JP2001025831A - 曲げ金型の製造方法 - Google Patents

曲げ金型の製造方法

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JP2001025831A
JP2001025831A JP11202009A JP20200999A JP2001025831A JP 2001025831 A JP2001025831 A JP 2001025831A JP 11202009 A JP11202009 A JP 11202009A JP 20200999 A JP20200999 A JP 20200999A JP 2001025831 A JP2001025831 A JP 2001025831A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 X軸方向及びY軸方向における断面形状が共
に成形部分において波形の輪郭を有する等特殊な形状を
有し、かつ加工時において加工用平板に切れが生じるこ
とのないブレード製造用曲げ金型を、従来よりも簡易か
つ低コストで製造する方法を提供する。 【解決手段】 2軸方向波形形状を有するサイプ形成用
ブレードを製造するための曲げ金型を、原型に基づいて
作製した鋳型から鋳造することにより製造する方法にお
いて、X軸方向波形形状を有する第1原型22より、弾
性素材を用いてX軸方向波形形状を有する反転型23を
作製し、Y軸方向波形形状を有する第2原型24の成形
面に、上記反転型23を、上記反転型の成形面25の裏
側に設けた平面26を上記第2原型24の成形面の起伏
に沿って張り付け、密着させることにより上記原型27
を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明はタイヤ成形用金型
に用いるサイプ形成用ブレードを製造するための曲げ金
型の製造方法及び曲げ金型を用いたサイプ形成用ブレー
ドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 タイヤには、図2に示すように、リ
ブ、ラブ等の太溝9、11の他にサイプ10と呼ばれる
幅が0.1mmから2.0mm程度の細溝が存在する
が、サイプ10は、一般に、図3に示すように、サイプ
形成用ブレード6を鋳ぐるんだタイヤ成形用金型7を用
いてタイヤの成形を行うことにより形成される。サイプ
形成用ブレード6を用いるのは、通常、アルミニウムで
鋳造されるタイヤ成形用金型において、サイプ形成のた
めの突起を鋳出しにより設けたのでは、強度が不充分と
なるからである。
【0003】 サイプ10は、タイヤのエッジ効果を高
める観点より、図2に示すように、タイヤの接地部分に
おける形状が波形等となるように形成されることが多
い。従って、サイプ形成用ブレードには、目的とするサ
イプの形状に対応して波形等の形状が付与されるが、こ
のようなサイプ形成用ブレードは、図4に示すように、
SK材、SKD材等の高強度鋼材から成る曲げ金型1の
上型2と下型3の間に、鋼材等から成る加工用平板4を
挟み、押圧することにより製造される。曲げ金型1の材
質に高強度鋼材を用いるのは、鋼材等から成る加工用平
板4に1mm程度のピッチの波形等を形成するには、冷
間加工等の強加工を行うことが必要になるため、曲げ金
型1には加工用平板4に勝る強度特性が要求されること
による。
【0004】 このような高強度鋼材からサイプ形成用
ブレードの製造に用いる曲げ金型を製造する方法として
は、従来、ワイヤ放電加工法及びボールエンドミルによ
る電極加工と型放電加工を組み合わせた加工法(以下、
ボールエンドミル加工法と記載する。)が用いられてい
た。
【0005】 ワイヤ放電加工法とは、図5に示すよう
に、直線状に張ったワイヤカット用電極線51(以下、
ワイヤと記載する。)に電流を流した状態で、ワイヤ5
1を移動させて高強度鋼材52を切断する方法であり、
ワイヤの軌跡に応じた曲面の形成が可能であるととも
に、曲げ金型の上型と下型を同時に製造することができ
るという利点を有する。
【0006】 又、ボールエンドミル加工法とは、図6
に示すように、導電性を有し、かつ加工が容易な銅合
金、グラファイト等の材料から、ボールエンドミル53
を用いて、上型及び下型に相当する面形状を有する電極
材54をそれぞれ作製し(図6(a))、この電極材5
4を電極として型放電加工を行うことにより、高強度鋼
材52に所望の面形状を形成する(図6(b))方法で
ある。尚、型放電加工とは、白灯油等の絶縁性の液体の
中に電極材と被加工材を浸した上で、両者の間にアーク
を発生させ、その熱により被加工材を溶かすことにより
加工する方法である。アークの到達する距離は限られて
いるため、被加工材には、電極材の面形状に対応した加
工がなされることになる。尚、高強度鋼材に直接ボール
エンドミル加工を行わないのは、サイプの形状に対応す
る細かいデザインを形成するには、直径が1mm程度の
小さなエンドミルを使わなければならないが、このよう
なエンドミルは、高強度鋼材に使用するのに充分な耐久
性を備えていないことによる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、タイ
ヤの接地部分におけるサイプの形状を波形等とするのに
加え、近年、タイヤの水はけ量及びブロック剛性をより
大きくするために、図7に示すように、タイヤ8を輪切
りにした場合におけるサイプ10の断面形状を波形にし
たサイプが使用されており、このような特殊な形状を有
するサイプ10を形成するためのブレードを製造するた
めの曲げ金型を従来の方法で製造した場合、下記のよう
な問題があった。
【0008】 上記のような形状を有するサイプを形成
するためには、図8(a)に示すように、X軸方向にお
ける断面形状とY軸方向における断面形状が共に波形で
あるサイプ形成用ブレード15を用いる必要があり、こ
