JP2001001655A - 転写リボン用コーティング組成物 - Google Patents
転写リボン用コーティング組成物Info
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Abstract
記録材に対して転写でき、熱転写によって鮮明な画像が
得られ、しかも、転写画像の性能、特に耐薬品性、耐擦
過性において優れたものが得られる転写リボン用コーテ
ィング組成物を提供する。 【解決手段】 下記(A)〜(D)の成分が水性媒体中
に含有されてなり、かつ(A)の成分と(B)の成分の
重量比が特定され、かつ(D)の成分の含有率が特定さ
れた転写リボン用コーティング組成物。 (A)構成成分に特定の多塩基酸成分と多価アルコール
成分を含み、酸価、ガラス転移温度及び分子量の範囲が
特定されたポリエステル樹脂。 (B)着色剤。 (C)アンモニア又は沸点が160℃以下の有機アミン
化合物からなる塩基性化合物。 (D)ケトン、アルコール、グリコール誘導体から選択
される150℃以下の沸点を有する有機溶剤。
Description
熱昇華型転写リボンのアンカーコート層、インキ層又は
保護コート層等に有用な水性のコーティング組成物に関
するものであり、さらに詳しくは、熱転写性は勿論、転
写される画像の耐水性及び耐薬品性を向上させることの
できる、転写リボン用コーティング組成物に関するもの
である。
転写リボン」と称されるものは、極薄のPETフィルム
のようなベースフィルムの片面に耐熱層(バックコート
層)が設けられ、その反対側の面に(必要があれば、ア
ンカーコート層を介して)ワックス等のバインダー成分
を含むインキ層が設けられた、積層構造を持つリボン状
のものである。使用に際しては、専用のプリンターに装
着され、印字時には、リボンと記録材(被転写材)とが
重ね合わされて、サーマルヘッドとブラテンとの間を連
続的に通過し、印字したい部分のみにサーマルヘッドか
ら瞬時に熱量が与えられ、インキ層のバインダー成分が
軟化あるいは溶融することで記録材に転写され、画像が
形成される。このような熱溶融型の転写方式(単に、感
熱転写方式とも呼ばれる)は、特殊な記録材を必要とせ
ず、しかも連続で高速印刷が可能であり、形成される画
像の信頼性が高いことから、乗車券や各種バーコードの
印字用として、熱溶融型転写リボンが近年大量に使用さ
れている。一方、転写リボンのうちの「熱昇華型転写リ
ボン」と称されるものは、「熱溶融型転写リボン」と同
様、極薄のPETフィルムの片面に耐熱層(バックコー
ト層)が設けられ、その反対側の面に(必要があれば、
アンカーコート層を介して)熱昇華可能な染料が分散さ
れた染料層が設けられた積層構造を持つリボン状のもの
である。使用に際しては、熱転写用のプリンターに装着
され、印字時には、上記染料を受容し易い特殊な受像層
が形成された記録材(被写材)と上記転写リボンとが重
ね合わされて、サーマルヘッドとブラテンとの間を連続
的に通過し、印字したい部分のみにサーマルヘッドから
瞬時に熱が加えられ、染料層の染料が昇華して記録材表
面の受像層に転写され、画像が形成される。熱昇華型転
写リボンを用いる熱昇華型の転写方式(単に、昇華転写
方式とも呼ばれる)は、上記したような特殊な記録材を
必要とするものの、カラー化も可能であり、得られる画
像の解像度が写真並みに高められる可能性があることか
ら、次世代の記録方式として、特に開発が盛んに行われ
ている。
おいては、製造工程を管理するバーコード印字用として
使用する場合には、製造工程においてバーコードごと各
種有機溶剤で洗浄されたり、また、石油、ガソリン等の
有機化合物を充填したドラム缶等の流通用の商品ラベル
及びバーコード印字用として使用する場合には、充填時
等に内容物が接触することもあることから、転写されて
形成される画像には、高度な耐薬品性、耐擦過性等が要
求される。これに対して、例えば、特開昭63−230
392号公報、特開平1−141788号公報等には、
インキ層のバインダー成分として、従来のワックスでは
なく特定の樹脂を使用することが開示されている。ま
た、特公平5−15196号公報等には、特定のポリエ
ステル樹脂をインキ層のバインダー成分として使用する
ことが開示されている。
転写方式においても、転写されて形成された画像の退色
を防ぐと共に外的要因から保護する目的で、画像を形成
した後に保護コート層をコーティングすることが提案さ
れている。具体的には、熱昇華型転写リボンに染料層の
みを連続的に設けるのではなく、一定長さの染料層と保
護コート層を交互に設けておき、熱転写プリンターを用
いて、まず、記録材にリボンの染料層部分を重ね、染料
を昇華させて記録材に画像を形成しておき、次いでリボ
ンの保護コート層部分を重ね、感熱転写方式で、すなわ
ち、保護コート層を熱軟化あるいは溶融させて、保護コ
ート層を形成させるのである。
て、形成される画像の特に耐薬品性を向上させようとす
ると、インキ層のバインダー成分としてのポリエステル
樹脂を高分子量化し、しかもそのガラス転移温度をかな
り高く設定しなければならず、その結果、転写に大きな
熱量を要することになり、高速印刷ができないという問
題が生じる。また、ポリエステル樹脂を汎用の有機溶剤
に溶かし、これに着色剤成分を加えて分散させる際に
は、着色剤を均一分散させるうえで、また、分散液の粘
度を適正に保つうえで界面活性剤等の分散剤を配合する
必要があったが、このような分散剤が画像の耐薬品性等
を低下させるという問題があった。このような問題に対
して、上記特公平5−15196号公報では、インキ層
のバインダー成分として、ガラス転移温度が40℃以上
で、かつ数平均分子量が10,000以下のポリエステ
ル樹脂を使用することが提案されている。しかし、この
場合には、高速印字性はある程度改善されるものの、上
記公報の記載によればポリエステル樹脂が有機溶剤に溶
解されて使用されることから、転写されて得られる画像
の耐薬品性、特に耐有機溶剤性に劣るという問題があっ
た。さらには、用途の多様化に対して、様々な記録材に
転写したいという要求が高まっているが、従来の方法で
はこの要求に十分に応えられる熱溶融型転写リボンを提
供することができなかった。また、一方の熱昇華型転写
方式においても、保護コート層に要求される耐薬品性
は、熱溶融型転写リボンで形成される画像のそれよりも
さらに高いレベルにあり、良好な熱転写特性を有しなが
ら耐薬品性をも満足するバインダー成分は未だ知られて
いなかった。
樹脂が特定量の酸価を有しておれば、これを液状化せず
にペレット状〜粒状で水性化処理に供しても、ポリエス
テル樹脂に対して可塑化能力を有する特定の両親媒性の
有機化合物(有機溶剤)及び塩基性化合物を用いて、樹
脂のガラス転移温度もしくは60℃のうちの高い方の温
度以上に加熱し、しかも所定の条件で撹拌すれば、驚く
ほどの速さで水性化が進行することを見いだし、得られ
たポリエステル樹脂水分散体中の樹脂粒子の粒径分布を
最適化し、さらにポリエステル樹脂の分子量分布を制御
するか、あるいは、水性化の際に特定の保護コロイド作
用を有する化合物をごく少量併用すれば、水分散体の貯
蔵安定性が著しく向上し、しかも形成される被膜はポリ
エステル樹脂が本来有する優れた性能を発現することを
も見いだし特許出願した(特開平9−296100号公
報)。
明した方法によれば、有機溶剤に溶解し難いポリエステ
ル樹脂であっても、均一で安定なポリエステル樹脂水分
散体を得ることができるので、これより得られる被膜を
上記のような熱転写用リボンにおけるインキ層や保護コ
ート層のバインダー成分として使用すれば、熱転写され
て形成される画像(以下、転写画像と略記することがあ
る)の耐薬品性を向上できる可能性がある。しかしなが
ら、上記のポリエステル樹脂水分散体を主体としたコー
ティング組成物を使用する場合には、コーティング後の
乾燥を比較的高温で長時間行ったり、これを用いた転写
リボンから熱転写させる時の熱量を大きくしなければ、
転写画像の耐水性や耐薬品性において必ずしも満足なも
のが得られず、したがって転写リボンの製造上の問題
や、高速印字した際に問題が生じるおそれがある。
は、熱溶融型転写リボンのアンカーコート層もしくはイ
ンキ層を形成するのに用いられ、又は熱昇華型転写リボ
ンの保護コート層を形成するのに用いられ、低熱量であ
っても熱転写でき、幅広い種類の記録材に対して転写で
き、熱転写によって鮮明な画像が得られ、しかも、転写
画像の性能、特に耐薬品性、耐擦過性において優れた転
写リボンが得られる転写リボン用コーティング組成物を
提供することにある。
に対して鋭意検討した結果、まず、ポリエステル樹脂の
水分散体より得られる被膜が、幅広い種類の記録材に対
する転写性において極めて優れていることを見いだし、
低熱量でも十分に転写させるためには、ポリエステル樹
脂を低分子量化するかガラス転移温度を一定値以下にす
ればよいことを見いだし、次いで、ポリエステル樹脂を
構成する多塩基酸成分のうち、テレフタル酸成分の含有
率がある値以上であれば、得られる画像の耐薬品性ばか
りでなく、驚くべきことに耐水性、耐擦過性が著しく向
