JP2001010245A - 熱転写フィルムおよび画像形成方法 - Google Patents

熱転写フィルムおよび画像形成方法

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JP2001010245A
JP2001010245A JP2000008741A JP2000008741A JP2001010245A JP 2001010245 A JP2001010245 A JP 2001010245A JP 2000008741 A JP2000008741 A JP 2000008741A JP 2000008741 A JP2000008741 A JP 2000008741A JP 2001010245 A JP2001010245 A JP 2001010245A
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transfer film
intermediate layer
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resin
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Masanori Torii
政典 鳥井
Mitsuru Maeda
充 前田
Fumihiko Mizukami
文彦 水上
Shigeki Nakajo
茂樹 中條
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印字物に白抜けの発生がなく、鮮明な印字が
でき、基材フィルム上に中間層、着色層を形成する上
で、良好に安定して塗布することができ、さらに機密漏
洩防止機能を有する熱転写フィルム、および、それを用
いた画像形成方法を提供する。 【解決手段】 熱転写フィルムを基材フィルム上に中間
層を介して着色層を設けたものとし、中間層は75℃に
おける溶融粘度が100mPa・s以上1000mPa
・s以下であるポリカプロラクトン系樹脂、および、補
外融解開始温度が130℃以上400℃以下であるバイ
ンダー樹脂を含有しているものとすることにより、中間
層のエネルギーが印加された部位が印字から剥離までの
間にある程度冷却されても、着色層との界面がポリカプ
ロラクトン系樹脂の過冷却性により溶融した状態、か
つ、低粘度の状態にあり、低い剥離力で着色層が熱転写
フィルムから剥離されて被転写紙に転写され、またこれ
により、ラフ紙に対しても抜けの少ない良好な印字物が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材フィルム上に
中間層を介して着色層を設けた熱転写フィルムに関し、
さらに詳しくは、印字物に白抜けの発生がなく、鮮明な
印字ができ、基材フィルム上に中間層、着色層を形成す
る上で、良好に安定して塗布することができ、さらに機
密漏洩防止機能を有する熱転写フィルムおよびそれを用
いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、熱転写プリンター、ファクシミリ
等に用いられる熱転写記録媒体として、基材フィルムの
一方の面に熱溶融性インキからなる着色層を設けた熱転
写フィルムが使用されている。
【0003】従来の熱転写フィルムは、基材フィルムと
して厚さ10〜20μm程度のコンデンサ紙やパラフィ
ン紙のような紙、あるいは厚さ3〜20μm程度のポリ
エステルやセロファンのようなプラスチックフィルムを
用い、この基材フィルム上にバインダーに顔料や染料等
の着色剤を混合し、さらに必要に応じて、低融点剤およ
び可塑剤等の添加剤を加えた熱溶融性のインキを塗布し
て着色層を設けたものである。また、基材フィルムと着
色層との間に、印画の為のエネルギーによって溶融する
ように調整された中間層を備えた熱転写フィルムもあ
る。
【0004】そして、基材フィルムの裏側からサーマル
ヘッドにより所定箇所を加熱・加圧し、着色層のうち、
印字部に相当する箇所の着色層を溶融させ、被転写体に
転写して印字を行うものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、基材フ
ィルム上に中間層と熱溶融性の着色層を設けた従来の熱
転写フィルムを用いて印字を行なった場合、白抜けの発
生による文字や細線の欠損が生じ、印字物がかすれた外
観になってしまうという問題点、熱転写フィルムが被転
写体から剥離される際の剥離音が大きいという問題があ
った。べック平滑度が50秒以下であるような紙目の荒
い紙に対して白抜けを生じること無く印字を行なう為に
は、サーマルヘッドなどの手段によって画素状にエネル
ギーが印加された領域の着色層を被転写紙に抜けが生じ
ること無く(中間層に残ることなく)転写させることが
必要である。このように着色層を被転写紙に抜けが生じ
ること無く全転写させる為には、基材フィルム上に中間
層を介して着色層が設けられた熱転写フィルムの中間層
が溶融した流動性の高い液体状態にあるときに、被転写
体と熱転写フィルムとを剥離することが有効である。し
かし、熱転写フィルムを用いるファクシミリ等で現在一
般に使われている機器では、被転写体と熱転写フィルム
が重ね合わされた後に熱転写フィルムへ印字エネルギー
が印加される瞬間と、熱転写フィルムが被転写体から剥
離されるまでの間に時間の開きがあり、印画の為のエネ
ルギーによって溶融するように調整された中間層を用い
ても、この間に冷却されて再び凝固してしまう、或い
は、凝固していないけれども流動性が低い状態になって
しまうのが一般的であった。
【0006】ところで、融点よりも凝固点が10℃以上
低くなるという、いわゆる過冷却性を有する物質が種々
の文献により公知となっている。この過冷却性を有する
種々の物質を用いた中間層を介して基材フィルム上に着
色層を設けた熱転写フィルムに関する技術が公知となっ
ている。例えば、特開昭61−235189、特開昭6
1−286195、特開昭62−9991、特開昭62
−82084、特開昭63−302090、特開平3−
246094等が挙げられる。一方、ポリカプロラクト
ン系樹脂が過冷却性を有することが種々の文献により公
知となっている。このポリカプロラクトン系樹脂を配合
した着色層を基材フィルム上に設けた熱転写フィルムに
関する技術が公知となっている。例えば、特開昭59−
230795、特開昭60−122194、特開昭60
−122195、特開昭61−185492、特開昭6
2−59089、特開平5−32073等が挙げられ
る。
【0007】また、このポリカプロラクトン系樹脂を用
いた中間層を介して基材フィルム上に着色層を設けた熱
転写フィルムに関する技術が公知となっている。例え
ば、特開昭60−165291には、多数回印字の目的
に、中間層にポリカプロラクトン系樹脂を用いること
が、また、特開平7−232483には、高速印字およ
び高温雰囲中で円滑な印字を可能とする目的で、プライ
マー層に分子量10000以下のポリカプロラクトンを
用いることが開示されている。
【0008】しかし、これらの技術による中間層を用い
た熱転写フィルムでは、やはり白抜けの発生による文字
や細線の欠損が生じ、印字物がかすれた外観になってし
まうという問題点が解消される事は無かった。しかも、
中間層を設ける為のインキを基材フィルムに塗布する際
に、中間層インキを加熱乾燥させた後もその熱によって
中間層材料が溶融したままの状態が暫らくの間続くた
め、塗布後に巻き取られた熱転写フィルムの基材面と中
間層面が接着してしまうという不具合を生じていた。さ
らに、中間層が設けられた基材フィルムに着色層を塗布
する際、溶剤が不要であることにより低コストでの塗布
が可能となるホットメルトコーティング法を行なうと、
中間層のポリカプロラクトンが加熱溶融された着色層イ
ンキの熱で溶融して液体となるため、着色層インキを良
好な面質で安定して塗布することが出来ないという不具
合を生じていた。
【0009】本発明は、上記の欠点、問題を改善、解決
し、印字物に白抜けの発生がなく、鮮明な印字ができ、
基材フィルム上に中間層、着色層を形成する上で、良好
に安定して塗布することができ、さらに機密漏洩防止機
能を有する熱転写フィルム、および、それを用いた画像
形成方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明者は、被転写物と熱転写フィルムが剥
離される時点で溶融状態にあるポリカプロラクトン系樹
脂等の過冷却性を有する熱溶融性物質の溶融粘度に着目
して種々検討を重ねた結果、熱転写フィルムに関する本
発明に至った。また、ポリカプロラクトン系樹脂等の過
冷却性を有する熱溶融性物質を含有する中間層のコーテ
ィング適性、および、中間層上への着色層の重ね塗り適
性について詳細な検討を行い、ポリカプロラクトン系樹
脂等の過冷却性を有する熱溶融性物質の溶融粘度に悪影
響を及ぼすことなく、両者の適性を改善しうる一群のバ
インダー樹脂を明らかにして、熱転写フィルムに関する
本発明に至った。さらに、熱転写フィルムと被転写体を
重ねて加熱記録してから、両者を分離させるまでの時間
間隔を測定し検討した結果、印字物に白抜けの発生がな
く、鮮明な印字が可能となる画像形成方法に関する本発
明に至った。
【0011】すなわち、熱転写フィルムの第1の発明
は、基材フィルム上に中間層を介して着色層を設けた熱
転写フィルムにおいて、該中間層は75℃における溶融
粘度が100mPa・s以上1000mPa・s以下で
あるポリカプロラクトン系樹脂、および、補外融解開始
温度(JIS K7121−1987に定める補外融解
開始温度)が130℃以上400℃以下であるバインダ
ー樹脂を含有しているような構成とした。
【0012】また、前記バインダー樹脂が前記ポリカプ
ロラクトン系樹脂に対して非相溶性であるような構成と
した。
【0013】また、前記ポリカプロラクトン系樹脂の融
解ピーク温度(JIS K7121−1987に定める
融解ピーク温度)が45℃以上70℃以下であり、中間
層の前記バインダー樹脂の中間点ガラス転移温度(JI
S K7121−1987に定める中間点ガラス転移温
度)がポリカプロラクトン系樹脂の前記融解ピーク温度
よりも2℃以上高い温度であるような構成とした。
【0014】また、前記バインダー樹脂の数平均分子量
が8000以上1000000以下であるような構成、
前記バインダー樹脂がポリエステル樹脂であるような構
成とした。また、前記中間層にカーボンブラックが配合
されているような構成とした。
【0015】また、前記バインダー樹脂が熱転写しない
多孔質膜を構成し、該多孔質膜の多孔中にポリカプロラ
クトン系樹脂を含有しているような構成、さらに、前記
多孔質膜にカーボンブラックが配合されているような構
成とした。
【0016】さらに、前記着色層の100℃における溶
融粘度が150mPa・s以上300mPa・s以下で
あるような構成、あるいは、前記着色層の融解ピーク温
度(JIS K7121−1987に定める融解ピーク
温度)と前記ポリカプロラクトン系樹脂の融解ピーク温
度(JIS K7121−1987に定める融解ピーク
温度)との差が10℃以下であるような構成とした。
【0017】本発明の画像形成方法は、熱転写フィルム
の着色層面に被転写体を重ね合わせ、基材フィルム側か
ら加熱手段により、画素状に加熱記録を行い、熱転写フ
ィルムと被転写体とを分離させる画像形成方法におい
て、上述の第1の発明の熱転写フィルムを使用し、各画
素を記録してから、熱転写フィルムと被転写体とを分離
させるまでの時間が0.05秒以上2秒以下であるよう
な構成とした。
【0018】また、前記加熱手段は全面グレーズ型サー
マルヘッド、または、部分グレーズ型サーマルヘッドで
あるような構成とした。
【0019】さらに、前記加熱記録を行うためのエネル
ギーが、10mJ/mm2 以上35mJ/mm2 以下で
あるような構成とした。
【0020】熱転写フィルムの第2の発明は、基材フィ
ルム上に中間層を介して着色層を設けた熱転写フィルム
において、該中間層は75℃における溶融粘度が100
mPa・s以上1000mPa・s以下である熱溶融性
物質、および、補外融解開始温度(JIS K7121
−1987に定める補外融解開始温度)が150℃以上
400℃以下であるバインダー樹脂を含有し、かつ、該
熱溶融性物質は結晶化ピーク温度(JIS K7121
−1987に定める結晶化ピーク温度)が融解ピーク温
度(JIS K7121−1987に定める融解ピーク
温度)よりも10℃〜50℃低い物質であるような構成
とした。
【0021】また、前記バインダー樹脂が前記熱溶融性
物質に対して非相溶性であるような構成とした。
【0022】また、前記バインダー樹脂の中間点ガラス
転移温度(JIS K7121−1987に定める中間
点ガラス転移温度)は前記熱溶融性物質の融解ピーク温
度(JIS K7121−1987に定める融解ピーク
温度)よりも2℃以上高い温度であるような構成とし
た。
【0023】また、前記バインダー樹脂の数平均分子量
が8000以上1000000以下であるような構成、
前記バインダー樹脂がポリエステル樹脂であるような構
成とした。また、前記中間層にカーボンブラックが配合
されているような構成とした。
【0024】また、前記バインダー樹脂が熱転写しない
多孔質膜を構成し、該多孔質膜の多孔中に熱溶融性物質
を含有しているような構成、さらに、前記多孔質膜にカ
ーボンブラックが配合されているような構成とした。
【0025】さらに、前記着色層の100℃における溶
融粘度が150mPa・s以上300mPa・s以下で
あるような構成、あるいは、前記着色層の融解ピーク温
度(JIS K7121−1987に定める融解ピーク
温度)と前記熱溶融性物質の融解ピーク温度(JIS
K7121−1987に定める融解ピーク温度)との差
が10℃以下であるような構成とした。
【0026】本発明の画像形成方法は、熱転写フィルム
の着色層面に被転写体を重ね合わせ、基材フィルム側か
ら加熱手段により、画素状に加熱記録を行い、熱転写フ
ィルムと被転写体とを分離させる画像形成方法におい
て、上述の第2の発明の熱転写フィルムを使用し、各画
素を記録してから、熱転写フィルムと被転写体とを分離
させるまでの時間が2秒以下であるような構成とした。
【0027】また、前記加熱手段は全面グレーズ型サー
マルヘッド、または、部分グレーズ型サーマルヘッドで
あるような構成とした。
【0028】さらに、前記加熱記録を行うためのエネル
ギーが、10mJ/mm2 以上35mJ/mm2 以下で
あるような構成とした。
【0029】熱転写フィルムの第3の発明は、基材フィ
ルム上に中間層を介して着色層を設けた熱転写フィルム
において、該中間層は75℃における溶融粘度が100
mPa・s以上1000mPa・s以下であるポリカプ
ロラクトン系樹脂、および、軟化温度(JIS K22
07−1980に定める環球法で測定される軟化温度)
が130℃以上400℃以下である非転写性のバインダ
ー樹脂を含有しているような構成とした。
【0030】また、前記バインダー樹脂が前記ポリカプ
ロラクトン系樹脂に対して非相溶性であるような構成と
した。
【0031】また、前記ポリカプロラクトン系樹脂の融
解ピーク温度(JIS K7121−1987に定める
融解ピーク温度)が45℃以上70℃以下であり、中間
層の前記バインダー樹脂の中間点ガラス転移温度(JI
S K7121−1987に定める中間点ガラス転移温
度)がポリカプロラクトン系樹脂の前記融解ピーク温度
よりも2℃以上高い温度であるような構成とした。
【0032】また、前記バインダー樹脂の数平均分子量
が8000以上1000000以下であるような構成、
前記バインダー樹脂がベンゼン環構造を有する樹脂であ
るような構成、前記バインダー樹脂がポリエステル樹脂
であるような構成とした。また、前記中間層にカーボン
ブラックが配合されているような構成とした。
【0033】また、前記バインダー樹脂が熱転写しない
多孔質膜を構成し、該多孔質膜の多孔中にポリカプロラ
クトン系樹脂を含有しているような構成、さらに、前記
多孔質膜にカーボンブラックが配合されているような構
成とした。
【0034】さらに、前記着色層は100℃における溶
融粘度が150mPa・s以上300mPa・s以下で
あるような構成、前記着色層の融解ピーク温度(JIS
K7121−1987に定める融解ピーク温度)と前
記ポリカプロラクトン系樹脂の融解ピーク温度(JIS
K7121−1987に定める融解ピーク温度)との
差が10℃以下であるような構成とした。
【0035】本発明の画像形成方法は、熱転写フィルム
の着色層面に被転写体を重ね合わせ、基材フィルム側か
ら加熱手段により、画素状に加熱記録を行い、熱転写フ
ィルムと被転写体とを分離させる画像形成方法におい
て、上述の第3の発明の熱転写フィルムを使用し、各画
素を記録してから、熱転写フィルムと被転写体とを分離
させるまでの時間が0.05秒以上2秒以下であるよう
な構成とした。
【0036】また、前記加熱手段は全面グレーズ型サー
マルヘッド、または、部分グレーズ型サーマルヘッドで
あるような構成とした。
【0037】さらに、前記加熱記録を行うためのエネル
ギーが、10mJ/mm2 以上35mJ/mm2 以下で
あるような構成とした。
【0038】熱転写フィルムの第4の発明は、基材フィ
ルム上に中間層を介して着色層を設けた熱転写フィルム
において、該中間層は75℃における溶融粘度が100
mPa・s以上1000mPa・s以下である熱溶融性
物質、および、軟化温度(JIS K2207−198
0に定める環球法で測定される軟化温度)が130℃以
上400℃以下である非転写性のバインダー樹脂を含有
し、かつ、該熱溶融性物質は結晶化ピーク温度(JIS
K7121−1987に定める結晶化ピーク温度)が
融解ピーク温度(JIS K7121−1987に定め
る融解ピーク温度)よりも10℃〜50℃低い物質であ
るような構成とした。
【0039】また、前記バインダー樹脂が前記熱溶融性
物質に対して非相溶性であるような構成とした。
【0040】また、前記バインダー樹脂の中間点ガラス
転移温度(JIS K7121−1987に定める中間
点ガラス転移温度)は前記熱溶融性物質の融解ピーク温
度(JIS K7121−1987に定める融解ピーク
温度)よりも2℃以上高い温度であるような構成とし
た。
【0041】また、前記バインダー樹脂の数平均分子量
が8000以上1000000以下であるような構成、
前記バインダー樹脂がベンゼン環構造を有する樹脂であ
るような構成、前記バインダー樹脂がポリエステル樹脂
であるような構成とした。また、前記中間層にカーボン
ブラックが配合されているような構成とした。
【0042】また、前記バインダー樹脂が熱転写しない
多孔質膜を構成し、該多孔質膜の多孔中に熱溶融性物質
を含有しているような構成、さらに、前記多孔質膜にカ
ーボンブラックが配合されているような構成とした。
【0043】さらに、前記着色層の100℃における溶
融粘度が150mPa・s以上300mPa・s以下で
あるような構成、あるいは、前記着色層の融解ピーク温
度(JIS K7121−1987に定める融解ピーク
温度)と前記熱溶融性物質の融解ピーク温度(JIS
K7121−1987に定める融解ピーク温度)との差
が10℃以下であるような構成とした。
【0044】本発明の画像形成方法は、熱転写フィルム
の着色層面に被転写体を重ね合わせ、基材フィルム側か
ら加熱手段により、画素状に加熱記録を行い、熱転写フ
ィルムと被転写体とを分離させる画像形成方法におい
て、上述の第4の発明の熱転写フィルムを使用し、各画
素を記録してから、熱転写フィルムと被転写体とを分離
させるまでの時間が2秒以下であるような構成とした。
【0045】また、前記加熱手段は全面グレーズ型サー
マルヘッド、または、部分グレーズ型サーマルヘッドで
あるような構成とした。
【0046】さらに、前記加熱記録を行うためのエネル
ギーが、10mJ/mm2 以上35mJ/mm2 以下で
あるような構成とした。
【0047】上記のような本発明では、ポリカプロラク
トン系樹脂や熱溶融性物質と特定のバインダー樹脂とに
より構成された中間層は、印字エネルギーが印加された
部位が印字から剥離までの間にある程度冷却されても、
着色層との界面が含有成分の過冷却性により溶融した状
態、かつ、低粘度の状態にあり、低い剥離力で着色層が
熱転写フィルムから剥離されて被転写紙に転写され、印
字エネルギー印加部位の着色層が層内で凝集破壊されて
中間層上に残ることが防止される。る。と熱転写フィル
ムは剥離することができ、着色層と中間層との界面可能
になることが明らかとなった。またこれにより、エネル
ギー印加された領域の着色層が被転写紙に抜けを生じる
