JP2001010863A - セラミックス基複合材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
め、ポリマー含浸工程と不活性焼成工程におけるSiC
の充填効率を高めて、気密性のあるセラミックス基複合
材料を効率的に短期間で製造することができるセラミッ
クス基複合材料の製造方法を提供する。 【解決手段】 マトリックス形成工程10が、少なくと
もポリカルボキシラン(PCS)とポリメチルシラン
(PMS)からなる混合有機ポリマーを焼成温度より低
い中間温度で一定時間保持して互いにクロスリンクさせ
るクロスリンク工程14と、混合有機ポリマーを基材に
含浸するポリマー含浸工程15と、前工程後の部材を不
活性ガス中で高温焼成する不活性焼成工程16とを有す
る。クロスリンク工程では、約573K〜723Kにお
いて一定時間保持する。
Description
のSiCへの転化率を高めたセラミックス基複合材料の
製造方法に関する。
があるため、これをセラミックス繊維で強化したセラミ
ックス基複合材料(Ceramics Matrix Ceramics:CMC)
が開発されている。CMCの製造において、成形された
繊維織物の隙間にマトリックスを形成するマトリックス
成形工程は、例えば気相含浸工程と、ポリマー含浸工程
とからなる。
ical Vapor Infiltration:気相含浸法)で処理する工程
であり、繊維織物の表面に緻密なセラミックスマトリッ
クスを形成する。また、ポリマー含浸工程は、有機珪素
ポリマーをキシレン等の溶剤に溶かして気相含浸後の織
物に含浸させる工程であり、これを乾燥させ、更に不活
性焼成工程において、高温焼成して有機珪素ポリマーを
SiCに転化させ、織物の繊維間にSiCを充填する。
ラミックス基複合材料、例えばタービン翼、燃焼器、ノ
ズル等である場合、上述したポリマー含浸工程と不活性
焼成工程を繰り返してCMCの繊維織物の隙間を完全に
マトリックスで充填する必要がある。
製造方法では、高温焼成時にポリマーが熱分解してメタ
ンや水素を分離し、SiCに転化される比率が30〜6
0%程度と低く、そのためポリマー含浸工程と不活性焼
成工程を交互に繰り返して、例えば20回程度行う必要
があった。そのため、ポリマー含浸工程と不活性焼成工
程の繰り返しに長期間を要し、セラミックス基複合材料
の生産性が低い問題点があった。
案されたものである。すなわち、本発明の目的は、有機
珪素ポリマーのSiCへの転化率を高め、ポリマー含浸
工程と不活性焼成工程におけるSiCの充填効率を高め
て、気密性のあるセラミックス基複合材料を効率的に短
期間で製造することができるセラミックス基複合材料の
製造方法を提供することにある。
含浸工程に適用する有機珪素ポリマーとして、例えば、
ポリカルボキシラン(PCS)、ポリメチルシラン(P
MS)等が用いられている。ポリカルボキシラン(PC
S)は、その前駆体であるジメチルクロロシランを重合
させて高分子化したものであるが、その分子中の余剰な
H原子やC分子が不活性焼成工程の初期に水素やメタン
として分解してしまうため、SiCへの転化率は60%
程度であった。また、ポリメチルシラン(PMS)は、
その前駆体であるモノメチルクロロシランを重合させて
高分子化したものであるが、低分子量オリゴシランであ
ることから、SiCへの転化率は更に低く、最大でも4
0%程度であった。また、生成したSiCは、Siを多
く含む組成となる。
性焼成工程の初期における分解を抑制するために予めポ
リカルボキシラン(PCS)とポリメチルシラン(PM
S)を混合し、互いにクロスリンクさせてSiCへの転
化率を高めるものである。
り繊維織物を成形する繊維織物成形工程と、該織物の表
面にコーティング層を形成する繊維表面処理工程と、繊
維間にマトリックスを形成するマトリックス形成工程
と、を有するセラミックス基複合材料の製造方法におい
て、前記マトリックス形成工程が、少なくともポリカル
ボキシラン(PCS)とポリメチルシラン(PMS)か
らなる混合有機ポリマーを焼成温度より低い中間温度で
一定時間保持して互いにクロスリンクさせるクロスリン
ク工程と、混合有機ポリマーを基材に含浸するポリマー
含浸工程と、前工程後の部材を不活性ガス中で高温焼成
する不活性焼成工程とを有する、ことを特徴とするセラ
ミックス基複合材料の製造方法が提供される。
合されたポリカルボキシラン(PCS)とポリメチルシ
ラン(PMS)が、クロスリンク工程において互いに分
子結合(リンク)して高比率のSi-C骨格を有するポ
リマーとなるので、その後、不活性ガス中で高温焼成中
に生じるメタンガス発生によるロスが少なくなり、Si
Cへの転化率を高めることができる。
クロスリンク工程において、約573K〜723Kにお
いて一定時間保持する。この方法により、実験の結果、
約90%のSiCへの転化率を達成できることが確認さ
れた。
を図面を参照して説明する。図1は、本発明のセラミッ
クス基複合材料の製造方法を示すフロー図である。この
図に示すように、本発明の方法は、繊維織物成形工程
2、繊維表面処理工程4、マトリックス形成工程10、
及び機械加工工程6からなる。
いて所定の形状の繊維織物を成形する。この工程で成形