上することも見いだし、さらに、ポリエステル樹脂のテ
レフタル酸成分以外の構成をも最適化することによって
低熱量での転写性と転写画像の性能を高いレベルで両立
させ、また、被膜を形成させる際には、低温・短時間の
乾燥処理であっても、水、有機溶剤及び塩基性化合物を
共沸させて乾燥後の被膜中に残存する水、有機溶剤及び
塩基性化合物の量を著しく低下させることによって被膜
の耐水性や耐薬品性が十分に発現することを見いだし、
本発明を完成するに至った。なお、上記の検討の過程に
おいては、低熱量での転写性と転写画像の性能、特に耐
薬品性とを高いレベルで両立させることに対して、ポリ
エステル樹脂のガラス転移温度、分子量及びテレフタル
酸成分を制御するだけでは必ずしも十分ではなく、さら
なる検討を重ねた結果、テレフタル酸成分以外の構成を
最適化することによって、この問題を解決することに成
功したのである。
(D)の成分が含有されてなり、かつ(A)の成分と
(B)の成分の重量比が下記数式Iの範囲の比率であ
り、かつコーティング組成物に対して(D)の成分の含
有率が0.5〜50重量%であり、ポリエステル樹脂粒
子又は、ポリエステル樹脂粒子及び着色剤が水性媒体中
に分散してなることを特徴とする転写リボン用コーティ
ング組成物である。 (A)多塩基酸成分と多価アルコール成分とより構成さ
れ、酸価が8〜40mgKOH/gであり、ガラス転移
温度が40℃以上であり、数平均分子量が2,000〜
15,000であり、かつ下記(a)及び(b)の条件
を満足するポリエステル樹脂。 (a)多塩基酸成分のうち、50〜95モル%がテレフ
タル酸成分であり、5〜50モル%がイソフタル酸成分
である。 (b)多価アルコール成分のうち、10〜50モル%が
ビスフェノール構造を有する成分又はシクロヘキサンジ
メタノール成分である。 (B)着色剤。 (C)アンモニア又は沸点が160℃以下の有機アミン
化合物からなる塩基性化合物。 (D)ケトン、アルコール、グリコール誘導体から選択
される150℃以下の沸点を有する有機溶剤。
まず、本発明のコーティング組成物に含有される各成分
について説明する。 (A)成分 本発明におけるポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多
価アルコール成分より構成され、本来それ自身で水に分
散又は溶解しないものである。また、水分散体を形成す
る際の親水基としてのカルボキシル基を有するものであ
る。
は、多塩基酸と多価アルコールとを用いて、あるいはそ
れらのエステル形成性誘導体を用いて合成することがで
きる。そのような多塩基酸としては、芳香族多塩基酸、
脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸を挙げることができ
る。具体的な化合物では、芳香族多塩基酸としては、テ
レフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジ
カルボン酸類が挙げられ、脂肪族多塩基酸としては、シ
ュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、
水添ダイマー酸等の飽和ジカルボン酸、フマル酸、マレ
イン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン
酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の
不飽和の脂肪族ジカルボン酸類が挙げられ、脂環族多塩
基酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、
1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボ
ン酸及びその無水物、テトラヒドロフタル酸及びその無
水物等の脂環族ジカルボン酸類が挙げられる。また、樹
脂の耐水性を損なわない範囲で、必要に応じて少量の5
−ナトリウムスルホイソフタル酸や5−ヒドロキシイソ
フタル酸を用いることができる。
酸を用いることが好ましく、ポリエステル樹脂を構成す
る多塩基酸成分に占める芳香族多塩基酸成分の割合とし
ては、55モル%以上でなければならない。この値が5
5モル%未満の場合には、コーティング組成物から形成
されて得られる被膜(以下、被膜形成物と略記すること
がある)及び転写画像の耐水性、耐薬品性が劣るばかり
でなく、コーティング組成物をアンカーコート層として
用いた場合、ベースフィルムであるポリエステルフィル
ムとの密着性が低下する傾向がある。また、芳香族多塩
基酸成分の割合が低いと、脂肪族及び脂環族のエステル
結合が芳香族エステル結合に比して加水分解しやすいこ
とから、そのようなポリエステル樹脂を含有したコーテ
ィング組成物の貯蔵安定性が低下することがあるため、
ポリエステル樹脂を構成する多塩基酸成分に占める芳香
族多塩基酸成分の割合としては、70モル%以上がより
好ましく、80モル%以上が特に好ましい。さらに、他
の性能とバランスをとりながら被膜形成物並びに転写画
像の耐水性、耐薬品性及び耐擦過性等を向上させること
ができる点において、テレフタル酸を用いることが好ま
しく、ポリエステル樹脂を構成する多塩基酸成分に占め
るテレフタル酸成分の割合としては、50モル%以上で
なければならず、転写画像の耐擦過性を向上させるとい
う点からは、65モル%以上が好ましく、70モル%以
上が特に好ましい。テレフタル酸成分の割合が50モル
%未満では、被膜形成物並びに転写画像の耐水性、耐薬
品性及び耐擦過性が低下する。
としてイソフタル酸を用いることが特に重要である。す
なわち、ポリエステル樹脂を構成する多塩基酸成分とし
て一定量のイソフタル酸成分を導入することにより、ポ
リエステル樹脂を分散させたコーティング組成物の貯蔵
安定性やこれをコーティングして得られる転写リボンの
転写画像の性能を低下させることなく、低熱量における
転写性、特にキレ(熱転写の際に熱が加えられた部分と
そうでない部分との境界での被膜形成物の切り離されや
すさ)を向上させることができる。多塩基酸成分に占め
るイソフタル酸成分の割合としては、5〜50モル%で
なければならず、5〜40モル%が好ましく、10〜3
0モル%がより好ましい。このイソフタル酸成分の割合
が5モル%未満では、低熱量での転写性が低下する。こ
の場合に低熱量での転写性を確保するためには、ポリエ
ステル樹脂のガラス転移温度を下げるか、低分子量化せ
ねばならず、その結果として転写画像の耐水性や耐薬品
性が低下する。一方、上記のイソフタル酸成分の割合が
50モル%を超えると、被膜形成物が脆くなり、乾燥時
にクラックを生じることもある。
〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グ
リコール、エーテル結合含有グリコール等を挙げること
ができる。具体的な化合物では、炭素数2〜10の脂肪
族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−
プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパ
ンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチル
グリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−
1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、
2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等が挙げら
れ、炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1,
4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。エー
テル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、さらにはビスフェノール類の2つのフェノール性水
酸基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを
それぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類、例
えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)
プロパン等が挙げられる。なお、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコールも必要に応じて使用することができる。
としてビスフェノール構造を有する多価アルコール又は
シクロヘキサンジメタノールを用いることも特に重要で
ある。すなわち、ポリエステル樹脂を構成する多価アル
コール成分として一定量のビスフェノール構造を有する
成分又はシクロヘキサンジメタノール成分を導入するこ
とにより、ポリエステル樹脂のガラス転移温度を高く保