こと無く、転写させることが可能となり、ラフ紙に対し
ても抜けの少ない良好な印字物を得ることが明らかとな
った。
【0048】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態につい
て、詳述する。
【0049】熱転写フィルムの第1の発明 本発明の熱転写フィルムは、基材フィルム上に中間層を
介して着色層を設けた熱転写フィルムであり、中間層は
75℃における溶融粘度が100mPa・s以上100
0mPa・s以下であるポリカプロラクトン系樹脂、お
よび補外融解開始温度が130℃以上400℃以下であ
るバインダー樹脂を含有しているものである。
【0050】(基材フィルム)本発明の熱転写フィルム
で用いられる基材フィルムとしては、従来の熱転写フィ
ルムに使用されているものと同じ基材フィルムをそのま
ま用いることが出来ると共に、その他のものも使用する
ことが出来、特に制限されない。
【0051】好ましい基材フィルムの具体例としては、
例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポ
リカーボネイト、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ
塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹
脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラスチック、コンデ
ンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等があり、
又、これらを複合した基材フィルムであってもよい。
【0052】この基材フィルムの厚さは、その強度およ
び熱伝導性が適切になるように材料に応じて適宜変更す
ることが出来るが、その厚さは、好ましくは、例えば、
3〜10μmである。
【0053】(中間層)中間層は、75℃における溶融
粘度が100mPa・s以上1000mPa・s以下で
あるポリカプロラクトン系樹脂、およびJIS K71
21−1987に定める補外融解開始温度が130℃以
上400℃以下であるバインダー樹脂を含有している。
【0054】本発明で使用するポリカプロラクトン系樹
脂とは、ε−カプロラクトンモノマー(既存化学物質N
o.5−1091)を重合させて得られる繰り返し構造
を分子内に有する樹脂であり、ポリカプロラクトンジオ
ールやポリカプロラクトントリオール(既存化学物質N
o.7−808)等を示す。
【0055】本発明における溶融粘度の測定は以下の測
定装置を用いて行うことができる。 ・装置名称:粘弾性測定装置ロトビスコRV20(HA
KKE社製) ・測定頭部:M5 ・センサーシステム:センサーシステムコーンプレート
PK5(開き角度0.5°、コーンプレート半径25m
m、設定温度を75℃)、又は、センサーシステムMV
型(MV1、設定温度を75℃)。但し、測定される粘
度領域に応じて、適正なコーンプレートを適宜選択しな
ければならない。
【0056】ポリカプロラクトン系樹脂とバインダー樹
脂が配合されている本発明の中間層においては、ポリカ
プロラクトン系樹脂がバインダー樹脂と混合されて中間
層を構成させても、ポリカプロラクトン系樹脂自体の融
解ピーク温度が実質的に変化しないように中間層を構成
させることが重要であり、このためにはバインダー樹脂
による多孔質膜の多孔中にポリカプロラクトン系樹脂が
位置している状態を作ることが好ましい。
【0057】すなわち、バインダー樹脂が、網目状の多
孔質膜を構成し、印字加熱時に溶融せず、熱転写フィル
ムの基材フィルム側に残存し、被転写体へ熱転写しな
い。
【0058】また多孔質膜で囲まれた多孔の中にはポリ
カプロラクトン系樹脂が含有され、印字加熱時に該ポリ
カプロラクトン系樹脂が溶融粘度が低い状態で被転写体
へ転移し、中間層が印字から剥離までの間に、ある程度
冷却されても、ポリカプロラクトン系樹脂の過冷却性に
より、中間層が溶融したままの状態で被転写紙と熱転写
フィルムが剥離する。またこれにより、エネルギー印加
された領域の着色層が被転写紙に抜けを生じること無
く、転写して、ラフ紙に対しても抜けの少ない良好な印
字物が得られる。
【0059】このためには、中間層が上記のように低い
溶融粘度を有するポリカプロラクトン系樹脂と、JIS
K7121−1987に定める補外融解開始温度が1
30℃以上400℃以下であるバインダー樹脂を主成分
とし、該バインダー樹脂とポリカプロラクトン系樹脂と
が非相溶であり、かつ、バインダー樹脂が層として多孔
質構造を構成していることが望ましい。該多孔質構造を
得るためには、ポリカプロラクトン系樹脂の75℃にお
ける溶融粘度が100mPa・s以上、1000mPa
・s以下であること、およびバインダー樹脂の補外融解
開始温度(JIS K7121−1987に定める補外
融解開始温度)が130℃以上400℃以下であること
が有効である。
【0060】ここで、本発明における非相溶性について
説明する。本発明では、中間層に用いるポリカプロラク
トン系樹脂のみの融解ピーク温度を測定した際の融解ピ
ーク温度と、中間層に用いるバインダー樹脂にポリカプ
ロラクトン系樹脂を配合して構成される中間層をポリエ
チレンテレフタレートフィルム上に設けた状態で測定し
た融解ピーク温度との差が、5℃以内である状態をもっ
て、ポリカプロラクトン系樹脂とバインダー樹脂が非相
溶性であるものとする。尚、上記の融解ピーク温度の測
定はJIS K7121−1987に従って行うもので
ある。
【0061】上記の融解ピーク温度の差が5℃より大き
い場合は、ポリカプロラクトン系樹脂に対してバインダ
ー樹脂の一部または全部が分子レベルで溶解しているも
のと考えられる。この場合、ポリカプロラクトン系樹脂
が溶融してもバインダー樹脂成分の存在によってポリカ
プロラクトン系樹脂の流動が妨げられて溶融粘度が引き
上げられる。その結果、ラフ紙に対して抜けの少ない印
字物を得ることができなくなるという不具合を生じる。
また、ポリカプロラクトン系樹脂に対してバインダー樹
脂が分子レベルで充分に溶解している場合、ポリカプロ
ラクトン系樹脂の溶融による融解ピーク温度は観察され
なくなる。こうした場合も、上記と同様に、ラフ紙に対
して抜けの少ない印字物を得ることができなくなるとい
う不具合を生じる。
【0062】本発明で用いるポリカプロラクトン系樹脂
の75℃における溶融粘度が1000mPa・sより高
いと、中間層を設けるための塗工液を基材フィルムの上
に塗布後乾燥させる過程で、バインダー樹脂とポリカプ
ロラクトン系樹脂を適度に分離させることが困難とな
り、ポリカプロラクトン系樹脂が過冷却状態であること
により発現する効果が実質的に得られなくなり、着色層
を被転写紙に抜けを生じることなく、転写させることが
困難となる。また、バインダー樹脂とポリカプロラクト
ン系樹脂が適度に分離した場合であっても、ポリカプロ
ラクトン系樹脂の75℃における溶融粘度が1000m
Pa・sより高いと、印字によるエネルギーが印加され
ることで溶融状態となる際、被転写紙と熱転写フィルム
を剥離する時点でのポリカプロラクトン系樹脂の液体と
しての流動性は不十分であり、着色層を被転写紙に抜け
を生じることなく転写させることが困難となる。
【0063】また、ポリカプロラクトン系樹脂の75℃
における溶融粘度が100mPa・sより低い場合は、
中間層を設けるための塗工液を基材フィルムの上に塗布
後乾燥させる過程で、バインダー樹脂とポリカプロラク
トン系樹脂を適度に分離させることが困難となり、ポリ
カプロラクトン系樹脂が過冷却状態であることにより発
現する効果が実質的に得られなくなり、着色層を被転写
紙に抜けを生じること無く、転写させることが困難とな
る。また、バインダー樹脂とポリカプロラクトン系樹脂
が適度に分離した場合であっても、ポリカプロラクトン
系樹脂の75℃における溶融粘度が100mPa・sよ
り低いと、中間層が設けられた基材フィルムにホットメ
ルトコーティング法にて着色層を塗布する際に、着色層
を良好な面質で安定して重ね塗りすることが困難にな
る。
【0064】尚、本発明における多孔質膜とは、肉眼や
光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡や共
焦点レーザー顕微鏡で存在を観察できる状態の多孔質構
造である膜であっても良く、これらの機器を用いても観
察されない状態の極めて微細な多孔質構造であってもよ
い。
【0065】中間層のバインダー樹脂としては、JIS
K7121−1987に定める補外融解開始温度が1
30℃以上400℃以下であり、基材フィルム上に形成
された中間層の上に着色層をコーティングする際に、お
よび印字加熱時に低粘度となることなく成膜性を維持し
ていれば、いずれの樹脂でも良い。中でも、ポリカプロ
ラクトン系樹脂と非相溶な樹脂が好ましく、例えば、ポ
リエステル樹脂、SBR樹脂やABS樹脂やSBS樹脂
等のポリブタジエン系樹脂、スチレン−無水マレイン酸
共重合体等のマレイン酸系樹脂、オレフィン系樹脂、オ
レフィン系共重合体、アイオノマー樹脂、スチレン系樹
脂等が挙げられ、特にポリエステル樹脂が良い。
【0066】ここで、本発明におけるバインダー樹脂の
補外融解開始温度(JIS K7121−1987に定
める補外融解開始温度)の測定について説明する。本発
明では、JIS K7121−1987(示差走査型熱
量計 DSC法)に従って測定して得たDSC曲線にお
いて、低温側のベースラインを高温側に延長した直線
と、融解ピークの低温側の曲線の最大勾配点で引いた接
線との交点の温度を補外融解開始温度(Tim)とする。
また、バインダー樹脂のなかには非晶性樹脂もあり、こ
のような非晶性樹脂のDSC曲線には、例えば図1に示
すように、ガラス転移に由来するピークは存在するもの
の、明確な融解ピークが存在しない。本発明では、この
ような非晶性のバインダー樹脂の補外融解開始温度を便
宜的に以下のように測定する。すなわち、DSC曲線の
ガラス転移に由来するピークの高温側に存在する直線部
分(図1において矢印Aで示される範囲)をベースライ
ンとみなし、このベースラインを高温側に延長した直線
からDSC曲線が最初に離れる点Pの温度を補外融解開
始温度(Tim)とする。
【0067】バインダー樹脂の補外融解開始温度(JI
S K7121−1987に定める補外融解開始温度)
が130℃より低い場合は、中間層を設けるための塗工
液を基材フィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、バイ
ンダー樹脂とポリカプロラクトン系樹脂を適度に分離さ
せることが困難となり、ポリカプロラクトン系樹脂が過
冷却状態であることにより発現する効果が実質的に得ら
れなくなり、着色層を被転写紙に抜けを生じることなく
転写させることが困難となる。
【0068】また、補外融解開始温度(JIS K71
21−1987に定める補外融解開始温度)が400℃
を超えるバインダー樹脂は、過剰な耐熱性を有すること
により高価な材料である場合がほとんどであるため、熱
転写フィルムの製造費用が過大になるという不具合を生
じる。
【0069】本発明では、上記のポリカプロラクトン系
樹脂のJIS K7121−1987に定める融解ピー
ク温度が45℃以上70℃以下であり、および中間層の
バインダー樹脂のJIS K7121−1987に定め
る中間点ガラス転移温度が、ポリカプロラクトン系樹脂
の融解ピーク温度(JIS K7121−1987に定
める融解ピーク温度)よりも2℃以上高い温度であるこ
とが好ましい。
【0070】さらに、中間層のバインダー樹脂の数平均
分子量は8000以上1000000以下が好ましい。
【0071】ポリカプロラクトン系樹脂のJIS K7
121−1987に定める融解ピーク温度が70℃を超
えると感度が不足し、45℃未満であると、中間層を設
けるためのインキを基材フィルムに塗布する際に、塗布
後に巻き取られた熱転写フィルムの基材面と中間層面が
接着してしまうという不具合を生じる。
【0072】中間層のバインダー樹脂の中間点ガラス転
移温度が、ポリカプロラクトン系樹脂の融解ピーク温度
よりも2℃以上高くない場合、中間層を設けるための塗
工液を基材フィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、バ
インダー樹脂とポリカプロラクトン系樹脂を適度に分離
させることが困難となり、ポリカプロラクトン系樹脂が
過冷却状態であることにより発現する効果が実質的に得
られなくなり、着色層を被転写紙に抜けを生じることな
く転写させることが困難となる。
【0073】上述のように、中間層のバインダー樹脂の
中間点ガラス転移温度は、ポリカプロラクトン系樹脂の
融解ピーク温度よりも2℃以上高い温度であることが好
ましく、両者の温度差の上限については特に制限されな
い。しかし、温度差が100℃を超えると、バインダー
樹脂が過剰な耐熱性を有することにより高価な材料であ
る場合がほとんどであり、熱転写フィルムの製造費用が
増大するという不具合を生じる。
【0074】中間層のバインダー樹脂の数平均分子量が
8000未満であると、中間層を設けるための塗工液を
基材フィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、バインダ
ー樹脂とポリカプロラクトン系樹脂を適度に分離させる
ことが困難となり、ポリカプロラクトン系樹脂が過冷却
状態であることにより発現する効果が実質的に得られな
くなり、着色層を被転写紙に抜けを生じること無く、転
写させることが困難となる。また、中間層のバインダー
樹脂の数平均分子量が1000000より大きい場合
も、中間層を設けるための塗工液を基材フィルムの上に
塗布後乾燥させる過程で、バインダー樹脂とポリカプロ
ラクトン系樹脂を適度に分離させることが困難となり、
ポリカプロラクトン系樹脂が過冷却状態であることによ
り発現する効果が実質的に得られなくなり、着色層を被
転写紙に抜けを生じることなく転写させることが困難と
なる。
【0075】また、中間層にカーボンブラックを配合す
ることにより、印字後の熱転写フィルムから印字した内
容を読み取ること(転写された後の熱転写フィルムの着
色層の抜け殻を複写機等により複写した複写物から、転
写フィルムで印字した内容を読み取ること)が困難とな
り、機密漏洩防止機能を併せもたせることが可能とな
る。
【0076】中間層にカーボンブラックを配合する場合
は、カーボンブラックが添加されたポリカプロラクトン
系樹脂の75℃における溶融粘度も100mPa・s以
上1000mPa・s以下であることが好ましい。ま
た、中間層に配合されるバインダー樹脂が熱転写しない
多孔質膜を構成し、この多孔中にポリカプロラクトン系
樹脂を含有している熱転写フィルムの場合、添加される
カーボンブラックによって熱溶融性物質の溶融時の流動
性が損なわれないようにする為には、中間層に配合され
るバインダー樹脂が構成する熱転写しない多孔質膜状構
造体内部にカーボンブラックを主として位置させること
が好ましい。つまり、多孔中に含有するポリカプロラク
トン系樹脂内部にカーボンブラックを主として位置させ
ないことが好ましい。
【0077】中間層に配合されるバインダー樹脂が構成
する熱転写しない多孔質膜状構造体内部にカーボンブラ
ックを主として位置させる為には、このバインダー樹脂
にカーボンブラックを常法に従って充分安定な状態に分
散させ、これにポリカプロラクトン系樹脂の溶液を混合
することが好ましい。ここで言う充分安定な状態とは、
カーボンブラックをバインダー樹脂に分散させた分散体
を100日間常温で静置してもカーボンブラックの沈降
物を実質的に生じない状態を示す。カーボンブラックの
分散にはサンドミルやビーズミル等の装置を用いること
ができる。
【0078】中間層を形成するには、上記の如き材料
と、高級脂肪族アルコール、リン酸エステルおよびその
金属塩、有機カルボン酸およびその誘導体や低融点ワッ
クス、各種界面活性剤等の分散剤を必要に応じて添加
し、メチルエチルケトン、トルエン、アルコール類、水
等の適当な溶媒中に溶解または分散させて、塗工液を調
整し、グラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバ
ー等の慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥すればよ
い。
【0079】中間層の塗工量は、乾燥固形分で、0.1
〜1.0g/m2 程度が好ましい。塗工量が0.1g/
2 を下回ると、白抜けの発生のない、鮮明な印字物が
得られにくく、また一方、塗工量が1.0g/m2 を越
えると、中間層が厚すぎて、転写時の印字感度が低下す
るので好ましくない。
【0080】(着色層)本発明では、上記の中間層の上
に、着色層を設けるものである。着色層は熱溶融性イン
キ層であり、従来公知の着色剤とバインダーよりなり、
必要に応じて、鉱物油、植物油、ステアリン酸等の高級
脂肪酸、可塑剤、酸化防止剤、充填剤等の種々の添加剤
を加えたものが使用される。
【0081】バインダーとして用いられるワックス成分
としては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カ
ルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、
フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエ
チレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛
ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペト
ロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワック
ス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックス
が用いられる。このなかで、特に融点が50〜85℃で
あるものが好ましい。50℃以下であると、保存性に問
題が生じ、又85℃以上であると感度不足になる。
【0082】バインダーとして用いられる樹脂成分とし
ては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン、ポリ
スチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩
化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ
ビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹
脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリ
ビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、アセチル
セルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリ
イソブチレン、エチルセルロース又はポリアセタール等
が挙げられるが、特に従来より感熱接着剤として使用さ
れている比較的低軟化点、例えば、50〜80℃の軟化
点を有するものが好ましい。
【0083】着色剤としては、公知の有機または無機の
顔料、あるいは染料の中から適宜選択することができ、
例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱等により変色、
退色しないものが好ましい。また、加熱により発色する
物質や、被転写体の表面に塗布されている成分と接触す
ることにより発色するような物質であってもよい。さら
に、着色剤の色としては、シアン、マゼンタ、イエロ
ー、ブラックに限定されるものではなく、種々の色の着
色剤を使用することができる。
【0084】さらに、着色層に、良好な熱伝導性および
熱溶融転写性を与えるため、バインダーの充填剤として
熱伝導性物質を配合してもよい。このような充填剤とし
ては、例えばカーボンブラック等の炭素質物質、アルミ
ニウム、銅、酸化錫、二硫化モリブデン等の金属および
金属化合物等がある。
【0085】着色層の形成は、上記のような着色剤成分
とバインダー成分と、さらに、これに必要に応じて、鉱
物油、植物油、ステアリン酸等の高級脂肪酸、可塑剤、
酸化防止剤、充填剤等の種々の添加剤を加え、水、有機
溶剤等の溶媒成分を配合調整した着色層形成用塗工液
を、従来公知のホットメルトコート、ホットラッカーコ
ート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロー
ルコート等の方法で行う。また、水系又は非水系のエマ
ルジョン塗液を用いて形成する方法もある。
【0086】着色層の厚みは、必要な印字濃度と熱感度
との調和がとれるように、決定すべきであって、好まし
くは0.5〜6.5g/m2 の範囲であり、2.5〜
4.5g/m2 の範囲が特に好ましい。
【0087】本発明の熱転写フィルムは、中間層が上述
のように構成されているため、ラフ紙に対して抜けの少
ない印字物を得ることができるが、着色層の100℃に
おける溶融粘度を150mPa・s以上300mPa・
s以下とすることにより、ラフ紙に対して更に抜けの少
ない印字物を得ることができる。着色層の100℃にお
ける溶融粘度が150mPa・s未満である場合、ラフ
紙に対する抜け防止の更なる効果が得られず、溶融粘度
が300mPa・sを超えると、着色層をホットメルト
コーティング法で塗布形成する際のコーティング適性が
低下して良好な表面状態での塗工が困難になることがあ
る。
【0088】また、本発明の熱転写フィルムでは、着色
層の融解ピーク温度(JIS K7121−1987に
定める融解ピーク温度)とポリカプロラクトン系樹脂の
融解ピーク温度(JIS K7121−1987に定め
る融解ピーク温度)との差を10℃以下となるように設
定することにより、ラフ紙に対して更に抜けの少ない印
字物を得ること、および、着色層が被転写体表面に融着
することなく薄膜状に付着してしまう現象(絡み現象)
を低減することができる。例えば、ポリカプロラクトン
系樹脂の融解ピーク温度が60℃の場合、着色層の融解
ピーク温度を50℃以上70℃以下とすることで、上記
の効果を得ることができる。このような温度差は10℃
以内で小さいほど効果は顕著であり、温度差が0℃の場
合が最も好ましい印字結果をもたらす。一方、温度差が
10℃を超えると、絡み現象防止の効果が十分に得られ
なくなる。
【0089】(耐熱滑性層)また、基材フィルムの他方
の面に、サーマルヘッドの粘着を防止し、且つ、滑り性
を良くするために、耐熱滑性層を設けることも可能であ
る。
【0090】この耐熱滑性層は、バインダー樹脂に滑り
剤、界面活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加し
たものを、好適に使用し、形成される。
【0091】耐熱滑性層に使用されるバインダー樹脂
は、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロ
ース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、硝化綿等の
セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、
ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂、ポリアクリルア
ミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のビニル
系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコ
ーン変性またはフッ素変性ウレタン樹脂等が、挙げられ
る。
【0092】これらのなかで、数個の反応性基、例え
ば、水酸基を有しているものを使用し、架橋剤として、
ポリイソシアネート等を併用して、架橋樹脂を使用する
ことが好ましい。
【0093】耐熱滑性層を形成する手段は、上記のごと
き、バインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒子、
有機粒子、顔料等を添加した材料を、適当な溶剤中に溶
解または分散させて、塗工液を調製し、この塗工液をグ
ラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバー等の慣
用の塗工手段により、塗工し、乾燥するものである。
【0094】熱転写フィルムの第2の発明 本発明の熱転写フィルムは、基材フィルム上に中間層を
介して着色層を設けた熱転写フィルムであり、中間層は
75℃における溶融粘度が100mPa・s以上100
0mPa・s以下である熱溶融性物質、および補外融解
開始温度が150℃以上400℃以下であるバインダー
樹脂を含有しているものである。そして、上記の熱溶融
性物質のJIS K7121−1987に定める結晶化
ピーク温度は、同じ熱溶融性物質のJIS K7121
−1987に定める融解ピーク温度よりも10℃〜50
℃低いものである。
【0095】(基材フィルム)本発明の熱転写フィルム
で用いられる基材フィルムとしては、従来の熱転写フィ
ルムに使用されているものと同じ基材フィルムをそのま
ま用いることが出来ると共に、その他のものも使用する
ことが出来、特に制限されない。
【0096】好ましい基材フィルムの具体例としては、
上述の第1の発明で記載した具体例を挙げることがで
き、その厚さは、好ましくは、例えば、3〜10μmで
ある。
【0097】(中間層)中間層は、75℃における溶融
粘度が100mPa・s以上1000mPa・s以下で
ある熱溶融性物質、およびJIS K7121−198
7に定める補外融解開始温度が150℃以上400℃以
下であるバインダー樹脂を含有し、かつ含有する熱溶融
性物質は、そのJIS K7121−1987に定める
結晶化ピーク温度が、JIS K7121−1987に
定める融解ピーク温度よりも10℃〜50℃低いもので
ある。
【0098】本発明の中間層で使用する熱溶融性物質と
は、ポリエチレングリコール及びその誘導体、ポリカプ
ロラクトン系樹脂、ポリウレタンワックス等が挙げられ
るが、75℃における溶融粘度が100mPa・s以上
1000mPa・s以下であり、JIS K7121−
1987に定める結晶化ピーク温度と融解ピーク温度と
の温度差が10℃〜50℃の範囲の過冷却性を有するも
のであれば、いずれのものでも使用することができる。
【0099】本発明における溶融粘度の測定は、上述の
第1の発明で挙げた装置を用いて同様に行うことができ
る。
【0100】上記のポリエチレングリコールとしては、
分子量3000〜5000程度のポリエチレングリコー
ル誘導体が好ましく用いられる。
【0101】また、ポリカプロラクトン系樹脂は、ε−
カプロラクトンモノマー(既存化学物質No.5−10
91)を重合させて得られる繰り返し構造を分子内に有
する樹脂であり、ポリカプロラクトンジオールやポリカ
プロラクトントリオール(既存化学物質No.7−80
8)等が挙げられる。
【0102】また、上記のポリエチレングリコールの末
端の水酸基を種々の基で置換してもよい。また、上記の
諸物性を有する物質であれば、ポリエステル系物質やシ
リコーン系物質やポリアミド系物質等も好ましく用いる
ことができる。
【0103】熱溶融性物質の結晶化ピーク温度(JIS
K7121−1987に定める結晶化ピーク温度)
は、同じ熱融解性物質の融解ピーク温度(JIS K7
121−1987に定める融解ピーク温度)よりも10
℃〜50℃低いものである。
【0104】上記の結晶化ピーク温度と融解ピーク温度
との温度差が、10℃未満であると、熱溶融性物質の過
冷却性が弱まり、印字加熱後に溶融した低粘度の熱溶融
性物質が結晶化し、凝固してしまう、或いは印字加熱後
に溶融した低粘度の熱溶融性物質が温度低下に伴って粘
度上昇してしまい、印字物に白抜けが発生し、鮮明な印
字ができない。一方で、結晶化ピーク温度と、融解ピー
ク温度との温度差が、50℃を超えるようになると、中
間層を設ける為のインキを基材フィルムに塗布する際
に、中間層を加熱乾燥させた後もその熱によって熱溶融
性物質が溶融したままである状態が過剰に続くため、塗
布後に巻き取られた熱転写フィルムの基材フィルム面
(中間層形成面側と反対側)と中間層が接着してしまう
という不具合を生じる。
【0105】結晶化及び融解ピーク温度の具体的数値に
ついては、例えば、熱溶融性物質のJIS K7121
−1987に定める融解ピーク温度が45℃〜70℃程
度が挙げられる。その融解ピーク温度が高すぎると、感
度が不足し、一方、融解ピーク温度が低すぎると、中間
層を設けるためのインキを基材フィルムに塗布する際
に、塗布後に巻き取られた熱転写フィルムの基材面と中
間層面が接着してしまうという不具合を生じやすい。
【0106】熱溶融性物質とバインダー樹脂が配合され
ている本発明の中間層においては、熱溶融性物質がバイ
ンダー樹脂と混合されて中間層を構成させても、熱溶融
性物質自体の結晶化ピーク温度及び融解ピーク温度が実
質的に変化しないように中間層を構成させることが重要
であり、このためにはバインダー樹脂による多孔質膜の
多孔中に熱溶融性物質が位置している状態を作ることが
好ましい。
【0107】すなわち、バインダー樹脂が、網目状の多
孔質膜を構成し、印字加熱時に溶融せず、熱転写フィル
ムの基材フィルム側に残存し、被転写体へ熱転写しな
い。
【0108】また多孔質膜で囲まれた多孔の中には熱溶
融性物質が含有され、印字加熱時に該熱溶融性物質が溶
融粘度が低い状態で被転写体へ転移し、中間層が印字か
ら剥離までの間に、ある程度冷却されても、熱溶融性物
質の過冷却性により、中間層が溶融したままの状態で被
転写紙と熱転写フィルムが剥離する。またこれにより、
エネルギー印加された領域の着色層が被転写紙に抜けを
生じること無く、転写して、ラフ紙に対しても抜けの少
ない良好な印字物が得られる。
【0109】このためには、中間層が上記のように低い
溶融粘度を有する熱溶融性物質と、JIS K7121
−1987に定める補外融解開始温度が150℃以上4
00℃以下であるバインダー樹脂を主成分とし、このバ
インダー樹脂と熱溶融性物質とが非相溶性であり、か
つ、バインダー樹脂が層として多孔質構造を構成してい
ることが望ましい。該多孔質構造を得るためには、熱溶
融性物質の75℃における溶融粘度が1000mPa・
s以下であること、及びバインダー樹脂の補外融解開始
温度(JIS K7121−1987に定める補外融解
開始温度)が150℃以上であることが有効である。
【0110】尚、上記の熱溶融性物質とバインダー樹脂
との非相溶性は、第1の発明において説明したポリカプ
ロラクトン系樹脂とバインダー樹脂との非相溶性と同様
である。
【0111】本発明において用いる熱溶融性物質の75
℃における溶融粘度が1000mPa・sより高いと、
中間層を設けるための塗工液を基材フィルムの上に塗布
後乾燥させる過程で、バインダー樹脂と熱溶融性物質を
適度に分離させることが困難となり、熱溶融性物質が過
冷却状態であることにより発現する効果が実質的に得ら
れなくなり、着色層を被転写紙に抜けを生じることな
く、転写させることが困難となる。また、バインダー樹
脂と熱溶融性物質が適度に分離した場合であっても、熱
溶融性物質の75℃における溶融粘度が1000mPa
・sより高いと、印字によるエネルギーが印加されるこ
とで溶融状態となる際、被転写紙と熱転写フィルムを剥
離する時点での熱溶融性物質の液体としての流動性は不
十分であり、着色層を被転写紙に抜けを生じること無
く、転写させることが困難となる。
【0112】また、熱溶融性物質の75℃における溶融
粘度が100mPa・sより低い場合は、中間層を設け
るための塗工液を基材フィルムの上に塗布後乾燥させる
過程で、バインダー樹脂と熱溶融性物質を適度に分離さ
せることが困難となり、熱溶融性物質が過冷却状態であ
ることにより発現する効果が実質的に得られなくなり、
着色層を被転写紙に抜けを生じること無く、転写させる
ことが困難となる。また、バインダー樹脂と熱溶融性物
質が適度に分離した場合であっても、中間層が設けられ
た基材フィルムにホットメルトコーティング法にて着色
層を塗布する際に、着色層を良好な面質で安定して重ね
塗りすることが困難になる。
【0113】尚、本発明における多孔質膜とは、肉眼や
光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡や共
焦点レーザー顕微鏡で存在を観察できる状態の多孔質構
造である膜であっても良く、これらの機器を用いても観
察されない状態の極めて微細な多孔質構造であってもよ
い。
【0114】中間層のバインダー樹脂としては、JIS
K7121−1987に定める補外融解開始温度が1
50℃以上400℃以下であり、基材フィルム上に形成
された中間層の上に着色層をコーティングする際に、及
び印字加熱時に低粘度となることなく成膜性を維持して
いれば、いずれの樹脂でも良い。中でも、ポリカプロラ
クトン系樹脂と非相溶な樹脂が好ましく、例えば、ポリ
エステル樹脂、SBR樹脂やABS樹脂やSBS樹脂等
のポリブタジエン系樹脂、スチレン−無水マレイン酸共
重合体等のマレイン酸系樹脂、オレフィン系樹脂、オレ
フィン系共重合体、アイオノマー樹脂、スチレン系樹脂
等が挙げられる。
【0115】尚、本発明におけるバインダー樹脂の補外
融解開始温度(JIS K7121−1987に定める
補外融解開始温度)の測定は、上述の第1の発明と同様
である。
【0116】バインダー樹脂の補外融解開始温度(JI
S K7121−1987に定める補外融解開始温度)
が150℃より低い場合は、中間層を設けるための塗工
液を基材フィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、バイ
ンダー樹脂と熱溶融性物質を適度に分離させることが困
難となり、熱溶融性物質が過冷却状態であることにより
発現する効果が実質的に得られなくなり、着色層を被転
写紙に抜けを生じること無く、転写させることが困難と
なる。
【0117】また、補外融解開始温度(JIS K71
21−1987に定める補外融解開始温度)が400℃
を超えるバインダー樹脂は、過剰な耐熱性を有すること
により高価な材料である場合がほとんどであるため、熱
転写フィルムの製造費用が過大になるという不具合を生
じる。
【0118】特開昭63−302090では、ポリオキ
シエチレン誘導体を含む中間層に融点が40℃〜150
℃のワックス類等の熱溶融性物質を配合する技術が開示
されている。しかし、これらの熱溶融性物質のJIS
K7121−1987に定める補外融解開始温度は、い
ずれも150℃より低く、これらをバインダー樹脂とし
て用いた場合には、本発明の効果を得ることはできな
い。
【0119】本発明では、上記の中間層のバインダー樹
脂のJIS K7121−1987に定める中間点ガラ
ス転移温度が、熱溶融性物質の融解ピーク温度(JIS
K7121−1987に定める融解ピーク温度)より
も2℃以上高い温度であることが好ましく、両者の温度
差の上限については特に制限されない。しかし、温度差
が100℃を超えると、バインダー樹脂が過剰な耐熱性
を有することにより高価な材料である場合がほとんどで
あり、熱転写フィルムの製造費用が増大するという不具
合を生じる。
【0120】中間層のバインダー樹脂の中間点ガラス転
移温度が、熱溶融性物質の融解ピーク温度よりも2℃以
上高くない場合、中間層を設けるための塗工液を基材フ
ィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、バインダー樹脂
と熱溶融性物質を適度に分離させることが困難となり、
熱溶融性物質が過冷却状態であることにより発現する効
果が実質的に得られなくなり、着色層を被転写紙に抜け
を生じること無く、転写させることが困難となる。
【0121】さらに、中間層のバインダー樹脂の数平均
分子量は8000以上1000000以下が好ましく、
特に好ましくは8000以上100000以下のものが
用いられる。
【0122】中間層のバインダー樹脂の数平均分子量が
8000未満であると、中間層を設けるための塗工液を
基材フィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、バインダ
ー樹脂と熱溶融性物質を適度に分離させることが困難と
なり、熱溶融性物質が過冷却状態であることにより発現
する効果が実質的に得られなくなり、着色層を被転写紙
に抜けを生じること無く、転写させることが困難とな
る。また、中間層のバインダー樹脂の数平均分子量が1
000000より大きい場合も、中間層を設けるための
塗工液を基材フィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、
バインダー樹脂と熱溶融性物質を適度に分離させること
が困難となり、熱溶融性物質が過冷却状態であることに
より発現する効果が実質的に得られなくなり、着色層を
被転写紙に抜けを生じること無く、転写させることが困
難となる。
【0123】また、中間層にカーボンブラックを配合す
ることにより、印字後の熱転写フィルムから印字した内
容を読み取ること(転写された後の熱転写フィルムの着
色層の抜け殻を複写機等により複写した複写物から、転
写フィルムで印字した内容を読み取ること)が困難とな
り、機密漏洩防止機能を併せもたせることが可能とな
る。
【0124】中間層にカーボンブラックを配合する場合
は、カーボンブラックが添加された熱溶融性物質の75
℃における溶融粘度も100mPa・s以上1000m
Pa・s以下であることが好ましい。また、中間層に配
合されるバインダー樹脂が熱転写しない多孔質膜を構成
し、この多孔中に上記の熱溶融性物質を含有している熱
転写フィルムの場合、添加されるカーボンブラックによ
って熱溶融性物質の溶融時の流動性が損なわれないよう
にする為には、中間層に配合されるバインダー樹脂が構
成する熱転写しない多孔質膜状構造体内部にカーボンブ
ラックを主として位置させることが好ましい。つまり、
カーボンブラックを多孔中に含有する熱溶融性物質内部
に主として位置させないことが好ましい。
【0125】中間層に配合されるバインダー樹脂が構成
する熱転写しない多孔質膜状構造体内部にカーボンブラ
ックを主として位置させる為には、このバインダー樹脂
にカーボンブラックを常法に従って充分安定な状態に分
散させ、これに熱溶融性物質の溶液を混合することが好
ましい。ここで言う充分安定な状態とは、カーボンブラ
ックをバインダー樹脂に分散させた分散体を100日間
常温で静置してもカーボンブラックの沈降物を実質的に
生じない状態を示す。カーボンブラックの分散にはサン
ドミルやビーズミル等の装置を用いることができる。
【0126】熱溶融性物質としてポリエチレングリコー
ル等の水溶性物質を使用する場合は、バインダー樹脂
は、水100gに対する溶解度が1g未満である非水溶
性の樹脂を水に分散させた物を使用することが好まし
い。また、該水分散状のバインダー樹脂液とポリエチレ
ングリコールを用いて構成する中間層にカーボンブラッ
クを配合する場合は、前記非水溶性樹脂を水に分散させ
る前に、予め、該非水溶性樹脂にカーボンブラックを分
散させることが好ましい。
【0127】中間層を形成するには、上記の如き材料
と、高級脂肪族アルコール、リン酸エステル及びその金
属塩、有機カルボン酸及びその誘導体や低融点ワック
ス、各種界面活性剤等の分散剤を必要に応じて添加し、
メチルエチルケトン、トルエン、アルコール類、水等の
適当な溶媒中に溶解または分散させて、塗工液を調整
し、グラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバー
等の慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥すればよい。
【0128】中間層の塗工量は、乾燥固形分で、0.1
〜1.0g/m2 程度が好ましい。塗工量が0.1g/
2 を下回ると、白抜けの発生のない、鮮明な印字物が
得られにくく、また一方、塗工量が1.0g/m2 を越
えると、中間層が厚すぎて、転写時の印字感度が低下す
るので好ましくない。
【0129】(着色層)本発明では、上記の中間層の上
に、着色層を設けるものである。着色層は熱溶融性イン
キ層であり、従来公知の着色剤とバインダーよりなり、
必要に応じて、鉱物油、植物油、ステアリン酸等の高級
脂肪酸、可塑剤、酸化防止剤、充填剤等の種々の添加剤
を加えたものが使用される。
【0130】使用するバインダー、着色剤等は、上述の
第1の発明と同様とすることができる。又、着色剤の形
成も上述の第1の発明と同様とすることができる。着色
層の厚みは、必要な印字濃度と熱感度との調和がとれる
ように、決定すべきであって、好ましくは0.5〜8g
/m2 の範囲であり、2.5〜6g/m2の範囲が特に
好ましい。
【0131】さらに、着色層の100℃における溶融粘
度を150mPa・s以上300mPa・s以下とする
ことにより、ラフ紙に対して更に抜けの少ない印字物が
得られることも、上述の第1の発明と同様である。ま
た、着色層の融解ピーク温度(JIS K7121−1
