JP2001277733A - 熱転写フィルム - Google Patents

熱転写フィルム

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JP2001277733A
JP2001277733A JP2000100287A JP2000100287A JP2001277733A JP 2001277733 A JP2001277733 A JP 2001277733A JP 2000100287 A JP2000100287 A JP 2000100287A JP 2000100287 A JP2000100287 A JP 2000100287A JP 2001277733 A JP2001277733 A JP 2001277733A
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thermal transfer
transfer film
layer
heat
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JP2000100287A
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Shigeki Nakajo
茂樹 中條
Masanori Torii
政典 鳥井
Mitsuru Maeda
充 前田
Fumihiko Mizukami
文彦 水上
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印字物に白抜けの発生がなく、鮮明な印字が
でき、基材フィルム上に中間層、熱溶融性着色層を形成
する上で、良好に安定して塗布することができ、さらに
機密漏洩防止機能を有する熱転写フィルムを提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 基材フィルム上に、中間層を介して熱溶
融性着色層を設けた熱転写フィルムにおいて、該中間層
が下記一般式1で表わされる縮合リン酸エステル、及び
軟化温度(JIS K2207−1980に定める環球
法の測定による)が130℃以上400℃以下であるバ
インダー樹脂を含有しているので、中間層が印字から剥
離までの間に、冷却されても、該リン酸エステルの過冷
却性等により、該リン酸エステルが溶融したまま、中間
層と熱溶融性着色層の接着性が低下し、エネルギー印加
された領域の熱溶融性着色層が被転写紙に抜けを生じる
こと無く、転写させることができ、ラフ紙に対しても抜
けの少ない良好な印字物が得られる。 【化1】 (上記式中R1、R2は水素、メチル基等のアルキル基、
または置換アルキル基を表わす。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材フィルム上
に、中間層を介して熱溶融性着色層を設けた熱転写フィ
ルムに関し、さらに詳しくは、印字物に白抜けの発生が
なく、鮮明な印字ができ、基材フィルム上に中間層、熱
溶融性着色層を形成する上で、良好に安定して塗布する
ことができ、さらに機密漏洩防止機能を有する熱転写フ
ィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、熱転写プリンター、ファクシミリ
等に用いられる熱転写記録媒体として、基材フィルムの
一方の面に熱溶融性インキ層を設けた熱転写フィルムが
使用されている。従来の熱転写フィルムは、基材フィル
ムとして厚さ10〜20μm程度のコンデンサ紙やパラ
フィン紙のような紙、あるいは厚さ3〜20μm程度の
ポリエステルやセロファンのようなプラスチックフィル
ムを用い、この基材フィルム上にバインダーに顔料や染
料等の着色剤を混合し、さらに必要に応じて、低融点剤
及び可塑剤等の添加剤を加えた熱溶融性のインキを塗布
して、熱溶融性インキ層を設けたものである。そして、
基材フィルムの裏側からサーマルヘッドにより所定箇所
を加熱・加圧し、熱溶融性インキ層のうち、印字部に相
当する箇所の熱溶融性インキ層を溶融させ、被転写体に
転写して印字を行うものである。
【0003】また、熱転写フィルムとして、基材フィル
ム上に中間層を介して、熱溶融性インキ層を設けたもの
として、例えば特開昭61−144393には中間層と
して、導電性粉体を含有するマット層を用いて、つや消
し印字、帯電防止及び機密漏洩防止の機能を与えること
