JP2001025087A - スピーカー用部材およびその製造方法 - Google Patents

スピーカー用部材およびその製造方法

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JP2001025087A
JP2001025087A JP11197356A JP19735699A JP2001025087A JP 2001025087 A JP2001025087 A JP 2001025087A JP 11197356 A JP11197356 A JP 11197356A JP 19735699 A JP19735699 A JP 19735699A JP 2001025087 A JP2001025087 A JP 2001025087A
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Takeshi Fujitani
武士 藤谷
Koichi Teika
弘一 定家
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた要求特性を有するスピーカー用部材
を提供すること。 【解決手段】 本発明のスピーカー用部材は、ハロゲン
系ポリマーと架橋液状ゴムとを含む熱可塑性エラストマ
ーから形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた要求特性
(例えば、内部損失、反発弾性率、軽量化、耐熱性、耐
候性、伸縮性、低温特性、湿度に対する寸法安定性、圧
縮成形歪、ヒステリシス)を有するスピーカー用部材お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、種々のスピーカー用部材につ
いて、用途に応じて種々の材料が用いられている。例え
ば、振動板を形成する材料としては、金属箔(チタン箔
およびアルミ箔)、高分子フィルム、コーティング布お
よび発泡ウレタンが挙げられる。ドーム型スピーカーに
おいては、金属箔、高分子フィルムおよびコーティング
布、ならびに発泡ウレタンはそれぞれ、ハードドーム、
セミハードドーム、ならびにソフトドームと呼ばれてい
る。エッジを形成する材料としては、コーティング布、
エラストマー、発泡ウレタン、およびゴムが挙げられ
る。
【0003】高分子フィルムとしては、一般に、エンジ
ニアプラスチック(例えば、PEIおよびPEEK)が
使用される。エンジニアプラスチックは、汎用プラスチ
ックと比べて強度が増大するが、その反面、重量が大き
く、内部損失および反発弾性率が小さくなる。この為、
中高域において高調波歪みを生み出す原因となり、fh
の伸びが不十分である。さらに、エンジニアプラスチッ
クはガラス転移温度が高いので、低温特性が不十分であ
る。
【0004】コーティング布は、綿および合成樹脂の織
布にフェノール樹脂を含浸し、さらにその表面にアクリ
ル系樹脂またはウレタン系樹脂を塗布して得られる。コ
ーティング布は、重量が小さく、弾性率が大きいが、熱
硬化性樹脂であるフェノール樹脂を含浸しているので、
内部損失および反発弾性率が小さくなる。この為、高分
子フィルムの場合と同様に、中高域において高調波歪み
を生み出す原因となり、fhの伸びが不十分である。さ
らに、コーティング布の生地に綿等の天然繊維を使用す
ると、天然繊維は吸水率が高いので、湿度に依存して寸
法変化を引き起こすことが多い。
【0005】発泡ウレタンは、通常、高倍率(約30
倍)で発泡したものを熱プレスで圧縮成形して使用され
ている。多くの場合、ポリオールがポリエステル系また
はポリエーテル系であるポリウレタンが用いられる。発
泡ウレタンは、軽量および低硬度で、反発弾性率、圧縮
永久歪み、およびヒステリシスに優れているが、ガラス
転移温度が高いので、低温特性が不十分である。さら
に、発泡ウレタンは、湿度による加水分解を引き起こ
し、耐候性が不十分である。しかも、シートを高倍率で
発泡させた後、圧縮成形して用いられるので、発泡倍率
のコントロールが不可能であり、所望の形状を得ること
ができない。さらに、圧縮により振動板内部の気泡が押
しつぶされるので、発泡させても反発弾性率は改善され
ない。
【0006】エラストマーとしては、海−島型相分離構
造を有する高重合度ポリ塩化ビニル系樹脂に可塑剤を添
加して得られるPVC系熱可塑性エラストマー(TP
E)、ポリプロピレンおよびエチレン−プロピレン共重
合度ゴムからなるオレフィン系TPE、ハードセグメン
トおよびソフトゼグメントが化学結合したポリウレタン
系TPE、ポリエステル系TPE、およびポリアミド系
TPEが挙げられる。PVC系TPEおよびオレフィン
系TPEは耐候性において優れているが、その反面、圧
縮永久歪および永久伸びが高く、ヒステリシスが悪い。
ポリウレタン系TPEは機械的強度において優れるが、
耐候性、および低温特性が不十分である。ポリエステル
系TPEは機械的強度において優れるが、得られるエッ
ジの硬度が低くならないため、大振幅において突っ張り
音が生じ、歪が発生する。
【0007】以上のように、従来の材料を用いたスピー
カー用部材は一長一短であり、すべての要求特性を同時
に満足するスピーカー用部材が強く望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
