフィラーを含有させた基材においては、そのフィラーに基づいて表面が凹凸を有するものとなる。そして、このような基材を用いて、その基材上に配向層を形成した場合、配向層においても基材のフィラー突出に基づいて表面粗さ(Ra)が大きくなることがある。すると、図3に位相差フィルムの断面を模式的に示すように、その配向層上に液晶組成物を含有する塗工液を塗工した場合、そのフィラーの突出に起因して、いわゆるハジキ(図3中のX部(点線囲み部))が発生するという問題が生じる。ハジキの発生は、位相差フィルムの歩留まりを低下させるとともに、ハジキの生じた位相差フィルムに偏光板を積層させて外観検査を行うと、ハジキが生じた部分の位相差が小さくなり、欠点等が発生する等の外観不良を起こす。特に、このようなハジキの発生は、位相差層と配向層とで表面エネルギーの差が大きい垂直配向膜からなる配向層を形成した場合に顕著に表れる。
(配向層の厚みと配向層表面粗さとの相関)
そこで、本発明者は、基材中のフィラーに起因するハジキの発生を抑制するために、基材上に形成する配向層の厚みとハジキの発生との相関について検証した。その結果、配向層の厚みを、基材表面からのフィラーの突出高さ以上の厚みとすることによって、配向層の表面粗さ(Ra)を小さくすることができ、フィラーに起因する凹凸をキャンセルすることができることを見出した。そして、このように凹凸を低減して配向層の表面粗さ(Ra)を小さくすることで、その配向層上への液晶組成物塗工時におけるハジキの発生を効果的に抑制することが可能となる。
図4は、配向層の厚み(膜厚)とハジキの発生との相関についての検証実験により得られた、配向層の表面(位相差層との接触面)の3次元性状を示す図である。この検証実験では、上述のようにフィラーの突出量を測定したPET基材(図2参照)と同じ基材を用いて、そのPET基材上に、厚みの異なる配向層を形成した4つのサンプル(図4(a):膜厚0.5μm、(b):膜厚0.75μm、(c):膜厚1.5μm、(d):膜厚3.0μm)を用意し、各サンプルの配向層の表面性状を白色干渉計(Zygo社製)を用いて測定した。なお、各サンプルの配向層の厚みは、マイクロメーターにより測定した。厚み測定は、1サンプルにつき10箇所で行い、これらの平均値を膜厚(平均膜厚)とした。
図4の(a)〜(d)に示すように、配向層の厚み(膜厚)を徐々に厚くしていくことによって、配向層表面の凸部(フィラーの突出)の量が少なくなり、その表面が平坦化していることが明確に分かる。具体的には、膜厚が1.5μm以上(図4(c)、(d))では、配向層表面にほとんど凸部がなく、略平坦な表面となっていることが分かる。
また、上述した配向層厚みの異なる4つのサンプルの配向層表面の表面粗さ(Ra)を測定した。なお、表面粗さ(Ra)は、平均面粗さを示しており、白色干渉計(Zygo社製)により測定した。さらに、それら4つのサンプルの配向層上に、液晶組成物を含有する塗工液(位相差層形成用塗工液)をダイコート法で塗工し、ハジキの発生の有無を確認した。なお、位相差層形成用塗工液としては、メルク(株)製のRMM28B(品名)を用いた。
下記表1に、測定した配向層表面の表面粗さ(Ra)と、ハジキの発生の有無の結果を示す。なお、表1に示すハジキ発生の有無の評価において、『○』はハジキが全く確認されなかったことを示し、『×』はハジキが確認されたことを示し、『△』は僅かにハジキが確認されたことを示す。また、図5に、配向層の厚み(膜厚)と、その配向層表面の表面粗さ(Ra)との関係を示したグラフを示す。
表1及び図5に示すように、配向層の厚みを徐々に厚くしていくことによって、その配向層の表面粗さ(Ra)が小さくなっていくことが分かる。そして、配向層の厚みを1.5μm以上とすることによって、表面粗さを極めて小さくすることができることが分かる。このことは、図2に示した基材に練り込まれたフィラーの突出量(突出高さ)、すなわち高いもので0.8μm〜1.5μmという突出量に整合していることから、フィラーの突出高さ以上の大きさの厚みで配向層を設けることによって、配向層の表面粗さを極めて小さくすることができることが分かる。これは、図1に示した位相差フィルム1の断面模式図にあるように、フィラー50の突出高さ以上の厚みの配向層12とすることで、そのフィラー50を配向層12により包埋化することができるためであると考えられる。
