JP2001002416A - エチレングリコール可溶性二酸化ゲルマニウムの製造方法及びその溶解法 - Google Patents

エチレングリコール可溶性二酸化ゲルマニウムの製造方法及びその溶解法

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JP2001002416A
JP2001002416A JP11170767A JP17076799A JP2001002416A JP 2001002416 A JP2001002416 A JP 2001002416A JP 11170767 A JP11170767 A JP 11170767A JP 17076799 A JP17076799 A JP 17076799A JP 2001002416 A JP2001002416 A JP 2001002416A
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germanium
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Aiichiro Ori
愛一郎 小里
Masaru Kaya
勝 嘉屋
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】結晶性二酸化ゲルマニウムの製造において四塩
化ゲルマニウムをある特定の条件で加水分解することに
よって収率が高く、しかも、前記ポリエステル製造用触
媒溶液の製造方法において優れた溶解性を示す結晶性二
酸化ゲルマニウムの製造方法を提供する。 【解決手段】四塩化ゲルマニウムの加水分解によって結
晶性二酸化ゲルマニウムを製造する反応において、四塩
化ゲルマニウムと水との混合を0から20℃で行い、そ
の後反応混合物を0から20℃に1から48時間保持す
ることを特徴とするエチレングリコール可溶性結晶性二
酸化ゲルマニウムの製造方法、得られた結晶性二酸化ゲ
ルマニウムを特定の方法でエチレングリコールに溶解し
てポリエステル製造用触媒溶液を調製する方法に関す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルの製
造に用いられる触媒に関するものであり、更に詳しくは
エチレングリコールへの溶解性に優れた結晶性二酸化ゲ
ルマニウムの製造方法及び溶解性の優れた二酸化ゲルマ
ニウムをエチレングリコールに溶解することによるポリ
エステル製造用触媒溶液の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】芳香族ジカルボン酸とグリコール類から
なるポリエステルは、一般に芳香族ジカルボン酸とグリ
コール類との直接エステル化反応又は芳香族ジカルボン
酸の低級アルキルエステルとグリコール類とのエステル
交換反応によって低重合体を得る第1段階の反応と、得
られた低重合体を減圧下第1段階より高い温度で重縮合
を進める第2段階の反応によって製造されている。例え
ば、ポリエチレンテレフタレートはテレフタル酸とエチ
レングリコールとを200〜260℃でエステル化した
後に260〜300℃で重縮合することで製造されてい
る。
【0003】効率的にポリエステルを製造するために、
これらの反応、特に第2段階の反応を円滑に進める触媒
の開発が行われており、アンチモン系、チタン系、ゲル
マニウム系等種々の金属系触媒が知られている。これら
の触媒のうち、ゲルマニウム系の触媒は色調のよいポリ
エステルが得られることが知られており、USP257
8660には最も入手、取扱いが容易な二酸化ゲルマニ
ウムを触媒に使用することが記載されている。しかし、
入手容易な結晶性二酸化ゲルマニウムには反応混合物に
対する溶解性が非常に低く充分な触媒効果を得るために
は多量の添加が必要であるというコスト上の問題や、未
溶解の触媒が樹脂中に残るため溶融成形の際に濾過装置
の閉塞を起こしたり繊維やフィルム等の製品を曇らせる
といった問題があった。
【0004】このような問題を解決するために、エチレ
ングリコール中で高温(約200℃)処理した二酸化ゲ
ルマニウムを使用する方法や、粒子径の小さい二酸化ゲ
ルマニウムを使用する方法等が提案されているが、結晶