が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、基材フ
ィルム上に中間層と熱溶融性の着色層を設けた熱転写フ
ィルムを用いて印字を行なった場合、白抜けの発生によ
る文字や細線の欠損が生じ、印字物がかすれた外観にな
ってしまうという問題点があった。べック平滑度が50
秒以下であるような紙目の荒い紙に対して白抜けを生じ
ること無く印字を行なう為には、サーマルヘッドなどの
手段によって画素状にエネルギーが印加された領域の着
色層を被転写紙に抜けが生じること無く転写させること
が必要である。着色層を被転写紙に抜けが生じること無
く全転写させる為には、基材フィルム上に中間層を介し
て着色層が設けられた熱転写フィルムの中間層が溶融し
て、流動性の高い液体状態で被転写体と熱転写フィルム
を剥離することが有効である。しかし、熱転写フィルム
を用いるファクシミリ等で現在一般に使われている機器
では、被転写体と熱転写フィルムが重ね合わされた後に
熱転写フィルムへ印字エネルギーが印加される瞬間と熱
転写フィルムが被転写体から剥離されるまでの間に時間
の開きがあり、印画の為のエネルギーによって溶融する
ように調整された中間層を用いても、この間に冷却され
て再び凝固してしまう、或いは、凝固していないけれど
も流動性が低い状態になってしまうのが一般的であっ
た。
【0005】本発明は、上記の欠点、問題を改善、解決
し、印字物に白抜けの発生がなく、鮮明な印字ができ、
基材フィルム上に中間層、熱溶融性着色層を形成する上
で、良好に安定して塗布することができ、さらに機密漏
洩防止機能を有する熱転写フィルムを提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】縮合リン酸エステルを中
間層に使用した熱転写フィルムの印字性能について詳細
に検討した結果、中間層が印字から剥離までの間に、あ
る程度冷却されても、下記一般式1で表わされる縮合リ
ン酸エステルの過冷却性により、さらに中間層バインダ
ー樹脂の軟化温度(JIS K2207−1980に定
める環球法で測定される軟化温度)が130℃以上40
0℃以下であることにより、縮合リン酸エステルが溶融
したままの状態で、中間層と熱溶融性着色層の接着性が
低下し、エネルギー印加された領域の熱溶融性着色層が
被転写紙に抜けを生じること無く、転写させることが可
能となり、ラフ紙に対しても抜けの少ない良好な印字物
を得ることが明らかとなり、本願請求項1の発明に至っ
た。
【0007】
【化2】 (上記式中R1、R2は水素、メチル基等のアルキル基、
または置換アルキル基を表わす。)
【0008】また、縮合リン酸エステルを含有する中間
層のコーティング適性、及び中間層上への熱溶融性着色
層の重ね塗り適性について詳細な検討を行ない、縮合リ
ン酸エステルの融解ピーク温度と熱溶融性着色層の融解
ピーク温度の差を特定することにより、本願請求項2の
発明に至った。さらに、中間層のコーティング適性、及
び中間層上への熱溶融性着色層の重ね塗り適性について
詳細な検討を行ない、縮合リン酸エステルの過冷却性に
悪影響を及ぼす事無く、中間層と熱溶融性着色層の両者
の適性を改善しうる一群の中間層バインダー樹脂が明ら
かとなり、本願請求項3〜5の発明に至った。また、請
求項1〜5に記載の熱転写フィルムの秘密漏洩防止性を
高める手法として種々検討した結果、本請求項6の発明
に至った。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態につい
て、詳述する。本発明の熱転写フィルムは、基材フィル
ム上に、中間層を介して熱溶融性着色層を設けた構成
で、該中間層が、上記の一般式1で表わされる縮合リン
酸エステル、及び軟化温度(JIS K2207−19
80に定める環球法で測定される軟化温度)が130℃
以上400℃以下であるバインダー樹脂を含有してい
る。
【0010】(基材フィルム)本発明の熱転写フィルム
で用いられる基材フィルムとしては、従来の熱転写フィ
ルムに使用されているものと同じ基材フィルムをそのま
ま用いることが出来ると共に、その他のものも使用する
ことが出来、特に制限されない。好ましい基材フィルム
の具体例としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピ
レン、セロハン、ポリカーボネイト、酢酸セルロース、
ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロ
ン、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアル
コール、フッ素樹脂、塩化ゴム、アイオノマー等のプラ
スチック、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、不
織布等があり、又、これらを複合した基材フィルムであ
ってもよい。この基材フィルムの厚さは、その強度及び
熱伝導性が適切になるように材料に応じて適宜変更する
ことが出来るが、その厚さは、好ましくは、例えば、3
〜10μmである。
【0011】(中間層)中間層は、下記の一般式1で表
わされる縮合リン酸エステル、及び軟化温度(JIS
K2207−1980に定める環球法で測定される軟化
温度)が130℃以上400℃以下であるバインダー樹
脂を含有している。
【化3】 (上記式中R1、R2は水素、メチル基等のアルキル基、
または置換アルキル基を表わす。)
【0012】上記の一般式1で表わされる縮合リン酸エ
ステルは、可塑剤であり、過冷却性を有する物質であ
り、サーマルヘッドにより加熱された領域の中間層にあ
る縮合リン酸エステルが溶融し、被転写体と剥離する時
も縮合リン酸エステルの過冷却性により、溶融した状態
が継続し、その加熱領域の中間層と熱溶融性着色層の接
着力が加熱以前に比べ低下する。それによって、被転写
体への転写において、白抜けの発生を低減させることが
できる。
【0013】中間層のバインダー樹脂としては、JIS
K2207−1980に定める環球法で測定される軟
化温度が130℃以上400℃以下であり、基材フィル
ム上に形成された中間層の上に熱溶融性着色層をコーテ
ィングする際に、及び印字加熱時に低粘度となることな
く成膜性を維持していれば、いずれの樹脂でも良い。中
でも、上記の縮合リン酸エステルと非相溶な樹脂が好ま
しく、例えば、ポリエステル樹脂、SBR樹脂やABS
樹脂やSBS樹脂等のポリブタジエン系樹脂、スチレン
−無水マレイン酸共重合体等のマレイン酸系樹脂、オレ
フィン系樹脂、オレフィン系共重合体、アイオノマー樹
脂、スチレン系樹脂等が挙げられ、特にポリエステル樹
脂が良い。また、中間層のバインダー樹脂として用いる
ポリエステル樹脂としては、主鎖がエチレン性不飽和結
合を含有していることが良い。エチレン性不飽和結合を
含有しているポリエステル樹脂としては、酸成分にフマ
ル酸やマレイン酸を用いた構造、あるいはアルコール成
分に2−Butene−1,4−diolを用いた構造
等を挙げることができる。
【0014】バインダー樹脂のJIS K2207−1
980に定める環球法で測定される軟化温度が130℃
より低い場合は、中間層を設けるための塗工液を基材フ
ィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、バインダー樹脂
と縮合リン酸エステルを適度に分離させることが困難と
なり、縮合リン酸エステルが過冷却状態であることによ
り発現する効果が実質的に得られなくなり、熱溶融性着
色層を被転写紙に抜けを生じること無く、転写させるこ
とが困難となる。また、JIS K2207−1980
に定める環球法で測定される軟化温度が400℃を越え
るバインダー樹脂は、過剰な耐熱性を有することにより
高価な材料である場合がほとんどであるため、熱転写フ
ィルムの製造費用が過大になるという不具合を生じる。
【0015】ラフ紙等の表面平滑性の低い被転写体に対
し、例えば特開昭61−144393に挙げられている
ような従来の熱転写フィルムを用いて、印字を行った場
合に生じる白抜けの発生原因を検討したところ、サーマ
ルヘッドで加熱を行った直後に、熱転写フィルムを被転
写体から剥離する直前の熱溶融性着色層が、比較的厚い
層を形成している領域と、薄い層を形成している領域が
混在し、その薄い層が形成されている領域が被転写体に
転写されること無く、熱転写フィルムの基材フィルム側
に付着したまま、熱転写フィルムと被転写体とが剥離さ
れるため、その領域が未転写領域(白抜け)となること
が明らかとなった。それに対して、サーマルヘッドによ
り加熱された領域の中間層にある縮合リン酸エステルが
溶融し、被転写体と剥離する時も縮合リン酸エステルの
過冷却性により、溶融した状態が継続し、その加熱領域
