JP2018138710A - セラミックス被覆繊維の製造方法及びセラミックス基複合材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、CVIや化学気相堆積法(CVD)を用いた場合、塩素系ガス等の化学ガスを使用するために専用の設備が必要であり、生産工程や設備の管理が煩雑であるという問題がある。
また、非特許文献1が開示する中間層の形成方法によれば、0.4μmのBNコーティングを形成するために、ディッピングと1000℃での加熱を4回も繰り返さなければならない。このため、非特許文献1が開示する中間層の形成方法には、生産性が低いという問題がある。
更に、非特許文献1が開示する中間層の形成方法には、BNコーティングが局所的に形成され、セラミックス繊維の表面全体を覆うことが困難であるという問題がある。
第1原料、前記第1原料と反応して第1セラミックスを生成可能な第2原料、及び、前記第1セラミックスに含まれる酸素量を低減可能な還元剤を含む溶液を用意する溶液用意工程と、
第2セラミックス又は前記第2セラミックスの原材料を含有するセラミックス繊維を用意する繊維用意工程と、
前記セラミックス繊維に前記溶液を付与する溶液付与工程と、
前記セラミックス繊維に付与した前記溶液を乾燥させ、前記セラミックス繊維の周りに前記溶液中の成分によって構成される中間皮膜を形成する乾燥工程と、
前記セラミックス繊維及び前記中間皮膜を加熱し、前記セラミックス繊維の周りに前記第1セラミックスを含有するセラミックス皮膜を形成する加熱工程と、
を備える。
前記還元剤は、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、及び、パラフィンからなる群より選択される一種以上である。
一方、還元剤によって、セラミックス繊維に対する溶液成分の付着性を高めることができる。この結果として、セラミックス繊維にセラミックス皮膜を容易に形成することができ、セラミックス繊維の表面全体をセラミックス皮膜で覆うことができる。
前記繊維用意工程において、前記セラミックス繊維からなるセラミックス繊維の織物又は束を用意し、
前記溶液付与工程において、大気圧よりも低圧下で前記セラミックス繊維の織物又は束を前記溶液に浸漬する。
前記第1原料はホウ酸であり、
前記第2原料は尿素であり、
前記第1セラミックスは窒化ホウ素であり、
前記第2セラミックスは炭化珪素である。
上記構成(1)乃至(4)の何れか1つに記載のセラミックス被覆繊維の製造方法と、
前記セラミックス繊維の周りに形成されたセラミックス皮膜の周りに、第3セラミックスを含有するセラミックスマトリックスを形成するマトリックス形成工程と、
を備える。
ガスタービン用高温部品の少なくとも一部を構成するセラミックス基複合材を製造する。
例えば、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1に示したように、セラミックス被覆繊維の製造方法は、溶液用意工程S1と、繊維用意工程S3と、溶液付与工程S5と、乾燥工程S7と、加熱工程S9とを有する。
例えば、乾燥工程S7では、溶液が付与されたセラミックス繊維を100℃以上、例えば100℃の温度で加熱する。
ここで第1セラミックスの形成の際には、第1原料と第2原料とが反応する。また、セラミックス繊維が第2セラミックスの原材料を含有している場合、第2セラミックスの原材料が加熱されて第2セラミックスとなる。
例えば、加熱工程S9では、グリーン体を窒素ガス等の還元雰囲気中で1000℃以上1300℃以下の温度、例えば1200℃の温度で、3時間以上、例えば4時間加熱する。
上記構成によれば、溶液付与工程S5、乾燥工程S7、及び、加熱工程S9を繰り返すことで、より厚いセラミックス皮膜を形成可能である。
なお、溶液付与工程S5、乾燥工程S7、及び、加熱工程S9を必ずしも繰り返す必要はなく、溶液付与工程S5、乾燥工程S7、及び、加熱工程S9の実施回数は1回のみであってもよい。
一方、還元剤によって、セラミックス繊維に対する溶液成分の付着性を高めることができる。この結果として、セラミックス繊維にセラミックス皮膜を容易に形成することができ、セラミックス繊維の表面全体をセラミックス皮膜で覆うことができる。
幾つかの実施形態では、還元剤は、ポリビニルアルコール樹脂である。
幾つかの実施形態では、第2セラミックスは、Al2O3、SiC、Si3N4、Al2O3−SiO2等からなる群から選択される一種以上である。
上記構成によれば、炭化珪素からなるセラミックス繊維を、酸素含有量の少ない窒化ホウ素からなるセラミックス皮膜によって覆うことができる。
図2に示したように、セラミックス基複合材の製造方法は、上述した何れかのセラミックス被覆繊維の製造方法と、マトリックス形成工程S11とを有する。
