JP2001021526A - バイオセンサーを用いた試料溶液の測定方法 - Google Patents

バイオセンサーを用いた試料溶液の測定方法

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JP2001021526A
JP2001021526A JP11189317A JP18931799A JP2001021526A JP 2001021526 A JP2001021526 A JP 2001021526A JP 11189317 A JP11189317 A JP 11189317A JP 18931799 A JP18931799 A JP 18931799A JP 2001021526 A JP2001021526 A JP 2001021526A
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biosensor
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Takashi Morita
高志 森田
Junko Hoashi
順子 保足
Macniven Scott
マクニーヴン スコット
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料溶液滴下型のバイオセンサーを用いて、
同時に複数の試料溶液を測定することを可能とし、それ
により測定の迅速化が図れるとともに試料の経時的変化
や測定環境の変化の測定への影響を排除することが可能
な試料溶液の測定方法および前記測定方法に好適に用い
られるバイオセンサーを提供する。 【解決手段】 バイオセンサーを用いて試料溶液中の測
定対象物質を測定する方法であって、対極および生体触
媒を近傍に有する作用極からなる電極組の複数個と前記
電極組上に各電極組毎別々に試料溶液保持部を形成する
セルとを有するバイオセンサーの少なくとも1個と、前
記複数個の電極組が同時に使用可能に接続された測定装
置と、を有する測定系を用い、前記バイオセンサーの各
試料溶液保持部に同一または異なる複数の試料溶液をそ
れぞれ同時に供給して、前記複数の試料溶液中の測定対
象物質を同時に測定する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バイオセンサーを
用いた試料溶液の測定方法およびバイオセンサーに関
し、詳しくは、試料溶液滴下型のバイオセンサーを構成
要素として含む測定系を用いた同時に複数の試料溶液が
測定可能な試料溶液の測定方法および前記測定系に用い
られる試料溶液滴下型のバイオセンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電極型バイオセンサーの大部分
は、生体触媒と化学物質との反応を1組の電極組(作用
極、対極、参照極など)によって電気信号に変換する測
定原理を用いている。通常、生体触媒は担体結合法、架
橋化法、または格子型包括法などの種々の固定化法によ
り上記電極組の作用極上に固定化されて使用される。さ
らに、この様な電極組を有するバイオセンサーを連続的
または繰り返し使用し、その過程で標準液を用いた検量
線の作成や実試料の測定を行う方法が一般的に採用され
ている。
【0003】そのため、従来の測定系で1つの試料溶液
を測定するためには、この1組の電極組を有するバイオ
センサーによって複数の標準液の測定と前記試料溶液の
測定をそれぞれ別々に行わなければならず、さらに、別
の試料溶液を測定する際には、基本的には、電極の洗浄
操作および生体触媒の機能復元操作を行った上で、これ
に加えて上記と同様の測定操作を繰り返す必要があっ
た。この様な煩雑な操作が要求されることから、連続的
または繰り返し測定が必要な従来の商業的バイオセンサ
ー測定系の多くは、半自動もしくは全自動処理機構を設
けており、装置の大型化や高価格化が不可避となってい
る。
【0004】一方、試料を連続的または繰り返し測定す
る必要がない場合には、測定毎の操作と測定装置をより
簡便かつメンテナンスフリーにして短時間測定を実現す
る必要がある。そのため、1回の測定毎に別々のバイオ
センサーを使用する、いわゆる使い捨て型のバイオセン
サーが考案されている。この様なタイプのバイオセンサ
ーを用いる測定系は、試料の測定毎に新しいバイオセン
サーを使用することにより、電極の洗浄、生体触媒の機
能復元、測定装置のメンテナンスなど従来の煩雑な操作
を解除すると共に、装置の小型化・低価格化など従来に
ない機能と特徴を実現できることから、近年、医療分野
や環境分野などで注目されている。
【0005】しかしながら、使い捨て型のバイオセンサ
ーを用いた測定系においても、1回の測定にはある程度
の時間がかかることから、試料の数が多い場合にはその
数に応じて測定に要する時間も長くなってしまうという
問題や、それに伴い試料を測定している間に起こる別の
試料の経時的変化や測定環境の変化による測定への影響
が問題であった。
【0006】また、使い捨て型バイオセンサーを用いる
測定系においても実試料の測定精度を向上させるために
は標準液などによる検量線の作成が必要であるが、1つ
の実試料を測定するのに、上記同様に1組の電極組を有
するバイオセンサーを用いて複数の標準液および実試料
をそれぞれ測定するのでは上記従来の方法と同様の煩雑
な操作からは免れ得ず、これを解決する測定方法の開発
が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記観点から
なされたものであり、試料溶液滴下型のバイオセンサー
を用いて同時に複数の試料溶液を測定することを可能と
し、それにより測定の迅速化が図れるとともに試料の経
時的変化や測定環境の変化の測定への影響を排除するこ
とが可能な試料溶液の測定方法および前記測定方法に好