課題を解決するためになされたものであり、その目的と
するところは、優れた要求特性(例えば、内部損失、反
発弾性率、軽量化、耐熱性、耐候性、伸縮性、低温特
性、湿度に対する寸法安定性、圧縮永久歪、ヒステリシ
ス)を有するスピーカー用部材およびその製造方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、スピーカ
ー用部材を形成する材料およびその製造方法について鋭
意検討した結果、ハロゲン系ポリマーと架橋液状ゴムと
を含む熱可塑性エラストマーを用いることにより、優れ
た要求特性を有するスピーカー用部材が得られることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】本発明のスピーカー用部材は、架橋液状ゴ
ムとハロゲン系ポリマーとを含む熱可塑性エラストマー
から形成される。
【0011】好ましい実施態様においては、上記熱可塑
性エラストマーは発泡剤をさらに含む。
【0012】好ましい実施態様においては、上記発泡剤
はアゾジカルボンアミド/4,4’−オキシビスベンゼ
ンスルホニルヒドラジド系複合発泡剤である。
【0013】好ましい実施態様においては、上記架橋液
状ゴムは、ポリエステル系ゴム、ポリウレタン系ゴム、
またはポリ尿素系ゴムから選択される。
【0014】好ましい実施態様においては、上記ハロゲ
ン系ポリマーは、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォ
ン化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−
塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合
体、酢酸ビニル共重合体、またはポリテトラフルオロエ
チレンから選択される。
【0015】本発明の別の局面によれば、スピーカー用
部材の製造方法が提供される。この方法は、架橋液状ゴ
ムとハロゲン系ポリマーとを含む熱可塑性エラストマー
を調製する工程と、該熱可塑性エラストマーを圧縮成形
する工程とを含む。
【0016】好ましい実施態様においては、上記架橋液
状ゴムを生成させる架橋反応は、上記熱可塑性エラスト
マーを調製する際に行われる。
【0017】好ましい実施態様においては、上記スピー
カー用部材の製造方法は上記熱可塑性エラストマーに発
泡材を混合する工程をさらに含む。
【0018】好ましい実施態様においては、上記方法
は、上記熱可塑性エラストマーを調製する工程において
上記発泡剤を混合して発泡した熱可塑性エラストマーを
得、該発泡した熱可塑性エラストマーを圧縮成形する。
【0019】別の好ましい実施態様においては、上記方
法は、上記熱可塑性エラストマーを調製した後、発泡剤
を混合し、該熱可塑性エラストマーを圧縮成形すると同
時に発泡させる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明のスピーカー用部材は、架
橋液状ゴムとハロゲン系ポリマーとを含む熱可塑性エラ
ストマーから形成される。
【0021】架橋液状ゴムは1種または複数種の液状ゴ
ムとアミン化合物またはポリイソシアネート化合物のど
ちらかとが架橋反応した液状ゴムである。さらに、必要
に応じて硬化剤、架橋剤、および架橋助剤も該架橋反応
に用いられる。架橋液状ゴムとしては、代表的にはポリ
エステル系架橋液状ゴム、ポリウレタン系架橋液状ゴ
ム、ポリ尿素系架橋液状ゴムが挙げられる。
【0022】上記液状ゴムの代表例としては、イソシア
ネート基末端ポリエステル化合物、水酸基末端ポリエス
テル化合物が挙げられる。代表的には、イソシアネート
基末端ポリエステル化合物は以下の化学式(I)で表さ
れ、水酸基末端ポリエステル化合物は以下の化学式(I
I)で表される:
【0023】
【化1】
【0024】
【化2】
【0025】ここで、R1は炭素数1〜12のアルキル
基であり、R2は芳香族環または炭素数2〜8のアルキ
ル基であり、R3はジフェニレンアルキル基またはフェ
ニレン基である。さらに好ましくは、R1は、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基である。R1が
このような置換基である場合には、図1(a)に示す水
酸基末端エステル化合物の生成反応(後述)において環
状体の形成が良好に防止されるからである。また、R2
は、芳香族環または炭素数が4、6,8であるアルキル
基であり、R3は、ジフェニレンメタン基、トリレン
基、キシリレン基である。得られるスピーカー用部材の
要求特性(例えば、内部損失、反発弾性率等)がさらに
改善されるからである。該液状ゴムは、アミン化合物ま
たはポリイソシアネート化合物との架橋反応前および架
橋反応中において、分子構造中にカルボニル基(本明細
書において、カルボニル基とは、エステル基、ウレタン
基、尿素基、アミド基を包含する)を有しているので、
ハロゲン系ポリマーとの相溶性が良く、その結果、生成
される熱可塑性エラストマーにおいてハロゲン系ポリマ
ーと共に海−島相分離構造を形成する。
【0026】代表的には、上記アミン化合物は以下の化
学式(III)で表され、上記ポリイソシアネート化合物
は以下の化学式(IV)で表される。
【0027】
【化3】
【0028】
【化4】
【0029】ここで、R4はハロゲン化ジフェニルアル
