JP2001015375A - 積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサの製造方法

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JP2001015375A
JP2001015375A JP11185822A JP18582299A JP2001015375A JP 2001015375 A JP2001015375 A JP 2001015375A JP 11185822 A JP11185822 A JP 11185822A JP 18582299 A JP18582299 A JP 18582299A JP 2001015375 A JP2001015375 A JP 2001015375A
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ceramic capacitor
internal electrode
dielectric layer
batio
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Takashi Maeda
隆 前田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、3価の希土類元素を、誘電体層中
に存在させることにより、非常に長期信頼性に優れた積
層セラミックコンデンサの製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、BaTiO3 を有する誘電体
材料から成る誘電体グリーン層と、NiまたはNi合金
を主成分からなる導体膜とを交互に積層し、焼成処理
し、BaTiO3 を主成分とする誘電体層と、Niまた
はNi合金を主成分からなる内部電極層とが積層してな
る積層セラミックコンデンサの製造方法であって、前記
NiまたはNi合金を主成分からなる導体膜は、Y、G
d、Dy、Ho、Er、Ybまたはその酸化物の少なく
とも1種以上を含み、前記焼成処理によって、誘電体層
中に拡散させて、BaTiO3 100モルに対して、希
土類元素の少なくとも1種以上をモル比で0.25〜
2.5とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明はY、Gd、Dy、H
o、Er、Ybまたはその酸化物の少なくとも1種以上
を、BaTiO3 に含む積層セラミックコンデンサの製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】積層セラミックコンデンサは誘電体層と
内部電極層とが交互に積層された積層体の両端部に外部
端子電極を形成していた。即ち、誘電体層は一対の内部
電極層によって挟持され、この誘電体層で発生する静電
容量を外部端子電極から導出していた。
【0003】このような積層セラミックコンデンサば、
誘電体層となる未焼成のセラミックグリーンシート上
に、内部電極層となる導体膜を形成し、セラミックグリ
ーンシートを複数積層し、所定積層体の寸法に切断し
て、高温で焼成して形成する。
【0004】そして、積層体の両端部に内部電極層と接
続するように外部端子電極を形成する。
【0005】近年、各種電子部品に対しては、軽量小型
化の要求がより厳しくなり、その要求を満足するために
一層当たりのシート厚みを薄くしたり、さらに多層化を
進めたり、また積層セラミックコンデンサにあっては、
より小型、大容量化を実現するために比誘電率の高い誘
電体材料を用いて、更にシート厚みを薄くすること等が
行われている。
【0006】また、内部電極層の金属材料としては、P
d等の貴金属を主成分とする材料を用い、しかも、積層
数が増加すると、電極形成コストが著しく上昇してしま
う。
【0007】このため、Ni等の卑金属を主成分とする
内部電極層用導電性ペーストが開発され、このペースト
によって内部電極層が形成された積層コンデンサが実用
化されている。
【0008】卑金属材料を内部電極層に有する積層セラ
ミックコンデンサの一般的な製造方法は、誘電体材料
に、例えば、BaTiO3 、アルカリ土類金属を有する
耐還元性誘電体セラミックス材料を用いていた。
【0009】そして、上述の焼成工程においては、20
0℃〜350℃の空気中で乾燥し、積層体内に残存する
有機成分を除去し、その後、内部電極層の金属が酸化し
ない酸素分圧にて高温にて焼成を行う。
【0010】また、外部端子電極としては、焼成された
積層体の両端面を面取り研磨を行い、この端面にNi、
