JP2001031428A - 水熱法によるマンガン含有リチウムコバルト複合酸化物の製造方法 - Google Patents

水熱法によるマンガン含有リチウムコバルト複合酸化物の製造方法

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JP2001031428A
JP2001031428A JP11205586A JP20558699A JP2001031428A JP 2001031428 A JP2001031428 A JP 2001031428A JP 11205586 A JP11205586 A JP 11205586A JP 20558699 A JP20558699 A JP 20558699A JP 2001031428 A JP2001031428 A JP 2001031428A
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lithium
cobalt
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Mitsuharu Tabuchi
光春 田渕
Kazuaki Ato
和明 阿度
Hironori Kobayashi
弘典 小林
Hiroyuki Kageyama
博之 蔭山
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Agency of Industrial Science and Technology
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リチウムイオン二次電池用正極材料であるマ
ンガン含有リチウムコバルト複合酸化物の低温製造法を
提供することを主な目的とする。 【解決手段】 本発明は、(1)可溶性コバルト化合物
の少なくとも1種と(2)可溶性マンガン化合物の少な
くとも1種との共沈物を、(3)リチウム化合物の少な
くとも1種とともに、水熱処理することを特徴とするマ
ンガン含有リチウムコバルト系複合酸化物(Mnドープ
量:25%より大)の製造方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リチウムイオン二次電
池用正極材料として有用なリチウムコバルト複合酸化
物、その製造方法およびリチウムイオン二次電池に関す
る。
【0002】
【従来技術】携帯電話、ノートパソコン、CDプレイヤ
ー、MDプレイヤーなどのポータブル機器に搭載されてい
る二次電池として、その傑出したエネルギー密度故に注
目されているのが、リチウムイオン二次電池である。こ
の電池は、今後電気自動車あるいは電力負荷平準化シス
テムなどにおいて使用する大型電池への発展が期待され
ており、その重要性はますます高まっている。リチウム
イオン二次電池においては、現在、正極材料として層状
岩塩型LiCoO2系材料が、負極材料として黒鉛などの炭素
材料が、電解液として有機電解液が用いられている。そ
の中でも、正極材料であるLiCoO2系材料は、電池の作動
電圧と充放電容量という電池性能に深く関わっており、
今後需要が増すものと推定される。
【0003】ところが、この材料は、希少金属であるコ
バルトを含むために、リチウムイオン二次電池の材料コ
ストを高める要因の一つとなっている。また、充放電時
に材料中のすべてのコバルトが酸化・還元されるわけで
はないため、現在はこの化合物中のコバルトをより安価
で資源的制約の少ないNiで置き換えた固溶体であるLiCo
1-xNixO2が用いられている。
【0004】材料コストをより一層低減することによ
り、リチウムイオン二次電池のより一層の大型化および
より幅広い普及を可能とするために、より安価でかつ資
源的制約の少ない正極材料として、コバルトをNiではな
く、Mnで置換した材料(マンガン含有リチウムコバルト
複合酸化物)の実用化が期待されている。従来、この材
料は、炭酸コバルトと炭酸マンガンと水酸化リチウムま
たは炭酸リチウムとの混合物を大気中、900〜1000℃と
いう高温条件下で焼成することにより行われている(K.
