JP2001021529A - バイオセンサを用いた測定方法 - Google Patents

バイオセンサを用いた測定方法

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JP2001021529A
JP2001021529A JP11189313A JP18931399A JP2001021529A JP 2001021529 A JP2001021529 A JP 2001021529A JP 11189313 A JP11189313 A JP 11189313A JP 18931399 A JP18931399 A JP 18931399A JP 2001021529 A JP2001021529 A JP 2001021529A
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biosensor
biocatalyst
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Takashi Morita
高志 森田
Nobuyuki Yoshida
信行 吉田
Akira Yoshida
明 吉田
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International Center for Environmental Technology Transfer
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Akebono Research and Development Centre Ltd
International Center for Environmental Technology Transfer
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  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バイオセンサを用いて試料溶液中の測定対象
物質の定量を行う際に、電極自体による酸化還元反応の
影響を低減し、高感度な測定を行うことのできる方法を
提供する。 【解決手段】 電極上に生体触媒を固定してなる作用極
と対極とを有する構成のバイオセンサの各電極を測定対
象物質を含有する溶液に浸漬した状態で、前記測定対象
物質と前記生体触媒との反応が十分に進行するまでの時
間放置した後に、前記作用極と前記対極との間に定電圧
を所定時間印加したときの両極間に流れる電流値を計測
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵素や微生物など
の生体触媒が固定された作用極と対極とを有するバイオ
センサを用いた測定対象物質濃度の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、BODセンサやグルコースセンサ
などのバイオセンサによる測定対象物質の計測方法とし
ては、測定開始から終了までの測定系における反応変化
を連続的に計測し、反応が測定系において定常状態に達
した時点での計測値を利用する方法が主に用いられてい
る。この定常状態とは、計測装置による検出反応と生体
触媒反応とが定常状態に達した状態を意味している。
【0003】例えば、酵素や微生物を酸素電極上に固定
したバイオセンサを用いてBOD濃度の計測を行う場
合、計測中は、生体触媒反応のみならず酸素電極自体に
よる酸素の還元反応によっても電極近傍の溶存酸素が消
費されてしまう。結果として、一定時間後の計測値は電
圧印加中の生体触媒反応および電極反応による消費酸素
量の合計値として検出されるため、生体触媒反応のみに
よる消費酸素量とは異なる値が得られることとなる。
【0004】また、カーボン電極や白金電極などを電子
受容体(メディエータ)と組み合わせたバイオセンサに
おいても、計測時間中には電極自体による電子受容体の
酸化還元反応が促進されるため、本来の生体触媒による
酸化還元反応量のみを厳密に計測することは困難であ
る。このように、バイオセンサによる測定を従来の定常
法を用いて行った場合、計測値は電極自体による酸化還
元反応の影響を受けるため、測定対象物質を正確に定量
することが困難であるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記観点から
なされたものであり、バイオセンサを用いて試料溶液中
の測定対象物質の定量を行う際に、電極自体による酸化
還元反応の影響を低減し、高感度な測定を行うことので