キル基であり、さらに好ましくは、ジクロロジフェニレ
ンメタン基、テトラクロロジフェニレンメタン基、ジブ
ロモジフェニレンメタン基、テトラブロモジフェニレン
メタン基である。得られるスピーカー用部材の要求特性
(例えば、内部損失、反発弾性率等)がさらに改善され
るからである。アミン化合物の代表例としては、3,3’-
ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2’,3,
3’-テトラクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタンが
挙げられる。ポリイソシアネート化合物の代表例として
は、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシア
ネートが挙げられる。
【0030】図1は、架橋反応に用いられる代表的な液
状ゴムの生成反応式を示す。図1(a)において、ジオー
ル化合物の代表例としては、1,2-エタンジオール、1,3-
プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタン
ジオールが挙げられ、ジカルボン酸化合物の代表例とし
ては、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、
グルタル酸、アゼライン酸が挙げられる。図1(b)にお
いて、2官能性イソシアネート化合物の代表例として
は、トリレンジイソシアネート、4、4’-ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネートが挙げられる。図2
(a)は、架橋反応に用いられる代表的なアミン化合物
(3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン)
の生成反応式を示し、図2(b)は、架橋反応に用いら
れる代表的なイソシアネート化合物(トリレンジイソシ
アネート;この化合物からポリイソシアネート化合物が
得られる)の生成反応式を示す。図3は、架橋液状ゴム
の代表的な架橋反応式を示す。図3(a)に示す反応によ
れば、イソシアネート基末端ポリエステル化合物とアミ
ン化合物とが架橋反応し、架橋液状ゴムを生成し、図3
(b)に示す反応によれば、水酸基末端ポリエステル化合
物とポリイソシアネート化合物とが架橋反応し、架橋液
状ゴムを生成する。
【0031】液状ゴムの架橋反応を促進させるために
は、可塑剤を混入するとよい。可塑剤を混入することに
より、反応温度を低下させ、可塑性を高めることができ
る。可塑剤は代表的には、DOP(フタル酸ジ-2-エチ
ルヘキシル)、DOA(アジピン酸ジ-2-エチルヘキシ
ル),DOS(セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル)が挙
げられる。
【0032】上記ハロゲン系ポリマーは、ハロゲン
(F、Cl、Br、I)を含有する単量体の単独重合体
および共重合体、またはハロゲンにより変性された重合
体である。
【0033】上記ハロゲン系ポリマーは、代表的には、
塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレン
樹脂、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−塩化ビニル共
重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル
共重合体、ポリテトラフォルオロエチレン、ポリウレタ
ングラフトポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニルグラフ
トエチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル単独重合
体が挙げられる。好ましくは、塩素化ポリエチレン、ク
ロロスルフォン化ポリエチレン樹脂、エチレン−塩化ビ
ニル共重合体、ポリウレタングラフトポリ塩化ビニル樹
脂である。
【0034】上記ハロゲン系ポリマーは、熱可塑性エラ
ストマーを生成する際に1種または複数種用いられる。
用いられるハロゲン系ポリマーの好ましい組み合わせと
しては、塩素化ポリエチレン/エチレン−塩化ビニル共
重合体/クロロスルフォン化ポリエチレン、塩素化ポリ
エチレン樹脂/エチレン−塩化ビニル共重合体/ポリウ
レタングラフトポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレ
ン樹脂/エチレン−塩化ビニル共重合体/ポリ塩化ビニ
ルグラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリ
エチレン樹脂/エチレン−塩化ビニル共重合体/塩化ビ
ニル単独重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体が挙げ
られる。特に好ましいハロゲン系ポリマーの組み合わせ
は、塩素化ポリエチレン/エチレン−塩化ビニル共重合
体/クロロスルフォン化ポリエチレン、塩素化ポリエチ
レン樹脂/エチレン−塩化ビニル共重合体/ポリウレタ
ングラフトポリ塩化ビニル樹脂である。
【0035】好ましくは、上記熱可塑性エラストマーに
発泡剤が混合される。上記発泡剤には任意の適切な発泡