適に用いられるバイオセンサーを提供することを課題と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するためには、つまり、試料溶液滴下型のバイオ
センサーを用いる測定系による測定において、その特徴
を生かしながら迅速で正確な測定を行うためには、標準
液や実試料溶液など測定に必要な溶液の数と同じ数の電
極組が必要であると考えた。さらに、測定条件のバラツ
キを低減するために、個々の電極組間に生じる物理的・
電気的特性のバラツキをできる限り少なくすると共に、
測定法としては、複数の溶液測定は同時刻に反応が開始
され、かつ同時間反応後の同一時間目のデーターをそれ
ぞれ測定することが必須条件であると考えた。本発明者
は、これらに基づいて検証を重ね、本発明を完成させる
に至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0009】(1)バイオセンサーを用いて試料溶液中
の測定対象物質を測定する方法であって、対極および生
体触媒を近傍に有する作用極からなる電極組と前記電極
組上に試料溶液保持部を形成するセルとを有するバイオ
センサーの複数個と、前記複数個のバイオセンサーが同
時に使用可能に接続された測定装置と、を有する測定系
を用い、前記バイオセンサーの各試料溶液保持部に同一
または異なる複数の試料溶液をそれぞれ同時に供給し
て、前記複数の試料溶液中の測定対象物質を同時に測定
する方法。 (2)電極組がさらに参照電極を含む(1)の方法。
【0010】(3)バイオセンサーを用いて試料溶液中
の測定対象物質を測定する方法であって、対極および生
体触媒を近傍に有する作用極からなる電極組の複数個と
前記電極組上に各電極組毎別々に試料溶液保持部を形成
するセルとを有するバイオセンサーの少なくとも1個
と、前記複数個の電極組が同時に使用可能に接続された
測定装置と、を有する測定系を用い、前記バイオセンサ
ーの各試料溶液保持部に同一または異なる複数の試料溶
液をそれぞれ同時に供給して、前記複数の試料溶液中の
測定対象物質を同時に測定する方法。 (4)電極組がさらに参照電極を含む(3)の方法。
【0011】(5)各電極組における対極同士および/
または参照極同士が回路的に互いに短絡した構造を有す
る(3)または(4)の方法。
【0012】(6)対極および生体触媒を近傍に有する
作用極からなる電極組を同一平面上に複数個有する平板
状の絶縁基板と、前記電極組上に各電極組毎別々に試料
溶液保持部を形成するセルとを有するバイオセンサー。 (7)電極組がさらに参照電極を含む(6)のバイオセ
ンサー。
【0013】(8)各電極組における対極同士および/
または参照極同士が絶縁基板上で互いに短絡した構造を
有する(6)または(7)のバイオセンサー。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の測定方法には、バイオセンサーと測定装置とを
備える測定系が用いられる。
【0015】上記測定系が備えるバイオセンサーについ
ては、対極および生体触媒を近傍に有する作用極からな
り、必要に応じて参照電極を加えた電極組の1組と、前
記電極組上に試料溶液保持部を形成するセルとを有する
バイオセンサーの複数個が用いられる場合と、対極およ
び生体触媒を近傍に有する作用極からなり、必要に応じ
て参照電極を加えた電極組の複数個と、前記電極組上に
各電極組毎別々に試料溶液保持部を形成するセルとを有
するバイオセンサーの少なくとも1個が用いられる場合
がある。いずれの場合においても測定系は、対極および
作用極に必要に応じて参照極を加えた電極組とその電極
組上にセルにより形成された試料溶液保持部とを有する
構成を複数有するものである。
【0016】ここで、作用極が生体触媒を近傍に有する
とは、生体触媒が作用極上に固定化された状態、また
は、いわゆる固定化はされていないが生体触媒の懸濁液
等の形態で作用極上に存在する状態をいう。なお、生体
触媒が作用極上に固定化されていない形態のバイオセン
サーにおいては、保管時には、生体触媒が懸濁液等の形
態で作用極上に供給されることでバイオセンサーとなる
セルを備えた電極と生体触媒とを別々に保管し、使用時
に生体触媒を懸濁液等の形態で前記電極の作用極上に供
給してバイオセンサーとする場合があるが、本明細書に
おいてバイオセンサーとは、上記保管時の形態を含むも
のである。
【0017】上記対極および作用極に必要に応じて参照
極を加えた電極組の1組とその電極組上に試料溶液保持
部を形成するためのセルからなるバイオセンサーとして
は、通常、試料滴下タイプの試料溶液滴下型バイオセン
サーとして用いられるもので上記構成を有するものを、
特に制限なく挙げることができる。
【0018】この様なバイオセンサーとして、具体的に
は、同一平面上にそれぞれ作用極および対極となる2個
の導体が互いに接触しなように形成され、必要に応じて
さらに前記平面上に参照極となる導体が上記2個の導体
と接触しないように形成された平板状の電極基板上に、
開口部を有するセルが前記開口部から前記2または3個
の導体の全てを臨ませて固定され、さらに少なくとも作
用極となる導体が生体触媒を近傍に有する構成のバイオ
センサーを挙げることができる。
【0019】上記電極基板の基板は、通常、絶縁性材料
からなる絶縁基板であり、平板状であって、バイオセン
サーが使用に耐えうる強度を有するようにバイオセンサ
ー全体を支持できる素材、大きさのものであれば特に制
限されない。絶縁基材を構成する素材としては、例え
ば、ポリエステル、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂、ガラ
ス、試料溶液が浸透しない様に表面処理された紙等を挙
げることができる。
【0020】上記作用極、対極、参照極となる導体とし
ては、安定であり、かつ、導電性が大きく、生体触媒に
対して実質的に無害な導体、例えば、白金、金、銀等の
金属、またはグラファイト、カーボン等の炭素素材が挙
げられる。用いる導体、絶縁基板の素材や形状にもよる
