JP2001030866A - ルーフサイドインナー及びその製造方法 - Google Patents
ルーフサイドインナー及びその製造方法Info
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Abstract
やデザインの制約もなく、しかもエアバッグ膨張時に破
損して飛散することのないルーフサイドインナー及びそ
の効率のよい製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリプロピレン系硬質樹脂からなる基材
11と、前記基材の射出成形時に該基材におけるエアバ
ッグ基部41を覆う部分の裏面に接合された補強部材2
1とからなり、前記補強部材が、ポリプロピレンを40
重量%以上含み、示差走査熱量測定(DSC)により表
される、前記ポリプロピレンの融解熱量を示すピーク面
積S1と、ポリプロピレンよりも低温で融解する成分の
融解熱量を示すピーク面積S2の関係がS2/S1<1
/2であるオレフィン系エラストマーからなり、前記補
強部材における前記エアバッグ基部の両側位置に車体パ
ネルへの固定部品60の頭部61が固定されている。
Description
サイドインナー及びその製造方法に関する。
安全に保護するために、車室内の正面や側面にエアバッ
グ装置が設けられている。これらのうち、自動車側面か
らの衝撃に対して乗員頭部がサイドガラス等と衝突する
のを防ぐために設けられるエアバッグ装置は、インスト
ルメントパネル付近に設けられているインフレータから
発生するガスによって、フロントピラーガーニッシュの
裏側及びルーフサイドの内装部材の裏側に収納されたエ
アバッグが膨張し、車室内に展開するようになってい
た。
幅が細いため、フロントピラーガーニッシュに近いイン
ストルメントパネル付近にインフレータが存在すると、
フロントピラーガーニッシュに対する構造上の制約が多
くなって設計の自由度が損なわれるという不利な点があ
る。しかもフロントピラーガーニッシュ近くにインフレ
ータが存在すると、フロントピラーガーニッシュに加わ
る応力が大きく、破損しやすい状況となる。さらに、事
故によってエアバッグが展開した後のリペアを考慮した
場合、インフレータがインストルメントパネル付近に設
けられていると、リペア時にインストルメントパネルを
外す必要があり、リペア作業が繁雑になる問題もあっ
た。
ルーフサイドインナーの裏側に配置するようになってき
た。これにより、フロントピラーガーニッシュの設計自
由度が高まり、また、フロントピラーガーニッシュに収
納されたエアバッグが、ルーフサイドインナーのインフ
レータからみて最遠部に位置することになるため、フロ
ントピラーガーニッシュに加わる応力が小さくなり、エ
アバッグ膨張時にフロントピラーがエアバッグによる押
圧で破損、飛散し難くなった。加えて、リペア時にイン
ストルメントパネルを外す必要がないため、リペアの作
業効率が向上した。なお、ルーフサイドインナーは、車
種によってはリアピラーガーニッシュと称される場合も
ある。
が狭くなるのを防ぐため、ルーフサイドインナーと車体
パネル間の間隔は極力少なくするのが好ましい。したが
って、前記したようなルーフサイドインナー裏側にイン
フレータを配置したものにおいては、ルーフサイドイン
ナーと車体パネル間の間隔が、エアバッグ膨張前のエア
バッグ基部を収納できる程度、すなわちエアバッグ膨張
前のエアバッグ基部の直径よりも僅かに大きな程度に設
計される。
記ルーフサイドインナーと車体パネル間の隙間よりもエ
アバッグの基部の直径が大きくなって前記ルーフサイド
インナーに車室内方向への急激な圧力が加わるようにな
る。その結果、前記ルーフサイドインナーには、エアバ
ッグ基部を覆う付近に過度の力が加わり、その該当部分
でルーフサイドインナーが破損して飛散するおそれがあ
る。それを防ぐため、ルーフサイドインナーのエアバッ
グ基部付近を覆う部分については、破損し難い別部材の
カバー等を表面に設けることが考えられるが、ルーフサ
イドインナーの表面の見栄えが悪くなるのみならず、破
損を充分に防ぐことのできる材質も見あたらなかった。
また、ルーフサイドインナーの裏面に補強部材を設ける
ことも考えられるが、前記エアバッグ基部の径の拡大に
よる衝撃は大きいため、前記ルーフサイドインナーの破
損を充分に防ぐことのできる補強部材を見いだすことが
できなかった。
で、美観に優れ、平常時における車室内の圧迫感やデザ
インの制約もなく、しかもエアバッグ膨張時に破損して