剤が用いられるが、好ましくは、アゾジカルボンアミド
/4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド系
複合発泡剤が用いられる。
【0036】上記熱可塑性エラストマーは従来のポリウ
レタン系TPE、ポリエステル系TPEとは異なり、ハ
ロゲン系ポリマーと架橋液状ゴムとが化学結合せず、図
4に示すように熱可塑性エラストマー内において海−島
型相分離構造を形成し、それぞれが振動するため内部摩
擦を生じ、内部損失において優れる。
【0037】本発明のスピーカー用部材の好ましい製造
方法の一例について説明する。
【0038】ハロゲン系ポリマー、液状ゴム、アミン化
合物またはポリイソシアネート化合物、可塑剤等を配合
し、混練機を用いて混練する。混練温度については、任
意に適切な温度が採用され得るが、好ましくは、130
〜150℃である。好ましくは、ハロゲン系ポリマー、
液状ゴム、アミン化合物(またはポリイソシアネート化
合物)、可塑剤の順に混合する。上記の順に混合するの
は、本発明に用いる熱可塑性エラストマーをより確実に
生成するためである。ハロゲン系ポリマーと液状ゴムお
よびアミン化合物(またはポリイソシアネート化合物)
の配合比は、任意に適切な配合比が採用されうるが、代
表例としては、ハロゲン系ポリマー100重量部に対し
液状ゴム70〜85重量部およびアミン化合物(または
ポリイソシアネート化合物)10〜15重量部である。
混練するにつれて、液状ゴムとアミン化合物(またはポ
リイソシアネート化合物)とが架橋反応し、架橋液状ゴ
ムが生成される。同時に、得られた架橋液状ゴムとハロ
ゲン系ポリマーとが混練され、熱可塑性エラストマーが
生成される。ここで、生成された熱可塑性エラストマー
は、架橋液状ゴムとハロゲン系ポリマーとが化学結合し
て生成されたのではなく、架橋液状ゴムとハロゲン系ポ
リマーとが混練されることにより、海−島型相分離構造
を形成し生成される。海−島型相分離構造が形成される
のは、液状ゴムがアミン化合物(またはポリイソシアネ
ート化合物)との架橋反応前および架橋反応中において
分子構造中にカルボニル基を有し、そのため、ハロゲン
系ポリマーとの相溶性が優れるからである。
【0039】熱可塑性エラストマー生成後、押出成形機
を用いて、熱可塑性エラストマーをシート状に成形す
る。成形条件(押出成形温度、押出回転数、ローラー温
度、巻取速度)は、任意に適切な条件が採用され得る。
代表的には、押出成形温度:130〜180℃、押出回
転数:30〜100rpm、ローラー温度:10〜40
℃、巻取速度0.5〜2.0m/minである。シートは任
意に適切な厚さに成形される。好ましくは、0.3〜
1.0mmである。
【0040】上記シート状熱可塑性エラストマーを、所
定形状を有した金型を用いて熱プレス成形し、スピーカ
ー用部材を得る。熱プレス成形の条件(金型温度、プレ
ス圧力、プレス時間、金型クリアランス)は、任意に適
切な条件が採用され得る。代表的には金型温度:160
〜200℃、プレス圧力:200〜350kgf、プレ
ス時間:10〜20秒、金型クリアランス:0.6〜
1.0mmである。
【0041】上記所定形状を有した金型としては、目的
に応じて任意の適切な金型が用いられる。代表的には、
ドーム型金型、エッジ金型が挙げられる。ドーム型金型
の形状としては、代表的には、エッジ一体型、フリーエ
ッジ型、バランスドーム型が挙げられる。エッジ金型の
形状としては、代表的には、アッパーロールエッジ、ダ
ウンロールエッジ、コルゲーションエッジ、ギャザード
エッジ、ラジアルエッジが挙げられる。
【0042】好ましくは、上記熱可塑性エラストマー
に、発泡剤が混入される。発泡剤を混入することによ
り、熱可塑性エラストマーが発泡されるので軽量化でき
る。
【0043】好ましくは、発泡剤は、上記熱可塑性エラ
ストマーを調製する工程で混入され、発泡した熱可塑性
エラストマーを得、該発泡した熱可塑性エラストマーが
圧縮成形される。
【0044】あるいは、上記熱可塑性エラストマーを調
製した後で発泡剤を混入し、該熱可塑性エラストマーを
圧縮成形すると同時に発泡させてもよい。この方法によ
れば、得られるスピーカー用部材を軽量化できるととも
に、金型のクリアランスにより発泡倍率をより精密にコ
ントロールできる。さらに、スピーカー用部材内部の気
泡が圧縮成形後も押しつぶされずに残留しているため、
スピーカー用部材の反発弾性率が優れたものとなる。
【0045】図5に、熱可塑性エラストマーを発泡させ
た後に圧縮成形したスピーカー用部材内部の気泡の状態
(図5(a))、および圧縮成形すると同時に熱可塑性
エラストマーを発泡させたスピーカー用部材内部の気泡
の状態(図5(b))を示す。
【0046】以下、本発明の作用について説明する。本
発明のスピーカー用部材は、架橋液状ゴムとハロゲン系
ポリマーとを含む熱可塑性エラストマーから形成され
る。該架橋液状ゴムは1種または複数種の液状ゴムとア
ミン化合物またはポリイソシアネート化合物とが架橋反
応した液状ゴムである。液状ゴムは架橋反応前および架
橋反応中において、分子構造中にカルボニル基を有して
いるので、ハロゲン系ポリマーとの相溶性が良い。従っ
て、架橋液状ゴムとハロゲン系ポリマーとが、熱可塑性
エラストマー内において化学結合しているのではなく、
海島型相分離構造を形成し、それぞれが振動することに