そして、表1に示すように、配向層12の厚みを1.5μm以上とし、フィラー50の突出高さ以上の厚みとした場合には、表面粗さを小さくすることができたことに伴い、その配向層12上に液晶層形成用塗工液を塗工する際のハジキの発生を効果的に抑制することができる。
以上のように、本実施の形態に係る位相差フィルム1は、フィラー50を含有する基材11と、配向層12と、位相差層13とがこの順で積層されてなるものであって、その配向層12の厚みが、基材11の平面からのフィラー50の突出高さ以上の厚みであることを特徴としている。具体的には、例えば、フィラー突出量としては大きいもので1.5μm程度であることから、1.5μm以上の厚みの配向層12を備えた位相差フィルムである。
このような位相差フィルム1では、基材11中のフィラーに基づく配向層12の表面(位相差層13との接触面)の凹凸の発生を抑えることができる。つまり、基材11の平面からのフィラー50の突出高さ以上の厚みを有する配向層12とすることで、その配向層12がフィラーを包埋するようになってフィラー50による凹凸をキャンセルすることができる。これにより、位相差フィルム1によれば、例えば配向層12と位相差層13とで表面エネルギーに差を有する垂直配向膜により配向層12を形成した場合であっても、フィラー50の突出に起因する、位相差層13におけるハジキの発生を効果的に抑制することができる。
なお、この配向層12の厚みに関して、上述したように、フィラー50の突出高さ以上の厚みとすることでハジキの発生を効果的に抑制することができ、その厚みの上限値としては特に限定されない。ただし、基材11との密着性の観点から、厚みの上限値として5μm以下程度であることがより好ましい。配向層12の厚みが5μmを超えると、基材11と配向層12との密着が弱くなり、位相差フィルムの製造工程中において剥がれが生じてしまう可能性がある。
≪3.位相差フィルムの製造方法≫
次に、位相差フィルム1の製造方法について説明する。図6は、位相差フィルム1の製造工程の流れを示すフロー図である。なお、以下の製造方法の説明では、配向層12が垂直配向膜により構成される場合を例に挙げて説明するが、これに限られるものではない。
図6に示すように、位相差フィルム1の製造においては、先ず、ロールに巻き取った長尺フィルムから基材11が提供される。なお、その長尺フィルムには、ブロッキングを防止するためのフィラー50が含有されている。
次に、配向層形成工程において、ロールから繰り出した基材11上に垂直配向膜の塗工液(配向膜組成物)を塗工し、乾燥機等を用いて熱硬化させる処理を施す。これにより基材11上に垂直配向膜を作製し、配向層12を形成する。このとき、本実施の形態においては、配向層12の厚みが、基材11を構成するフィルムにおけるフィラー50の突出高さ以上の大きさの厚みとなるように塗工液を基材11上に塗工して、配向層12を形成する。
次に、位相差層形成工程において、液晶化合物を含有する液晶組成物の塗工液(位相差層形成用塗工液)を、配向層12上に塗工する。その後、乾燥させて紫外線等の照射により硬化させることによって、位相差層(液晶層)13を形成する。なお、紫外線照射処理に先立ち、位相差層13の層厚を均一にするためのレベリング処理を施すようにしてもよい。
ここで、本実施の形態においては、上述したように、基材11の平面からのフィラー50の突出高さ以上の厚みを有する配向層12を形成しているため、そのフィラー50に基づいて配向層12の表面(位相差層13との接触面)に凹凸が生じることを抑えることができる。したがって、このことにより、位相差層形成用塗工液を配向層12上に塗工するに際しても、フィラー50に起因したハジキの発生を効果的に抑制することができる。
このようにして、基材11/配向層12/位相差層13がこの順で積層されてなる積層体フィルムを製造し、得られたフィルムを巻き取りリール41等で巻き取った後、所望の大きさに切り出す切断処理を行う。このような工程を経て、位相差フィルム1が作製される。
なお、基材11上への垂直配向膜の塗工液の塗工方法や、配向層12上への位相差層形成用塗工液の塗工方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、ダイコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法等を用いることができる。