飛散することのないルーフサイドインナー及びその効率
のよい製造方法を提供するものである。
バッグの基部付近を覆って車体パネルに取り付けられ、
前記エアバッグ基部を覆う部分がエアバッグの膨張によ
り押圧されて車室内側へ湾曲変形する樹脂製ルーフサイ
ドインナーであって、ポリプロピレン系硬質樹脂からな
る基材と、前記基材の射出成形時に該基材におけるエア
バッグ基部を覆う部分の裏面に接合された補強部材とか
らなり、前記補強部材の樹脂が、ポリプロピレンを40
重量%以上含み、示差走査熱量測定(DSC)により表
される、前記ポリプロピレンの融解熱量を示すピーク面
積S1と、ポリプロピレンよりも低温で融解する成分の
融解熱量を示すピーク面積S2の関係がS2/S1<1
/2であるオレフィン系エラストマーからなり、前記補
強部材における前記エアバッグ基部の両側位置に車体パ
ネルへの固定部品の頭部が固定されていることを特徴と
する。
に表皮が積層されていることを特徴とする。
の表面側を成形する表面側型面と裏面側を成形する裏面
側型面とを対向して有する成形型内に溶融樹脂を射出し
て、基材と該基材の所定部裏面に一体に接合された補強
部材とよりなるルーフサイドインナーを製造する方法に
おいて、前記成形型として、前記裏面側型面が補強部材
用型面部分とその他の一般部用型面とからなり、前記補
強部材用型面部分が前記表面側型面へ向けて前進後退可
能なスライドコアとされ、該スライドコアの補強部材用
型面に固定部品保持部が設けられると共に、前記スライ
ドコアの補強部材用型面と一般部用型面との境界位置に
表面側型面へ向けて前進後退する仕切部材が設けられた
ものを用い、前記スライドコアを補強部材の厚みに相当
する距離だけ表面側型面から離れた位置にし、前記固定
部品保持部には固定部品を着脱可能に保持すると共に、
前記仕切部材の先端を表面側型面に当接させて該仕切部
材で区画された補強部材用成形空間をスライドコアの型
面と表面側型面間に形成し、その後、前記補強部材用成
形空間に補強部材用樹脂を溶融状態で射出充填して前記
固定部品の頭部が埋設された補強部材を形成し、次い
で、前記スライドコアを補強部材と共に後退させて該補
強部材の表面と表面側型面間に隙間を形成すると共に、
前記仕切部材を後退させて該仕切部材の先端と表面側型
面間に隙間を形成することにより、前記両隙間が一連に
なった基材用成形空間を形成し、前記基材用成形空間に
基材用樹脂を溶融状態で射出充填して前記補強部材と一
体に接合した基材を形成し、その後成形品を脱型するこ
とを特徴とする。
記固定部品の頭部を予め樹脂で被覆し、該樹脂で被覆し
た固定部品の頭部を補強部材に埋設することを特徴とす
る。また、請求項5の発明は、請求項3または4におい
て、前記成形品の脱形後、前記基材の表面に表皮を積層
することを特徴とする。
て説明する。図1はこの発明の一実施例に係るルーフサ
イドインナーを表側から見た図、図2は図1のルーフサ
イドインナーを裏側から見た図、図3はルーフサイドイ
ンナー裏側にエアバッグの基部及びインフレータが配置
された自動車内を示す概略図、図4は図1のA−A断面
図、図5は図3におけるエアバッグ膨張時を示す概略
図、図6は図4におけるエアバッグ膨張時を示す断面
図、図7は図1のB−B断面図、図8はDSCのグラ
フ、図9は他の実施例に係るルーフサイドインナーの断
面図、図10は図9の実施例におけるエアバッグ膨張時
を示す概略図である。
ドインナーの製造方法の一実施例における成形型の部分
断面図、図12は補強部材用成形空間形成後における成
形型の部分断面図、図13は補強部材用樹脂の射出時を
示す成形型の部分断面図、図14は基材用成形空間形成
後における成形型の部分断面図、図15は基材用樹脂の
射出時を示す成形型の部分断面図、図16は脱型時を示
す成形型の部分断面図である。
10は、この発明の一実施例に係るもので、図3に示す
ように、自動車の車室後部の側面における、いわゆるリ
アピラーと称される部分を覆うようにして前傾した状態
で、車室内後部の所定部に下端10eが差し込み等によ
り係止され、また後述する棒状固定部品60で取り付け
られるものである。このルーフサイドインナー10の裏
側における自動車の天井に近い後部側10c部分には、
インフレータIと、エアバッグ40の基部41とが斜め
前方に傾斜した状態で収納されている。また、図4に示
すように、平常時におけるエアバッグ基部41付近のル
ーフサイドインナー10裏面と車体パネル50間の間隔
C1は、平常時のエアバッグ基部41の径よりわずかに
