【発明の詳細な説明】
プロピンの製造方法
本発明は、プロパジエン含有供給物を異性化触媒と接触させることによるプロ
ピンの製造方法に関する。本発明はまた、得られたプロピンの、アルキルメタク
リレートの製造における使用に関する。
均質触媒の存在下でのプロパジエン(アレン)の異性化によるプロピン(メチ
ルアセチレン)の製造は、米国特許3,579,600に記載されている。この
文献によれば、触媒は、10を越える誘電率を有する双極性非プロトン性溶媒お
よびリチウムを除いてアルカリ金属のアルコキシドまたは水酸化物の溶液からな
る。該文献の実施例は、ジメチルスルホキシドまたはテトラヒドロチオフェン−
1−オキシド中に溶解した水酸化カリウムの使用を例示する。すべての場合にお
いて、水、メタノールまたはエチレングリコールのようなプロトン性共溶媒が存
在する。好ましい触媒組成物は、ジメチルスルホキシドおよび水酸化カリウムの
混合物を含む。この触媒組成物は良好な活性および選択性を示すけれども、ある
期間にわたって分解して不快な
煙霧を発する欠点がある。
「プリパラティブ・アセチレニック・ケミストリー(Preparative
Acetylenic Chemistry),編者エル・ブランズマ,エル
セヴィアー・パブリッシング・カンパニー社,アムステルダム,1974」にお
いて、アセチレンおよびアレンの塩基接触異性化が、アセチレンの製造における
その利用の観点で比較的広範に検討されている。第144頁の表IIから、当該
基質によって異性化平衡混合物は、末端または非末端のアセチレン、アレン、共
役ジエンおよびエニンを含めて様々な生成物または生成物混合物を含有し得る、
ということが認識され得る。更に、ジメチルスルホキシドは、アンモニア、水お
よびアルカノールを除いては最も普通に用いられる溶媒のようである。
独国特許出願3,700,033の実施例1は、1,2−ブタジエンの接触異
性化による2−ブチンの製造方法であって、触媒がN−メチルピロリドン中のカ
リウムtert−ブトキシドの溶液である方法を開示する。非末端2−ブチンは
、98.9%の選択性でもって形成される。そのほかに、1.1%の1,2−ブ
タジエンが形成される。末端アセチレン即ち1−ブチンは
生成されない。この観察は、アミド溶媒の使用が末端アセチレンへの選択性より
むしろ非末端アセチレンへの選択性を促進することを示唆している。
今般、プロピン対プロパジエンの平衡比を大きくする方向に活発に異性化を促
進することにより、並びに触媒溶媒としてのジメチルスルホキシドの使用におい
て遭遇されるような不快な煙霧の形成をなくするか、または少なくとも減少させ
ることにより、アミド溶媒中の強塩基の溶液がプロパジエンから出発するプロピ
ンの製造にとって非常に適した異性化触媒を構成するということが見出された。
従って、本発明は、アミド溶媒中に溶解した強塩基を含む異性化触媒とプロパ
ジエン含有供給物を接触させることによるプロピンの製造方法を提供する。
N−メチルピロリドンおよびN,N−ジメチルアセトアミドのような代表的ア
ミドは、米国特許3,579,600の開示により要求されるような10より高
い誘電率を有する、ということが注目すべきである。しかしながら、この文献は
、アミド溶媒の特定的使用に対して何ら示唆を与えない。第1欄と第2欄にわた
るパラグラフは、いかなるアミドにも全く言及するこ
となく、スルホキシド、アルキレンポリアミン、複素環式イミン、アルカノール
アミン、アミンオキシドおよびホスフィンオキシドのような多数の高誘電率双極
性非プロトン性溶媒を挙げる。その上、溶媒の分解および不快な煙霧の併発的発
生に因る実用上の問題は、何ら考慮されずまたは議論されていない。また、ジメ
チルスルホキシドは、プロトン性共溶媒の効果に関して、本発明で用いられるア
ミド溶媒とは異なる挙動をするようである。上記の刊行物の実施例は、実際には