より、内部摩擦が生じる。そのため、本発明のスピーカ
ー用部材は、低硬度、伸縮性、反発弾性率、内部損失、
ヒステリシスにおいて優れる。また、液状ゴムを使用し
たことにより、ガラス転移温度、低温特性に優れ、弾性
領域が広くなる。好ましくは、発泡剤を用いて、熱可塑
性エラストマーを発泡させる。発泡させることにより、
軽量化できる。さらに、金型内部において、圧縮成形と
同時に熱可塑性エラストマーを発泡させることによりス
ピーカー用部材内部の気泡が押し潰されず残留している
ので、優れた反発弾性率および圧縮永久歪を有するスピ
ーカー用部材が得られる。
【0047】したがって、本発明のスピーカー用部材
は、従来のものと比較して、内部損失、反発弾性率、軽
量化、耐熱性、耐候性、伸縮性、低温特性、湿度に対す
る寸法安定性、圧縮永久歪、ヒステリシスにおいて優れ
る。よって、本発明のスピーカー用部材は、駆動系から
の振動をリニアに伝達し、忠実に振動させることがで
き、歪および大入力時におけるつっぱり音を改善するこ
とができる。さらに、ガラス転移温度が低く耐熱性およ
び耐候性に優れ、厳しい環境下(例えば、車載用途)に
おける経時劣化の問題を改善できる。加えて、成形加工
がきわめて容易であるという利点も有する。
【0048】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例には限定されない。なお、
特に示さない限り、実施例中の部およびパーセントは重
量基準である。
【0049】(実施例1)熱可塑性エラストマーを下記
の配合において調製し、混練機を用いて、140℃、回
転数60rpmの条件で10分間混錬した。なお、成分
は、配合表に記載の順に混練機に投入した(投入順序は
この通りでなくてもよい;後述の各実施例において同
じ)。 (配合) 塩素化ポリエチレン樹脂 30(重量部) エチレン−塩化ビニル共重合樹脂 60 クロロスルフォン化ポリエチレン 10 ポリエステル化合物 82 4,4’-ジアミノ3,3’-ジクロロジフェニルメタン 13 DOP 90 ステアリン酸バリウム 2 ステアリン酸亜鉛 1 発泡剤 1 但し、上記ポリエステル化合物には、分子末端にイソシ
アネート基を有するポリエステル液状ゴム(日本ウレタ
ン(株)製)を、上記発泡剤には、アゾジカルボンアミ
ド/4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド
系複合発泡剤(永和化成工業(株)製)を使用した。
【0050】さらに、熱可塑性エラストマー混錬後、直
ちに酸化防止剤5部、紫外線安定剤2部、およびカーボ
ンブラック1部をそれぞれ添加した。得られた熱可塑性
エラストマーを下記条件において、押出成形機を用い
て、発泡シート状(厚み0.5〜1.0mm)に成形し
た。押出成形温度T1〜T4は、押出成形機を熱可塑性
エラストマー投入口からシート押出口へ向かって4つの
エリアに分けたときの各エリアにおけるスクリュー温度
である。 押出成形温度 T1:150℃ T2:160℃ T3:170℃ T4:180℃ 押出回転数 30〜100rpm ローラー温度 10〜40℃ 巻取速度 0.5〜2.0m/min
【0051】さらに、得られた発泡シート状熱可塑性エ
ラストマーを、所定形状を有するドーム型金型を用い
て、160〜180℃で熱プレス成形し、スピーカー用
振動板を得た。得られた振動板について、通常の方法
で、比重、伸び、反発弾性率、内部損失、ガラス転移温
度、耐候性を測定した。結果を、後述の実施例2〜5お
よび比較例1〜4の結果と共に、下記表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】(実施例2)熱可塑性エラストマーを下記
の配合において調製したこと以外は、実施例1と同様に
して、スピーカー用振動板を得た。 (配合) 塩素化ポリエチレン樹脂 15(重量部) エチレン−塩化ビニル共重合樹脂 70 ポリウレタングラフトポリ塩化ビニル樹脂 15 ポリエステル化合物 74 ポリイソシアネート化合物 10 DOP 50 DOA 30 DOS 10 アクリル系加工助剤 5 ステアリン酸バリウム 2 ステアリン酸亜鉛 1 発泡剤 1
【0054】但し、上記ポリエステル化合物には、分子
末端が水酸基をもつポリエステル液状ゴム(日本ウレタ
ン(株)製)を用いた。得られたスピーカー用振動板
を、実施例1と同様の評価に供した。測定結果を上記表
1に示す。
【0055】(実施例3)熱可塑性エラストマーを下記
の配合において調製し、混練機を用いて、140℃、回
転数60rpmの条件で10分間混錬した。 (配合) 塩素化ポリエチレン樹脂 30(重量部) エチレン−塩化ビニル共重合樹脂 60 クロロスルフォン化ポリエチレン 10 ポリエステル化合物 82 4,4’-ジアミノ3,3’-ジクロロジフェニルメタン 13 DOP 90 ステアリン酸バリウム 2 ステアリン酸亜鉛 1
【0056】さらに、熱可塑性エラストマー混錬後、直
ちに酸化防止剤5部、紫外線安定剤2部、およびカーボ
ンブラック1部をそれぞれ添加した。得られた熱可塑性
エラストマー100重量部に対して、実施例1と同様の
発泡剤0.3〜1.0部(本実施例では0.5部)を混
合し、押出成形機を用いて、下記条件においてシート状
