JP2001008634A - 可溶性高分子化ゼラチン、その製造方法、およびその溶解性調整方法 - Google Patents

可溶性高分子化ゼラチン、その製造方法、およびその溶解性調整方法

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JP2001008634A
JP2001008634A JP11178908A JP17890899A JP2001008634A JP 2001008634 A JP2001008634 A JP 2001008634A JP 11178908 A JP11178908 A JP 11178908A JP 17890899 A JP17890899 A JP 17890899A JP 2001008634 A JP2001008634 A JP 2001008634A
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polyphenol
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Hirohito Suzuki
啓仁 鈴木
Hajime Takasaki
一 高崎
Emiko Kubo
絵美子 久保
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Nitta Gelatin Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】安全な可食性を備え、低粘度で、加工時の作業
性も良好な可溶性高分子化ゼラチンを、工業的に簡便な
製造方法で提供する。また、可溶性高分子化ゼラチンの
溶解度を任意に制御する可溶性高分子化ゼラチンの溶解
性調整方法を提供する。 【解決手段】ゼラチンをポリフェノールで架橋させてな
り、この架橋が、ゼラチンを1〜15重量%含有する溶
液とポリフェノールを0.1〜2.0重量%含有する溶
液とを反応させることにより形成されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品・医薬品等の
可食性を要求される用途においても利用可能な可溶性高
分子化ゼラチンに関する。
【0002】
【従来の技術】ゼラチンは、動物の皮膚や骨に含まれる
結合組織を構成する繊維性蛋白質の1種であるコラーゲ
ンを、温水で加熱抽出することにより得られる水溶性蛋
白質であり、写真用、食用、さらには医薬・化粧用等の
カプセル等の種々の用途に用いられている。コラーゲン
はα鎖と呼ばれる分子量約10万のポリペプチド鎖が3
本寄り合わさった螺旋構造をしているのであるが、これ
を抽出して得られるゼラチンは、抽出時の加熱により部
分加水分解を受けて分子サイズが不均一となり、α鎖以
下の低分子ペプチドからα鎖の3量体であるγ鎖以上の
高分子成分にいたるまで様々な分子量をもつ分子の集合
体となる。従来、工業的に製造されているゼラチンは、
通常、数千〜100万程度の範囲内の分子量分布を有し
ているものが一般的である。
【0003】従来のゼラチンは、融点が常温付近である
ために軟化し易いという課題を有しており、条件によっ
てはその使用が制限されるといった問題を抱えていた。
この問題を解決すべく、ゼラチンを架橋・重合等の手段
によってさらに高分子化させることにより、その融点を
上昇させる試みがなされている。また、高分子化された
ゼラチンは、食用として用いた場合に、従来ない新たな
食感を与えうるものとして期待されている。
【0004】これまでに、ゼラチンを高分子化させる方
法としては、写真用フィルムの硬膜剤として利用される
ホルムアルデヒドやクロムミョウバン等の化学薬品によ
り架橋させる方法、燻煙・燻液を用いる方法、またはト
ランスグルタミナーゼを用いる方法が知られている。し
かしながら、化学薬品により架橋させる方法や、燻煙・
燻液を用いる方法は、いずれもアルデヒド類のような人
的有害物質を利用するものであるので、食品・医薬品等
の可食性を要求される用途においては、人体への安全性
の点で問題を有していた。
【0005】また、特開平2−86743号公報や特開
平3−259928号公報に報告されているトランスグ
ルタミナーゼを用いる方法は、ペプチド鎖中のグルタミ
ンのγ−カルボキシアミド基と、同じくペプチド鎖中の
リジンのε−アミノ基との間のアシル転移反応を触媒す
るものであり、これにより分子内もしくは分子間架橋を
形成してこれらを重合させるものである。しかし、この
ような酵素を用いる方法では反応の制御が困難であり、
工業的に適した方法とは言えないものであった。
【0006】さらに、これら従来の高分子化ゼラチン
は、一般に、分子量の上昇に伴って粘度が上昇する。こ
