JP2002096568A - 熱転写フィルム - Google Patents

熱転写フィルム

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JP2002096568A
JP2002096568A JP2000291687A JP2000291687A JP2002096568A JP 2002096568 A JP2002096568 A JP 2002096568A JP 2000291687 A JP2000291687 A JP 2000291687A JP 2000291687 A JP2000291687 A JP 2000291687A JP 2002096568 A JP2002096568 A JP 2002096568A
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peak temperature
thermal transfer
temperature
transfer film
intermediate layer
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JP2000291687A
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English (en)
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Shigeki Nakajo
茂樹 中條
Mitsuru Maeda
充 前田
Kenichi Asao
健一 浅生
Masanori Torii
政典 鳥井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印字物に白抜けの発生がなく、鮮明な印字が
でき、基材フィルム上に中間層、着色層を安定して形成
することができ、さらに機密漏洩防止機能、帯電防止性
を有する熱転写フィルムを提供する。 【解決手段】 熱転写フィルムを、基材フィルム上に熱
転写しない中間層を介して熱溶融性着色層を設けたもの
とし、中間層は融解ピーク温度(JIS K7121−
1987に定める融解ピーク温度:融解ピークが複数存
在する時は一番高いピーク温度とする)が40〜110
℃の範囲内にあり、結晶化ピーク温度(JIS K71
21−1987に定める結晶化ピーク温度:結晶化ピー
クが複数存在する時は一番低いピーク温度とする)が−
20〜100℃の範囲内にあり、かつ、前記結晶化ピー
ク温度が前記融解ピーク温度よりも10℃以上低く、さ
らに、加熱時の損失弾性率G″の変曲点Aの温度が40
〜100℃の範囲内で、除熱時の損失弾性率G″の変曲
点Bの温度が−20〜90℃の範囲内であり、かつ、前
記変曲点Aの温度が前記変曲点Bの温度よりも10℃以
上高いものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材フィルム上に
中間層を介して着色層を設けた熱転写フィルムに関し、
さらに詳しくは、基材フィルム上に中間層、着色層を安
定して形成することができ、印字物に白抜けの発生がな
く、鮮明な印字ができ、さらに機密漏洩防止機能を有す
る熱転写フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱転写プリンター、ファクシミリ
等に用いられる熱転写記録媒体として、基材フィルムの
一方の面に熱溶融性インキからなる着色層を設けた熱転
写フィルムが使用されている。
【0003】従来の熱転写フィルムは、基材フィルムと
して厚さ10〜20μm程度のコンデンサ紙やパラフィ
ン紙のような紙、あるいは厚さ3〜20μm程度のポリ
エステルやセロファンのようなプラスチックフィルムを
用い、この基材フィルム上にバインダーに顔料や染料等
の着色剤を混合し、さらに必要に応じて、低融点剤およ
び可塑剤等の添加剤を加えた熱溶融性のインキを塗布し
て着色層を設けたものである。また、基材フィルムと着
色層との間に、印画の為のエネルギーによって溶融する
ように調整された中間層を備えた熱転写フィルムもあ
る。
【0004】そして、基材フィルムの裏側からサーマル
ヘッドにより所定箇所を加熱・加圧し、着色層のうち、
印字部に相当する箇所の着色層を溶融させ、被転写体に
転写して印字を行うものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、基材フ
ィルム上に中間層と熱溶融性の着色層を設けた従来の熱
転写フィルムを用いて印字を行なった場合、白抜けの発
生による文字や細線の欠損が生じ、印字物がかすれた外
観になってしまうという問題点、熱転写フィルムが被転
写体から剥離される際の剥離音が大きいという問題があ
った。べック平滑度が50秒以下であるような紙目の荒
い紙に対して白抜けを生じること無く印字を行なう為に
は、サーマルヘッドなどの手段によって画素状にエネル
ギーが印加された領域の着色層を被転写紙に抜けが生じ
ること無く(中間層に残ることなく)転写させることが
必要である。このように着色層を被転写紙に抜けが生じ
ること無く全転写させる為には、基材フィルム上に中間
層を介して着色層が設けられた熱転写フィルムの中間層
が溶融した流動性の高い液体状態にあるときに、被転写
体と熱転写フィルムとを剥離することが有効である。し
かし、熱転写フィルムを用いるファクシミリ等で現在一
般に使われている機器では、被転写体と熱転写フィルム
が重ね合わされた後に熱転写フィルムへ印字エネルギー
が印加される瞬間と、熱転写フィルムが被転写体から剥
離されるまでの間に時間の開きがあり、印画の為のエネ
ルギーによって溶融するように調整された中間層を用い
ても、この間に冷却されて再び凝固してしまう、或い
は、凝固していないけれども流動性が低い状態になって
しまうのが一般的であった。
【0006】ところで、融点よりも凝固点が10℃以上
低くなるという、いわゆる過冷却性を有する物質が種々
の文献により公知となっている。この過冷却性を有する
種々の物質を用いた中間層を介して基材フィルム上に着
色層を設けた熱転写フィルムに関する技術が公知となっ
ている。例えば、特開昭61−235189、特開昭6
1−286195、特開昭62−9991、特開昭62
−82084、特開昭63−302090、特開平3−
246094等が挙げられる。一方、ポリカプロラクト
ン系樹脂が過冷却性を有することが種々の文献により公
知となっている。このポリカプロラクトン系樹脂を配合
した着色層を基材フィルム上に設けた熱転写フィルムに
関する技術が公知となっている。例えば、特開昭59−
230795、特開昭60−122194、特開昭60
−122195、特開昭61−185492、特開昭6
2−59089、特開平5−32073等が挙げられ
る。
【0007】また、このポリカプロラクトン系樹脂を用
いた中間層を介して基材フィルム上に着色層を設けた熱
転写フィルムに関する技術が公知となっている。例え
ば、特開昭60−165291には、多数回印字の目的
に、中間層にポリカプロラクトン系樹脂を用いること
が、また、特開平7−232483には、高速印字およ
び高温雰囲中で円滑な印字を可能とする目的で、プライ
マー層に分子量10000以下のポリカプロラクトンを
用いることが開示されている。
【0008】しかし、これらの技術による中間層を用い