のようなブレード15を製造するためには、図8(b)
に示すように、X軸方向における断面形状及びY軸方向
における断面形状が共に成形部分において波形の輪郭を
有する曲げ金型16が必要になる。
【0009】 しかし、ワイヤ放電加工法では、X軸方
向及びY軸方向のいずれか一方における断面形状を波形
とすることしかできないため、上記の曲げ金型を製造す
ることは理論的に不可能である。
【0010】 尚、ワイヤをX軸方向に移動させて、X
軸方向における断面形状が波形の輪郭を有する曲げ金型
を作製した後、さらにワイヤをY軸方向に移動させて、
Y軸方向における断面形状にも波形の輪郭を付与するこ
とも可能であるが、この場合は、図9に示すように、成
形面において、X軸方向の波形の凸部とY軸方向の波形
の凸部とが重なる部分に生じる凸部分17の頂点18か
ら4方向に、角を持った尾根状部分19が生じ、加工用
平板を押圧する際に、加工用平板に切れが発生するとい
う問題があった。
【0011】 一方、ボールエンドミル加工法で、X軸
方向及びY軸方向における断面形状が共に成形部分にお
いて波形の輪郭を有する曲げ金型を製造しようとする
と、製造効率が悪い上に、多大なコストがかかるという
問題があった。即ち、ボールエンドミル加工法では、上
型と下型を別個に製造する必要があり、形状データの作
製も困難だからである。さらに、電極材の加工には多大
な時間を要し、加工後の電極材に生じたカッタマークを
除去する作業も必要となる。さらに、同一形状を有する
ブレードを大量に生産したい場合において、生産効率を
上げるためには、複数の曲げ金型を用いる必要がある
が、ボールエンドミル加工法では、各曲げ金型を製造す
る度に同じ工程を繰り返さなければならないため、曲げ
金型製造に要する手間とコストが莫大なものになるとい
う問題もあった。
【0012】 又、近年においては、図10に示すよう
に、一方の面から他方の面に突出する1又は2以上の凸
部20を備えたサイプ形成用ブレード21も用いられて
おり、かかるブレード21を製造するための曲げ金型を
従来の方法で製造しようとする場合にも、上記のような
問題が生じていた。
【0013】 尚、ブレードの製造法には、曲げ金型を
用いる方法以外に、ロストワックス法等の鋳造による方
法、焼結法があるが、これらの方法では、厚さが1mm
以下のブレードを製造するのは困難であるという問題が
あった。又、ロストワックス法では消失模型を作製する
ための型、焼結法では、焼結前に素材に形状を付与する
ための型の製造が必要であるが、これらの型の製造にお
いては、曲げ金型の製造の場合と同様の問題が存在して
いた。
【0014】 本発明はかかる事情を背景としてなされ
たものであり、その目的とするところは、X軸方向及び
Y軸方向における断面形状が共に成形部分において波形
の輪郭を有する等特殊な形状を有し、かつ加工時におい
て加工用平板に切れが生じることのないブレード製造用
曲げ金型を、従来よりも簡易かつ低コストで製造する方
法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】 即ち、本発明によれ
ば、2軸方向波形形状を有するサイプ形成用ブレードを
製造するための曲げ金型を、原型に基づいて作製した鋳
型から鋳造することにより製造する方法であって、X軸
方向波形形状を有する第1原型より、弾性素材を用いて
反転型を作製し、上記反転型はX軸方向波形形状を有
し、Y軸方向波形形状を有する第2原型の成形面に、上
記反転型を、上記反転型の成形面の裏側に設けた平面を
該第2原型の成形面の起伏に沿って張り付け、密着させ
ることにより上記原型を製造する曲げ金型の製造方法が
提供される。
【0016】 又、本発明によれば、2軸方向波形形状
を有するサイプ形成用ブレードを製造するための曲げ金
型を、原型に基づいて作製した鋳型から鋳造することに
より製造する方法であって、上記原型の製造工程が、X
軸方向波形形状を有する上型用第1原型及び下型用第1
原型よりそれぞれ上型用捨型及び下型用捨型を作製する
工程、上型用捨型及び下型用捨型よりそれぞれ、弾性素
材を用いて、X軸方向波形形状を有する上型用反転型及
び下型用反転型を作製する工程、Y軸方向波形形状を有
する上型用第2原型及び下型用第2原型の成形面に、そ
れぞれ上記上型用反転型及び下型用反転型を、上記反転
型の成形面の裏側に設けた平面を上記第2原型の成形面
の起伏に沿って張り付けることにより密着させる工程を
有し、上記上型用第1原型及び下型用第1原型は加工用
平板の厚みに相当するクリアランスを有し、上記上型用
第2原型及び下型用第2原型は上記クリアランスを有さ
ず、上型用原型及び下型用原型よりそれぞれ上型用第二
捨型及び下型用第二捨型を作製し、上記上型用第二捨型
及び下型用第二捨型よりそれぞれ上型用鋳型成形型及び
下型用鋳型成形型を作製し、上記上型用鋳型成形型及び
下型用鋳型成形型よりそれぞれ上型用鋳型及び下型用鋳
型を作製する曲げ金型の製造方法が提供される。
【0017】 又、本発明によれば、X軸方向における
断面形状及びY軸方向における断面形状が共に成形部分
において波形の輪郭を有する曲げ金型を用いたサイプ形
成用ブレードの製造方法であって、X軸方向波形形状を
有する予備曲げ金型を用いて、加工用平板を、X軸方向
における断面形状が波形であり、かつY軸方向における
断面形状が直線状となるように加工し、さらに、上記曲
げ金型を用いて、上記予備加工済み板に、Y軸方向にお
ける断面形状が波形になるように加工を施すサイプ形成
用ブレードの製造方法が提供される。
【0018】 又、本発明によれば、サイプ形成用ブレ
ードを製造するための曲げ金型を、原型に基づいて作製
した鋳型から鋳造することにより製造する方法であっ
て、上記サイプ形成用ブレードの一方の面に相当する成
形面を備えた母原型の上記成形面に、弾性体シートを、
上記成形面の起伏に沿って張り付けることにより上記原
型を製造する曲げ金型の製造方法が提供される。上記の