(厚み0.3〜0.5mm)に成形した。 押出成形温度 T1:130℃ T2:140℃ T3:150℃ T4:160℃ 押出回転数 30〜100rpm ローラー温度 10〜40℃ 巻取速度 0.5〜2.0m/min
【0057】さらに、得られたシート状熱可塑性エラス
トマーを、所定形状を有するドーム型金型(クリアラン
ス0.6〜1.0mm)を用いて、180〜200℃で
熱プレス成形すると同時に発泡させ、スピーカー用振動
板を得た。得られたスピーカー用振動板を実施例1と同
様の評価に供した。測定結果を上記表1に示す。
【0058】(比較例1)実施例1において調製した熱
可塑性エラストマーの代わりに、PEIフィルム(スペ
リオUT、三菱樹脂(株)製;厚さ50μm)を用い
て、180〜200℃で熱プレス成形し、スピーカー用
振動板を得た。得られたスピーカー用振動板を実施例1
と同様の評価に供した。測定結果を上記表1に示す。
【0059】(比較例2)実施例1において成形した熱
可塑性エラストマーシートの代わりに以下の基材を調製
した。綿織布100部にフェノール樹脂を5部含浸し、
さらにその表面にアンダーコートとしてアクリル系樹脂
10部、およびトップコートとしてNBR(アクリロニ
トリルブタジエンゴム)5部をナイフコーターにて塗布
した。この基材を180〜200℃で熱プレス成形し、
スピーカー用振動板を得た。得られたスピーカー用振動
板を実施例1と同様の評価に供した。測定結果を上記表1
に示す。
【0060】(比較例3)実施例1において調製した熱
可塑性エラストマーの代わりに、ポリオールとジイソシ
アネート化合物とを化学発泡させた発泡ウレタン(厚
み:7mm)を用いた。上記発泡ウレタンを、所定形状
を有するドーム型金型を用いて、200〜220℃で厚
み1mmに熱圧縮成形し、スピーカー用振動板を得た。
得られたスピーカー用振動板を実施例1と同様の評価に
供した。測定結果を上記表1に示す。
【0061】(実施例4)発泡剤を混合しないこと、お
よび厚みを0.3〜0.5mmにしたこと以外は、実施
例1と同様にしてスピーカー用振動板を得た。得られた
スピーカー用振動板を実施例1と同様の評価に供した。
測定結果を上記表1に示す。
【0062】(実施例5)発泡剤を混合しないこと、お
よび厚みを0.3〜0.5mmにしたこと以外は、実施
例2と同様にしてスピーカー用振動板を得た。得られた
スピーカー用振動板を実施例1と同様の評価に供した。
測定結果を上記表1に示す。
【0063】(比較例4)実施例1において調製した熱
可塑性エラストマーの代わりに、ハードセグメントとし
てのウレタン部分とソフトセグメントとしてのポリエー
テルポリオール部分とが化学的に結合しているポリウレ
タン系熱可塑性エラストマー(エラストラン ブラック
ET593−10、武田バーディシェウレタン工業
(株)製)を用いて、100〜120℃で熱プレス成形
し、スピーカー用振動板を得た。得られたスピーカー用
振動板を実施例1と同様の評価に供した。測定結果を上
記表1に示す。
【0064】(実施例6)熱可塑性エラストマーを下記
の配合において調製し、混練機を用いて140℃、回転
数60rpmの条件で10分間混錬した。 (配合) 塩素化ポリエチレン樹脂 30(重量部) エチレン−塩化ビニル共重合樹脂 60 クロロスルフォン化ポリエチレン 10 ポリエステル化合物 82 4,4’-ジアミノ3,3’-ジクロロジフェニルメタン 13 DOP 90 ステアリン酸バリウム 2 ステアリン酸亜鉛 1 発泡剤 1 但し、上記ポリエステル化合物には、分子末端にイソシ
アネート基を有するポリエステル液状ゴム(日本ウレタ
ン(株)製)を、上記発泡剤にはアゾジカルボンアミド
/4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド系
複合発泡剤(永和化成工業(株)製)を使用した。
【0065】さらに、熱可塑性エラストマー混錬後、直
ちに酸化防止剤5部、紫外線安定剤2部、およびカーボ
ンブラック1部をそれぞれ添加した。得られた熱可塑性
エラストマーを下記条件において、押出成形機を用い
て、発泡シート状(;厚み0.5〜1.0mm)に成形
した。 押出成形温度 T1:150℃ T2:160℃ T3:170℃ T4:180℃ 押出回転数 30〜100rpm ローラー温度 10〜40℃ 巻取速度 0.5〜2.0m/min
【0066】さらに、得られた発泡シート状熱可塑性エ
ラストマーを、所定形状を有するエッジ型金型を用い
て、160〜180℃で熱プレス成形し、スピーカー用
エッジを得た。得られたエッジについて、通常の方法
で、比重、伸び、圧縮永久歪み(JIS K6301に準じ、7
0℃で22時間測定)、内部損失、ガラス転移温度、耐
候性を測定した。結果を、後述の実施例7〜8および比
較例5〜8の結果と併せて下記表2に示す。さらに、通
常の方法でヒステリシスを測定した。測定結果を、比較
例5の結果と併せて図6に示す。
【0067】
【表2】
【0068】(実施例7)熱可塑性エラストマーを下記
の配合において調製したこと以外は、実施例6と同様に
して、スピーカー用エッジを得た。 (配合) 塩素化ポリエチレン樹脂 15(重量部) エチレン−塩化ビニル共重合樹脂 70 ポリウレタングラフトポリ塩化ビニル樹脂 15 ポリエステル化合物 74 ポリイソシアネート化合物 10 DOP 50 DOA 30 DOS 10 アクリル系加工助剤 5 ステアリン酸バリウム 2 ステアリン酸亜鉛 1 発泡剤 1 但し、上記ポリエステル化合物には、分子末端が水酸基