Numata, C. Sakaki and S. Yamanaka, Solid State Io
nics, 117, (1999) 257-263)ので、製造コストが高い
という問題点がある。もし、高温焼成で得た正極材料と
同等の特性を示すリチウムイオン二次電池用の正極材料
を、低温合成することが可能であれば、正極材料の製造
コストを大幅に下げることができるので、産業上きわめ
て有用な製造プロセスとなりうる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、高
容量のリチウムイオン二次電池用正極材料として有用で
あるマンガン含有リチウムコバルト複合酸化物の低温製
造法を提供することを主な目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来技
術の問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、水溶性2価の
コバルト化合物と2価あるいは3価のマンガン化合物とを
共沈させたものを出発物質とし、これを水酸化リチウム
などのリチウム源とともに101〜400℃程度の温度で水熱
反応させる場合には、高容量のリチウムイオン二次電池
用正極材料として有用なマンガン含有リチウムコバルト
複合酸化物(コバルト(Co)に対するマンガン(Mn)ド
ープ量がモル比で、0.25<Mn/(Mn+Co)<1である)
が、容易に得られることを見出した。
【0007】本発明者は、さらに本発明方法によって得
られるマンガン含有リチウムコバルト複合酸化物をリチ
ウムイオン二次電池用正極材料として使用する場合に
は、電池の充放電におけるサイクル数増加に伴う容量劣
化が少なく、コバルト利用率も高くなる(即ち、コバル
トをより有効に充放電反応に利用できる)ことをも見出
した。
【0008】すなわち、本発明は、(1)可溶性コバル
ト化合物の少なくとも1種と(2)可溶性マンガン化合
物の少なくとも1種との共沈物を、(3)リチウム化合
物の少なくとも1種とともに、水熱処理することを特徴
とするマンガン含有リチウムコバルト複合酸化物(ただ
し、Coに対するMnドープ量がモル比で、0.25<Mn/(Mn
+Co)<1である)の製造方法を提供するものである。
【0009】本発明は、さらに組成式Li1-xCo1-yLiy/3M
n2y/3O2-x/2 (ただし、式中xおよびyの値は、それぞ
れ0≦x<0.5、0.33<y<1.5を表す)で表されるマンガ
ン含有リチウムコバルト複合酸化物からなるリチウム二
次電池用正極材料を提供する。
【0010】本発明は、さらに組成式Li1-xCo1-yLiy/3M
n2y/3O2-x/2 (ただし、式中xおよびyの値は、それぞ
れ0≦x<0.5、0.33<y<1.5を表す)で表されるマンガ
ン含有リチウムコバルト複合酸化物を正極の構成要素と
するリチウム二次電池を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の原料、マンガン含
有リチウムコバルト複合酸化物の製造法、生成物などに
ついて詳細に説明する。 (1)可溶性コバルト化合物 本発明において、使用する可溶性コバルト化合物として
は、可溶性であれば特に限定されないが、コバルトの水
溶性塩(塩化物、硝酸塩、硫酸塩)あるいは水酸化物な
どが例示される。これらのコバルト化合物は、無水物あ
るいは水和物のいずれであってもよい。これらの中で
は、2価のコバルト塩(塩化物、硝酸塩、硫酸塩など)
がより好ましい。具体的には、塩化コバルト(II)の無
水物および水和物、硝酸コバルト(II)の無水物および
水和物などが、特に好ましい。
【0012】可溶性コバルト化合物は、単独で使用して
もよく、2種以上を併用してもよい。 (2)可溶性マンガン化合物 本発明において使用する可溶性マンガン化合物として
は、可溶性であれば特に限定されないが、マンガンの水
溶性塩(塩化物、硝酸塩、硫酸塩など)、水酸化物など
があげられる。これらのマンガン化合物は、無水物ある
いは水和物のいずれであってもよい。これらの中では、
材料コストを考慮すると、2価のマンガン化合物(塩化
物、硝酸塩、硫酸塩など)がより好ましい。より具体的
には、塩化マンガンの無水物および水和物、硝酸マンガ
ンの無水物および水和物などが、例示される。
【0013】可溶性マンガン化合物は、単独で使用して
もよく、2種以上を併用してもよい。 (3)リチウム化合物 リチウム化合物としては、高温高圧水下で水に可溶であ
れば、特に限定されないが、例えば、リチウムの塩化
物、硝酸塩、水酸化物、硫酸塩などが使用できる。リチ
ウム化合物は、無水物あるいは水和物のいずれであって
もよい。より具体的には、水酸化リチウムの無水物およ
び水和物、塩化リチウムの無水物および水和物などが、
例示される。
【0014】リチウム化合物は、単独で使用してもよ
く、2種以上を併用してもよい。 (4)マンガン含有リチウムコバルト複合酸化物の製造 本発明によるマンガン含有リチウムコバルト複合酸化物