曲げ金型の製造方法において、上記サイプ形成用ブレー
ドは一方の面から他方の面に突出する1又は2以上の凸
部を備えたものであってもよい。
【0019】 又、本発明によれば、一方の面から他方
の面に突出する1又は2以上の凸部を備えたサイプ形成
用ブレードを製造するための曲げ金型を、原型に基づい
て作製した鋳型から鋳造することにより製造する方法で
あって、外周部を固定した弾性体シートを、その一面側
又は両面側より突出部形成用部材にて押しつけたまま固
定することにより、上記弾性体シートに突出部を形成
し、次いで、上記弾性体シートの両側に弾性素材を導入
して固化させ、次いで上記弾性体シートを除去すること
により上記原型を製造する曲げ金型の製造方法が提供さ
れる。
【0020】 さらに、本発明によれば、2軸方向波形
形状を有するサイプ形成用ブレードを、原型に基づいて
作製した鋳型から鋳造することにより製造する方法であ
って、上記原型の製造工程が、上記サイプ形成用ブレー
ドのX軸方向における断面形状に相当する波形の成形線
を有する掻き型を、上記サイプ形成用ブレードのY軸方
向における断面形状に相当する波形の成形線を有し、か
つ平行に配置された2本のガイドレール上でスライドさ
せることにより、上記2本のガイドレールの間に配置し
た上記原型用原料に、上記サイプ形成用ブレードの面形
状に相当する面形状を付与する工程を有する曲げ金型の
製造方法が提供される。
【0021】 上記の製造方法において、加工用平板の
厚みに相当するクリアランスを備えた上型用掻き型と下
型用掻き型、及び加工用平板の厚みに相当するクリアラ
ンスを備えた上型用ガイドレール及び下型用ガイドレー
ルを用い、上記上型用掻き型の成形線は、上記サイプ形
成用ブレードのX軸方向における断面形状の一方の面側
の波形の輪郭に一致し、上記上型用ガイドレールの成形
線は、上記サイプ形成用ブレードのY軸方向における断
面形状の上記一方の面側の波形の輪郭に一致し、上記下
型用掻き型の成形線は、上記サイプ形成用ブレードのX
軸方向における断面形状の他方の面側の波形の輪郭に一
致し、上記下型用ガイドレールの成形線は、上記サイプ
形成用ブレードのY軸方向における断面形状の該他方の
面側の波形の輪郭に一致し、上記上型用掻き型を上記上
型用ガイドレール上でスライドさせ、かつ上記下型用掻
き型を上記下型用ガイドレール上でスライドさせて、上
型用反転形原型用原料及び下型用反転形原型用原料に、
それぞれサイプ形成用ブレードの上記一方の面及び上記
他方の面の面形状に相当する面形状を付与することによ
り上型用反転形原型及び下型用反転形原型を製造しても
よい。
【0022】
【発明の実施の形態】 本発明においては、X軸方向に
おける断面形状とY軸方向における断面形状が共に波形
(以下、2軸方向波形形状と記載する。)であるサイプ
形成用ブレードを製造するための曲げ金型(以下、2軸
方向波形曲げ金型と記載する。)を、原型に基づいて作
製した鋳型から鋳造することにより製造するが、原型は
以下のように製造される。
【0023】 まず、X軸方向における断面形状が成形
部分において波形の輪郭を有し、かつY軸方向における
断面形状が成形部分において直線の輪郭を有する(以
下、X軸方向波形形状と記載する。)第1原型(図1
(a))22より、弾性素材を用いて反転型23を作製
する。上記反転型23はX軸方向波形形状を有する(図
1(b))。次ぎに、X軸方向における断面形状が成形
部分において直線の輪郭を有し、かつY軸方向における
断面形状が成形部分において波形の輪郭を有する(以
下、Y軸方向波形形状と記載する。)第2原型24の成
形面に、上記反転型23を、上記反転型23の成形面2
5の裏側に設けた平面26を上記第2原型24の成形面
の起伏に沿って張り付け、密着させる(図1(c))。
【0024】 ここで、「波形」とは、凸部と凹部とが
交互に現れる形状をいい、凸部及び凹部の形状に特に制
限はなく、凸部及び凹部は曲線から構成されていても、
角を有していてもよい。又、第1原型及び第2原型は、
例えば石膏、アルミニウム合金等の加工しやすい材料に
て、手加工、ワイヤ放電加工等にて製造することができ
る。又、反転型を作製するための弾性素材には、例え
ば、ゴム、ワックス、ウレタン等が好適に用いられる。
反転型の第2原型への張り付けには、例えば瞬間接着
剤、真空吸着等が好適に用いられる。反転型の厚みは、
最も薄い部分が0.1〜5mmであることが好ましい。
0.1mm未満の場合は、後述の歪みを緩和する効果が
不充分となり、5mmを超える場合は、反転型の第2原
型への追従性が悪くなり、原型のデザイン精度が損なわ
れるからである。
【0025】 第1原型22のY方向長さが、第2原型
24のY方向長さよりも長い場合は、反転型23を第2
原型24へ張り付けた際に、図11に示すように、反転
型23が第2原型24からはみ出すことになるが、その
ような場合は、はみ出し部分26を切除してもよく(図
11(a))、又ははみ出し部分26に第2原型を継ぎ
足してもよい(図11(b))。尚、反転型23の第2
原型24への張り付けにおいては、第1原型22を押さ
えつけ型として用いれば、精度よく行うことができる。
【0026】 この方法で製造した原型は、ワイヤ放電
加工法の場合とは異なり、角を持った尾根状部分を有さ
ないため、この原型に基づいて製造した曲げ金型を用い
てブレードを製造しても切れを発生することがない。
又、2軸方向波形曲げ金型を用いて加工用平板を加工す
る場合には、平板に局所的に歪みが作用し、切れ、くび
れが発生することが多いのであるが、本発明では、弾性
素材から成る反転型を第2原型の成形面の起伏に沿って
張り付ける際に、上記の歪みが作用する部位において、
反転型が自発的に歪みを緩和するように変形するため、
切れ、くびれの発生をより少なくすることができる。
尚、従来のワイヤ放電加工法やボールエンドミル加工法
では、予め歪みを緩和するような変形を考慮した加工用