ち、したがって被膜形成物並びに転写画像の耐薬品性を
維持すると同時に、低熱量における転写性を向上させ、
しかも各種記録材への転写性(密着性)を向上させるこ
とができる。多価アルコール成分に占めるビスフェノー
ル構造を有する成分又はシクロヘキサンジメタノール成
分の割合としては、それらの合計が10〜50モル%で
なければならず、10〜45モル%が好ましく、10〜
40モル%がより好ましい。この割合が10モル%未満
では、これらの成分による効果が発現せず、一方、50
モル%を超えると、比較的高価なこれらの成分による効
果が含有率に対して顕著には増加しなくなることから、
経済的ではない。
多価アルコールとしては、ビスフェノールAと称される
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフ
ルオロプロパン、4,4’−ヒドロキシベンゾフェノ
ン、ビスフェノールSと称されるビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)サルファイド等の化合物並びに、これらの化合物の
2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイド又はプ
ロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得ら
れるグリコール類を例示できる。上記した中でも、ビス
フェノールAもしくはビスフェノールSにエチレンオキ
サイドやプロピレンオキサイドを付加して得られるグリ
コール類が好ましい。
コールを用いることも好ましく、ポリエステル樹脂を構
成する多価アルコール成分に占めるエチレングリコール
成分の割合としては、20モル%以上、特に30モル%
以上であることが、被膜形成物並びに転写画像の諸性能
にバランスが取れ、それらの耐水性及び耐薬品性を向上
させるという点で好ましい。エチレングリコールは工業
的に多量に生産されていて安価であるという長所も有し
ているので好ましい
は、3官能以上の多塩基酸又は多価アルコールを使用し
てもよい。そのような3官能以上の多塩基酸としては、
トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット
酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシ
ン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテ
ート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテー
ト)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が挙
げられ、3官能以上の多価アルコールとしては、グリセ
リン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。このとき、
3官能以上の多塩基酸又は多価アルコールの使用量とし
ては、ポリエステル樹脂を構成する多塩基酸成分又は多
価アルコール成分に対し10モル%以下、さらには5モ
ル%以下となる範囲にとどめることが好ましく、10モ
ル%を超えると、ポリエステル樹脂の低温での軟化性が
劣り、その結果として低熱量での転写性が十分に発現し
難くなる傾向にあるので好ましくない。
としては、多塩基酸以外に、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノー
ル酸、リノレン酸等の脂肪酸やそのエステル形成性誘導
体、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロ
ヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸等の
高沸点のモノカルボン酸を使用してもよい。また、ポリ
エステル樹脂を構成するアルコール成分としては、ステ
アリルアルコール、2−フェノキシエタノール等の高沸
点のモノアルコールを使用してもよい。このとき、上記
したモノカルボン酸又はモノアルコールの使用量として
は、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分又は全アルコ
ール成分に占めるモノカルボン酸成分又はモノアルコー
ル成分の割合がそれぞれ5モル%以下となるような範囲
にとどめることが好ましい
ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキ
シカルボン酸やそのエステル形成性誘導体を使用しても
よい。
範囲としては、8〜40mgKOH/gであることが必
要であり、10〜36mgKOH/gが好ましく、10
〜28mgKOH/gがより好ましい。この酸価が40
mgKOH/gを超えると、コーティング組成物から被
膜を形成させて乾燥する際に、被膜から水、塩基性化合
物及び有機溶剤が揮発し難く、結果として被膜形成物並
びに転写画像の耐水性及び耐薬品性が低下する。一方、
酸価が8mgKOH/g未満の場合には、水性媒体中に
分散させるのに寄与するカルボキシル基量が十分でな
く、ポリエステル樹脂微粒子を水性媒体中に安定して分
散させることができず、また、着色剤の分散性にも劣る
場合がある。
ガラス転移温度としては、DSC(示差走査熱量)分析
で測定されるガラス転移温度が40℃以上でなければな
らず、43℃以上が好ましく、45℃以上がより好まし
い。ガラス転移温度が40℃未満の場合には、被膜形成
物並びに転写画像の耐薬品性が不足する。
の数平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマ
トグラム(GPC,流出液:テトラヒドロフラン、ポリ
スチレン換算)で求められる数平均分子量が2,000
〜15,000であることが必要であり、3,000〜
14,000が好ましく、3,500〜13,000が
特に好ましい。ポリエステル樹脂の数平均分子量が1
5,000を超えると、低熱量での転写性が低下し、一
方、2,000未満の場合には、被膜形成物並びに転写
画像の耐薬品性等が不足する。なお、ポリエステル樹脂
の分子量分布に関しては、特に制限されない。また、ポ
リエステル樹脂がテトラヒドロフランに溶解せず、上記
の数平均分子量を測定できない場合には、ポリエステル
樹脂をフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタ
ンの等重量混合溶媒に1重量%の濃度で溶解し、ウベロ
ーデ粘度管を用いて20℃で測定した相対粘度で代用で
きる。この場合においては、数平均分子量が2,000
〜15,000であることに対して、相対粘度が1.1
5〜1.40であることで代用する。上記の相対粘度の
測定に際しては、ポリエステル樹脂0.50gをフェノ
ール/1,1,2,2−テトラクロロエタン等重量比の
混合溶媒100gに溶解させ、これをウベローデ粘度管
を用いて20℃で測定した流下時間を、上記混合溶媒の
流下時間で除した値を求め、これを相対粘度とする。
る方法としては、公知の方法を応用すればよい。例え
ば、(ア)全モノマー成分又はその低重合体を不活性雰
囲気下で180〜250℃、2.5〜10時間程度反応
させてエステル化反応を行い、引き続いてエステル交換
反応触媒の存在下、1Torr以下の減圧下に220〜
280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応
を進めてポリエステル樹脂を得る方法、(イ)前記重縮
合反応を、目標とする分子量に達する以前の段階で終了
し、反応生成物を次工程でエポキシ系化合物、イソシア
ネート系化合物、ビスオキサゾリン系化合物等から選ば
れる鎖長延長剤と混合し、短時間反応させることにより
高分子量化を図る方法、(ウ)前記重縮合反応を目標と
する分子量以上の段階まで進めておき、モノマー成分を
さらに添加し、不活性雰囲気、常圧〜加圧系で解重合を
行うことで目標とする分子量のポリエステル樹脂を得る
方法等を用いることができる。
体中に分散(以下、水性化)させるために必要なカルボ
キシル基は、樹脂骨格中に存在するよりも樹脂分子鎖の
末端に偏在していることが、形成される被膜の耐水性、
耐薬品性等の面から好ましい。副反応やゲル化等を伴わ
ずに、そのようなポリエステル樹脂を得る方法として
は、(ア’)上記した方法(ア)において、重縮合反応
開始時以降に3官能以上の多塩基酸またはそのエステル
形成性誘導体を添加するか、あるいは、重縮合反応の終
了直前に多塩基酸の酸無水物を添加する方法、(イ’)
上記した方法(イ)において、大部分の分子鎖末端がカ
ルボキシル基である低分子量ポリエステル樹脂を鎖長延
長剤により高分子量化させる方法、(ウ’)上記した方
法(ウ)において、解重合剤として多塩基酸またはその
エステル形成性誘導体を使用する方法等を用いることが
できる。
(A)成分であるポリエステル樹脂の含有率としては、
転写リボンの構成、その用途と要求性能、形成される被
膜の膜厚等によって適宜選択されるが、一般的には0.