の製造は、上記可溶性コバルト化合物および上記可溶性
マンガン化合物を含む水溶液から得られる共沈物を、上
記リチウム化合物とともに水熱処理することにより、行
う。
【0015】コバルト−マンガン混合水溶液から共沈物
を得るためには、混合水溶液にアルカリを添加しても良
く、或いはアルカリに混合水溶液を添加しても良い。ア
ルカリとしては、特に限定されず、例えば、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、あるいはア
ンモニア水などを使用することができる。これらの中で
も、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムがより好ま
しい。
【0016】本発明においては、まず、所定モル比の可
溶性コバルト化合物および可溶性マンガン化合物を、そ
れぞれコバルト−マンガン混合水溶液中濃度(アルカリ
を添加する前の濃度)として0.01-5M(無水物換算)程
度、より好ましくは0.1-3M程度となる様に蒸留水に溶解
させる。この所定モル比は、得られるマンガン含有リチ
ウムコバルト酸化物中のCoに対するMnドープ量がモル比
で、0.25<Mn/(Mn+Co)<1となる範囲内にあり、さ
らに得られるマンガン含有リチウムコバルト酸化物中の
Coに対するMnドープ量が、モル比として0.3≦Mn/(Mn+C
o)≦0.5の範囲内となるように調整することが、より好
ましい。
【0017】次に、この混合水溶液に0.5-50M程度、よ
り好ましくは1-20M程度の上記アルカリを水溶液の形態
で、混合溶液が完全にアルカリ性になるまで(例えば、
pHが10以上程度になるまで)加える。この結果、マン
ガンとコバルトを含む共沈物が得られる。反応は、通常
室温〜60℃程度で行う。
【0018】次いで、上記共沈物を含む混合物を、室温
で1〜10日間程度、より好ましくは3〜7日程度、空気に
より酸化するか、あるいは適当量の水溶性の塩素酸塩、
過酸化物(例えば、KClO3、H2O2)などの酸化剤を加え
て酸化することにより、共沈物中のマンガンおよびコバ
ルトの原子価をそれぞれ4価および3価にする。
【0019】次に、上記の様にして酸化した共沈物を水
洗し、乾燥した後、水熱反応の原料とする。より詳細に
は、銀製、ポリテトラフルオロエチレン製などの耐熱耐
圧容器内において、酸化共沈物1重量部当たり、リチウ
ム化合物を無水物換算で0.5〜100重量部程度、より好ま
しくは1〜20重量部程度の割合で、且つリチウム化合物
の濃度が0.1〜50M程度、好ましくは0.5〜10M程度とな
るように蒸留水を加えて混合し、出発混合物とする。
【0020】次いで、上記の容器を水熱反応装置(例え
ば、市販のオートクレーブなど)の中に静置して、水熱
反応に供する。水熱反応条件は特に限定されるものでは
ないが、通常101〜400℃程度の温度で0.5〜72時間程度
であり、より好ましくは200〜380℃程度の温度で1〜60
時間程度である。
【0021】反応終了後、残存するリチウム化合物およ
びその他の塩類を除去するために、反応生成物を水洗
し、濾過し、乾燥して、所望のマンガン含有リチウムコ
バルト酸化物を得る。 (4)マンガン含有リチウムコバルト複合酸化物 得られる反応生成物の一次粒子の大きさは、通常0.01〜
1μm程度であり、二次粒子の大きさは1〜10μm程度であ
る。
【0022】本発明製造方法により得られるマンガン含
有リチウムコバルト複合酸化物(ただし、Coに対するMn
ドープ量がモル比で、0.25<Mn/(Mn+Co)<1である)
は、(1-y) LiCoO2 - 2y/3 Li2MnO3固溶体であって、理
論的に、LiCo1-yLiy/3Mn2y/3O2なる組成式で表されるも
のである(式中yの値は、0.33<y<1.5を示す)。ただ
し、本発明においては、精製段階において、リチウムが
欠損する場合があるので、本発明方法による生成物は、
Li1-xCo1-yLiy/3Mn2y/3O2-x/2 (式中xおよびyの値
は、それぞれ0≦x<0.5、0.33<y<1.5を示し、より好
ましくは、xおよびyの値は、それぞれ0≦x<0.45、
0.391≦y≦0.6を示す)で表される。
【0023】本発明方法により得られるマンガン含有リ
チウムコバルト複合酸化物は、リチウムイオン二次電池
用正極材料として有用であり、高温焼成により得られる
従来の正極材料と同等もしくはそれ以上の優れた特性を
リチウムイオン二次電池に付与する。
【0024】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明の特
徴を一層明確にするが、本発明はこれら実施例のみに限
定されるものではない。
【0025】なお、実施例で得られた試料の結晶相は、
X線回折分析により評価し、Mn原子価状態分析はMn-K吸
収端でのX線吸収スペクトルにより評価し、組成は誘導
結合プラズマ(ICP)および原子吸光分析により評価し
た。
【0026】さらに、実施例で得られた各試料を正極材