データを作製することは非常に困難である。
【0027】 又、本発明の曲げ金型製造方法では、上
型及び下型のいずれか一方のみに対する原型を製造すれ
ば、この原型に基づいて鋳型、曲げ金型を作製する過程
で反転型を作製することにより、上型及び下型の双方を
製造することができる。又、一旦、原型を製造してしま
えば、その原型に基づいて鋳型の作製及び鋳造を繰り返
すことにより複数の曲げ金型を簡単に製造でき、同一形
状のブレードを大量に製造するような場合にも、容易に
かつ低コストで対応できる。さらに、ボールエンドミル
加工法のように複雑な形状データを作製したり、電極材
に生じたカッタマークを除去する等の作業も不要であ
り、曲げ金型を効率的かつ低コストで製造することがで
きる。
【0028】 曲げ金型は、上記のように製造された原
型に基づいて作製した鋳型から鋳造することにより製造
されるが、鋳造法としては、ロストワックス法、ショウ
プロセス法が好適に用いられる。ショウプロセス法の場
合、鋳型の作製及び鋳造は、例えば次のように行われ
る。まず、原型27よりゴム型28を反転し(図12
(a))、さらにそのゴム型28よりゴム型29を反転
する(図12(b))ことにより、上型及び下型用のゴ
ム型28、29を作製する。次ぎに上型及び下型用のゴ
ム型28、29のそれぞれから上型及び下型用のセラミ
ック製鋳型12を作製し(図12(c))、その鋳型に
金属溶湯を流し込んで上型及び下型用の曲げ金型を鋳造
する。
【0029】 一方、ロストワックス法を採用する場合
は、上記のゴム型に代えて、原型より上型及び下型用の
消失模型を作製することになる。消失模型の材料には、
ワックス、エポキシ樹脂、ユリア樹脂等が好適に用いら
れる。
【0030】 鋳造に用いる金属には、鋳造性によい高
強度鋼材で、鋳造時の収縮が少ないものが好適に用いら
れる。鋳造時の収縮が少ないものを用いるのは、上型と
下型に不整合が生じるのを防ぐためである。具体的に
は、SK1〜SK5材、SKD61材等の工具鋼材、B
eA25、BeA275C等のベリリウム銅材等が好適
に用いられる。
【0031】 鋳造時の変形等により、上型と下型に不
整合が生じた場合には、例えば、上型と下型を対にして
型放電加工を行うことにより、不整合を修正することが
できる。又、ベリリウム銅材を用いて鋳造を行った場合
の不整合の修正には、溶体化熱処理を実施した後、上型
と下型の型合わせを行い、次いで加圧状態で時効硬化熱
処理を行う方法が好適に用いられる。この方法は、ベリ
リウム銅材の時効誘起変形特性を利用しており、切削除
去を行うことなく不整合の修正ができるという利点があ
る。
【0032】 2軸方向波形曲げ金型の上型と下型の間
に加工用平板を挟んで押圧することによりサイプ形成用
ブレードを成形する場合、製造するブレードの形状によ
っては、ブレードの波形の斜面部分が薄く延ばされて破
れたり、成形品の存在により上型と下型の密着が不充分
となり、ブレードの端部に反りが生じる場合がある。こ
れは、上型31と下型32の成形面の形状がぴったりと
合わさるようにすると、図13に示すように、曲げ金型
1の成形面の起伏により、曲げ加工時における上型2と
下型3の間の距離が部位によって不均一となることによ
る。従って、上記の不都合を防止するためには、曲げ加
工時における上型と下型の間の距離をできるだけ均一に
するように、上型及び下型の面形状に修正を加えるこ
と、即ち上型と下型に加工用平板の板厚に相当するクリ
アランスを設けることが必要となる。
【0033】 このようなクリアランスを設けた曲げ金
型は、以下の方法にて製造することができる。まず、加
工用平板の厚みに相当するクリアランス32を備えた上
型用第1原型30と下型用第1原型31を用意する(図
14(a))。これは、例えば第1原型材料を、加工用
平板の厚みと等しい直径を有するワイヤを用いて放電加
工することにより製造できる。上記第1原型30、31
は、X軸方向波形形状を有する。
【0034】 次ぎに、上型用第1原型30及び下型用
第1原型31よりそれぞれ上型用捨型33及び下型用捨
型34を作製する(図14(b))。尚、図中、点線部
分は、クリアランスに相当する部分である。捨型は、例
えば石膏、エポキシ樹脂等の材料にて作製する。
【0035】 次ぎに、上型用捨型33及び下型用捨型
34よりそれぞれ、ゴム等の弾性素材を用いて、上型用
反転型35及び下型用反転型36を作製する(図14
(c))。反転型35、36はX軸方向波形形状を有す
る。この反転型35、36には、加工用平板の厚みに相
当するクリアランスが設定されていることになる。
【0036】 次ぎに、クリアランスを有さない上型用
第2原型37及び下型用第2原型38の成形面に、それ
ぞれ上記上型用反転型35及び下型用反転型36を、上
記反転型35、36の成形面の裏側に設けた平面を上型
用第2原型37下型用第2原型38の成形面の起伏に沿
って張り付けることにより密着させ、クリアランスを備
えた上型用原型39及び下型用原型40とする(図14
(d))。第2原型はY軸方向波形形状を有する。
【0037】 次ぎに、上型用原型39及び下型用原型
40よりそれぞれ上型用第二捨型及び下型用第二捨型
を、石膏、エポキシ樹脂等の材料にて作製し、この上型
用第二捨型及び下型用第二捨型よりそれぞれ上型用鋳型
成形型及び下型用鋳型成形型を、ゴム等により作製し、
さらに上型用鋳型成形型及び下型用鋳型成形型よりそれ
ぞれ上型用鋳型及び下型用鋳型を作製すれば、クリアラ
ンスを備えた曲げ金型を製造することができる。鋳造法
としては、ショウプロセス法又はロストワックス法が好
適に用いられる。
【0038】 尚、曲げ金型にクリアランスを設ける方
法としては、他に、クリアランスを設けずに製造した曲
げ金型の上型と下型を対にして型放電加工を行い、放電
ギャップを利用して上型及び下型の面形状に修正を加え
る方法、上型と下型を腐蝕液に適宜な時間浸して成形面