5〜50重量%とすることが好ましく、1〜40重量%
がより好ましい。本発明のコーティング組成物は、例え
ばポリエステル樹脂の含有率が20重量%以上というよ
うな高固形分濃度であっても、貯蔵安定性に優れるとい
う長所を有するが、ポリエステル樹脂の含有率が50重
量%を超えると、コーティング組成物の粘度が著しく高
くなり、実際にコーティングすることが困難となってし
まう場合があるので好ましくない。
が含有される。着色剤としては、転写リボン用途に通常
使用される染料や顔料であれば特に限定されないが、酸
化チタン、炭酸カルシウム、カーボンブラック、オイル
ブラック、ハンザイエロー、オイルイエロー2G、ピラ
ゾロンオレンジ、オイルレッド、ベンガラ、アンスラキ
ノンバイオレット、フタロシアニンブルー、フタロシア
ニングリーン、アルミニウム粉末、ブロンズ粉末、パー
ル粉末、磁性粉末等を例示できる。これらは単独で用い
られてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、分
散性や樹脂との結着力を向上させる目的で、着色剤表面
がカップリング剤や高分子等で処理されたものであって
もよい。なお、着色剤の粒子の大きさとしては、その平
均一次粒子径が5μm以下であることが好ましく、2μ
m以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。
は、転写リボンの構成、その用途と要求性能、被膜形成
物の膜厚等によって適宜選択されるが、ポリエステル樹
脂すなわち(A)成分の量に応じて使用され、重量比
(A)/(B)としては、下記数式Iに示す範囲内とす
る必要があり、下記数式IIに示す範囲内とするのが好ま
しい。
率が大きくなると、コーティング組成物において(B)
成分の分散状態が悪くなり、コーティング特性が低下し
て均一な厚さの被膜を形成できなくなり、また、転写画
像の耐擦過性が低下する。
は、ポリエステル樹脂を水性化させる際に、ポリエステ
ル樹脂を中和させるための成分として必要である。本発
明においては上記の中和反応、すなわち塩基性化合物と
ポリエステル樹脂中の親水基であるカルボキシル基との
中和反応が水性化の起動力であり、しかも中和反応で生
成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって、
ポリエステル樹脂微粒子間の凝集を防ぐことができる。
また、塩基性化合物が被膜形成物中や転写画像中に残存
すると、それらの耐水性や耐薬品性を低下させるため、
本発明における塩基性化合物としては、乾燥によって揮
散させ易い化合物としてのアンモニア又は有機アミン化
合物からなることが必要である。上記の有機アミン化合
物の沸点としては、160℃以下であることが必要であ
る。沸点が160℃を超えると、乾燥による揮散が困難
になり、被膜形成物中や転写画像中に多く残存して、そ
れらの耐水性や耐薬品性を性能を低下させる。また、水
と共沸可能な有機アミン化合物であることが好ましい。
を具体的に例示すれば、アンモニア、メチルアミン、ジ
メチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエ
チルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプ
ロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルア
ミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、イソブチルアミ
ン、ジイソブチルアミン、sec−ブチルアミン、te
rt−ブチルアミン、ペンチルアミン、N,N−ジメチ
ルエタノールアミン、N−メチル−N−エタノールアミ
ン、プロピレンジアミン、モルホリン、N−メチルモル
ホリン、N−エチルモルホリン、ピペリジン等が挙げら
れ、これらの塩基性化合物を、単一で、又は複数の種類
のものを混合して用いることができる。
(C)成分である塩基性化合物の含有率としては、
(A)成分であるポリエステル樹脂中に含まれるカルボ
キシル基の量に応じて、少なくともこれを部分中和し得
る量、すなわち、カルボキシル基に対して0.2〜1.