987に定める融解ピーク温度)と熱溶融性物質の融解
ピーク温度(JIS K7121−1987に定める融
解ピーク温度)との差を10℃以下となるように設定す
ることにより、ラフ紙に対して更に抜けの少ない印字物
を得ること、および、着色層が被転写体表面に融着する
ことなく薄膜状に付着してしまう現象(絡み現象)を低
減することができることも、上述の第1の発明と同様で
ある。
【0132】(耐熱滑性層)また、基材フィルムの他方
の面に、サーマルヘッドの粘着を防止し、且つ、滑り性
を良くするために、耐熱滑性層を設けることも可能であ
る。この耐熱滑性層は、上述の第1の発明で説明した耐
熱滑性層と同様とすることができる。
【0133】熱転写フィルムの第3の発明 本発明の熱転写フィルムは、基材フィルム上に中間層を
介して着色層を設けた熱転写フィルムであり、中間層は
75℃における溶融粘度が100mPa・s以上100
0mPa・s以下であるポリカプロラクトン系樹脂、お
よび、軟化温度(JIS K2207−1980に定め
る環球法で測定される軟化温度)が130℃以上400
℃以下である非転写性のバインダー樹脂を含有している
ものである。
【0134】(基材フィルム)本発明の熱転写フィルム
で用いられる基材フィルムとしては、従来の熱転写フィ
ルムに使用されているものと同じ基材フィルムをそのま
ま用いることが出来ると共に、その他のものも使用する
ことが出来、特に制限されない。
【0135】好ましい基材フィルムの具体例としては、
上述の第1の発明で記載した具体例を挙げることがで
き、その厚さは、好ましくは、例えば、3〜10μmで
ある。
【0136】(中間層)中間層は75℃における溶融粘
度が100mPa・s以上1000mPa・s以下であ
るポリカプロラクトン系樹脂、および、軟化温度(JI
S K2207−1980に定める環球法で測定される
軟化温度)が130℃以上400℃以下である非転写性
のバインダー樹脂を含有している。
【0137】本発明で使用するポリカプロラクトン系樹
脂とは、ε−カプロラクトンモノマー(既存化学物質N
o.5−1091)を重合させて得られる繰り返し構造
を分子内に有する樹脂であり、ポリカプロラクトンジオ
ールやポリカプロラクトントリオール(既存化学物質N
o.7−808)等を示す。
【0138】本発明における溶融粘度の測定は、上述の
第1の発明で説明した測定方法により行うことができ
る。
【0139】本発明の熱転写フィルムを構成する中間層
において、バインダー樹脂が印字加熱時に溶融せず、熱
転写フィルムの基材フィルム側に残存し、被転写体へ熱
転写しないことが重要である。
【0140】このためには、バインダー樹脂とポリカプ
ロラクトン系樹脂とが非相溶性であることが好ましい。
すなわち、ポリカプロラクトン系樹脂とバインダー樹脂
が配合されている本発明の中間層においては、ポリカプ
ロラクトン系樹脂がバインダー樹脂と混合されて中間層
を構成させても、ポリカプロラクトン系樹脂自体の融解
ピーク温度が実質的に変化しないように中間層を構成さ
せることが重要であり、バインダー樹脂による多孔質膜
の多孔中にポリカプロラクトン系樹脂が位置している状
態を作ることが好ましい。
【0141】尚、上記のポリカプロラクトン系樹脂とバ
インダー樹脂との非相溶性は、第1の発明において説明
したポリカプロラクトン系樹脂とバインダー樹脂との非
相溶性と同様である。
【0142】本発明では、上記のように中間層が多孔質
構造を有していることが望ましい。このようにバインダ
ー樹脂が網目状の多孔質膜を構成することにより、印字
加熱時に溶融せず、熱転写フィルムの基材フィルム側に
残存し、被転写体へ熱転写しない。
【0143】また多孔質膜で囲まれた多孔の中にはポリ
カプロラクトン系樹脂が含有され、印字加熱時にポリカ
プロラクトン系樹脂が溶融粘度が低い状態で被転写体へ
転移し、中間層が印字から剥離までの間に、ある程度冷
却されても、ポリカプロラクトン系樹脂の過冷却性によ
り、中間層が溶融したままの状態で被転写紙と熱転写フ
ィルムが剥離する。またこれにより、エネルギー印加さ
れた領域の着色層が被転写紙に抜けを生じることなく転
写して、ラフ紙に対しても抜けの少ない良好な印字物が
得られる。
【0144】このためには、中間層が上記のように75
℃における溶融粘度が100mPa・s以上、1000
mPa・s以下であるポリカプロラクトン系樹脂と、J
ISK2207−1980に定める環球法で測定される
軟化温度が130℃以上400℃以下であるバインダー
樹脂とを主成分とし、このバインダー樹脂とポリカプロ
ラクトン系樹脂とが非相溶性であり、かつ、バインダー
樹脂が層として多孔質構造を構成していることが望まし
い。
【0145】本発明で用いるポリカプロラクトン系樹脂
の75℃における溶融粘度が1000mPa・sより高
いと、中間層を設けるための塗工液を基材フィルムの上
に塗布後乾燥させる過程で、バインダー樹脂とポリカプ
ロラクトン系樹脂を適度に分離させることが困難とな
り、ポリカプロラクトン系樹脂が過冷却状態であること
により発現する効果が実質的に得られなくなり、着色層
を被転写紙に抜けを生じることなく、転写させることが
困難となる。また、バインダー樹脂とポリカプロラクト
ン系樹脂が適度に分離した場合であっても、ポリカプロ
ラクトン系樹脂の75℃における溶融粘度が1000m
Pa・sより高いと、印字によるエネルギーが印加され
ることで溶融状態となる際、被転写紙と熱転写フィルム
を剥離する時点でのポリカプロラクトン系樹脂の液体と
しての流動性は不十分であり、着色層を被転写紙に抜け
を生じることなく転写させることが困難となる。
【0146】また、ポリカプロラクトン系樹脂の75℃
における溶融粘度が100mPa・sより低い場合は、
中間層を設けるための塗工液を基材フィルムの上に塗布
後乾燥させる過程で、バインダー樹脂とポリカプロラク
トン系樹脂を適度に分離させることが困難となり、ポリ
カプロラクトン系樹脂が過冷却状態であることにより発
現する効果が実質的に得られなくなり、着色層を被転写
紙に抜けを生じること無く、転写させることが困難とな
る。また、バインダー樹脂とポリカプロラクトン系樹脂
が適度に分離した場合であっても、中間層が設けられた
基材フィルムにホットメルトコーティング法にて着色層
を塗布する際に、着色層を良好な面質で安定して重ね塗
りすることが困難になる。
【0147】尚、本発明における多孔質膜とは、肉眼や
光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡や共
焦点レーザー顕微鏡で存在を観察できる状態の多孔質構
造である膜であっても良く、これらの機器を用いても観
察されない状態の極めて微細な多孔質構造であってもよ
い。
【0148】JIS K2207−1980に定める環
球法で測定される軟化温度が130℃以上400℃以下
であるバインダー樹脂としては、非転写性であり、か
つ、基材フィルム上に形成された中間層の上に着色層を
コーティングする際に、および印字加熱時に低粘度とな
ることなく成膜性を維持していれば、いずれの樹脂でも
良い。中でも、ポリカプロラクトン系樹脂と非相溶性な
樹脂が好ましく、例えば、ポリエステル樹脂、SBR樹
脂やABS樹脂やSBS樹脂等のポリブタジエン系樹
脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のマレイン酸
系樹脂、オレフィン系樹脂、オレフィン系共重合体、ア
イオノマー樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられ、特にポ
リエステル樹脂が良い。
【0149】バインダー樹脂の軟化温度(JIS K2
207−1980に定める環球法で測定される軟化温
度)が130℃より低い場合は、中間層を設けるための
塗工液を基材フィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、
バインダー樹脂とポリカプロラクトン系樹脂を適度に分
離させることが困難となり、ポリカプロラクトン系樹脂
が過冷却状態であることにより発現する効果が実質的に
得られなくなり、着色層を被転写紙に抜けを生じること
なく転写させることが困難となることがある。
【0150】また、軟化温度(JIS K2207−1
980に定める環球法で測定される軟化温度)が400
℃を超えるバインダー樹脂は、過剰な耐熱性を有するこ
とにより高価な材料である場合がほとんどであるため、
熱転写フィルムの製造費用が過大になるという不具合を
生じる。
【0151】本発明では、上記のポリカプロラクトン系
樹脂のJIS K7121−1987に定める融解ピー
ク温度が45℃以上70℃以下であり、および中間層の
バインダー樹脂のJIS K7121−1987に定め
る中間点ガラス転移温度が、ポリカプロラクトン系樹脂
の融解ピーク温度(JIS K7121−1987に定
める融解ピーク温度)よりも2℃以上高い温度であるこ
とが好ましい。
【0152】さらに、中間層のバインダー樹脂の数平均
分子量は8000以上1000000以下が好ましく用
いられる。
【0153】ポリカプロラクトン系樹脂のJIS K7
121−1987に定める融解ピーク温度が70℃を超
えると感度が不足し、45℃未満であると、中間層を設
けるためのインキを基材フィルムに塗布する際に、塗布
後に巻き取られた熱転写フィルムの基材面と中間層面が
接着してしまうという不具合を生じる。
【0154】中間層のバインダー樹脂の中間点ガラス転
移温度が、ポリカプロラクトン系樹脂の融解ピーク温度
よりも2℃以上高くない場合、中間層を設けるための塗
工液を基材フィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、バ
インダー樹脂とポリカプロラクトン系樹脂を適度に分離
させることが困難となり、ポリカプロラクトン系樹脂が
過冷却状態であることにより発現する効果が実質的に得
られなくなり、着色層を被転写紙に抜けを生じることな
く転写させることが困難となることがある。
【0155】上述のように、中間層のバインダー樹脂の
中間点ガラス転移温度は、ポリカプロラクトン系樹脂の
融解ピーク温度よりも2℃以上高い温度であることが好
ましく、両者の温度差の上限については特に制限されな
い。しかし、温度差が100℃を超えると、バインダー
樹脂が過剰な耐熱性を有することにより高価な材料であ
る場合がほとんどであり、熱転写フィルムの製造費用が
増大するという不具合を生じる。
【0156】中間層のバインダー樹脂の数平均分子量が
8000未満であると、中間層を設けるための塗工液を
基材フィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、バインダ
ー樹脂とポリカプロラクトン系樹脂を適度に分離させる
ことが困難となり、ポリカプロラクトン系樹脂が過冷却
状態であることにより発現する効果が実質的に得られな
くなり、着色層を被転写紙に抜けを生じること無く、転
写させることが困難となる。また、中間層のバインダー
樹脂の数平均分子量が1000000より大きい場合
も、中間層を設けるための塗工液を基材フィルムの上に
塗布後乾燥させる過程で、バインダー樹脂とポリカプロ
ラクトン系樹脂を適度に分離させることが困難となり、
ポリカプロラクトン系樹脂が過冷却状態であることによ
り発現する効果が実質的に得られなくなり、着色層を被
転写紙に抜けを生じることなく転写させることが困難と
なる。
【0157】また、中間層にカーボンブラックを配合す
ることにより、印字後の熱転写フィルムから印字した内
容を読み取ること(転写された後の熱転写フィルムの着
色層の抜け殻を複写機等により複写した複写物から、転
写フィルムで印字した内容を読み取ること)が困難とな
り、機密漏洩防止機能を併せもたせることが可能とな
る。尚、中間層へのカーボンブラックの配合は、上述の
第1の発明と同様である。
【0158】中間層を形成するには、上記の如き材料
と、高級脂肪族アルコール、リン酸エステルおよびその
金属塩、有機カルボン酸およびその誘導体や低融点ワッ
クス、各種界面活性剤等の分散剤を必要に応じて添加
し、メチルエチルケトン、トルエン、アルコール類、水
等の適当な溶媒中に溶解または分散させて、塗工液を調
整し、グラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバ
ー等の慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥すればよ
い。
【0159】中間層の塗工量は、乾燥固形分で、0.1
〜1.0g/m2 程度が好ましい。塗工量が0.1g/
2 を下回ると、白抜けの発生のない、鮮明な印字物が
得られにくく、また一方、塗工量が1.0g/m2 を越
えると、中間層が厚すぎて、転写時の印字感度が低下す
るので好ましくない。
【0160】(着色層)本発明では、上記の中間層の上
に、着色層を設けるものである。着色層は熱溶融性イン
キ層であり、従来公知の着色剤とバインダーよりなり、
必要に応じて、鉱物油、植物油、ステアリン酸等の高級
脂肪酸、可塑剤、酸化防止剤、充填剤等の種々の添加剤
を加えたものが使用される。
【0161】使用するバインダー、着色剤等は、上述の
第1の発明と同様とすることができる。又、着色剤の形
成も上述の第1の発明と同様とすることができる。
【0162】着色層の厚みは、必要な印字濃度と熱感度
との調和がとれるように、決定すべきであって、好まし
くは0.5〜8g/m2 の範囲であり、2.5〜6g/
2の範囲が特に好ましい。
【0163】さらに、着色層の100℃における溶融粘
度を150mPa・s以上300mPa・s以下とする
ことにより、ラフ紙に対して更に抜けの少ない印字物が
得られることも、上述の第1の発明と同様である。ま
た、着色層の融解ピーク温度(JIS K7121−1
987に定める融解ピーク温度)とポリカプロラクトン
系樹脂の融解ピーク温度(JIS K7121−198
7に定める融解ピーク温度)との差を10℃以下となる
ように設定することにより、ラフ紙に対して更に抜けの
少ない印字物を得ること、および、着色層が被転写体表
面に融着することなく薄膜状に付着してしまう現象(絡
み現象)を低減することができることも、上述の第1の
発明と同様である。
【0164】(耐熱滑性層)また、基材フィルムの他方
の面に、サーマルヘッドの粘着を防止し、且つ、滑り性
を良くするために、耐熱滑性層を設けることも可能であ
る。この耐熱滑性層は、上述の第1の発明で説明した耐
熱滑性層と同様とすることができる。
【0165】熱転写フィルムの第4の発明 本発明の熱転写フィルムは、基材フィルム上に中間層を
介して着色層を設けた熱転写フィルムであり、中間層は
75℃における溶融粘度が100mPa・s以上100
0mPa・s以下である熱溶融性物質、および、軟化温
度(JIS K2207−1980に定める環球法で測
定される軟化温度)が130℃以上400℃以下である
非転写性のバインダー樹脂を含有しているものである。
そして、上記の熱溶融性物質のJIS K7121−1
987に定める結晶化ピーク温度は、同じ熱溶融性物質
のJIS K7121−1987に定める融解ピーク温
度よりも10℃〜50℃低いものである。
【0166】(基材フィルム)本発明の熱転写フィルム
で用いられる基材フィルムとしては、従来の熱転写フィ
ルムに使用されているものと同じ基材フィルムをそのま
ま用いることが出来ると共に、その他のものも使用する
ことが出来、特に制限されない。
【0167】好ましい基材フィルムの具体例としては、
上述の第1の発明で記載した具体例を挙げることがで
き、その厚さは、好ましくは、例えば、3〜10μmで
ある。
【0168】(中間層)中間層は、75℃における溶融
粘度が100mPa・s以上1000mPa・s以下で
ある熱溶融性物質、および、軟化温度(JIS K22
07−1980に定める環球法で測定される軟化温度)
が130℃以上400℃以下である非転写性のバインダ
ー樹脂を含有し、かつ含有する熱溶融性物質は、そのJ
IS K7121−1987に定める結晶化ピーク温度
が、JIS K7121−1987に定める融解ピーク
温度よりも10℃〜50℃低いものである。
【0169】本発明の中間層で使用する熱溶融性物質と
は、ポリエチレングリコール及びその誘導体、ポリカプ
ロラクトン系樹脂、ポリウレタンワックス等が挙げられ
るが、75℃における溶融粘度が100mPa・s以上
1000mPa・s以下であり、JIS K7121−
1987に定める結晶化ピーク温度と融解ピーク温度と
の温度差が10℃〜50℃の範囲の過冷却性を有するも
のであれば、いずれのものでも使用することができる。
【0170】本発明における溶融粘度の測定は、上述の
第1の発明で挙げた装置を用いて同様に行うことができ
る。
【0171】上記のポリエチレングリコールとしては、
分子量3000〜5000程度のポリエチレングリコー
ル誘導体が好ましく用いられる。
【0172】また、ポリカプロラクトン系樹脂は、ε−
カプロラクトンモノマー(既存化学物質No.5−10
91)を重合させて得られる繰り返し構造を分子内に有
する樹脂であり、ポリカプロラクトンジオールやポリカ
プロラクトントリオール(既存化学物質No.7−80
8)等が挙げられる。
【0173】また、上記のポリエチレングリコールの末
端の水酸基を種々の基で置換してもよい。また、上記の
諸物性を有する物質であれば、ポリエステル系物質やシ
リコーン系物質やポリアミド系物質等も好ましく用いる
ことができる。
【0174】熱溶融性物質の結晶化ピーク温度(JIS
K7121−1987に定める結晶化ピーク温度)
は、同じ熱融解性物質の融解ピーク温度(JIS K7
121−1987に定める融解ピーク温度)よりも10
℃〜50℃低いものである。
【0175】上記の結晶化ピーク温度と融解ピーク温度
との温度差が、10℃未満であると、熱溶融性物質の過
冷却性が弱まり、印字加熱後に溶融した低粘度の熱溶融
性物質が結晶化し、凝固してしまう、或いは印字加熱後
に溶融した低粘度の熱溶融性物質が温度低下に伴って粘
度上昇してしまい、印字物に白抜けが発生し、鮮明な印
字ができない。一方で、結晶化ピーク温度と、融解ピー
ク温度との温度差が、50℃を超えるようになると、中
間層を設ける為のインキを基材フィルムに塗布する際
に、中間層を加熱乾燥させた後もその熱によって熱溶融
性物質が溶融したままである状態が過剰に続くため、塗
布後に巻き取られた熱転写フィルムの基材フィルム面
(中間層形成面側と反対側)と中間層が接着してしまう
という不具合を生じる。
【0176】結晶化及び融解ピーク温度の具体的数値に
ついては、例えば、熱溶融性物質のJIS K7121
−1987に定める融解ピーク温度が45℃〜70℃程
度が挙げられる。その融解ピーク温度が高すぎると、感
度が不足し、一方、融解ピーク温度が低すぎると、中間
層を設けるためのインキを基材フィルムに塗布する際
に、塗布後に巻き取られた熱転写フィルムの基材面と中
間層面が接着してしまうという不具合を生じやすい。
【0177】本発明の熱転写フィルムを構成する中間層
において、バインダー樹脂が印字加熱時に溶融せず、熱
転写フィルムの基材フィルム側に残存し、被転写体へ熱
転写しないことが重要である。
【0178】このためには、バインダー樹脂と熱溶融性
物質とが非相溶性であることが好ましい。すなわち、熱
溶融性物質とバインダー樹脂が配合されている本発明の
中間層においては、熱溶融性物質がバインダー樹脂と混
合されて中間層を構成させても、熱溶融性物質自体の結
晶化ピーク温度及び融解ピーク温度が実質的に変化しな
いように中間層を構成させることが重要であり、このた
めにはバインダー樹脂による多孔質膜の多孔中に熱溶融
性物質が位置している状態を作ることが好ましい。
【0179】尚、上記の熱溶融性物質とバインダー樹脂
との非相溶性は、第1の発明において説明したポリカプ
ロラクトン系樹脂とバインダー樹脂との非相溶性と同様
である。
【0180】本発明では、上記のように中間層が多孔質
構造を有していることが望ましい。このようにバインダ
ー樹脂が網目状の多孔質膜を構成することにより、印字
加熱時に溶融せず、熱転写フィルムの基材フィルム側に
残存し、被転写体へ熱転写しない。
【0181】また多孔質膜で囲まれた多孔の中には熱溶
融性物質が含有され、印字加熱時にこの熱溶融性物質が
溶融粘度が低い状態で被転写体へ転移し、中間層が印字
から剥離までの間に、ある程度冷却されても、熱溶融性
物質の過冷却性により、中間層が溶融したままの状態で
被転写紙と熱転写フィルムが剥離する。またこれによ
り、エネルギー印加された領域の着色層が被転写紙に抜
けを生じること無く、転写して、ラフ紙に対しても抜け