た熱転写フィルムでは、やはり白抜けの発生による文字
や細線の欠損が生じ、印字物がかすれた外観になってし
まうという問題点が解消される事は無かった。しかも、
中間層を設ける為のインキを基材フィルムに塗布する際
に、中間層インキを加熱乾燥させた後もその熱によって
中間層材料が溶融したままの状態が暫らくの間続くた
め、塗布後に巻き取られた熱転写フィルムの基材面と中
間層面が接着してしまうという不具合を生じていた。さ
らに、中間層が設けられた基材フィルムに着色層を塗布
する際、溶剤が不要であることにより低コストでの塗布
が可能となるホットメルトコーティング法を行なうと、
中間層のポリカプロラクトンが加熱溶融された着色層イ
ンキの熱で溶融して液体となるため、着色層インキを良
好な面質で安定して塗布することが出来ないという不具
合を生じていた。
【0009】また、従来の熱転写フィルムでは、取扱い
時に帯電が生じて、例えば、熱転写フィルムの交換時の
作業性が悪くなったり、印字中に帯電することにより空
気中のごみが吸い寄せられて、印字物にごみによる抜け
が生じるという問題もあった。
【0010】本発明は、上記の欠点、問題を改善、解決
し、印字物に白抜けの発生がなく、鮮明な印字ができ、
基材フィルム上に中間層、着色層を安定して形成するこ
とができ、さらに機密漏洩防止機能、帯電防止性を有す
る熱転写フィルムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明者は、中間層の融解ピーク温度と結晶
化ピーク温度との関係、および、損失弾性率に着目して
種々検討を重ねた結果、熱転写フィルムに関する本発明
に至った。
【0012】すなわち、本発明の熱転写フィルムは、基
材フィルム上に熱転写しない中間層を介して熱溶融性着
色層を設けた熱転写フィルムにおいて、該中間層は、融
解ピーク温度(JIS K7121−1987に定める
融解ピーク温度:融解ピークが複数存在する時は一番高
いピーク温度とする)が40〜110℃の範囲内にあ
り、結晶化ピーク温度(JIS K7121−1987
に定める結晶化ピーク温度:結晶化ピークが複数存在す
る時は一番低いピーク温度とする)が−20〜100℃
の範囲内にあり、かつ、前記結晶化ピーク温度が前記融
解ピーク温度よりも10℃以上低く、さらに、加熱時の
損失弾性率G″の変曲点Aの温度が40〜100℃の範
囲内で、除熱時の損失弾性率G″の変曲点Bの温度が−
20〜90℃の範囲内であり、かつ、前記変曲点Aの温
度が前記変曲点Bの温度よりも10℃以上高いものであ
るような構成とした。
【0013】また、本発明の熱転写フィルムの好ましい
態様は、前記中間層が少なくとも溶融性物質を含有し、
該溶融性物質は、融解ピーク温度(JIS K7121
−1987に定める融解ピーク温度:融解ピークが複数
存在する時は一番高いピーク温度とする)が40〜11
0℃の範囲内にあり、結晶化ピーク温度(JIS K7
121−1987に定める結晶化ピーク温度:結晶化ピ
ークが複数存在する時は一番低いピーク温度とする)が
−20〜100℃の範囲内にあり、かつ、前記結晶化ピ
ーク温度が前記融解ピーク温度よりも10℃以上低い物
質であるような構成とした。
【0014】また、本発明の熱転写フィルムの好ましい
態様は、前記中間層がバインダー樹脂を含有し、該バイ
ンダー樹脂の数平均分子量は1500〜100000の
範囲内にあるような構成、前記バインダー樹脂がポリエ
ステル樹脂であるような構成、前記ポリエステル樹脂が
主鎖にエチレン性不飽和結合を含有するものであるよう
な構成とした。
【0015】また、本発明の熱転写フィルムの好ましい
態様は、前記中間層にカーボンブラックが配合されてい
るような構成とした。また、本発明の熱転写フィルムの
好ましい態様は、前記熱溶融性着色層の100℃におけ
る溶融粘度{JIS Z8803−1991に定める円
錐−平板形回転粘度計(円錐低速方式)による粘度}が
100〜300mPa・sの範囲内にあるような構成と
した。
【0016】さらに、本発明の熱転写フィルムの好まし
い態様は、前記熱溶融性着色層の融解ピーク温度(JI
S K7121−1987に定める融解ピーク温度:融
解ピークが複数存在する時は一番高いピーク温度とす
る)と前記中間層の融解ピーク温度(JIS K712
1−1987に定める融解ピーク温度:融解ピークが複
数存在する時は一番高いピーク温度とする)との差が1
0℃以下であるような構成とした。
【0017】上記のような本発明では、印字エネルギー
が印加された部位における中間層が、印字から剥離まで
の間にある程度冷却されても溶融した状態にあるので、
熱溶融性着色層と中間層との接着性が低下したままとな
り、印字エネルギーが印加された部位の熱溶融性着色層
が抜けを生じることなく被転写紙に転写される。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態について
詳述する。本発明の熱転写フィルムは、基材フィルム上
に熱転写しない中間層を介して熱溶融性着色層を設けた
熱転写フィルムである。
【0019】(基材フィルム)本発明の熱転写フィルム
で用いられる基材フィルムとしては、従来の熱転写フィ
ルムに使用されているものと同じ基材フィルムをそのま
ま用いることが出来ると共に、その他のものも使用する
ことが出来、特に制限されない。
【0020】好ましい基材フィルムの具体例としては、
例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、ポ
リカーボネイト、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリ
塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹
脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラスチック、コンデ
ンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不織布等があり、
又、これらを複合した基材フィルムであってもよい。
【0021】この基材フィルムの厚さは、その強度およ
び熱伝導性が適切になるように材料に応じて適宜変更す
ることが出来るが、その厚さは、好ましくは、例えば、
2.5〜10μmである。
【0022】(中間層)本発明の熱転写フィルムを構成
する中間層は、融解ピーク温度(JIS K7121−
1987に定める融解ピーク温度:融解ピークが複数存
在する時は一番高いピーク温度とする)が40〜110
℃、好ましくは50〜85℃の範囲内にあり、結晶化ピ
ーク温度(JIS K7121−1987に定める結晶
化ピーク温度:結晶化ピークが複数存在する時は一番低
いピーク温度とする)が−20〜100℃、好ましくは
10〜60℃の範囲内にあり、かつ、前記結晶化ピーク
温度が前記融解ピーク温度よりも10℃以上低く、さら
に、加熱時の損失弾性率G″の変曲点Aの温度が40〜
100℃、好ましくは60〜80℃の範囲内で、除熱時
の損失弾性率G″の変曲点Bの温度が−20〜90℃、
好ましくは10〜60℃の範囲内であり、かつ、前記変
曲点Aの温度が前記変曲点Bの温度よりも10℃以上高
いものである。
【0023】中間層の融解ピーク温度が40℃未満、ま
たは、加熱時の損失弾性率G″の変曲点Aの温度が40