きる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、以下のような、バイオセンサを用いた
測定方法を提供する。
【0007】すなわち、本発明は、金属または炭素から
なる電極上に生体触媒を固定してなる作用極と、対極と
を測定対象物質を含有する溶液に浸漬し、この作用極と
対極との間に電圧を印加したときに両極間に流れる電流
を計測することにより、前記測定対象物質の測定を行う
バイオセンサを用いた測定方法であって、前記溶液中に
前記両電極を浸漬した状態で、前記測定対象物質と前記
生体触媒との反応が十分に進行するまでの時間放置した
後に、前記作用極と前記対極との間に定電圧を所定時間
印加したときの両極間に流れる電流値を計測することを
特徴とする。
【0008】このような方法を用いて測定を行うことに
より、生体触媒反応以外の電極自体による酸化還元反応
の影響を最小限に抑えることができるため、測定対象物
質の定量を従来よりも厳密に行うことができる。このと
き、前記作用極と前記対極との間に電圧を印加する時間
は10秒以下であることが好ましい。
【0009】また、本発明は、測定対象物質を含有する
溶液中に生体触媒が固定された作用極と対極とを有する
バイオセンサを浸漬し、前記測定対象物質と前記生体触
媒との反応が十分に進行するまでの時間放置した後に、
この作用極と対極との間に定電圧を印加する代わりに両
極間に定電流を流したときにこの両極間に生じる電位差
を計測するものであってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0011】本発明の測定方法は、金属または炭素から
なる電極上に生体触媒を固定してなる作用極と、対極と
を有するバイオセンサを用いた測定方法であって、測定
対象を含む溶液中に両電極を浸漬した状態で、測定対象
物質と生体触媒との反応が十分に進行するまでの時間放
置した後に、作用極と対極との間に定電圧を所定時間印
加したときの両極間に流れる電流値を計測することを特
徴とする。
【0012】〈バイオセンサ〉まず、本発明の測定方法
において用いられるバイオセンサについて説明する。本
発明で用いられるバイオセンサは、金属または炭素から
なる電極上に生体触媒を固定してなる作用極と、対極と
を測定対象物質を含有する溶液に浸漬し、この作用極と
対極との間に電圧を印加したときに両極間に流れる電流
を計測することにより、前記測定対象物質の測定を行う
ものであり、従来より一般に使用されているものを用い
ることができる。すなわち、本発明においてバイオセン
サとは、測定対象物質とこの測定対象物質に対して選択
的に反応する生体触媒との間で起こる生体触媒反応によ
って消費・生成する化学物質の量を電気化学的に測定す
ることにより、測定対象物質を測定するものであれば、
特に限定されない。ここで、生体触媒とは、測定対象物
質に対して選択性よく反応する酵素や微生物細胞または
その破砕物若しくは抽出物などが挙げられる。また、測
定とは、測定対象物質の検出および定量を含む。
【0013】例えば、酵素をその基質(測定対象物質)
を含む試料溶液中に存在させると、基質が酵素と接触さ
れることにより酵素反応が生じる。この酵素反応により
消費または生成する化学物質の量は、試料溶液中の基質
の濃度に依存する。従って、酵素反応による化学物質の
消費/生成量を電気化学的に測定することにより、試料
溶液中の基質の量を定量することができる。このような
測定対象物質と酵素の組み合わせとしては、例えば、グ
ルコース濃度を測定する場合には、酵素としてグルコー
スオキシダーゼを用いることができる。このように、測
定対象物質と選択的に反応する酵素を適宜選択して用い
ることが好ましい。
【0014】また、微生物を有機化合物を含む試料溶液
に存在させると、微生物は特定の有機化合物をエネルギ
ー獲得のために代謝する。この過程において、微生物に
よって消費される試料溶液中の溶存酸素の濃度変化、す
なわち微生物の呼吸活性変化を測定することにより、試
料溶液中の有機化合物濃度を測定することができる。
【0015】また、微生物が有機化合物を代謝する際
に、呼吸鎖の電子伝達系に電子の移動が起こる。この
際、代謝される有機化合物濃度と移動する電子との量に
は相関がある。従って、この移動する電子の量、すなわ
ち微生物の酸化還元活性変化を測定することによって微
生物の周りに存在する有機化合物の濃度を測定すること
ができる。このような測定対象物質と微生物との組み合
わせとしては、例えば、グルコース濃度を測定する場合
には、微生物としてシュードモナス・フルオレセンス
(Pseudomonas fluorescens)を用いることができる。
また、BOD測定の場合には、微生物として、大腸菌、
バチルス属、グルコノバクター属あるいはシュードモナ