の中間層と熱溶融性着色層の接着力が加熱以前に比べ低
下し、被転写体への転写において、白抜けの発生を低減
させることができる。
【0016】また、縮合リン酸エステルを含有する中間
層のコーティング適性、及び中間層上への熱溶融性着色
層の重ね塗り適性について詳細な検討を行なった結果、
上記一般式1で示される縮合リン酸エステルの融解ピー
ク温度と熱溶融性着色層の融解ピーク温度の差が0℃以
上10℃以下であることが望ましい。尚、融解ピーク温
度は、JIS K7121−1987に定める方法で測
定したものである。縮合リン酸エステルは、上記一般式
1のR1、R2の種類によって、融解ピーク温度(JIS
K7121−1987に定める融解ピーク温度)が変
化するが、例えば縮合リン酸エステルの融解ピーク温度
が95℃である場合、上記の点から熱溶融性着色層の融
解ピーク温度を85℃以上105℃以下とすることで、
印字物に白抜けの発生がより少なく、鮮明な印字がで
き、基材フィルム上に中間層、熱溶融性着色層を形成す
る上で、良好に安定して塗布することができる。上記一
般式1で示される縮合リン酸エステルの融解ピーク温度
と熱溶融性着色層の融解ピーク温度の差が10℃以下で
あることが、本発明の要件であり、その範囲内であれ
ば、所望の効果を発揮することができる。上記の融解ピ
ーク温度の差が小さいほど効果は顕著であり、温度差が
0℃の場合が最も好ましい印字結果をもたらすものであ
る。その融解ピーク温度の差が、10℃を超えると、印
字において、絡み現象による文字の潰れが著しくなるこ
とで、文字の判別が困難又は不可能となる不具合を生じ
やすくなる。
【0017】縮合リン酸エステルを中間層に使用した場
合、その中間層の上に、熱溶融性着色層をホットメルト
コーティングするためには、縮合リン酸エステル単体で
はコーティング適性が得られず、現実的に製造すること
はできなかった。そこで、本発明では、中間層にJIS
K2207−1980に定める環球法で測定される軟
化温度が130℃以上400℃以下であるバインダー樹
脂を用い、縮合リン酸エステルと非相溶な樹脂で、さら
に中間層塗工液を基材フィルムの上に塗布後乾燥させる
過程で、バインダー樹脂と縮合リン酸エステルが適度に
分離するように、特に数平均分子量が、1500以上1
00000以下であるポリエステル樹脂をバインダー樹
脂として用いることが好ましい。それによって、縮合リ
ン酸エステルと上記ポリエステル樹脂を併用して中間層
を設けた結果、両者が層分離した状態で塗膜が形成さ
れ、かつバインダーであるポリエステル樹脂が非転写性
の構造体を構築し、該構造体による空間を縮合リン酸エ
ステルが埋めていると考えられる塗膜を得た。このよう
な構成により、熱溶融性着色層のホットメルトコーティ
ングが可能となり、現実的な熱転写フィルムの製造が可
能となった。
【0018】中間層で用いるバインダー樹脂の数平均分
子量が、1500以上100000以下であることが好
ましく、縮合リン酸エステルと併用して、両者が非相溶
で、層分離した状態で塗膜が形成される。この中間層の
バインダー樹脂の数平均分子量が1500未満である
と、中間層を設けるための塗工液を基材フィルムの上に
塗布後乾燥させる過程で、バインダー樹脂と縮合リン酸
エステルを適度に分離させることが困難となり、縮合リ
ン酸エステルが過冷却状態であることにより発現する効
果が実質的に得られなくなり、熱溶融性着色層を被転写
紙に抜けを生じること無く、転写させることが困難とな
る。また、中間層のバインダー樹脂の数平均分子量が1
00000より大きい場合も、中間層を設けるための塗
工液を基材フィルムの上に塗布後乾燥させる過程で、バ
インダー樹脂と縮合リン酸エステルを適度に分離させる
ことが困難となり、縮合リン酸エステルが過冷却状態で
あることにより発現する効果が実質的に得られなくな
り、熱溶融性着色層を被転写紙に抜けを生じること無
く、転写させることが困難となる。
【0019】また、中間層にカーボンブラックを配合す
ることにより、印字後の熱転写フィルムから印字した内
容を読み取ること(転写された後の熱転写フィルムにお
ける熱溶融性着色層の抜け殻を複写機等により複写した
複写物から、熱転写フィルムで印字した内容を読み取る
こと)が困難となり、機密漏洩防止機能を併せもたせる
ことが可能となる。中間層を形成するには、上記の如き
材料と、高級脂肪族アルコール、リン酸エステル及びそ