ジメチルスルホキシドはプロトン性共溶媒、特に水と共に用いられるべきである
ということを示している。
アミド溶媒の場合、水性(共)溶媒は必要とされず、かつそれは触媒活性を低
減する傾向にあるということが分かった。低沸点(共)溶媒が存在しないことに
よって、流出物の流れが低沸点不純物で汚染されないという別の利点がある。
従って、本発明の好ましい実施態様において、本方法は、水の実質的な不存在
下で(例えば、約500ppm[vol]未満のH2O,連続法においては約1
00ppm[vol]未満のH2O、好ましくは10ppm[vol]末満のH2
O)行われる。供給物または触媒溶液から水を除去する方法は当業界に
おいて十分に確立されており、ここで更に例示する必要はない。
プロパジエン含有供給物の特質または供給源は臨界的でない。該供給物は、純
粋なプロパジエンであり得、あるいはかなりの量の不活性気体希釈剤を含有し得
る。該供給物は、脱プロパン塔オーバーヘッドまたはプロパン−プロペン(PP
)スプリッターの塔底流出物であって、PPスプリッターへの供給物に水素化が
適用されないときの該流出物のように熱クラッキング操作から商業的に入手でき
、そしてプロピンおよびプロパジエンのほかにプロペンおよびプロパン並びにC4
成分の残渣を含むプロピンおよびプロパジエンの混合物を含有し得る。
最適なプロピン収率では、商業用プロピン/プロパジエン混合物は慣用の分離
技術により分割され得、その後該プロパジエンは本発明に従って加工される。本
方法の生成物はプロピンの分離に先立って再循環されかつ新鮮なプロピン/プロ
パジエンと一緒にされて、本方法にとっての供給物を構成する。
プロピン/プロパジエン混合物を分離する方法は、EP−A−0,224,7
4B、EP−A−0,392,601、EP−A−0,533,291およびE
P−A−0,533,628に開示されている。例えば、プロパジエンは抽出蒸
留により選
択的に除去され、しかして該蒸留においては、プロピンおよびプロパジエンの混
合物は極性有機溶媒中に溶解され、プロパジエンは気体として除去され(例えば
、ストリッピングにより)、プロピンは該溶媒中に溶解されたままにされる。
本方法において用いる塩基は、強力でありかつ所望濃度を与えるのに十分に触
媒溶媒中に可溶であるべきである。適当な塩基は、アルカリ金属の水酸化物、ア
ルコキシドおよびアミドを含む。代表的な例は、水酸化リチウム、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムメトキシ
ド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムtert−ブトキ
シド、カリウムtert−ブトキシド、カリウムピロリドネートのようなプロト
ン性アミドのアルカリ金属塩、並びにアルキル化されたピロリドン、カルボキサ
ミドまたはカルボンアミドのアルカリ金属化合物、例えば金属性アルカリ金属と
非プロトン性アミド溶媒との反応により水素原子の引抜きを通じて得られるもの
を含む。塩基は、異性化反応の活性触媒作用について所要の塩基強度を塩基/触
媒溶液に与えるのに十分強力であるべきである。より弱い塩基はより高い濃度(
場合によっては、溶解限度を越える濃度)を必要とす
る。一般に、共役酸のpKaは、少なくとも水のpKaの値を有すべきであり、
そして約14より高く、好ましくは15より高くなるべきである。強塩基は、ア
ルカリ金属の水酸化物またはアルコキシド、特にアルカリ金属アルコキシド(約
16のpKa)であることが好ましい。
アミド溶媒中の強塩基の濃度は、広範な範囲で変動し得る。実際に、総液状触
媒組成物中0.1〜50重量%の強塩基の濃度が適当である。一層低い濃度にお
いては所要の塩基強度が達成され得ず、そして一層高い濃度においては溶解度の
問題に直面する。好ましい濃度は、0.5〜30重量%の範囲にある。
本方法での使用に適し得るアミド溶媒は、ペルアルキル化リン酸トリアミド、