ス属に属する細菌、放線菌などの前核微生物や、トリコ
スポロン属に属する酵母等の真核微生物を挙げることが
できる。
【0016】上述したような、酵素や微生物などの生体
触媒による反応において消費または生成される化学物質
の量や移動される電子の量を電気化学的に測定するため
に、上記構成を有するバイオセンサを試料溶液に浸漬
し、このバイオセンサの作用極と対極との間に一定電位
を付加し、両極間に流れる電流を計測する。
【0017】作用電極は金属または炭素からなる電極上
に生体触媒を固定させたものである。金属または炭素か
らなる電極は、上述の酵素や微生物などの生体触媒によ
る反応において消費または生成される化学物質から電子
の授受を行う。また、微生物が有機化合物を代謝される
際に移動する電子を受け取る。これにより、生体触媒に
よる反応を電気信号に変換する。このような電極の材質
としては、安定であり、かつ、導電性が大きく、生体触
媒に対して実質的に無害であればよく、例えば、白金、
金、銀などの金属、またはグラファイト、カーボンなど
の炭素素材が挙げられる。このような材質のうち、測定
対象物質や生体触媒との組み合わせにより最適な素材が
選択される。また、電極の形状としては特に制限はない
が、棒状、筒状、シート状が挙げられる。
【0018】上述の電極上に生体触媒を固定させるため
の具体的方法としては、金属電極表面に官能基を介して
生体触媒を固定する方法、生体触媒を含むゲル膜を金属
電極接着する方法、金属電極端に透析膜を被せ、金属電
極と透析膜の間に生体触媒を入れる方法などが挙げられ
る。また、生体触媒の懸濁液をアセチルセルロース等の
薄膜上で吸引濾過し、この薄膜上に生体触媒を膜状に集
菌し、アセチルセルロース膜の外側から透析膜で覆うよ
うにして金属電極に被せてもよい。また、金属電極と生
体触媒との接触面積は大きいことが好ましい。
【0019】本発明の測定方法に用いられるバイオセン
サは、上記作用電極と対極とを有し、必要に応じてさら
に参照電極を有するものであってもよい。対極の素材と
しては、白金、金、銀、カーボン等が挙げられる。バイ
オセンサを測定対象の試料溶液に浸漬し、作用極と対極
との間に電圧を印加したときに、電極反応が進行するに
従って、電極表面での反応種の濃度は減少し、また生成
物の濃度が増加するなどして対極の電極電位が設定した
値からずれてしまうことがある。そこで、Ag/AgC
l電極などの参照電極を試料溶液に浸漬し、参照電極を
電位設定の基準として作用電極の電位を設定することが
好ましい。
【0020】〈測定方法〉次に、上記バイオセンサを用
いた本発明の測定方法の説明を行う。本発明の測定方法
は、測定対象物質を含有する試料溶液中に上記構成のバ
イオセンサの作用極および対極を浸漬した状態で、測定
対象物質と生体触媒との反応が十分に進行するまでの時
間放置した後に、前記作用極と前記対極との間に定電圧
を所定時間印加したときの両極間に流れる電流値を計測
することを特徴とする。
【0021】具体的には、例えば、上記構成のバイオセ
ンサを上記試料溶液中に浸漬し、作用極と対極との間に
電圧を印加しない状態で一定時間放置する。その後、作
用極と対極との間に定電圧を所定時間印加して、このと
きの両極間に流れる電流値を計測する。
【0022】上記構成のバイオセンサを試料溶液中に浸
漬すると、上述のように、作用極の生体触媒と試料溶液
中の測定対象物質との間で生体触媒反応が起こる。この
反応によって特定の化学物質が消費または生成される。
あるいは、生体触媒に微生物を用いた場合、微生物が有
機物を代謝することにより、電子が電子伝達系に移動す
る。本発明の測定方法では、このような生体触媒反応が
充分に進行するまで、各電極間に電圧を付加せずに放置
しておく。このときの放置時間は、上記生体触媒反応が
充分に進行する時間であれば特に制限されないが、例え
ば、生体触媒反応の反応速度が定常状態に達するまでの
時間を目安にしてもよい。また、この放置時間は測定対
象物質と生体触媒との組み合わせにより適宜設定するこ
とができる。すなわち、放置時間を変化させ、各放置時
間において両極間に流れる電流をそれぞれ測定し、好ま
しい電流を得られるときの放置時間を、好ましい放置時
間として選択することができる。
【0023】このような放置時間の例として、測定対象
物質をグルコースとし、生体触媒に微生物を用い、この
微生物の呼吸活性変化により消費される溶存酸素の濃度
変化を検出するバイオセンサの場合は、放置時間を10
分〜30分とすることが望ましい。
【0024】バイオセンサを試料溶液中に浸漬した状態
で一定時間放置した後、作用極と対極の間に定電圧を一
定時間印加し、このときの両極間に流れる電流値を測定
する。電圧の印加および電流の測定は、ポテンシオスタ