大きくされ、車室内空間が狭くならないように考慮して
決定される。なお、前記エアバッグ40の大部分は、ル
ーフサイドの内装部材Nの裏側に配設される。
示すように、基材11と、前記基材11裏面におけるエ
アバッグ基部41を覆う部分に一体に接合された補強部
材21で構成される。前記基材11は、ルーフサイドイ
ンナー10の形状を維持し、さらにこの例では基材11
表面が意匠面を構成するようになっている。この基材1
1は射出成形品からなって、その材質は、剛性や成形性
等の点からポリプロピレン系硬質樹脂で構成されてい
る。ポリプロピレン系硬質樹脂としては、JIS−K7
113にしたがう引張伸びが300%より大、JIS−
K7203にしたがう曲げ弾性率が20000kgf/
cm2より大、JIS−K7207の熱変形温度が12
0℃より大で、しかもJIS−K7110にしたがうア
イゾッド衝撃強度(23℃)が15kg・cm/cmよ
り大きいものが好ましい。この例では、硬質のPPF樹
脂(タルク等の無機質添加ポリプロピレン樹脂)からな
る。
ド衝撃強度(23℃)を15kg・cm/cmより大と
するのは、エアバッグ膨張時のエアバッグ基部41の拡
径によってルーフサイドインナー10が押圧変形した場
合に、基材11の破損をさらに生じ難くするためであ
る。また、前記曲げ弾性率を20000kgf/cm2
より大とするのは、基材11にルーフサイドインナー1
0としての充分な形状保持性を付与するためである。さ
らに、前記熱変形温度を120℃より大とするのは、夏
季屋外駐車時等の際に車室内が高温となった場合に、ル
ーフサイドインナー10が変形するのを防止するためで
ある。
材21が設けられない部分)12には、その裏面12a
の前側の縁に沿って格子状のリブからなるエネルギー吸
収体17が、略上下中間位置に立設され、低速衝突時の
衝撃を効率良く吸収できるようになっている。
エアバッグ基部41の拡径時に、ルーフサイドインナー
10の裏面がエアバッグ基部41によって押圧され、破
損するのを防ぐためのもので、前記基材11裏面11a
における少なくともエアバッグ基部41を覆うこととな
る部分に接合される。前記補強部材21が積層される部
分のさらに好ましい範囲は、この例のように、上下方向
Yについては、基材11裏面11aのエアバッグ基部4
1と対応する位置から基材上端11bまでであり、また
前後方向Xについては、エアバッグ基部41を覆い、か
つエアバッグ基部41両側に設けられる固定部品60の
ための固定用座部22,22間を越える範囲である。
インナー10をその上部で車体に固定し、エアバッグ膨
張時にも外れないようにするためのもので、前記補強部
材21の裏面において、前記エアバッグ基部41を挟む
両側位置に突出するように形成され、その固定用座部2
2に固定部品60の頭部61が埋設されている。
材21の前後方向両端付近に位置する。また、固定部品
60は、軸部62の一端に拡大した頭部61、他端に拡
大した係止部63を有するものからなり、その軸部62
が車体パネル50の係止孔51に挿入され、その係止孔
51に係止部63が係合させられる。前記固定部品60
の係止部63は、エアバッグ膨張前の平常時に、車体パ
ネルの係止孔51から所定距離C2離れているように設
定され、エアバッグ膨張時のエアバッグ基部41の拡径
によりルーフサイドインナー10の裏面が押圧された場
合に、ルーフサイドインナー10が前記C2に相当する
距離だけ車室内へ移動できるようになっている。なお、
前記固定部品60は、ボルトに前記係止部63としてナ
ットを螺合させたもので代用することができる。また、
前記固定部品60の頭部61は、後述するようにあらか
じめ被覆樹脂で被覆しておき、その被覆頭部を固定用座
部22に埋設するのが好ましい。
成するポリプロピレン系硬質樹脂との融着性がよく、し
かも衝撃に強い材質とされ、それらの中でもポリプロピ
レンを含むオレフィン系エラストマー(TPO)が好適
である。このTPOにおけるPP成分によって、前記基
材11と補強部材21との接合強度が向上する。
の接合一体化は、基材11の射出成形時にあらかじめ成
形型内に補強部材21を配置し、その状態で基材11を
射出成形する、いわゆるインサート成形、あるいはこの
例のように、補強部材と基材とを同一の成形型を用いる
W−インジェクションにより、まず補強部材を射出成形
し、その後に基材を射出成形することによって、基材1
1と補強部材21を融着するのが好ましい。前記インサ
ート射出成形あるいはW−インジェクションによる融着