Ni−Cu、Cu等の金属材料を主成分とする導電性ペ
ーストを焼き付けまたは硬化処理した後、Niメッキ、
Snメッキまたは、Niメッキ、Sn−Pbメッキを施
していた。
【0011】しかし、Ni等を内部電極層に用いた積層
セラミックコンデンサは、空気中で焼成された貴金属を
内部電極層に持つ積層セラミックコンデンサに比較し
て、信頼性が低いという問題があった。
【0012】これを解決する手段として、BaTiO3
を主成分とする誘電体材料中にアルカリ土類金属及び希
土類を添加して、絶縁抵抗劣化の防止していた(特開平
8−31232)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし、積層セラミッ
クコンデンサの大容量化が進む中で、誘電体層の厚みが
3μm、2μm と非常に薄くなっている。
【0014】上述のBaTiO3 を主成分とする誘電体
材料中にアルカリ土類金属及び希土類を添加して、絶縁
抵抗劣化の防止することは、1層当たりの誘電体層の厚
みが厚い場合(5μm 以上)では有効な手段であるもき
の、誘電体厚みが4μm 以下になると、上記手法を用い
ても信頼性の改善が困難であった。
【0015】本発明は、上述の問題点に鑑みて案出され
たものであり、その目的は、Y、Gd,Ho,Er、Y
b等の3価の価数を持つ希土類元素を、誘電体層中に存
在させることにより、誘電体層の厚みによらず、非常に
長期信頼性に優れた積層セラミックコンデンサの製造方
法を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、BaTi
3 、アルカリ土類金属を有する誘電体材料から成る誘
電体グリーン層と、NiまたはNi合金を主成分とする
導体膜とを交互に積層するとともに、焼成処理し、Ba
TiO3 を主成分とする誘電体層と、NiまたはNi合
金を主成分とする内部電極層とから成る積層セラミック
コンデンサの製造方法であって、前記NiまたはNi合
金を主成分とする導体膜は、3価の希土類元素(Y、G
d、Dy、Ho、Er、Yb)及びその酸化物から選択
される少なくとも1種以上を含み、前記焼成処理によっ
て、前記3価の希土類元素及びその酸化物の少なくとも
1種以上を、前記誘電体層中に拡散させ、該誘電体層中
の希土類元素をBaTiO3 100モルに対して0.2
5〜2.5モルとしたことを特徴とする積層セラミック
コンデンサの製造方法である。
【0017】
【作用】Ni等を内部電極層とした積層セラミックコン
デンサは、Niを酸化させない還元性雰囲気で焼成され
る。この焼成過程においてBaTiO3 も還元されるこ
とにより信頼性が低下する。BaTiO3 が還元された
場合、O0 は1/2O2+V0 +2eの反応を起こし、
酸素空孔と2個の電子が発生する。この電子が絶縁抵抗
の劣化と信頼性の低下を招く。また、酸素空孔の発生が
高温負荷試験における信頼性の低下を招く。
【0018】この電子の発生を防止するためには、イオ
ン半径がTiに近いアルカリ土類金属を添加し、Tiサ
イトに固溶させることが従来おこなわている。これを式
で表すと、MgOはMgTi+O0 +V0 となる。電子の
発生が抑制される。しかし、酸素空孔の発生がある。ま
た、Mgの固溶により酸素空孔の発生が促進される傾向
にあり、これだけでは信頼性の改善につながらない。
【0019】そこで、イオン半径がBaに近い、3価の
希土類元素をBaサイトに固溶させることが有効とな
る。希土類元素をREと表すと、RE2 3 は2REBa
+2O0 +2e+1/2O2 となり、酸素空孔の発生が
抑えられる。電子の発生はあるが、発生数はBaTiO
3 が還元された時の1/2になる。
【0020】希土類元素の酸素空孔の発生抑制効果とア
ルカリ土類金属の電子発生の抑制効果とが相乗しあって
信頼性を改善することが従来の手法であった。
【0021】しかし、Baサイトに入れたいREはイオ
ン半径が大きいものでも、BaとTiの中間であり、T
iサイトにも固溶する。
【0022】本発明は、これを防止し、Baサイトに確
実にREを固溶させるために、アルカリ土類をBaTi
3 のTiサイトへ固溶させ、REをBaサイトに固溶
させることによって、信頼性を向上させたものである。
具体的には、誘電体層のBaTiO3 のBaサイトに確
実にREを固溶させるため、アルカリ土類を誘電体層中
に添加しておき、また、REをNi電極材料中に添加し
ており、焼成過程で先にアルカリ土類をBaTiO3
Tiサイトに固溶させ、その後、REをBaサイトに固
溶させている。
【0023】これより、3価の希土類元素REをBaサ