5倍当量であることが好ましく、0.4〜1.3倍当量
がより好ましい。0.2倍当量未満では塩基性化合物添
加の効果が認められない場合があり、一方1.5倍当量
を超えると、コーティング組成物が著しく増粘する場合
があるので好ましくない。なお、ここで言う塩基性化合
物の含有率としては、上記の中和反応によってカルボン
酸塩を生成するのに消費された分も含めて計算された値
とする。すなわち、コーティング組成物を得る際に添加
された塩基性化合物の添加量から計算された値とする。
脂の水性化を促進させる成分として、有機溶剤が含有さ
れていることが必要である。さらに、それ自身が被膜形
成物から揮発し易く、しかも水と共沸して水の揮発を促
進させる作用を有する成分としての有機溶剤としては、
ケトン、アルコール、グリコール誘導体から選択される
150℃以下の沸点を有する有機溶剤であることが必要
であり、アルコールが特に好ましい。有機溶剤がケト
ン、アルコール、グリコール誘導体から選択される15
0℃以下の沸点を有する有機溶剤でなければ、コーティ
ング組成物のコーティング特性が低下して、コーティン
グ時にハジキや泡が発生する場合があり、また、貯蔵安
定性が損なわれる場合がある。また、有機溶剤の沸点と
しては、130℃以下が好ましく、110℃以下が特に
好ましい。上記の(D)成分である有機溶剤の含有率と
しては、コーティング組成物に対して0.5〜50重量
%であることが必要であり、好ましくは5〜45重量%
であり、特に好ましくは10〜40重量%である。有機
溶剤の含有率が0.5重量%未満では、コーティング組
成物のコーティング特性が低下する。一方、含有率が5
0重量%を超えると、コーティング組成物の安定性が損
なわれる。
体的に例示すれば、アルコールとしては、メタノール、
エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、
tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソア
ミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert
−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、
2−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチ
ルブタノール、3−メトキシブタノール等が挙げられ、
ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、
メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等が挙げら
れ、グリコール誘導体としては、エチレングリコールモ
ノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエー
テル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリ
コールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。な
お、有機溶剤としては、単一でも、また複数の種類のも
のを混合して用いてもよい。
せて本発明のコーティング組成物を得る方法について説
明する。本発明においては、かかるコーティング組成物
を得る方法については、特に限定されず、当業者に広く
知られた方法を採用することができる。例えば、上記の
(A)成分の全量と、(C),(D)の成分の全量もし
くは一部の量と、水とを用いて、まずポリエステル樹脂
水分散体を製造しておき、これをさらに水や有機溶媒剤
で希釈したり、あるいは(B)成分の着色剤や他の成分
をさらに加えてもよい。このとき、(D)成分の有機溶
剤としては、過剰量を用いておいて、後でストリッピン
グによってその量を低減させてもよい。
分散体を製造する方法も特に限定されず、公知の方法を
応用することができる。例えば、ポリエステル樹脂を上
述の有機溶剤に溶解させた溶液あるいは溶融体を、上記
の塩基性化合物や必要に応じて保護コロイド作用を有す
る化合物が添加され、しかも高速で撹拌されている水性
媒体中に少量ずつ添加してゆく方法(強制乳化法)や、
撹拌下の溶液あるいは溶融体中に水性媒体を少量ずつ添
加して転相させて安定な水分散体を得る方法(転相乳化
法)等を応用して行うことができる。この場合、本発明
においては、以下の理由から、特開平9−296100
号公報に記載の方法が特に推奨される。すなわち、1)
芳香族多塩基酸成分、特にテレフタル酸の含有率が高
く、比較的高分子量のポリエステル樹脂であっても、特
殊なモノマー成分や、被膜形成物中にイオン性基が残存
するような構造をポリエステル樹脂中に一切、導入せ
ず、しかも、界面活性剤のような低分子量の親水性化合
物を外部添加しないでも水性化でき、2)(D)成分
を、コーティング組成物に対して0.5〜50重量%含
有するという条件を満足するように添加しても安定な水
分散体を製造することができ、さらに、3)高固形分濃
度であっても貯蔵安定性及び後で他成分を添加する際の
混合安定性に極めて優れた水分散体を、4)特殊な設備
を使用せず、しかも比較的単純な工程で安定した品質で
生産できる方法であるため、本発明のコーティング組成
物の製造における方法として好ましい。また、この方法
においては、粗大なポリエステル樹脂粉末ないし粒状物
を出発原料として用いて行っても、ポリエステル樹脂が
微粒子化された水分散体を得ることができる。なお、こ
の方法において出発原料として用いるポリエステル樹脂
粉末ないし粒状物の大きさを、立方体形状に換算した一
辺の長さで表わすと、その長さとしては、8mm以下で
あることが好ましく、1〜5mmがより好ましく、1.
5〜3mmが特に好ましい。
と、ポリエステル樹脂粉末ないし粒状物を室温付近で水
性媒体中に混合・粗分散させる分散工程と、これを撹拌
しながら決められた温度まで加熱する加熱工程と、ポリ
エステル樹脂のガラス転移温度又は60℃のうちの高い
方の温度〜90℃で所定の条件で撹拌してポリエステル
樹脂を微粒子化する水性化工程と、これを40℃以下ま
で冷却する冷却工程という4工程から構成されており、
これらの工程が連続で実施される。これらの工程を行う
ための装置としては、液体を投入できる槽を備え、槽内
に投入された水性媒体と樹脂粉末ないしは粒状物の混合
物を適度に撹拌でき、槽内を60〜90℃に加熱できれ
ばよく、固/液撹拌装置や乳化機として広く当業者に知
られている装置を使用することができる。そのような具
体的な装置としては、プロペラミキサー、タービンミキ
サーのような一軸の撹拌機、タービン・ステータ型高速
回転式撹拌機(特殊機化工業製、「T.K.Homo−
Mixer」「T.K.Homo−Jettor」、I
KA−MASCHINENBAU社製、「Ultra−
Turrax」等)、高速剪断型ミキサと槽壁面を掻き
取るスクレーパ付き低速摺動型の混練パドルやアンカー
ミキサを併用した複合型撹拌機(特殊機化工業製、
「T.K.Agi−Homo−Mixer」、「T.
K.Combimix」等)を例示することができる。
装置の方式としては、バッチ式であってもよく、原料投
入と処理物の取り出しを連続で行うような連続生産式の
ものであってもよい。また装置の槽としては、密閉でき
る形式のものが好ましい。
自身で本発明のコーティング組成物となり得るが、必要
に応じてそれに(B)成分の着色剤が加えられて、着色
剤を含有するコーティング組成物が得られる。着色剤を
加えてこれを分散させるためには、顔料等の分散機とし
て当業者に広く知られている装置を使用することができ
る。かかる装置を例示すると、分散媒体間の相対速度に
よって生じる剪断作用を利用するものとしては、サンド
ミル、アトライタ、ボールミル等があり、回転体間の間
隙を通過する際の剪断作用又は衝撃作用を利用するもの
としては、上記したような固/液撹拌装置や乳化機、ケ
ディーミル、3本ロールミル等がある。これらの装置を
利用する際は、ポリエステル樹脂水分散体と着色剤、あ
るいは必要に応じて(C),(D)の成分や水とをプレ
ミックスしておき、これを着色剤が水性媒体中に分散さ
れるように処理する。
するときに、上記のポリエステル樹脂水分散体の25℃
における波長750nmの光に対する光透過率として
は、5〜85%であることが好ましく、10〜80%が
より好ましい。上記の光透過率の条件が満たされれば、
ポリエステル樹脂水分散体に着色剤を加えて機械的な作
用によってこれを分散させる場合でも、ポリエステル樹
脂粒子の凝集、破壊等が発生せず、しかも界面活性剤等
の分散剤を使用しなくても着色剤を良好に分散させるこ
とができるので、被膜形成物の性能、特に耐水性及び耐
薬品性が分散剤によって損なわれることがない。光透過
率が85%を超えると、着色剤を添加したり機械的にこ
れを分散させる際にポリエステル樹脂粒子の凝集が発生
する場合があり、一方、5%未満では、機械的に分散さ
せる際にポリエステル樹脂粒子が破壊される場合がある
ので好ましくない。
組成物についてさらに詳細に説明する。本発明のコーテ
ィング組成物は、ポリエステル樹脂粒子又は、ポリエス
テル樹脂粒子と着色剤とが、水性媒体中に分散してなる
ものであり、外観上、コーティング組成物中に沈澱や層
分離、あるいは皮張りといった、構成成分の濃度が局部
的に他の部分と相違する部分が見いだされない状態にあ
ることが好ましい。また、コーティング組成物にはポリ
エステル樹脂や着色剤等の固形分の粗大な粒子が含まれ
ないことが好ましく、具体的には、コーティング組成物
を635メッシュのステンレス製フィルター(線径0.
020mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)
した際に、フィルター上に残存する固形分の重量として
は、コーティング組成物に含有される固形分の重量に対
して、3%未満であることが好ましい。なお、本発明の
コーティング組成物を製造する場合には、必要に応じ
て、上記の加圧濾過等によって固形分の粗大な粒子を取
り除く工程を追加してもよい。
としては、コーティング方法、目的とする被膜の厚み等
にもよるが、フォードカップNo.4を用いて測定され
る20℃における粘度が12秒〜90秒であることが好
ましく、14〜60秒が特に好ましい。この粘度が12
秒未満ではコーティング時あるいは乾燥時にハジキが発
生する場合があるので好ましくない。一方90秒以上で
は、粘度が高すぎて、コーティングに使用するのが困難
な傾向にあるので好ましくない。なお、コーティング組
成物の粘度は、使用するポリエステル樹脂及び着色剤の
諸特性、含有率、有機溶剤の種類や含有率等によって制
御することができる。
は、必要に応じて硬化剤、他の水性樹脂又は形成される
被膜に機能を付与するための各種の機能性付与剤や添加
剤等を添加することができる。そのような硬化剤として
は、フェノール樹脂、アミノプラスト樹脂、多官能エポ
キシ化合物、多官能イソシアネート化合物及びその各種
ブロックイソシアネート化合物、多官能アジリジン化合
物等をあげることができ、必要に応じて反応触媒や促進
剤をこれらと併用することができる。また、他の水性樹
脂としては、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、アクリル樹脂変性オレフィン樹脂、セルロース誘導
体等があげられ、これらの水溶液又は水分散体を使用す
ることができる。また、機能性付与剤としては、被膜形
成物又は転写画像に帯電防止性、離型性、滑性、耐ブロ
ッキング性、耐摩耗性、高硬度、高接着性又はマット調
を付与できるもので、水性媒体に溶解するか、分散させ
られるものであれば任意のものを使用でき、添加剤とし
ては、ハジキ防止剤、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止
剤、レオロジーコントロール剤等があげられる。このと
き、本発明のコーティング組成物から形成される被膜の
性能を保つうえで、上記の硬化剤、他の水性樹脂、機能
性付与剤及び添加剤の使用量の合計としては、ポリエス
テル樹脂100重量部に対して50重量部未満が好まし
く、40重量部未満がより好ましい。なお、本発明のコ
ーティング組成物としては、上記したような硬化剤、他
の水性樹脂又は各種の機能性付与剤や添加剤等が含有さ
れたものも含まれる。
リボンに用いることについて説明する。本発明のコーテ
ィング組成物は、転写性が要求される熱溶融型転写リボ
ンのアンカーコート層もしくはインキ層として、又は熱
昇華転写型転写リボンの保護コート層として使用でき
る。上記のいずれの型の転写リボンにおいても、ベース
フィルムの片側の面に必要に応じて耐熱層(バックコー
ト層)が形成され、その反対面には、必要があればアン
カーコート層を介して、インキ層又は、染料層及び保護
コート層が、それぞれ積層されたリボン状あるいはシー
ト状のものである。ベースフィルムとしては、0.5〜
20μmのPET、PEN等のポリエステルフィルムや
セロファンが好ましく使用される。耐熱層(バックコー
ト層)としては、保存中の耐ブロッキング性を付与し、
サーマルヘッドに対するスティッキングを防ぐ目的で、
好ましくは0.01〜5μm程度の厚さで形成される。
耐熱層の材料としては、アルキド樹脂、ポリエステル樹
脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等がシリコーンもしく
は含フッ素樹脂で変成されたもの、又はこれらがブレン
ドされたもの等が好ましく用いられる。
したベースフィルムの耐熱層(バックコート層)の反対
側の面に、本発明のコーティング組成物を、はけ塗り
法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコー
ト法、カーテンフローコート法もしくは各種印刷法等に
より均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセ
ッティングした後、乾燥工程に供し、均一な被膜を形成
させる。乾燥工程としては、通常、熱風循環型のオーブ
ンや赤外線ヒーター等により、好ましくは60〜160
℃で数秒〜数十秒実施する。被膜(被膜形成物)の厚み
としては、コーティング方法や用途、要求性能によって
も異なるが、0.01〜15μmが好ましい。また、被
膜形成物の熱重量減少率としては、被膜形成物並びに転
写画像の耐水性及び耐薬品性に優れる点から、110℃
の雰囲気下で30分間の熱処理を加えた際に、その重量
減少率が5%以下であることが好ましく、3%以下がよ
り好ましい。
る多塩基酸成分の5〜50モル%をイソフタル酸成分と
することにより、コーティング組成物の貯蔵安定性や転
写画像の性能を低下させることなく、低熱量での転写
性、特にキレを向上させることができる。また、ポリエ
ステル樹脂を構成する多価アルコール成分についても、
その10〜50モル%を、ビスフェノール構造を有する
成分又はシクロヘキサンジメタノール成分とすることに
より、ポリエステル樹脂のガラス転移温度を高く保ち、
したがって被膜形成物並びに転写画像の耐薬品性を維持
すると同時に、低熱量における転写性を向上させ、しか
も各種記録材への転写性(密着性)を向上させることに
成功している。上記のポリエステル樹脂の構成成分がそ
のような効果を奏する理由については、現時点でよく判
ってはいないが、本発明者らは次のように考えている。
まず、イソフタル酸成分については、これを共重合して
得られるポリエステル樹脂の被膜は一般に脆くなる傾向
がある。このため、熱転写においては、低熱量での転写
の際に、記録材との密着力がさほど強くない場合でも、
被膜の内部凝集力が弱いために、熱量のON/OFFの
境界地点で簡単に被膜が切れて記録材側に残り、再現性
の良い転写画像が得られるものと推定される。次に、上
記のビスフェノール構造を有する成分又はシクロヘキサ
ンジメタノール成分であるが、これらを共重合すると、
一般的に樹脂のガラス転移温度を高める効果があること
から、被膜形成物並びに転写画像の耐薬品性等は向上す
るものと考えられる。それと同時に、これらの成分は比
較的バルキーで柔軟な構造を有することから、樹脂骨格
に柔軟性を付与し、その結果、各種記録材との密着性を
向上させることから、低熱量での良好な転写性を付与す
るものと考えられる。
するが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。なお、各種の特性については、下記の方法によって
分析又は評価した。ここで、転写画像の耐薬品性を評価
するにあたっては、代表として特に厳しい耐アルコール
性及び耐ガソリン性を評価した。
求めた。また、1H−NMRスペクトル上に帰属・定量
可能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂に
ついては、封管中230℃で8時間メタノール分解を行
った後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析を
行った。 (2)ポリエステル樹脂の酸価 ポリエステル樹脂1gを50mlのジオキサン/水=9
/1(容積比)混合溶媒に完全に溶解し、フェノールフ
タレインを指示薬としてKOHで滴定を行い、中和に消
費されたKOHのmg数を酸価として求めた。
可視分光光度計を使用、検出波長254nm、溶媒:テ
トラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求めた。 (4)ポリエステル樹脂のガラス転移温度 ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示
差走査熱量測定)装置(パーキン エルマー社製 DS