の少ない良好な印字物が得られる。
【0182】このためには、中間層が上記のように75
℃における溶融粘度が100mPa・s以上、1000
mPa・s以下である熱溶融性物質と、JIS K22
07−1980に定める環球法で測定される軟化温度が
130℃以上400℃以下であるバインダー樹脂とを主
成分とし、このバインダー樹脂と熱溶融性物質とが非相
溶性であり、かつ、バインダー層が層として多孔質構造
を構成していることが望ましい。
【0183】本発明において用いる熱溶融性物質の75
℃における溶融粘度が1000mPa・sより高いと、
中間層を設けるための塗工液を基材フィルムの上に塗布
後乾燥させる過程で、バインダー樹脂と熱溶融性物質を
適度に分離させることが困難となり、熱溶融性物質が過
冷却状態であることにより発現する効果が実質的に得ら
れなくなり、着色層を被転写紙に抜けを生じることな
く、転写させることが困難となる。また、バインダー樹
脂と熱溶融性物質が適度に分離した場合であっても、熱
溶融性物質の75℃における溶融粘度が1000mPa
・sより高いと、印字によるエネルギーが印加されるこ
とで溶融状態となる際、被転写紙と熱転写フィルムを剥
離する時点での熱溶融性物質の液体としての流動性は不
十分であり、着色層を被転写紙に抜けを生じること無
く、転写させることが困難となる。
【0184】また、熱溶融性物質の75℃における溶融
粘度が100mPa・sより低い場合は、中間層を設け
るための塗工液を基材フィルムの上に塗布後乾燥させる
過程で、バインダー樹脂と熱溶融性物質を適度に分離さ
せることが困難となり、熱溶融性物質が過冷却状態であ
ることにより発現する効果が実質的に得られなくなり、
着色層を被転写紙に抜けを生じること無く、転写させる
ことが困難となる。また、バインダー樹脂と熱溶融性物
質が適度に分離した場合であっても、中間層が設けられ
た基材フィルムにホットメルトコーティング法にて着色
層を塗布する際に、着色層を良好な面質で安定して重ね
塗りすることが困難になる。
【0185】尚、本発明における多孔質膜とは、肉眼や
光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡や共
焦点レーザー顕微鏡で存在を観察できる状態の多孔質構
造である膜であっても良く、これらの機器を用いても観
察されない状態の極めて微細な多孔質構造であってもよ
い。
【0186】JIS K2207−1980に定める環
球法で測定される軟化温度が130℃以上400℃以下
であるバインダー樹脂としては、非転写性であり、か
つ、基材フィルム上に形成された中間層の上に着色層を
コーティングする際に、及び印字加熱時に低粘度となる
ことなく成膜性を維持していれば、いずれの樹脂でも良
い。中でも、ポリカプロラクトン系樹脂と非相溶な樹脂
が好ましく、例えば、ポリエステル樹脂、SBR樹脂や
ABS樹脂やSBS樹脂等のポリブタジエン系樹脂、ス
チレン−無水マレイン酸共重合体等のマレイン酸系樹
脂、オレフィン系樹脂、オレフィン系共重合体、アイオ
ノマー樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。
【0187】バインダー樹脂の軟化温度(JIS K2
207−1980に定める環球法で測定される軟化温
度)が130℃より低い場合は、中間層を設けるための
塗工液を基材フィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、
バインダー樹脂と熱溶融性物質を適度に分離させること
が困難となり、熱溶融性物質が過冷却状態であることに
より発現する効果が実質的に得られなくなり、着色層を
被転写紙に抜けを生じることなく転写させることが困難
となることがある。
【0188】また、軟化温度(JIS K2207−1
980に定める環球法で測定される軟化温度)が400
℃を超えるバインダー樹脂は、過剰な耐熱性を有するこ
とにより高価な材料である場合がほとんどであるため、
熱転写フィルムの製造費用が過大になるという不具合を
生じる。
【0189】本発明では、上記の中間層のバインダー樹
脂のJIS K7121−1987に定める中間点ガラ
ス転移温度が、熱溶融性物質の融解ピーク温度(JIS
K7121−1987に定める融解ピーク温度)より
も2℃以上高い温度であることが好ましく、両者の温度
差の上限については特に制限されない。しかし、温度差
が100℃を超えると、バインダー樹脂が過剰な耐熱性
を有することにより高価な材料である場合がほとんどで
あり、熱転写フィルムの製造費用が増大するという不具
合を生じる。
【0190】中間層のバインダー樹脂の中間点ガラス転
移温度が、熱溶融性物質の融解ピーク温度よりも2℃以
上高くない場合、中間層を設けるための塗工液を基材フ
ィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、バインダー樹脂
と熱溶融性物質を適度に分離させることが困難となり、
熱溶融性物質が過冷却状態であることにより発現する効
果が実質的に得られなくなり、着色層を被転写紙に抜け
を生じること無く、転写させることが困難となる。
【0191】さらに、中間層のバインダー樹脂の数平均
分子量は8000以上1000000以下が好ましく、
特に好ましくは8000以上100000以下のものが
用いられる。
【0192】中間層のバインダー樹脂の数平均分子量が
8000未満であると、中間層を設けるための塗工液を
基材フィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、バインダ
ー樹脂と熱溶融性物質を適度に分離させることが困難と
なり、熱溶融性物質が過冷却状態であることにより発現
する効果が実質的に得られなくなり、着色層を被転写紙
に抜けを生じること無く、転写させることが困難とな
る。また、中間層のバインダー樹脂の数平均分子量が1
000000より大きい場合も、中間層を設けるための
塗工液を基材フィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、
バインダー樹脂と熱溶融性物質を適度に分離させること
が困難となり、熱溶融性物質が過冷却状態であることに
より発現する効果が実質的に得られなくなり、着色層を
被転写紙に抜けを生じること無く、転写させることが困
難となる。
【0193】また、中間層にカーボンブラックを配合す
ることにより、印字後の熱転写フィルムから印字した内
容を読み取ること(転写された後の熱転写フィルムの着
色層の抜け殻を複写機等により複写した複写物から、転
写フィルムで印字した内容を読み取ること)が困難とな
り、機密漏洩防止機能を併せもたせることが可能とな
る。尚、中間層へのカーボンブラックの配合は、上述の
第1の発明と同様である。
【0194】中間層を形成するには、上記の如き材料
と、高級脂肪族アルコール、リン酸エステル及びその金
属塩、有機カルボン酸及びその誘導体や低融点ワック
ス、各種界面活性剤等の分散剤を必要に応じて添加し、
メチルエチルケトン、トルエン、アルコール類、水等の
適当な溶媒中に溶解または分散させて、塗工液を調整
し、グラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバー
等の慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥すればよい。
【0195】中間層の塗工量は、乾燥固形分で、0.1
〜1.0g/m2 程度が好ましい。塗工量が0.1g/
2 を下回ると、白抜けの発生のない、鮮明な印字物が
得られにくく、また一方、塗工量が1.0g/m2 を越
えると、中間層が厚すぎて、転写時の印字感度が低下す
るので好ましくない。
【0196】(着色層)本発明では、上記の中間層の上
に、着色層を設けるものである。着色層は熱溶融性イン
キ層であり、従来公知の着色剤とバインダーよりなり、
必要に応じて、鉱物油、植物油、ステアリン酸等の高級
脂肪酸、可塑剤、酸化防止剤、充填剤等の種々の添加剤
を加えたものが使用される。
【0197】使用するバインダー、着色剤等は、上述の
第1の発明と同様とすることができる。又、着色剤の形
成も上述の第1の発明と同様とすることができる。
【0198】着色層の厚みは、必要な印字濃度と熱感度
との調和がとれるように、決定すべきであって、好まし
くは0.5〜8g/m2 の範囲であり、2.5〜6g/
2の範囲が特に好ましい。
【0199】さらに、着色層の100℃における溶融粘
度を150mPa・s以上300mPa・s以下とする
ことにより、ラフ紙に対して更に抜けの少ない印字物が
得られることも、上述の第1の発明と同様である。ま
た、着色層の融解ピーク温度(JIS K7121−1
987に定める融解ピーク温度)と熱溶融性物質の融解
ピーク温度(JIS K7121−1987に定める融
解ピーク温度)との差を10℃以下となるように設定す
ることにより、ラフ紙に対して更に抜けの少ない印字物
を得ること、および、着色層が被転写体表面に融着する
ことなく薄膜状に付着してしまう現象(絡み現象)を低
減することができることも、上述の第1の発明と同様で
ある。
【0200】(耐熱滑性層)また、基材フィルムの他方
の面に、サーマルヘッドの粘着を防止し、且つ、滑り性
を良くするために、耐熱滑性層を設けることも可能であ
る。この耐熱滑性層は、上述の第1の発明で説明した耐
熱滑性層と同様とすることができる。
【0201】本発明の画像形成方法 本発明の画像形成方法は、上述の第1の発明あるいは第
3の発明の熱転写フィルムの着色層面に被転写体を重ね
合わせ、基材フィルム側から加熱手段により、画素状に
加熱記録を行い、熱転写フィルムと被転写体とを分離さ
せるもので、各画素を記録してから、熱転写フィルムと
被転写体とを分離させるまでの時間が0.05秒以上2
秒以下である。分離時間が0.05秒未満では、印字の
カスレ等の印字不良が出やすく、一方、分離時間が2秒
より大きいと、ポリカプロラクトン系樹脂の過冷却性で
も間に合わず、印字加熱後に溶融した低粘度のポリカプ
ロラクトン系樹脂が凝固してしまう、或いは印字加熱後
に溶融した低粘度のポリカプロラクトン系樹脂が温度低
下に伴って粘度上昇してしまい、印字物に白抜けが発生
し、鮮明な印字ができない。
【0202】また、本発明の画像形成方法は、上述の第
2の発明あるいは第4の発明の熱転写フィルムの着色層
面に被転写体を重ね合わせ、基材フィルム側から加熱手
段により、画素状に加熱記録を行い、熱転写フィルムと
被転写体とを分離させるもので、各画素を記録してか
ら、熱転写フィルムと被転写体とを分離させるまでの時
間が2秒以下である。各画素を記録してから、熱転写フ
ィルムと被転写体とを分離させるまでの時間が2秒より
大きいと、熱溶融性物質の過冷却性でも間に合わず、印
字加熱後に溶融した低粘度の熱溶融性物質が凝固してし
まう、或いは印字加熱後に溶融した低粘度の熱溶融性物
質が温度低下に伴って粘度上昇してしまい、印字物に白
抜けが発生し、鮮明な印字ができない。
【0203】上記の画像形成における加熱手段は、コン
ピューターからの画像情報に応じて、加熱量をコントロ
ールできる従来公知の方法がいずれも使用できる。例え
ば、ワードプロセッサー、ファクシミリ等に用いられて
いるサーマルヘッドや、レーザー印字方式プリンターに
用いられるレーザーヘッド等を用いることができる。更
に、熱転写フィルムの背面側に通電発熱層を設けた場
合、通電加熱型溶融転写方式用通電ヘッドを用いること
も可能である。
【0204】サーマルヘッドを加熱手段として用いる場
合、アルミナ等の基板の、端面ではない、平面領域に発
熱体を形成した、いわゆる全面グレーズ型サーマルヘッ
ドや部分グレーズ型サーマルヘッドを用いることは、サ
ーマルヘッド自体の価格が後述する端面型サーマルヘッ
ドに比べて大幅に低い事より、安価な画像形成装置を構
築する事が出来る点で好ましい。このような全面グレー
ズ型サーマルヘッドや部分グレーズ型サーマルヘッドを
使用する場合は、発熱体の、熱転写フィルムの送り方向
における下流側に、共通電極を設ける為の領域や、アル
ミナ等の基板を支持するための台座が、約1mm〜10
mm程度の幅で存在する為に、熱転写フィルムを被転写
体から各画素の記録直後に分離する為に必要な空間をと
ることが困難である。従って、サーマルヘッドで加熱記
録された各画素の領域が、熱転写フィルムの送り方向に
おける下流側に移動して、該基板の端部に到達した時点
以後に分離を行うことが可能となる。
【0205】本発明の画像形成方法を、前記の全面グレ
ーズ型サーマルヘッドや部分グレーズ型サーマルヘッド
を用いた画像形成装置にて実施する場合、サーマルヘッ
ドで加熱記録された各画素の領域を熱転写フィルムの送
り方向における下流側に移動させて該基板の端部に到達
させるまでに要する最短時間が、熱転写フィルムと被転
写体を分離させるまでの下限時間となる。そして、熱転
写フィルムが連続的に送られる場合はその送り速度、ま
た、熱転写フィルムが間欠的に送られる場合は、その際
の停止時間と送り速度を適宜調節すること等で、熱転写
フィルムと被転写体を分離させるまでの時間を2秒以下
にすることができる。
【0206】一方、前記の全面グレーズ型サーマルヘッ
ドや部分グレーズ型サーマルヘッドを用いた画像形成装
置にて本発明の画像形成方法を実施する場合、上記の理
由により、分離時間を0秒にする事は困難である。サー
マルヘッドを加熱手段として用いる場合に分離時間を0
秒にする為には、被転写体と熱転写フィルムの分離を、
各画素の記録後直ちに行う必要がある。こうした分離
は、アルミナ等の基板の端面部分に発熱体を形成した、
いわゆる端面型サーマルヘッドを使用する事で可能とな
る。
【0207】本発明では、画像形成における加熱記録を
行うためのエネルギーは、10mJ/mm2 以上35m
J/mm2 以下であることが好ましい。加熱エネルギー
が、10mJ/mm2 未満であると、被転写体への着色
層の転写が充分でなく、鮮明な印字が行えなくなる。一
方、加熱エネルギーが35mJ/mm2 より大きいと、
中間層のポリカプロラクトン系樹脂が溶融した着色層と
混合することにより、白抜けの発生しない、鮮明な印字
物が得られにくくなるので好ましくない。
【0208】本発明の熱転写フィルムは、カラー印字に
適応できることは言うまでもなく、多色の熱転写フィル
ムも本発明の範囲に含まれる。
【0209】尚、本発明の熱転写フィルムは、上記の発
明の実施の形態に限定されるものではない。また、本発
明の熱転写フィルムと組み合わせて用いられる被転写体
は、従来公知のいずれの被転写体でも使用することがで
きる。
【0210】
【実施例】次に実施例および比較例をあげて、本発明を
更に具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるの
は、特に断りのない限り重量基準である。
【0211】[実施例1]試料1−1〜1−8の作製 基材フィルムとして、厚さ4.5μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム(東レ株式会社製)を用いて、そ
の基材フィルム上に、下記表1に示す組成で中間層塗工
液をグラビアコート法により、表1に示す各々の塗布量
になるように塗工し、100℃の熱風で溶剤を乾燥させ
た後に巻き取った。尚、溶融粘度の測定は以下の測定装
置および測定条件で行った。 ・装置名称:粘弾性測定装置ロトビスコRV20(HA
KKE社製) ・測定頭部:M5 ・センサーシステム:センサーシステムコーンプレート
PK5(開き角度0.5°、コーンプレート半径25m
m、設定温度を75℃)
【0212】次に、各中間層の上に、下記組成の着色層
塗工液を、100℃に加温したホットメルトコーティン
グ法で、乾燥時4μmの厚さに塗布して着色層を形成
し、熱転写フィルム(試料1−1〜1−8)を作製し
た。
【0213】但し、基材フィルムの他方の面には、下記
組成の耐熱滑性層塗工液をロールコーターにより、塗
布、乾燥し、乾燥時0.1μmの厚みの耐熱滑性層を予
め設けてある。 (着色層塗工液) カーボンブラック(平均粒径40nm、三菱化学株式会社製) 15部 エチレン−酢酸ビニル共重合体 9部 (スミテートHC10、住友化学株式会社製) カルナバワックス(加藤洋行) 38部 パラフィンワックス(155°F、日本精蝋株式会社製) 38部
【0214】 (耐熱滑性層塗工液) ポリビニルブチラール樹脂 20部 (積水化学株式会社製 エスレックBX−1) タルク(日本アルク株式会社製 ミクロエースL−1) 30部 メラミン樹脂微粒子 30部 (日本触媒化学工業株式会社製 エポスターS) ポリイソシアネート 40部 (武田薬品工業株式会社製 タケネートA−3) トルエン/メチルエチルケトン(重量比1/1) 900部
【0215】
【表1】
【0216】
【表2】
【0217】使用したポリカプロラクトン系樹脂、バイ
ンダー樹脂、カーボンブラックの種類は以下の通りであ
る。 (1)プラクセル210(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (2)プラクセル220(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (3)プラクセル240(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (4)プラクセルH1P(ポリカプロラクトン、ダイセ
ル化学工業製) (5)プラクセル320(ポリカプロラクトントリオー
ル、ダイセル化学工業製) (6)バイロン200(東洋紡績(株)製) (7)カルナバ2号(カルナバワックス、野田ワックス
製) (8)カーボンブラック(平均粒径40nm、三菱化学
(株)製) (9)プラクセル205(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (10)バイロン220(東洋紡績(株)製) (11)バイロン290(東洋紡績(株)製) (12)バイロン600(東洋紡績(株)製) (13)ポリスチレン(数平均分子量10,000) (14)プラクセルH7(ポリカプロラクトン、ダイセ
ル化学工業製)
【0218】比較試料1−1〜1−13の作製 中間層塗工液を上記表1に示す組成に変え、また表1に
示す各々の塗布量になるように塗工した以外は、上記の
試料1−1〜1−8と同様にして熱転写フィルム(比較
試料1−1〜1−13)を作製した。
【0219】上記のようにして得られた熱転写フィルム
(試料1−1〜1−8、比較試料1−1〜1−13)に
対して、下記の評価方法にて、中間層のコーティング適
性、着色層のコーティング適性、印字品質および機密漏
洩防止性の評価を行った。
【0220】〈中間層のコーティング適性〉基材フィル
ムの上に中間層を塗布する際のコーティング適性につい
て、以下の評価基準に従って評価を行った。 A:溶剤を乾燥させた後の中間層は指で触った際のタッ
クが観察されることは無く、また巻き取った後の基材フ
ィルム面と中間層が、中間層のタックにより接着するこ
とはなかった。 B:溶剤を乾燥させた後の中間層は指で触った際にタッ
クがわずかに観察されたが、巻き取った後の基材フィル
ム面と中間層が、中間層のタックにより接着することは
なかった。 C:溶剤を乾燥させた後の中間層は指で触った際にタッ
クが観察され、また巻き取った後の基材フィルム面と中
間層が、中間層のタックにより接着する様子が観察され
た。
【0221】〈着色層のコーティング適性〉中間層の上
に着色層塗工液を塗布する際のコーティング適性につい
て、以下の評価基準に従って評価を行った。 A:着色層塗工液を基材フィルムに直接コーティングし
た場合と、同等の良質な塗布面が安定して得られた。 B:着色層塗工液を基材フィルムに直接コーティングし
た場合に比べて、ムラの目立つ塗布面が得られた。 C:ムラが激しく、熱転写フィルムとして実用に供する
ことの出来ない塗布面が得られた。
【0222】〈印字品質〉富士ゼロックス株式会社製フ
ァクシミリ(Telecopier7033)を用い、
ゼロックス株式会社製プリンター用紙(#4024、ベ
ック平滑度32秒)に、上記の熱転写フィルムを用い
て、コピーモードで印字を行なった。得られた印字物の
観察を目視により行ない、白抜けの発生による文字や細
線の欠損について、以下の基準に従って、評価を行なっ
た。 A:白抜けの発生による文字や細線の欠損はほとんど観
察されず、極めて良好な印字物が得られた。 B:白抜けの発生による文字や細線の欠損が僅かに観察
されたが、良好な印字物が得られた。 C:白抜けの発生による文字や細線の欠損がかなり観察
され、文字や細線がかすれた外観である印字物が得られ
た。 D:白抜けの発生による文字や細線の欠損が著しく観察