性二酸化ゲルマニウムの低溶解性に起因する諸問題を完
全に改善できていないのが実状であった。また、水また
は水とヒドロキシ化合物との混合物を溶媒に用い結晶性
二酸化ゲルマニウムを加熱溶液または加熱分散液として
使用する方法も提案されているが結晶性二酸化ゲルマニ
ウムに対して多量の水が添加されるため反応系の温度低
下、反応留出物への多量の水の混入等問題が生じた。こ
のような理由から、二酸化ゲルマニウムの使用にあたっ
ては各種添加剤を二酸化ゲルマニウムとともに反応混合
物に加える方法、予め溶解剤等により二酸化ゲルマニウ
ムを溶解した触媒溶液を使用する方法、二酸化ゲルマニ
ウムを易溶解性の誘導体に変換後使用する方法等が採ら
れている。
【0005】例えば、特公昭48−33036号公報に
はLi、Na又はKの炭酸塩を二酸化ゲルマニウムとと
もに反応混合物に添加する方法が、特公昭47−157
03号公報には二酸化ゲルマニウムを含窒素化合物で処
理した処理液を使用する方法が、また、特開昭51−6
8696号公報にはテトラアルキルアンモニウムメタゲ
ルマネート等の易溶解性二酸化ゲルマニウム誘導体を触
媒として使用する方法が記載されている。しかし、これ
らの方法は二酸化ゲルマニウムとともに塩基性の化合物
が反応混合物に添加されるためポリエステル樹脂の着色
が発生しやすいという問題点があった。
【0006】この着色原因となる塩基性化合物を減らす
方法として、特開平6−329778号公報にはエチレ
ングリコール中で二酸化ゲルマニウムを炭酸アンモニウ
ム等のアンモニア発生源となる化合物とともに加熱し二
酸化ゲルマニウムを溶解させた後に、加熱継続下窒素バ
ブリング等によって溶液中のアンモニアを500ppm以
下になるまで除去する方法が記載されている。しかし、
この方法はアンモニア発生源となる化合物を多量に使用
することには変わりがなく、除去が十分に行われなけれ
ばポリエステル樹脂の着色が発生しうる。更に、アンモ
ニアが過剰に除去されて30ppm 以下になってしまうと
溶解していた二酸化ゲルマニウムの析出がおこることが
記載されている。即ち、この方法では触媒溶液中のアン
モニアの濃度を極めて狭い範囲にコントロールする必要
があるが、このような反応条件のコントロールには困難
が伴うという問題があった。
【0007】このような塩基性化合物の代わりに有機カ
ルボン酸で二酸化ゲルマニウムを処理する方法が特公昭
47−42756号公報に記載されているが、有機カル
ボン酸はテレフタル酸等の芳香族カルボン酸と同様にエ
ステル化が可能なためポリエステル樹脂に取り込まれて
しまい品質に影響を与えるという問題があった。
【0008】このような品質上の問題を防ぐため、溶解
剤を使用せずに二酸化ゲルマニウムの高濃度溶液を調製
する方法として、特公昭54−22234号公報には二
酸化ゲルマニウムを多量のグリコールに加熱溶解し濃縮
する方法が、オランダ特許出願6807741号には二
酸化ゲルマニウムの1%水溶液をグリコールと混合し水
を留去する方法が記載されている。しかし、いずれの方
法も溶解剤を使用した場合と同程度の濃度を有する溶液
を得るためには、加熱溶解、濃縮を行う方法ではグリコ
ールの大部分を、水溶液をグリコールと混合し水を留去
する方法では二酸化ゲルマニウムの約100重量倍の水
を留去する必要があり生産効率が非常に低いという問題
があった。一方、エチレングリコールへの溶解性に優れ
た二酸化ゲルマニウムを使用して高濃度溶液を調製する
方法として特開昭46−2061号公報には比較的溶解
性のよい無定型二酸化ゲルマニウムを使用する方法が記
載されているが、無定型の二酸化ゲルマニウムは結晶性
の二酸化ゲルマニウムよりも高価でコスト的に不利であ
るという問題がある。また、特開平7−242419号
公報にはエチレングリコールへの溶解性に優れた結晶性
二酸化ゲルマニウムが記載されているが、水の凝固点で
ある0℃以下で四塩化ゲルマニウムの加水分解反応(発
熱反応)を行わなければならないため製造が困難である
という問題および低温反応であるため反応が完結せず収
率が低いという問題があった。さらに、この良溶解性二
酸化ゲルマニウムを用いても0.5%を越えるような高