料とし、金属リチウムを負極としたコイン型リチウム電
池を作製して、その充放電特性について検討した。
【0027】実施例1 塩化マンガン(II)4水和物14.84gと硝酸コバルト(II)6水
和物50.93g(Mn:Coモル比30:70)とを、ビーカー中の蒸
留水400mlに加えて攪拌し、完全に溶解させた後、4.5M
水酸化ナトリウム水溶液400mlを徐々に加え、沈殿物を
得た。次いで、このビーカーにエアーポンプを取り付
け、空気を吹き込みつつ室温で7日間攪拌しながら放置
した。得られた沈殿を蒸留水で洗浄した後、濾過し、乾
燥して共沈物を得た。
【0028】得られた共沈物2.7g、水酸化リチウム1水
和物10gおよび蒸留水100mlを銀容器中で混合させ、水熱
反応炉(オートクレーブ)内に静置し、350℃で48時間
水熱処理した。水熱処理終了後、反応炉を室温付近まで
冷却した後、容器をオートクレーブ外に取り出し、生成
している沈殿物を蒸留水で洗浄して、過剰に存在する水
酸化リチウムおよびその他の塩類を除去し、濾過し、乾
燥することにより、粉末状生成物を得た。
【0029】実施例2 塩化マンガン(II)4水和物17.32gと硝酸コバルト(II)6水
和物47.29g(Mn:Coモル比35:65)をビーカー中の蒸留水
400ml中で攪拌し、完全に溶解させた後、4.5M水酸化ナ
トリウム水溶液400mlを徐々に加えて、沈殿物を得た。
このビーカーにエアーポンプを取り付け、空気を吹き込
みつつ室温で7日間攪拌しながら放置した。得られた沈
殿を蒸留水で洗浄した後、濾過し、乾燥して共沈物を得
た。
【0030】得られた共沈物2.7g、水酸化リチウム1水
和物10gおよび蒸留水100mlを銀容器中で混合させ、水熱
反応炉(オートクレーブ)内に静置し、350℃で48時間
水熱処理した。水熱処理終了後、反応炉を室温付近まで
冷却した後、容器をオートクレーブ外に取り出し、生成
している沈殿物を蒸留水で洗浄して、過剰に存在する水
酸化リチウムおよびその他の塩類を除去し、濾過し、乾
燥することにより、粉末状生成物を得た。
【0031】実施例3 塩化マンガン(II)4水和物19.79gと硝酸コバルト(II)6水
和物43.65g(Mn:Coモル比40:60)をビーカー内の蒸留水
400ml中で攪拌し、完全に溶解させた後、4.5M水酸化ナ
トリウム水溶液400mlを徐々に加えて、沈殿物を得た。
このビーカーにエアーポンプを取り付け、空気を吹き込
みつつ室温で7日間攪拌しながら放置した。得られた沈
殿を蒸留水で洗浄した後、濾過し、乾燥することによ
り、共沈物を得た。
【0032】得られた共沈物2.7g、水酸化リチウム1水
和物10gおよび蒸留水100mlを銀容器中で混合させ、水熱
反応炉(オートクレーブ)内に静置し、350℃で48時間
水熱処理した。水熱処理終了後、反応炉を室温付近まで
冷却した後、容器をオートクレーブ外に取り出し、生成
している沈殿物を蒸留水で洗浄して、過剰に存在する水
酸化リチウムおよびその他の塩類を除去し、濾過し、乾
燥することにより、粉末状生成物を得た。
【0033】比較例1 CoOOH 2.7gを出発原料として、水酸化リチウム1水和
物20gおよび蒸留水を加え、220℃で8時間水熱処理する
ことによって、生成物LiCoO2を得た。
【0034】比較例2 塩化マンガン(II)4水和物2.48gと硝酸コバルト(II)6水
和物69.12g(Mn:Coモル比5:95)をビーカー中の蒸留水4
00mlに加えて攪拌し、完全に溶解させた後、4.5M水酸化
ナトリウム水溶液400mlを徐々に加え、沈殿物を得た。
このビーカーにエアーポンプを取り付け、空気を吹き込
みつつ室温で7日間攪拌しながら放置した。得られた沈
殿を蒸留水で洗浄した後、濾過し、乾燥して、共沈物を
得た。
【0035】得られた共沈物2.7g、水酸化リチウム10g
および蒸留水100mlを銀容器中で混合させ、水熱反応炉
(オートクレーブ)内に静置し、350℃で48時間水熱処
理した。水熱処理終了後、反応炉を室温付近まで冷却し
た後、容器をオートクレーブ外に取り出し、生成してい
る沈殿物を蒸留水で洗浄して、過剰に存在する水酸化リ
チウムおよびその他の塩類を除去し、濾過し、乾燥する
ことにより、粉末状生成物を得た。
【0036】比較例3 塩化マンガン(II)4水和物7.42gと硝酸コバルト(II)6水
和物61.84g(Mn:Coモル比15:85)をビーカー内の蒸留水
400mlに加えて攪拌し、完全に溶解させた後、4.5M水酸
化ナトリウム水溶液400mlを徐々に加え、沈殿物を得
た。このビーカーにエアーポンプを取り付け、空気を吹
き込みつつ室温で7日間攪拌しながら放置した。得られ
た沈殿を蒸留水で洗浄した後、濾過し、乾燥して、共沈
物を得た。
【0037】得られた共沈物2.7g、水酸化リチウム10g
および蒸留水100mlを銀容器中で混合させ、水熱反応炉
(オートクレーブ)内に静置し、350℃で48時間水熱処
理した。水熱処理終了後、反応炉を室温付近まで冷却し