例えばヘキサメチルリン酸トリアミド;ペルアルキル化アルキルホスホン酸ジア
ミド、例えばテトラメチルメチルホスホン酸ジアミド;ピロリドン類、例えばピ
ロリドンおよびN−メチルピロリドン;ペルアルキル化カルボキサミド、例えば
N,N−ジメチルアセトアミドおよびN,N−ジメチルホルムアミド;及びペル
アルキル化尿素、例えばテトラメチル尿素を含む。上記のアミド溶媒の使用は、
異性化反応にとって活性触媒をもたらすことになる。しかしながら、あるものは
、
健康面もしくは環境面にかんがみて、または本方法の高アルカリ性環境であまり
安定でない点にかんがみてあまり好ましくない。この点で、本方法における使用
のためのアミドの好ましいクラスは環式アミド、特にN−アルキルピロリドンに
より構成される。N−メチルピロリドンは、好適でかつ商業的に入手できる。
圧力および温度は、本方法の異性化反応に臨界的でなくそして広範な範囲で変
動し得る。低温における溶媒の凍結または高温における溶媒のアルカリ性攻撃の
ような考慮事項が、実用上の温度範囲を決定する。本方法の反応温度は、−20
〜80℃の範囲にあることが好ましい。温度は、20〜70℃の範囲にあること
がさらに好ましい。大気圧より低い圧力および大気圧が用いられ得るが、しかし
大気圧より高い圧力、特に適用温度における反応成分の飽和蒸気圧までの圧力が
好ましい。現実の操作温度および圧力の選択は、プロパジエンおよび/またはプ
ロピンを含有する混合物の安全な取扱いが可能な範囲(部分的には、プロパン、
プロペン、ブタン、窒素、二酸化炭素等のような不活性ガスによる希釈の程度に
左右される。)により影響される。最も好ましい圧力は、1〜40バールゲージ
圧(barg)
の範囲にある。
本方法は、液状触媒組成物を含む閉鎖反応器中にプロパジエン含有供給物を導
入し、平衡が達成されるまで反応を維持することにより回分操作により(batch-
wise)簡便に行われ得る。しかしながら、本方法は(半)連続的に、例えば連続
的に液状触媒組成物を含有する反応器の一端からプロパジエン含有供給物を導入
しそして気体状反応生成物を他端から取り出すことにより行われることが好まし
い。供給速度または供給流量は、反応器を去る生成物中のプロピン/プロパジエ
ン平衡比に接近または到達するのに適切な空間速度を設定するために制御される
。適当な供給速度は、1時間当たり反応器の液状内容物の1容量につき液状プロ
パジエン含有供給物の実容量(LHSV)で表して通常0.1〜10 l/l.h
rの範囲、好ましくは0.5〜2.5 l/l.hrの範囲にある。気体状のプロ
ピン富化生成物の流れは、所望のプロピンを分離するために、例えば、「ウルマ
ンズ・エンサイクロペディア・オブ・インダストリアル・ケミストリー(Ull
mann’sEncyclopaedia of Industrial Ch
emistry),Vol.A1,pp.140〜145(1985)」および
ここにおい
て挙げられている参考文献において指摘されているように凝縮および分留するこ
とにより、または適当な溶媒中で選択的に吸収/放散することにより、更に慣用
的に加工され得る。
図1は、本発明の特定の実施態様を概略的に表す。本方法は、プロパンおよび
プロペンを更に含有するプロピン/プロパジエン含有供給物(1)を吸収塔(2
)に送ることにより行われ、しかしてプロピンおよびプロパジエンはジメチルホ
ルムアミドのような適当な溶媒中に選択的に吸収されそして吸収溶液は管路(3
)を通じて第1放散塔(4)に送られる。プロピンおよびプロパジエンが減少さ
れていて主としてプロパンおよびプロペンから成る供給物の気体状の残部は、更
なる加工のために凝縮されそして管路(5)を通じて取り去られる。第1放散塔
において放散されるプロパジエンは管路(6)を通じて異性化装置(7)に送ら
れ、しかしてそれは前記に記載されたようなやり方でプロピンとの平衡混合物に
