JP2008185533A - グルコースの測定法 - Google Patents

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Abstract

【課題】真核微生物を用いて高感度にグルコースを測定する方法を提供する。
【解決手段】真核微生物によりグルコースを代謝させ、該真核微生物の代謝活性を測定することにより、グルコースを含有する溶液中の糖量を検出または定量するグルコースの測定法において、真核微生物がグルコースを代謝する際に、酸化型の脂溶性メディエーターおよび酸化型の親水性メディエーターを存在させ、生成する還元型の親水性メディエーターを電極により検出または定量する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、グルコースの測定法に関する。更に詳しくは、真核微生物を用いたグルコースの測定法に関する。
試料中に含まれるグルコースの簡易な定量を実現させることを目的として、近年、酵素が持つ特異性のある触媒作用を利用した種々の測定方法が開発されている。グルコース濃度の簡便な測定法は、主に血糖や尿糖の測定を目的とした一回使い捨てチップの需要が高いだけではなく、連続モニタリングへのニーズも高まっている。同様に、発酵食品や果汁を含む飲料などの食品を製造する企業からの需要もグルコース測定用の一回使い捨てチップに限らず、連続モニタリングへのニーズも高まっている。
特許文献1には、試料中のグルコースを、酵素を用いて定量する方法が提案されている。この方法では、グルコースオキシダーゼ(以下、GODとする)を酵素として用い、GODに対する電子伝達体を使用して、還元体を電極において酸化することにより得られる電流値を求めることで、電気化学的に試料中のグルコース濃度を測定している。
特開昭48−37187号公報
しかるに、酵素はある特定の基質のみを触媒する特徴があるものの、一般的に安定性に問題があるばかりではなく、精製にコストがかかるため、一回使い捨てのセンサーチップの場合を除き、特に連続モニタリングに使用する場合には、その安定性に問題があった。
一方、微生物によるグルコースの資化性を利用したバイオセンサー法も開発されている。これは河川や産業排水の水質管理技術として確立しているBOD(生物化学的酸素要求量)センサーの原理を応用したものである。このBODセンサー法は、トリコスポロン属の酵母を溶存酸素電極の表面に固定して、酵母が河川や排水中に含まれる有機汚濁物質を資化することで消費された溶存酸素の濃度を酸素電極で測定するものであり、この方法によれば河川や排水中に含まれるさまざまな有機物質の総量を有機汚濁物質としてまとめて測定ができる特徴がある。これと同様の原理を用いたグルコースセンサーの一例として、酵母の代わりにPseudomonas fluorescensを使用した例がある(非特許文献1)。しかし、測定溶液中にごく僅かしか溶存しない酸素の濃度を高感度に測定する必要があることから、測定の精度に問題点があった。したがって、特に血中や嫌気発酵を伴うような発酵造工程の試料など、溶存酸素濃度の非常に低い試料液にあっては正確な値を測定することが難しいという限界もあった。
I.Karube et al, Eur.J.Appl.Microbiol.Biotechnol. 7 343(1979)
かかる問題に対して、溶存酸素量が低い場合にあってもグルコースの正確な測定を可能とするメディエーターを用いたグルコース測定法がEscherichia coli K12を使用して開発された。かかる測定法は、溶存酸素に比べて液体中の溶解濃度が高い電子の濃度を指標とした電気化学(電極)測定型であり、グルコースの正確な測定を可能とするものであった。
J.Katrlik et al., Anal.Chim.Acta, 356, 217(1997)
しかるに、かかる測定法は微生物が有機物質を代謝することによる電子伝達系の電子の移動を検知するものであるため、呼吸鎖の電子伝達がミトコンドリア内で行われる真核微生物を用いた場合には、測定感度に乏しいとされ、原核微生物を利用した測定法が数多く提案されているにとどまるのが現状である。しかしながら、原核微生物は培養や前処理などにおける操作性や保存安定性に問題があり、種々の測定法に応用し、実用化する場合の障壁となっており、真核微生物を用いたメディエーター型のグルコース測定法の開発が望まれている。
本発明の目的は、真核微生物を用いて高感度にグルコースを測定する方法を提供することにある。