のため、架橋反応中に高分子化が進んで増粘すると、攪
拌が困難になったり、成形加工する際に糸引き現象を起
こす等、作業性が損なわれるという問題を有していた。
ところで、ゼラチンを各種カプセル用途等に利用する場
合、加工されたゼラチン皮膜は、一般に、シートや膜の
加工条件あるいは高分子化ゼラチンの分子量等の物性に
依存して一定の溶解性を有しており、その溶解性を任意
に制御することは困難であった。しかし、例えば芳香剤
として内部に芳香成分を充填したカプセル等に利用する
場合には、任意のフレーバーリリース率にするために、
高分子化ゼラチン皮膜の溶解性を適宜調整できることが
要望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、安全な可食性を備え、低粘度で、加工時の作業性も
良好な可溶性高分子化ゼラチンを、工業的に簡便な製造
方法で提供することにある。また、可溶性高分子化ゼラ
チンの溶解度を任意に制御する、可溶性高分子化ゼラチ
ンの溶解性調整方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決するべく鋭意検討を行った。その結果、食品として
安全なポリフェノールを用い、これを特定濃度の溶液状
態でゼラチンと反応させることによって、反応中に沈
殿、凝集を生じることなく架橋を形成することができ、
高分子化された可溶性のゼラチンを得ることができるこ
とを見いだし、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明にかかる可溶性高分子化
ゼラチンは、ゼラチンをポリフェノールで架橋させてな
り、この架橋が、ゼラチンを1〜15重量%含有する溶
液とポリフェノールを0.1〜2.0重量%含有する溶
液とを反応させることにより形成されてなる。本発明に
かかる可溶性高分子化ゼラチンの製造方法は、ゼラチン
を1〜15重量%含有する溶液とポリフェノールを0.
1〜2.0重量%含有する溶液とを反応させて架橋を形
成する。
【0010】本発明にかかる可溶性高分子化ゼラチンの
溶解性調整方法は、本発明の可溶性高分子化ゼラチン
を、温度40〜60℃、相対湿度50〜80%の状態に
保持し、その保持時間により高分子化ゼラチンの溶解性
を調整するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の一形態に
ついて詳しく説明する。本発明の可溶性高分子化ゼラチ
ンは、通常のゼラチンをポリフェノールで架橋させてな
るものである。ポリフェノールは、食品として安全なも
のであり、しかも、これらの中には種々の優れた効能、
例えば抗変異原性、動脈硬化予防効果、抗酸化効果等を
有するものがあることが証明されている。従って、ポリ
フェノールを含有する本発明の高分子化ゼラチンは、単
に可食性を有するのみならず、予防医学的にも優れた健
康食品を与えうるものである。
【0012】本発明において原料として用いる元ゼラチ
ンとしては、特に制限はなく、酸処理、アルカリ処理と
いった前処理の違いや、豚皮、牛骨といったコラーゲン
原料の違いにかかわらず、市販されている全てのゼラチ
ンを用いることができる。また、粘度やゼリー強度のよ
うな元ゼラチンの物性についても制限されることなく、
使用することが可能である。
【0013】本発明において用いられるポリフェノール
としては、特に制限はなく、例えば、プロアントシアニ
ジン、カテキン等が使用可能である。これらの中でも、
プロアントシアニジンが、反応性の点で優れており、し
かも予防医学的にも種々の効能を有していることから、
特に好ましい。本発明においては、ポリフェノールによ
りゼラチンを架橋させる架橋反応の際に、ゼラチンを特
定濃度で含有する溶液とポリフェノールを特定濃度で含
有する溶液とを用いて、溶液状態で反応させることが重
要である。このように特定濃度の溶液同志を溶液状態で
反応させることによって、一般にゼラチンの架橋反応で
起こりやすい凝集や沈殿の生成を回避することができ、
目的とする可溶性高分子化ゼラチンを得ることができる
のである。
【0014】具体的には、架橋反応に用いられるゼラチ
ン溶液に含まれる元ゼラチンの濃度は、1〜15重量%
濃度、好ましくは5〜10重量%濃度の範囲が望まし
い。ゼラチン溶液の濃度が1重量%濃度未満であると、
架橋反応が十分に進行せず、所望する高分子化が満足に
行われない。一方、ゼラチン溶液の濃度が15重量%濃
度を越えると、架橋反応中に凝集が生じてしまい、目的
とする可溶性高分子化ゼラチンが得られない。
【0015】また、架橋反応に用いられるポリフェノー
ル溶液に含まれるポリフェノールの濃度は、0.1〜
2.0重量%濃度、好ましくは0.1〜0.5重量%濃
度の範囲が望ましい。ポリフェノール溶液の濃度が0.