異性化されてプロピン/プロパジエンを含有する流れが得られる。この流れは、
管路(8)を通じてプロピン/プロパジエン含有供給物(1)に再循環される。
プロピン吸収液は管路(9)を通じて第2放散塔(10)に送られ、しかして高
純度プロピンの流れ(11)が放散され
そしてこの塔の頂部から集められる。放散後の溶媒は、管路(12)を通じて吸
収塔(2)に再循環される。
本方法はまた、上記に論じられたよう容易に実施し得るものであり、強塩基を
含有するアミド溶媒中にプロピンおよびプロパジエンを選択的に吸収する方法で
ある。このことから、別個の(費用のかかる)異性化装置を必要としない。プロ
ピン/プロパジエン混合物は上記に挙げられた条件にて異性化され、その後プロ
ピンが富化されたプロピン/プロパジエン生成物の流れは選択的に放散される。
プロピンおよびプロパジエンは、次いで慣用的に分離される。生じたプロパジエ
ンの流れを、供給物と一緒にすることが好ましい。やはり、供給速度または供給
流量は、プロピン/プロパジエン混合物の選択的吸収のために適切な且つ反応器
を去る生成物中のプロピン/プロパジエン平衡比に接近または到達するのに適切
な空間速度を設定するために制御される。適当なLHSV供給速度は、通常0.
1〜10 l/l.hrの範囲典型的には0.5〜2.5 l/l.hrの範囲にあ
る。
図2は、本発明のこの代替的実施態様を概略的に表す。この方法は、プロパン
およびプロペン並びに重質留分(ブタン等)
を更に含有するプロピン/プロパジエン含有供給物(1)を重質留分蒸留塔(1
3)で処理することにより行われ、これらの重質留分は該塔の底から除去され(
流れ14)、気体状C3の流れ(15)は反応性吸収塔(16)に送られ、そし
てプロピンおよびプロパジエンは強塩基を含有するアミド溶媒中に選択的に吸収
され、そして吸収溶液は管路(17)を通じて第1(反応性)放散塔(18)に
送られる。やはり、プロピンおよびプロパジエンが減少されている供給物の気体
状の残部は、更なる加工のために凝縮されそして管路(19)を通じて取り去ら
れる。(反応性)放散塔(18)において、プロピンおよびプロパジエンの両方
が放散されて、プロピンが富化された高濃度の気体状プロピン/プロパジエンの
流れ(20)をもたらす。放散後の溶媒は、管路(21)を通じ反応性吸収塔(
16)に再循環される。気体状の流れ(20)は、第2吸収塔(22)に送られ
る。この塔においてプロピンはアミド溶媒(塩基を有さない)中に選択的に吸収
され、そして吸収溶液は管路(24)を通じて第2放散塔(25)に送られ、一
方気体状の残部の流れ(20)は管路(23)を通じて重質留分蒸留塔(13)
に再循環される。第2放散塔(25)において、高純度プロピン(2
6)が溶媒から放出され、そして溶媒は第2吸収塔(22)に再循環(27)さ
れる。
本発明の方法により得られたプロピンは、例えばEP−A−0,392,60
1に記載されているようにカルボニル化触媒の存在下での一酸化炭素およびアル
カノールとの反応によるアルキルメタクリレートの製造において出発物質として
特に好適である。
本発明は、次の実施例により更に例示される。これらの例において、次の略記
が用いられる。
MA/PD=プロピン/プロパジエン
DMSO=ジメチルスルホキシド
MeOH=メタノール
NMP=N−メチルピロリドン
DMAC=N,N−ジメチルアセトアミド
MeOK=カリウムメタノラート
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド実施例I
a. 一連の150mlの気密ガラス壜の各々に、75〜80mlの下記の表I
の触媒組成物の一つを装填した。触媒組成物
は、商業用等級の脱水溶媒を用いてN2ブランケット下でまたはN2グローブボッ
クス中で製造された。約97%volのPD、約1%volまたはそれ未満のM