かかる本発明の目的は、真核微生物によりグルコースを代謝させ、該真核微生物の代謝活性を測定することにより、グルコースを含有する溶液中の糖量を検出または定量するグルコースの測定法において、真核微生物がグルコースを代謝する際に、酸化型の脂溶性メディエーターおよび酸化型の親水性メディエーターを存在させ、生成する還元型の親水性メディエーターを電極により検出または定量するグルコースの測定法によって達成される。
本発明方法によれば、培養や前処理などにおける操作性や保存安定性に問題がある原核微生物を用いることなくグルコースを測定することができるとともに、その測定感度に関しても、従来提案されていた真核微生物を用いたグルコースの測定法と比較して、0.1〜350μlといった少量の試料を用いた場合であっても、数倍程度高感度となるといったすぐれた効果を奏する。さらに、脂溶性メディエーターをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解して用いた場合には、測定感度の向上およびバックの減少を達成することができる。
真核微生物としては、グルコースを代謝することにより電子伝達系に電子の移動が起こるものであればよく、従来技術により分離・培養可能な微生物であれば特に制限なく用いることができ、取扱い容易といった観点からは、酵母、例えばSaccharomyces cerevisiaeTrichosporon cutaneumTrichosporon fermentansTrichosporon brassicaeCandida属、Aspergillus属などが挙げられ、好ましくはパン酵母として周知のSaccharomyces cerevisiaeTrichosporon cutaneumなどが用いられる。Saccharomyces cerevisiae(サッカロミセス・セルビジエ)は、他の微生物と比較しても塩に対する耐性が高いので尿糖測定に適している。また、S. cerevisiaeはグルコースとフルクトース、エタノール以外の有機物に対する資化性が低いため、測定試料液中にエタノールさえ含まれていなければ選択的なグルコースの定量が可能となる。実際に尿や血液などにはもともとグルコース以外の糖をほとんど含まれないことや、飲酒の状態における測定を考慮する必要がないことを考えると、S. cerevisiaeによる選択的なグルコースの定量が可能である。また、果汁飲料など食品中の糖度の測定への応用も可能となる。さらに、S. cerevisiaeはグルコースとフルクトースの資化性が高いので、これらの単糖類に加え、砂糖であるスクロース(グルコースとフルクトースの二量体)やマルトース(グルコースの二量体)を含む試料いついては、予め酵素で単糖に分解しておくことで、糖分としての総量を測定できる。
ここで、S. cerevisiaeは入手が容易であるため、家庭などで手軽にパンをつくるための市販品をそのまま用いることができる。また、使用する微生物は生菌の状態、好ましくは対数増殖期の状態で用いることもできるし、実用性を考慮し、何らかの方法により保存が可能な形態、例えば死菌などの状態で用いることもできる。生菌を用いる場合、反応時における菌体の濃度は、OD600=0.1以上、好ましくは0.5〜30程度、さらに好ましくは1.5〜15程度で用いられる。
酸化型の脂溶性メディエーターとしては、メナジオン(2-メチル-1,4-ナフトキノン)、ベンゾキノン、1,2-ナフトキノン、ユビキノン、ハイドロキノン、2,6-ジクロロベンゾキノン、2-メチルベンゾキノン、2,5-ジヒドロキシベンゾキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノンなどのキノン類、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミンなどのベンゾアミン類が用いられ、好ましくはメナジオン、ベンゾキノン、1,2-ナフトキノン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミンが用いられる。脂溶性メディエーターは、好ましくはジメチルスルホキシドに溶解されて用いられる。メナジオンをDMSOに溶解して用いる場合には、反応液中のメナジオン濃度が20〜1000μM、好ましくは100〜400μMとなるように用いられる。メナジオンが、これ以上の濃度で用いられると、電極の再利用が困難になり、一方これ以下の濃度で用いられると有機物に対する応答が低下する。また、DMSOは反応液中に3%以下、好ましくは1%以下となるように用いられる。DMSOがこれ以上の割合で反応液中に添加されると、センサー応答値が低くなるため好ましくない。