1重量%未満の低濃度であると、架橋が形成されにく
く、所望する高分子化が満足に行われない。しかも、十
分な架橋反応に必要とされる量のポリフェノールを加え
るためには大量の溶液が必要となるので好ましくない。
一方、ゼラチン溶液の濃度が2.0重量%を越える高濃
度であると、ゼラチン溶液と混合した時点で凝集が生じ
てしまい、目的とする可溶性高分子化ゼラチンが得られ
ないので好ましくない。
【0016】本発明の可溶性高分子化ゼラチンの製造方
法は、前述のように、ゼラチンを1〜15重量%含有す
る溶液とポリフェノールを0.1〜2.0重量%含有す
る溶液とを反応させて架橋を形成するものである。具体
的には、例えば、まず、ゼラチン溶液とポリフェノール
溶液とをそれぞれ調製する。この時、溶解しにくい場合
には、各々溶解しうる温度まで加温してもよい。そし
て、ゼラチン溶液にポリフェノール溶液を添加して混合
し、加温した溶液状態で所定の反応条件下で反応させ、
架橋を形成する。反応後、反応液を冷却してゲル化さ
せ、さらにこれを乾燥、粉砕して、可溶性高分子ゼラチ
ンの粉末を得る。このように、本発明の可溶性高分子化
ゼラチンの製造方法は、反応の制御も容易で、工程的に
も簡便であり、工業的に優れた製造方法であると言え
る。
【0017】架橋反応において、前記ゼラチン溶液とポ
リフェノール溶液との混合割合は、元ゼラチン(固体
分)に対する前記ポリフェノール(固体分)の配合割合
が0.1重量%以上であることがよく、この割合となる
ように各溶液を混合するとよい。元ゼラチンに対してポ
リフェノールが0.1重量%未満であると、ほとんど架
橋が形成されず、目的とする高分子化が達成されない。
高分子化の度合いは、ポリフェノールの添加量が増える
に従って増加していくので、必要とする架橋の程度に応
じてポリフェノールの添加量を適宜調整すればよい。
【0018】架橋反応における反応温度は、ゼラチンを
溶解しうる温度であれば特に制限はないが、好ましくは
40〜80℃、さらに好ましくは40〜60℃であるの
がよい。反応温度が40℃未満であると、ゼラチンが溶
解しにくく、80℃を越えると、得られる可溶性高分子
化ゼラチンの粘度やゼリー強度等の物性の劣化を招き易
いので、好ましくない。
【0019】架橋反応におけるpHは、好ましくはpH
4〜8、さらに好ましくはpH5〜7の範囲内であるの
がよい。反応時のpHがこの範囲よりも酸性側である
と、架橋が進行しにくく、アルカリ側であると、架橋の
進行は良好であるが褐変が生じることがあるので、好ま
しくない。架橋反応における反応時間は、反応の進行に
応じて適宜設定すればよいが、通常、30分〜3時間程
度が好ましい。本発明においては、この程度の反応時間
によって、十分な架橋を形成することが可能である。
【0020】本発明においては、前記元ゼラチン溶液あ
るいはポリフェノール溶液中に、必要に応じて適宜、多
糖類、澱粉、デキストリン、グリセリン、ガム類、有機
酸、糖類、無機塩類、調味料、着色料、香辛料、糊料、
増粘剤、安定剤、乳化剤、その他通常のゼラチンの使用
に添加される添加物等を配合することができる。本発明
の可溶性高分子化ゼラチンは、再溶解により、高濃度の
高分子化ゼラチン溶液とすることができる。そして、例
えば、この可溶性高分子化ゼラチンを20〜40重量
%、好ましくは30〜35重量%の溶液に調製し、超音
波バスを用いて60℃、30分間処理することにより溶
液中に含まれる気泡を脱気し、これを成形し、冷却、乾
燥することによって、ゼラチン皮膜等の所望の形態のゼ