が、導体は通常、絶縁基板の同一平面上に、例えば、蒸
着、スパッタ、スクリーン印刷等の方法で固定される。
【0021】上記バイオセンサーにおいて、生体触媒は
少なくとも原理的に反応を検知する作用極となる導体上
に固定化されるか、懸濁液等の状態で前記導体上に存在
すればよい。作用極上に生体触媒を固定化する場合、通
常は、対極や参照極となる導体上には生体触媒を固定化
しないが、場合によっては作業性の点から、上記2〜3
個の全ての導体を覆うかたちに生体触媒を固定化しても
よい。また、懸濁液等で生体触媒を作用極上に存在させ
る場合には、対極や参照極となる導体上にも同様の状態
で生体触媒が存在することが多い。
【0022】ここで、生体触媒を固定化する場合、上記
電極基板上には少なくとも全電極に試料溶液が接するよ
うな試料溶液保持部を形成することが可能なセルが固定
されるため、生体触媒の固定化がセルの固定化より前に
行われる場合には、生体触媒の固定化範囲がセルを固定
化する範囲にまで及ばないようにして前記固定化が行わ
れることが好ましい。なお、生体触媒の固定化はセル固
定化後に行ってもよい。生体触媒を懸濁液等で導体上に
存在させる場合には、セル固定後に、セルが形成する試
料溶液保持部に前記懸濁液等を供給する。
【0023】上記導体上に固定化させるあるいは懸濁液
等の形態で導体上に存在させる生体触媒としては、通常
のバイオセンサーに用いられる生体触媒が特に制限なく
挙げられ、具体的には、グルコースオキシダーゼ、グル
コアミラーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、アルコール
オキシダーゼ、チロシナーゼ、カテコール1,2−オキ
シダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、ウリカーゼ、アミ
ノ酸オキシダーゼ、グルタミナーゼ、グルタメートデヒ
ドロゲナーゼ、アスパラキナーゼ、アミンオキシダー
ゼ、コレステロールエステラーゼ、リパーゼ、ホスホリ
パーゼ、カタラーゼ、クレアチナーゼ、ホスファター
ゼ、ウレアーゼ等の酵素;大腸菌、バチルス属、アシネ
トバクター属、グルコノバクター属、シュードモナス
属、メチロモナス属、ハンセヌラ属、カンジダ属、デス
ルフォビブリオ属、チオバチルス属、クロストリジウム
属、メチロコッカス属、アーソロバクター属、マイコバ
クテリウム属、ラクトバチルス属あるいはブレビバクテ
リウム属に属する細菌、放線菌などの原核微生物や、ト
リコスポロン属に属する酵母等の真核微生物等の微生
物;オルガネラ;抗原;抗体等が挙げられる。
【0024】また、上記導体上へ生体触媒を固定化する
場合の生体触媒の固定化方法としては、通常のバイオセ
ンサー作製時に生体触媒固定化に用いる固定化方法と同
様の方法を特に制限なく挙げることができる。具体的に
は、生体触媒を、アルギン酸ゲル、カラギーナンゲル、
アガロースゲル、カードランゲル、キトサンゲル等のゲ
ルマトリックス中に封入して固定化する方法や光架橋性
ポリビニルアルコールなどの光硬化性樹脂、ポリアクリ
ルアミド等の三次元架橋構造体中に組み込んで固定化す
る方法等が挙げられる。また、バイオセンサーを構成す
る基板表面に電極としての導体と電気的に接続されるか
たちに、グルタルアルデヒド等を用いて生体触媒に固定
化したものでもよい。更に、これらの方法を組み合わせ
て生体触媒を固定することも可能である。
【0025】上記各種高分子構造中に生体触媒を含有さ
せるかたちで生体触媒を電極基板に固定化するには、上
記各高分子原料液に、上記生体触媒を、好ましくは、懸
濁液として配合したものを、電極基板平面上の所望の範
囲に適当な方法で適当な厚さに塗布した後、各高分子に
適する方法でこれを固化・硬化させればよい。
【0026】また、グルタルアルデヒドによる固定につ
いては、生体触媒含有の懸濁液を電極基板平面上の所望
の範囲に適当な方法で塗布した後、これを、適当な濃度
のグルタルアルデヒド水溶液の蒸気に曝すことで生体触
媒を固定化することができる。
【0027】上記開口部を有するセルは、前記全電極上
での試料溶液の保持を可能とするように、つまり前記全
電極上に試料溶液保持部を形成するように、電極基板上
に固定されたものである。固定の方法は、耐水性を有す
る固定方法であり、用いる材料が試料溶液等に溶出して
測定に影響を及ぼさない固定化方法であれば、特に制限
されない。具体的には、絶縁基板の材質や後述するセル
の材質等にもよるが、耐水性エポキシ系樹脂、両面接着
テープ等による接着や、熱融着等の固定化方法が挙げら
れる。
【0028】セルの大きさは開口部の大きさによる。セ
ルによって、全電極上に試料溶液保持部を形成するため
には、開口部の大きさは少なくとも電極基板上の全ての
導体が含まれる面積範囲に対応する大きさであり、かつ
電極基板からはみ出さない大きさである。セルの大きさ
は、開口部の大きさより大きく絶縁基板上への固定が十
分な強度で行える大きさであることが好ましい。
【0029】セルの厚さとしては、電極基板のサイズ、
生体触媒の種類、測定に必要とされる試料溶液量等にも
よるが、具体的には、0.5〜5mm程度の厚さを挙げ
ることができる。セルの材質は、絶縁基板との接着性が
よく、絶縁性であり、かつ試料溶液等に溶出して測定に
影響を及ぼさないような材質、例えば、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカ
ーボネート等のプラスチックやガラス等で構成されるこ
とが好ましい。
【0030】セル固定化後に生体触媒を固定化する場合
にも、固定化範囲は少なくとも作用極となる導体を含む
範囲である。しかし、特にバイオセンサーのサイズが小
さい場合には、セル開口部に対応する電極基板上全体に
生体触媒を固定化することが、作業性の点で好ましい。
この場合、セル開口部を構成する内壁(以下、「開口部
内壁」ということもある。)と生体触媒固定化面で形成
