JP4487194B2 - リチウム二次電池正極活物質、その製造方法およびリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
で表されるリチウム複合酸化物からなり、X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率が90%以上で、かつ六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属する上記リチウム複合酸化物の純度が90%以上であるリチウム複合酸化物を含有することを特徴とするリチウム二次電池正極活物質に係わるものである。
で表されるリチウム複合酸化物からなり、X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率が90%以上で、かつ六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属する上記リチウム複合酸化物の純度が90%以上であるリチウム複合酸化物を得る工程を有することを特徴とするリチウム二次電池正極活物質の製造方法に係るものである。
また、本発明のリチウム複合酸化物を用いた正極板およびリチウム二次電池によれば、放電容量および放電保持率に優れる高エネルギー密度を与える二次電池を得ることができる。
本発明に係るリチウム複合酸化物は、下記の一般式(I)
で表されるリチウム複合酸化物において、(i)X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率が90%以上で、かつ(ii)六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属する上記リチウム複合酸化物の純度が90%以上であることを構成上の特徴とする。
リートベルト解析法の手順は後述の表1の評価方法に示す通りである。
本発明に係るリチウム複合酸化物の製造方法は、リチウム,ニッケルおよび遷移金属元素の原子比が各々x,1−yおよびy(但し、0<x<1.1、0≦y<0.6を表す)からなるリチウム塩、ニッケル塩および遷移金属塩を含有するリチウム複合酸化物前駆体原料を昇温速度1℃/min以上で焼成を行い、次いで冷却することにより、前記一般式(I)で表されるリチウム複合酸化物を製造する方法である。
また本発明で使用する原料は、いずれにおいても製造履歴は問わないが、可及的に不純物含有量が少ないものを選定することが好ましい。
反応により生成した沈澱(粒子)を常法により分離、乾燥する。次に、この粒子に所定量のリチウム塩を添加混合し焼成する。リチウム塩は酸化物、水酸化物、炭酸化物でもよいが、好ましくは酸化物、水酸化物である。
焼成雰囲気は、大気中でも酸素雰囲気中でもよいが、好ましくは酸素雰囲気中である。
また、本発明のリチウム複合酸化物を主成分として含有するリチウム二次電池正極活物質で導電性基板を被覆してリチウム二次電池用正極板を得ることができ、さらにその正極板を用いることによりリチウム二次電池を提供することができる。
上記のようにして製造したリチウム複合化合物を主成分として、黒鉛粉末、ポリフッ化ビニリデンなどを混合加工して正極剤(リチウム二次電池正極活物質)とし、これを有機溶媒に分散させて混練ペーストを調製する。該混練ペーストをアルミ箔などの導電性基板に塗布した後、乾燥し、加圧して適宜の形状に切断して正極板を得る。
すなわち、通常、Lix NiO2 の化合物は、立方晶と六方晶の結晶形態をとるが、リチウム二次電池の正極活物質としては六方晶の層状化合物(空間群R−3m)が円滑にリチウムイオンのインターカレーション・デインターカレーション反応を生じることから、好ましく用いることができる。
実施例1
コバルトとニッケルの原子比が1:1になるように水酸化コバルトと水酸化ニッケルをそれぞれ秤量して純水に分散させ、酸で溶解したのちシュウ酸を滴下してコバルト・ニッケル混合シュウ酸塩を得た。得られたシュウ酸塩は水洗・乾燥した後、シュウ酸塩中のコバルトとニッケル:リチウムの原子比が1:1.03になるようにシュウ酸塩と水酸化リチウムを均一に混合した。
得られたリチウム複合酸化物の焼成条件、X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率、および六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属するリチウム複合酸化物の純度を表1に示す。
コバルトとニッケルの原子比が3:7になるように水酸化コバルトと水酸化ニッケルをそれぞれ秤量して純水に分散させ、酸で溶解したのち、シュウ酸を滴下してコバルト・ニッケル混合シュウ酸塩を得た。得られたシュウ酸塩は水洗・乾燥した後、シュウ酸塩のコバルトとニッケル:リチウムの原子比が1:1.03になるようにシュウ酸塩と水酸化リチウムを均一に混合した。