ラチン加工品を得ることができる。
【0021】本発明の可溶性高分子化ゼラチンの溶解性
調整方法は、前記可溶性高分子化ゼラチンもしくはゼラ
チン加工品を、温度40〜60℃、相対湿度50〜80
%の状態に保持し、その保持時間により高分子化ゼラチ
ンの溶解性を調整するものである。この方法により、任
意の溶解性を有する可溶性高分子化ゼラチンとすること
ができるのである。
【0022】
【実施例】以下、本発明に係る実施例および比較例につ
いて説明するが、本発明は該実施例により何ら制限され
るものではない。以下の実施例および比較例で得られた
可溶性高分子化ゼラチンは、以下の方法にて評価した。
【0023】〔粘度〕得られた粉末状の高分子化ゼラチ
ンを用い、JIS K 6503に準じた方法で測定し
た。 〔ゼリー強度〕得られた粉末状の高分子化ゼラチンを用
い、JIS K 6503に準じた方法で測定した。 〔重量平均分子量およびボイド部比率〕液体クロマトグ
ラフィーにより以下の条件で分子量分布を測定し、得ら
れた溶出曲線から重量平均分子量を算出した。また、溶
出曲線におけるゼラチン分子全体面積とボイド部分の面
積とから、ボイド部比率を算出した。重量平均分子量お
よびボイド部比率が大きいほど、高分子化していること
を意味する。
【0024】カラム:Shodex Asahipak
GS−620 7G(φ7.6×500mm)1本 溶離液:0.1Mリン酸二水素カリウム溶液と、0.1
Mリン酸水素二ナトリウム溶液との等量混合液 流 速:1.0ml/min 注入量:100μl 検 出:UV230nm 〔実施例1〜3〕元ゼラチンとして表1に示す物性を有
するゼラチンを用いて10重量%濃度のゼラチン水溶液
を調製し、このゼラチン水溶液をNaOHを用いてpH
6.0に調整して、これを60℃に保温した。一方、プ
ロアントシアニジン含有品(商品名「グラヴィノール」
キッコーマン(株)製)を用いて0.4重量%濃度のポ
リフェノールを含有する水溶液を調製し、これを60℃
に保温した。そして、前記ゼラチン水溶液中に含まれる
ゼラチン重量に対してプロアントシアニジンが、実施例
1〜3それぞれ0.4重量%、1.2重量%、2.0重
量%となるように、60℃に保持したままのポリフェノ
ール水溶液をゼラチン水溶液に添加し、60℃で3時間
反応させた。反応後、反応液を5±2℃まで冷却してゲ
ル化させ、さらにこれを乾燥機にて乾燥させたものを粉
砕し、可溶性高分子化ゼラチンの粉末を得た。得られた
可溶性高分子ゼラチンの粘度、ゼリー強度、重量平均分
子量、ボイド部比率を表1に示し、クロマトグラフィー
における溶出曲線を図1に示す。これらの結果より、ポ
リフェノールの添加量が増えるに従って、ボイド部比率
の増大、重量平均分子量の上昇が認められ、ゼラチンが
高分子化していることが確認できた。
【0025】〔実施例4〜6〕ゼラチン水溶液の調製に
用いる元ゼラチンを表1に示す物性を有するゼラチンに
変えた以外は、実施例1〜3と同様にして、粉末状の可
溶性高分子化ゼラチンを得た。得られた可溶性高分子化
ゼラチンの粘度、ゼリー強度、重量平均分子量、ボイド
部比率を表1に示し、クロマトグラフィーにおける溶出
曲線を図2に示す。これらの結果より、ポリフェノール
の添加量が増えるに従って、ボイド部比率の増大、重量
平均分子量の上昇が認められ、ゼラチンが高分子化して
いることが確認できた。
【0026】〔実施例7〜9〕ゼラチン水溶液の調製に
用いる元ゼラチンを表2に示す物性を有するゼラチンに
変えた以外は、実施例1〜3と同様にして、粉末状の可