Aおよび約100ppm[vol]H2Oを含有するウカー社(Ucar)また
はインテルマー社(Intermar(°))の商業用PDガスを当該液に吹き込んで泡
立て、周囲温度における飽和を達成させた。この反応混合物を、指示した温度で
磁気的に撹拌した。指示した時間に、サンプルをガスキャップから採取しそして
気液クロマトグラフィーにより分析した。サンプリングは、飽和処理操作の一部
または全部が完了した後直ちに開始された。
結果は、表Iに記載されている。平衡の達成が早ければ早いほど一層良好であ
る、ということが評価されよう。同様に、重質の気体状副生成物の形成が避けら
れることが好ましい。実験を比較すると、比較触媒は、典型的には全体のMA+
PDの濃度を犠牲にして、PDガスと触媒の長期の接触後のみ平衡に到達した、
ということが分かる。
b. 同様な比較実験1Jにおいて、250mlの鋼製オートクレーブを用い、
そしてMeOH中の1.0重量%MeOKから構成された触媒組成物100ml
を装填した。この実験にお
いては、オートクレーブのガスキャップをN2で3回フラッシした後、N2で8バ
ールに加圧した。次いで、温度を約40℃に上げ、そして30分間典型的には1
5重量%PD、23重量%MAおよび約10ppm[vol]H2Oを含有する
アガ社の商業的に入手できる溶接ガス80mlをオートクレーブ中にポンプで注
入した。18時間の運転時間後、温度を約60℃に上げた。再びサンプルをガス
キャップから採取し、GLCにより分析した。この場合、MA/PDの比率は、
25時間後でさえ1.2/1を越えなかった。表 I *そのほかに、不快臭の広がり及び全体のMA+PDの濃度の減少表I(つづき)
゜0.03%MAを含有する商業用PDガス実施例II
a. 連続実験において、磁気撹拌機を備えた190mlのガラス製圧力反応器
を用いた。N2ブランケット下で1.0重量%のt−BuOKをNMP中に溶解
することにより液状触媒組成物を製造し、そして150mlを反応器中に装填し
た。液化PD脱プロパン塔オーバーヘッド(典型的には、1.6〜1.9%PD
、2.2〜2.4%MA、92%プロピレン、3.3%プロパンおよび小量のC4
不純物を含有する。)を乾燥用分子篩3Aの床上にポンプで注入し、フラッシ
ュした後、それを反応器
の底の近くにて出口を有する浸漬管(dip-tube)を経て気体として反応器に入れ
た。気体状反応生成物が、ガスキャップを経て反応器から放出された。排ガス管
路において、順次、受容器、背圧調整器、質量流量計およびサンプリングポイン
トが備えられていた。PD供給速度(液体基準でl/l.hr)を、ほぼ平衡転
化度(80%プロパジエン転化度と見積もられる。)を達成するよう適合させた
。4.6〜5.1バールの圧力および25℃の温度において得られた転化度が、
図3に示されている(オープンデータポイント(白抜きのデータ点))。
b. 同様な実験において、触媒寿命に対するプロパジエン含有供給物中の水の
影響を観測するために、分子篩子備床を迂回させた。蓄積された脱プロパン塔オ
ーバーヘッド供給物の関数としての達成された転化度もまた、図3に示されてい
る(クローズドデータポイント(黒塗りのデータ点))。分子篩床を迂回するこ
とにより実験b)において起こる水の蓄積は、約4000mlの蓄積供給物にお
いて触媒活性の減少に通じる。実験a)においては、優秀な触媒活性か、10,
000mlの供給物を蓄積した後も依然観測された。実施例III
(図2参照)
算出された実験(装置の容量はまだ考えられていない。)において、PPスプ
リッターの塔底流出物の供給物と同様であって40重量%のプロパン、19重量
%のプロペン、15重量%のPD、25重量%のMAおよび1重量%の一層重質
の炭化水素から構成された供給物(1)並びに第2吸収塔(22)から導かれた
、42重量%のプロパン、40重量%のプロペン、15重量%のPDおよび2.