一体化は、成形型内に射出された溶融状態にある基材用
樹脂の保有熱を補強部材21が奪い、それにより補強部
材21の表面が溶融して基材11と接触し、その後硬化
することによってなされる。
態の基材用樹脂の保有熱は、射出後も連続的に補充され
るものではなく、しかも射出された溶融状態の基材用樹
脂は、成形型の型面と接して速やかに冷却固化するた
め、補強部材21表面の溶融、融着のために利用できる
熱量は限られている。その結果、前記補強部材21の表
面が充分に溶融せず、補強部材21と基材11間の充分
な融着強度が得られず、エアバッグ膨張時の押圧によっ
て破損や飛散するおそれが大きくなる。
ピレン系硬質樹脂からなり、補強部材21がポリプロピ
レンを含むオレフィン系エラストマー(TPO)からな
る場合においては、基材11と補強部材21の融着は、
補強部材21を構成するTPOに含まれるPP成分が溶
融して基材11に融着することによる。したがって、前
記基材11と補強部材21の融着強度を高くするには、
補強部材21を構成するTPO中のポリプロピレンによ
って基材用射出樹脂の熱が充分使用されて、前記TPO
中のポリプロピレンが確実に溶融できるようにすること
が必要となる。
TPOに対して示差走査熱量測定(DSCと呼ばれ
る。)を行ったところ、図8に示すような結果となり、
この結果から、まずPP成分よりも先に他の成分が低温
で融解し、その後PP成分が融解するのがわかった。そ
のため、ポリプロピレンを含むTPOからなる補強部材
21を配置した成形型内に基材用樹脂を射出して基材1
1を射出成形する際には、射出樹脂の保有熱は、まず補
強部材21を構成するTPOにおいてPP成分よりも低
融点である他の成分の融解に使用され、その残りの熱が
補強部材21のPP成分の融解に使用されることにな
り、前記TPOの材質によっては、PP成分が充分に融
解せず、補強部材21と基材11間の融着強度不足を生
じる。
DSCの測定結果と、補強部材21と基材11との融着
強度の関係を検討したところ、次のことを見いだした。
すなわち、補強部材21を構成するTPOが、ポリプロ
ピレンを40重量%(wt%)以上含み、かつDSCに
より表される、前記ポリプロピレンの融解熱量を示すピ
ーク面積S1と、ポリプロピレンよりも低温で融解する
成分の融解熱量を示すピーク面積S2の関係が、S2/
S1<1/2であれば、補強部材21と基材11の充分
な融着強度が得られ、エアバッグの膨張展開の際(特に
低温時におけるエアバッグ膨張の際)に、基材11が補
強部材21から剥離したり、割れ等を生じないことが判
明した。
成分としては、高密度PE、低密度PE、エチレン−α
オレフィン系共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体
等のPE共重合体のほか、スチレン系重合体、例えばS
EBS(スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合
体)等のような重合体を挙げることができる。
して、より好ましいものは、前記DSCによる条件に加
え、次の物性を有するものである。すなわち、基材11
の射出成形時における射出溶融樹脂の剪断力に対して補
強部材21に充分な自己形状保持性を付与するため、J
IS−K7203の曲げ弾性率を3000kgf/cm
2より大とし、また、低温時におけるエアバッグ膨張展
開時における固定用座部22付近での破損を確実に防ぐ
ため、JIS−K7110によるアイゾッド衝撃強度を
20kg・cm/cm(−40℃)より大とするものが
好ましい。
に、前記補強部材21の上端21b裏面におけるエアバ
ッグ40の脇に、エアバッグ膨張時にエアバッグの一部
がルーフサイドインナー上端10bからルーフサイドイ
ンナー10と車体パネル50間に進入してエアバッグ4
0の正常な膨張が妨げられるのを防止するエアバッグ進
入防止リブ25が立設されている。なお、この進入防止
リブ25は、補強部材21がルーフサイドインナー10
の上端まで設けられない場合には、前記基材11の裏面
に設けてもよい。符号Dはルーフダクト、52は車体パ
ネル50に形成された進入防止リブ先端嵌合用凹部であ
る。
は、次の範囲のものが好ましい。すなわち、基材11に
ついては、一般部12の厚みt1を2.0〜3.5m
m、補強部材接合部分13の厚みt2を0.5〜2.5
mmとするのが好ましい。t1が2.0mmより小の場
合には剛性が低すぎ、3.5mmより大の場合には射出
成形後に反り変形を生じやすくなる。また、t2が0.