C7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定を行
い、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの
折曲点の温度の中間値を求め、これをガラス転移温度と
した。
ティング組成物の固形分濃度 ポリエステル樹脂水分散体又はコーティング組成物を適
量秤量し、これを温度180℃で残存物(固形分)の重
量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。 (6)ポリエステル樹脂水分散体又はコーティング組成
物の光透過率 ポリエステル樹脂水分散体又はコーティング組成物をセ
ル長0.2cmの石英製セルに入れ、波長750nmの
光に対する温度25℃での光透過率を測定した。このと
き、ブランクとしては蒸留水を用いた。 (7)ポリエステル樹脂水分散体又はコーティング組成
物の粘度 フオードカップNo.4を用いて、JIS K5400
によって測定を行った。 (8)ポリエステル樹脂水分散体又はコーティング組成
物の貯蔵安定性 コーティング組成物100mlをガラス製の容器に入れ
て密封し、室温が20〜25℃に保たれた実験室内で1
0日間もしくは30日間放置した。この時の外観の変化
を目視で観察し、また、粘度を上記(8)の方法で測定
することにより、貯蔵安定性を評価した。
察を行い、下記の基準によって評価した。 ○:ベタ及びメッシュの部分とも問題なく転写されてい
る。 △:ベタの部分は問題なく転写されているが、メッシュ
の部分については転写されていないか、又はキレが悪く
メッシュが再現されていない ×:ベタ及びメッシュの部分とも、転写が不完全で問題
がある。 (10)転写画像の耐擦過性 上記の転写性が○と評価されたメッシュ部分の転写画像
について、JIS S6050の消しゴムを用い、消し
ゴムの10mm×20mmの面を転写画像面に当てて垂
直に立て、1kgの荷重を加えながら1秒間に1往復の
割合で擦り、画像に明らかに損傷が認められたときの往
復回数を記録して耐擦過性の指標とした。 (11)転写画像の耐アルコール性、耐ガソリン性 上記の転写性が○と評価されたメッシュ部分の転写画像
について、R10mmの球面状の先端を有するステンレ
ス製の棒を用意し、この球面状の先端にガーゼを10枚
重ねて巻き付けこれにエタノール又はガソリンを含浸さ
せ、この部分を転写画像に押し付けた状態で棒を転写画
像面に垂直に立て、300gの荷重を加えながら1秒間
に1往復の割合で擦り、画像に明らかに損傷が認められ
たときの往復回数を記録して耐アルコール性又は耐ガソ
リン性の指標とした。 (12)転写画像の耐水性 上記の転写性が○と評価されたベタ部分の画像につい
て、これを室温下で蒸留水中に部分的に浸漬し、30分
後に静かに引き上げ、風乾させた後に、画像の外観変化
を以下の基準によって評価した。 ○:外観変化が全く認められない。 △:蒸留水中に浸漬していた際の液の界面が乾燥後にも
画像に認められるか、画像が膨潤している。 ×:画像の脱落している部分が認められる。
テル樹脂は、下記のようにして得られた。 [ポリエステル樹脂A−1〜A−9の製造]テレフタル酸
19.10kg、イソフタル酸1.66kg、エチレン
グリコール3.88kg、ネオペンチルグリコール7.
81kg、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェ
ニル)プロパン11.86kgをそれぞれ用意し、これ
らを混合物して、オートクレーブ中において260℃で
2.8時間加熱してエステル化反応を行った。次いで触
媒としての三酸化アンチモンを1重量%含有するエチレ
ングリコール溶液730gを添加し、系の温度を30分
間で280℃に昇温してから、系の圧力を徐々に減じて
1時間後に0.1Torrとした。この条件下でさらに
重縮合反応を続け、1.5時間後に系を窒素ガスで常圧
にし、系の温度を下げて、255℃になったところでイ
ソフタル酸1.04kgを添加し、250℃で50分撹
拌した(解重合反応)。その後、窒素ガスで加圧状態に
しておいてシート状に樹脂を払い出した。そしてこれを
室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉砕し、篩
を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリ
エステル樹脂A−1として得た。同様の方法で、酸成分
とアルコール成分の構成が下記表1に示される条件とな
るようにして、ポリエステル樹脂A−2〜A−9を得た
製造]テレフタル酸16.80kg、イソフタル酸1.
66kg、エチレングリコール3.31kg、ネオペン
チルグリコール6.02kg、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシエトキシフェニル)プロパン14.06kgをそ
れぞれ用意し、これらを混合して、オートクレーブ中に
おいて260℃で2.5時間加熱してエステル化反応を
行った。次いで触媒としての三酸化アンチモンを1重量
%含有するエチレングリコール溶液660gを添加し、
系の温度を30分で280℃に昇温してから、系の圧力
を徐々に減じて1時間後に0.1Torrとした。この
条件下でさらに重縮合反応を続け、1.7時間後に系を
窒素ガスで常圧に戻し、系の温度を下げて250℃にな
ったところでイソフタル酸923gを添加し、245℃
で45分間攪拌して第一段目の解重合反応を行った。そ
して、さらに系を230℃まで降温し、2,2−ビス
(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン1.76
kgを添加して、この温度で60分間撹拌して第2段目
の解重合反応を行った。その後、上記のポリエステル樹
脂A−1を得た場合と同様に、シート状に払い出した樹
脂を粉砕、分画・採取して、粒状のポリエステル樹脂A
−10を得た。同様の方法で、酸成分とアルコール成分
の構成が下記表1に示される条件となるようにして、ポ
リエステル樹脂A−11〜A−13を得た。
エステル樹脂の特性を分析又は評価した結果について、
下記表1に示す。なお、これらのポリエステル樹脂のう
ち、本発明におけるポリエステル樹脂としての要件を満
たすものは、A−1,A−2,A−7,A−8, A−1
0,A−11,A−12であった。
ル樹脂を用いて、以下に示す方法によってポリエステル
樹脂水分散体を製造した。ジャケット付きの5Lガラス
容器を備え、しかも装着時にはこれが密閉状態となる複
合型撹拌機(特殊機化工業製「T.K.Combimi
x 3M−5」)を用いて、ガラス容器内にポリエステ
ル樹脂750g、イソプロパノール540g、蒸留水
1,680g、そしてポリエステル樹脂中の全カルボキ
シル基に対して1.1倍当量となる量のトリエチルアミ
ン(以下、TEAと略記する)を一括して仕込み、高速
剪断型の撹拌翼(ホモディスパー)の回転数を6,00
0rpm、アンカーミキサーの回転数を15rpmとし
て撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱が認
められず、完全浮遊状態となっていることが確認され
た。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にジャケット
に熱水を通して加熱した。そして系内温度が60℃又は
ポリエステル樹脂のガラス転移温度のうちの高い方の温
度に達したところでホモディスパーの回転数を6,50
0rpmに上げ、系内温度を75〜78℃に保ってさら
に45分間撹拌した後、ジャケット内に冷水を通し、ホ
モディスパーの回転数を3,000rpmに下げて攪拌
しつつ室温まで冷却して、ポリエステル樹脂水分散体を
得た。このようにして得られた実施例1〜7及び比較例
1〜6におけるポリエステル樹脂水分散体には、そのい
ずれにおいても、層分離や沈殿は見いだされなかった。
を、635メッシュのステンレス製フィルター(線径
0.020mm、平織)を用いて加圧濾過(空気圧0.