され、文字や細線が著しくかすれた外観である印字物が
得られた。
【0223】〈機密漏洩防止性〉上記の印字品質で行っ
た印字条件と同じ条件で印字を行った後の熱転写フィル
ムの着色層面を富士ゼロックス株式会社製コピー機(V
ivace675)で富士ゼロックス株式会社製コピー
用紙(WR−100)に複写した。複写を行う際の濃度
設定は、『自動』とした。該コピー用紙に複写された像
を目視で観察し、熱転写フィルムで印字を行った内容が
読解できるかについて、以下の基準に従って、評価を行
った。 A:印字を行った内容を読解することが出来なかった。 B:印字を行った内容を読解することがほとんど出来な
かった。 C:印字を行った内容を読解することが容易に出来た。
【0224】(評価結果)評価結果を下記表2に示す。
【0225】
【表3】 表2に示されるように、75℃における溶融粘度が10
0〜1000mPa・sの範囲内にあるポリカプロラク
トン系樹脂を用い、バインダー樹脂の補外融解開始温度
が130〜400℃の範囲内にある熱転写フィルム(試
料1−1〜1−8)は、中間層のコーティング適性、着
色層のコーティング適性、印字品質のいずれの項目も実
用レベルにあり、さらに、中間層にカーボンブラックを
含有する熱転写フィルム(試料1−6〜1−8)は、機
密漏洩防止性も優れることが確認された。
【0226】これに対して、75℃における溶融粘度が
100〜1000mPa・sの範囲から外れるポリカプ
ロラクトン系樹脂を用いた熱転写フィルム(比較試料1
−2、1−3、1−5、1−6、1−8〜1−13)、
および、中間層にバインダー樹脂を含有しない熱転写フ
ィルム(比較試料1−1〜1−4、1−8、1−9)、
および、含有するバインダー樹脂の補外融解開始温度が
130℃未満である熱転写フィルム(比較試料1−6、
1−7)は、中間層のコーティング適性、着色層のコー
ティング適性、印字品質の少なくとも1項目において実
用に供し得ないものであった。
【0227】次に、ローム株式会社製サーマルヘッド
(KF2008−GR10A、印加電圧24V)を使用
したテストプリンターを用い、印字速度10ms/li
neで、ゼロックス株式会社製プリンター用紙(#40
24、ベック平滑度32秒)に、上述のように作製した
熱転写フィルム(試料1−8)を用いて、下記表3に示
す剥離時間と印加エネルギーの組み合わせからなる16
種の印字条件(印字条件A−1〜A−8、比較印字条件
A−1〜A−8)にて印字を行なった。
【0228】印加エネルギーは印加パルスの長さを適宜
変更することで調整し、剥離時間はサーマルヘッドの発
熱体の中心位置から剥離位置までの距離を適宜変更する
ことで調整した。
【0229】また、印字品質の評価は、上記の試料1−
1〜1−8および比較試料1−1〜1−13で行った評
価基準に従って、行った。
【0230】(評価結果)評価結果を下記表3に示す。
【0231】
【表4】 表3に示されるように、各画素を記録してから熱転写フ
ィルムとプリンター用紙とを分離させるまでの時間が
0.05〜2秒の範囲内にある印字条件A−1〜A−8
で印字されたものの印字品質は良好であり、この中で、
印字エネルギーが10〜35mJ/mm2の範囲にある
印字条件A−2、A−3、A−6、A−7で印字された
ものの印字品質は特に良好であった。
【0232】これに対して、各画素を記録してから熱転
写フィルムとプリンター用紙とを分離させるまでの時間
が0.05秒未満、あるいは2秒を超える比較印字条件
A−1〜A−8で印字されたものの印字品質は悪く、こ
の中で、印字エネルギーが10〜35mJ/mm2から
外れる比較印字条件A−1、A−4、A−5、A−8で
印字されたものの印字品質は特に悪いものであった。
【0233】[実施例2]試料2−1〜2−11の作製 基材フィルムとして、厚さ4.5μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム(東レ株式会社製)を用いて、そ
の基材フィルム上に、下記表4に示す組成で中間層塗工
液をグラビアコート法により、表4に示す各々の塗布量
になるように塗工し、100℃の熱風で溶剤を乾燥させ
た後に巻き取った。尚、溶融粘度の測定は実施例1と同
様の測定装置および測定条件で行った。
【0234】次に、各中間層の上に、下記組成の着色層
塗工液を、100℃に加温したホットメルトコーティン
グ法で、乾燥時4μmの厚さに塗布して着色層を形成
し、熱転写フィルム(試料2−1〜2−11)を作製し
た。
【0235】但し、基材フィルムの他方の面には、下記
組成の耐熱滑性層塗工液をロールコーターにより、塗
布、乾燥し、乾燥時0.1μmの厚みの耐熱滑性層を予
め設けてある。 (着色層塗工液) カーボンブラック(平均粒径40nm、三菱化学株式会社製) 15部 エチレン−酢酸ビニル共重合体 9部 (スミテートHC10、住友化学株式会社製) カルナバワックス(加藤洋行) 38部 パラフィンワックス(155°F、日本精蝋株式会社製) 38部
【0236】 (耐熱滑性層塗工液) ポリビニルブチラール樹脂 20部 (積水化学株式会社製 エスレックBX−1) タルク(日本タルク株式会社製 ミクロエースL−1) 30部 メラミン樹脂微粒子 30部 (日本触媒化学工業株式会社製 エポスターS) ポリイソシアネート 40部 (武田薬品工業株式会社製 タケネートA−3) トルエン/メチルエチルケトン(重量比1/1) 900部
【0237】
【表5】
【0238】
【表6】
【0239】
【表7】
【0240】注1:バインダー樹脂の(16)MD−1
500と(18)MD−1930はポリエステル樹脂の
水分散液であり、固形分が所定の重量部になるような適
量を使用した。 注2:バインダー樹脂の(20)は明細書記載の手法に
従ってカーボンブラックを分散させたポリエステル樹脂
の水分散液であり、固形分が25重量部になるような適
量を使用した。 注3:バインダー樹脂(17)はカルナバワックスの固
形分が25重量部になるような適量を使用した。 注4:FUJI SP−Black8556はカーボン
ブラックの水分散液であり、固形分が20重量部になる
ような適量を使用した。
【0241】使用した熱溶融性物質、バインダー樹脂、
カーボンブラックの種類は以下の通りである。 (1)ポリエチレングリコール#4000(三洋化成工
業(株)製) (2)プラクセル210(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (3)プラクセル220(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (4)プラクセル240(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (5)プラクセルH1P(ポリカプロラクトン、ダイセ
ル化学工業製) (6)プラクセル320(ポリカプロラクトントリオー
ル、ダイセル化学工業製) (7)バイロン200(東洋紡績(株)製) (8)カルナバ2号(カルナバワックス、野田ワックス
製) (9)カーボンブラック(平均粒径40nm、三菱化学
(株)製) (10)プラクセル205(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (11)バイロン220(東洋紡績(株)製) (12)バイロン290(東洋紡績(株)製) (13)バイロン600(東洋紡績(株)製) (14)ポリスチレン(数平均分子量10,000) (15)プラクセルH7(ポリカプロラクトン、ダイセ
ル化学工業製) (16)バイロナールMD−1500(ポリエステル水
分散液、東洋紡績(株)製) (17)カルナバワックス水分散液(コニシ(株)製) (18)バイロナールMD−1930(ポリエステル水
分散液、東洋紡績(株)製) (19)ジシクロヘキシルフタレート (20)カーボンブラック分散ポリエステル樹脂の水分
散体 (21)FUJI SP−Black8556(カーボ
ンブラック水分散体、富士色素製)
【0242】尚、上記の表4中のバインダー樹脂(2
0)の水分散体は次の手法により作製した。まず、下記
組成から成る数平均分子量18000のポリエステル樹
脂100重量部とトルエン400重量部と三菱化学
(株)製のカーボンブラック(平均粒径40nm)50
重量部と分散剤(ソルスパース24000)5重量部を
サンドミルで常法に従って充分安定な状態に分散させ、
加熱乾燥によりトルエンを除去することで、ポリエステ
ル樹脂へのカーボンブラック分散体を作製した。
【0243】(ポリエステル樹脂の組成) テレフタル酸:イソフタル酸:5−ナトリウムスルフォ
イソフタル酸:エチレングリコール:ネオペンチルグリ
コール=50:43:7:50:50(モル比)
【0244】上記のポリエステル樹脂へのカーボンブラ
ック分散体30重量部とブチルセルソルブ21重量部を
150℃で加熱しながら充分に攪拌して水飴状に混練し
た後、予め80℃に加熱した水49重量部を少量ずつ、
高速ホモジナイザーで強攪拌しながら滴下した。水の滴
下を終了した後、強攪拌を続けながら容器の温度を徐々
に室温まで下げることで、カーボンブラックがポリエス
テル樹脂相中に主として分散している、ポリエステル樹
脂水分散体を得た。
【0245】比較試料2−1〜2−16の作製 中間層塗工液を上記表4に示す組成に変え、また表4に
示す各々の塗布量になるように塗工した以外は、上記の
試料2−1〜2−11と同様にして熱転写フィルム(比
較試料2−1〜2−16)を作成した。
【0246】次に、上記のようにして得られた熱転写フ
ィルム(試料2−1〜2−11、比較試料2−1〜2−
16)に対して、実施例1と同様の評価方法により、中
間層のコーティング適性、着色層のコーティング適性、
印字品質及び機密漏洩防止性の評価を行った。
【0247】(評価結果)評価結果を下記表5に示す。
【0248】
【表8】 表5に示されるように、75℃における溶融粘度が10
0〜1000mPa・sの範囲内にある熱溶融性物質を
用い、バインダー樹脂の補外融解開始温度が130〜4
00℃の範囲内にあり、かつ、結晶化ピーク温度(JI
S K7121−1987に定める結晶化ピーク温度)
が融解ピーク温度(JIS K7121−1987に定
める融解ピーク温度)よりも10℃〜50℃低い熱溶融
性物質を用いた熱転写フィルム(試料2−1〜2−1
1)は、中間層のコーティング適性、着色層のコーティ
ング適性、印字品質のいずれの項目も実用レベルにあ
り、さらに、中間層にカーボンブラックを含有する熱転
写フィルム(試料2−7〜2−11)は、機密漏洩防止
性も優れることが確認された。
【0249】これに対して、75℃における溶融粘度が
100〜1000mPa・sの範囲から外れる熱溶融性
物質を用いた熱転写フィルム(比較試料2−3、2−
4、2−6、2−7、2−9〜2−14)、および、中
間層にバインダー樹脂を含有しない熱転写フィルム(比
較試料2−2〜2−5、2−9、2−10)、および、
含有するバインダー樹脂の補外融解開始温度が150℃
未満である熱転写フィルム(比較試料2−1、2−7、
2−8、2−15)、中間層に含有する熱溶融性物質の
融解ピーク温度から結晶化ピーク温度を引いた値が10
℃〜50℃の範囲から外れる熱転写フィルム(比較試料
2−16)は、中間層のコーティング適性、着色層のコ
ーティング適性、印字品質の少なくとも1項目において
実用に供し得ないものであった。
【0250】次に、ローム株式会社製部分グレーズ型サ
ーマルヘッド(KF2008−GH14、印加電圧24
V)を使用したテストプリンターを用い、印字速度10
ms/lineで、ゼロックス株式会社製プリンター用
紙(#4024、ベック平滑度32秒)に、上述のよう
に作製した熱転写フィルム(試料2−9)を用いて、下
記表6に示す剥離時間と印加エネルギーの組み合わせか
らなる12種の印字条件(印字条件B−1〜B−8、比
較印字条件B−1〜B−4)にて印字を行なった。
【0251】印加エネルギーは印加パルスの長さを適宜
変更することで調整し、剥離時間はサーマルヘッドの発
熱体の中心位置から剥離位置までの距離を適宜変更する
ことで調整した。また、印字品質の評価は、上記の試料
2−1〜2−11、比較試料2−1〜2−16で行った
評価基準に従って、行った。
【0252】(評価結果)評価結果を下記表6に示す。
【0253】
【表9】 表6に示されるように、各画素を記録してから熱転写フ
ィルムとプリンター用紙とを分離させるまでの時間が2
秒以下である印字条件B−1〜B−8で印字されたもの
の印字品質は良好であり、この中で、印字エネルギーが
10〜35mJ/mm2の範囲にある印字条件B−2、
B−3、B−6、B−7で印字されたものの印字品質は
特に良好であった。
【0254】これに対して、各画素を記録してから熱転
写フィルムとプリンター用紙とを分離させるまでの時間
が2秒を超える比較印字条件B−1〜B−4で印字され
たものの印字品質は悪く、この中で、印字エネルギーが
10〜35mJ/mm2から外れる比較印字条件B−
1、B−4で印字されたものの印字品質は特に悪いもの
であった。
【0255】[実施例3]試料3−1〜3−8の作製 基材フィルムとして、厚さ4.5μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム(東レ株式会社製)を用いて、そ
の基材フィルム上に、下記表7に示す組成で中間層塗工
液をグラビアコート法により、下記表7に示す各々の塗
布量になるように塗工し、100℃の熱風で溶剤を乾燥
させた後に巻き取った。尚、溶融粘度の測定は実施例1
と同様の測定装置および測定条件で行った。
【0256】次に、各中間層の上に、下記組成の着色層
塗工液を、100℃に加温したホットメルトコーティン
グ法で、乾燥時4μmの厚さに塗布して着色層を形成
し、熱転写フィルム(試料3−1〜3−8)を作製し
た。
【0257】但し、基材フィルムの他方の面には、下記
組成の耐熱滑性層塗工液をロールコーターにより、塗
布、乾燥し、乾燥時0.1μmの厚みの耐熱滑性層を予
め設けてある。 (着色層塗工液) カーボンブラック(平均粒径40nm、三菱化学株式会社製) 15部 エチレン−酢酸ビニル共重合体 9部 (スミテートHC10、住友化学株式会社製) カルナバワックス(加藤洋行) 38部 パラフィンワックス(155°F、日本精蝋株式会社製) 38部
【0258】 (耐熱滑性層塗工液) ポリビニルブチラール樹脂 20部 (積水化学株式会社製 エスレックBX−1) タルク(日本タルク株式会社製 ミクロエースL−1) 30部 メラミン樹脂微粒子 30部 (日本触媒化学工業株式会社製 エポスターS) ポリイソシアネート 40部 (武田薬品工業株式会社製 タケネートA−3) トルエン/メチルエチルケトン(重量比1/1) 900部
【0259】
【表10】
【0260】
【表11】
【0261】使用したポリカプロラクトン系樹脂、バイ
ンダー樹脂、カーボンブラックの種類は以下の通りであ
る。 (1)プラクセル210(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (2)プラクセル220(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (3)プラクセル240(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (4)プラクセルH1P(ポリカプロラクトン、ダイセ
ル化学工業製) (5)プラクセル320(ポリカプロラクトントリオー
ル、ダイセル化学工業製) (6)バイロン200(東洋紡績(株)製) (7)カルナバ2号(カルナバワックス、野田ワックス
製) (8)カーボンブラック(平均粒径40nm、三菱化学
(株)製) (9)プラクセル205(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (10)バイロン290(東洋紡績(株)製) (11)バイロン600(東洋紡績(株)製) (12)ポリスチレン(数平均分子量10,000) (13)プラクセルH7(ポリカプロラクトン、ダイセ
ル化学工業製)
【0262】比較試料3−1〜3−13の作製 中間層塗工液を上記表7に示す組成に変え、また表7に
示す各々の塗布量になるように塗工した以外は、上記の
試料3−1〜3−8と同様にして熱転写フィルム(比較
試料3−1〜3−13)を作製した。
【0263】上記のようにして得られた熱転写フィルム
(試料3−1〜3−8、比較試料3−1〜3−13)に
対して、実施例1と同様の評価方法により、中間層のコ
ーティング適性、着色層のコーティング適性、印字品質
および機密漏洩防止性の評価を行った。
【0264】(評価結果)評価結果を下記表8に示す。
【0265】
【表12】 表8に示されるように、75℃における溶融粘度が10
0〜1000mPa・sの範囲内にあるポリカプロラク
トン系樹脂を用い、バインダー樹脂が非転写性であり、
その軟化温度(JIS K2207−1980に定める
環球法で測定される軟化温度)が130〜400℃の範
囲内にある熱転写フィルム(試料3−1〜3−8)は、
中間層のコーティング適性、着色層のコーティング適
性、印字品質のいずれの項目も実用レベルにあり、さら
に、中間層にカーボンブラックを含有する熱転写フィル
ム(試料3−6、3−7、3−8)は、機密漏洩防止性
も優れることが確認された。
【0266】これに対して、75℃における溶融粘度が
100〜1000mPa・sの範囲から外れるポリカプ
ロラクトン系樹脂を用いた熱転写フィルム(比較試料3
−2、3−3、3−5、3−6、3−8〜3−13)、
および、中間層にバインダー樹脂を含有しない熱転写フ
ィルム(比較試料3−1〜3−4、3−8、3−9)、
および、含有するバインダー樹脂の軟化温度(JIS
K2207−1980に定める環球法で測定される軟化
温度)が130℃未満である熱転写フィルム(比較試料
3−6、3−7)は、中間層のコーティング適性、着色
層のコーティング適性、印字品質の少なくとも1項目に
おいて実用に供し得ないものであった。
【0267】次に、ローム株式会社製サーマルヘッド
(KF2008−GR10A、印加電圧24V)を使用
したテストプリンターを用い、印字速度10ms/li
neで、ゼロックス株式会社製プリンター用紙(#40
24、ベック平滑度32秒)に、上述のように作製した
熱転写フィルム(試料3−8)を用いて、下記表9に示
す剥離時間と印加エネルギーの組み合わせからなる16
種の印字条件(印字条件C−1〜C−8、比較印字条件
C−1〜C−8)にて印字を行なった。
【0268】印加エネルギーは印加パルスの長さを適宜
変更することで調整し、剥離時間はサーマルヘッドの発
熱体の中心位置から剥離位置までの距離を適宜変更する
ことで調整した。また、印字品質の評価は、上記の試料
3−1〜3−8および比較試料3−1〜3−13で行っ
た評価基準に従って、行った。
【0269】(評価結果)評価結果を下記表9に示す。
【0270】
【表13】 表9に示されるように、各画素を記録してから熱転写フ
ィルムとプリンター用紙とを分離させるまでの時間が
0.05〜2秒の範囲内にある印字条件C−1〜C−8
で印字されたものの印字品質は良好であり、この中で、
印字エネルギーが10〜35mJ/mm2の範囲にある
印字条件C−2、C−3、C−6、C−7で印字された
ものの印字品質は特に良好であった。
【0271】これに対して、各画素を記録してから熱転
写フィルムとプリンター用紙とを分離させるまでの時間
が0.05秒未満、あるいは2秒を超える比較印字条件
C−1〜C−8で印字されたものの印字品質は悪く、こ
の中で、印字エネルギーが10〜35mJ/mm2から
外れる比較印字条件C−1、C−4、C−5、C−8で
印字されたものの印字品質は特に悪いものであった。
【0272】[実施例4]試料4−1〜4−11の作製 基材フィルムとして、厚さ4.5μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム(東レ株式会社製)を用いて、そ
の基材フィルム上に、下記表10に示す組成で中間層塗
工液をグラビアコート法により、表10に示す各々の塗
布量になるように塗工し、100℃の熱風で溶剤を乾燥
させた後に巻き取った。尚、溶融粘度の測定は実施例1
と同様の測定装置および測定条件で行った。
【0273】次に、各中間層の上に、下記組成の着色層
塗工液を、100℃に加温したホットメルトコーティン
グ法で、乾燥時4μmの厚さに塗布して着色層を形成
し、熱転写フィルム(試料4−1〜4−11)を作製し
た。
【0274】但し、基材フィルムの他方の面には、下記
組成の耐熱滑性層塗工液をロールコーターにより、塗
布、乾燥し、乾燥時0.1μmの厚みの耐熱滑性層を予