の金属塩、有機カルボン酸及びその誘導体や低融点ワッ
クス、各種界面活性剤等の分散剤を必要に応じて添加
し、メチルエチルケトン、トルエン、アルコール類、水
等の適当な溶媒中に溶解または分散させて、塗工液を調
整し、グラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバ
ー等の慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥すればよ
い。中間層の塗工量は、乾燥固形分で、0.1〜1.0
g/m2程度が好ましい。塗工量が0.1g/m2を下回
ると、白抜けの発生のない、鮮明な印字物が得られにく
く、また一方、塗工量が1.0g/m2を越えると、中
間層が厚すぎて、転写時の印字感度が低下するので好ま
しくない。
【0020】(熱溶融性着色層)本発明では、上記の中
間層の上に、熱溶融性着色層を設けるものである。熱溶
融性着色層は熱溶融性のインキ層であり、従来公知の着
色剤とバインダーよりなり、必要に応じて、鉱物油、植
物油、ステアリン酸等の高級脂肪酸、可塑剤、酸化防止
剤、充填剤等の種々の添加剤を加えたものが使用され
る。バインダーとして用いられるワックス成分として
は、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナバ
ワックス、パラフィンワックス等がある。更に、フィッ
シャートロプシュワックス、各種低分子量ポリエチレ
ン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ロ
ウ、セラックワックス、キャンデリラワックス、ペトロ
ラクタム、ポリエステルワックス、一部変性ワックス、
脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々のワックスが用
いられる。このなかで、特に融点が50〜85℃である
ものが好ましい。50℃以下であると、保存性に問題が
生じ、又85℃以上であると感度不足になる。
【0021】バインダーとして用いられる樹脂成分とし
ては、例えば、ポリエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、
ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブ
デン、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体、ポリビニルアルコール、塩化ビニリデン
樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネー
ト、フッ素樹脂、ポリビニルフォルマール、ポリビニル
ブチラール、アセチルセルロース、ニトロセルロース、
ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、エチルセルロース
又はポリアセタール等が挙げられるが、特に従来より感
熱接着剤として使用されている比較的低軟化点、例え
ば、50〜80℃の軟化点を有するものが好ましい。
【0022】着色剤としては、公知の有機または無機の
顔料、あるいは染料の中から適宜選択することができ、
例えば、十分な着色濃度を有し、光、熱等により変色、
退色しないものが好ましい。また、加熱により発色する
物質や、被転写体の表面に塗布されている成分と接触す
ることにより発色するような物質であってもよい。さら
に、着色剤の色としては、シアン、マゼンタ、イエロ
ー、ブラックに限定されるものではなく、種々の色の着
色剤を使用することができる。
【0023】さらに、熱溶融性着色層に、良好な熱伝導
性および熱溶融転写性を与えるため、バインダーの充填
剤として熱伝導性物質を配合してもよい。このような充
填剤としては、例えばカーボンブラック等の炭素質物
質、アルミニウム、銅、酸化錫、二硫化モリブデン等の
金属および金属化合物等がある。熱溶融性着色層の形成
は、上記のような着色剤成分とバインダー成分と、さら
に、これに必要に応じて、鉱物油、植物油、ステアリン
酸等の高級脂肪酸、可塑剤、酸化防止剤、充填剤等の種
々の添加剤を加え、水、有機溶剤等の溶媒成分を配合調
整した熱溶融性着色層形成用塗工液を、従来公知のホッ
トメルトコート、ホットラッカーコート、グラビアコー
ト、グラビアリバースコート、ロールコート等の方法で