濃度触媒用液の調製法は例示されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記の
従来技術の問題点を解決するために、結晶性二酸化ゲル
マニウムのエチレングリコールへの溶解反応について検
討し、既に、溶解時の反応により生成する水を反応系か
らの除去することによる高濃度のゲルマニウムを含むポ
リエステル製造用触媒溶液の製造方法及び微量の塩基性
アミノ化合物の添加による副生成物の生成抑制方法、並
びに、結晶性二酸化ゲルマニウムの水処理による溶解性
改善方法を見出しているが、更に、検討した結果、結晶
性二酸化ゲルマニウムの製造において四塩化ゲルマニウ
ムをある特定の条件で加水分解することによって収率が
高く、しかも、前記ポリエステル製造用触媒溶液の製造
方法において優れた溶解性を示すことを見出し本発明を
完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の発明を
包含する。 (1) 四塩化ゲルマニウムの加水分解によって結晶性
二酸化ゲルマニウムを製造する反応において、四塩化ゲ
ルマニウムと水との混合を0から20℃で行い、その後
反応混合物を0から20℃に1から48時間保持するこ
とを特徴とするエチレングリコール可溶性結晶性二酸化
ゲルマニウムの製造方法。 (2) 前記(1)記載の方法で製造した結晶性二酸化
ゲルマニウムをエチレングリコールに溶解する反応にお
いて、生成する水を反応液から除去することを特徴とす
るポリエステル製造用ゲルマニウム触媒溶液の製造方
法。 (3) 結晶性二酸化ゲルマニウムの溶解反応をエチレ
ングリコールの沸騰条件下で行い、発生する水蒸気とエ
チレングリコール蒸気とを蒸留塔を用いて分離すること
により水の除去を行う前記(2)記載の方法。 (4) 水を不活性ガス気流を用いて除去することを特
徴とする前記(2)記載の方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明において、四塩化ゲルマニウムの加水分解
によって結晶性二酸化ゲルマニウムを製造する際の反応
温度は、低すぎると反応が完結しないため収率が低くな
り、高いとエチレングリコールへの溶解性が低下するこ
とから0から20℃、好ましくは0から10℃に保持す
る。また、反応時間は短いと反応が完結せず収率が低下
し、長いと溶解性が徐々に低下していく。従って、四塩
化ゲルマニウムと水とを、0から20℃、好ましくは0
から10℃の温度範囲で、1分から5時間、好ましくは
10分から2時間かけて混合し、その後、反応混合物の
熟成のため、1から48時間、好ましくは2から24時
間、0から20℃、好ましくは0から10℃に保持する
のが好ましい。保持に際して、反応混合物を撹拌状態と
しても、静置させた状態のいずれでもよいが、粒径の揃
った二酸化ゲルマニウムを得るには、撹拌状態が望まし
い。反応に使用する水は少ないと反応が完結せず、多い
と二酸化ゲルマニウムの溶解量が増加し、いずれも収率
の低下が起こることから四塩化ゲルマニウムに対して1
から50重量倍、好ましくは2から10重量倍である。
四塩化ゲルマニウムと水との混合を促進すると共に二酸
化ゲルマニウムの溶解性を下げ回収率を上げるため水に
対して0.1から5重量倍のメタノール、エタノール、
エチレングリコール等の炭素数1から4の低級アルコー
ル類を添加しても良い。得られた結晶性二酸化ゲルマニ
ウムスラリーを通常の方法でろ過、洗浄し減圧または温
風循環式乾燥機で加熱乾燥すると粉末状の結晶性(六方
晶)二酸化ゲルマニウムが得られる。なお、高温で乾燥
すると二酸化ゲルマニウム溶解性が低下していくことか
ら、乾燥は150℃以下で行うことが望ましい。
【0012】得られた結晶性(六方晶)二酸化ゲルマニ
ウムをエチレングリコールに溶解する反応において、エ
チレングリコールの使用量は、結晶性二酸化ゲルマニウ
ム1重量部に対し、通常1〜200重量部、好ましくは
2〜50重量部、更に好ましくは6〜35重量部であ
る。反応温度は、反応時の圧力により異なるが、通常1
50〜300℃、好ましくは190〜280℃、更に好
ましくは190〜260℃である。なお、反応時の圧力
は、反応により生成する水を反応液から除去することが
できる範囲であれば、特に制限はない。除去する水の量