されるスペースが試料溶液保持部となる。したがって、
生体触媒の固定化は、生体触媒固定化後に形成される前
記スペース(試料溶液保持部)が、測定に十分量の試料
溶液を保持できるだけのスペースであるように行われる
ことが好ましい。
【0031】生体触媒を懸濁液等の形態で作用極上に存
在させる場合には、上記セル固定化後、セル開口部を構
成する内壁と電極基板表面とで形成されるスペースに、
前記懸濁液を供給すればよい。なお、生体触媒を懸濁液
等として供給する場合、供給の時期は、使用の直前が好
ましい。
【0032】本発明の測定方法に用いる上記測定系にお
いては、この様にして得られる1組の電極組と前記電極
組上に試料溶液保持部を形成するセルを有するバイオセ
ンサー(以下、「単電極組型バイオセンサー」というこ
とがある。)を複数個用いるが、この複数個のバイオセ
ンサー間で、電極基板の種類や大きさ、用いる生体触媒
の種類、電極近傍に存在させる方法等が異なるものを用
いることも考えられる。しかしながら、本発明の測定方
法の効果をより発揮させるためには、全く同様の単電極
組型バイオセンサーを用いることが好ましい。
【0033】次に、上記単電極組型バイオセンサーの複
数個に代わって本発明の方法に用いることが可能な、対
極および生体触媒を近傍に有する作用極からなり、必要
に応じて参照電極を加えた電極組の複数個と、前記電極
組上に各電極組毎別々に試料溶液保持部を形成するセル
とを有するバイオセンサーについて説明する。
【0034】上記バイオセンサーとしては、上記構成を
有するものであれば特に制限されないが、具体的には、
対極および生体触媒を近傍に有する作用極からなり、必
要に応じて参照電極を加えた電極組を同一平面上に複数
個有する平板状の絶縁基板と、前記電極組上に各電極組
毎別々に試料溶液保持部を形成するセルとを有する本発
明のバイオセンサーが挙げられる。
【0035】本発明のバイオセンサーに用いる絶縁基板
は、平板状であって、本発明のバイオセンサーが使用に
耐えうる強度を有するようにバイオセンサー全体を支持
できる素材、大きさのものであれば特に制限されない。
絶縁基板を構成する素材としては、上記単電極組型バイ
オセンサーに用いる絶縁基板の素材と同様のものが挙げ
られる。
【0036】本発明のバイオセンサーにおいては、この
様な絶縁基板の同一平面上に、それぞれ作用極および対
極となる2個の導体に必要に応じてさらに参照極となる
導体が加えられた2〜3個の導体の組(電極組)が、各
導体が互いに接触しない様に複数組形成される。本発明
のバイオセンサーが有する電極組の個数としては特に制
限されないが、使い易さ等を勘案すれば、2〜10組程
度が好ましく、3〜6組程度がより好ましい。
【0037】なお、一定の面積の絶縁基板上により多く
の電極組を形成させるために、各電極組における対極同
士を絶縁基板上で互いに短絡させた構造に形成させるこ
とが可能であり、好ましい。つまり、各電極組を構成す
る対極となる導体の代わりに、1個の導体を絶縁基板上
に形成させ、これを各電極組共通の対極として用いるこ
とができる。また、対極は絶縁基板上で短絡させてもよ
いし、回路内部で短絡させてもよい。
【0038】また、同様に各電極組における参照極同士
を絶縁基板上で互いに短絡させた構造に形成させるこ
と、言い換えれば、各電極組を構成する参照極となる導
体の代わりに、1個の導体を絶縁基板上に形成させ、こ
れを各電極組共通の参照極として用いることも可能であ
り、こうすることがバイオセンサーの小型化の点から好
ましい。参照極についても対極と同様に短絡は絶縁基板
上で行っても、あるいは回路内部で行ってもよい。
【0039】上記作用極、対極、参照極となる導体の素
材、その絶縁基板への固定化方法については、上記単電
極組型バイオセンサーの場合と同様とすることができ
る。本発明のバイオセンサーにおいて、生体触媒は上記
各電極組の少なくとも作用極となる導体上に固定化され
るか、懸濁液等の状態で前記導体上に存在すればよい。
作用極上に生体触媒を固定化する場合には、通常は、対
極や参照極となる導体上には生体触媒を固定化しない
が、場合によっては作業性の点から、上記各電極組を構
成する全ての導体を覆うかたちに生体触媒を固定化して
もよい。また、懸濁液等で生体触媒を作用極上に存在さ
せる場合には、対極や参照極となる導体上にも同様の状
態で生体触媒が存在することが多い。
【0040】ここで、本発明のバイオセンサーは、上記
電極基板上に各電極組毎別々に電極組上に試料溶液保持
部を形成するセルを有する。セルは、通常、絶縁基板と
は別体に成形され、電極が形成された電極基板上に適当
な方法で固定されるため、生体触媒を固定化する場合、
その固定化がセルの固定化より前に行われる場合には、
生体触媒の固定化範囲がセルを固定化する部分に重なら
ないようにして前記固定化が行われることが好ましい。
なお、生体触媒の固定化はセル固定化後に行ってもよ
い。また、生体触媒を懸濁液等で導体上に存在させる場
合には、セル固定後に、セルが形成する試料溶液保持部
に前記懸濁液等が供給される。
【0041】上記導体上に固定化させる、あるいは、懸
濁液等の形態で導体上に存在させる生体触媒の種類や、
上記導体上へ生体触媒を固定化させる場合の固定化方法
については、上記単電極組型バイオセンサーの場合と同
様とすることができる。
【0042】本発明のバイオセンサーにおけるセルにつ
いては、各電極組について電極組を構成する電極の全て
を含む範囲に対応する大きさの開口部を有するセルを個
々に用意して、この用意された電極組と同じ数のセルを
各電極組毎に前記開口部から前記電極組を構成する電極
の全てを臨ませて固定するようにして設けられてもよ
い。または、各電極組に対応する位置に電極組と同じ数
の開口部を有する只1個のセルを、各開口部からその開
口部に対応する電極組を構成する電極の全てを臨ませて
固定するようにして設けてもよい。セルについて固定化