溶性高分子化ゼラチンを得た。得られた可溶性高分子化
ゼラチンの粘度、ゼリー強度、重量平均分子量、ボイド
部比率を表2に示し、クロマトグラフィーにおける溶出
曲線を図3に示す。これらの結果より、ポリフェノール
の添加量が増えるに従って、ボイド部比率の増大、重量
平均分子量の上昇が認められ、ゼラチンが高分子化して
いることが確認できた。
【0027】〔実施例10〜12〕ゼラチン水溶液の調
製に用いる元ゼラチンを表2に示す物性を有するゼラチ
ンに変え、さらにNaOHによるpH調整を行わないこ
と以外は、実施例1〜3と同様にして、粉末状の可溶性
高分子化ゼラチンを得た。得られた可溶性高分子化ゼラ
チンの粘度、ゼリー強度、重量平均分子量、ボイド部比
率を表2に示し、クロマトグラフィーにおける溶出曲線
を図4に示す。これらの結果より、ポリフェノールの添
加量が増えるに従って、ボイド部比率の増大、重量平均
分子量の上昇が認められ、ゼラチンが高分子化している
ことが確認できた。
【0028】〔実施例13〜17〕元ゼラチンとして表
3に示す物性を有するゼラチンを用いて、実施例13〜
17それぞれに対して1重量%、3重量%、5重量%、
10重量%、15重量%濃度のゼラチン水溶液を調製
し、これを60℃に保温した。一方、プロアントシアニ
ジン含有品(商品名「グラヴィノール」キッコーマン
(株)製)を用いて0.4重量%濃度のポリフェノール
水溶液を調製し、これを60℃に保温した。そして、前
記ゼラチン水溶液中に含まれるゼラチン重量に対してプ
ロアントシアニジンが0.4重量%となるように、60
℃に保持したままのポリフェノール水溶液をゼラチン水
溶液に添加し、60℃で3時間反応させた。反応後、反
応液をクロマトグラフィーの溶離液で希釈し、これをク
ロマトグラフィーに供した。反応液の重量平均分子量、
ボイド部比率を表3に示し、クロマトグラフィーにおけ
る溶出曲線を図5に示す。この結果より、ボイド部比率
の増大、重量平均分子量の上昇が認められ、ゼラチンが
高分子化していることが確認できた。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】〔実施例18〕実施例10で得られた可溶
性高分子化ゼラチン30gにイオン交換水60gを加え
て膨潤させた後、60℃で1時間加熱して溶解させ、次
いで、超音波バスで30分間脱気した。このゼラチン溶
液をアクリル製プレート上に滴下し、両端に針金を巻い
て隙間を調節したガラス棒を用いて薄膜状に成形し、こ
れを室温で一晩乾燥させて、ゼラチンシートを得た。こ
のゼラチンシートを2.5cm×2.5cmの正方形に
切断し、50℃、相対湿度80%の状態で、それぞれ1
日間、3日間、5日間、10日間、20日間、保持し
て、溶解性を調整した。そして、以下の溶解性試験法に
より、保持前後の溶解性を測定した。結果を表4に示
す。その結果、保持期間1日目で6分後の溶解度が9
0.7%、15分後の溶解度が96.2%であったもの
が、保持期間20日目で15分後の溶解度が5.4%に
まで低下した。また、保持期間10日目で、15分後に
は約85%の溶解度を示すものの、6分後までは10%
の溶解度に留まり、1日目と20日目との中間の溶解性
を示すものであった。
【0033】・溶解性試験法 日本薬局方(第十三改
正)の一般試験法 55,溶出試験法の第2法に記載さ
れた方法に基づいて行った。すなわち、試験液にはイオ
ン交換水を用い、サンプルであるゼラチン片はシンカー
に入れて試験液の入った容器の底部に沈め、サンプル投