ット等を用いるとよい。
【0025】上記放置時間の間に生体触媒反応は十分に
進行しているため、この生体触媒反応により消費・生成
された化学物質の作用極近傍における濃度は減少または
増加している。従って、両電極間に電圧を印加したとき
に、この化学物質と電極の間で授受される電子の量が測
定対象物質の濃度によって変化するため、両極間に流れ
る電流の量が変化する。よって、この電流を計測するこ
とによって、測定対象物質の測定を行うことができる。
【0026】このとき、両極間に電圧が印加される時間
は、10秒以下であることが好ましく、さらに好ましく
は2〜7秒である。最適な電圧印加時間の設定は、電圧
印加時間を上記範囲で変化させ、各電圧印加時間におい
て両極間に流れる電流をそれぞれ測定し、好ましい電流
を得られるときの電圧印加時間を選択することにより行
うことができる。
【0027】前述したように、両極間に電圧を印加した
場合、生体触媒反応のみならず、作用極上における酸化
/還元反応によっても、溶液中の化学物質濃度は変化す
る。このため、作用極−対極間に電圧を印加する時間が
長すぎると、得られる電流値は、生体触媒反応だけでな
く、電極反応の影響も受けることとなるため、生体触媒
反応のみによる電流の正確な値は得られにくい。そこ
で、生体触媒が固定された作用極を測定溶液中に浸漬し
た状態で一定時間放置することにより、生体触媒反応を
充分に進行させた後に、定電圧を短時間印加することに
よって、電極反応の影響を最小限に抑えて生体触媒反応
のみによる電流値に近い計測値を得ることができるので
ある。
【0028】また、電圧を印加する時間が短いほど、計
測される電流値が大きくなるため高感度の測定を行うこ
とができるが、一方、電圧印加時間が短すぎると、計測
される電流値のバラツキが大きくなり、安定性が小さく
なってしまう。従って、本発明の測定方法においては、
バイオセンサの感度や測定対象物質の濃度、計測される
電流値等を考慮して、電圧印加時間を上記範囲で最適な
時間とすることが好ましい。
【0029】上記作用極−対極間に定電圧を所定時間印
加したときの両極間に流れる電流値の計測は、次のよう
に行うことができる。例えば、電圧印加時間を10秒と
した場合に、電圧を印加して10秒目の電流値を計測値
としてもよい。また、例えば、電圧を印加して10秒目
までの間に電流値の値を複数回数測定して、その平均値
を計測値としてもよい。
【0030】また、本発明の測定方法に用いられるバイ
オセンサが酵素や微生物の酸化還元活性量を検出するも
のである場合には、試料溶液にメディエータを添加して
おくと、より高感度な測定が可能となるので好ましい。
あるいは、メディエータを生体触媒とともに電極上に固
定しておいてもよい。
【0031】メディエータは、微生物により有機物が代
謝されて生じる電子が金属電極に移行するのを促進する
ものである。メディエータとしては、微生物から電極に
電子が移行するのを促進するものであればよく、具体的
には1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルス
ルフォネート(1−M−PMS)、2,6−ジクロロイ
ンドフェノール(DCIP)、9−ジメチルアミノベン
ゾ−α−フェナゾキソニウムクロライド、メチレンブル
ー、インジゴトリスルホン酸、フェノサフラン、チオニ
ン、ニューメチレンブルー、2,6−ジクロロフェノー
ル、インドフェノール、アズレB、N,N,N’、N’
−テトラメチル−p−フェニレンジアミンジヒドロクロ
リド、レゾルフィン、サフラニン、ソディウムアントラ
キノンβ−スルフォネート、インジゴカーミン等の色
素、リボフラビン、L−アスコルビン酸、フラビンアデ
ニンジヌクレオチド、フラビンモノヌクレオチド、ニコ
チンアデニンジヌクレオチド、ルミクロム、ユビキノ
ン、ハイドロキノン、2,6−ジクロロベンゾキノン、
2−メチルベンゾキノン、2,5−ジヒドロキシベンゾ
キノン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、グル
タチオン、パーオキシダーゼ、チトクロムC、フェレド
キシン等の生体酸化還元物質またはその誘導体、その他
Fe−EDTA、Mn−EDTA、Zn−EDTA、メ
ソスルフェート、2,3,5,6−テトラメチル−p−
フェニレンジアミン、フェリシアン化カリウム等が挙げ
られる。これらのメディエータの濃度は、40nM以上
程度であることが好ましい。
【0032】上記化合物の中では、1−M−PMS、D
CIP、フェリシアン化カリウムおよび9−ジメチルア
ミノベンゾ−α−フェナゾキソニウムクロライドが好ま
しい。
【0033】測定対象物質濃度の測定は、当該測定対象
物質を含有しない緩衝液を用いて作用極と対極との間に