℃未満であると、熱転写フィルムの高温保存安定性が低
下し好ましくない。また、融解ピーク温度が110℃を
超える、または、加熱時の損失弾性率G″の変曲点Aの
温度が100℃を超えると、熱溶融性着色層の融解ピー
クも90℃を超えることになり、中間層が設けられた基
材フィルムにホットメルトコーティング法にて熱溶融性
着色層を塗布する際に、熱溶融性着色層を良好な面質で
安定して重ね塗りすることが困難になる。
【0024】中間層の結晶化ピーク温度が−20℃未
満、または、除熱時の損失弾性率G″の変曲点Bの温度
が−20℃未満であると、中間層を設けるためのインキ
を基材フィルムにグラビアコーター、ロールコーター、
ワイヤーバー等の慣用の塗布手段により塗布して乾燥し
ても、中間層が固化しないため、基材フィルムの搬送ロ
ーラーに塗膜が付着したり、中間層上に熱溶融性着色層
を安定して塗布することが困難になる。また、中間層の
結晶化ピーク温度が100℃を超える、または、除熱時
の損失弾性率G″の変曲点Bの温度が90℃を超える
と、印字エネルギーが印加された部位において、被転写
紙が熱転写フィルムから剥離されるまでの間に中間層が
固化していしまい、熱溶融性着色層を被転写紙へ抜けを
生じることなく転写することが困難になる。
【0025】上記の中間層の融解ピーク温度、結晶化ピ
ーク温度、加熱時の損失弾性率G″の変曲点Aの温度、
除熱時の損失弾性率G″の変曲点Bの温度は、中間層か
ら下記の方法により得た固形分を用いて測定される。す
なわち、熱転写フィルムの熱溶融性着色層側に粘着テー
プを貼り付け、この粘着テープを剥がすことで熱溶融性
着色層を剥離除去する。次に、中間層を溶解させる有機
溶剤、例えば、トルエンやメチルエチルケトンを含ませ
たガーゼで中間層を拭き取った後、このガーゼを有機溶
剤で洗い流すことで、熱溶融性着色層の成分が溶け込ん
だ溶液を得る。この溶液からエバポレーターを用いて溶
媒を揮発させることにより中間層の固形分を得る。
【0026】ここで、損失弾性率G″の変曲点について
説明する。損失弾性率G″は、複素弾性率の虚数部であ
り、図1に示される温度と損失弾性率G″との関係線
(実線は加熱時、鎖線は除熱時を示す)を、低温側にお
ける固体状態の安定領域a、高温側における柔軟状態の
安定領域b、安定領域aと安定領域bとの間の損失弾性
率G″が急激に変化する変化領域cとに区分すると、図
1の実線において、変化領域cから安定領域bへ変化す
る点が、加熱時の損失弾性率G″の変曲点Aとなり、図
1の鎖線において安定領域bから変化領域cへ変化する
点が、除熱時の損失弾性率G″の変曲点Bとなる。
【0027】本発明における損失弾性率G″の測定は、
上述の中間層の固形分について、レオメトリック・サイ
エンティフィック・エフ・イー(株)製ARES−2K
STD粘弾性測定システムを用いて以下の条件で行うこ
とができる。 (加熱時の損失弾性率G″の測定条件) ・使用治具=パラレルプレート(15mm) ・GaP=1.0〜2.0mm ・周波数=20.0Hz ・昇温速度=2.0℃/分 ・サンプルタイム=5秒間隔 ・Auto Tension Adjustment=on ・Initial Static Force=0.0g ・Auto Tension Sensitibity=3.0g(Sample Modul
us=0.0Pa) ・Auto Strain=on ・Maximum Applied Strain=15.0% ・Maximum Allowed Torque=1200.0g/cm ・Minimum Allowed Torque=5.0g/cm ・Strain Adjustment=20.0% of Current Strain
【0028】(除熱時の損失弾性率G″の測定条件) ・使用治具=パラレルプレート(15mm) ・GaP=1.0〜2.0mm ・周波数=20.0Hz ・降温速度=2.0℃/分 ・サンプルタイム=5秒間隔 ・Auto Tension Adjustment=on ・Initial Static Force=0.0g ・Auto Tension Sensitibity=10.0g(Sample Modu
lus=100.0Pa) ・Auto Strain=on ・Maximum Applied Strain=12.0% ・Maximum Allowed Torque=10.0g/cm ・Minimum Allowed Torque=0.01g/cm ・Strain Adjustment=20.0% of Current Strain
【0029】上記の変曲点Aおよび変曲点Bにおける損
失弾性率G″は、1×100Pa〜1×106Paの範
囲、好ましくは1×101Pa〜1×105Paの範囲で
あることが望ましい。変曲点Aおよび変曲点Bにおける
損失弾性率G″が1×106Paを超えると、印字エネ
ルギーが印加された部位において、被転写紙が熱転写フ
ィルムから剥離される際の熱溶融性着色層と中間層との
剥離力が高くなってしまい、熱溶融性着色層を被転写紙
へ抜けを生じることなく転写することが困難になる。ま
た、損失弾性率G″が1×100Pa未満であると、印
字エネルギーが印加された部位において、熱溶融性着色
層とともに中間層も被転写紙へ転写されてしまい、機密
漏洩防止機能が損なわれる。
【0030】上述のような中間層には、溶融性物質とし
て、融解ピーク温度(JIS K7121−1987に
定める融解ピーク温度:融解ピークが複数存在する時は
一番高いピーク温度とする)が40〜110℃、好まし
くは50〜85℃の範囲内にあり、結晶化ピーク温度
(JIS K7121−1987に定める結晶化ピーク
温度:結晶化ピークが複数存在する時は一番低いピーク
温度とする)が−20〜100℃、好ましくは10〜6
0℃の範囲内にあり、かつ、前記結晶化ピーク温度が前
記融解ピーク温度よりも10℃以上低い物質(過冷却性
をもつ物質)を使用することができる。
【0031】このような過冷却性をもつ物質としては、
ポリエステル樹脂が挙げられ、例えば、ポリカプロラク
トンのようなラクトン系樹脂、あるいは、酸成分がコハ
ク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ
ン二酸、ダイマー酸等の脂肪族二塩基酸やテレフタル
酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカル
ボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族
二塩基酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無
水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂肪族二塩
基酸であり、グリコール成分がエチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオー
ル、1,9−ノナンジオール、1,10−オクタンジオ
ール、プロピレングリコール、ネオペンチルクリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジ
メタノール、ビスフェノールAのエチレンオキシドおよ
び/またはプロピレンオキシド付加物、ポリエチレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール−3,3−ジメチロールヘプタン等であ
