JP4167819B2 - 高純度テレフタル酸の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維、フィルム、工業用部材、一般成形品などに広く使用されているポリエステル樹脂の原料であるテレフタル酸(TA)を製造する方法に関し、さらに詳しくは、テレフタル酸ジメチル(DMT)を加水分解することによってテレフタル酸を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工業的にテレフタル酸を製造する方法は各種知られており、そのひとつとして、テレフタル酸ジメチル(以下、DMTと略記することがある。)を出発原料とするH2OによるDMT加水分解法が知られている(特開昭55−141433号公報、DE−2916197、特開平08−231464号公報など)。またPET(ポリエチレンテレフタレート)ポリマーをアルカリ加水分解してさらに中和し精製してTAを得る方法(特願平9−524218号明細書)が提案されている。上記DMT加水分解法で製造したテレフタル酸中には、未反応物であるDMTおよび反応中間体であるテレフタル酸モノメチル(以下、MMTと略記することがある。)が不純物として含有されている。
【0003】
この不純物(DMTおよび/またはMMT)の量を減少させるためには、▲1▼加水分解反応の条件を変更する、▲2▼粗テレフタル酸を洗浄する、の2つの方法が主としてあり、第1の加水分解反応の条件を変更する方法として具体的には、反応温度を上昇させるか、あるいは反応時間を長くするなどの対策を挙げることができる。
しかしながら、反応温度を上昇させると、それに伴い圧力が指数関数的に上昇するため反応器への設備投資額が増加し、更には高温の熱源を必要とするため、結果として製造コストの上昇につながる。また、反応時間を長くすると生産効率が低下するといった問題も生じる。
【0004】
一方、第2の方法である、粗テレフタル酸を洗浄することで不純物を除去し、テレフタル酸を得る方法として、特公昭55−141433号公報には、DMT加水分解法で得られたテレフタル酸に含有するDMTおよび/またはMMTを除去する方法として、向流洗浄器に、DMTおよび/またはMMTを含有するテレフタル酸を圧送して該洗浄器で晶泥の一部を向流にて脱塩水で洗浄する方法が記載されている。
しかしながら、DMTおよびMMTは、脱塩水に対する溶解度が非常に小さいため、洗浄の効果をあげるためには溶解度を上昇させるために高温で実施しなければならない。それにともない、圧力が上昇するため、洗浄器などへの設備投資額が増加するという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術が有していた問題点を解消し、テレフタル酸ジメチルから加水分解によって得たテレフタル酸中に含まれる、テレフタル酸ジメチルおよび/またはテレフタル酸モノメチル量を、簡便な方法で低減させ、反応時間を短くする、あるいは反応温度をさげる、あるいは反応後の不純物除去のための洗浄工程を省略するなどの効果のある効率的な加水分解法によるTAの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、テレフタル酸ジメチル(以下「DMT」ともいう)を加水分解することによってテレフタル酸(以下「TA」ともいう)を得る製法において、反応器内に反応開始当初からテレフタル酸を反応開始時のテレフタル酸ジメチルの重量に対して0.1〜10重量%存在させ、加水分解反応で生成するメタノールおよび加水分解で生成する水を反応器から留出させながら、230〜250℃で加水分解反応を行うことを特徴とする高純度テレフタル酸の製造方法に関する。
本発明によれば、DMTの加水分解法で生成する生成物TAをDMTとH2Oの反応開始当初から反応系に存在させ、酸性雰囲気下に反応させ、加水分解反応を促進することで、効率よく高純度のTAを製造することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の製造方法について、順をおって詳細に説明する。
本発明の製造方法において、DMTを加水分解反応させる際の方式は、回分式と連続式でも、どちらでも問題なく採用することができるが、反応開始当初にTAを存在させない従来のDMTの加水分解反応は温度230〜260℃、圧力3.0〜4.6MPa(ゲージ圧)の高温、高圧下で実施する必要があり、それでも高純度のTAを得るためには、長時間の反応を必要とした。
ここで、反応当初から反応系内に反応開始時のDMT量に対して、0.1重量%〜10重量%の範囲にあるTAを存在させることにより、反応時間を短縮できる、あるいは反応条件を緩和できるなど効率的に反応を進行させることができる。
なお、上記加水分解反応によって形成されたテレフタル酸は、水中に懸濁または溶解させ、反応器から排出し、冷却し、固液分離する。得られたテレフタル酸ケークは、乾燥での水分除去、粉砕による粒径調整を行えば、目的とするTAを得ることができる。