流れる電流を測定し、続いて測定対象の試料溶液を用い
て同様に電流を測定し、これらの電流の差を、標準試料
を用いたときの電流の差と比較することにより行う。
【0034】以下、グルコースを測定対象物質とし、作
用極にカーボン材料からなる電極を、生体触媒に微生物
であるシュードモナス・フルオレセンスを用いた場合を
例として、本発明の測定方法の一例を具体的に説明す
る。まず、測定対象物質(グルコース)を含む試料溶液
中に上記構成のバイオセンサを浸漬し、作用極−対極間
に電位を印加しない状態で、20分間放置する。このと
き、グルコースと微生物との生体触媒反応は十分に進行
し、試料溶液中のメディエータが微生物により還元され
るため、作用極近傍でこの作用極が再酸化できる還元型
メディエータ濃度が増加する。
【0035】次に、作用極−対極間に定電圧を5秒間印
加し、このときに両極間に流れる電流を測定する。上記
放置時間の間に生体触媒反応は十分に進行しているた
め、グルコースが試料溶液中に存在しない場合に比べ
て、作用極近傍の還元型メディエータ濃度が増加してい
る。従って、両極間に流れる電流値を計測することによ
り、試料溶液中のグルコースの濃度を計測することがで
きる。また、このとき両極間に電圧が印加される時間は
5秒間と短いので、作用極における電極反応による還元
型メディエータの濃度変化の電流値への影響を極めて小
さく抑えることができ、試料溶液中のグルコース濃度を
より厳密に測定することができる。
【0036】なお、本発明の測定方法は、バイオセンサ
を用いて測定を行う際に、ある生体触媒反応が進行して
いる間に、その経時的変化を連続的に検知する必要がな
い場合に、特に有効に用いることができる。
【0037】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるも
のではない。
【0038】
【実施例1】まず、バイオセンサの作製を行った。カー
ボン材料よりなる電極の作用極上に微生物(シュードモ
ナス・フルオレセンス:Pseudonomas fluoresens)を固
定化したものを作用極とした。固定化は3%アルギン酸
ナトリウム溶液に同容量の微生物溶液(OD=30)を
均一に混合したものを電極上に20μl滴下した後、こ
れを2%塩化カルシウム溶液に30分間漬けてゲル化さ
せることにより行った。また、対極にはカーボン材料か
らなる電極を用いた。
【0039】また、試料溶液は、0.1Mのリン酸緩衝
液、0.1M塩化ナトリウム溶液及び40mMフェリシ
アン化カリウム(メディエータ)を含む溶液に、測定対
象物質として各種濃度のグルコースを添加して調製し
た。
【0040】本発明の測定法の検討は、図1に示す測定
系を用いて行った。上記作用極20と対極7とをポテン
シオスタット6に接続し、上記のように調製した試料溶
液30を入れた試料槽9に浸漬した。試料溶液30はマ
グネティックスターラ10およびスターラバー11によ
って攪拌した。この状態で、作用極20と対極7との間
に電圧を印加せずに、約20分間放置した。
【0041】次に、ポテンシオスタットによって、対極
に対して作用極に+400mVの電圧を印加し、5秒目
の電流値を計測した。測定値はレコーダ12で記録し
た。この操作をグルコース濃度別に繰り返した。図2に
本実施例によるグルコース濃度(mM)と電流値との関
係を示す。
【0042】
【比較例1】上記実施例1で用いたバイオセンサの各電
極を上記試料溶液に浸漬すると同時に、対極に対して作
用極に+400mVの電圧を印加し続け、20分後の電
流値を計測した他は、上記実施例1と同様にしてグルコ
ース濃度の測定を行った。この結果を図2に示す。
【0043】図2より上記実施例1および比較例1のい
ずれも、グルコース濃度が0〜1mMの範囲において、
試料溶液中のグルコース濃度と電流値との間に直線関係
が得られた。また、電流応答値を比較すると、実施例1
が比較例1と比べて2倍以上の感度を示した。この現象
は、電圧を印加し続けた比較例1では、作用極近傍で微
生物によって生成したフェロシアン化カリウムが、作用
極により連続的に酸化されているために蓄積せずに消費
されるのに対し、本提案法では微生物反応の生成物であ
るフェロシアン化カリウムは電圧印加の直前まで酸化さ
れずに作用極近傍に蓄積されるため、高感度かつ本来の
微生物のみによる酸化還元反応に近い測定結果が得られ
たと考えられる。
【0044】
【実施例2】上記実施例1で用いたバイオセンサおよび
測定系を用いてBOD濃度の測定を行った。試料溶液と
しては、OECD(経済協力開発機構)の報告書で採用
されている下記組成(表1)の人工下水を使用した。ポ
テンシオスタットに接続された作用極と対極と上記試料