るポリエステル樹脂が挙げられる。
【0032】中間層は、数平均分子量が1500〜10
0000、好ましくは5000〜50000の範囲内に
あるようなバインダー樹脂を含有することができる。使
用するバインダー樹脂としては、基材フィルム上に形成
された中間層の上に熱溶融性着色層をコーティングする
際、および、印字加熱時において、低粘度となることな
く成膜性を維持していれば、いずれの樹脂でもよい。例
えば、ポリエステル樹脂、SBR樹脂やABS樹脂やS
BS樹脂等のポリブタジエン系樹脂、スチレン−無水マ
レイン酸共重合体等のマレイン酸系樹脂、オレフィン系
樹脂、オレフィン系共重合体、アイオノマー樹脂、スチ
レン系樹脂等が挙げられる。特に主鎖がエチレン性不飽
和結合を含有しているポリエステル樹脂が好まく、例え
ば、酸成分にフマル酸やマレイン酸を用いた構造、ある
いは、アルコール成分に2−ブテン−1,4−ジオール
を用いた構造等を挙げることができる。
【0033】使用するバインダー樹脂の数平均分子量が
1500未満であると、基材フィルムと熱溶融性着色層
を接着させる中間層の機能が損なわれ、印字エネルギー
が印加された部位において、熱溶融性着色層とともに中
間層も被転写紙へ転写されてしまい、機密漏洩防止機能
が損なわれる。また、数平均分子量が100000を超
えると、中間層を形成するための塗工液にバインダー樹
脂を溶解することが困難になる。
【0034】本発明の熱転写フィルムは、中間層にカー
ボンブラックを配合してもよい。これにより、印字後の
熱転写フィルムから印字した内容を読み取ること(転写
された後の熱転写フィルムの熱溶融性着色層の抜け殻を
複写機等により複写した複写物から、転写フィルムで印
字した内容を読み取ること)が困難となり、機密漏洩防
止機能を併せもたせることが可能となる。また、カーボ
ンブラックが熱転写フィルムの帯電を防止するので、熱
転写フィルムの交換時の作業性が向上し、印字時に空気
中のごみを吸い寄せて印字物にごみによる抜けを生じる
ことが防止され、良好な印字物を得ることができる。
【0035】中間層を形成するには、上記の如き材料
と、高級脂肪族アルコール、リン酸エステルおよびその
金属塩、有機カルボン酸およびその誘導体や低融点ワッ
クス、各種界面活性剤等の分散剤を必要に応じて添加
し、メチルエチルケトン、トルエン、アルコール類、水
等の適当な溶媒中に溶解または分散させて、塗工液を調
製し、グラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバ
ー等の慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥すればよ
い。中間層の塗工量は、乾燥固形分で、0.1〜1.0
g/m2 程度が好ましい。塗工量が0.1g/m2 を下
回ると、白抜けの発生のない、鮮明な印字物が得られに
くく、また一方、塗工量が1.0g/m2 を越えると、
中間層が厚すぎて、転写時の印字感度が低下するので好
ましくない。
【0036】(熱溶融性着色層)本発明では、上記の中
間層の上に、熱溶融性着色層を設けるものである。熱溶
融性着色層は熱溶融性インキ層であり、従来公知の着色
剤とバインダーよりなり、必要に応じて、鉱物油、植物
油、ステアリン酸等の高級脂肪酸、可塑剤、酸化防止
剤、充填剤等の種々の添加剤を加えたものが使用され
る。
【0037】バインダーとして用いられるワックス成分
としては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カ
ルナバワックス、パラフィンワックス等がある。更に、
フィッシャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエ
チレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛
ロウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペト
ロラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワック
ス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックス
が用いられる。このなかで、特に融点が50〜85℃で
あるものが好ましい。50℃未満であると、保存性に問
題が生じ、又85℃を超えると感度不足になる。
【0038】バインダーとして用いられる樹脂成分とし
ては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン、ポリ
スチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩
化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ
ビニルアルコール、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹
脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリ
ビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、アセチル
セルロース、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリ
イソブチレン、エチルセルロース又はポリアセタール等
が挙げられるが、特に従来より感熱接着剤として使用さ
れている比較的低軟化点、例えば、50〜80℃の軟化
点を有するものが好ましい。
【0039】着色剤としては、公知の有機または無機の
顔料、あるいは染料の中から適宜選択することができ、
例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱等により変色、
退色しないものが好ましい。また、加熱により発色する
物質や、被転写体の表面に塗布されている成分と接触す
ることにより発色するような物質であってもよい。さら
に、着色剤の色としては、シアン、マゼンタ、イエロ
ー、ブラックに限定されるものではなく、種々の色の着
色剤を使用することができる。
【0040】さらに、熱溶融性着色層に良好な熱伝導性
および熱溶融転写性を与えるために、バインダーの充填
剤として熱伝導性物質を配合してもよい。このような充
填剤としては、例えばカーボンブラック等の炭素質物
質、アルミニウム、銅、酸化錫、二硫化モリブデン等の
金属および金属化合物等がある。
【0041】熱溶融性着色層の形成は、上記のような着
色剤成分とバインダー成分と、さらに、これに必要に応
じて、鉱物油、植物油、ステアリン酸等の高級脂肪酸、
可塑剤、酸化防止剤、充填剤等の種々の添加剤を加え、
水、有機溶剤等の溶媒成分を配合調整した着色層形成用
塗工液を、従来公知のホットメルトコート、ホットラッ
カーコート、グラビアコート、グラビアリバースコー
ト、ロールコート等の方法で行う。また、水系又は非水
系のエマルジョン塗液を用いて形成する方法もある。
【0042】熱溶融性着色層の厚みは、必要な印字濃度
と熱感度との調和がとれるように決定すべきであって、
好ましくは0.5〜6.5g/m2 の範囲であり、2.