め設けてある。 (着色層塗工液) カーボンブラック(平均粒径40nm、三菱化学株式会社製) 15部 エチレン−酢酸ビニル共重合体 9部 (スミテートHC10、住友化学株式会社製) カルナバワックス(加藤洋行) 38部 パラフィンワックス(155°F、日本精蝋株式会社製) 38部
【0275】 (耐熱滑性層塗工液) ポリビニルブチラール樹脂 20部 (積水化学株式会社製 エスレックBX−1) タルク(日本タルク株式会社製 ミクロエースL−1) 30部 メラミン樹脂微粒子 30部 (日本触媒化学工業株式会社製 エポスターS) ポリイソシアネート 40部 (武田薬品工業株式会社製 タケネートA−3) トルエン/メチルエチルケトン(重量比1/1) 900部
【0276】
【表14】
【0277】
【表15】
【0278】
【表16】
【0279】注1:バインダー樹脂の(16)MD−1
500と(18)MD−1930はポリエステル樹脂の
水分散液であり、固形分が所定の重量部になるような適
量を使用した。 注2:バインダー樹脂の(20)は明細書記載の手法に
従ってカーボンブラックを分散させたポリエステル樹脂
の水分散液であり、固形分が25重量部になるような適
量を使用した。 注3:バインダー樹脂(17)はカルナバワックスの固
形分が25重量部になるような適量を使用した。 注4:FUJI SP−Black8556はカーボン
ブラックの水分散液であり、固形分が20重量部になる
ような適量を使用した。
【0280】使用した熱溶融性物質、バインダー樹脂、
カーボンブラックの種類は以下の通りである。 (1)ポリエチレングリコール#4000(三洋化成工
業(株)製) (2)プラクセル210(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (3)プラクセル220(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (4)プラクセル240(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (5)プラクセルH1P(ポリカプロラクトン、ダイセ
ル化学工業製) (6)プラクセル320(ポリカプロラクトントリオー
ル、ダイセル化学工業製) (7)バイロン200(東洋紡績(株)製) (8)カルナバ2号(カルナバワックス、野田ワックス
製) (9)カーボンブラック(平均粒径40nm、三菱化学
(株)製) (10)プラクセル205(ポリカプロラクトンジオー
ル、ダイセル化学工業製) (11)バイロン290(東洋紡績(株)製) (12)バイロン600(東洋紡績(株)製) (13)ポリスチレン(数平均分子量10,000) (14)プラクセルH7(ポリカプロラクトン、ダイセ
ル化学工業製) (15)バイロナールMD−1500(ポリエステル水
分散液、東洋紡績(株)製) (16)カルナバワックス水分散液(コニシ(株)製) (17)バイロナールMD−1930(ポリエステル水
分散液、東洋紡績(株)製) (18)ジシクロヘキシルフタレート (19)カーボンブラック分散ポリエステル樹脂の水分
散体 (20)FUJI SP−Black8556(カーボ
ンブラック水分散体、富士色素製)
【0281】尚、上記の表10中のバインダー樹脂(1
9)の水分散体は次の手法により作製した。まず、下記
組成から成る数平均分子量18000のポリエステル樹
脂100重量部とトルエン400重量部と三菱化学
(株)製のカーボンブラック(平均粒径40nm)50
重量部と分散剤(ソルスパース24000)5重量部を
サンドミルで常法に従って充分安定な状態に分散させ、
加熱乾燥によりトルエンを除去することで、ポリエステ
ル樹脂へのカーボンブラック分散体を作製した。
【0282】(ポリエステル樹脂の組成) テレフタル酸:イソフタル酸:5−ナトリウムスルフォ
イソフタル酸:エチレングリコール:ネオペンチルグリ
コール=50:43:7:50:50(モル比)
【0283】上記のポリエステル樹脂へのカーボンブラ
ック分散体30重量部とブチルセルソルブ21重量部を
150℃で加熱しながら充分に攪拌して水飴状に混練し
た後、予め80℃に加熱した水49重量部を少量ずつ、
高速ホモジナイザーで強攪拌しながら滴下した。水の滴
下を終了した後、強攪拌を続けながら容器の温度を徐々
に室温まで下げることで、カーボンブラックがポリエス
テル樹脂相中に主として分散している、ポリエステル樹
脂水分散体を得た。
【0284】比較試料4−1〜4−16の作製 中間層塗工液を上記表10に示す組成に変え、また表1
0に示す各々の塗布量になるように塗工した以外は、上
記の試料4−1〜4−11と同様にして熱転写フィルム
(比較試料4−1〜4−16)を作成した。
【0285】次に、上記のようにして得られた熱転写フ
ィルム(試料4−1〜4−11、比較試料4−1〜4−
16)に対して、実施例1と同様の評価方法により、中
間層のコーティング適性、着色層のコーティング適性、
印字品質及び機密漏洩防止性の評価を行った。
【0286】(評価結果)評価結果を下記表11示す。
【0287】
【表17】 表11に示されるように、75℃における溶融粘度が1
00〜1000mPa・sの範囲内にある熱溶融性物質
を用い、バインダー樹脂が非転写性であり、その軟化温
度(JIS K2207−1980に定める環球法で測
定される軟化温度)が130〜400℃の範囲内にあ
り、かつ、結晶化ピーク温度(JIS K7121−1
987に定める結晶化ピーク温度)が融解ピーク温度
(JIS K7121−1987に定める融解ピーク温
度)よりも10℃〜50℃低い熱溶融性物質を用いた熱
転写フィルム(試料4−1〜4−11)は、中間層のコ
ーティング適性、着色層のコーティング適性、印字品質
のいずれの項目も実用レベルにあり、さらに、中間層に
カーボンブラックを含有する熱転写フィルム(試料4−
7〜4−11)は、機密漏洩防止性も優れることが確認
された。
【0288】これに対して、75℃における溶融粘度が
100〜1000mPa・sの範囲から外れる熱溶融性
物質を用いた熱転写フィルム(比較試料4−3、4−
4、4−6、4−7、4−9〜4−16)、および、中
間層にバインダー樹脂を含有しない熱転写フィルム(比
較試料4−2〜4−5、4−9、4−10)、および、
含有するバインダー樹脂の軟化温度(JIS K220
7−1980に定める環球法で測定される軟化温度)が
130℃未満である熱転写フィルム(比較試料4−1、
4−7、4−8、4−15)、中間層に含有する熱溶融
性物質の融解ピーク温度から結晶化ピーク温度を引いた
値が10℃〜50℃の範囲から外れる熱転写フィルム
(比較試料4−16)は、中間層のコーティング適性、
着色層のコーティング適性、印字品質の少なくとも1項
目において実用に供し得ないものであった。
【0289】次に、ローム株式会社製部分グレーズ型サ
ーマルヘッド(KF2008−GH14、印加電圧24
V)を使用したテストプリンターを用い、印字速度10
ms/lineで、ゼロックス株式会社製プリンター用
紙(#4024、ベック平滑度32秒)に、上述のよう
に作製した熱転写フィルム(試料4−9)を用いて、下
記表12に示す剥離時間と印加エネルギーの組み合わせ
からなる12種の印字条件(印字条件D−1〜D−8、
比較印字条件D−1〜D−4)にて印字を行なった。
【0290】印加エネルギーは印加パルスの長さを適宜
変更することで調整し、剥離時間はサーマルヘッドの発
熱体の中心位置から剥離位置までの距離を適宜変更する
ことで調整した。
【0291】また、印字品質の評価は、上記の試料4−
1〜4−11、比較試料4−1〜4−16で行った評価
基準に従って、行った。
【0292】(評価結果)評価結果を下記表12に示
す。
【0293】
【表18】 表12に示されるように、各画素を記録してから熱転写
フィルムとプリンター用紙とを分離させるまでの時間が
2秒以下である印字条件D−1〜D−8で印字されたも
のの印字品質は良好であり、この中で、印字エネルギー
が10〜35mJ/mm2の範囲にある印字条件D−
2、D−3、D−6、D−7で印字されたものの印字品
質は特に良好であった。
【0294】これに対して、各画素を記録してから熱転
写フィルムとプリンター用紙とを分離させるまでの時間
が2秒を超える比較印字条件D−1〜D−4で印字され
たものの印字品質は悪く、この中で、印字エネルギーが
10〜35mJ/mm2から外れる比較印字条件D−
1、D−4で印字されたものの印字品質は特に悪いもの
であった。
【0295】[実施例5]試料5−1〜5−5の作製 基材フィルムとして、厚さ4.5μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム(東レ株式会社製)を用いて、そ
の基材フィルム上に、下記組成の中間層塗工液をグラビ
アコート法により0.5g/m2の塗布量になるように
塗工し、100℃の熱風で溶剤を乾燥させた後に巻き取
った。
【0296】 (中間層塗工液) ポリカプロラクトン系樹脂 20部 (プラクセル220、ダイセル化学工業株式会社製) (75℃における溶融粘度:330〜400mPa・s) (融解ピーク温度:55℃、数平均分子量:2000) バインダー樹脂(ポリエステル樹脂) 60部 (バイロン200、東洋紡績株式会社製) (軟化温度:163℃、中間ガラス転移温度:67℃) (数平均分子量:15000〜20000) カーボンブラック(平均粒径40nm、三菱化学株式会社製) 20部 トルエン 900部
【0297】次に、各中間層の上に、下記表13に示さ
れる5種の組成の着色層塗工液(I〜V)をそれぞれ1
20℃に加温したホットメルトコーティング法で、乾燥
時4.5μmの厚さに塗布して着色層を形成し、熱転写
フィルム(試料5−1〜5−5)を作製した。また、1
00℃における着色層の溶融粘度を測定して表13に示
した。尚、溶融粘度の測定は以下の測定装置および測定
条件で行った。 ・装置名称:粘弾性測定装置ロトビスコRV20(HA
KKE社製) ・測定頭部:M5 ・センサーシステム:センサーシステムコーンプレート
PK5(開き角度0.5°、コーンプレート半径25m
m、設定温度を100℃)
【0298】
【表19】
【0299】使用した材料は以下の通りである。 (1)カーボンブラック(平均粒径40nm、三菱化学
株式会社製) (2)エチレン−酢酸ビニル共重合体(スミテートHA
−10、住友化学株式会社製) (3)エチレン−酢酸ビニル共重合体(スミテートDB
−10、住友化学株式会社製) (4)エチレン−酢酸ビニル共重合体(スミテートKC
−10、住友化学株式会社製) (5)エチレン−酢酸ビニル共重合体(スミテートHE
−10、住友化学株式会社製) (6)エチレン−酢酸ビニル共重合体(NUK−316
0、日本ユニカー株式会社製) (7)カルナバワックス(加藤洋行) (8)パラフィンワックス(Paraffin Wax-140、日本精
蝋株式会社製)
【0300】但し、基材フィルムの他方の面には、下記
組成の耐熱滑性層塗工液をロールコーターにより、塗
布、乾燥し、乾燥時0.1μmの厚みの耐熱滑性層を予
め設けてある。 (耐熱滑性層塗工液) ポリビニルブチラール樹脂 20部 (積水化学株式会社製 エスレックBX−1) タルク(日本タルク株式会社製 ミクロエースL−1) 30部 メラミン樹脂微粒子 30部 (日本触媒化学工業株式会社製 エポスターS) ポリイソシアネート 40部 (武田薬品工業株式会社製 タケネートA−3) トルエン/メチルエチルケトン(重量比1/1) 900部
【0301】上記のようにして得られた熱転写フィルム
(試料5−1〜5−5)に対して、中間層のコーティン
グ適性、着色層のコーティング適性、印字品質および機
密漏洩防止性の評価を行った。尚、中間層のコーティン
グ適性と機密漏洩防止性の評価は実施例1と同様の評価
方法により行い、着色層のコーティング適性および印字
品質の評価は以下の評価方法により行った。
【0302】〈着色層のコーティング適性〉中間層の上
に着色層塗工液を塗布する際のコーティング適性につい
て、コーティング後の着色層の外観を以下の評価基準に
従って評価した。尚、観察には倍率10〜20倍の実体
顕微鏡を用いた。 A:実体顕微鏡で観察しても筋状の塗布むらは観察され
ず、塗布むらのない、全体的に均一な表面状態が得られ
た。 B:実体顕微鏡で観察すると筋状の塗布むらが観察さ
れ、塗布むらによって全体的に不均一な表面状態であっ
た。 C:肉眼でも確認できるほどの筋状の塗布むら、或いは
着色層が塗られていない筋状の領域が多く観察され、全
体的に不均一な表面状態であった。
【0303】〈印字品質〉富士ゼロックス株式会社製フ
ァクシミリ(Telecopier7033)を用い、
ゼロックス株式会社製プリンター用紙(#4024、ベ
ック平滑度32秒)に、上記の熱転写フィルムを用い
て、コピーモードで印字を行なった。得られた印字物の
観察を目視により行ない、白抜けの発生による文字や細
線の欠損について、以下の基準に従って、評価を行なっ
た。 A:白抜けの発生による文字や細線の欠損はほとんど観
察されず、極めて良好な印字物が得られた。 B:白抜けの発生による文字や細線の欠損が僅かに観察
されたが、良好な印字物が得られた。 C:白抜けの発生による文字や細線の欠損がかなり観察
され、文字や細線がかすれた外観である印字物が得られ
た。
【0304】(評価結果)評価結果を下記表14に示
す。
【0305】
【表20】 表14に示されるように、100℃における着色層の溶
融粘度が150〜300mPa・sの範囲内にある熱転
写フィルム(試料5−1〜5−3)は、中間層のコーテ
ィング適性、着色層のコーティング適性、印字品質、お
よび、機密漏洩防止性のいずれの項目も良好であること
が確認された。
【0306】これに対して、100℃における着色層の
溶融粘度が150〜300mPa・sの範囲から外れる
熱転写フィルム(試料5−4、5−5)は、中間層のコ
ーティング適性、着色層のコーティング適性、および、
機密漏洩防止性が良好であるものの、印字品質は上記の
熱転写フィルム(試料5−1〜5−3)よりも劣るもの
であった。
【0307】[実施例6]試料6−1〜6−5の作製 基材フィルムとして、厚さ4.5μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム(東レ株式会社製)を用いて、そ
の基材フィルム上に、下記組成の中間層塗工液をグラビ
アコート法により0.5g/m2の塗布量になるように
塗工し、100℃の熱風で溶剤を乾燥させた後に巻き取
った。
【0308】 (中間層塗工液) ポリカプロラクトン系樹脂 20部 (プラクセル220、ダイセル化学工業株式会社製) (75℃における溶融粘度:330〜400mPa・s) (融解ピーク温度:55℃、数平均分子量:2000) バインダー樹脂(ポリエステル樹脂) 60部 (バイロン200、東洋紡績株式会社製) (軟化温度:163℃、中間ガラス転移温度:67℃) (数平均分子量:15000〜20000) カーボンブラック(平均粒径40nm、三菱化学株式会社製) 20部 トルエン 900部
【0309】次に、各中間層の上に、下記表15に示さ
れる5種の組成の着色層塗工液(I〜V)をそれぞれ1
20℃に加温したホットメルトコーティング法で、乾燥
時4.5μmの厚さに塗布して着色層を形成し、熱転写
フィルム(試料6−1〜6−5)を作製した。また、1
00℃における着色層の溶融粘度を測定して表15に示
した。尚、溶融粘度の測定は実施例5と同様の測定装置
および測定条件で行った。さらに、着色層の融解ピーク
温度をJIS K7121−1987の規定に従って測
定し、表15に示した。ただし、融解ピーク温度が複数
観察される場合は、最も吸熱量の大きいピークをもって
融解ピーク温度とした。
【0310】
【表21】
【0311】使用した材料は以下の通りである。 (1)カーボンブラック(平均粒径40nm、三菱化学
株式会社製) (2)エチレン−酢酸ビニル共重合体(スミテートHE
−10、住友化学株式会社製) (3)カルナバワックス(加藤洋行) (4)パラフィンワックス(SP−0110、日本精蝋
株式会社製) (5)パラフィンワックス(FR−0120、日本精蝋
株式会社製) (6)パラフィンワックス(SP−1030、日本精蝋
株式会社製) (7)パラフィンワックス(SP−1035、日本精蝋
株式会社製) (8)パラフィンワックス(SP−0160、日本精蝋
株式会社製) 但し、基材フィルムの他方の面には、下記組成の耐熱滑
性層塗工液をロールコーターにより、塗布、乾燥し、乾
燥時0.1μmの厚みの耐熱滑性層を予め設けてある。
【0312】 (耐熱滑性層塗工液) ポリビニルブチラール樹脂 20部 (積水化学株式会社製 エスレックBX−1) タルク(日本タルク株式会社製 ミクロエースL−1) 30部 メラミン樹脂微粒子 30部 (日本触媒化学工業株式会社製 エポスターS) ポリイソシアネート 40部 (武田薬品工業株式会社製 タケネートA−3) トルエン/メチルエチルケトン(重量比1/1) 900部
【0313】上記のようにして得られた熱転写フィルム
(試料6−1〜6−5)に対して、中間層のコーティン
グ適性、着色層のコーティング適性、印字品質(白抜け
発生、絡み発生)および機密漏洩防止性の評価を行っ
た。尚、中間層のコーティング適性と機密漏洩防止性の
評価は実施例1と同様の評価方法により行い、着色層の
コーティング適性および印字品質(白抜け発生、絡み発
生)の評価は以下の評価方法により行った。
【0314】〈着色層のコーティング適性〉中間層の上
に着色層塗工液を塗布する際のコーティング適性につい
て、コーティング後の着色層の外観を以下の評価基準に
従って評価した。尚、観察には倍率10〜20倍の実体
顕微鏡を用いた。 A:実体顕微鏡で観察しても筋状の塗布むらは観察され
ず、塗布むらのない、全体的に均一な表面状態が得られ
た。 B:実体顕微鏡で観察すると筋状の塗布むらが観察さ
れ、塗布むらによって全体的に不均一な表面状態であっ
た。 C:肉眼でも確認できるほどの筋状の塗布むら、或いは
着色層が塗られていない筋状の領域が多く観察され、全
体的に不均一な表面状態であった。
【0315】〈印字品質(白抜け発生)〉富士ゼロック
ス株式会社製ファクシミリ(Telecopier70
33)を用い、ゼロックス株式会社製プリンター用紙
(#4024、ベック平滑度32秒)に、上記の熱転写
フィルムを用いて、コピーモードで印字を行なった。
尚、サーマルヘッドの印字エネルギーを任意の値に変更
できるようにするため、ファクシミリに搭載されたサー
マルヘッドのコモン電極とグランド電極間に外部から任
意の電圧を印加できるよう適宜改造したファクシミリを
用いた。又、コピーを行うための原稿には、沖電気株式
会社製プリンター(MICROLINE 900PSII
LT)で富士ゼロックス株式会社製コピー用紙(WR
−100)に印刷した8ポイントサイズの大文字アルフ
ァベット(書体はCourier)印字物を使用した。
【0316】印字に際しては、熱転写フィルム(試料6
−1〜6−5)で上記の原稿をコピーした際、大文字の
EとBの区別が可能となる最低限の電圧で印字を行うこ
ととした。そして、この最低電圧で印字した際の大文字
アルファベットの印字結果を目視により観察し、白抜け
の発生による文字や細線の欠損について、以下の基準に
従って、評価を行なった。 A:白抜けの発生による文字や細線の欠損はほとんど観
察されず、極めて良好な印字物が得られた。 B:白抜けの発生による文字や細線の欠損が僅かに観察
されたが、良好な印字物が得られた。 C:白抜けの発生による文字や細線の欠損がかなり観察
され、文字や細線がかすれた外観である印字物が得られ
た。
【0317】〈印字品質(絡み発生)〉富士ゼロックス
株式会社製ファクシミリ(Telecopier703
3)を用い、ゼロックス株式会社製プリンター用紙(#
4024、ベック平滑度32秒)に、上記の熱転写フィ
ルムを用いて、コピーモードで印字を行なった。尚、サ
ーマルヘッドの印字エネルギーを任意の値に変更できる
ようにするため、ファクシミリに搭載されたサーマルヘ
ッドのコモン電極とグランド電極間に外部から任意の電
圧を印加できるよう適宜改造したファクシミリを用い
た。又、コピーを行うための原稿には、沖電気株式会社
製プリンター(MICROLINE 900PSII L
T)で富士ゼロックス株式会社製コピー用紙(WR−1
00)に印刷した6ポイントサイズの大文字および小文
字アルファベット(書体はCourier)印字物を使
用した。
【0318】印字に際しては、熱転写フィルム(試料6
−1〜6−5)で上記の原稿をコピーした際、大文字の
EとBの区別が可能となる最低限の電圧で印字を行うこ
ととした。そして、この最低電圧で印字した際の小文字
アルファベットの印字結果を目視により観察し、絡み現