等の作業性を考慮すれば、後者のタイプのセルを用いる
ことが好ましい。
【0043】セルの大きさや、開口部の大きさについて
の考え方は、上記単電極組型バイオセンサーの場合と基
本的には同様である。セルの開口部の大きさは前者、後
者ともに、少なくとも開口部が対応する電極組の全ての
導体が含まれる面積範囲に対応する大きさであり、かつ
他の電極組にまで及ばない大きさである。セルの大きさ
については、好ましくは、前者の場合は、開口部より大
きくかつ他の電極組を覆うことなく絶縁基板上への固定
が十分な強度で行える大きさであり、後者の場合には、
全ての開口部を含み絶縁基板上への固定が十分な強度で
行える大きさである。
【0044】さらに、セルの厚さや、材質、絶縁基板上
への固定化の方法は、上記単電極組型バイオセンサーの
場合と同様とすることができる。上記セル固定化後に生
体触媒を固定化する場合にも、固定化範囲は少なくとも
各電極組の作用極となる導体を含む範囲である。しか
し、特にバイオセンサーのサイズが小さい場合には、全
てのセル開口部に対応する電極基板上全体に生体触媒を
固定化することが、作業性の点で好ましい。この場合、
生体触媒固定化後においても、セルの開口部を構成する
内壁と生体触媒固定化面で形成されるスペース、つま
り、試料溶液保持部が、測定に十分量の試料溶液を保持
できるだけのスペースであるように生体触媒の固定化を
行うことが好ましい。
【0045】生体触媒を懸濁液等の形態で作用極上に存
在させる場合には、上記セル固定化後、セル開口部を構
成する内壁と電極基板表面とで形成されるスペースに、
前記懸濁液を供給すればよい。なお、生体触媒を懸濁液
等として供給する場合、供給の時期は、使用の直前が好
ましい。
【0046】本発明の測定方法に用いる上記測定系にお
いては、この様にして得られる、各電極組毎に試料溶液
保持用のセルが設けられた複数個の電極組を有するバイ
オセンサー(以下、「複電極組型バイオセンサー」とい
うことがある。)を少なくとも1個用いるが、これらの
電極組間で、固定化生体触媒の種類、固定化方法等が異
なるものを用いることも考えられる。しかしながら、本
発明の測定方法の効果をより発揮させるためには、全く
同様の生体触媒を同様の固定化方法で固定した電極組を
複数個用いることが好ましい。
【0047】また、本発明のバイオセンサーにおいて
は、全く同様の電極組を複数個、全く同様に絶縁基板上
に形成させ、各電極組に対応する同じ大きさの開口部を
有するセルを、開口部が各電極組に対して同様の位置と
なるように絶縁基板上に固定させ、各電極組に全く同様
の生体触媒を同様の固定化方法で固定することが可能か
つ容易であり、つまり、各電極組が均一な物理的、電気
的特性を有するバイオセンサーを簡便に製造することが
可能であり、本発明のバイオセンサーをこの様な構成と
し、好ましくは、対極および参照極は各組共通となるよ
うに基板上または回路的に短絡している構造を持たせる
ことにより、バイオセンサーを用いた試料溶液の測定の
精度を上げることが可能となる。
【0048】この様な本発明のバイオセンサーの具体例
を、図1〜図3に基づいて説明する。図1は、本発明の
バイオセンサーの一例に用いる電極基板の正面図を示す
図である。図2は本発明のバイオセンサーの一例に用い
るセルを示す図であり、図2(a)は正面図、図2
(b)は、(a)におけるX−X’線における断面図で
ある。図3は、本発明のバイオセンサーの一例に用いる
図1に示される電極基板上に図2に示されるセルが固定
された状態を示す正面図である。
【0049】図1に示されるように、電極基板10は、
平板状絶縁基板1の同一平面上に、同一の面積を有する
第1の作用極2a、第2の作用極2bおよび第3の作用
極2cが略平行に形成されており、さらに、これより広
い面積を有する対極としての導体4が形成された構成を
有する。作用極2a、2b、2cはそれぞれ導線によっ
て測定機器への接続端子3a、3b、3cと電気的に接
続されている。また、対極4は2本の導線により測定機
器への接続端子5a、5bと電気的に接続されている。
なお、測定に際して、対極4は、第1〜第3の作用極2
a、2b、2cに対して共通に用いられるものであり、
本例においては、電極組は3個ということになる。
【0050】また、本例では対極用の接続端子を2個有
し、対極と接続端子を電気的に接続する導線の本数が2
本である場合を示したが、上記同様の構造の電極基板に
おいては、対極からでる導線の本数は少なくとも1本あ
ればよく、配置は同一基板上ならどこでもよい。この場
合、上記接続端子5a、5bはどちらか1つあればよ
い。さらに、上記対極からでる導線の本数は3本でもよ
く、この場合接続端子は上記5a、5bに1個を加えて
合計で3個となる。
【0051】図2に示されるように、上記電極基板10
上に固定されるセル6は、上記第1の作用極2aの全体
と対極4の一部を含む範囲に対応する第1の開口部7
a、第2の作用極2bの全体と対極4の別の一部を含む
範囲に対応する第2の開口部7b、および第3の作用極
2cの全体と対極4のさらに別の一部を含む範囲に対応
する第3の開口部7cを有する。なお、第1〜第3の開
口部7a、7b、7cの大きさは全く同じである。
【0052】図3は図1に示される電極基板10上に図
2に示されるセル6が両面接着テープ等により固定され
た状態を示す図であり、セル6は、第1の開口部7aか
ら第1の作用極2aの全体と対極4の一部を含む範囲
を、第2の開口部7bから第2の作用極2bの全体と対
極4の別の一部を含む範囲を、第3の開口部7cから第
3の作用極2cの全体と対極4のさらに別の一部を含む
範囲をそれぞれ臨むように固定されている。ここで、図
3に示される通り、対極4上のセル固定部を含む部分に
は、各作用極(2a、2b、2c)と組み合わせる対極
同士の面積が同一となるように、予めレジスト被膜8が
施されている。また、上記対極同士の面積を同一にする
ために、セルの固定面を利用して上記レジスト被膜の代