5〜5.0g/m2 の範囲が特に好ましい。
【0043】本発明の熱転写フィルムは、中間層が上述
のように構成されているため、ラフ紙に対して抜けの少
ない印字物を得ることができるが、熱溶融性着色層の1
00℃における溶融粘度{JIS Z8803−199
1に定める円錐−平板形回転粘度計(円錐低速方式)に
よる粘度}を100〜300mPa・s、好ましくは1
20〜250Pa・sの範囲内とすることにより、ラフ
紙に対して更に抜けの少ない印字物を得ることができ
る。熱溶融性着色層の100℃における溶融粘度が10
0mPa・s未満である場合、ラフ紙に対する抜け防止
の更なる効果が得られず、溶融粘度が300mPa・s
を超えると、熱溶融性着色層をホットメルトコーティン
グ法で塗布形成する際のコーティング適性が低下して良
好な表面状態での塗工が困難になることがある。
【0044】本発明では、熱溶融性着色層の100℃に
おける溶融粘度は以下のように測定することができる。
すなわち、富士ゼロックス(株)製ファクシミリ(Tele
copier7033)を使用し、75μmの厚さのポリエチレン
テレフタレート(PET)フィルムに、被測定体である
熱転写フィルムを用いてコピーモード(原稿種別:文
字、印字濃度:普通)黒の色画用紙を原稿として印字を
行う。尚、サーマルヘッドの印字エネルギーを任意の値
に変更可能とするために、ファクシミリに搭載されたサ
ーマルヘッドのコモン電極とグランド電極間に外部から
任意の電圧を印加可能とする。上記のようにして得られ
た着色層が転写したPETフィルムを、120℃に加熱
したホットプレート上に載置して着色層を溶融させ、ヘ
ラ等で着色層をかき集めた後、冷却して測定用のサンプ
ルとする。このサンプルを用い、JIS Z8803−
1991に定める円錐−平板形回転粘度計(円錐低速方
式)による粘度の測定法に基づいて100℃における溶
融粘度を測定する。
【0045】また、本発明の熱転写フィルムでは、熱溶
融性着色層の融解ピーク温度(JIS K7121−1
987に定める融解ピーク温度:融解ピークが複数存在
する時は一番高いピーク温度とする)と、中間層の融解
ピーク温度(JIS K7121−1987に定める融
解ピーク温度:融解ピークが複数存在する時は一番高い
ピーク温度とする)との差が10℃以下となるように設
定することにより、ラフ紙に対して更に抜けの少ない印
字物を得ること、および、熱溶融性着色層が被転写体表
面に融着することなく薄膜状に付着してしまう現象(絡
み現象)を低減することができる。例えば、中間層の融
解ピーク温度が60℃の場合、熱溶融性着色層の融解ピ
ーク温度を50℃以上70℃以下とすることで、上記の
効果を得ることができる。このような温度差は10℃以
内で小さいほど効果は顕著であり、温度差が0℃の場合
が最も好ましい印字結果をもたらす。一方、温度差が1
0℃を超えると、絡み現象防止の効果が十分に得られな
くなる。
【0046】本発明では、熱溶融性着色層の融解ピーク
温度は以下のように測定することができる。すなわち、
富士ゼロックス(株)製ファクシミリ(Telecopier703
3)を使用し、75μmの厚さのPETフィルムに、被
測定体である熱転写フィルムを用いてコピーモード(原
稿種別:文字、印字濃度:普通)黒の色画用紙を原稿と
して印字を行う。尚、サーマルヘッドの印字エネルギー
を任意の値に変更可能とするために、ファクシミリに搭
載されたサーマルヘッドのコモン電極とグランド電極間
に外部から任意の電圧を印加可能とする。上記のように
して得られた着色層が転写したPETフィルムを、12
0℃に加熱したホットプレート上に載置して着色層を溶
融させ、ヘラ等で着色層をかき集めた後、冷却して測定
用のサンプルとする。このサンプルを用い、JIS K
7121−1987に定める融解ピーク温度(融解ピー
クが複数存在する時は一番高いピーク温度)を測定す
る。
【0047】(耐熱滑性層)また、基材フィルムの他方
の面に、サーマルヘッドの粘着を防止し、且つ、滑り性
を良くするために、耐熱滑性層を設けることも可能であ
る。この耐熱滑性層は、バインダー樹脂に滑り剤、界面
活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加したもの
を、好適に使用し、形成される。
【0048】耐熱滑性層に使用されるバインダー樹脂
は、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロ
ース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース、硝化綿等の
セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、
ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂、ポリアクリルア
ミド、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のビニル
系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコ
ーン変性またはフッ素変性ウレタン樹脂等が、挙げられ
る。これらのなかで、数個の反応性基、例えば、水酸基
を有しているものを使用し、架橋剤として、ポリイソシ
アネート等を併用して、架橋樹脂を使用することが好ま
しい。
【0049】耐熱滑性層を形成する手段は、上記のごと
きバインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒子、有
機粒子、顔料等を添加した材料を、適当な溶剤中に溶解
または分散させて、塗工液を調製し、この塗工液をグラ
ビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバー等の慣用
の塗工手段により、塗工し、乾燥するものである。
【0050】尚、本発明の熱転写フィルムは、上記の発
明の実施の形態に限定されるものではない。また、本発
明の熱転写フィルムは、カラー印字に適応できることは
言うまでもなく、多色の熱転写フィルムも本発明の範囲
に含まれる。また、本発明の熱転写フィルムと組み合わ
せて用いられる被転写体は、従来公知のいずれの被転写
体でも使用することができる。
【0051】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。尚、文中、部又は%とあるのは、特に断りの