をもつポリエステル液状ゴム(日本ウレタン(株)製)
を用いた。得られたスピーカー用エッジを実施例6と同
様の評価に供した。測定結果を上記表2に示す。
【0069】(実施例8)熱可塑性エラストマーを下記
の配合において調製し、混練機を用いて140℃、回転
数60rpmの条件で10分間混錬した。 (配合) 塩素化ポリエチレン樹脂 30(重量部) エチレン−塩化ビニル共重合樹脂 60 クロロスルフォン化ポリエチレン 10 ポリエステル化合物 82 4,4’-ジアミノ3,3’-ジクロロジフェニルメタン 13 DOP 90 ステアリン酸バリウム 2 ステアリン酸亜鉛 1
【0070】さらに、熱可塑性エラストマー混錬後直ち
に酸化防止剤5部、紫外線安定剤2部、およびカーボン
ブラック1部をそれぞれ添加した。得られた熱可塑性エ
ラストマー100重量部に対して、実施例6と同様の発
泡剤0.3〜1.0部(本実施例では0.5部)を混合
し、押出成形機を用いて、下記条件において、シート状
(厚み0.3〜0.5mm)に成形した。 押出成形温度 T1:130℃ T2:140℃ T3:150℃ T4:160℃ 押出回転数 30〜100rpm ローラー温度 10〜40℃ 巻取速度 0.5〜2.0m/min
【0071】さらに、得られた発泡シート状熱可塑性エ
ラストマーを、所定形状を有するエッジ型金型(クリア
ランス:0.6〜1.0mm)を用いて、180〜20
0℃で熱プレスするとともに金型内で発泡させ、スピー
カー用エッジを得た。得られたスピーカー用エッジを実
施例6と同様の評価に供した。測定結果を上記表2に示
す。さらに、得られたエッジを用いて、口径12cmに
おける音圧周波数特性を調べた。測定結果を図7に示
す。
【0072】(比較例5)実施例6において調製した熱
可塑性エラストマーの代わりに、海−島型相分離構造を
有し、ポリプロピレンおよびエチレン−プロピレン共重
合体ゴムからなるオレフィン系熱可塑性エラストマー
(油化サーモラン、三菱油化(株)製)を用いて、90
〜100℃で熱プレス成形し、スピーカー用エッジを得
た。得られたスピーカー用エッジを実施例6と同様の評
価に供した。測定結果を上記表2に示す。さらに、ヒス
テリシスを測定した。測定結果を図6に示す。
【0073】(比較例6)実施例6において調製した熱
可塑性エラストマーの代わりに、ハードセグメントとし
てのウレタン部分とソフトセグメントとしてのポリエー
テルポリオール部分とが化学的に結合しているポリウレ
タン系熱可塑性エラストマー(エラストラン ブラック
ET593−10、武田バーディシェウレタン工業
(株)製)を用いて、100〜120℃で熱プレス成形
し、スピーカー用エッジを得た。得られたスピーカー用
エッジを実施例6と同様の評価に供した。測定結果を上
記表2に示す。
【0074】(比較例7)実施例6において調製した熱
可塑性エラストマーの代わりに、ハードセグメントとし
ての芳香族ポリエステル部分とソフトセグメントとして
の脂肪族ポリエーテルコポリマー部分とが化学結合した
ポリエステル系熱可塑性エラストマー(ペルプレン、東
洋紡(株)製)を用いて、140〜150℃で熱プレス
成形し、スピーカー用エッジを得た。得られたスピーカ
ー用エッジを実施例6と同様の評価に供した。測定結果
を上記表2に示す。
【0075】(比較例8)実施例6において調製した熱
可塑性エラストマーの代わりに、ポリオールとジイソシ
アネート化合物とを化学発泡させた発泡ウレタン(厚
み:7mm)を用いた。上記発泡ウレタンを、所定形状
を有するエッジ金型を用いて、200〜220℃で厚み
1mmに熱圧縮成形し、スピーカー用エッジを得た。得
られたスピーカー用エッジを実施例6と同様の評価に供
した。測定結果を上記表2に示す。
【0076】(実施例9)発泡剤を混合しないこと、お
よび厚みを0.3〜0.5mmにしたこと以外は、実施
例6と同様にしてスピーカー用エッジを得た。得られた
スピーカー用エッジについて、通常の方法で、伸び、圧
縮永久歪み、内部損失、熱変形温度、およびガラス転移
温度測定した。測定結果を、後述の実施例10および比
較例9〜11の結果と併せて下記表3に示す。さらに、
ヒステリシスを測定した。測定結果を、後述の比較例9
の結果と併せて図8に示す。さらに、得られたエッジを
用いて、口径12cmにおける音圧周波数特性を調べ
た。測定結果を、後述の比較例10の結果と併せて図9
に示す。
【0077】
【表3】
【0078】(実施例10)発泡剤を混合しないこと、
および厚みを0.3〜0.5mmにしたこと以外は、実
施例7と同様にしてスピーカー用エッジを得た。得られ
たスピーカー用エッジを実施例9と同様の評価に供し
た。測定結果を上記表3に示す。
【0079】(比較例9)比較例5と同様にしてスピー
カー用エッジを作製し、実施例9と同様の評価に供し
た。結果を上記表3に示す。さらに、ヒステリシスを測
定した。結果を図8に示す。
【0080】(比較例10)比較例6と同様にしてスピ
ーカー用エッジを作製し、実施例9と同様の評価に供し
た。結果を上記表3に示す。さらに、得られたエッジを
用いて、口径12cmにおける音圧周波数特性を調べ
た。結果を図9に示す。
【0081】(比較例11)比較例7と同様にしてスピ
ーカー用エッジを作製し、実施例9と同様の評価に供し
た。結果を上記表3に示す。