得られたリチウム複合酸化物の焼成条件、X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率、および六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属するリチウム複合酸化物の純度を表1に示す。
ニッケルとコバルトとリチウムの原子比が0.8:0.2:1.03になるように、水酸化ニッケルと水酸化コバルトと水酸化リチウムをそれぞれ秤量し充分に混合した。この混合物を350℃で仮焼し、酸素雰囲気下で700℃まで4℃/minの昇温速度で昇温し、770℃まで1℃/minで昇温して焼成した。焼成終了後すみやかに炉内から生成物を取り出し、大気中で冷却してリチウム複合酸化物を得た。
得られたリチウム複合酸化物の焼成条件、X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率、および六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属するリチウム複合酸化物の純度を表1に示す。
ニッケルとリチウムの原子比が1:1.03になるように水酸化ニッケルと水酸化リチウムをそれぞれ秤量し均一に混合した。この混合物を2t/cm2 の圧力によりプレス成形して成形体を作製した。この成形体を350℃で仮焼し、酸素雰囲気下で700℃まで4℃/minの昇温温度で昇温し、750℃まで1℃/minで昇温して焼成した。焼成終了後すみやかに炉内から生成物を取り出し、大気中で冷却してリチウム複合酸化物を得た。
得られたリチウム複合酸化物の焼成条件、X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率、および六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属するリチウム複合酸化物の純度を表1に示す。
ニッケルとリチウムの原子比が1:1.03になるように水酸化ニッケルと水酸化リチウムをそれぞれ秤量し均一に混合した。この混合物を350℃で仮焼し、酸素雰囲気下で700℃まで4℃/minの昇温速度で昇温し、750℃まで1℃/minで昇温して焼成した。焼成終了後すみやかに炉内から生成物を取り出し、液体窒素中にて冷却してリチウム複合酸化物を得た。
得られたリチウム複合酸化物の焼成条件、X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率、および六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属するリチウム複合酸化物の純度を表1に示す。
コバルトとニッケルの原子比が1:1になるように水酸化コバルトと水酸化ニッケルをそれぞれ秤量して純水に分散させ、酸で溶解したのちシュウ酸を滴下してコバルト・ニッケル混合シュウ酸塩を得た。得られたシュウ酸塩は水洗後、乾燥した後、シュウ酸塩のコバルトとニッケル:リチウムの原子比が1:1.03になるようにシュウ酸塩と水酸化リチウムを均一に混合した。
得られた化合物の焼成条件、X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率、および六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属するリチウム複合酸化物の純度を表1に示す。
ニッケルとコバルトとリチウムの原子比が0.8:0.2:1.03になるように、水酸化ニッケルと水酸化コバルトと水酸化リチウムをそれぞれ秤量し充分に混合した。この混合物を350℃で仮焼し、酸素雰囲気下で700℃まで0.9℃/minの昇温速度で昇温し、780℃まで1℃/minで昇温して焼成した。焼成終了後すみやかに炉内から生成物を取り出し、大気中で冷却した。
得られた化合物の焼成条件、X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率、および六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属するリチウム複合酸化物の純度を表1に示す。
ニッケルとリチウムの原子比が1:1.03になるように水酸化ニッケルと水酸化リチウムをそれぞれ秤量し充分に混合した。この混合物を350℃で仮焼し、大気下で700℃まで0.9℃/minの昇温速度で昇温し、750℃まで1℃/minで昇温して焼成した。焼成終了後すみやかに炉内から生成物を取り出し、大気中にて冷却した。
得られた化合物の焼成条件、X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率、および六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属するリチウム複合酸化物の純度を表1に示す。
ニッケルとリチウムの原子比が1:1.03になるように水酸化ニッケルと水酸化リチウムをそれぞれ秤量し充分に混合した。この混合物を大気下で750℃まで0.9℃/minで昇温して焼成した。焼成終了後すみやかに炉内から生成物を取り出し、大気中にて冷却した。