を腐蝕除去するケミカルエッチング法等がある。
【0039】 又、本発明では、以下に示す方法により
原型を製造することによっても、2軸方向波形曲げ金型
を製造することができる。即ち、原型用原料にサイプ形
成用ブレードの面形状に相当する面形状を付与するにあ
たり、図15に示すように、2本のガイドレール41の
間に原型用原料(図示せず。)を配置した上で、サイプ
形成用ブレードのX軸方向における断面形状に相当する
成形線42を有する掻き型43を、サイプ形成用ブレー
ドのY軸方向における断面形状に相当する成形線44を
有し、かつ平行に配置された2本のガイドレール41上
でスライドさせるのである。尚、原型用原料には、例え
ば、石膏、ワックス等を用いることができる。掻き型4
3は例えば、ゲージ鋼板、ステンレス鋼等の材料を用い
て作製することができ、掻き型43の厚さは0.2〜2
mmであることが好ましい。0.2mm未満の場合は強
度が不充分となり、2mmを超える場合は、掻き型43
をガイドレール41の成形線44に沿って正確にスライ
ドさせることが困難になるからである。原型に基づいて
鋳型を作製し曲げ金型を鋳造する工程については、X軸
方向波形形状を有する一次原型とY軸方向波形形状を有
する二次原型を用いる前述の方法と同様である。
【0040】 この方法には、一次原型と二次原型を用
いる前述の方法と同様の利点に加え、加工用平板の厚み
に相当するクリアランスを備えた上型用掻き型と下型用
掻き型、及び加工用平板の厚みに相当するクリアランス
を備えた上型用ガイドレール及び下型用ガイドレールを
用いて、上型用反転形原型と下型用反転形原型を別個に
製造することにより、曲げ金型に容易にクリアランスを
設けることができるという利点がある。
【0041】 即ち、図16に示すように、上型用掻き
型43aの成形線42aを、サイプ形成用ブレード15
のX軸方向における断面形状の一方の面側の輪郭45a
と一致させ、下型用掻き型43bの成形線42bを、サ
イプ形成用ブレード15のX軸方向における断面形状の
他方の面側の輪郭45bに一致させ、上型用ガイドレー
ル41aの成形線44aを、サイプ形成用ブレード15
のY軸方向における断面形状の上記一方の面側の輪郭4
6bと一致させ、下型用ガイドレール41bの成形線4
4bを、サイプ形成用ブレード15のY軸方向における
断面形状の他方の面側の輪郭46aに一致させた上で、
上型用掻き型43aを上型用ガイドレール41b上でス
ライドさせ、かつ下型用掻き型43bを下型用ガイドレ
ール41a上でスライドさせるのである。このような方
法により、上型用反転形原型用原料及び下型用反転形原
型用原料に、それぞれサイプ形成用ブレード15の上記
一方の面及び上記他方の面の面形状に相当する面形状を
付与すれば、反転形原型よりゴム型、鋳型等を経て製造
した曲げ金型に加工用平板の板厚に相当するクリアラン
スを設定することができる。
【0042】 この方法においては、上型及び下型双方
の反転形原型を製造するため、曲げ金型の鋳造は、反転
形原型のそれぞれより目的の曲げ金型と同形状を有する
ゴム型又は消失模型を作製し、このゴム型又は消失模型
から鋳型を作製することにより行われる。鋳造法には、
ショウプロセス法又はロストワックス法を好適に用いる
ことができる。
【0043】 2軸方向波形形状を有するブレードを製
造する場合、ブレードの形状によっては、加工用平板に
最初から2軸方向波形曲げ金型を用いて加工を行うと、
ブレードに切れやしわが発生したり、あるいはブレード
の辺縁部が突出して「耳」を形成する場合がある。
【0044】 このような不都合は、図17に示すよう
に、まず、X軸方向波形形状を有する予備曲げ金型47
を用いて、加工用平板を、X軸方向における断面形状が
波形であり、かつY軸方向における断面形状が直線状と
なるように加工し、その後に、2軸方向波形曲げ金型1
6を用いて、上記予備加工済み板48に、Y軸方向にお
ける断面形状が波形になるように加工を施すこと、即
ち、2段階に加工を行うことにより防止することができ
る。尚、上記の予備曲げ金型47は、2軸方向波形曲げ
金型を製造する過程で、第1原型又は反転型から製造す
ることが可能である。
【0045】 以上、2軸方向波形形状を有するサイプ
形成用ブレードを製造するための曲げ金型について説明
したが、前述の方法は、ブレードのX軸方向断面形状及
びY軸方向断面形状が、それぞれ切断線の位置にかかわ
らず同一である場合にのみ適用できるのであり、切断線
の位置により断面形状が変わるようなブレード、例え
ば、図10に示すように、一方の面から他方の面に突出
する1又は2以上の凸部20を備えたブレード21を製
造するための曲げ金型は、上述の方法によっては製造す
ることが困難である。
【0046】 このようなブレードは、以下に示す方法
により製造することができる。まず、サイプ形成用ブレ
ードの一方の面に相当する成形面を備えた母原型60
(図18(a))を製造し、その成形面の起伏に沿って
弾性体シート61を張り付ける(図18(b)及び
(c))ことにより原型62を製造する。この原型に基
づいて鋳型を作製し、その鋳型から曲げ金型を鋳造する
工程は前述の方法と同様である。
【0047】 上記の方法を用いることにより、従来の
ボールエンドミル加工法を用いる場合に比べ、簡易かつ
低コストで曲げ金型を製造することができる。同様の形
状の曲げ金型をボールエンドミル加工法で製造するため
には、困難なデータ作製等を行わなければならないから
である。又、同様の形状の曲げ金型をボールエンドミル
加工法で製造した場合には、曲げ金型を用いて加工用平
板を加工する際に、平板に歪みが作用し、切れ、くびれ
が発生することが多いのであるが、上記の方法では、弾
性体シートを母原型の成形面の起伏に沿って張り付ける
際に、上記の歪みが作用する部位において、弾性体シー
トが自発的に歪みを緩和するように変形するため、切
れ、くびれの発生をより少なくすることができる。従来