酸化型の親水性メディエーターとしては、リボフラビン、L-アスコルビン酸、フラビンアデニンジヌクレオチド、フラビンモノヌクレオチド、ニコチンアデニンジヌクレオチド、ルミクロム、グルタチオン、パーオキシダーゼ、チトクロムC、フェレドキシン等の生体酸化還元物質またはその誘導体、ヘキサシアノ鉄(III)カリウム、ヘキサメチレンテトラミンルテニウム、カルボキシメチル化フェロセン、DCIP、1-M-PMS、9-ジメチルアミノベンゾ-α-フェナゾキソニウムクロライド、Fe-EDTA、Mn-EDTA、Zn-EDTA、メソスルフェート、メチルビオローゲン、デュロヒドロキノン、フェロセンカルボン酸、フェナジンメトスルフェートなどが用いられ、好ましくはヘキサシアノ鉄(III)カリウム、ヘキサメチレンテトラミンルテニウム、カルボキシメチル化フェロセン、DCIP、1-M-PMS、9-ジメチルアミノベンゾ-α-フェナゾキソニウムクロライドが、さらに好ましくはヘキサシアノ鉄(III)カリウム、ヘキサメチレンテトラミンルテニウム、カルボキシメチル化フェロセンが用いられる。
酸化型の脂溶性メディエーターおよび酸化型の親水性メディエーターとは、還元型となった脂溶性メディエーターによって酸化型の親水性メディエーターから還元型のメディエーターが生成されるような組合せで用いられ、これらの濃度は、一般にそれぞれ40nM以上、好ましくは50nM〜500mM、さらに好ましくは100nM〜50mM程度で用いられる。このように酸化型の脂溶性メディエーターおよび酸化型の親水性メディエーターを組み合わせて用いることにより、0.1〜350μlといった少量の試料を用いてのグルコースの測定が可能となるといった優れた効果を奏する。
以上の真核微生物およびメディエーターに加えて、本発明方法においてはスーパーオキシドジスムターゼ(EC 1.15.1.1)を用いることが好ましい。スーパーオキシドジスムターゼは、超酸化物不均化酵素ともよばれ、スーパーオキシドアニオンラジカルの不均化反応を触媒する働きを有するため、酸素ラジカルから酸素および過酸化水素を生成し、本方法での測定感度をアップさせることができる。
グルコースの測定は、酸化型の脂溶性メディエーターおよび酸化型の親水性メディエーターの存在下、好ましくはさらにスーパーオキシドジスムターゼの存在下において、真核微生物により溶液中のグルコースを代謝させ、該真核微生物の代謝活性を測定することにより行われる。ここで、グルコースの代謝中における菌体の活性を良好に保つため、反応層内には少なくとも10mM程度以上のリン酸イオンが含まれることが望ましい。これは10mMリン酸緩衝液(phosphate buffer; PBは Na2HPO4・12H2O 3.58gまたはNaH2PO4・2H2O 1.56gを純水 1lにそれぞれ溶解して、両者を混ぜ合わせてpH 7.0に調整し、121℃、15分間オートクレーブ滅菌したもの、あるいは1倍のリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffer saline;PBSはNaCl 8g、Na2HPO4・12H2O 2.9g、KCl 0.2g、KH2PO4 0.2gを純水に溶解してpH 7.0に調製した後、全量を純水で1lとし、121℃, 15分間オートクレーブ滅菌したものなどが用いられる。ここで、10mM程度のリン酸イオンが含まれることで、試料液のpHの影響を緩衝する作用も奏する。また、後述するグルコースセンサーを利用する場合、これを再利用するといった観点からは、反応液中に界面活性剤、例えばTriton-Xが、反応液中好ましくは0.00001〜0.1%程度、さらに好ましくは0.0001〜0.01%程度添加される。これにより、測定回数が増すにつれてセンサーの応答値が大きく減少するといった不具合を解消することができる。
代謝活性は、溶液中に生成する還元型の親水性メディエーターを、少なくとも作用極および対極を有する電極を溶液中に浸漬した後、作用極および対極との間に電位差を負荷した際に両電極間に流れる電流を測定することによって算出される。