イトに、有効に固溶させることができ、Tiサイト側に
固溶してしまうことを抑えることができるため、非常に
長期信頼性に優れた積層セラミックコンデンサが容易に
達成できる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の積層セラミックコ
ンデンサの製造を図面を用いて説明する。
【0025】図1は本発明の積層セラミックコンデンサ
の外観図であり、図2は本発明の積層セラミックコンデ
ンサの断面図であり、図3は、本発明の製造方法によっ
て形成された誘電体層のSEM写真の模試図である。
【0026】図1において、10は積層体であり、積層
体10は誘電体層1、内部電極層、2(2a、2b)と
から成り、さらに、積層体10の一対の端部に形成され
た外部端子電極3(3a,3b)から構成されている。
【0027】誘電体層1は、非還元性誘電体磁器材料
(還元雰囲気で焼成処理しても還元されない誘電体材
料)、例えば、BaTiO3 −Y2 3 −MgO−Mn
O及びガラス成分を含む誘電体材料からなり、積層体1
0はこの誘電体層1が複数積層して構成されている。そ
して、誘電体層1の厚みは、高容量化のために1〜4μ
mとなっている。即ち、非還元性誘電体磁器材料は、B
aTiO3 を主成分として、アルカリ土類金属であるM
gを有し、さらに、3価の希土類元素Yを有して構成さ
れている。
【0028】内部電極層2は、Niなどを主成分として
構成されている。そして、この内部電電極層2を形成す
るための導電性ペースト中には、焼成工程で誘電体層1
に拡散しえるY2 3 等の3価の希土類元素が含有され
ている。この特に、導電性ペーストの固形成分に対し
て、0.5〜3.0wt%でY2 3 等の3価の希土類
元素が含有されている。
【0029】このような内部電極層2の厚みは、約1〜
2μmであり、積層体1の厚み方向に隣接しあう一対の
内部電極層2a、2bのうち一方の内部電極層2aは積
層体10の一方端面に、他方内部電極層2bは積層体1
0の他方面にそれぞれ導出される。
【0030】外部端子電極3は、積層体10の内部電極
層2a,2bが露出する端面を包含する積層体10の端
部に形成されている。具体的には、NiやCuなどの下
地厚膜導体を焼き付けにより形成し、その表面に、N
i、Sn又はSn−Pbのメッキ膜が形成されている。
尚、NiやCuなどを主成分とする導電性ペーストは、
例えば、樹脂製ペーストを用いて熱硬化処理を施しても
構わない。この場合、積層体10の端部に焼き付け下地
導体、導電性中間樹脂層、メッキ層の順に、また、積層
体10の端部に導電性下地樹脂層、メッキ層の順に形成
する。
【0031】これより、積層体10の内部電極層2aの
一部(積層体10の端面部分)は、外部端子電極3aに
接続し、内部電極層2bの一部は、外部端子電極3bに
接続する。
【0032】次に、本発明の積層セラミックコンデンサ
の製造方法の一例を説明する。
【0033】実施例では、誘電体層1の厚みを4μm以
下と非常に薄くするためには、誘電体層1を誘電体セラ
ミックスリップ材(以下、単にスリップ材という)をド
クターブレード法の繰り返しによって積層する塗布積層
方法で説明する。
【0034】誘電体スリップ材は、BaTiO3 、Mg
O、MnOとガラス成分の粉末とが所定割合で調合さ
れ、さらに、混合粉砕後、樹脂分を均一混練したもので
ある。
【0035】例えば、誘電体層1の形成時に、スリップ
をドクタ−ブレ−ド法により塗布して、塗布厚み5μm
の誘電体層を形成するものである。
【0036】また、内部電極層2となる導体膜を形成す
るための所定導電性ペ−ストを形成する。導電性ペ−ス
トは、平均粒径0.3〜0.6μm(マイクロトラック
の測定で0.5〜1.0μm)のNi粉末、RE2 3
粉末(RE=Y、Gd、Dy、Ho、Er、Yb)、有
機樹脂、有機溶剤を混合し、3本ロ−ルミキシングにて
作成した。尚、RE2 3 粉末を用いずに、Ni粉末の
表面に、RE2 3 を存在させた粉末(コ−ティングさ
れた粉末)を用いても構わない。
【0037】さらに、外部端子電極3の下地厚膜導体と
なる所定導電性ペ−ストを形成する。具体的には、Cu
粉末、ガラス粉末、樹脂、有機溶剤を混合し、3本ロ−
ルミキシングにて作製したCu導電性ペーストを作成し
た。
【0038】まず、塗布基体の表面に、スリップ材のド
クターブレード法によって、グリ−ン塗布膜を形成す
る。そして、グリーン塗布膜の各素子領域に、例えば内
部電極層2aとなる導体膜を上述の導電性ペ−ストを印
刷・乾燥して形成する。次に、各素子領域の内部電極層