が少ないと二酸化ゲルマニウムの溶解量が少なくなり、
一方、この量が多い場合は副生成物、主としてジエチレ
ングリコールの生成量が多くなる傾向にあることから、
除去する水の量は、溶解した結晶性二酸化ゲルマニウム
に対して、通常0.5〜20倍モル、好ましくは1〜1
0倍モル、更に好ましくは2〜8倍モルの範囲の生成水
量と水処理での使用水量とを合わせた量である。ま
た、エチレングリコールよりも沸点の低いアセトアルデ
ヒド等の有機物も水とともに除去することが好ましい。
【0013】生成する水を反応液から除去する方法とし
ては、好ましくは、水蒸気として除去する方法、不活性
ガス気流を用いて除去する方法が挙げられる。生成する
水を水蒸気として除去する場合には、特に、結晶性二酸
化ゲルマニウムの溶解反応をエチレングリコールの沸騰
条件下で行い、発生する水蒸気とエチレングリコール蒸
気とを蒸留塔を用いて分離することが好ましい。また、
生成する水を不活性ガス気流を用いて除去する場合、不
活性ガスとしては、例えば窒素ガス、アルゴンガスが挙
げられ、流量は特に制限はないが、通常、反応液100
ml当たり0.1〜200ml/分の範囲である。
【0014】また、溶解反応において結晶性二酸化ゲル
マニウムの単離においてわずかに残る塩素分(塩酸)捕
捉剤として塩基性アミノ化合物を共存させると、副生成
物および着色成分の生成を抑制することができる。塩基
性アミノ化合物の使用量は、二酸化ゲルマニウムに対
し、通常0.001〜10モル%、好ましくは0.05
〜5モル%である。なお、塩基性アミノ化合物の使用量
が多過ぎると、得られた触媒溶液をポリエステルの製造
に用いた場合、ポリエステルの着色が発生しやすくな
る。ここで用いる塩基性アミノ化合物としては、塩基性
を示すアンモニア、各種有機アミン、4級アンモニウム
化合物等が挙げられ、好ましくは、トリメチルアミン、
トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−
ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリn−ヘキシ
ルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジ
ン、N−メチルピペリジン等の3級脂肪族又は脂環式ア
ミン;ピリジン、ピロール、N,N−ジメチルアニリ
ン、N,N−ジエチルアニリン等の3級芳香族アミン;
水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチル
アンモニウム等の4級アンモニウム水酸化物が用いられ
る。
【0015】本発明により得られる結晶性二酸化ゲルマ
ニウムはエチレングリコール等への溶解が容易であり、
また、得られた触媒溶液はそのままポリエステル製造用
の触媒として使用することができるが、未溶解の結晶性
二酸化ゲルマニウム等がある場合には、ろ過、デカンテ
ーション等の通常の方法により未溶解物を除去しても良
い。
【0016】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をより具体的に
説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定され
るものではない。 (実施例1)ジャケット付き滴下ロート及び攪拌機(マ
グネティックスターラー)を備えた300ml三口フラス
コに純水167.0gを仕込み氷水浴で冷却、撹拌し
た。これに、ジャケットに0〜1℃の水を流すことで冷
却した四塩化ゲルマニウム50.0g(233mmol)を
1℃を越えないように滴下した。滴下には1.5時間必
要であった。得られた反応混合物を0〜3℃で24時間
撹拌(熟成)した。反応液を吸引ろ過し、結晶を洗浄液
が中性になるまで純水で洗浄した。その後、温風循環式
乾燥機(120℃)で5時間乾燥すると結晶性二酸化ゲ
ルマニウム23.37gが得られた。(収率:95.7
%) 得られた結晶性二酸化ゲルマニウムの乾燥減量、灼熱減
量を測定したところ以下の結果が得られた。 乾燥減量(105℃−2h) :0.24% 灼熱減量(800℃−2h) :2.87%
【0017】<溶解性評価法>ガス導入管及びガス排
出管を備えた100ml三口フラスコに実施例1で得られ