行う。また、水系又は非水系のエマルジョン塗液を用い
て形成する方法もある。熱溶融性着色層の厚みは、必要
な印字濃度と熱感度との調和がとれるように、決定すべ
きであって、好ましくは0.5〜6.5g/m2 の範囲
であり、2.5〜4.5g/m2の範囲が特に好まし
い。
【0024】(耐熱滑性層)また、基材フィルムの他方
の面に、サーマルヘッドの粘着を防止し、且つ、滑り性
を良くするために、耐熱滑性層を設けることも可能であ
る。この耐熱滑性層は、バインダー樹脂に滑り剤、界面
活性剤、無機粒子、有機粒子、顔料等を添加したもの
を、好適に使用し、形成される。耐熱滑性層に使用され
るバインダー樹脂は、例えば、エチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、メチルセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロ
ース、硝化綿等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコ
ール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルアセタール、ポリビニルピロリドン、アクリル樹
脂、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル−スチレン
共重合体等のビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、シリコーン変性またはフッ素変性ウレタン
樹脂等が、挙げられる。
【0025】これらのなかで、数個の反応性基、例え
ば、水酸基を有しているものを使用し、架橋剤として、
ポリイソシアネート等を併用して、架橋樹脂を使用する
ことが好ましい。耐熱滑性層を形成する手段は、上記の
ごとき、バインダー樹脂に滑り剤、界面活性剤、無機粒
子、有機粒子、顔料等を添加した材料を、適当な溶剤中
に溶解または分散させて、塗工液を調製し、この塗工液
をグラビアコーター、ロールコーター、ワイヤーバー等
の慣用の塗工手段により、塗工し、乾燥するものであ
る。
【0026】上記の熱転写フィルムを使用する画像形成
における加熱手段は、コンピューターからの画像情報に
応じて、加熱量をコントロールできる従来公知の方法が
いずれも使用できる。例えば、ワードプロセッサー、フ
ァクシミリ等に用いられているサーマルヘッドや、レー
ザー印字方式プリンターに用いられるレーザーヘッド等
を用いることができる。更に、熱転写フィルムの背面側
に通電発熱層を設けた場合、通電加熱型溶融転写方式用
通電ヘッドを用いることも可能である。本発明の熱転写
フィルムは、カラー印字に適応できることは言うまでも
なく、多色の熱転写フィルムも本発明の範囲に含まれ
る。尚、本発明の熱転写フィルムは、上記の発明の実施
形態に限定されるものではない。また、本発明の熱転写
フィルムと組み合わせて用いられる被転写体は、従来公
知のいずれの被転写体でも使用することができる。
【0027】
【実施例】次に実施例及び比較例をあげて、本発明を更
に具体的に説明する。尚、文中、部又は%とあるのは、
特に断りのない限り質量基準である。 (熱溶融性着色層インキ)表1に示す材料を150℃に
加熱して溶融混合させ、スチールビーズと共に強攪拌す
ることで、実施例1〜25及び比較例1〜12に用いる
熱溶融性着色層インキ1〜5を用意した。また、得られ
た熱溶融性着色層インキ1〜5の130℃における溶融
粘度を測定した結果は表1の通りとなった。尚、溶融粘
度の測定は以下の測定装置及び測定条件にて行った。
【0028】・装置名称:粘弾性測定装置ロトビスコR
V20(HAKKE社製) ・測定頭部:M5 ・センサーシステム:センサーシステムコーンプレート
PK5(開き角度0.5°、コーンプレート半径25m
m、設定温度を130℃とした。) また、融解ピーク温度の測定は、JIS K7121−
1987の規定に従って、測定を行った。但し、融解ピ
ーク温度が複数観察される場合は、最も吸熱量の大きい
ピークをもつ温度を、本発明で規定する融解ピーク温度
とした。
【0029】
【表1】
【0030】(実施例1〜25)基材フィルムとして、
厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
(東レ株式会社製)を用いて、その基材フィルム上に、
下記表2に示す組成の中間層塗工液をグラビアコート法