2aとなる導体膜を被覆するように、誘電体スリップ材
のドクタ−ブレ−ド法にてグリ−ン塗布膜を形成し、グ
リーン塗布膜の各素子領域に、例えば内部電極層2bと
なる導体膜を上述の導電性ペ−ストを印刷・乾燥して形
成する。
【0039】このように、グリーン塗布膜及び内部電極
層となる導体膜の交互の繰り返して未焼成状態の積層体
10を形成する。
【0040】次に、未焼成状態の積層体10を各素子領
域毎に切断を行い、グリ−ンチップを形成する。
【0041】次にグリ−ンチップの脱バインダ−処理、
焼成処理を行い、誘電体層1を再酸化させるため、熱処
理を行う。例えば、脱バンダ−処理はAir中260℃
で4時間実施する。また、焼成処理は、水素4% 窒素
96%の雰囲気ガス中1240℃〜1340℃にて焼成
を行う。また、熱処理は、焼成後の磁器を窒素中100
0℃〜1050℃の温度範囲で3時間〜15時間の熱処
理を行う。
【0042】本実施例では熱処理は1050℃の7.5
時間にて実施した。これにより、グリ−ン塗布膜は誘電
体層1に、導体膜は内部電極層2となる。
【0043】次に、焼成処理された積層体10をバレル
研磨により、積層体10の端面から内部電極層2a,2
bを露出させ、外部端子電極3a、3bとなる導電性ペ
−スト中に、積層体10の両端面を浸漬して、外部端子
電極3a、3bの下地導体膜を塗布し、窒素雰囲気中で
焼き付け処理を行う。その後、下地導体膜の表面にN
i、Snのメッキ処理を行う。
【0044】上述の積層セラミックコンデンサの製造方
法にあたり、本発明者は、誘電体層にRE2 3 (RE
はY,Gd,Dy,Ho,Er,Yb)を含有させる方
法として、直接、誘電体層を構成する誘電体材料にRE
2 3 を含有させた場合と、また、直接、誘電体層を構
成する誘電体材料にRE2 3 を含有させるとともに、
内部電極層2を形成するためのNiを主成分とする導電
性ペ−スト中にRE2O3 (REはY,Gd,Dy,H
o,Er,Yb)粉末を添加したり、表面にRE2 3
(REはY,Gd,Dy,Ho,Er,Yb)をコーデ
ィングしたNi粉末を用いたNiを主成分とする導電性
ペ−ストを用いたり、さらに、誘電体層を構成する誘電
体材料にRE2 3 を含有させず、内部電極層にRE2
3 (REはY,Gd,Dy,Ho,Er,Yb)粉末
を添加したりして、積層セラミックコンデンサの試料を
作成した。
【0045】尚、各々の積層セラミックコンデンサは、
静電容量、誘電損失の測定及び高温負荷試験を実施し、
チップの信頼性を確認した。高温負荷試験は温度125
℃、印加電圧は26Vで実施し、不良発生時間をワイブ
ルプロットし、45℃定格電圧(本実施例の製品は6.
3V)5年での推定不良率にて信頼性を評価した。不良
率の推定は、温度及び電圧による加速率を下式として実
施した。電圧の加速係数としてはn=4.92、温度の
加速係数としてはE/k=12850を使用した。
【0046】t0 /t=(V/V0 n exp・〔E/
k(1/T0 −1/T)〕 t:平均故障時間 V:加速電圧(本実施例では26V) V0 :定格電圧(本実施例では6.3V) T:加速温度(本実施例では125℃) T0 :実使用温度(本実施例では45℃) E:活性化エネルギ− k:ボルツマン定数 n:電圧の加速係数 尚、試料の誘電体材料の酸化物は、100BaTiO3
+aMnO+bMgO+cLi2 O+dSiO2 であ
り、0.05≦a≦0.50、0.50≦b≦3.50、0.00≦c≦3.0
0、0.75≦d<2.00となるように、例えば、表1に示す
ように、aをMnCO3 換算で0.2モルとし、bを
0.7〜3.5の範囲で設定し、cを0〜3.0の範囲
に設定し、dを1.8とした。また、表においては、R
2 3 は、焼成後、誘電体層に含有(拡散)する3価
の希土類元素の酸化物のモル比を示している。また、試
料としてL寸法が3.2mm、W寸法1.6mmで、誘
電体層1の厚みが3.5μm程度で315層積層した積
層セラミックコンデンサを用いた。
【0047】表1に誘電体材料組成及び内部電極へのR
E添加量、誘電体層中のREのモル比を示し、表2にそ
の結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】静電容量値及び誘電損失の測定は1kH
z、1Vrmsにて実施した。
【0051】信頼性の判断基準としては45℃定格電圧
・5年における推定不良率1500ppm以下を良好と
して判断する。
【0052】表中の誘電体層1を構成する誘電体材料と
して、試料番号1〜14及び25〜28は、誘電体層1
を構成する誘電体材料に、RE2 3 であるY2 3