5mmより小の場合には基材11の射出成形時に溶融樹
脂の流動性が悪くなって、良好な成形品を得ることがで
きなくなり、2.5mmより大の場合にはエアバッグ膨
張時にルーフサイドインナー10が湾曲しにくくなっ
て、エアバッグの膨張が損なわれるようになる。また、
補強部材21の厚みt3については、1.0〜4.0m
mが好ましい。1.0mmより小の場合には割れ防止等
の補強効果が少なく、しかも射出成形時に樹脂の流れが
悪くなり、4.0mmより大の場合には補強部材21の
射出成形後に反り変形を生じ易くなり、良好に射出成形
できなくなる。
10は、前記のように固定部品60等を介して車体パネ
ル50に取り付けられる。そして、図5の波線で示すよ
うにエアバッグ40が膨張するときには、図6に示すよ
うに、エアバッグ基部41の拡径によりルーフサイドイ
ンナー10が裏面の補強部材21部分で押圧され、前記
固定部品60の係止部63が車体パネルの係止孔51周
縁に当たって係合するまで、すなわち前記C2の距離だ
け車室内方向へ移動し、その係合によってそれ以上の移
動が阻止された後、さらにエアバッグ基部41が拡径す
ると、それによってルーフサイドインナー10はさらに
押圧されて車室内方向へ湾曲する。その際、ルーフサイ
ドインナー10は、エアバッグ基部41の両側に位置す
る固定部品60によって車体パネル50に確実に係止さ
れ、外れることがない反面、エアバッグ基部41によっ
て押圧される部分に極めて大なる力が加わる。しかし、
ルーフサイドインナー10におけるエアバッグ基部41
を覆う部分では、前記補強部材21が基材11の裏面に
一体に接合されているため、ルーフサイドインナー10
に破損や飛散を生じるのが防止される。
ナー10Aの断面図、図10は同実施例におけるエアバ
ッグ膨張時を示す断面図である。この実施例のルーフサ
イドインナー10Aは、図1及び図2等に示した前記実
施例のルーフサイドインナー10と同様の外形からな
り、前記基材11の表面に表皮31が積層されている点
を除き、前記ルーフサイドインナー10と同様の構造か
らなる。なお、前記実施例と同一構成部材は同一の符号
を付して示す。
0Aの装飾性や表面感触あるいは緩衝性を高めるため等
のもので、種々の材質及び構造(例えば単層品あるいは
積層品)とされるが、この例では、ポリウレタンフォー
ム等の発泡層32とファブリック等の表面層33の積層
品からなり、前記基材11表面に接着されている。
インナーの製造方法について説明する。図11は、ルー
フサイドインナーの製造方法の一実施例に用いられる成
形型の要部を示す概略断面図である。この成形型70
は、W−インジェクションに用いられるもので、キャビ
ティ型71とコア型81が開閉可能とされたものからな
り、図示しない補強部材用射出装置と基材用射出装置と
接続され、この一つの成形型70で、前記補強部材21
と基材11を射出成形できるようになっている。なお、
射出装置は公知のものが使用される。
ンナー10の表面を成形するための表面側型面72を、
コア型81との対向面に有し、その表皮側型面72にゲ
ート73を介して通じるホットランナー74を有する。
ホットランナー74は、補強部材用樹脂の射出時にホッ
トランナー74内の樹脂を硬化させないで、続く基材用
樹脂の射出を可能にするものであって、キャビティ型7
1内には図示しない加熱装置がホットランナー74の加
熱用に埋設されている。なお、ホットランナー74先端
のゲート73の位置は、後記する補強部材用成形空間9
1と通じる位置とされる。
10の裏面を成形するための裏面側型面82を、前記キ
ャビティ型71の表面側型面72に対向して有する。こ
のコア型81の裏面側型面82は、前記ルーフサイドイ
ンナー10の一般部12裏面を成形するための一般部用
型面82aと、補強部材21の裏面を成形するための補
強部材用型面82bとよりなり、前記補強部材用型面8
2b部分がスライドコア84で構成され、前記表面側型
面72に対して油圧シリンダ装置等の前進後退装置83
で前進後退可能とされている。この例の裏面側型面82
における補強部材用型面82bの位置は、図1及び図2
に示したルーフサイドインナー10の補強部材21の位
置に対応する。
型面82bには、前記ルーフサイドインナー10の棒状
固定部品60と対応する位置に、固定部品保持部85が
型面82bからほぼ垂直の孔形状でスライドコア84内
へ形成されている。前記固定部品保持部85は、型面8
2b側の拡大部85aと該拡大部85aから段部85b
を介して細くなった内部孔85cとよりなる筒状の孔で
構成される。前記拡大部85aは前記棒状固定部品60