また、固液分離機から流出する母液(MeOH、H2O混合液)は、蒸留することでMeOHを簡便な方法で回収することができ、これを循環再利用することが可能である。
上述の方法で精製したテレフタル酸は、ほとんど全ての使用目的に適しており、特に高純度の原料を必要とする飲料用PETボトル、ポリエステルフィルムの原料として用いることができる。
【0008】
【実施例】
以下、実施例により本発明の内容をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。なお、実施例中の各値は以下の方法に従って求めた。
DMT、MMT重量濃度(ppm):
DMTの加水分解反応で得られた混合物を乾燥し、脱水後、高速液体クロマトグラフィー(装置:日立社製HPLC D−7000、充填式カラム:RP−18;2本)によって分析し、DMT、MMTそれぞれの濃度を求めた。
【0009】
実施例1
100LのTi製攪拌器を有する回分式オートクレーブ(AC)にDMT18Kgと純水(H2O)36Kg、さらにDMTの加水分解反応で得られたTA〔不純物としてDMTとMMT(テレフタル酸モノメチル)の含有量が5ppmと50ppm〕を0.9Kg(DMTの5重量%)投入し、密閉状態で徐々に液温180℃まで昇温し、攪拌を開始した。その後、液温を250℃まで昇温し30分間保持した後、AC上部に設けた留出管バルブを微開し、加水分解反応で生成するMeOHとH2Oを留出させた。液温250℃を保持しながら、留出時間1.5時間の間、加水分解反応で生成するMeOHを同伴した過剰のH2Oを約18Kg留出させた。得られたTAのH2Oスラリーを遠心分離器、乾燥機にて脱水乾燥し製品TAを得た。TA中の不純物MMTは400ppm、DMTは40ppmであった。なお、この不純物量は当初系内に投入したTAおよびそのTAに含まれていた不純物を差し引いた結果である。
【0010】
実施例2
実施例1において、最初にDMT、H2OとともにAC中に投入するTA〔DMTとMMT(テレフタル酸モノメチル)の含有量が5ppmと50ppm〕量を0.09Kg(DMTの0.5重量%)とした以外は、実施例1と同様に加水分解反応を実施した。得られたTA中の不純物MMTは560ppm、DMTは60ppmであった。
【0011】
実施例3
実施例1において、最初にDMT、H2OとともにAC中に投入するTA〔DMTとMMT(テレフタル酸モノメチル)の含有量が5ppmと50ppm〕量を1.7Kg(DMTの約9.5重量%)とした以外は、実施例1と同様に加水分解反応を実施した。得られたTA中の不純物MMTは430ppm、DMTは48ppmであった。
【0012】
実施例4
実施例1において、反応温度を下げ、230℃とした以外は、実施例1と同様に加水分解反応を実施した。得られたTA中の不純物MMTは920ppm、DMTは89ppmであった。
【0013】
比較例1
実施例1において、DMT18Kgと純水(H2O)36KgをAC中に投入したのみでTAを反応開始時点で投入しなかったこと以外は、実施例1と同様に加水分解反応を実施した。得られたTA中の不純物MMTは2,100ppm、DMTは250ppmであった。
【0014】
比較例2
比較例1において、反応温度を下げ、230℃とした以外は、比較例1と同様に加水分解反応を実施した。得られたTA中の不純物MMTは4,830ppm、DMTは560ppmであった。
なお、実施例1〜4、比較例1〜2の結果を表1にまとめた。
【0015】
【表1】
【0016】
* 反応当初、系内に投入したTA中の不純物量はMMT50ppm、DMT5ppmである。従って、反応で生成したTA中の不純物量は下記式により求めた。
a:仕込み時TA重量、a1:仕込みTA中のMMT濃度(ppm)、a2:仕込みTA中のDMT濃度(ppm)
b:反応後TA全量、b1:反応後TA中のMMT濃度(ppm)、b2:反応後TA中のDMT濃度(ppm)
生成TA中のMMT濃度:(b×b1−a×a1)/(b−a)
生成TA中のDMT濃度:(b×b2−a×a2)/(b−a)
【0017】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、テレフタル酸ジメチル由来の、高純度なテレフタル酸を効率よく製造することが可能である。
Claims (1)
- テレフタル酸ジメチルを加水分解することによってテレフタル酸を得る製法において、反応器内に反応開始当初からテレフタル酸を反応開始時のテレフタル酸ジメチルの重量に対して0.1〜10重量%存在させ、加水分解反応で生成するメタノールおよび加水分解で生成する水を反応器から留出させながら、230〜250℃で加水分解反応を行うことを特徴とする高純度テレフタル酸の製造方法。
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