マトリックス形成工程S11では、セラミックス繊維の周りに形成されたセラミックス皮膜の周りに、第3セラミックスを含有するセラミックスマトリックスが形成される。セラミックスマトリックスの形成方法は特に限定されることはなく、ディッピング法、真空浸透法、CVI(化学真空浸透法)、CVD(化学気相堆積法)等を使用することができる。
例えば、得られるセラミックス基複合材において、セラミックス繊維は織物であって、第2セラミックスとして炭化珪素を含み、セラミックス皮膜は第1セラミックスとして窒化ホウ素を含み、セラミックスマトリックスは、第3セラミックスとして窒化珪素を含む。
幾つかの実施形態では、ガスタービン用高温部品は、ガスタービンの燃焼器、静翼、動翼及び分割環等からなる群から選択される一種である。
以下のように、実施例1〜3及び比較例1として、セラミックス被覆繊維をそれぞれ製造し、評価を行った。
1.セラミックス被覆繊維の製造
図3は、溶液用意工程S1にて用意される溶液の組成を示す表である。
まず、図3に示した組成にてホウ酸、ポリビニルアルコール樹脂(PVA:中京油脂株式会社製、セルナWF−804、固形分10%)及び尿素を含む溶液をそれぞれ用意した。
そして、用意した溶液を、スターラを用いて60分間撹拌後、溶液付与工程S5として、撹拌した溶液に炭化珪素からなるセラミックス繊維の束を真空浸透法により浸漬した。その後、乾燥工程S7として100℃の温度にて溶液を付与したセラミックス繊維を乾燥させた。それから、加熱工程S9として、溶液成分が付着したセラミックス繊維を、1300℃の温度で、窒素ガスを流しながら4時間加熱する作業を2回繰り返し、実施例1〜3及び比較例1のセラミックス被覆繊維を製造した。
図4は、実施例1のセラミックス被覆繊維の走査型電子顕微鏡写真である。図5は、実施例1のセラミックス被覆繊維のXPS(X線光電分光法)によるB1sピークの分析結果を示すチャートである。同様に、図6、図7及び図8は、それぞれ実施例2、3及び比較例1のセラミックス被覆繊維の走査型電子顕微鏡写真であり、図9は、比較例1のセラミックス被覆繊維のXPSによる分析結果を示すチャートである。
S3 繊維用意工程
S5 溶液付与工程
S7 乾燥工程
S9 加熱工程
Claims (6)
- 第1原料、前記第1原料と反応して第1セラミックスを生成可能な第2原料、及び、前記第1セラミックスに含まれる酸素量を低減可能な還元剤を含む溶液を用意する溶液用意工程と、
第2セラミックス又は前記第2セラミックスの原材料を含有するセラミックス繊維を用意する繊維用意工程と、
前記セラミックス繊維に前記溶液を付与する溶液付与工程と、
前記セラミックス繊維に付与した前記溶液を乾燥させ、前記セラミックス繊維の周りに前記溶液中の成分によって構成される中間皮膜を形成する乾燥工程と、
前記セラミックス繊維及び前記中間皮膜を加熱し、前記セラミックス繊維の周りに前記第1セラミックスを含有するセラミックス皮膜を形成する加熱工程と、
を備える
ことを特徴とするセラミックス被覆繊維の製造方法。 - 前記還元剤は、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、及び、パラフィンからなる群より選択される一種以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のセラミックス被覆繊維の製造方法。 - 前記繊維用意工程において、前記セラミックス繊維からなるセラミックス繊維の織物又は束を用意し、
前記溶液付与工程において、大気圧よりも低圧下で前記セラミックス繊維の織物又は束を前記溶液に浸漬する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックス被覆繊維の製造方法。 - 前記第1原料はホウ酸であり、
前記第2原料は尿素であり、
前記第1セラミックスは窒化ホウ素であり、
前記第2セラミックスは炭化珪素である
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のセラミックス被覆繊維の製造方法。 - 請求項1乃至4の何れか1項に記載のセラミックス被覆繊維の製造方法と、
前記セラミックス繊維の周りに形成されたセラミックス皮膜の周りに、第3セラミックスを含有するセラミックスマトリックスを形成するマトリックス形成工程と、
を備える
ことを特徴とするセラミックス基複合材の製造方法。 - ガスタービン用高温部品の少なくとも一部を構成するセラミックス基複合材を製造する
ことを特徴とする請求項5に記載されたセラミックス基複合材の製造方法。
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