ない限り重量基準である。
【0052】試料1〜10の作製 基材フィルムとして、厚さ4.5μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム(東レ株式会社製)を用いて、そ
の基材フィルム上に、下記表1に示す組成で中間層塗工
液をグラビアコート法により塗工(塗布量0.5g/m
2)し、100℃の熱風で溶剤を乾燥させた後に巻き取
った。尚、溶剤は混合溶剤(トルエン:メチルエチルケ
トン=1:1)を使用した。
【0053】次に、各中間層の上に、下記組成の熱溶融
性着色層塗工液を100℃に加温し、ロールコートによ
るホットメルトコーティング法で、乾燥時4.0μmの
厚さとなるように塗布して熱溶融性着色層を形成し、熱
転写フィルム(試料1〜10)を作製した。
【0054】但し、基材フィルムの他方の面には、下記
組成の耐熱滑性層塗工液をロールコーターにより、塗
布、乾燥し、乾燥時0.1μmの厚みの耐熱滑性層を予
め設けてある。
【0055】 (熱溶融性着色層塗工液) ・カーボンブラック(平均粒径40nm、三菱化学(株)製) 15部 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体 9部 (スミテートHC10、住友化学(株)製) ・カルナバワックス(加藤洋行(株)製) 38部 ・パラフィンワックス(155°F、日本精蝋(株)製) 38部
【0056】 (耐熱滑性層塗工液) ・ポリビニルブチラール樹脂 20部 (積水化学(株)製エスレックBX−1) ・タルク(日本アルク(株)製ミクロエースL−1) 30部 ・メラミン樹脂微粒子 30部 (日本触媒化学工業(株)製エポスターS) ・ポリイソシアネート 40部 (武田薬品工業(株)製タケネートA−3) ・トルエン/メチルエチルケトン(重量比1/1) 900部
【0057】比較試料1〜5の作製 中間層塗工液を下記表1に示す組成に変えた以外は、上
記の試料1〜10と同様にして熱転写フィルム(比較試
料1〜5)を作製した。
【0058】
【表1】
【0059】中間層に使用した溶融性物質、バインダー
樹脂、カーボンブラックの種類は以下の通りである。 溶融性物質A:ポリカプロラクトン(分子量2000) 溶融性物質B:1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸
からなるポリエステル(分子量2000) 溶融性物質C:エチレングリコールとセバシン酸からな
るポリエステル(分子量1000) 溶融性物質D:1,4−ブタンジオールとセバシン酸お
よびコハク酸からなるポリエステル(分子量1500) 溶融性物質E:エチレングリコールとセバシン酸からな
るポリエステル(分子量1000) 溶融性物質F:1,4−ブタンジオールとコハク酸から
なるポリエステル(分子量1000) 溶融性物質G:1,6−ヘキサンジオールとコハク酸か
らなるポリエステル(分子量1500) 溶融性物質H:下記に示す反応で得たポリエステル ポリカプロラクトンジオール(平均分子量1000)1
000重量部、イソホロンジイソシアネート(IPD
I)444.4重量部を、冷却管、窒素導入管、温度計
を取り付けた四つ口セパラブルフラスコに仕込む。有機
スズ系触媒0.5重量部を加え、攪拌しながら昇温し、
80℃で5時間反応させる。次いで、エチルアルコール
92.2重量部を加え、80℃で3時間反応させ、赤外
吸収スペクトルにてイソシアネート吸収(イソシアネー
ト基由来の2230cm-1)が無いことを確かめて反応
を終了し、この反応物を溶融性物質Hとする。 溶融性物質I:ステアリルアルコール 溶融性物質J:下記に示す反応で得たポリエステル ポリカプロラクトン(平均分子量500)258重量部
をフラスコ中で60℃に加温し、そこにヘキサメチレン
ジイソシアネート(HDI)41.5重量部を窒素気流
中で液温が80℃を超えないようにして滴下する。滴下
終了後、液温を80℃に維持できるようにウォーターバ
スで暖めながら、更に30分間攪拌する。反応物の赤外
吸収スペクトルにてイソシアネート吸収(イソシアネー
ト基由来の2230cm-1)が無いことを確かめて反応
を終了し、この反応物を溶融性物質Jとする。 溶融性物質K:ドデカン二酸と1,9−ノナンジオール
からなるポリエステル(分子量2000) バインダー樹脂(1):バイロン200(東洋紡績
(株)製) バインダー樹脂(2):バイロン600(東洋紡績
(株)製) カーボンブラック:平均粒径40nm(三菱化学(株)
製)
【0060】上記のようにして得られた熱転写フィルム
(試料1〜10、比較試料1〜5)について、下記のよ
うにして中間層の融解ピーク温度、結晶化ピーク温度、
加熱時の損失弾性率G″の変曲点Aの温度、除熱時の損
失弾性率G″の変曲点Bの温度を測定した。すなわち、
各熱転写フィルムの熱溶融性着色層側に粘着テープを貼
り付け、この粘着テープを剥がすことで熱溶融性着色層
を剥離除去した。次に、中間層を溶解させる有機溶剤、
例えば、トルエンやメチルエチルケトンを含ませたガー
ゼで中間層を拭き取った後、このガーゼを有機溶剤で洗
い流すことで、熱溶融性着色層の成分が溶け込んだ溶液
を得た。この溶液からエバポレーターを用いて溶媒を揮
発させることにより中間層の固形分を得て、この固形分
を用いて、下記の測定方法にて、中間層の融解ピーク温
度、結晶化ピーク温度、加熱時の損失弾性率G″の変曲
点Aの温度、除熱時の損失弾性率G″の変曲点Bの温度
を測定した。
【0061】〈融解ピーク温度の測定方法〉上記の方法
により熱転写フィルムから得られた中間層のサンプル
を、JISK7121−1987に定める融解ピーク温
度(融解ピークが複数存在する時は一番高いピーク温
度)を測定した。
【0062】〈結晶化ピーク温度の測定方法〉上記の方
法により熱転写フィルムから得られた中間層のサンプル
を、JISK7121−1987に定める結晶化ピーク
温度(結晶化ピークが複数存在する時は一番低いピーク
温度)を測定した。
【0063】〈損失弾性率G″の変曲点Aの温度、変曲
点Bの温度の測定方法〉中間層の固形分について、レオ
メトリック・サイエンティフィック・エフ・イー(株)
製ARES−2KSTD粘弾性測定システムを用いて、
以下の条件で加熱時の損失弾性率G″、除熱時の損失弾
性率G″を測定し、図1に示す変曲点Aの温度、変曲点