の頭部61が配置される部分である。前記拡大部85a
の径は、図12に示すように、棒状固定部品60の頭部
61を、後述する被覆樹脂66であらかじめ被覆した場
合の被覆頭部61a外径よりも所要量、例えば2〜5m
m程度大とされ、棒状固定部品60が固定部品保持部8
5に配置された際に、被覆頭部61aの周囲に隙間93
を生じるようにされる。被覆樹脂66については、後述
する。
の底部85dは開口し、その開口から成形品脱型用突き
出しピン86が油圧あるいはエアシリンダ装置等の前進
後退装置87によって、固定部品保持部85内へ前進あ
るいはそこから後退するようになっている。
ドコアの補強部材用型面82bと一般部用型面82aと
の境界位置に、前記キャビティ型71の表面側型面72
に対し、油圧あるいはエアシリンダ装置等の前進後退装
置88によって前進後退可能とされた板状の仕切部材8
9が設けられる。この仕切部材89は、補強部材成形時
に前進してスライドコアの補強部材用型面82bとキャ
ビティ型の表面側型面72間に、前記仕切部材89によ
って区画された補強部材用成形空間91(図12に示
す)を形成し、その後の基材成形時に後退するようにな
っている。この実施例の仕切部材89は、図1及び図2
に示したルーフサイドインナー10における補強部材2
1の上端21bを除く補強部材21の周囲と対応する位
置に設けられる。
仕切部材については、当該補強部材21の上端が基材1
1の上端11bと等しい位置にあるため、前記基材上端
11bを成形するキャビティ型71の表面側型面72部
分で代用することができる。
き状態で、前記スライドコア84の固定部品保持部85
に、図12のように棒状固定部品60を、その頭部61
が固定部品保持部85の拡大部85aに位置するように
して配置する。その際、前記固定部品60は、あらかじ
め他の射出成形等によって被覆樹脂66で頭部61を被
覆しておき、その被覆頭部61aの周囲と拡大部85a
内面間に隙間93を生じるようにする。この被覆頭部6
1aの被覆樹脂66は、その後の基材11の射出成形時
に、溶融状態の基材用樹脂の熱が固定部品の頭部61に
奪われるのを押さえて、ヒケ等の射出不具合を基材11
に生じ難くする。被覆樹脂66としては、補強部材21
及び基材11と接着性の良好な樹脂が好ましく、この例
では補強部材21と同じ樹脂からなる。
ドコア84を前進させてキャビティ型71の表面側型面
72とスライドコアコア84の補強部材用型面82b間
の間隔を補強部材21の厚みと等しくする。また、前記
仕切部材89を前進させて、該仕切部材89の先端をキ
ャビティ型71の表面側型面72と当接させ、該仕切部
材89で区画された補強部材用成形空間91をスライド
コア84の補強部材用型面82bとキャビティ型71の
表面側型面72間に形成する。この例では、前記のよう
に補強部材用成形空間91の周囲は前記仕切部材89
と、キャビティ型の表面側型面72とで包囲される。な
お、前記補強部材21の配置、スライドコア84の前
進、仕切部材89の前進はいずれを先にしてもよく、適
宜選択される。さらに、前記スライドコア84の前進、
仕切部材89の前進は、閉型前に行っておいてもよい。
また、閉型後における、前記補強部材用成形空間91外
側の一般部における表皮側型面72aと裏面側型面82
a間には、前記基材11の厚みと等しい間隔の隙間(空
間)92が形成されている。
置を用い、前記ホットランナー74を介し、補強部材用
樹脂を補強部材用成形空間91に射出し、図13に示す
ように補強部材21を成形する。その際、前記補強部材
用成形空間91が、前記仕切部材89によって区画され
ているため、補強部材用樹脂が周囲の一般部へ漏出する
ことがなく、正しい範囲に正しい厚みで補強部材21を
成形することができる。また、この補強部材成形時、ス
ライドコア84における補強部材用型面82bの固定部
品用凹部85では、固定部品60の被覆頭部61a周囲
の隙間93に補強部材用樹脂が進入して被覆頭部61a
を包囲して補強部材21と一体にする。
を補強部材21と共に後退させ、また前記キャビティ型
71の表皮材側型面72と補強部材21の表面間に隙間
94を形成し、それとと共に前記仕切部材89を後退さ
せて、前記補強部材21表面の隙間94と前記一般部の
隙間92が一連になった基材用成形空間95を、補強部
材21の表面側およびその周囲に形成する。そして、前
記基材用成形空間95にホットランナー74を介し、図
示しない前記基材用射出装置から基材用樹脂を射出充填
し、図15のように、補強部材21と一体に基材11を
形成する。このように、一つの成形型70で連続して補