た後、容器をオートクレーブ外に取り出し、生成してい
る沈殿物を蒸留水で洗浄して、過剰に存在する水酸化リ
チウムおよびその他の塩類を除去し、濾過し、乾燥する
ことにより、粉末状生成物を得た。
【0038】試験例1 実施例1〜3で得られた生成物および比較例1で得られ
た生成物(LiCoO2)について、常法に従ってX線結晶回
折分析を行った。得られたX線回折パターンを図1に示
す。すべてのピークは、( R. J. Gummow, M. M. Thacke
ray, W. I. F.David and S. Hull,Mat. Res. Bull, 27,
(1992) , 327-337)に記載されている六方晶系の層状岩
塩型LiCoO2の単位胞(空間群:R m, a=2.81800A, c=14.06
40 A)で、指数付けを行った。
【0039】この図1に示す結果から、本発明方法によ
り得られた生成物であるMn含有リチウムコバルト複合酸
化物の各ピークが、MnをドープしないLiCoO2に比べて低
角度側にシフトとしていることがわかる。
【0040】さらに、上記指数づけの結果を下記の表1
に示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1に示す結果から明らかな様に、実施例
1〜3で得られた試料は、Mn無ドープLiCoO2に比べて大
きな格子定数を有している。
【0043】図1および表1に示す結果から、本発明方
法により、Mn含有リチウムコバルト複合酸化物が製造で
きたことがわかる。
【0044】試験例2 次に、実施例1〜3で得られた試料について、常法に従
って、誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP)および
原子吸光分析を行った。その結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】上記の結果から、実施例1〜3によって得
られた試料中のリチウム、コバルト、およびマンガン量
は、LiCoO2-Li2MnO3固溶体(LiCo1-yLiy/3Mn2y/3O2)か
ら予想されるLi/(Mn+Co)比に近く、上記固溶体が得られ
ていることがわかる。また、その差は、Li1-xCo1-yLi
y/3Mn2y/3O2-x/2の式中xの値に依存するものである。
また、Mn/(Mn+Co)比も仕込みモル比にほぼ一致し、生成
物中のMn量は、仕込み組成により制御可能であることが
明らかとなった。
【0047】試験例3 実施例1および実施例2でそれぞれ得られた試料のMnの
原子価状態を確認するために、Mn-K吸収端におけるX線
吸収スペクトル測定を行った(図2参照)。
【0048】実施例1および実施例2で得られた試料
は、層状LiMnO2(Mnは3価)よりもLi 2MnO3(Mnは4価)
に近く、本発明によって得られた固溶体がLiCoO2-Li2Mn
O3固溶体であることがわかる。
【0049】試験例4 実施例1および3によって得られた試料を正極材料と
し、金属リチウムを負極材料とし、過塩素酸リチウムを
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶
媒に溶解させて1M溶液としたものを電解液として、常法
に従ってコイン型のリチウム二次電池を製造し、リチウ
ムイオン二次電池としての充放電特性(3.0-4.3V、電
流密度0.5mA/cm2)を測定した。その結果を図3(a)(実
施例1)および図3(b)(実施例3)に示す。
【0050】図3(a)(実施例1)および図3(b)におい
て、右上がりの曲線が充電曲線(1-10c)に、右下がり
の曲線が放電曲線(1-10d)にそれぞれ対応している。ま
た、曲線1cは初期充電状況を示し、曲線群2〜10cはそ
れぞれ2〜10回目の充電状況を示す。同様に、曲線群1〜
10dはそれぞれ1〜10回目の放電状況を表す。
【0051】図3(a)および図3(b)に示す結果から、本
発明によるMn含有リチウムコバルト複合酸化物が、リチ
ウムイオン二次電池用正極材料として優れた特性を備え
ていることが明らかである。
【0052】試験例5 実施例1〜3および比較例1〜3によって得られた各試
料を正極とし、金属リチウムを負極とし、過塩素酸リチ
ウムをエチレンカーボネートとジメチルカーボネートの
混合溶媒に溶解させて1M溶液としたものを電解液とし
て、試験例4と同様にして、リチウムイオン二次電池と
しての充放電特性(3.0-4.3V、電流密度0.5mA/cm2)を
測定した。すなわち、初期放電容量および10サイクル試
験後の放電容量を測定し、容量変化率(10サイクル試験
後の放電容量/初期放電容量)を算出した。また、組成
式(LiCo1-yLiy/3Mn2y/3O2)中のコバルト量から計算さ
れる理論容量および上記初期放電容量から、Co利用率
(初期放電容量/理論容量)を算出した。これらの結果
を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】表3に示す結果から、本発明によって得ら