測定に際しては、予め電極上に真核微生物、酸化型の脂溶性メディエーターおよび酸化型の親水性メディエーター、好ましくはさらにスーパーオキシドジスムターゼを存在させておき、これにグルコースを含有する溶液を添加することにより、グルコースの測定を可能とするグルコースセンサーを用いることもできる。かかるセンサーとしては、例えば基板上に作用極および対極、さらに必要に応じて参照極を設け、作用極上および/またはその付近に真核微生物、酸化型の脂溶性メディエーターおよび酸化型の親水性メディエーター、好ましくはさらにスーパーオキシドジスムターゼを配したセンサーなどが挙げられる。このようなセンサーとしては、例えばセラミックス、ガラス、プラスチック、紙、生分解性材料(例えば、微生物生産ポリエステル等)などの絶縁性基板にスクリーン印刷法、蒸着法、スパッタリング法などによって白金、金、カーボン等から形成された各電極が形成され、作用極上および/またはその付近に架橋法、共有結合法、イオン結合法等により微生物等を固定したものなどが用いられる。
このようなセンサーとして、好ましくは底部絶縁性基板上にスペーサーを介して、底部絶縁性基板側の表面に少なくとも作用極および対極の2電極を設けた上部絶縁性基板を配し、さらに好ましくは作用極上および/またはその周辺部にメディエーター層または微生物−メディエーター混合物層を配したものなどが用いられる。かかるセンサーは、一般的なセンサーとは異なり、試料液面と接するようにあるいは試料液中に浸漬するように電極が存在しているため、試料液中に存在する粒子状物質が電極表面に堆積することによる測定値への影響を排除しうるといった効果を奏する。さらに、センサーの反応層内に撹拌石を入れ、センサー下方に撹拌システムを設けることで、反応溶液を連続的に撹拌することができるため、反応効率の向上及び繰り返し再現性の向上が期待できる。また、測定時に撹拌を止めることで、正確な電気化学測定ができる。
電流値の測定は、グルコースを含有する溶液と微生物等を反応させた後、正確に0〜60分まで、好ましくは0.5〜30.5分までの経時的な電流値の変化を、例えば北斗電工社製品SHV-100、BAS社製品CHI-1202など電気化学アナライザーを使用し、電気化学測定法、例えばクロノアンペロメトリー法などを用いて、電極間に負荷した電位に対する生成した還元型メディエーターによる応答を確認することにより行われる。電極間に負荷する電位は、特に限定されないが、生成される過酸化水素も併せて測定することを目的とする場合には、0.7〜1.1V、好ましくは0.8〜1.0Vが選択される。
電極端子は、測定装置に接続され、電極間に生じた電気的な値を測定する。この測定装置には、電極における電気的な値を計測する計測部と、計測された値を表示する表示部が備えられる。この計測部における計測方法としては、上述した如くクロノアンペロメトリー法などを用いることができる。
また、この装置には計測値を保存するためのメモリーを備えることもできる。さらに、測定値を遠隔的に管理する場合には、計測部に計測データを送信する無線手段、好ましくは非接触型ICカードまたは短距離無線通信(例えば、ブルートゥース;登録商標)などの無線手段を搭載することもできる。
次に、実施例について本発明を説明する。
実施例
凍結乾燥されたパン酵母菌体(日清製粉製品)をスパーテルで極少量取り、18mm径×180mmの試験管に入れたYPD液体培地(酵母エキス10g、ポリペプトン20g、グルコース20gを純水に溶解し、全量を1,000mlにした後、121℃、15分間の条件下でオートクレーブ滅菌したもの)2mlに接種し、シリコ栓で蓋をして28℃、180rpm、好気条件下で18時間振とう培養を行った。次いで、YPD寒天培地(酵母エキス2g、ポリペプトン4g、グルコース4g、寒天4gを純水に溶解し、全量を200mlにした後、121℃、15分間の条件下でオートクレーブ滅菌したもの)を、クリーンベンチ内でシャーレに約20mlずつ入れ、恒温器(アーンスト・ハンセン商会製品BARNSTEAD/THERMOLYNE LAB-LINE 120-5JPN)内で乾燥させたものに、乾燥酵母から培養を行った酵母液を白金耳で網目模様に接種し、28℃で二晩前培養を行った。
YPD寒天培地上のコロニーから菌体を白金耳でYPD液体培地2mlに接種し、28℃、180rpm、好気条件下で13〜14時間振とう培養を行い、さらに500ml容量の坂口フラスコ中で、YPD液体培地50mlに最終濃度が0.5%となるよう前培養液を接種し、シリコ栓で蓋をして、28℃、120rpm、好気条件下で9〜10時間本培養を行った。細胞の増殖相は、対数増殖期(OD600=0.9以上)に達していた。