2MPa)し、得られた濾液をポリエステル樹脂水分散
体の特性の分析又は評価に供すると共に、後で述べる着
色剤を含有させたコーティング組成物(以下、着色コー
ティング組成物と略記する)の製造に用いた。なお、上
記のいずれの実施例及び比較例においても、濾過後のフ
ィルター上に樹脂の残存は認められなかった。
ポリエステル樹脂水分散体300gと、着色剤としての
三菱化学製カーボンブラック#50(以下、B−1と略
記する)12gを一括して1Lのステンレス製容器に仕
込み、ガラス棒で軽く撹拌した後、これを水道水で冷却
しながら、卓上型のホモミキサー(特殊機化工業製
「T.K.ロボミックス」)を用いて、9,000rpm
で20分間撹拌することにより、分散処理を行った。そ
してこの分散液を、635メッシュのステンレス製フィ
ルター(線径0.020mm、平織)を用いて加圧濾過
(空気圧0.2MPa)し、この濾液を着色コーティン
グ組成物として得た。なお、上記の各実施例及び比較例
において使用したポリエステル樹脂の種類、得られたポ
リエステル樹脂水分散体及び着色コーティング組成物の
特性を下記表2に示す。
スフィルムとして厚み3.5μmの2軸延伸PETフィ
ルムを用意し、その片面に、耐熱コート剤(信越化学工
業製、KR218)を用いて厚さ0.1μmの耐熱層を
形成させた。次いで、もう一方の面に上記の着色コーテ
ィング組成物を、乾燥膜厚が1.0μmとなるように、
卓上型コーティング装置(安田精機製、フィルムアプリ
ケータNo.542−AB型、バーコータ装着)を用い
てコーティングし、これを水平に保った状態で、100
℃に調整されたオーブン中で2分間乾燥することにより
均一な被膜を形成させ、これをインキ層として有する熱
溶融型転写リボンを得た。そして、得られた転写リボン
と記録材である上質紙とを、インキ層が紙面に接するよ
うに重ね合わせて、サーマルヘッドを用いて印可電力
0.3W/dot、パルス幅2.5msec(ON/O
FF)、dot密度6dot/mmでベタ及び網目間隔
約1mmのメッシュ状に転写を行って、転写画像を得
た。また、上記の上質紙の代わりに、炭酸カルシウムを
10重量%含有する厚み188μmのPETフィルム
(以下、記録用フィルムと略記する)を記録材として用
い、同様の方法で転写画像を得た。これらの転写画像の
特性について評価した結果を下記表3に示す。
例6又は実施例7で得られたポリエステル樹脂水分散体
300gに対し、着色剤として上記のB−1もしくは大
日精化製の黄色顔料♯2400(以下、B−2と略記す
る)を添加し、必要に応じて有機溶剤、塩基性化合物、
水又は他の成分(ウレタン樹脂エマルション:旭電化工
業製アデカボンタイターHUX−350、固形分30
%)を加え、下記表4に示す仕込み組成となるようにし
て、これに下記のX法又はY法による分散処理を施した
後、実施例1と同様に加圧濾過を行い、この濾液を着色
コーティング組成物として得た。なお、これらの着色コ
ーティング組成物の仕込み組成及び分散処理方法につい
て下記表4に示す。 〈分散処理:X法〉原料を全て1Lのステンレス製容器
に仕込み、ガラス棒で軽く撹拌した後、これを水道水で
冷却しながら、卓上型のホモミキサー(特殊機化工業製
「T.K.ロボミックス」)を用いて、9,000rpm
で20分間撹拌することにより、分散処理を行った。 〈分散処理:Y法〉原料の全てを、ガラスビーズ(2m
m径)400gと共にステンレス製容器に仕込み、これ
をペイントシェーカーによって室温で1時間振とうする
ことにより、分散処理を行った。このとき、ガラスビー
ズは破壊されることなく、後工程の濾過によって取り除
かれた。
で得られた着色コーティング組成物について、実施例1
と同様の操作によって、熱溶融型転写リボンの製造及び
記録用フィルムへの転写を行い、転写画像を得た。な
お、上記の着色コーティング組成物の特性及びこれより
得られた上記の転写画像の特性を下記表5に示す。この
とき、表中における着色コーティング剤の固形分濃度の
収率が低いことは、カーボンブラックの分散不良もしく
はポリエステル樹脂粒子の凝集により、これらの一部が
濾過工程で取り除かれたことを示唆するものであるただ
し、比較例10においては、(D)成分である有機溶剤
の仕込み量が、全成分の合計仕込み量に対して50重量
%を超えており、調製後に室温で静置したところ1日で
固化したため、特性の分析及び評価並びに転写は行わな
かった。また、比較例7においては、(B)成分である
着色剤の仕込み量が(A)成分であるポリエステル樹脂
の仕込み量に対して多すぎたため、分散状態が悪く低固
形濃度分のコーティング剤しか得られず、これをコーテ
ィングしても極端に凹凸のある被膜しか得られなかっ
た。
貯蔵安定性、他成分との混合安定性、希釈安定性等に優
れ、しかもコーティング性が良いので、コーティングの
際にハジキ等の問題が発生し難い。また、これより得ら
れる被膜形成物は、熱溶融型転写リボン用のアンカーコ
ート層もしくはインキ層等として、又は熱昇華型転写リ
ボン用の保護コート層等として好適であり、低熱量での
熱転写性に優れ、しかも、幅広い種類の記録材に対して
鮮明に転写でき、特に転写画像の耐水性、耐薬品性、耐
擦過性に優れている。したがって、本発明のコーティン
グ組成物を用いれば、上記したような優れた特性を備え
た転写リボンを製造できる。さらに、本発明のコーティ
ング組成物は、これより得られる被膜形成物の耐水性及
び耐薬品性が特に優れていることから、この被膜形成物
の上に水性もしくは有機溶剤系の各種コーティング剤を
重ね塗りしても、それらの水性媒体や有機溶剤によって
も層構造が壊れないという画期的な特長を有している。
したがって、この点を利用すれば、複層の被膜が積層し
た熱転写リボンを安定して製造することができ、結果と
して、低熱量での転写性を犠牲にすることなく、さらに
高機能を付与した転写リボンの製造も可能となる。
Claims (1)
- 【請求項1】 下記(A)〜(D)の成分が含有されて
なり、かつ(A)の成分と(B)の成分の重量比が下記
数式Iの範囲の比率であり、かつコーティング組成物に
対して(D)の成分の含有率が0.5〜50重量%であ
り、ポリエステル樹脂粒子又は、ポリエステル樹脂粒子
及び着色剤が水性媒体中に分散してなることを特徴とす
る転写リボン用コーティング組成物。 (A)多塩基酸成分と多価アルコール成分とより構成さ
れ、酸価が8〜40mgKOH/gであり、ガラス転移
温度が40℃以上であり、数平均分子量が2,000〜
15,000であり、かつ下記(a)及び(b)の条件
を満足するポリエステル樹脂。 (a)多塩基酸成分のうち、50〜95モル%がテレフ
タル酸成分であり、5〜50モル%がイソフタル酸成分
である。 (b)多価アルコール成分のうち、10〜50モル%が
ビスフェノール構造を有する成分又はシクロヘキサンジ
メタノール成分である。 (B)着色剤。 (C)アンモニア又は沸点が160℃以下の有機アミン
化合物からなる塩基性化合物。 (D)ケトン、アルコール、グリコール誘導体から選択
される150℃以下の沸点を有する有機溶剤。 【数1】
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-
1999
- 1999-06-23 JP JP17676099A patent/JP4302239B2/ja not_active Expired - Fee Related
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