若干添加した積層セラミックコンデンサである。
【0053】また、試料番号1〜4は、内部電極層2と
なるRE2 3 を添加していない導電性ペーストを用い
て積層セラミックコンデンサである試料を形成した。
【0054】その結果、焼成された誘電体層1中には、
BaTiO3 100モルに対して、0.7〜1.5モル
のY2 3 を含有しているものの、45℃定格5年推定
不良率が1500ppmを越えてしまう。
【0055】試料番号5〜11は、誘電体材料組成に予
め、BaTiO3 100モルに対して、0.7モルのY
2 3 を含有しておき、さらに、0.58wt%のY
(イットリア)を表面にコ−ティングしたNi粉末を有
する導電性ペーストを用いて内部電極層を形成した積層
セラミックコンデンサである。その結果、焼成された誘
電体層1中には、BaTiO3 100モルに対して、
0.83モルのY2 3 が含有及び拡散されることにな
る。
【0056】尚、試料番号5〜11は、誘電体材料のM
gO量を変更したものである。
【0057】この試料からMgO添加量が0.50〜
3.50の範囲で定格5年推定不良率が1500ppm
以下となり、信頼性が得られる。特に0.70〜3.5
0の範囲では、さらに、1000ppm以下となり良好
な結果が得られる。
【0058】試料番号12〜14は、誘電体材料組成に
予めBaTiO3 100モルに対して、0.7モルのY
2 3 を含有しておき、Y(イットリア)を表面にコ−
ティングの量を試料番号5〜11に比較して増やした導
電性ペーストを用いて内部電極層を形成した積層セラミ
ックコンデンサである。この試料番号12〜14から、
Y(イットリア)の重量は、金属成分(Ni+Y)の対
して、1.12〜2.0wt%までの範囲で増加されて
いる。その結果、焼成された誘電体層1中には、BaT
iO3 100モルに対して、0.83〜1.14モルの
2 3 が含有及び拡散されることになる。
【0059】尚、この範囲では、良好な結果が得られ、
さらに、Y量の増加により焼結性が向上する傾向にあ
る。
【0060】試料15〜23は、誘電体材料組成にはY
2 3 などの希土類元素の酸化物を添加せず、焼成後の
誘電体層のRE2 3 は、内部電極層側からの拡散によ
るものである。
【0061】試料番号15〜18では、内部電極層を形
成するNiを主成分とする導電性ペースト中に、Y2
3 を0.58〜10.0wt%添加した。
【0062】試料番号15では、Niを主成分とする導
電性ペースト中に、Y2 3 を0.58wt%添加し
た。その結果、焼成された誘電体層1中のBaTiO3
100モルに対して、0.13モル程度のY2 3 しか
拡散させることができず、信頼性の急激な低下が見られ
る。
【0063】また試料番号18では、Niを主成分とす
る導電性ペースト中に、Y2 3 を10.wt%添加し
た。その結果、焼成された誘電体層1中のBaTiO3
100モルに対して、2.89モルのY2 3 が拡散す
る。この場合、Y2 3 が過剰となり、信頼性の低下が
見られる。
【0064】これらのYに関しては、焼成処理後の誘電
体層1に含有するY2 3 は、BaTiO3 100モル
に対するモル比で0.35〜2.5が最良と判断され、
しかも、このY2 3 をNiを主成分とする内部電極層
側から拡散させることが重要となる。これは、作用で説
明したように、Baサイト側にイットリアを安定的にか
つ確実に固溶させるためである。
【0065】試料番号19〜23は、REとして、試料
番号17のYの代替として、Gd、Dy、Ho、Er、
Ybを変更したものである。これらの結果、Yと同様、
3価の希土類元素であるGd、Dy、Ho、Er、Yb
でも、良好な信頼性が得られている。また、これらの希
土類元素を2種類以上添加しても、同様の良好な結果が
得られることを確認している。
【0066】試料24〜28はLi2 Oの添加量を変更
したものである。Li2 Oの添加量3.00で信頼性が
低下する傾向にある。この場合、Li2 Oの添加量の添
加量は、0.0〜3.00の範囲で定格5年推定不良率
が1500ppm以下となり、信頼性が得られる。特に
0.0〜2.00の範囲では、さらに、1000ppm
以下となり、誘電損失も向上し、良好な結果が得られ
る。
【0067】図3は、本発明の積層セラミックコンデン
サ、例えば、試料番号6における誘電体層1の断層状態
のSEM写真(15000倍)の模試図であり、図4
は、従来の積層セラミックコンデンサ、例えば、試料番
号1における誘電体層の断層状態のSEM写真の模試図
である。図4の従来の誘電体磁器では、概略球状のBa