≪4.転写型位相差フィルムとしての適用≫
本実施の形態に係る位相差フィルム1は、上述したように、例えば転写用途に用いる転写型位相差フィルムとして適用することができる。転写型位相差フィルムは、その位相差フィルムを構成する位相差層等を、離型性を有する基材(離型性基材)から他の任意の基材に転写することで、その任意の基材上に位相差層を形成するために用いられる。このような転写型位相差フィルムでは、例えば、位相差層13上に延伸フィルム等の高分子フィルムを粘着剤を介して貼合し、さらに偏光板等を貼合させることによって、所定の光学フィルムを作製することができ、その作製途中において、位相差フィルム1の基材(離型性基材)11が剥離される。
具体的に、本実施の形態に係る位相差フィルム1を転写型位相差フィルムとして用い、その位相差フィルム1を備えた光学フィルムを製造する際の工程の流れについて、図7を用いて説明する。なお、この図7は、フィルムの断面を示す図であり、各工程におけるフィルムの層構造について示しながら製造工程の流れを示す図である。
(転写型位相差フィルムを配置した光学フィルムの製造)
先ず、図7(a)に示すように、フィラー50を含有するPET等の基材11上に、垂直配向膜等からなる配向層12を形成し、その配向層12上に液晶組成物を含有する位相差層形成用塗工液を塗工して位相差層(液相層)13を形成し、位相差フィルム1を作製する。ここで、上述したように、この位相差フィルム1の作製においては、配向層12の厚みが制御されており、具体的にはその配向層12が、基材11の平面からのフィラー50の突出高さ以上の厚みとなるように形成されている。
次に、図7(b)に示すように、作製した位相差フィルム1の位相差層13上に、例えばUV接着剤等を含有する接着層21を形成し、その接着層21上に高分子フィルム(保護フィルム)22を形成する。具体的に、高分子フィルムとしては、特に限定されないが、例えば逆分散特性を備えた延伸フィルム(以下、「逆分散延伸フィルム22」ともいう)を用いることができる。
逆分散延伸フィルム等の高分子フィルム22を位相差フィルム1に積層させると、次に、図7(c)に示すように、位相差フィルム1の基材(離型性基材)11を剥離する。位相差フィルム1は、上述したように転写用途に用いられる転写型位相差フィルムであることから、他の基材に転写するために、離型性支持体である基材11が剥離される。なお、作製する光学フィルムの用途や種類等に応じて、剥離する箇所は適宜決定することができる。例えば、基材11を剥離するのに代えて、剥離界面を配向層12と位相差層13との間の界面として、基材11と配向層12とを同時に剥離するようにしてもよい。
そして、位相差フィルム1の基材11を剥離すると、次に、図7(d)に示すように、粘着剤層31を備えた偏光板を積層する。この偏光板としては、例えば、粘着剤層31と、アクリル樹脂等からなる透明の保護フィルム(基材)32と、偏光子33と、表面材としての透明の保護フィルム(基材)34とが、この順で積層されたものを用いることができ、このような偏光板を、その粘着剤層31を介して逆分散延伸フィルム等の高分子フィルム22に貼り合わせる。
以上のよう工程に基づいて、位相差フィルム1を配置してなる光学フィルムを作製することができる。なお、上述したように、位相差フィルム1において垂直配向膜からなる配向層12を有するものとし、その位相差フィルム1の位相差層13上に接着層21を介して逆分散延伸フィルム22を積層させ、その逆分散延伸フィルム22上に、透明フィルムからなる基材32,34により挟持された偏光子33を備える偏光板を設けることによって、簡易に逆分散特性による正のCプレートを備えた光学フィルムを得ることができる。
(転写後における配向層の表面性状)
さて、本実施の形態では、光学フィルムを構成する位相差フィルム1において、その基材11中にブロッキング等を防止するためのフィラー50が含まれている。そのため、基材11の表面は、フィラー50が突出した状態となっており、具体的には図2に示したように、高いもので0.8〜1.5μm程度の突出高さとなっている。