強部材21と基材11を射出成形できるため、効率がよ
く、しかも経済的である。さらに、その際、前記補強部
材21の樹脂及び基材11の樹脂が請求項1に記載した
ものであれば、溶融状態の基材用樹脂の熱が効率よく補
強部材に利用されて基材11と補強部材21の強固な一
体化が行われる。
品は、前記スライドコア84の補強部材用型面82bに
設けられている固定部品用凹部85等によってコア型8
1に付着した状態で型開きが行われる。そして、図16
に示すように、コア型81の突き出しピン86を前進さ
せることによって、固定部品60を介して成形品、すな
わちルーフサイドインナー10をコア型81から突き出
し、脱型が行われる。このようにして得られたルーフサ
イドインナー10は、図1ないし図7に示した構成から
なり、補強部材21と基材11が強固に一体化してい
る。
10Aのように、表皮31で基材11の表面を覆ったも
のを製造するには、前記脱型後の成形品に対し、前記表
皮31を接着剤によって基材11表面に積層すればよ
い。さらに、前記表皮31の発泡層32が厚い場合に
は、前記基材11と補強部材21が一体化された成形品
の脱型後、その成形品をプラスチックシート等からなる
表面層部材が配置された発泡成形型にセットし、前記表
面層部材と成形品間に発泡原料を注入して発泡層を発泡
成形すればよい。
ルーフサイドインナーの実施例に対し、−35℃でのエ
アバッグ膨張展開時に破損や飛散等の不具合が発生する
か否かを調べた結果である。なお、実施例1〜3は基材
と補強部材とよりなる前記ルーフサイドインナー10と
同じ構造からなり、実施例4は基材表面が表皮で覆われ
た前記ルーフサイドインナー10Aと同じ構造からな
る。実施例1〜4における基材及び固定部品の被覆樹脂
は硬質PPF樹脂(商品名:TSOP−PC5、日本ポ
リケム社製)からなり、基材の厚みt1が2.5mm、
t2が1.0mmである。実施例4における表皮は、フ
ァブリック裏面に厚み3mmの軟質ポリウレタンフォー
ムが一体となったものである。また、実施例1〜4の補
強部材は、表2に示すように複数の樹脂を混合したもの
であり、厚みt3については1.5mmである。DSC
の測定は、セイコー電子社製の「SSC5200」を用
い、10℃/minの昇温速度で行った。参考のため
に、実施例1と同じ基材からなり、また補強部材が請求
項1の発明の範囲から外れる比較例についても同様にし
てエアバッグ膨張時の状態を調べ、表1に示した。
発明に係るルーフサイドインナーは、エアバッグ膨張時
に破損や飛散のおそれがなく、しかも美観に優れるもの
である。さらに請求項2の発明は、ルーフサイドインナ
ーの基材表面を表皮で被覆しているため、車室内のデザ
イン等に応じて、ルーフサイドインナーの美観をより素
晴らしいものにしたり、表面感触あるいは緩衝性を向上
させることができる。
インナーの製造方法は、一つの成形型で補強部材と基材
が一体になったルーフサイドインナーを射出成形でき、
その作業が簡単であり、経済的である。しかも、用いる
補強用樹脂及び基材用樹脂を請求項1のようにすれば、
エアバッグ膨張時に破損や飛散の生じにくい、しかも美
観に優れるルーフサイドインナーを製造することが簡単
にできるようになる。さらに、請求項4の発明によれ
ば、基材表面のヒケ等を生じにくくして外観をより良好
にすることができる。また請求項5の発明によれば、美
観や表面感触、緩衝性がより良好なルーフサイドインナ
ーを簡単に得ることができる。
ーを表側から見た図である。
である。
及びインフレータが配置された自動車内を示す概略図で
ある。
ある。
ある。
図である。
す概略図である。
方法の一実施例における成形型の部分断面図である。
部分断面図である。
断面図である。
断面図である。
図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 エアバッグの基部付近を覆って車体パネ
ルに取り付けられ、前記エアバッグ基部を覆う部分がエ
アバッグの膨張により押圧されて車室内側へ湾曲変形す
る樹脂製ルーフサイドインナーであって、 ポリプロピレン系硬質樹脂からなる基材と、前記基材の
射出成形時に該基材におけるエアバッグ基部を覆う部分
の裏面に接合された補強部材とからなり、 前記補強部材の樹脂が、ポリプロピレンを40重量%以
上含み、示差走査熱量測定(DSC)により表される、
前記ポリプロピレンの融解熱量を示すピーク面積S1
と、ポリプロピレンよりも低温で融解する成分の融解熱
量を示すピーク面積S2の関係がS2/S1<1/2で