TiO3 の粒子が整然と配列された状態である。これに
対して、図3の本発明の誘電体磁器では、角を有する概
略球状のBaTiO3 の粒子が整然と配列された状態と
なる。この角は、BaTiO3 のBaサイトに安定して
希土類元素が固溶しているためと考えられる。
【0068】尚、上述の試料では、試料の誘電体材料の
酸化物は、100BaTiO3 +aMnO+bMgO+
cLi2 O+dSiO2 であり、0.05≦a≦0.50、0.50
≦b≦3.50、0.00≦c≦3.00、0.75≦d<2.00となるよ
うにしている。MgOやLi2 Oのモル比は、上述の試
料番号5〜11及び試料番号24〜28のとおり、長期
にわたり不良の発生率を低下させ、誘電損失を向上させ
るためには、0.70≦b≦3.50、0.00≦c≦2.00となるよ
うにすることが重要である。
【0069】また、MnOの適正範囲である0.05≦a≦
0.50としている。MnOのモル比bが0.05よりも小
さい場合には、絶縁抵抗が低くなり積層型磁器コンデン
サとしての実用的な誘電特性が得られなくなり、0.5
0よりも大きい場合には、エージングレートが大きくな
り、積層型磁器コンデンサとしての実用的な誘電特性が
得られなくなるからである。
【0070】また、SiO2 の適正範囲である0.75≦d
<2.00としている。SiO2 のモル比dが0.75より
も小さい場合には、焼結性が低下し、焼成温度1350
℃で緻密な磁器が得られなくなり、2.00以上となる
と比誘電率が低く、絶縁抵抗が低くなるからである。
【0071】
【発明の効果】以上の結果から理解されるように、Y,
Gd、Dy、Ho、Er、Yb/または酸化物の少なく
とも1種以上を、BaTiO3 100モルに対するモル
比で0.25〜2.5添加する方法として前記添加物を
Ni内部電極層ペ−スト中へ含有させ、焼成過程におい
て、誘電体層に拡散させることにより、長期信頼性に優
れた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層セラミックコンデンサの概略
外観図である。
【図2】本発明に係る積層セラミックコンデンサの断面
図である。
【図3】本発明に係る積層セラミックコンデンサの誘電
体層の断層SEM写真の模試図である。
【図4】従来の積層セラミックコンデンサの誘電体層の
断層SEM写真の模試図である。
【符号の説明】
1・・・誘電体層 2・・・内部電極層 3、4・・・外部端子電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/30 301 H01G 4/30 311D 311 C04B 35/46 D Fターム(参考) 4G031 AA06 AA07 AA08 AA11 AA39 BA09 CA03 5E001 AB03 AC03 AC09 AD03 AE00 AE02 AE03 AE04 AF00 AF06 AH01 AH05 AH09 AJ01 AJ02 5E082 AA01 AB03 BC38 EE04 EE19 EE23 EE27 EE35 EE42 FF14 FG06 FG22 FG25 FG26 FG27 FG46 FG52 FG54 GG10 GG11 GG26 GG28 HH43 JJ03 JJ05 JJ12 JJ21 JJ23 LL01 LL02 MM24 PP03

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 BaTiO3 、アルカリ土類金属を有す
    る誘電体材料から成る誘電体グリーン層と、Niまたは
    Ni合金を主成分とする導体膜とを交互に積層するとと
    もに、焼成処理し、BaTiO3 を主成分とする誘電体
    層と、NiまたはNi合金を主成分とする内部電極層と
    から成る積層セラミックコンデンサの製造方法であっ
    て、 前記NiまたはNi合金を主成分とする導体膜は、3価
    の希土類元素(Y、Gd、Dy、Ho、Er、Yb)及
    びその酸化物から選択される少なくとも1種以上を含
    み、前記焼成処理によって、前記3価の希土類元素及び
    その酸化物の少なくとも1種以上を、前記誘電体層中に
    拡散させ、該誘電体層中の希土類元素をBaTiO3
    00モルに対して0.25〜2.5モルとしたことを特
    徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
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