のボールエンドミル加工法では、予め歪みを緩和するよ
うな変形を考慮した加工を行うことは非常に困難であ
る。
【0048】 上記の方法において、弾性体シートの材
料には、例えば、ゴム、ワックス、ウレタン等が好適に
用いられる。又、弾性体シートの厚さは0.5〜5mm
であることが好ましい。0.5mm未満の場合は、歪み
の緩和が充分に行われない場合があり、5mmを超える
場合は、成形面のデザイン精度が損なわれるからであ
る。母原型は、例えば石膏、アルミニウム合金等、加工
の容易な材料を用いて、手加工、機械加工等で作製する
ことができる。
【0049】 さらに、図10に示すように、一方の面
から他方の面に突出する1又は2以上の凸部20を備え
たブレード21を製造するための曲げ金型に限定すれ
ば、例えば、以下の方法によっても製造することができ
る。
【0050】 まず、外周部を固定した弾性体シート6
1を、その一面側又は両面側より突出部形成用部材63
にて押しつけたまま固定することにより、上記弾性体シ
ート61に突出部64を形成する(図19(a))。次
いで、上記弾性体シート61の両側に弾性素材65を導
入して固化させる(図19(b))。次いで弾性体シー
ト61を除去することにより原型62を得る(図19
(c))。この原型に基づいて鋳型を作製し、その鋳型
から曲げ金型を鋳造する工程については、前述の方法と
同様である。
【0051】 この方法は、母原型に弾性体シートを張
り付ける図18に示す方法と同様の利点を有する他、原
型の製造時にクリアランスの設定ができるという利点を
も有する。従って、弾性体シートの厚さは、加工用平板
の厚さを考慮して決定することが好ましい。又、弾性体
シートの材料には、例えば、例えば、ゴム、ワックス、
ウレタン等が好適に用いられる。原型を構成する弾性素
材には、例えばシリコーンゴム等を用いることができ
る。
【0052】
【実施例】 以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳
細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0053】(実施例1) 2軸方向波形形状を有する
サイプ形成用ブレードを製造するための2軸方向波形曲
げ金型を、X軸方向波形形状を有する第1原型及びY軸
方向波形形状を有する第2原型を用いて製造した。
【0054】 第1原型及び第2原型の材質はアルミニ
ウム合金5050(SiO、3重量%、Fe、0.4重
量%、Cu、0.1重量%、Mn、0.1重量%、M
g、5.0重量%、Al、残量)とし、又、第1原型及
び第2原型の寸法は、それぞれ図20及び図21に示す
通りとした。第1原型及び第2原型は、アルミニウム合
金5050から成るブロックをワイヤ放電加工法にて切
断することにより製造した。
【0055】 まず、第1原型22よりシリコーンゴム
(東芝シリコーンTSE350)を用いてX軸方向波形
形状を有する反転型23を作製した(図1(a))。反
転型26の成形面25の裏側は平面26とし、反転型2
3の最小肉厚部分の厚さは1.0mmとした。
【0056】 次ぎに、第2原型24の成形面に、上記
反転型23を、反転型23の成形面25の裏側に設けた
平面26を上記第2原型23の成形面の起伏に沿って張
り付け、密着させることにより、原型27を得た(図1
(c))。接着には、シアノアクリレート系の接着剤を
用いた。
【0057】 原型27よりゴム型28を反転し(図1
2(a))、さらにそのゴム型28よりゴム型29を反
転する(図12(b))ことにより、上型及び下型用の
ゴム型28、29を作製した。ゴム型の材料には、シリ
コーンゴム(東芝シリコーンTSE350)を用いた。
【0058】 次ぎに上型及び下型用のゴム型28、2
9のそれぞれから、エチルシリケート系バインダー硬化
により上型及び下型用のセラミック製鋳型12を作製し
た(図12(c))。
【0059】 上記の鋳型より、ベリリウム銅合金Be
A275C(Be、2.5重量%、Cu、0.8重量
%、Si、0.1重量%、Cu、残量)を用いて鋳造を
行った。この鋳物に外周加工及び熱処理を施して曲げ金
型とした。熱処理は、溶体化処理を800℃で3時間保
持することにより行い、その後、水冷した。又、時効処
理を360℃で3時間保持することにより行い、その
後、空冷した。曲げ金型の熱処理後の硬度はHRC43
であった。
【0060】 上記の金型を用いて200枚の加工用平
板に曲げ加工を施し、2軸方向波形形状を有するサイプ
形成用ブレードを製造した。加工用平板には厚さ0.3
tのSUS304製平板を用いた。200枚の加工用平
板のうち、100枚については最初から2軸方向波形曲
げ金型を用いて加工を行い、残りの100枚について
は、まず、X軸方向波形形状を有する予備曲げ金型を用
いて加工した後に2軸方向波形曲げ金型を用いて加工を
する2段階加工を行った。尚、予備曲げ金型は、第1原
型より別途製造したものを用いた。
【0061】 得られたサイプ形成用ブレードについ
て、しわ、切れ及び耳の発生を目視にて調べた。結果を
表1に示す。
【0062】(比較例1) 2軸方向波形形状を有する
サイプ形成用ブレードを製造するための2軸方向波形曲
げ金型を、ワイヤ放電加工にて製造した。製造する曲げ
金型の寸法は、実施例1と同様とした。ワイヤは黄銅製
で直径0.25mmのものを用いた。まず、ワイヤをX
軸方向に移動させて、ベリリウム銅合金BeA275C
のブロックより、X軸方向波形形状を形成した。次ぎ
に、ワイヤをY軸方向に移動させて、2軸方向波形形状
を形成した。得られた曲げ金型には、図9に示すよう
に、成形面に生じる凸部分17の頂点18から4方向
に、角を持った尾根状部分19が形成された。
【0063】 上記の金型を用いて100枚の加工用平
板に曲げ加工を施し、2軸方向波形形状を有するサイプ
形成用ブレードを製造した。加工用平板には厚さ0.3