Bの温度を求めた。 (加熱時の損失弾性率G″の測定条件) ・使用治具=パラレルプレート(15mm) ・GaP=1.0〜2.0mm ・周波数=20.0Hz ・昇温速度=2.0℃/分 ・サンプルタイム=5秒間隔 ・Auto Tension Adjustment=on ・Initial Static Force=0.0g ・Auto Tension Sensitibity=3.0g(Sample Modul
us=0.0Pa) ・Auto Strain=on ・Maximum Applied Strain=15.0% ・Maximum Allowed Torque=1200.0g/cm ・Minimum Allowed Torque=5.0g/cm ・Strain Adjustment=20.0% of Current Strain
【0064】(除熱時の損失弾性率G″の測定条件) ・使用治具=パラレルプレート(15mm) ・GaP=1.0〜2.0mm ・周波数=20.0Hz ・降温速度=2.0℃/分 ・サンプルタイム=5秒間隔 ・Auto Tension Adjustment=on ・Initial Static Force=0.0g ・Auto Tension Sensitibity=10.0g(Sample Modu
lus=100.0Pa) ・Auto Strain=on ・Maximum Applied Strain=12.0% ・Maximum Allowed Torque=10.0g/cm ・Minimum Allowed Torque=0.01g/cm ・Strain Adjustment=20.0% of Current Strain
【0065】また、熱転写フィルム(試料1〜10、比
較試料1〜5)について、下記の評価方法にて、中間層
のコーティング適性、着色層のコーティング適性、印字
品質および機密漏洩防止性の評価を行った。
【0066】〈中間層のコーティング適性〉基材フィル
ムの上に中間層を塗布する際のコーティング適性につい
て、以下の評価基準に従って評価を行った。 I:溶剤を乾燥させた後の中間層は指で触った際のタッ
クが観察されることは無く、また巻き取った後の基材フ
ィルム面と中間層が、中間層のタックにより接着するこ
とはなかった。 II:溶剤を乾燥させた後の中間層は指で触った際にタッ
クがわずかに観察されたが、巻き取った後の基材フィル
ム面と中間層が、中間層のタックにより接着することは
なかった。 III:溶剤を乾燥させた後の中間層は指で触った際にタ
ックが観察され、また巻き取った後の基材フィルム面と
中間層が、中間層のタックにより接着する様子が観察さ
れた。
【0067】〈着色層のコーティング適性〉中間層の上
に熱溶融性着色層塗工液を塗布する際のコーティング適
性について、コーティング後の着色層の外観を以下の評
価基準に従って評価した。尚、観察には倍率10〜20
倍の実体顕微鏡を用いた。 I:実体顕微鏡で観察しても筋状の塗布むらは観察され
ず、塗布むらのない、全体的に均一な表面状態が得られ
た。 II:実体顕微鏡で観察すると筋状の塗布むらが観察さ
れ、塗布むらによって全体的に不均一な表面状態であっ
た。 III:肉眼でも確認できるほどの筋状の塗布むら、或い
は着色層が塗られていない筋状の領域が多く観察され、
全体的に不均一な表面状態であった。
【0068】〈印字品質〉富士ゼロックス(株)製ファ
クシミリ(Telecopier7033)を用い、ゼ
ロックス(株)製プリンター用紙(#4024、ベック
平滑度32秒)に、上記の各熱転写フィルムを用いて、
コピーモード(原稿種別:文字、印字濃度:普通)で印
字を行なった。
【0069】尚、サーマルヘッドの印字エネルギーを任
意の値に変更できるようにするため、ファクシミリに搭
載されたサーマルヘッドのコモン電極とグランド電極間
に外部から任意の電圧を印加可能とした。また、コピー
を行うための原稿には、沖電気(株)製プリンター(M
ICROLINE 900 PSII LT)で富士ゼ
ロックス(株)製コピー用紙(WR−100)に印刷し
た8ポイントサイズの大文字アルファベット(書体はC
ourier)印字物を使用した。
【0070】印字に際しては、各熱転写フィルム(試料
1〜10、比較試料1〜5)で上記の原稿をコピーした
際、大文字のEとBの区別が目視にて可能な最低限の印
加電圧で印字を行うこととした。そして、得られた印字
物を目視により観察し、白抜けの発生による文字や細線
の欠損について、以下の基準に従って評価を行なった。 I:白抜けの発生による文字や細線の欠損はほとんど観
察されず、極めて良好な印字物が得られた。 II:白抜けの発生による文字や細線の欠損が僅かに観察
されたが、良好な印字物が得られた。 III:白抜けの発生による文字や細線の欠損が著しく観
察され、文字や細線が著しくかすれた外観である印字物
が得られた。
【0071】〈機密漏洩防止性〉上記の印字品質で行っ
た印字条件と同じ条件で印字を行った後の熱転写フィル
ムの熱溶融性着色層面を富士ゼロックス(株)製コピー
機(Vivace675)で富士ゼロックス(株)製コ
ピー用紙(WR−100)に複写した。複写を行う際の
濃度設定は『自動』とした。次いで、コピー用紙に複写
された像を目視で観察し、熱転写フィルムで印字を行っ
た内容が読解できるかについて、以下の基準に従って、
評価を行った。 I:印字を行った内容を読解することが出来なかった。 II:印字を行った内容を読解することが容易に出来た。
【0072】(結果)測定結果および評価結果を下記表
2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】表2に示されるように、本発明の熱転写フ
ィルム(試料1〜10)は、中間層のコーティング適
性、着色層のコーティング適性、および、印字品質が実
用レベルにあり、さらに、中間層にカーボンブラックを
含有する熱転写フィルムは、機密漏洩防止性も優れるこ
とが確認された。
【0075】これに対して、比較の熱転写フィルム(比
較試料1〜5)は、中間層のコーティング適性、着色層
のコーティング適性、印字品質の少なくとも1項目にお
いて実用に供し得ないものであった。
【0076】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
印字エネルギーが印加された部位における中間層が、印
字から剥離までの間にある程度冷却されても溶融した状