た結晶性二酸化ゲルマニウム0.300g(2.87mm
ol)とエチレングリコール60.0gを仕込み、窒素気
流(20〜30ml/分)下、200℃のオイルバスに浸
漬し加熱を開始した。約10分で反応液の温度が191
〜193℃まで上昇し、一定となった。オイルバスに浸
漬後、4時間で結晶性二酸化ゲルマニウムの全量が溶解
し反応液は無色透明へと変化した。この間に、ガス排出
管から約0.5mlの液体が留出した。
【0018】<溶解性評価法>オルダーショウ型カラ
ム(25mmφ×3プレート)、水分定量受器、コンデン
サー及び攪拌機(マグネティックスターラー)を備えた
300ml三口フラスコに実施例1で得られた結晶性二酸
化ゲルマニウム10.0g(95.6mmol)とエチレン
グリコール170.4g及びトリエチルアミン0.05
0g(二酸化ゲルマニウムの0.52mol %)を仕込
み、窒素気流(20〜30ml/分)下、220℃のオイ
ルバスに浸漬し加熱を開始した。オルダーショウ型カラ
ムのトップから水を留去しながら反応を行うと約1時間
で反応液の温度が195℃まで上昇した。この後、8時
間反応を継続すると反応液は白濁状からわずかに濁りの
ある透明溶液へと変化した。この間反応の進行に伴い反
応液の温度は200℃まで徐々に上昇した。得られた反
応液を、約1時間かけて90℃まで冷却した。加熱開始
から冷却終了までの間にオルダーショウ型カラム上部か
ら17.6g(含水量:15.2g)が留出した。
【0019】わずかに濁った反応液を80℃以上を保っ
てろ過すると、無色透明のろ液167.9gが得られ
た。分析の結果、ろ液にはゲルマニウム(金属ゲルマニ
ウムとして)が3.93wt%(90.6mmol)、ジエ
チレングリコールが4.89wt%、水が0.25wt
%含まれていた。また、ろ残を少量のメタノールで洗浄
し、80℃で温風乾燥すると未溶解の二酸化ゲルマニウ
ムは0.049g(仕込み量の0.49%)であること
がわかった。
【0020】(実施例2)四塩化ゲルマニウム滴下時に
氷水浴の代わりに寒剤浴(−5℃)を使用したこと、滴
下時間を0.5時間にしたこと及び熟成時間を2時間に
したこと以外実施例1と同様に反応を行ったところ結晶
性二酸化ゲルマニウム22.01gが得られた。(収
率:90.2%) 得られた結晶性二酸化ゲルマニウムの乾燥減量、灼熱減
量および実施例1に記載の溶解性評価結果は以下の通り
であった。 乾燥減量(105℃−2h):0.20% 灼熱減量(800℃−2h):2.74% 溶解性評価法溶解時間:2.5h 溶解性評価法未溶解二酸化ゲルマニウム量:(仕込み
量の)<0.1%
【0021】(実施例3)滴下ロート及び攪拌機(マグ
ネティックスターラー)を備えた200ml三口フラスコ
に純水83.7gを仕込み氷水浴で冷却、撹拌した。こ
れに室温の四塩化ゲルマニウム25.0g(117mmo
l)を10±1℃を保つように滴下した。滴下には40
分必要であった。得られた反応混合物を10±1℃で3
時間撹拌(熟成)した。反応液を吸引ろ過し、結晶を洗
浄液が中性になるまで純水で洗浄した。その後、温風循
環式乾燥機(120℃)で5時間乾燥すると結晶性二酸
化ゲルマニウム10.29gが得られた。(収率:8
4.1%) 得られた結晶性二酸化ゲルマニウムの乾燥減量、灼熱減
量および実施例1に記載の溶解性評価結果は以下の通り
であった。 乾燥減量(105℃−2h) :0.38% 灼熱減量(800℃−2h) :3.46% 溶解性評価法溶解時間:4.0h 溶解性評価法未溶解二酸化ゲルマニウム量:(仕込み
量の)0.45%
【0022】(実施例4)熟成を10±1℃で3時間お
よび20℃で20時間行ったこと以外実施例3と同様に
反応を行ったところ結晶性二酸化ゲルマニウム11.2
1gが得られた。(収率:91.6%) 得られた結晶性二酸化ゲルマニウムの乾燥減量、灼熱減
量および実施例1に記載の溶解性評価結果は以下の通り
であった。 乾燥減量(105℃−2h) :0.34% 灼熱減量(800℃−2h) :2.92% 溶解性評価法溶解時間:4.0h 溶解性評価法未溶解二酸化ゲルマニウム量:(仕込み
量の)1.26%
【0023】(実施例5)四塩化ゲルマニウムの滴下を