得られた化合物の焼成条件、X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率、および六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属するリチウム複合酸化物の純度を表1に示す。
上記のように製造したリチウム複合酸化物85重量%、黒鉛粉末10重量%、ポリフッ化ビニリデン5重量%を混合して正極剤とし、これを2−メチルピロリドンに分散させて混練ペーストを調製した。該混練ペーストをアルミ箔に塗布したのち乾燥し、2t/cm2 の圧力によりプレスして2cm角に打ち抜いて正極板を得た。
作製したリチウム二次電池を作動させ、初期放電容量および容量保持率を測定して電池性能を評価した。その結果を、焼成条件、X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率、および六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属するリチウム複合酸化物の純度と対比させて表1に示した。
A.リートベルト解析法の手順は次の通りである。
(1)粉末X線回折パタ−ンのピークを指数づけし、空間群を絞り込む。
(2)最小2乗法あるいはPawley法により格子定数を精密化する。
(3)結晶学的な知見及び化学組成等から大まかな原子配置を推定する。
(4)(3)で構築した構造モデルに基づいて、粉末X線回折図形をシュミレートする。
(5)リートベルト解析を行ない、3aサイトに占めるリチウム含有量及び六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属するリチウム複合酸化物の純度を測定する。
放電容量は正極に対して1mA/cm2 で4.2Vまで充電した後、2.7Vまで放電させる充放電を繰り返すことにより測定し、容量保持率は前記の充放電を反復した結果から、下記の式により算出した。
2 負極
3 正極
4 集電板
5 取り付け金具
6 外部端子
7 電解液
Claims (12)
- 前記X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率と、六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属する上記リチウム複合酸化物の純度との積が85%以上である請求項1記載のリチウム二次電池正極活物質。
- リチウム,ニッケル、およびCo、Fe、Mn、Cr、V、Tiより選ばれる1種以上の遷移金属元素の原子比が各々x,1−y、およびy(但し、0<x<1.1、0≦y<0.6を表す)からなるリチウム塩、ニッケル塩および遷移金属塩を含有するリチウム複合酸化物前駆体原料を、燃焼雰囲気の昇温速度1〜4℃/minで焼成を行い、次いで冷却して下記の一般式(I)
で表されるリチウム複合酸化物からなり、X線回折によるリートベルト解析法による3aサイトに占めるリチウム含有率が90%以上で、かつ六方晶の層状化合物(空間群R−3m)に属する上記リチウム複合酸化物の純度が90%以上であるリチウム複合酸化物を得る工程を有することを特徴とするリチウム二次電池正極活物質の製造方法。 - 前記リチウム複合酸化物前駆体がリチウム,ニッケルおよび遷移金属元素の酸化物、水酸化物、硝酸塩および有機酸塩から選ばれた少なくとも一種の塩の混合物である請求項3記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
- 前記リチウム複合酸化物前駆体がニッケルおよび遷移金属の有機酸塩とリチウム塩の混合である請求項3または4記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
- 前記有機酸塩がシュウ酸塩である請求項4または5記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
- 前記焼成は200〜450℃の範囲で仮焼した後、昇温速度1〜4℃/minで750〜900℃まで昇温する請求項3乃至6のいずれかの項に記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
- 焼成を酸素雰囲気下で行なう請求項3乃至7のいずれかの項に記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
- 前記複合酸化物前駆体原料を加圧成形した後、焼成を行う請求項3乃至8のいずれかの項に記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
- 冷却は急冷却する請求項3乃至9のいずれかの項に記載のリチウム二次電池正極活物質の製造方法。
- 請求項1または2に記載のリチウム二次電池正極活物質で導電性基板を被覆してなることを特徴とするリチウム二次電池用正極板。
- 請求項11記載の正極板を用いたリチウム二次電池。
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