態にあるので、熱溶融性着色層と中間層との接着性が低
下したままとなり、印字エネルギーが印加された部位の
熱溶融性着色層が抜けを生じることなく被転写紙に転写
されることにより、白抜けの発生が少ない良好な印字が
可能な熱転写フィルムを得ることが出来る。また、中間
層を基材フィルムに塗布した後に加熱乾燥させて巻き取
る際、熱転写フィルムの中間層面が基材フィルム面に接
着してしまう不具合を解消することが可能となる。ま
た、中間層が設けられた基材フィルムにホットメルトコ
ーティング法にて熱溶融性着色層を塗布する際、中間層
が加熱溶融された着色層インキの熱で溶融して低粘度の
液体になっても、着色層インキを良好な面質で安定して
重ね塗りすることが可能となる。また、カーボンブラッ
クを該中間層に添加することによって、印字後の熱転写
フィルムから印字した内容を読取ることが困難となり、
機密漏洩防止効果を併せ持たせることが可能となる。さ
らに、カーボンブラックが熱転写フィルムの帯電を防止
するので、熱転写フィルムの交換時の作業性が向上し、
印字時に空気中のごみを吸い寄せて印字物にごみによる
抜けを生じることが防止され、良好な印字物を得ること
ができる。また、熱溶融性着色層の100℃における溶
融粘度が100〜300mPa・sの範囲内であるこ
と、あるいは、熱溶融性着色層の融解ピーク温度と中間
層の融解ピーク温度との差が10℃以下であることによ
り、白抜けの発生が更に少ない良好な印字が可能な熱転
写フィルムを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における中間層の損失弾性率G″の変曲
点を説明するための図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅生 健一 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 鳥井 政典 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2H111 AA12 AA14 AA33 BA03 BA04 BA07 BA12 BA34 BA53 BA70 BA71

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルム上に熱転写しない中間層を
    介して熱溶融性着色層を設けた熱転写フィルムにおい
    て、該中間層は、融解ピーク温度(JIS K7121
    −1987に定める融解ピーク温度:融解ピークが複数
    存在する時は一番高いピーク温度とする)が40〜11
    0℃の範囲内にあり、結晶化ピーク温度(JIS K7
    121−1987に定める結晶化ピーク温度:結晶化ピ
    ークが複数存在する時は一番低いピーク温度とする)が
    −20〜100℃の範囲内にあり、かつ、前記結晶化ピ
    ーク温度が前記融解ピーク温度よりも10℃以上低く、
    さらに、加熱時の損失弾性率G″の変曲点Aの温度が4
    0〜100℃の範囲内で、除熱時の損失弾性率G″の変
    曲点Bの温度が−20〜90℃の範囲内であり、かつ、
    前記変曲点Aの温度が前記変曲点Bの温度よりも10℃
    以上高いものであることを特徴とする熱転写フィルム。
  2. 【請求項2】 前記中間層が少なくとも溶融性物質を含
    有し、該溶融性物質は、融解ピーク温度(JIS K7
    121−1987に定める融解ピーク温度:融解ピーク
    が複数存在する時は一番高いピーク温度とする)が40
    〜110℃の範囲内にあり、結晶化ピーク温度(JIS
    K7121−1987に定める結晶化ピーク温度:結
    晶化ピークが複数存在する時は一番低いピーク温度とす
    る)が−20〜100℃の範囲内にあり、かつ、前記結
    晶化ピーク温度が前記融解ピーク温度よりも10℃以上
    低い物質であることを特徴とする請求項1に記載の熱転
    写フィルム。
  3. 【請求項3】 前記中間層がバインダー樹脂を含有し、
    該バインダー樹脂の数平均分子量は1500〜1000
    00の範囲内にあることを特徴とする請求項1または請
    求項2に記載の熱転写フィルム。
  4. 【請求項4】 前記バインダー樹脂はポリエステル樹脂
    であることを特徴とする請求項3に記載の熱転写フィル
    ム。
  5. 【請求項5】 前記ポリエステル樹脂は主鎖にエチレン
    性不飽和結合を含有するものであることを特徴とする請
    求項4に記載の熱転写フィルム。
  6. 【請求項6】 前記中間層にカーボンブラックが配合さ
    れていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいず
    れかに記載の熱転写フィルム。
  7. 【請求項7】 前記熱溶融性着色層は100℃における
    溶融粘度{JISZ8803−1991に定める円錐−
    平板形回転粘度計(円錐低速方式)による粘度}が10
    0〜300mPa・sの範囲内にあることを特徴とする
    請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の熱転写フィル
    ム。
  8. 【請求項8】 前記熱溶融性着色層の融解ピーク温度
    (JIS K7121−1987に定める融解ピーク温
    度:融解ピークが複数存在する時は一番高いピーク温度
    とする)と前記中間層の融解ピーク温度(JIS K7
    121−1987に定める融解ピーク温度:融解ピーク
    が複数存在する時は一番高いピーク温度とする)との差
    が10℃以下であることを特徴とする請求項1乃至請求
    項7のいずれかに記載の熱転写フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013193364A (ja) * 2012-03-21 2013-09-30 Toppan Printing Co Ltd 感熱転写記録媒体
WO2015080493A1 (ko) * 2013-11-28 2015-06-04 삼성에스디아이 주식회사 열전사필름 및 이를 사용하여 제조된 유기전계발광소자

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