JP2001040425A - メッキ被覆膜の剥離方法 - Google Patents
メッキ被覆膜の剥離方法Info
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Abstract
被覆膜を除去し、除去後の基材を再利用できるようにす
る。 【解決手段】部品表面にショットピーニングあるいは、
それとともにボールミル等を組合せることによりメッキ
被覆膜を浮かせて剥離する。被膜分離除去後の基材は、
再メッキあるいは再溶解に使用できる。
Description
メッキ、銅メッキ、アルミメッキ等の単層、あるいはこ
れらの複合ないし多層メッキを行ったメッキ被覆膜を有
する使用済部品、メッキ不良部品等からメッキ被覆膜を
簡単な設備にて、効果的に剥離し部品として再利用ある
いは、メッキ被覆膜の混入汚染の影響を受けずに原料等
の溶解工程に戻す方法で、特に、使用済みあるいは不良
品となった希土類合金の磁石部品の廃材のような希少価
値のある合金部品のメッキ被覆膜を剥離し再利用、ある
いは溶解用原料として使用できるようにする方法に関す
るものである。
の中にあり、ますます重要となっている。特に希土類合
金のような希少金属に関しては、ハードディスクディス
クドライブ等の磁石用途として電子機器部品に最近急速
に数多く使用されてきており、それに伴ってその廃材の
リサイクル使用が必要となってきている。これら希土類
磁石部品は、活性な金属であるため腐食防止として、各
種メッキ被覆された状態で使用される場合が多い。この
ような部品の廃材を再利用する場合、メッキ被覆膜を除
去し再度メッキし加工しなおす、あるいは再溶解して合
金化しなおす等の再利用が考えられるが、いずれにして
も表面に被覆されているメッキ被膜を一度剥離しない
と、再メッキ加工が出来ない、あるいは再溶解時にメッ
キ金属元素が不純物として混入する。
化学反応を利用する湿式、あるいは機械的に剥ぎ取る乾
式、それらの組合せ等いろいろな方法が考案されている
が、希土類合金から例えばニッケル被覆膜を除去する方
法として、特開平5−33074では、電解酸化により
除去した後、前記希土類合金を少なくとも一部として新
たに希土類合金を製造する方法が提案されている。
性を向上するため用いられる。従って部品素地よりメッ
キ被覆膜の耐食性のほうが良好である。そのようなメッ
キ部品から酸あるいはアルカリ等を用いてメッキ被覆膜
を溶解除去しようとする場合、メッキ被覆膜の一部が溶
解し、部品素地が露出すると、急激に部品素地の腐食が
進行する。そのため、メッキ被覆膜を十分除去しようと
すると、かなりの部品素地が溶解消失することになる。
特に、活性な希土類元素を大量に含む希土類磁石のメッ
キ部品の場合、そのような傾向が顕著である。従って、
部品の収率が低く、また被膜の溶解に必要な酸あるいは
アルカリの量が多くなり経済的でない。更に、使用済み
となった酸あるいはアルカリ廃液の処分に費用がかかり
経済的でない上、環境に対する負荷が著しく大きい。ま
た、素地をある程度溶かし去ることになり、メッキ前の
部品の寸法より小さくなるため、再度メッキし直したと
しても、寸法が製品規格より小さくなり、再利用は不可
能である。
はニッケル被覆膜を有する希土類合金について水素を吸
収させ、部品を膨張させることによりメッキ被覆膜を剥
離する方法が提案されている。しかしながら、水素処理
のためには、安全面からも雰囲気を完全に大気から遮断
できるチャンバーすなわち真空排気が可能な密閉チャン
バーを用いる必要がある。さらに、水素化した後、温度
を上げて真空排気することにより水素を除き、その後活
性な希土類元素を含む合金が、大気に触れて燃焼するの
を防ぐ必要がある。いずれにしても特殊な高価な設備が
必要となり、さらに処理にも時間がかかるため、処理費
用も極めて高価となる。また、水素化処理後は極めて活
性な粉末状態となるため、処理後の取扱いは制限を受
け、再利用が難しくなる。
希土類磁石部品のように活性な金属部品の廃材を、廃液
処理等のような環境に対する負荷、あるいは、また水素
吸収法のような大型の設備、処理時間等の必要なく、簡
単かつ安価な装置により短時間に、剥離後の部品素地が
再度メッキ工程及び再溶解工程に使用できるような剥離
方法を考案することを目的とする。
について鋭意研究を重ねた結果、以下の方法にてこれを
解決した。すなわちメッキ部品にショットピーニングを
施すことにより部品基材から被覆膜を浮かせて剥離する
ことを特徴とする部品のメッキ被覆膜を剥離する方法。