溶液に浸漬し、作用極20と対極7との間に電圧を印加
せずに、約20分間放置した。
【0045】次に、ポテンシオスタットによって、対極
に対して作用極に+400mVの電圧を印加し、2秒目
の電流値を計測した。この操作をBOD濃度別に繰り返
した。また、電圧を印加して5秒目、10秒目の電流値
の計測もBOD濃度別に行った。この結果を図3に示
す。なお、図3において横軸はBOD5日間法(JIS
K0102、ウィンクラーアジ化ナトリウム変法)で測
定した前記人工下水のBOD5濃度(mgO/l)を示
し、縦軸が上記バイオセンサにより計測された電流値
(μA)を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【比較例2】上記実施例1で用いたバイオセンサの各電
極を上記実施例2の試料溶液に浸漬すると同時に、対極
に対して作用極に+400mVの電圧を印加し続け、2
0分後の電流値を計測した他は、上記実施例2と同様に
してBOD濃度の測定を行った。この結果を図3に示
す。
【0048】図3より、上記実施例2において、電圧印
加後2〜10秒目の範囲で電流値を測定した場合には、
試料溶液中のBOD濃度と電流値との間に直線関係が得
られた。また、電流応答値を比較すると、実施例2が比
較例2と比べて非常に高い感度を示した。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、バイオセンサを用いて
試料溶液中の測定対象物質の定量を行う際に、電極自体
による酸化還元反応の影響を低減し、高感度な測定を行
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の測定方法が適用される測定系の一例
を示す正面図。
【図2】 実施例1の測定方法を用いてグルコース濃度
を測定したときの結果を示すグラフ。
【図3】 実施例2の測定方法を用いてBOD濃度を測
定したときの結果を示すグラフ。
【符号の説明】
6 ポテンシオスタット 7 対極 9 試料槽 10 マグネティックスターラ 11 スターラ棒 12 レコーダ 20 作用極 30 試料溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 信行 埼玉県羽生市東5丁目4番71号株式会社曙 ブレーキ中央技術研究所内 (72)発明者 吉田 明 埼玉県羽生市東5丁目4番71号株式会社曙 ブレーキ中央技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属または炭素からなる電極上に生体触
    媒を固定してなる作用極と、対極とを測定対象物質を含
    有する溶液に浸漬し、この作用極と対極との間に電圧を
    印加したときに両極間に流れる電流を計測することによ
    り、前記測定対象物質の測定を行うバイオセンサを用い
    た測定方法であって、前記溶液中に前記両電極を浸漬し
    た状態で、前記測定対象物質と前記生体触媒との反応が
    十分に進行するまでの時間放置した後に、前記作用極と
    前記対極との間に定電圧を所定時間印加したときの両極
    間に流れる電流値を計測することを特徴とする測定方
    法。
  2. 【請求項2】 前記作用極と前記対極との間に電圧を印
    加する時間は10秒以下であることを特徴とする請求項
    1に記載の測定方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006156354A (ja) * 2004-10-29 2006-06-15 Sony Corp 電子メディエーター、酵素固定化電極、燃料電池、電子機器、移動体、発電システム、コージェネレーションシステムおよび電極反応利用装置
JP2006329639A (ja) * 2005-05-23 2006-12-07 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 土壌環境の診断方法
JP2008185534A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 National Institute Of Advanced Industrial & Technology エタノールの測定法
JP2008185533A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 National Institute Of Advanced Industrial & Technology グルコースの測定法

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