20±1℃を保つように滴下したこと及び熟成を20±
1℃で2時間、室温で20時間行ったこと以外実施例3
と同様に反応を行ったところ結晶性二酸化ゲルマニウム
11.89gが得られた。(収率:97.2%) 得られた結晶性二酸化ゲルマニウムの乾燥減量、灼熱減
量および実施例1に記載の溶解性評価結果は以下の通り
であった。 乾燥減量(105℃−2h) :0.31% 灼熱減量(800℃−2h) :3.08% 溶解性評価法溶解時間:5.5h 溶解性評価法未溶解二酸化ゲルマニウム量:(仕込み
量の)1.44%
【0024】(比較例1)滴下ロート及び攪拌機(マグ
ネティックスターラー)を備えた200ml三口フラスコ
に純水83.7gを仕込み20℃で撹拌した。冷却する
こと無しにこれに室温の四塩化ゲルマニウム25.0g
(233mmol)を0.5時間かけて滴下した。反応熱に
よって滴下前20℃であったフラスコ内温は40℃まで
上昇した。得られた反応混合物を20℃で1晩撹拌(熟
成)した。反応液を吸引ろ過し、結晶を洗浄液が中性に
なるまで純水で洗浄した。その後、温風循環式乾燥機
(120℃)で5時間乾燥すると結晶性二酸化ゲルマニ
ウム11.82gが得られた。(収率:96.6%) 得られた結晶性二酸化ゲルマニウムの乾燥減量、灼熱減
量および実施例1に記載の溶解性評価結果は以下の通り
であった。 乾燥減量(105℃−2h) :0.24% 灼熱減量(800℃−2h) :3.33% 溶解性評価法溶解時間:>6.0h(全量溶解せず) 溶解性評価法未溶解二酸化ゲルマニウム量:(仕込み
量の)35.7%
【0025】(比較例2)四塩化ゲルマニウムを25.
0g、純水83.7gを使用したこと、四塩化ゲルマニ
ウムを−10±1℃、10分間で滴下したこと及び熟成
を−10±1℃で0.5時間行ったこと以外実施例1と
同様に反応を行ったところ結晶性二酸化ゲルマニウム
8.26gが得られた。(収率:67.5%)なお、他
の実施例及び比較例よりも、生成した結晶が微細であ
り、さらに未反応の塩化物の残存量も多いためろ過、洗
浄に時間が必要であった。得られた結晶性二酸化ゲルマ
ニウムの乾燥減量、灼熱減量および実施例1に記載の溶
解性評価結果は以下の通りであった。 乾燥減量(105℃−2h) :0.43% 灼熱減量(800℃−2h) :3.57% 溶解性評価法溶解時間:1.5h 溶解性評価法未溶解二酸化ゲルマニウム量:(仕込み
量の)<0.1%
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、簡便な方法でエチレン
グリコールへの溶解性の優れた結晶性二酸化ゲルマニウ
ムを製造でき、さらにこの二酸化ゲルマニウム用いるこ
とによりゲルマニウム濃度の高いポリエステル製造用触
媒溶液を容易に製造することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 四塩化ゲルマニウムの加水分解によって
    結晶性二酸化ゲルマニウムを製造する反応において、四
    塩化ゲルマニウムと水との混合を0から20℃で行い、
    その後反応混合物を0から20℃に1から48時間保持
    することを特徴とするエチレングリコール可溶性結晶性
    二酸化ゲルマニウムの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法で製造した結晶性二
    酸化ゲルマニウムをエチレングリコールに溶解する反応
    において、生成する水を反応液から除去することを特徴
    とするポリエステル製造用ゲルマニウム触媒溶液の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 結晶性二酸化ゲルマニウムの溶解反応を
    エチレングリコールの沸騰条件下で行い、発生する水蒸
    気とエチレングリコール蒸気とを蒸留塔を用いて分離す
    ることにより水の除去を行う請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 水を不活性ガス気流を用いて除去するこ
    とを特徴とする請求項2記載の方法。
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