替としてもよい。
【0053】生体触媒は、通常、セル6の第1〜第3の
開口部7a、7b、7cに対応する電極基板上にそれぞ
れ固定化されるか、懸濁液等の状態で前記基板上にそれ
ぞれ、好ましくは使用時に、供給される。前記電極基板
上に生体触媒を固定化する場合、生体触媒を含む固定化
原料等をセルの各開口部内壁と電極基板表面とで囲まれ
るスペースに供給し、セルの各開口部に対応する電極基
板上全体、つまりセル開口部がそれぞれ対応する第1〜
第3の作用極のいずれか全体と対極の一部を含む範囲全
体にそれぞれ行き渡らせる。
【0054】この際、用いる生体触媒を含む固定化原料
等の量は、前記セル開口部内壁と開口部に対応する電極
基板表面とで囲まれるスペースの開口部に対応する電極
基板上にセル開口部内壁の途中まで供給される量とする
ことができるが、具体的な量については、用いる生体触
媒の種類、固定化に用いる材料、得られる生体触媒固定
化電極の測定対象の種類等により適宜選択される。その
後、供給された生体触媒固定化原料等は、それぞれの原
料に対応する方法で固化・硬化され、生体触媒の固定化
が完了する。
【0055】例えば、アルギン酸カルシウムゲルを用い
て生体触媒を固定化する場合には、1〜3%程度のアル
ギン酸ナトリウム水溶液に、所要量の生体触媒を含有す
る懸濁液等を加えてよく撹拌し、均一な混合液を作製
し、この混合液の適当量を上記セル開口部に対応する電
極基板上に供給する。また、上記アルギン酸ナトリウム
水溶液は、アルギン酸ナトリウムの他に塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、各種緩衝液等を含有してもよい。さ
らに、生体触媒懸濁液等についても、生体触媒以外に、
塩化ナトリウム、塩化カリウム、各種緩衝液等をを含有
してもよい。
【0056】供給された上記混合液をセルの開口部に対
応する電極基板上全体、つまり上記作用極、対極および
参照極の全てを含む範囲に行き渡らせた後、この電極基
板全体を適当な濃度のカルシウム塩溶液に浸漬すること
で、前記混合液を生体触媒を含有するアルギン酸カルシ
ウムゲルとして固定化する。
【0057】本例で得られるバイオセンサーにおいて
は、セルの各開口部内壁と生体触媒固定化面に囲まれる
3個のスペースがそれぞれ上記3個の電極組に対応する
試料溶液保持部となる。バイオセンサーの使用に際して
は、前記3個の試料溶液保持部に測定しようとする同一
または異なる試料溶液が供給される。そして、各試料溶
液保持部で測定対象物質に対して行われる生体触媒反応
を電圧が印加された作用極が検知し、それにより作用極
と対極間に流れる電流を測定することで、各試料溶液保
持部に供給された試料溶液中の対象物質濃度等の測定が
行われるものである。
【0058】なお、本例においては、第1の開口部内壁
と生体触媒固定化面に囲まれるスペース(第1の試料溶
液保持部)内で行われる生体触媒反応によって第1の作
用極と対極との間に流れる電流は、接続端子3a、5a
を用いて測定される。第2の開口部内壁と生体触媒固定
化面に囲まれるスペース(第2の試料溶液保持部)内で
行われる生体触媒反応によって第2の作用極と対極との
間に流れる電流は接続端子3b、5aまたは5bを用い
て測定される。第3の開口部内壁と生体触媒固定化面に
囲まれるスペース(第3の試料保持部)内で行われる生
体触媒反応によって第3の作用極と対極との間に流れる
電流は接続端子3c、5bを用いて測定される。
【0059】上述の通り、本例においては、対極用の接
続端子の数、および前記接続端子と対極とを電気的に接
続する導線の数は、1〜3の範囲で適宜選択可能であ
る。そこで、上記第1〜第3の作用極と対極間に流れる
電流を測定するために用いられる接続端子の組み合わせ
は、設置された対極用の導線、接続端子の数に応じて適
宜選択されるものである。
【0060】本発明の測定方法に用いる測定系は、上記
単電極組型バイオセンサーの複数個または複電極組型バ
イオセンサーの少なくも1個と、前記バイオセンサーの
複数個の電極組が同時に使用可能に接続された測定装置
を有する。前記測定装置としては、各電極組の作用極に
定電圧を印加するとともに、作用極と対極との間に流れ
る電流を測定する定電圧発生装置やポテンシオスタット
等が挙げられる。
【0061】本発明の測定方法は、この様な測定系を用
いて、前記測定系が有するバイオセンサーの各試料溶液
保持部に同一または異なる複数の試料溶液をそれぞれ同
時に供給して、前記複数の試料溶液中の測定対象物質を
同時に測定することを特徴とするものである。なお、測
定対象物質の測定とは、定性的測定であっても、定量的
測定であってもよい。
【0062】前記試料溶液保持部に供給される試料溶液
の量は適宜選択される。測定は、前記所望の量の試料溶
液を各試料溶液保持部に同時添加することにより開始さ
れる。測定データの読み取りはマイコンなどで制御して
行うことができる。試料溶液保持部に試料溶液を添加し
てから一定の時間が経過した後、同一時刻のデータを採
取することで測定は終了する。前記データの採取は、経
時的に数回行われてもよい。また、本発明の測定法にお
いて測定に供する試料溶液の数は、必ずしも測定系が有
するバイオセンサーにおける試料溶液保持部の数に一致
させなくてもよく、測定時に試料溶液が供給されない空
の試料溶液保持部があってもよい。
【0063】本発明の測定方法が適用される測定対象物
質としては、上記の様な各種生体触媒が関与する生体触
媒反応を利用して測定されることが知られている物質
を、特に制限なく挙げることができる。また、本発明の
測定方法において測定対象物質の測定に際して試料溶液
にメディエータを添加しておくと、より高感度な測定が
可能となるので好ましい。あるいは、生体触媒を固定化
したバイオセンサーを用いる場合には、生体触媒固定化
層の表面や内部あるいは生体触媒固定化層と電極との間
等にメディエータを含ませてもよい。尚、この様にメデ