本実施の形態においては、このようなフィラー50を含有する基材11上に配向層12を形成するに際して、上述のように、基材11の平面からのフィラー50の突出高さ以上の厚みとなるようにしており、これにより、そのフィラー50に起因する配向層12の表面(位相差層13との接触面)における凹凸の発生を抑えている。このことから、位相差層13を形成する際のハジキの発生を抑制することが可能となっている。
一方で、そのフィラー50を含有する基材11上に配向層12を形成すると、配向層12の基材11との接触面においては、フィラー50の突出に基づく凹みが生じることになる。したがって、図7(c)に示したように、転写に伴って離型性支持体としての基材11を剥離すると、転写後の配向層12における基材11との剥離界面(基材11を貼り合せていた配向層12の表面)に、所定の大きさ(深さ)の凹み(凹部)が確認されるようになる。
ここで、図8に、転写後の配向層12の表面を白色干渉計により観察したときの表面性状を示す図(A)、並びに、その配向層12の表面の数カ所の凹みについて、その深さを測定した結果を示す図(B)を示す。なお、この図8に示す観察結果は、図2にフィラーの突出量の測定結果を示したPET基材と同じものを基材11として用いて、その基材11上に積層させた配向層12についての観察結果である。
図8(A)に示すように、転写後の配向層12の表面においては、フィラー50を含有する基材11上に積層させていたことにより、そのフィラー50の突出に起因して生じた凹みの存在を確認することができる。なお、図8(A)の観察像において、多数存在する斑点状で表出している箇所が凸部である。
そして、図8(B)に示すように、その転写後の配向層12の表面に存在する凹みの深さとしては、約300〜700nmとなっていることが分かる。このような約300〜700nm(0.3〜0.7μm)という凹みの深さは、フィラーの突出高さ以上の大きさ(具体的には、例えば1.5μm以上)となるようにした配向層12の厚みよりも十分に小さい(浅い)ものである。したがって、この観察結果からも、配向層12の厚みの制御により、フィラーの突出を有効にキャンセルすることができていることが分かる。
以上のように、本実施の形態に係る位相差フィルム1を転写型位相差フィルムとして用いて光学フィルムを作製したとき、その位相差フィルム1を構成する基材11の剥離後(転写後)においては、配向層12の表面(剥離面)に、所定の深さの凹みが確認される。一方で、配向層12は、基材11の平面からのフィラー50の突出高さ以上の厚みとなるように形成されており、配向層12の位相差層13との表面における凹凸が抑制されており、ハジキが発生することなく、位相差層13が形成されている。
1 位相差フィルム
11 基材
12 配向層
13 位相差層(液晶層)
50 フィラー

Claims (7)

  1. フィラーを含有する基材と、配向層と、位相差層とがこの順で積層されてなり、
    前記配向層の厚みが、前記基材平面からの前記フィラーの突出高さ以上の厚みであることを特徴とする位相差フィルム。
  2. 前記配向層の厚みが、1.5μm以上である請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記配向層は、垂直配向膜から構成される請求項1又は2に記載の位相差フィルム。
  4. 当該位相差フィルムは、転写用である請求項1乃至3の何れかに記載の位相差フィルム。
  5. フィラーを含有する基材と、配向層と、位相差層とがこの順で積層されてなる位相差フィルムの製造方法であって、
    前記基材上に、該基材平面からの前記フィラーの突出高さ以上の厚みとなるように前記配向層を形成することを特徴とする位相差フィルムの製造方法。
  6. 請求項1乃至4の何れかに記載の位相差フィルムが、前記基材が剥離された状態で配置されてなる光学フィルムであって、
    前記配向層において、剥離した前記基材との剥離界面に凹みを有することを特徴とする光学フィルム。
  7. 前記配向層における前記基材との剥離界面の凹みの深さが、0.3〜0.7μmである請求項6に記載の光学フィルム。
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