入から3分、6分、9分、12分、15分後の試験液を
各々5ml採取し、それぞれOD218nmの波長にお
ける吸光度(a)を測定した。また、サンプルを完全に
溶解させた時の試験液についても同様に吸光度(a’)
を測定した。そして、次式により溶解度を算出した。
【0034】溶解度(%)=(a)/(a’)×100
【0035】
【表4】
【0036】〔実施例19〕実施例11で得られた可溶
性高分子化ゼラチンを用いたこと以外は実施例18と同
様にして、ゼラチンシートを得、同様の状態で保持し
て、保持前後の溶解性を測定した。結果を表5に示す。
その結果、保持期間3日目までは6分後に90%、15
分後にほぼ100%の溶解度を有していたものが、保持
期間10日目で15分後でも10%以下の溶解度を示す
に留まるまで低下した。また、5日間の保持により、1
5分後には90%以上の溶解度を示すものの、3分後に
約30%、6分後に約70%の溶解度を示すものとなっ
た。
【0037】
【表5】
【0038】〔実施例20〕実施例12で得られた可溶
性高分子化ゼラチンを用いたこと以外は実施例18と同
様にして、ゼラチンシートを得、同様の状態で保持し
て、保持前後の溶解性を測定した。結果を表6に示す。
その結果、保持期間3日目までは3分後に約80%、1
5分後にほぼ100%の溶解度を有していたものが、保
持期間5日目で15分後でも約5%の溶解度を示すに留
まるまで低下した。
【0039】
【表6】
【0040】〔比較例1〕ゼラチンシート片を、シリカ
ゲルを充填したデシケーター内で保持したこと以外は実
施例18と同様にして、ゼラチンシートを得、同様の状
態で保持して、保持前後の溶解性を測定した。結果を表
7に示す。その結果、保持期間20日目までに顕著な溶
解度の変化は認められなかった。
【0041】
【表7】
【0042】〔比較例2〕ゼラチンシート片を、シリカ
ゲルを充填したデシケーター内で保持したこと以外は実
施例19と同様にして、ゼラチンシートを得、同様の状
態で保持して、保持前後の溶解性を測定した。結果を表
8に示す。その結果、保持期間20日目までに顕著な溶
解度の変化は認められなかった。
【0043】
【表8】
【0044】〔比較例3〕ゼラチンシート片を、シリカ
ゲルを充填したデシケーター内で保持したこと以外は実
施例20と同様にして、ゼラチンシートを得、同様の状
態で保持して、保持前後の溶解性を測定した。結果を表
9に示す。その結果、保持期間20日目までに顕著な溶
解度の変化は認められなかった。
【0045】
【表9】
【0046】〔比較例4〕ゼラチンシート片を、室温、
湿度調整なしの状態で保持した以外は実施例18と同様
にして、ゼラチンシートを得、同様の状態で保持して、
保持前後の溶解性を測定した。結果を表10に示す。そ
の結果、保持期間20日目までに顕著な溶解度の変化は
認められなかった。
【0047】
【表10】
【0048】〔比較例5〕ゼラチンシート片を、室温、
湿度調整なしの状態で保持した以外は実施例19と同様
にして、ゼラチンシートを得、同様の状態で保持して、
保持前後の溶解性を測定した。結果を表11に示す。そ
の結果、保持期間20日目までに顕著な溶解度の変化は
認められなかった。
【0049】
【表11】
【0050】〔比較例6〕ゼラチンシート片を、室温、
湿度調整なしの状態で保持した以外は実施例20と同様
にして、ゼラチンシートを得、同様の状態で保持して、
保持前後の溶解性を測定した。結果を表12に示す。そ
の結果、保持期間20日目までに顕著な溶解度の変化は
認められなかった。
【0051】