により、表2に示す各々の塗布量になるように塗工し、
100℃の熱風で溶剤を乾燥させた後に巻き取った。
尚、一般式1で示される縮合リン酸エステルとして、R
1とR2がメチル基である物質(CAS No.1391
89−30−3)を使用した。次に、各中間層の上に、
表1に示した熱溶融性着色層インキを、120℃に加温
し、ロールコートによるホットメルトコーティング法
で、乾燥時4.5μmの厚さになるように、塗布して熱
溶融性着色層を形成し、実施例1〜25の熱転写フィル
ムを作成した。但し、基材フィルムの他方の面には、下
記組成の耐熱滑性層塗工液をロールコーターにより、塗
布、乾燥し、乾燥時0.1μmの厚みの耐熱滑性層を予
め設けてある。
【0031】
【表2】
【0032】 (耐熱滑性層塗工液) ポリビニルブチラール樹脂 20部 (積水化学株式会社製 エスレックBX−1) タルク(日本アルク株式会社製 ミクロエースL−1) 30部 メラミン樹脂微粒子(日本触媒化学工業株式会社製 エポスターS) 30部 ポリイソシアネート(武田薬品工業株式会社製 タケネートA−3) 40部 トルエン/メチルエチルケトン(質量比1/1) 900部
【0033】(比較例1〜12)中間層塗工液及び熱溶
融性着色層インキを上記表1及び表2に示す組成に変
え、また表2に示す各々の塗布量になるように塗工した
以外は、実施例と同様にして比較例1〜12の熱転写フ
ィルムを作成した。
【0034】上記、実施例および比較例で得られた熱転
写フィルムに対して、下記の評価方法にて、中間層のコ
ーティング適性、熱溶融性着色層のコーティング適性、
印字品質及び機密漏洩防止性の評価を行った。 (中間層のコーティング適性)基材フィルムの上に中間
層を塗布する際のコーティング適性について、以下の評
価基準に従って評価を行った。 A:溶剤を乾燥させた後の中間層は指で触った際のタッ
クが観察されることは無く、また巻き取った後の基材フ
ィルム面と中間層が、中間層のタックにより接着するこ
とはなかった。 B:溶剤を乾燥させた後の中間層は指で触った際にタッ
クがわずかに観察されたが、巻き取った後の基材フィル
ム面と中間層が、中間層のタックにより接着することは
なかった。 C:溶剤を乾燥させた後の中間層は指で触った際にタッ
クが観察され、また巻き取った後の基材フィルム面と中
間層が、中間層のタックにより接着する様子が観察され
た。
【0035】(熱溶融性着色層のコーティング適性)中
間層の上に熱溶融性着色層塗工液を塗布する際のコーテ
ィング適性について、以下の評価基準に従って評価を行
った。 A:熱溶融性着色層塗工液を基材フィルムに直接コーテ
ィングした場合と、同等の良質な塗布面が安定して得ら
れた。 B:熱溶融性着色層塗工液を基材フィルムに直接コーテ
ィングした場合に比べて、ムラの目立つ塗布面が得られ
た。 C:ムラが激しく、熱転写フィルムとして実用に供する
ことの出来ない塗布面が得られた。
【0036】(印字品質)富士ゼロックス株式会社製フ
ァクシミリ(Telecopier7033)を用い、
ゼロックス株式会社製プリンター用紙(#4024、ベ
ック平滑度32秒)に、上記の実施例および比較例で得
られた熱転写フィルムを用いて、コピーモード(原稿種
別:文字、印字濃度:普通)で印字を行なった。尚、サ
ーマルヘッドの印字エネルギーを任意の値に変更できる
ようにするため、ファクシミリに搭載されたサーマルヘ
ッドのコモン電極とグランド電極間に外部から任意の電
圧を加えられるように、ファクシミリを適宜改造して評
価に用いた。また、コピーを行うための原稿には、沖電
気製プリンター(MICROLINE 900 PSI
I LT)で富士ゼロックス株式会社製コピー用紙(W
R−100)に印刷した8Pointサイズの大文字ア
ルファベット(書体はCourier)印字物を使用し
た。
【0037】印字に際しては、実施例1〜25及び比較
例1〜12で作成された熱転写フィルムで上記の原稿を
コピーした際、大文字のEとBの区別が目視にて可能な
最低限の電圧で印字を行うこととした。そして、該最低
電圧で印字した際の大文字アルファベットの印字結果を
目視により観察し、白抜けの発生による文字や細線の欠
損について、以下の基準に従って、評価を行なった。 A:白抜けの発生による文字や細線の欠損はほとんど観
察されず、極めて良好な印字物が得られた。 B:白抜けの発生による文字や細線の欠損が僅かに観察