であり、メッキ部品にショットピーニングを施すととも
に、ボールミル、ポットミル、振動ミルいずれかを合わ
せ用いることにより部品基材から被覆膜を浮かせて剥離
することを特徴とする部品のメッキ被覆膜を剥離する方
法。である。
基材が希土類磁石である上記1)又は2)いずれか記載
のメッキ被覆膜の剥離方法。 4)メッキ被覆膜がニッケルまたはアルミニウムである
上記3)記載のメッキ被覆膜の剥離方法。希土類磁石が
NdFeB系合金磁石である上記3)又は4)に記載の
メッキ被覆膜の剥離方法。である。
にて部品からメッキ被覆膜を除去後、再度部品基材をメ
ッキ工程に戻すことによりメッキ部品とすることを特徴
とするメッキ部品のリサイクル方法。上記1)〜5)い
ずれか記載の方法にて部品からメッキ被覆膜を除去後、
部品基材を再溶解工程に戻し原料としてリサイクルする
方法。について併せ案出した。
説明する。本発明の基本的な目的とする、廃液処理等の
環境問題が無く、収率が高く、設備費用が安くかつ処理
時間が短いため処理費用の安い方法について鋭意検討し
た結果、鉄鋼の表面硬化等に使用されるショットピーニ
ング法を用いて条件を最適化することにより前記問題を
解決出来ることを見出した。さらに、ボールミル、ポッ
トミル、振動ミル等の従来粉砕に用いられた装置の使用
を付加することにより、更により良い効果をあげること
がわかった。
ットピーニングを行うと、表面層に近い部分ほどショッ
トの衝撃の影響がでて、加工後は表面層近傍に面方向に
圧縮応力、その内側には引張応力が残留する。希土類磁
石のニッケルメッキ部品にショットピーニングをかけた
時は、延性のあるニッケルメッキ被膜のみが伸びようと
し、一方マトリックスの希土類磁石は、極めて硬く脆い
金属間化合物のため、室温近傍では実質的に全く塑性変
形しない。そのような機械的性質の差が手伝って、ニッ
ケルメッキ膜と希土類磁石基材との間にせん断力が加わ
って、ニッケルメッキ被膜が盛り上がり、いわゆるSw
elling状態となり、最後には被膜が剥離する。剥
離したメッキ被覆膜は、薄片状であるので、その後篩等
で、容易に分離できる。
は、一般に用いられているものであって、例えば0.1
〜1.0mm程度の鋼球あるいは球状のセラミックスを
遠心力あるいは圧縮空気によりメッキを被覆している部
品表面に衝突させるものである。
スト法のような表面研磨に近い方法を検討したが、研磨
により剥ぎ取る場合は、剥ぎ取ることは可能であるが、
均一に一定厚さ剥ぎ取るための管理が難しく、また被膜
と基材が粉末状になり後の廃棄処理での仕分けが面倒で
あること、あるいは被膜の粉末の一部が基材中にめり込
む等のことから、基材の回収の点でショットピーニング
法、いわゆる表面に応力を与える方法が適していること
がわかった。
部品同士を回転キルンのようなものにて落下衝突させる
方法も検討したが、本発明法に比べ数10倍〜100倍
の時間がかかり、実用的でないことがわかった。
ル等のミル内にて鋼球の落下衝撃を与えることにより剥
離の検討を行ったが、やはり処理時間がショットピーニ
ングと比較し数10倍以上の長時間を要するため効率的で
はなかった。
ーニング法では、部品の比較的平面である部分にはショ
ットが効果的に当たり、処理効果が大きいが、角部分に
ついては、ショットがあたりづらい、あるいはショット
の加圧力がそがれる傾向にある。そのためショットピー
ニングの処理時間を長くしてこれに対処しようとする
と、平面部分の基材が損耗する可能性がある。これに対
し、先に述べたボールミル等の鋼球による落下の衝撃
は、比較的角部分に効果的にあたることから、角から剥
がれる傾向がみられる。本発明者らは、ショットピーニ
ング処理により主として平面部分を剥離、ボールミル等
の鋼球落下によるミルにて角部分を剥離するように両者
を組み合わせることによりショットピーニング単独の場
合よりもショットピーニング時間を減少させ、これによ
り基材の損傷を少なくし、かつ完璧に基材の寸法を損ね
ることなく剥離処理が可能であることを見出した。この
場合に用いるミルは、例えば直径5〜10mmの鋼球あ
るいは球状のセラミックスとメッキを剥離しようとする
部品を筒状の容器に入れ、回転力あるいは振動によって
球および部品同士の衝突によりメッキ表面に衝撃力を与
えるもので、ボールミル、ポットミル、振動ミル等で呼
ばれるものである。
ッケルメッキのみでなく、他の金属例えばクロム,銅、
アルミニウム等によるメッキにも適用可能であるし、一
般の金属部品の表面メッキされたものについても同様の
効果がある。