ィエータをバイオセンサー中に固定した場合、試料溶液
測定時にバイオセンサー中のメディエータは試料溶液中
に溶け出すので、1回使用したバイオセンサーは使い捨
てにするか、あるいは、使用後に再度メディエータを添
加すれば、再使用が可能である。
【0064】メディエータは、生体触媒により各種物質
が代謝されて生じる電子が、電極に移行するのを促進す
るものである。メディエータとしては、生体触媒から電
極に電子が移行するのを促進するものであればよく、具
体的には1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチ
ルスルフォネート(1−M−PMS)、2,6−ジクロ
ロインドフェノール(DCIP)、9−ジメチルアミノ
ベンゾ−α−フェナゾキソニウムクロライド、メチレン
ブルー、インジゴトリスルホン酸、フェノサフラニン、
チオニン、ニューメチレンブルー、2,6−ジクロロフ
ェノール、インドフェノール、アズレB、N,N,
N’、N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミンジ
ヒドロクロリド、レゾルフィン、サフラニン、ソディウ
ムアントラキノンβ−スルフォネート、インジゴカーミ
ン等の色素、リボフラビン、L−アスコルビン酸、フラ
ビンアデニンジヌクレオチド、フラビンモノヌクレオチ
ド、ニコチンアデニンジヌクレオチド、ルミクロム、ユ
ビキノン、ハイドロキノン、2,6−ジクロロベンゾキ
ノン、2−メチルベンゾキノン、2,5−ジヒドロキシ
ベンゾキノン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノ
ン、グルタチオン、パーオキシダーゼ、チトクロムC、
フェレドキシン等の生体酸化還元物質又はその誘導体、
その他Fe−EDTA、Mn−EDTA、Zn−EDT
A、メソスルフェート、2,3,5,6−テトラメチル
−p−フェニレンジアミン、フェリシアン化カリウム等
が挙げられる。
【0065】本発明の測定方法においては、用いる測定
系内のバイオセンサーが有する試料溶液保持部の数と同
数の試料溶液についての測定が同時に行えるが、用いる
試料溶液は、全てが同一であっても異なってもよい。ま
た一部が同一であって、残りが異なるものであってもよ
い。本発明の測定方法において、例えば、検量線作成の
ための数種類の標準液と実試料溶液を上記各試料溶液保
持部に同時に供給して、同時に測定を行えば、従来の方
法では数回の繰り返し測定により求められていた実試料
溶液中の測定対象物質濃度を、わずか1回の測定で求め
ることができる。しかも、複数の測定を同時に行うこと
により、試料溶液の経時変化や、測定環境の変化による
測定への影響を排除することができる。
【0066】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。まず、
図4に示す5組の電極組と試料保持部を有する電極基板
上に微生物を固定してバイオセンサーを作製した。
【0067】(1)バイオセンサーの作製 ガラスエポキシ樹脂製絶縁基板1(30mm×30mm
×0.8mmt)の同一平面上に、金材料からなる同一
サイズ(2×5mm)の5個の作用極2a、2b、2
c、2d、2eを略平行に形成した。上記図1に示す作
用極と対極の位置関係と同様の位置関係(ただし、図1
に示される作用極は3個であるが、本実施例においては
前記作用極を5個に置き換えて同様の位置関係)に金材
料からなる対極4を形成し、上記5個の作用極と組み合
わされる対極間の面積が同一(2×5mm)となるよう
に対極面にレジスト被膜8を施した。
【0068】絶縁基板1上に、図4に示す様にして、作
用極用の5個の接続端子3a、3b、3c、3d、3e
と、対極用の4個の接続端子5a、5b、5c、5dを
形成し、作用極2a、2b、2c、2d、2eのそれぞ
れから導線をだして、これらと前記測定機器への接続端
子3a、3b、3c、3d、3eとを電気的に接続し
た。また、対極4から4本の導線をだして、対極4と測
定機器への接続端子5a、5b、5c、5dとを電気的
に接続した。なお、測定に際して対極4は参照極として
の機能も果たしながら、5個の作用極2a〜2eに対し
て共通に用いられるものである。
【0069】次いで、同じサイズの開口部7a〜7eを
5個有する以外は上記図2に示すセルと同様のセル6
を、上記電極基板上に、上記同様の要領で、すなわち各
開口部からそれぞれに対応する作用電極の全体、対極の
一部が臨めるようにして、両面接着テープにより固定し
た。なお、前記セル6の材質はポリエチレンテレフタレ
ートで、全体のサイズは30mm×18mm×3mmt
であり、開口部のサイズはいずれも、4×13mmであ
った。
【0070】この電極基板のセルの各開口部に対応する
電極基板上全体に、以下の方法により微生物(シュード
モナス・フルオレセンス(Pseudomonas Fluorescen
s))を固定化した。
【0071】3%アルギン酸ナトリウム水溶液に同容量
の微生物(シュードモナス・フルオレセンス)懸濁液
(OD(Optical Density(濁度))=30、懸濁媒;
0.1M塩化ナトリウム水溶液)を加え、均一に混合し
て微生物固定化用混合液を調製した。この混合液を、前
記セルの各開口部内壁と電極基板表面とで囲まれるスペ
ースに20μlずつ供給し、前記各開口部に対応する電
極基板上全体に行き渡らせた後、この電極基板全体を2
%塩化カルシウム溶液に30分間浸漬することで、前記
混合液をゲル化させた。
【0072】この様にして得られたバイオセンサーは、
作用極2および対極4(参照極と兼用)からなる電極組
5個(但し、対極は各組共通)と、セル6により形成さ
れた、各電極組に対応する試料溶液保持のための、開口
部内壁と固定化生体触媒表面とで囲まれるスペース、す
なわち試料溶液保持部を有する本発明のバイオセンサー
である。
【0073】(2)バイオセンサーの評価 上記で得られたバイオセンサーを、前記バイオセンサー