本培養液全量を遠沈管に移した後、4℃、3000rpmの条件下で3分間の遠心分離を行い、集菌を行った。集菌後、0.9%生理食塩水で3回洗浄を行った後、ペレット状の酵母を25mlの0.9%生理食塩水で懸濁し、50ml遠沈管内で2時間エアレーションを行い、再び洗浄操作を三回繰り返した。洗浄後、最終菌体濃度がOD600=68.5となるように0.9%生理食塩水を加え、酵母液をボルテクスミキサーとピペッティングでよく分散させて菌体懸濁液(酵母液)を調製した。
撹拌機(アズワン社製、セルスターCC-303)を下に配置させた上にセンサーチップを置き、そのセンサーチップ内にて予め、純水365μl、0.05%(w/v)Triton-X 100 5μl、pH 7.4, 10倍リン酸緩衝液で調製した0.4Mフェリシアン化カリウム(和光純薬工業製品)50μl、DMSOに溶解した20mMメナジオン5μl、濃度が0、3(5.4mg/ml)、5(9mg/ml)、10(18mg/ml)または15mM(27mg/ml)のグルコース標準液50μlを撹拌石による撹拌で混合し、最後に反応の開始剤として、0.9%生理食塩水で調製されたOD600=68.5の酵母液25μlを混合液の中へ加え、チップ内の反応液の体積を500μlとした。撹拌条件下で反応を正確に5分間行い、電気化学測定器(BAS社製、CHI-1202)を使用したクロノアンペロメトリー法により電位を0.9Vに設定し、反応じと同じ撹拌条件下で電流値の測定が行われた。測定は各標準溶液につき3回行った。
ここで、センサーとしては、外寸法40×18×4.5mm、反応槽寸法10×12.5×4.5mm(反応槽内容積562.5mm3)であるセンサーチップが用いられた。具体的には、厚さ188μmの透明なポリエチレンチレフタレートを、35mm×18mmの本体および16mm×6.0mmの支持部となるように打ち抜き、底部絶縁性基板を作製した。この底部絶縁性基板上に、厚さ1mmで10mm×12.5mmのスペースを有する、底部絶縁性基板と同一外形の下部スペーサーをアクリル系接着剤を用いて接着した。下部スペーサー上には、厚さ25μmの接着剤層が設けられ、上部絶縁性基板をさらに接着した。この上部絶縁性基板は、底部絶縁性基板と同じ厚さの同素材を用い、40mm×18mmの本体、21mm×6.0mmの支持部および3mmの間隔を空けて8mm×3mmのくし状基板部を有する10mm×12.5mmのスペースを形成したものであり、この底部絶縁性基板側の表面上には、2本のくし状基板部分に、7.5mm×2mmの導電体 2本を、また支持部においては、21mm×2.6mmの2本の導電体を0.6mmの間隔を空けて、厚さ10μmのカーボンインクをスクリーン印刷法により形成した。上部絶縁性基板上には、下部スペーサーと同一素材で同一形状の上部スペーサー 3枚を接着剤を用いて貼り合わせた。このようにして作製されたバイオセンサの反応スペース内容積は、上述の如く約560mm3であった。
以上の実施例で得られた結果は図1に示される。この図に示されるように、グルコースの増加に伴う微生物の代謝活性の高まりを、電極応答値により測定できることが示された。ここで、各標準溶液を3回ずつ測定して得た変動係数(CV値)は5.87% (5mM), 4.14% (10mM), 6.13% (15mM)であり、相関係数は0と5〜15mMの範囲でr = 0.975であった。以上より、グルコースに対してはヒトの血糖値範囲(3〜15mM, 5.4〜270mg/ml)で良好な検量線を示す応答が得られることが示された。
参考例1
実施例において、反応液として純水400μl、100mM(pH 7.4)リン酸緩衝液50μl、試料液50μlを用い、反応時間は0分間に変えて測定が行われた。試料液としては、純水、15mMグルコース、0.1mMアスコルビン酸、0.1mMアセトアミノフェン、0.2mMアセトアミノフェン、0.2mMグリシン、0.3mMグリシンまたは0.2mM尿素が用いられた。得られた結果は次の表1に示される。この参考例は、血中に含まれうる、電極活物質であるビタミンCとして知られるアスコルビン酸(0.1mM以下)や解熱剤としてのアセトアミノフェン(0.2mM以下)、グリシン(0.3mM以下)、尿素(0.2mM以下)などが、血中グルコース濃度を測定するに際して妨害物質となりうるか否か、緩衝溶液内に添加した成分の電極への影響について検討を行ったものである。その結果、試料液として純水を用いた場合に対する電極応答と比較して、アスコルビン酸の電極応答は約10倍、また、アセトアミノフェンの電極応答は約8倍であり、これらの成分の影響が確認された。一方、それ以外の成分については影響が見られなかった。