されたが、良好な印字物が得られた。 C:白抜けの発生による文字や細線の欠損が著しく観察
され、文字や細線が著しくかすれた外観である印字物が
得られた。
【0038】(機密漏洩防止性)上記の印字品質で行っ
た印字条件と同じ条件で印字を行った後の熱転写フィル
ムの熱溶融性着色層面を富士ゼロックス株式会社製コピ
ー機(Vivace675)で富士ゼロックス株式会社
製コピー用紙(WR−100)に複写した。複写を行う
際の濃度設定は、『自動』とした。該コピー用紙に複写
された像を目視で観察し、熱転写フィルムで印字を行っ
た内容が読解できるかについて、以下の基準に従って、
評価を行った。 A:印字を行った内容を読解することが出来なかった。 B:印字を行った内容を読解することがほとんど出来な
かった。 C:印字を行った内容を読解することが容易に出来た。
【0039】(評価結果)評価結果を下記表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明による熱転写フィ
ルムによれば、上記の一般式1で示される縮合リン酸エ
ステルが溶融したままの状態で、中間層と熱溶融性着色
層の接着性が低下し、エネルギー印加された領域の熱溶
融性着色層が被転写紙に抜けを生じること無く、転写さ
せることが可能となり、ラフ紙に対しても抜けの少ない
良好な印字物を得ることができた。また、縮合リン酸エ
ステルを含有する中間層のコーティング適性に優れ、中
間層が設けられた基材フィルムにホットメルトコーティ
ング法にて熱溶融性着色層を塗布する際、中間層の縮合
リン酸エステルが、加熱溶融された熱溶融性着色層イン
キの熱で溶融して低粘度の液体になっても、熱溶融性着
色層インキを良好な面質で安定して重ね塗りすることが
可能となる。また、カーボンブラックを該中間層に添加
することによって、印字後の熱転写フィルムから印字し
た内容を読取ることが困難となり、機密漏洩防止効果を
併せ持たせることが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 充 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 水上 文彦 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2C068 AA06 BB04 BB19 BC33 2H111 AA01 AA14 AA26 AA33 BA07 BA34 BA53 BA55 BA71 BB06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルム上に、中間層を介して熱溶
    融性着色層を設けた熱転写フィルムにおいて、該中間層
    が、下記一般式1で表わされる物質、及び軟化温度(J
    IS K2207−1980に定める環球法で測定され
    る軟化温度)が130℃以上400℃以下であるバイン
    ダー樹脂を含有していることを特徴とする熱転写フィル
    ム。 【化1】 (上記式中R1、R2は水素、メチル基等のアルキル基、
    または置換アルキル基を表わす。)
  2. 【請求項2】 前記の一般式1で表わされる物質の融解
    ピーク温度(JISK7121−1987に定める融解
    ピーク温度)と熱溶融性着色層の融解ピーク温度(JI
    S K7121−1987に定める融解ピーク温度)の
    差が0℃以上10℃以下であることを特徴とする上記の
    請求項1に記載する熱転写フィルム。
  3. 【請求項3】 前記バインダー樹脂の数平均分子量が、
    1500以上100000以下であることを特徴とする
    上記の請求項1に記載する熱転写フィルム。
  4. 【請求項4】 前記のバインダー樹脂がポリエステル樹
    脂であることを特徴とする上記の請求項1に記載する熱
    転写フィルム。
  5. 【請求項5】 前記のポリエステル樹脂の主鎖がエチレ
    ン性不飽和結合を含有していることを特徴とする上記の
    請求項4に記載する熱転写フィルム。
  6. 【請求項6】 前記の中間層にカーボンブラックが配合
    されていることを特徴とする上記の請求項1〜5のいず
    れかに記載する熱転写フィルム。
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