れるMn含有リチウムコバルト複合酸化物が、高容量リチ
ウムイオン二次電池用正極材料として使用可能であるこ
とが確認でき、さらに、本発明によって得られる正極
が、充放電におけるサイクル数増加に伴う容量劣化が少
なく、またCoをより有効に充放電反応にできることがわ
かる。
【0055】
【発明の効果】低温での水熱反応を利用する本発明方法
によれば、リチウムイオン二次電池用正極材料として有
用なマンガン含有リチウムコバルト複合酸化物を、高温
焼成法に比して安価に製造することが可能になる。
【0056】従って、本発明は、リチウムイオン二次電
池の性能改善およびより一層の普及に貢献するところが
極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 塩化マンガン(II)4水和物をMn源として用
い、水熱法で得られたMnドープLiCoO2のX線回折パター
ンとMn無ドープLiCoO2のX線回折パターンとを対比して
示すチャートである。
【図2】 実施例1で得られた反応生成物のMnK吸収端X
線吸収スペクトルと、参照物質としての層状LiMnO2およ
びLi2MnO3のスペクトルとを示すチャートである。
【図3】 (a)実施例1で得られた反応生成物および(b)
実施例3で得られた反応生成物を正極とし、Li金属を負
極としたコイン型リチウムイオン二次電池の充放電特性
(電位範囲3.0-4.3V、電流密度0.5mA/cm2)を示すグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 弘典 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内 (72)発明者 蔭山 博之 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内 Fターム(参考) 4G048 AA04 AB02 AC06 AD03 AE05 AE06 AE07 5H003 AA08 BA01 BA07 BB04 BB07 BC06 BD01 BD03 5H029 AJ14 AK03 AL12 AM03 AM05 AM07 BJ03 BJ12 CJ02 CJ14 CJ15 DJ17 HJ02 HJ14

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)可溶性コバルト化合物の少なくと
    も1種と(2)可溶性マンガン化合物の少なくとも1種
    との共沈物を、(3)リチウム化合物の少なくとも1種
    とともに、水熱処理することを特徴とするマンガン含有
    リチウムコバルト複合酸化物(ただし、コバルト(Co)
    に対するマンガン(Mn)ドープ量がモル比で、0.25<Mn
    /(Mn+Co)<1である)の製造方法。
  2. 【請求項2】 (1)可溶性コバルト化合物が、コバル
    トの塩化物、硝酸塩、硫酸塩および水酸化物から選択さ
    れることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 (2)可溶性マンガン化合物が、マンガ
    ンの塩化物、硝酸塩、硫酸塩および水酸化物から選択さ
    れることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 (3)リチウム化合物が、リチウムの水
    酸化物、塩化物、硝酸塩および硫酸塩から選択されるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 (1)可溶性コバルト化合物の少なくと
    も1種と(2)可溶性マンガン化合物の少なくとも1種
    を含む水溶液に、アルカリを添加することによって共沈
    物を得ることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 (1)可溶性コバルト化合物の少なくと
    も1種と(2)可溶性マンガン化合物の少なくとも1種
    との共沈物を酸化した後に、(3)リチウム化合物の少
    なくとも1種とともに、水熱処理することを特徴とする
    請求項1に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 マンガン含有リチウムコバルト複合酸化
    物が、Li1-xCo1-yLi y/3Mn2y/3O2-x/2 (ただし、式中x
    およびyの値は、それぞれ0≦x<0.5、0.33<y<1.5を
    表す)で表される請求項1に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 101〜400℃の温度範囲で水熱処理するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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