象による文字の潰れ発生について、以下の基準に従っ
て、評価を行なった。
【0319】尚、本発明における『絡み現象』とは、熱
転写フィルムの着色層が被転写体表面に融着することな
く薄膜状に付着してしまう転写状態を示す。又、本発明
において『潰れ』とは、文字を構成する複数の線が、転
写した着色層によって連接している状態を示す。 AA:絡みの発生による文字の潰れは全く観察されず、
極めて良好な印字物が得られた。 A:絡みの発生による文字の潰れはほとんど観察され
ず、良好な印字物が得られた。 B:絡みの発生による文字の潰れが僅かに観察された
が、文字の判別は良好に行える印字物が得られた。 C:絡みの発生による文字の潰れがかなり観察され、文
字の判別が困難又は不可能な印字物が得られた。
【0320】(評価結果)評価結果を下記表16に示
す。
【0321】
【表22】 表16に示されるように、着色層の融解ピーク温度とポ
リカプロラクトン系樹脂(プラクセル220、ダイセル
化学工業株式会社製)の融解ピーク温度との差が10℃
以下である熱転写フィルム(試料6−1〜6−3)は、
中間層のコーティング適性、着色層のコーティング適
性、印字品質、および、機密漏洩防止性のいずれの項目
も良好であることが確認された。
【0322】これに対して、上記の融解ピーク温度の差
が10℃を超える熱転写フィルム(試料6−4)は、中
間層のコーティング適性、着色層のコーティング適性、
印字品質(白抜け)、および、機密漏洩防止性が良好で
あるものの、印字品質(絡み)において上記の熱転写フ
ィルム(試料6−1〜6−3)よりも劣るものであっ
た。
【0323】さらに、上記の融解ピーク温度の差が上記
の熱転写フィルム(試料6−4)よりも大きな熱転写フ
ィルム(試料6−5)は、印字品質(白抜け)において
も上記の熱転写フィルム(試料6−1〜6−3)より劣
るものであった。
【0324】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、 (1)過冷却性を有するポリカプロラクトン系樹脂や熱
溶融性物質の溶融粘度が適正な粘度領域であることによ
り、白抜けの発生が少ない良好な印字が可能な熱転写フ
ィルムを得ることが出来る。また、この熱転写フィルム
は、被転写体から剥離される際の剥離音が低減されたも
のである。 (2)また、中間層を基材フィルムに塗布した後に加熱
乾燥させて巻き取る際、熱転写フィルムの中間層面が基
材フィルム面に接着してしまう不具合を解消することが
可能となる。 (3)また、中間層が設けられた基材フィルムにホット
メルトコーティング法にて着色層を塗布する際、中間層
のポリカプロラクトン系樹脂や熱溶融性物質が、加熱溶
融された着色層インキの熱で溶融して低粘度の液体にな
っても、着色層インキを良好な面質で安定して重ね塗り
することが可能となる。 (4)また、カーボンブラックを該中間層に添加するこ
とによって、印字後の熱転写フィルムから印字した内容
を読取ることが困難となり、機密漏洩防止効果を併せ持
たせることが可能となる。 (5)さらに、着色層の100℃における溶融粘度が1
50mPa・s以上300mPa・s以下であること、
あるいは、着色層の融解ピーク温度とポリカプロラクト
ン系樹脂や熱溶融性物質の融解ピーク温度との差が10
℃以下であることにより、白抜けの発生が更に少ない良
好な印字が可能な熱転写フィルムを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるバインダー樹脂の補外融解開始
温度の測定方法を説明するための図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水上 文彦 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 中條 茂樹 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

Claims (54)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルム上に中間層を介して着色層
    を設けた熱転写フィルムにおいて、該中間層は75℃に
    おける溶融粘度が100mPa・s以上1000mPa
    ・s以下であるポリカプロラクトン系樹脂、および、補
    外融解開始温度(JIS K7121−1987に定め
    る補外融解開始温度)が130℃以上400℃以下であ
    るバインダー樹脂を含有していることを特徴とする熱転
    写フィルム。
  2. 【請求項2】 前記バインダー樹脂は前記ポリカプロラ
    クトン系樹脂に対して非相溶性であることを特徴とする
    請求項1に記載の熱転写フィルム。
  3. 【請求項3】 前記ポリカプロラクトン系樹脂の融解ピ
    ーク温度(JISK7121−1987に定める融解ピ
    ーク温度)は45℃以上70℃以下であり、中間層の前
    記バインダー樹脂の中間点ガラス転移温度(JIS K
    7121−1987に定める中間点ガラス転移温度)は
    ポリカプロラクトン系樹脂の前記融解ピーク温度よりも
    2℃以上高い温度であることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の熱転写フィルム。
  4. 【請求項4】 前記バインダー樹脂の数平均分子量は8
    000以上1000000以下であることを特徴とする
    請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の熱転写フィル
    ム。
  5. 【請求項5】 前記バインダー樹脂はポリエステル樹脂
    であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれ
    かに記載の熱転写フィルム。
  6. 【請求項6】 前記中間層にカーボンブラックが配合さ
    れていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいず
    れかに記載の熱転写フィルム。
  7. 【請求項7】 前記バインダー樹脂は熱転写しない多孔
    質膜を構成し、該多孔質膜の多孔中にポリカプロラクト
    ン系樹脂を含有していることを特徴とする請求項1乃至
    請求項6のいずれかに記載の熱転写フィルム。
  8. 【請求項8】 前記多孔質膜にカーボンブラックが配合
    されていることを特徴とする請求項7に記載の熱転写フ
    ィルム。
  9. 【請求項9】 前記着色層は100℃における溶融粘度
    が150mPa・s以上300mPa・s以下であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載
    の熱転写フィルム。
  10. 【請求項10】 前記着色層の融解ピーク温度(JIS
    K7121−1987に定める融解ピーク温度)と前
    記ポリカプロラクトン系樹脂の融解ピーク温度(JIS
    K7121−1987に定める融解ピーク温度)との
    差が10℃以下であることを特徴とする請求項1乃至請
    求項8のいずれかに記載の熱転写フィルム。
  11. 【請求項11】 熱転写フィルムの着色層面に被転写体
    を重ね合わせ、基材フィルム側から加熱手段により、画
    素状に加熱記録を行い、熱転写フィルムと被転写体とを
    分離させる画像形成方法において、請求項1乃至請求項
    10のいずれかに記載の熱転写フィルムを使用し、各画
    素を記録してから、熱転写フィルムと被転写体とを分離
    させるまでの時間が0.05秒以上2秒以下であること
    を特徴とする画像形成方法。
  12. 【請求項12】 前記加熱手段は全面グレーズ型サーマ
    ルヘッド、または、部分グレーズ型サーマルヘッドであ
    ることを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
  13. 【請求項13】 前記加熱記録を行うためのエネルギー
    が、10mJ/mm 2 以上35mJ/mm2 以下である
    ことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の
    画像形成方法。
  14. 【請求項14】 基材フィルム上に中間層を介して着色
    層を設けた熱転写フィルムにおいて、該中間層は75℃
    における溶融粘度が100mPa・s以上1000mP
    a・s以下である熱溶融性物質、および、補外融解開始
    温度(JISK7121−1987に定める補外融解開
    始温度)が150℃以上400℃以下であるバインダー
    樹脂を含有し、かつ、該熱溶融性物質は結晶化ピーク温
    度(JIS K7121−1987に定める結晶化ピー
    ク温度)が融解ピーク温度(JIS K7121−19
    87に定める融解ピーク温度)よりも10℃〜50℃低
    い物質であることを特徴とする熱転写フィルム。
  15. 【請求項15】 前記バインダー樹脂は前記熱溶融性物
    質に対して非相溶性であることを特徴とする請求項14
    に記載の熱転写フィルム。
  16. 【請求項16】 前記バインダー樹脂の中間点ガラス転
    移温度(JIS K7121−1987に定める中間点
    ガラス転移温度)は前記熱溶融性物質の融解ピーク温度
    (JIS K7121−1987に定める融解ピーク温
    度)よりも2℃以上高い温度であることを特徴とする請
    求項14または請求項15に記載の熱転写フィルム。
  17. 【請求項17】 前記バインダー樹脂の数平均分子量は
    8000以上1000000以下であることを特徴とす
    る請求項14乃至請求項16のいずれかに記載の熱転写
    フィルム。
  18. 【請求項18】 前記バインダー樹脂はポリエステル樹
    脂であることを特徴とする請求項14乃至請求項17の
    いずれかに記載の熱転写フィルム。
  19. 【請求項19】 前記中間層にカーボンブラックが配合
    されていることを特徴とする請求項14乃至請求項18
    のいずれかに記載の熱転写フィルム。
  20. 【請求項20】 前記バインダー樹脂は熱転写しない多
    孔質膜を構成し、該多孔質膜の多孔中に熱溶融性物質を
    含有していることを特徴とする請求項14乃至請求項1
    9のいずれかに記載の熱転写フィルム。
  21. 【請求項21】 前記多孔質膜にカーボンブラックが配
    合されていることを特徴とする請求項20に記載の熱転
    写フィルム。
  22. 【請求項22】 前記着色層は100℃における溶融粘
    度が150mPa・s以上300mPa・s以下である
    ことを特徴とする請求項14乃至請求項21のいずれか
    に記載の熱転写フィルム。
  23. 【請求項23】 前記着色層の融解ピーク温度(JIS
    K7121−1987に定める融解ピーク温度)と前
    記熱溶融性物質の融解ピーク温度(JISK7121−
    1987に定める融解ピーク温度)との差が10℃以下
    であることを特徴とする請求項14乃至請求項21のい
    ずれかに記載の熱転写フィルム。
  24. 【請求項24】 熱転写フィルムの着色層面に被転写体
    を重ね合わせ、基材フィルム側から加熱手段により、画
    素状に加熱記録を行い、熱転写フィルムと被転写体とを
    分離させる画像形成方法において、請求項14乃至請求
    項23のいずれかに記載の熱転写フィルムを使用し、各
    画素を記録してから、熱転写フィルムと被転写体とを分
    離させるまでの時間が2秒以下であることを特徴とする
    画像形成方法。
  25. 【請求項25】 前記加熱手段は全面グレーズ型サーマ
    ルヘッド、または、部分グレーズ型サーマルヘッドであ
    ることを特徴とする請求項24に記載の画像形成方法。
  26. 【請求項26】 前記加熱記録を行うためのエネルギー
    が、10mJ/mm 2 以上35mJ/mm2 以下である
    ことを特徴とする請求項23または請求項25に記載の
    画像形成方法。
  27. 【請求項27】 基材フィルム上に中間層を介して着色
    層を設けた熱転写フィルムにおいて、該中間層は75℃
    における溶融粘度が100mPa・s以上1000mP
    a・s以下であるポリカプロラクトン系樹脂、および、
    軟化温度(JIS K2207−1980に定める環球
    法で測定される軟化温度)が130℃以上400℃以下
    である非転写性のバインダー樹脂を含有していることを
    特徴とする熱転写フィルム。
  28. 【請求項28】 前記バインダー樹脂は前記ポリカプロ
    ラクトン系樹脂に対して非相溶性であることを特徴とす
    る請求項27に記載の熱転写フィルム。
  29. 【請求項29】 前記ポリカプロラクトン系樹脂の融解
    ピーク温度(JISK7121−1987に定める融解
    ピーク温度)は45℃以上70℃以下であり、中間層の
    前記バインダー樹脂の中間点ガラス転移温度(JIS
    K7121−1987に定める中間点ガラス転移温度)
    はポリカプロラクトン系樹脂の前記融解ピーク温度より
    も2℃以上高い温度であることを特徴とする請求項27
    または請求項28に記載の熱転写フィルム。
  30. 【請求項30】 前記バインダー樹脂の数平均分子量は
    8000以上1000000以下であることを特徴とす
    る請求項27乃至請求項29のいずれかに記載の熱転写
    フィルム。
  31. 【請求項31】 前記バインダー樹脂はベンゼン環構造
    を有する樹脂であることを特徴とする請求項27乃至請
    求項30のいずれかに記載の熱転写フィルム。
  32. 【請求項32】 前記バインダー樹脂はポリエステル樹
    脂であることを特徴とする請求項31に記載の熱転写フ
    ィルム。
  33. 【請求項33】 前記中間層にカーボンブラックが配合
    されていることを特徴とする請求項27乃至請求項32
    いずれかに記載の熱転写フィルム。
  34. 【請求項34】 前記バインダー樹脂は熱転写しない多
    孔質膜を構成し、該多孔質膜の多孔中にポリカプロラク
    トン系樹脂を含有していることを特徴とする請求項27
    乃至請求項33のいずれかに記載の熱転写フィルム。
  35. 【請求項35】 前記多孔質膜にカーボンブラックが配
    合されていることを特徴とする請求項34に記載の熱転
    写フィルム。
  36. 【請求項36】 前記着色層は100℃における溶融粘
    度が150mPa・s以上300mPa・s以下である
    ことを特徴とする請求項27乃至請求項35のいずれか
    に記載の熱転写フィルム。
  37. 【請求項37】 前記着色層の融解ピーク温度(JIS
    K7121−1987に定める融解ピーク温度)と前
    記ポリカプロラクトン系樹脂の融解ピーク温度(JIS
    K7121−1987に定める融解ピーク温度)との
    差が10℃以下であることを特徴とする請求項27乃至
    請求項35のいずれかに記載の熱転写フィルム。
  38. 【請求項38】 熱転写フィルムの着色層面に被転写体
    を重ね合わせ、基材フィルム側から加熱手段により、画
    素状に加熱記録を行い、熱転写フィルムと被転写体とを
    分離させる画像形成方法において、請求項27乃至請求
    項37のいずれかに記載の熱転写フィルムを使用し、各
    画素を記録してから、熱転写フィルムと被転写体とを分
    離させるまでの時間が0.05秒以上2秒以下であるこ
    とを特徴とする画像形成方法。
  39. 【請求項39】 前記加熱手段は全面グレーズ型サーマ
    ルヘッド、または、部分グレーズ型サーマルヘッドであ
    ることを特徴とする請求項38に記載の画像形成方法。
  40. 【請求項40】 前記加熱記録を行うためのエネルギー
    が、10mJ/mm 2 以上35mJ/mm2 以下である
    ことを特徴とする請求項38または請求項39に記載の
    画像形成方法。
  41. 【請求項41】 基材フィルム上に中間層を介して着色
    層を設けた熱転写フィルムにおいて、該中間層は75℃
    における溶融粘度が100mPa・s以上1000mP
    a・s以下である熱溶融性物質、および、軟化温度(J
    IS K2207−1980に定める環球法で測定され
    る軟化温度)が130℃以上400℃以下である非転写
    性のバインダー樹脂を含有し、かつ、該熱溶融性物質は
    結晶化ピーク温度(JIS K7121−1987に定
    める結晶化ピーク温度)が融解ピーク温度(JIS K
    7121−1987に定める融解ピーク温度)よりも1
    0℃〜50℃低い物質であることを特徴とする熱転写フ
    ィルム。
  42. 【請求項42】 前記バインダー樹脂は前記熱溶融性物
    質に対して非相溶性であることを特徴とする請求項41
    に記載の熱転写フィルム。
  43. 【請求項43】 前記バインダー樹脂の中間点ガラス転
    移温度(JIS K7121−1987に定める中間点
    ガラス転移温度)は前記熱溶融性物質の融解ピーク温度
    (JIS K7121−1987に定める融解ピーク温
    度)よりも2℃以上高い温度であることを特徴とする請
    求項41または請求項42のいずれかに記載の熱転写フ
    ィルム。
  44. 【請求項44】 前記バインダー樹脂の数平均分子量は
    8000以上1000000以下であることを特徴とす
    る請求項41乃至請求項43のいずれかに記載の熱転写
    フィルム。
  45. 【請求項45】 前記バインダー樹脂はベンゼン環構造
    を有する樹脂であることを特徴とする請求項41乃至請
    求項44のいずれかに記載の熱転写フィルム。
  46. 【請求項46】 前記バインダー樹脂はポリエステル樹
    脂であることを特徴とする請求項45に記載の熱転写フ
    ィルム。
  47. 【請求項47】 前記中間層にカーボンブラックが配合
    されていることを特徴とする請求項41乃至請求項46
    のいずれかに記載の熱転写フィルム。
  48. 【請求項48】 前記バインダー樹脂は熱転写しない多
    孔質膜を構成し、該多孔質膜の多孔中に熱溶融性物質を
    含有していることを特徴とする請求項41乃至請求項4
    7のいずれかに記載の熱転写フィルム。
  49. 【請求項49】 前記多孔質膜にカーボンブラックが配
    合されていることを特徴とする請求項48に記載の熱転
    写フィルム。
  50. 【請求項50】 前記着色層は100℃における溶融粘
    度が150mPa・s以上300mPa・s以下である
    ことを特徴とする請求項41乃至請求項49のいずれか
    に記載の熱転写フィルム。
  51. 【請求項51】 前記着色層の融解ピーク温度(JIS
    K7121−1987に定める融解ピーク温度)と前
    記熱溶融性物質の融解ピーク温度(JISK7121−
    1987に定める融解ピーク温度)との差が10℃以下
    であることを特徴とする請求項41乃至請求項49のい
    ずれかに記載の熱転写フィルム。
  52. 【請求項52】 熱転写フィルムの着色層面に被転写体
    を重ね合わせ、基材フィルム側から加熱手段により、画
    素状に加熱記録を行い、熱転写フィルムと被転写体とを
    分離させる画像形成方法において、請求項41乃至請求
    項51のいずれかに記載の熱転写フィルムを使用し、各
    画素を記録してから、熱転写フィルムと被転写体とを分
    離させるまでの時間が2秒以下であることを特徴とする
    画像形成方法。
  53. 【請求項53】 前記加熱手段は全面グレーズ型サーマ
    ルヘッド、または、部分グレーズ型サーマルヘッドであ
    ることを特徴とする請求項52に記載の画像形成方法。
  54. 【請求項54】 前記加熱記録を行うためのエネルギー
    が、10mJ/mm 2 以上35mJ/mm2 以下である
    ことを特徴とする請求項52または請求項53に記載の
    画像形成方法。
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