の有する5個の電極組を同時に使用できる様に接続可能
な定電位測定装置(ポテンシオスタット)を有する測定
系に組み込み、以下の方法により試料溶液濃度を測定し
て、その測定精度を評価した。
【0074】BOD5値(5日間法、JIS K10
2、ウィンクラーアジ化ナトリウム変法)換算で、0m
g/L、35mg/L、70mg/L、175mg/
L、350mg/Lの有機物混合溶液(人工排水)のそ
れぞれに、最終濃度がカッコ内の値となるように、塩化
ナトリウム(0.1M)およびフェリシアン化カリウム
(40mM)を添加した5種類の反応溶液の250μl
ずつを、上記バイオセンサーの5個の試料溶液保持部に
それぞれ同時に滴下した。
【0075】滴下後すぐに、バイオセンサーの各電極組
の作用極に、測定系の定電圧発生装置により、同時に+
400mVの電位を印加し、電位を印加して10分後に
おける電流値を上記定電位測定装置により同時に測定し
た。
【0076】図5に結果を示す。結果は、図5中に相関
係数(R2)が0.9974と示される通り非常によい
相関が得られた。また、図5に示される式は最小二乗法
により得られた回帰直線を表す式である。
【0077】この結果から本発明の測定方法により試料
溶液の測定を行えば、短時間に複数試料の測定が精度よ
く行えることがわかる。
【0078】
【発明の効果】本発明の測定方法によれば、試料溶液滴
下型のバイオセンサーを用いて同時に複数の試料溶液を
測定することが可能であり、それにより測定の迅速化が
図れるとともに試料の経時的変化や測定環境の変化の測
定への影響が排除された試料溶液の測定が可能となる。
また、本発明のバイオセンサーを用いれば、本発明の測
定方法の効果をより発揮させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のバイオセンサーの一例に用いる電極
基板の正面図を示す図である。
【図2】 本発明のバイオセンサーの一例に用いるセル
を示す図である。図2(a)は正面図、図2(b)は、
(a)におけるX−X’線における断面図である。
【図3】 本発明のバイオセンサーの一例に用いる図1
に示される電極基板上に図2に示されるセルが固定され
た状態を示す正面図である。
【図4】 本発明の実施例のバイオセンサーに用いた電
極基板の正面図を示す図である。
【図5】 本発明の測定方法の測定精度を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1. 絶縁基板 2. 作用極(2a:第1の作用極、2b:第2の作用
極、2c:第3の作用極、2d:第4の作用極、2e:
第5の作用極) 3. 作用極用接続端子(3a:第1の作用極用接続端
子、3b:第2の作用極用接続端子、3c:第3の作用
極用接続端子、3d:第4の作用極用接続端子、3e:
第5の作用極用接続端子) 4. 対極 5. 対極用接続端子 6. セル 7. 開口部(7a:第1の開口部、7b:第2の開口
部、7c:第3の開口部、7d:第4の開口部、7e:
第5の開口部) 8. レジスト被膜 10. 電極基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 保足 順子 埼玉県羽生市東5丁目4番71号株式会社曙 ブレーキ中央技術研究所内 (72)発明者 スコット マクニーヴン 埼玉県羽生市東5丁目4番71号株式会社曙 ブレーキ中央技術研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バイオセンサーを用いて試料溶液中の測
    定対象物質を測定する方法であって、対極および生体触
    媒を近傍に有する作用極からなる電極組と前記電極組上
    に試料溶液保持部を形成するセルとを有するバイオセン
    サーの複数個と、前記複数個のバイオセンサーが同時に
    使用可能に接続された測定装置と、を有する測定系を用
    い、前記複数個のバイオセンサーの各試料溶液保持部に
    同一または異なる複数の試料溶液をそれぞれ同時に供給
    して、前記複数の試料溶液中の測定対象物質を同時に測
    定する方法。
  2. 【請求項2】 電極組がさらに参照電極を含む請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 バイオセンサーを用いて試料溶液中の測
    定対象物質を測定する方法であって、対極および生体触
    媒を近傍に有する作用極からなる電極組の複数個と前記
    電極組上に各電極組毎別々に試料溶液保持部を形成する
    セルとを有するバイオセンサーの少なくとも1個と、前
    記複数個の電極組が同時に使用可能に接続された測定装
    置と、を有する測定系を用い、前記バイオセンサーの各
    試料溶液保持部に同一または異なる複数の試料溶液をそ
    れぞれ同時に供給して、前記複数の試料溶液中の測定対
    象物質を同時に測定する方法。
  4. 【請求項4】 電極組がさらに参照電極を含む請求項3
    記載の方法。
  5. 【請求項5】 各電極組における対極同士および/また
    は参照極同士が回路的に互いに短絡した構造を有する請
    求項3または4記載の方法。
  6. 【請求項6】 対極および生体触媒を近傍に有する作用
    極からなる電極組を同一平面上に複数個有する平板状の
    絶縁基板と、前記電極組上に各電極組毎別々に試料溶液
    保持部を形成するセルとを有するバイオセンサー。
  7. 【請求項7】 電極組がさらに参照電極を含む請求項6
    記載のバイオセンサー。
  8. 【請求項8】 各電極組における対極同士および/また
    は参照極同士が絶縁基板上で互いに短絡した構造を有す
    る請求項6または7記載のバイオセンサー。
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