tのSUS304製平板を用いた。加工用平板には、最
初から2軸方向波形曲げ金型を用いて加工を行った。得
られたサイプ形成用ブレードについて、しわ、切れ及び
耳の発生を目視にて調べた。結果を表1に示す。
【0064】(比較例2) 2軸方向波形形状を有する
サイプ形成用ブレードを製造するための2軸方向波形曲
げ金型を、ボールエンドミル加工にて製造した。製造す
る曲げ金型の材質及び寸法は、実施例1と同様とした。
得られた曲げ金型を用いて100枚の加工用平板に曲げ
加工を施し、2軸方向波形形状を有するサイプ形成用ブ
レードを製造した。加工用平板には厚さ0.3tのSU
S304製平板を用いた。加工用平板には、最初から2
軸方向波形曲げ金型を用いて加工を行った。得られたサ
イプ形成用ブレードについて、しわ、切れ及び耳の発生
を目視にて調べた。結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】 実施例1で製造した曲げ金型を用い、2
段階加工にて製造したサイプ形成用ブレードには、し
わ、切れ及び耳の発生は観察されなかった。又、実施例
1で製造した曲げ金型を用いて、最初から2軸方向波形
形状に加工したサイプ形成用ブレードには、しわ、切れ
の発生は観察されなかったものの、若干数のブレードに
耳の発生が観察された。
【0067】 一方、比較例1及び比較例2で製造した
曲げ金型を用いて製造したサイプ形成用ブレードには、
しわ、切れ及び耳の発生が頻発した。
【0068】
【発明の効果】 本発明の曲げ金型の製造方法を用いる
ことにより、2軸方向波形形状等の特殊な形状を有する
サイプ形成ブレードを、従来の方法よりも簡易かつ低コ
ストで製造することができる。又、本発明の方法で曲げ
金型を製造することにより、加工時において加工用平板
に切れやくびれが発生するのを効果的に防止することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(c)本発明の曲げ金型の製造方法
の一例における原型の製造工程を示す工程図である。
【図2】 タイヤに設けられる溝の種類を示す模式図で
ある。
【図3】 タイヤ成形用金型の一例を示す斜視図であ
る。
【図4】 曲げ金型を用いたサイプ形成用ブレードの製
造方法を示す模式図である。
【図5】 ワイヤ放電加工法の一例を示す斜視図であ
る。
【図6】 (a)ボールエンドミル加工法及び(b)型
放電加工法を示す斜視図である。
【図7】 2軸方向に波形形状を有するサイプの一例を
示す模式図である。
【図8】 (a)2軸方向波形形状を有するサイプ形成
用ブレードの一例及び(b)2軸方向波形曲げ金型の一
例を示す斜視図である。
【図9】 曲げ金型の成形面に生じる、角を持った尾根
状部分の一例を示す斜視図である。
【図10】 一方の面から他方の面に突出する凸部を備
えたサイプ形成用ブレードの一例を示す斜視図である。
【図11】 反転型の第2原型への張り付けの態様の
(a)一例及び(b)他の例を示す模式図である。
【図12】 (a)〜(c)本発明の曲げ金型の製造方
法の一例における鋳型作製工程を示す工程図である。
【図13】 曲げ加工時における、曲げ金型の上型と下
型の成形面の距離を示す模式図である。
【図14】 (a)〜(d)本発明の曲げ金型の製造方
法の他の例における原型の製造工程を示す工程図であ
る。
【図15】 本発明の曲げ金型の製造方法のさらに他の
例における原型の製造方法を示す斜視図である。
【図16】 本発明の曲げ金型の製造方法のさらに他の
例における原型の製造方法を示す説明図である。
【図17】 本発明のサイプ形成用ブレードの一例を示
す斜視図である。
【図18】 (a)、(b)本発明の曲げ金型の製造方
法のさらに他の例における原型の製造方法を示す工程図
及び(c)(b)のA−A’線断面図である。
【図19】 (a)〜(c)本発明の曲げ金型の製造方
法のさらに他の例における原型の製造方法を示す工程図
である。
【図20】 第1原型の一例を示す(a)平面図及び
(b)側面図である。
【図21】 第2原型の一例を示す(a)平面図及び
(b)側面図である。
【符号の説明】
1…曲げ金型、2…上型、3…下型、4…加工用平板、
5…、6…サイプ形成用ブレード、7…タイヤ成形用金
型、8…、9…太溝、10…サイプ、11…太溝、12
…セラミック製鋳型、15…2軸方向波形形状を有する
サイプ形成用ブレード、16…2軸方向波形曲げ金型、
17…凸部分、18…頂点、19…尾根状部分、20…
凸部、21…一方の面から他方の面に突出する凸部を備
えたサイプ形成用ブレード、22…第1原型、23…反
転型、24…第2原型、25…成形面、26…平面、2
7…原型、28、29…ゴム型、30…上型用第1原
型、31…下型用第1原型、32…クリアランス、33
…上型用捨型、34…下型用捨型、35…上型用反転
型、36…下型用反転型、37…上型用第2原型、38
…下型用第2原型、39…上型用原型、40…下型用原
型、41…ガイドレール、42…成形線、43…掻き
型、44…成形線、45、46…ブレードの輪郭、47
…予備曲げ金型、48…予備加工済み板、51…ワイヤ
カット用電極線(ワイヤ)、52…高強度鋼材、53…
ボールエンドミル、54…電極材、60…母原型、61
…弾性体シート、62…原型、63…突出部形成用部
材、64…突出部、65…弾性素材、66…固定部材、
67…枠。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:24 B29L 30:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2軸方向波形形状を有するサイプ形成用
    ブレードを製造するための曲げ金型を、原型に基づいて
    作製した鋳型から鋳造することにより製造する方法であ
    って、 X軸方向波形形状を有する第1原型より、弾性素材を用