は、基材のロスが少なく、基材の寸法は全くあるいは、
殆ど変化が無いため、再度メッキ工程に戻すことによ
り、製品として再利用可能である。
金に適用する場合で、表面近傍に機械的な衝撃力が残
り、磁気特性に影響が残っている場合、必要に応じて熱
処理を加えることにより、磁気特性を改善することがで
きる。
工程に戻すことにより、メッキ素材の溶け込み汚染を受
けることなく、原料合金として再利用可能である。
片状で部品素地より効率良く分離可能なうえ、研削によ
り被膜を剥離するものではないため、部品素地からの混
入汚染の程度が少ない。そのため、分離採取した薄片を
酸溶解して電解採取、あるいは電気炉により加熱溶解
し、部品素地から混入してくる酸化しやすい希土類元素
等の含有成分については、スラグ化して分離する方法に
より、メッキとして用いたニッケル、アルミニウムある
いは銅等の有価金属を経済的に回収することも可能とな
る。
する。 (実施例1)ネオジムメタル、純鉄、フェロボロン、ア
ルミニウムメタル及び銅メタルを高周波真空誘導炉を用
いて、真空中で1450℃まで加熱して溶解し、ストリ
ップキャスト法により厚さ0.3mmのNdFeB合金
を鋳造した。この合金は、重量比、Nd 30.0、A
l 0.35、Cu 0.02、B1.0、Fe 6
8.5、Ni 0.001及びその他の不可避的な不純
物から成っていた。この合金を直径5mm程度に粗粉砕
し、室温で水素を吸蔵させた後、500℃で脱水素して
解砕した。解砕した合金をブラウンミルで500μm以
下に粉砕し、窒素気流中でジェットミル粉砕し、フィッ
シャー法による平均粒径で3.3μmのNdFeB微粉
末を得た。
成形方向と垂直に10kOeの磁場を印加しながら成形
し、真空中で1080℃まで加熱してNdFeB燒結体
を得た。この燒結体を真空中、570℃で熱焼鈍して冷
却後、10×10×10mmの立方体に加工した。燒結
体は、重量比 Nd 29.0、Al 0.35、Cu
0.02、B1.0、Fe 69.5、Ni 0.0
01、およびその他の不可避的な不純物から成ってい
た。加工後の燒結体を80℃に保った硫酸ニッケル水和
物(20g/l)、酒石酸カリウム・ナトリウム(40
g/l)、次亜リン酸ナトリウム(10g/l)および
水酸化ナトリウム(PHを9に調製)水溶液に1時間浸
した後、570℃まで加熱して30μmの厚さで均一に
Niをメッキした。この燒結磁石の特性は、残留磁束密
度 14.3kG、保磁力 12.0kOe、最大エネ
ルギー積 45.5MGOeであった。
を用い、投射量30kg/min、投射時間10分間で
メッキ表面にショットピーニングにて衝撃力を加え、篩
を用いて分離すると、磁石に被覆してあったニッケル
2.9gを完全に分離・回収できた。なお、磁石の寸法
は、処理前と比べて0.04〜0.06mm小さくなっ
ていたが、製品の公差の範囲内であった。また、重量は
0.15重量%減少していた。
をメッキした磁石1kgを直径0.3mmφの鉄球を用
い、投射量30kg/min、投射時間2分間でメッキ
表面にショットピーニング処理した後、回転数300r
pm、処理時間6時間でポットミルをかけると、磁石に
被覆してあったニッケル2.9gを完全に分離、回収で
きた。この時、磁石の寸法の変化は最大で0.03mm
小さくなっただけであった。なお、磁石の重量も0.1
重量%減少しただけであった。この方法が最も寸法の変
化が少なくニッケルメッキを除去できた。
を剥離した磁石に再び実施例1と同じ方法でニッケルメ
ッキをし、磁気特性を測定すると、残留磁束密度 1
4.3kG、保磁力11.8kOe、最大エネルギー積
45.3MGOeであり、特性の低下は見られなかっ
た。
料合金に実施例1によりメッキを剥離した磁石を10%
添加して高周波誘導炉を用いて真空中で1450℃まで
加熱し溶解後、ストリップキャスト法により鋳造する
と、合金は重量比 Nd 29.9、Al0.35、C
u 0.02、B 1.0、Fe 69.6、Ni
0.001およびその他の不可避的な不純物から成って
おり、ニッケルの増加は見られなかった。また、溶解収
率は93%であった。この合金から作製した磁石は、残
留磁束密度 14.3kG、保磁力 11.9kOe、
最大エネルギー積 45.2MGOeであり、実施例1
の磁石と同じ特性を示した。すなわち、本方法にて磁石
原料合金として剥離した磁石の基材は再利用できること
がわかった。
をメッキした磁石を室温で水素を飽和量まで吸蔵させ、
この水素を完全に除去するため、真空中で800℃まで
加熱し、急冷した。この磁石を炉から取出す際、水素に