9重量%のMAからなる再循環物の流れ(23)を、重質留分塔(13)に供給
する。(1)の供給速度は6,000kg/hrであり、(23)では1800
kg/hrである。重質留分の流れ(14)を、80kg/hrの速度にて集め
る。この流れは75重量%の一層重質の炭化水素から構成され、一方残りの77
20kg/hr(流れ15)を反応性吸収塔(16)に供給する。塔(16)に
おいて、供給物を、4重量%のt−BuOKを含有する20,000kg/hr
のDMFから構成された流れ(21)と接触させる。塔(16)を、8barg
および62℃の塔底温度にて操作する。塔(16)にはリボイラーおよび凝縮器
を設置する。液状の塔頂生成物(19)は3580kg/hrの速度にて放出さ
れ、そしてそれは67
重量%のプロパン、32重量%のプロペン、0.8重量%のPDおよび0.2重
量%のMAから構成される。塔底生成物(17)が24.140kg/hrの速
度にて得られ、そしてそれは3重量%のプロパン、3重量%のプロペン、1重量
%のPD、10重量%のMAおよび83重量%の、t−BuOKを含有するDM
Fから構成される。
この塔底生成物を35℃に冷却し、そして2.6bargにて操作される凝縮
器を備えた第1反応性放散塔(18)に供給し、プロパン、プロペン、PDおよ
ひMAのすべてがストリップされる。塔底生成物は、上記に挙げられた流れ(2
1)である。塔頂生成物(20)を、第2吸収塔(22)に供給する。1.1b
argの圧力および58℃の塔底温度にて操作する塔(22)において、(20
)を、20,000kg/hrの速度にてDMFから構成された溶媒の流れ(2
7)と接触させる。流れ(23)を塔頂から引き出す。塔底生成物(24)はD
MF中に溶解された約11重量%のMAから成り、そしてそれを22,358k
g/hrの速度にて集める。それを、1.1bargの圧力および約180℃の
塔底温度にて操作する第2放散塔(25)に供給する。ほぼ純粋なMA(23p
pmのPDおよ
び1ppmのDMFを含有する。)を、2,340kg/hrの速度にて塔頂か
ら集める。実施例IV
同じ供給物を用いて、しかしこの場合は別個の異性化工程を有する方法にて、
2,360kg/hrのMAが製造および単離され、しかして25,000kg
/hrのDMFが必要とされる。
別個の異性化装置(典型的には、交替しながら操作する少なくとも2基の固定
床反応器から構成される。)のコストは追加的な塔および溶媒のコストより実質
的に高いことを留意すると、例IIIのやり方が好ましいことが明らかであろう
。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C07C 69/54 C07C 69/54 Z
// C07B 61/00 300 C07B 61/00 300
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,
CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G
E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR
,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,
MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P
L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK
,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN
(72)発明者 ドレント,イート
オランダ国、エヌ・エル―1031・セー・エ
ム・アムステルダム、バドハイスウエヒ・
3
(72)発明者 フアン・デル・エイク,ヨハン・メインデ
ルト
オランダ国、エヌ・エル―1031・セー・エ
ム・アムステルダム、バドハイスウエヒ・
3
(72)発明者 ホービン,ヨハン・メテイヌス
オランダ国、エヌ・エル―1031・セー・エ
ム・アムステルダム、バドハイスウエヒ・
3
(72)発明者 シモンズ,テオドル・ヨハン・レオナル
ド・ベンセスラウス
オランダ国、エヌ・エル―2596・ハー・エ
ル・ザ・ハーグ、カレル・フアン・ビユラ
ンドトラーン・30