    いて反転型を作製し、該反転型はX軸方向波形形状を有
    し、 Y軸方向波形形状を有する第2原型の成形面に、該反転
    型を、該反転型の成形面の裏側に設けた平面を該第2原
    型の成形面の起伏に沿って張り付け、密着させることに
    より該原型を製造することを特徴とする曲げ金型の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 2軸方向波形形状を有するサイプ形成用
    ブレードを製造するための曲げ金型を、原型に基づいて
    作製した鋳型から鋳造することにより製造する方法であ
    って、 X軸方向波形形状を有する上型用第1原型及び下型用第
    1原型よりそれぞれ上型用捨型及び下型用捨型を作製す
    る工程、 該上型用捨型及び下型用捨型よりそれぞれ、弾性素材を
    用いて、X軸方向波形形状を有する上型用反転型及び下
    型用反転型を作製する工程、 Y軸方向波形形状を有する上型用第2原型及び下型用第
    2原型の成形面に、それぞれ該上型用反転型及び下型用
    反転型を、該反転型の成形面の裏側に設けた平面を該第
    2原型の成形面の起伏に沿って張り付けることにより密
    着させる工程により該原型を製造し、 該上型用第1原型及び下型用第1原型は加工用平板の厚
    みに相当するクリアランスを有し、該上型用第2原型及
    び下型用第2原型は該クリアランスを有さず、 上型用原型及び下型用原型よりそれぞれ上型用第二捨型
    及び下型用第二捨型を作製し、該上型用第二捨型及び下
    型用第二捨型よりそれぞれ上型用鋳型成形型及び下型用
    鋳型成形型を作製し、該上型用鋳型成形型及び下型用鋳
    型成形型よりそれぞれ上型用鋳型及び下型用鋳型を作製
    することを特徴とする曲げ金型の製造方法。
  3. 【請求項3】 X軸方向における断面形状及びY軸方向
    における断面形状が共に成形部分において波形の輪郭を
    有する曲げ金型を用いたサイプ形成用ブレードの製造方
    法であって、 X軸方向波形形状を有する予備曲げ金型を用いて、加工
    用平板を、X軸方向における断面形状が波形であり、か
    つY軸方向における断面形状が直線状となるように加工
    し、 さらに、該曲げ金型を用いて、該予備加工済み板に、Y
    軸方向における断面形状が波形になるように加工を施す
    ことを特徴とするサイプ形成用ブレードの製造方法。
  4. 【請求項4】 サイプ形成用ブレードを製造するための
    曲げ金型を、原型に基づいて作製した鋳型から鋳造する
    ことにより製造する方法であって、 該サイプ形成用ブレードの一方の面に相当する成形面を
    備えた母原型の該成形面に、弾性体シートを、該成形面
    の起伏に沿って張り付けることにより該原型を製造する
    ことを特徴とする曲げ金型の製造方法。
  5. 【請求項5】 該サイプ形成用ブレードが一方の面から
    他方の面に突出する1又は2以上の凸部を備えた請求項
    4に記載の曲げ金型の製造方法。
  6. 【請求項6】 一方の面から他方の面に突出する1又は
    2以上の凸部を備えたサイプ形成用ブレードを製造する
    ための曲げ金型を、原型に基づいて作製した鋳型から鋳
    造することにより製造する方法であって、 外周部を固定した弾性体シートを、その一面側又は両面
    側より突出部形成用部材にて押しつけたまま固定するこ
    とにより、該弾性体シートに突出部を形成し、 次いで、該弾性体シートの両側に弾性素材を導入して固
    化させ、 次いで該弾性体シートを除去することにより該原型を製
    造することを特徴とする曲げ金型の製造方法。
  7. 【請求項7】 2軸方向波形形状を有するサイプ形成用
    ブレードを、原型に基づいて作製した鋳型から鋳造する
    ことにより製造する方法であって、 該原型の製造工程が、 該サイプ形成用ブレードのX軸方向における断面形状に
    相当する波形の成形線を有する掻き型を、該サイプ形成
    用ブレードのY軸方向における断面形状に相当する波形
    の成形線を有し、かつ平行に配置された2本のガイドレ
    ール上でスライドさせることにより、該2本のガイドレ
    ールの間に配置した該原型用原料に、該サイプ形成用ブ
    レードの面形状に相当する面形状を付与する工程を有す
    ることを特徴とする曲げ金型の製造方法。
  8. 【請求項8】 加工用平板の厚みに相当するクリアラン
    スを備えた上型用掻き型と下型用掻き型、 及び加工用平板の厚みに相当するクリアランスを備えた
    上型用ガイドレール及び下型用ガイドレールを用い、 該上型用掻き型の成形線は、該サイプ形成用ブレードの
    X軸方向における断面形状の一方の面側の波形の輪郭に
    一致し、 該上型用ガイドレールの成形線は、該サイプ形成用ブレ
    ードのY軸方向における断面形状の該一方の面側の波形
    の輪郭に一致し、 該下型用掻き型の成形線は、該サイプ形成用ブレードの
    X軸方向における断面形状の他方の面側の波形の輪郭に
    一致し、 該下型用ガイドレールの成形線は、該サイプ形成用ブレ
    ードのY軸方向における断面形状の該他方の面側の波形
    の輪郭に一致し、 該上型用掻き型を該上型用ガイドレール上でスライドさ
    せ、かつ該下型用掻き型を該下型用ガイドレール上でス
    ライドさせて、上型用反転形原型用原料及び下型用反転
    形原型用原料に、それぞれ該サイプ形成用ブレードの該
    一方の面及び該他方の面の面形状に相当する面形状を付
    与することにより上型用反転形原型及び下型用反転形原
    型を製造する請求項7に記載の曲げ金型の製造方法。
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