より解砕されて生じた微粉末から発火し、試料全体が燃
焼し再利用は不可能であった。
をメッキした磁石を0.1mol/lの硝酸溶液に20
分間浸すと、磁石表面から気体の発生を伴ってニッケル
が溶解した。ニッケルを溶解させた磁石を室温で減圧し
て乾燥し、磁石の寸法を測定したところ、処理前と比べ
て0.1mm以上小さくなったうえ、寸法が均一でな
く、表面には凹凸が多数見られた。このため、寸法が規
格にあわず、磁石としての再利用は不可能であった。
ーブンで大気中200℃、1時間乾燥して実施例1と同
一の原料合金に10%添加し溶解したところ、スラグの
発生量が多く、収率が実施例4の93%に比べて86%
まで低下したことから、実施例1〜2との優位性が見ら
れなかった。本例で発生した廃液は、ニッケルを含んで
おり、その処理が問題となった。
料合金にニッケルをメッキしたままの部品を10%添加
して高周波誘導炉を用いて真空中で1450℃まで加熱
し溶解後、ストリップキャスト法により鋳造すると、ニ
ッケル濃度は0.27重量%となった。実施例1と同じ
方法で磁石を作製すると、磁力が低下し、規格の特性
(JISC―2502、R5−1−15、1998年
版)を満たすことができず、NdFeB磁石原料合金と
しては不適当であった。
ルに鋼球を入れず、実施例1で作製したニッケルメッキ
をした磁石1Kgのみを入れ、回転数300rpmで2
4時間運転したが磁石表面のニッケルは、ほとんど剥が
れなかった。
部品から極めて効率良くメッキ被覆膜を剥離することが
でき、特にNdFeB系希土類磁石に本発明を用いる
と、再度メッキすることにより製品とすることが可能で
あり、あるいは溶解し原料合金として再利用することが
可能となり、極めて有用である。
Claims (7)
- 【請求項1】メッキ部品にショットピーニングを施すこ
とにより部品基材から被覆膜を浮かせて剥離することを
特徴とする部品のメッキ被覆膜を剥離する方法。 - 【請求項2】メッキ部品にショットピーニングを施すと
ともに、ボールミル、ポットミル、振動ミルいずれかを
合わせ用いることにより部品基材から被覆膜を浮かせて
剥離することを特徴とする部品のメッキ被覆膜を剥離す
る方法。 - 【請求項3】メッキ部品基材が希土類磁石である請求項
1〜2いずれか記載のメッキ被覆膜の剥離方法。 - 【請求項4】メッキ被覆膜がニッケルまたはアルミニウ
ムである請求項3記載のメッキ被覆膜の剥離方法。 - 【請求項5】希土類磁石がNdFeB系合金磁石である
請求項3又は4に記載のメッキ被覆膜の剥離方法。 - 【請求項6】請求項1〜5いずれか記載の方法にて部品
から被覆膜を除去後、再度部品基材をメッキ工程に戻す
ことによりメッキ部品とすることを特徴とするメッキ部
品のリサイクル方法。 - 【請求項7】請求項1〜5いずれか記載の方法にて部品
から被覆膜を除去後、部品基材を溶解工程に戻し原料と
してリサイクルする方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21533299A JP4406963B2 (ja) | 1999-07-29 | 1999-07-29 | メッキ被覆膜の剥離方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21533299A JP4406963B2 (ja) | 1999-07-29 | 1999-07-29 | メッキ被覆膜の剥離方法 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001040425A true JP2001040425A (ja) | 2001-02-13 |
JP2001040425A5 JP2001040425A5 (ja) | 2005-08-18 |
JP4406963B2 JP4406963B2 (ja) | 2010-02-03 |
Family
ID=16670552
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21533299A Expired - Lifetime JP4406963B2 (ja) | 1999-07-29 | 1999-07-29 | メッキ被覆膜の剥離方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP4406963B2 (ja) |
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