する形状は、適用するタービン翼、燃焼器、アフターバ
ーナ部品等のガスタービン部品に適した立体形状である
のがよいが、平面形状であってもよい。
織物にカーボン(好ましくはグラファイトカーボン)又
はBNをコーティングする。コーティングの厚さは、
0.1〜1.0μm程度であるのがよい。かかるコーテ
ィング層は、特開昭63−12671号公報に開示され
るように、マトリックスと繊維とを分離し繊維のじん性
を強化する役割を果たす。
形成工程10で完成したセラミックス基複合材料を機械
加工や表面研削して、所望のガスタービン部品を製造す
る工程である。この工程では、例えばダイヤモンド砥石
を用いて所定の形状に加工する。
10は、更に、気相含浸工程12、ポリマー含浸工程1
5、クロスリンク工程14及び不活性焼成工程16から
なる。
Vapor Infiltration:気相含浸法)で処理する工程であ
り、炉内に専用治具で固定された織物を加熱し、減圧雰
囲気にてメチルトリクロロシランを流入させてSiCを
合成させる。合成されるSiCの体積率は、0.2程度
を目安とする。
ルシラン(PMS)の混合比率は、SiCへの転化率を
高めるように選択するのがよく、例えば重量比率で、
1:1〜2:1程度とする。
低い中間温度で一定時間保持して互いにクロスリンクさ
せる。このクロスリンク工程15では、約573K〜7
23Kにおいて一定時間保持するのがよい。
ンク工程14で製造した有機ポリマーを直接または溶剤
等に溶かして気相含浸後の織物に含浸させる。
活性ガス(例えば窒素ガス)中で約1200℃まで高温
焼成して有機珪素ポリマーをSiCに転化させる。ポリ
マー含浸工程15と不活性焼成工程16を交互に繰り返
して行い、織物の繊維間がSiCで充填されるまで、例
えば4〜5回程度行うのがよい。
ーの分子構造図である。この図において、(A)はポリ
カルボキシラン(PCS)、(B)はポリメチルシラン
(PMS)であり、それそれ従来から単独で用いられて
いる。ポリカルボキシラン(PCS)は、その前駆体で
あるジメチルクロロシランを重合させて高分子化したも
のであるが、前述したように分子中の余剰なH原子やC
H3 分子が不活性焼成工程の初期に水素やメタンとして
分解してしまうため、SiCへの転化率は最大でも60
%程度である。また、ポリメチルシラン(PMS)は、
その前駆体であるモノメチルクロロシランを重合させて
高分子化したものであるが低分子オリゴシランであるこ
とから、SiCへの転化率は更に低く最大でも40%程
度である。
る混合有機ポリマーは、ポリカルボキシラン(PCS)
とポリメチルシラン(PMS)を単に混合したものであ
るが、その後のクロスリンク工程15において、図2
(C)に模式的に示すように、相互に分子結合(リン
ク)して高比率のSi-C骨格を有するポリマーとなる
と考えられる。この結果、SiCへの転化率が約90%
以上に高まっている。
ある。この図において、横軸は400℃から約1300
℃までの昇温時の温度、縦軸はこれに伴う有機珪素ポリ
マーの残存率である。また、図中の3本の線は、実線が
本発明の方法によるもの、細線がPCSを用いた方法、
破線がPMSを用いたものである。なお、この例では、
3種とも同一の温度上昇で実施している。
なわちSiCへの転化率は、PCSを用いた場合は約6
0%、PMSを用いた場合は約35%であるのに対し
て、本発明の方法よる場合には、約90%以上となって
いるのがわかる。これは、上述したように、クロスリン
ク工程14においての効果を示すものである。
されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更でき
ることは勿論である。例えば、PCSの代わりにPVS
(ポリビニルシラン)等の有機ポリマーを使用しても同
様の効果が期待できる。
基複合材料の製造方法は、有機珪素ポリマーのSiCへ
の転化率を高め、不活性焼成工程におけるSiCの充填
効率を高めて、気密性のあるセラミックス基複合材料を
効率的に短期間で製造することができる、等の優れた効
果を有する。
示すフロー図である。
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 無機繊維により繊維織物を成形する繊維
織物成形工程と、該織物の表面にコーティング層を形成
する繊維表面処理工程と、繊維間にマトリックスを形成
するマトリックス形成工程と、を有するセラミックス基
複合材料の製造方法において、 前記マトリックス形成工程が、少なくともポリカルボキ
シラン(PCS)とポリメチルシラン(PMS)からな
る混合有機ポリマーを焼成温度より低い中間温度で一定
時間保持して互いにクロスリンクさせるクロスリンク工
程と、混合有機ポリマーを基材に含浸するポリマー含浸
工程と、前工程後の部材を不活性ガス中で高温焼成する
不活性焼成工程とを有する、ことを特徴とするセラミッ
クス基複合材料の製造方法。 - 【請求項2】 前記クロスリンク工程において、約57
3K〜723Kにおいて一定時間保持する、ことを特徴
とする請求項1に記載のセラミックス基複合材料の製造
方法。
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