【表12】
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、安全な可食性を備え、
低粘度であり、加工時の作業性も良好な可溶性高分子化
ゼラチンを、工業的に簡便な製造方法で提供することが
できる。さらに、ポリフェノールを含有する本発明の高
分子化ゼラチンは、単に可食性を有するのみならず、予
防医学的にも優れた健康食品を与えうるものである。
【0053】また、本発明の溶解性調整方法によれば、
得られた可溶性高分子化ゼラチンの溶解度を任意に調整
することができる。そして、例えば芳香剤として内部に
芳香成分を充填したカプセル等に利用する場合に、任意
のフレーバーリリース率にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可溶性高分子化ゼラチンのクロマトグ
ラフィーにおける溶出曲線である。
【図2】本発明の可溶性高分子化ゼラチンのクロマトグ
ラフィーにおける溶出曲線である。
【図3】本発明の可溶性高分子化ゼラチンのクロマトグ
ラフィーにおける溶出曲線である。
【図4】本発明の可溶性高分子化ゼラチンのクロマトグ
ラフィーにおける溶出曲線である。
【図5】本発明の可溶性高分子化ゼラチンのクロマトグ
ラフィーにおける溶出曲線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 絵美子 大阪府八尾市二俣2丁目22番地 新田ゼラ チン株式会社大阪工場内 Fターム(参考) 4F070 AA62 AC37 AE08 BA02 BA07 BB03 BB08 GA06 GA08 GB02 GB03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゼラチンをポリフェノールで架橋させてな
    り、この架橋が、ゼラチンを1〜15重量%含有する溶
    液とポリフェノールを0.1〜2.0重量%含有する溶
    液とを反応させることにより形成されてなる、可溶性高
    分子化ゼラチン。
  2. 【請求項2】前記ポリフェノールがプロアントシアニジ
    ンである、請求項1に記載の可溶性高分子化ゼラチン。
  3. 【請求項3】ゼラチンを1〜15重量%含有する溶液と
    ポリフェノールを0.1〜2.0重量%含有する溶液と
    を反応させて架橋を形成する、可溶性高分子化ゼラチン
    の製造方法。
  4. 【請求項4】前記ポリフェノールとして、プロアントシ
    アニジンを用いる、請求項3に記載の可溶性高分子化ゼ
    ラチンの製造方法。
  5. 【請求項5】反応pHをpH4〜8とし、反応温度を4
    0〜80℃として反応させる、請求項3または4に記載
    の可溶性高分子化ゼラチンの製造方法。
  6. 【請求項6】前記ゼラチン(固体分)に対する前記ポリ
    フェノール(固体分)の配合割合を0.1重量%以上と
    する、請求項3から5までのいずれかに記載の可溶性高
    分子化ゼラチンの製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1または2に記載の可溶性高分子化
    ゼラチンを、温度40〜60℃、相対湿度50〜80%
    の状態に保持し、その保持時間により高分子化ゼラチン
    の溶解性を調整する、可溶性高分子化ゼラチンの溶解性
    調整方法。
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