表1
Figure 2008185533
参考例2
実施例において、反応液として純水350μl、100mM(pH 7.4)リン酸緩衝液50μl、純水に溶解させた50mMフェロシアン化カリウムと350mMフェリシアン化カリウム(FF)溶液50μl、試料液50μlを用い、反応時間を0分間に変えて測定が行われた。なお、試料液としては、参考例1と同じものが用いられた。
得られた結果は表2に示される。この参考例は、水溶性メディエーターを含む緩衝溶液内に添加した成分の電極への影響を調べたものであるが、試料液として純水を用いた場合に対する電極応答と比較して、参考例1ほど大きな電極応答を示した成分はないものの、アスコルビン酸およびアセトアミノフェンの電極応答はやや大きい値を示した。
表2
Figure 2008185533
参考例3
実施例において、反応液として酵母懸濁液の代わりに0.9%生理食塩水が同量用いられ、またグルコース標準液の代わりに参考例1と同様の試料液50μlを用い、反応時間を0分間に変えて、酵母のみを含まない反応液に添加した成分の電極への影響についての検討が行われた。得られた結果は表3に示される。この結果、参考例2と同様に、試料液として純水を用いた場合に対する電極応答と比較して、アスコルビン酸およびアセトアミノフェンの電極応答はやや大きい値を示した。
表3
Figure 2008185533
以上の参考例1〜3は、アスコルビン酸とアセトアミノフェンについてはグルコースの定量測定を行う前に、前処理により分解除去しておく必要性を示唆している。
本発明にかかるグルコースの測定法によって、尿中、血中あるいは食品中などのグルコースを検出、定量することが可能となる。特に、パン酵母を使用する場合には、海水などのように塩濃度が高くても問題なく測定が可能であるため、尿糖への応用の可能性も十分に考えられる。
グルコース濃度に対する応答性を示すグラフである。

Claims (11)

  1. 真核微生物によりグルコースを代謝させ、該真核微生物の代謝活性を測定することにより、グルコースを含有する溶液中の糖量を検出または定量するグルコースの測定法において、
    真核微生物がグルコースを代謝する際に、酸化型の脂溶性メディエーターおよび酸化型の親水性メディエーターを存在させ、生成する還元型の親水性メディエーターを電極により検出または定量することを特徴とするグルコースの測定法。
  2. 酸化型の脂溶性メディエーターおよび酸化型の親水性メディエーターに加えて、さらにスーパーオキシドジスムターゼを存在させることを特徴とする請求項1記載のグルコースの測定法。
  3. 真核微生物が酵母である請求項1記載のグルコースの測定法。
  4. 脂溶性メディエーターがジメチルスルホキシドに溶解されて用いられる請求項1記載のグルコースの測定法。
  5. 酸化型の脂溶性メディエーターが、キノン類またはベンゾアミン類である請求項1記載のグルコースの測定法。
  6. キノン類が、2-メチル-1,4-ナフトキノン、ベンゾキノンまたは1,2-ナフトキノンである請求項5記載のグルコースの測定法。
  7. ベンゾアミン類が、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-フェニレンジアミンまたはN,N-ジメチル-p-フェニレンジアミンである請求項5記載のグルコースの測定法。
  8. 酸化型の親水性メディエーターが、ヘキサシアノ鉄(III)カリウム、ヘキサメチレンテトラミンルテニウムまたはカルボキシメチル化フェロセンである請求項1記載のグルコースの測定法。
  9. 血中、尿中、食品中または飲料品中のグルコースの測定に用いられる請求項1及至8のいずれかに記載のグルコース測定法。
  10. 電極上に、真核微生物、酸化型の脂溶性メディエーターおよび酸化型の親水性メディエーターを存在させ、これにグルコースを含有する溶液を添加することにより、グルコースの検出または定量が行われるグルコースセンサー。
  11. 電極上に、さらにスーパーオキシドジスムターゼを存在させた請求項10記載のグルコースセンサー。
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