【0082】表1〜3から明らかなように、本発明のス
ピーカー用部材は、全体として、内部損失、反発弾性
率、軽量(比重)、耐熱性、耐候性、伸縮性、ガラス転
移温度、湿度に対する寸法安定性、圧縮永久歪に優れ
る。さらに、図6および8に示すように、ヒステリシス
に優れる。加えて、図7および9に示すように、音圧周
波数特性において歪みが低減されている。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、ハロゲン系ポリマーと
架橋液状ゴムとを含む熱可塑性エラストマーを用いるこ
とにより、内部損失、反発弾性率、軽量化、耐熱性、耐
候性、伸縮性、ガラス転移温度、湿度に対する寸法安定
性、および圧縮永久歪に優れたスピーカー用部材が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は、本発明の架橋反応に用
いられる液状ゴムの代表的な生成反応式である。
【図2】(a)は、本発明の架橋反応に用いられる代表
的なアミン化合物の生成反応式であり;(b)は、本発
明の架橋反応に用いられる代表的なポリイソシアネート
化合物の生成反応式である。
【図3】(a)および(b)は、本発明に用いられる架
橋液状ゴムの代表的な架橋反応式である。
【図4】本発明に用いられる、ハロゲン系ポリマーと架
橋液状ゴムとを含む熱可塑性エラストマーの模式図であ
り、ハロゲン系ポリマーと架橋液状ゴムとが海−島型相
分離構造を形成していることを説明するための図であ
る。
【図5】(a)は、熱可塑性エラストマーを発泡させた
後に圧縮成形したスピーカー用部材内部の気泡の状態を
示す模式図であり;(b)は、圧縮成形すると同時に熱
可塑性エラストマーを発泡させたスピーカー用部材内部
の気泡の状態を示す模式図である。
【図6】実施例6および比較例5におけるヒステリシス
曲線を示すグラフである。
【図7】実施例8で得られたエッジを用いた口径12c
mのスピーカーの音圧周波数特性を示すグラフである。
【図8】実施例9および比較例9におけるヒステリシス
曲線を示すグラフである。
【図9】実施例9および比較例10で得られたエッジを
用いた口径12cmのスピーカーの音圧周波数特性を示
すグラフである。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋液状ゴムとハロゲン系ポリマーとを
    含む熱可塑性エラストマーから形成された、スピーカー
    用部材。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性エラストマーが発泡剤をさ
    らに含む、請求項1に記載のスピーカー用部材。
  3. 【請求項3】 前記発泡剤がアゾジカルボンアミド/
    4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド系複
    合発泡剤である、請求項2に記載のスピーカー用部材。
  4. 【請求項4】 前記架橋液状ゴムが、ポリエステル系ゴ
    ム、ポリウレタン系ゴム、またはポリ尿素系ゴムから選
    択される、請求項1に記載のスピーカー用部材。
  5. 【請求項5】 前記ハロゲン系ポリマーが、塩素化ポリ
    エチレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、ポリフッ
    化ビニリデン、エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビ
    ニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル共重合体、また
    はポリテトラフルオロエチレンから選択される、請求項
    1に記載のスピーカー用部材。
  6. 【請求項6】 架橋液状ゴムとハロゲン系ポリマーとを
    含む熱可塑性エラストマーを調製する工程と、該熱可塑
    性エラストマーを圧縮成形する工程とを含む、スピーカ
    ー用部材の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記架橋液状ゴムを生成させる架橋反応
    が、前記熱可塑性エラストマーを調製する際に行われ
    る、請求項6に記載のスピーカー用部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記熱可塑性エラストマーに発泡剤を混
    合する工程をさらに含む、請求項6または7に記載のス
    ピーカー用部材の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記熱可塑性エラストマーを調製する工
    程において前記発泡剤を混合して発泡した熱可塑性エラ
    ストマーを得、該発泡した熱可塑性エラストマーを圧縮
    成形する、請求項8に記載のスピーカー用部材の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記熱可塑性エラストマーを調製した
    後で前記発泡剤を混合し、該熱可塑性エラストマーを圧
    縮成形すると同時に発泡させる、請求項8に記載のスピ
    ーカー用部材の製造方法。
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