あるオレフィン系エラストマーからなり、 前記補強部材における前記エアバッグ基部の両側位置に
車体パネルへの固定部品の頭部が固定されていることを
特徴とするルーフサイドインナー。 - 【請求項2】 基材の表面に表皮が積層されていること
を特徴とする請求項1記載のルーフサイドインナー。 - 【請求項3】 ルーフサイドインナーの表面側を成形す
る表面側型面と裏面側を成形する裏面側型面とを対向し
て有する成形型内に溶融樹脂を射出して、基材と該基材
の所定部裏面に一体に接合された補強部材とよりなるル
ーフサイドインナーを製造する方法において、 前記成形型として、前記裏面側型面が補強部材用型面部
分とその他の一般部用型面とからなり、前記補強部材用
型面部分が前記表面側型面へ向けて前進後退可能なスラ
イドコアとされ、該スライドコアの補強部材用型面に固
定部品保持部が設けられると共に、前記スライドコアの
補強部材用型面と一般部用型面との境界位置に表面側型
面へ向けて前進後退する仕切部材が設けられたものを用
い、 前記スライドコアを補強部材の厚みに相当する距離だけ
表面側型面から離れた位置にし、前記固定部品保持部に
は固定部品を着脱可能に保持すると共に、前記仕切部材
の先端を表面側型面に当接させて該仕切部材で区画され
た補強部材用成形空間をスライドコアの型面と表面側型
面間に形成し、 その後、前記補強部材用成形空間に補強部材用樹脂を溶
融状態で射出充填して前記固定部品の頭部が埋設された
補強部材を形成し、 次いで、前記スライドコアを補強部材と共に後退させて
該補強部材の表面と表面側型面間に隙間を形成すると共
に、前記仕切部材を後退させて該仕切部材の先端と表面
側型面間に隙間を形成することにより、前記両隙間が一
連になった基材用成形空間を形成し、 前記基材用成形空間に基材用樹脂を溶融状態で射出充填
して前記補強部材と一体に接合した基材を形成し、その
後成形品を脱型することを特徴とするルーフサイドイン
ナーの製造方法。 - 【請求項4】 前記固定部品の頭部を予め樹脂で被覆
し、該樹脂で被覆した固定部品の頭部を補強部材に埋設
することを特徴とする請求項3に記載されたルーフサイ
ドインナーの製造方法。 - 【請求項5】 前記成形品の脱形後、前記基材の表面に
表皮を積層することを特徴とする請求項3または4に記
載されたルーフサイドインナーの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21087099A JP4127337B2 (ja) | 1999-07-26 | 1999-07-26 | ルーフサイドインナーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP21087099A JP4127337B2 (ja) | 1999-07-26 | 1999-07-26 | ルーフサイドインナーの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001030866A true JP2001030866A (ja) | 2001-02-06 |
JP4127337B2 JP4127337B2 (ja) | 2008-07-30 |
Family
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JP21087099A Expired - Fee Related JP4127337B2 (ja) | 1999-07-26 | 1999-07-26 | ルーフサイドインナーの製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP4127337B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101790540B1 (ko) * | 2017-04-07 | 2017-10-30 | 덕양산업 주식회사 | 하이브리드 이너패널 제조용 금형시스템 |
-
1999
- 1999-07-26 JP JP21087099A patent/JP4127337B2/ja not_active Expired - Fee Related
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KR101790540B1 (ko) * | 2017-04-07 | 2017-10-30 | 덕양산업 주식회사 | 하이브리드 이너패널 제조용 금형시스템 |
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