JP2000505772A - ガラス基材にエナメルを施す方法、使用されるエナメル組成物および得られた製品 - Google Patents

ガラス基材にエナメルを施す方法、使用されるエナメル組成物および得られた製品

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、少なくとも1つのガラスフリットを含み、かつ、顔料として少なくとも1以上のマンガン化合物を含み、更に750℃未満の融解温度を持つ、より簡単にリサイクルできるエナメル組成物に関する。本発明はまた、得られるエナメル処理された製品、並びにこの組成物を使用するエナメル処理方法にも関する。

Description

【発明の詳細な説明】 ガラス基材にエナメルを施す方法、使用されるエナメル組成物および得られた製 品 本発明はガラス基材上、特に板ガラス上へのエナメル(enamel)の付着 に関する。それは特に、新しいエナメル組成物、ガラス基材上にエナメル層を作 る新しい方法、および得られるエナメルの施された製品に関する。 エナメルは従来の技術で良く知られ、特に車両産業または建設産業における窓 ガラスのようなガラス基材の被膜に使用される。とりわけ、それらは銘刻(in scriptions)または化粧層、伝導層、保護層、特に紫外線に対する保 護層、窓ガラスを車体構造の開口部に取り付けることを意図する接着層または接 着ビード、マスク、特にヒーターアレイの集電ストリップを隠すためまたは上記 の接着ビードを隠すためのマスクなどの形成を可能にする。 ガラス基材を被膜するのに使用されるエナメルは一般に(それらを基板に適用 して焼成する前に)、ガラスフリット(ガラス質のマトリックスを形成しなけれ ばならない)を含む粉末、顔料(特に着色剤としてのものであり、これらの顔料 もフリットの一部を形成することができる)、並びにエナメルを基板に適用およ び一時的に接着することを可能にする媒体または「ビヒクル」から形成され、フ リットおよび顔料は金属酸化物に基づいている。エナメルの最終的な用途に依存 して選ばれるビヒクルは、使用されるフリットおよび顔料の粒子を適切に懸濁し なければならず、および遅くともエナメルの焼成の間に消費されなければならな い。このビヒクルは溶媒、希釈剤、オイル、樹脂などを含有してよい。 エナメルを施された既存のガラス基材にとっての一つの問題は、特に板状のガ ラス基材(板ガラス)の製造における、そのような製品のリサイクルの難しさで ある。板ガラスは色彩、光および/またはエネルギー透過率などの点において多 くの要求を満さなければならないので、通常既に存在しているガラス組成物を乱 さないことおよび必要な要求に適合しない製品を与えないことは、板ガラスの製 造で使用される溶融炉に粉砕された形で再導入されるガラス廃棄物(カレット) とって実際に重要なことである。例えば、エナメルを施されていないガラスのカ レットは、一般に炉の装填量の約20〜30重量%の量でフロートガラス製造用 の炉に再導入することができるが、一方エナメルを施されたガラスのカレットは 一般に、形成されたガラス板に望ましくない残留色または溶融しない島を出現さ せることになる。従って、これらの炉に再導入することができるエナメルを施さ れたガラスのカレットの量は、最も好ましい場合で炉の装填量の2〜3重量%を 超えない(一般にエナメルは、このガラスのカレットの0.1〜0.5重量%を 構成する)。 本発明の目的は改良されたエナメル組成物を提供することおよび、改良被覆エ ナメルをされたガラス基材(特に板ガラス)、エナメルをする方法、特に既存の エナメル被覆基板より簡単にリサイクルさせることができる(特に板ガラスの製 造において)エナメル被覆基板であって、得られたエナメルを施された層が更に 好ましくは自動車用の窓ガラス(板ガラス)を被膜しなければならないエナメル を施された層に通常要求される特徴(特に、不透明度および色彩の点で)を持つ 基材を提供することである。 この目的は本発明のエナメル組成物で達成され、この組成物は少なくとも1つ のガラスフリット、および顔料として少なくとも1以上のマンガン混合物を含み 、この組成物は更に750℃より低い融 解温度を持つ。 本発明の一つの好ましい態様において、エナメル組成物は更に銀粒子を10重 量%(組成物に関して)未満、好ましくは5重量%未満含む。特に好ましくは、 それは10重量%未満、有利には5重量%未満の銀粒子および任意の他の銀に基 づく化合物を含み、および/または10重量%未満、有利には5重量%未満の銀 粒子および任意の他の伝導性粒子を含む(すなわち後者の場合には、それは10 %未満、有利には5重量%未満の伝導性粒子を含む)。特に、銀粒子を含まない および/または銀に基づく化合物を含まないおよび/または他の伝導性粒子を含 まないおよび/または後で言及する特定の好ましくない重金属(特に鉛または酸 化鉛)を含まない本発明の組成物は、後で説明するように多くの利点を持つ。 本発明では「エナメル組成物」という表現は、焼成をする前であると見なされ るエナメルの組成物を意味すると理解され、焼成後のエナメルは本質的に色つき のガラス状マトリックスの形である。「エナメル組成物の融解温度」という表現 は、本発明によれば被膜される基板に付着した形のエナメルの融解温度を意味す ると理解される。この「融解温度」は、一般に「焼成温度」または「可溶温度」 とも言われる。エナメルの分野においては、それは組成物の「十分な」焼結が観 察される最低温度と一致し、この「十分な」焼結は特に焼結の間のエナメルの毛 管効果の消滅によって明示される。当業者はこの融解温度の測定法を知っており 、例えばエナメル上にインクペン(すなわちより具体的に言えばフェルトペン) を(エナメルを処理温度に上げてその後冷却してから)通過させて、インク中の 溶媒が毛管効果のためにエナメルに吸収されるときにこの溶媒によって冷却した エナメルに残される痕跡(trace)がなくなる最低処理温度を記録すること によって行う。エナメルを施された基板 を製造する際には、基板に付着したエナメルの焼成するのために選択される温度 は、好ましくはその融解温度以上であるように選ばれる。一般的に、そして好ま しくは、本発明のエナメル組成物の融解温度は700℃より低い。 本発明にによれば、エナメル組成物は少なくとも1以上のマンガン化合物(こ れは一般に1つの化合物だが、様々なマンガン化合物の混合物でもよい)を顔料 として含む。好ましくは、それは上記マンガン化合物を主な顔料として含む、つ まりエナメル組成物は随意に1以上の他の顔料を含むことができるが、この場合 それぞれの他の随意の顔料の量はマンガン化合物の量よりも少ない。特に有利に は(特にリサイクルと結び付いた理由で)、マンガン化合物は存在する顔料の少 なくとも50重量%、好ましくは存在する顔料の少なくとも75重量%に相当し 、特に好ましくは本発明の組成物で使用される唯一の顔料である。特に、本発明 のエナメル組成物は有利には、酸化クロム、酸化銅、酸化コバルトまたは酸化ニ ッケルを含まず、そしてまたクロム酸銅、クロム酸コバルトなどのような他の着 色剤化合物および/または酸化鉄などのような他の着色剤酸化物を含まない。 マンガン化合物は好ましくはマンガン塩および/またはマンガン酸化物(例え ば、MnO2および/またはMn23および/またはMn34および/またはM nO)の形で、特に好ましくは炭酸マンガンおよび/またはMnO2の形で本発 明のエナメル組成物に加える。エナメル組成物を調製する方法に依存して、それ は別の形で供給されてもまたは組成物中において発生してもよい(特に他のマン ガン誘導体の形で)。一般的に、遅くとも被膜された基板上のエナメルを焼成す る間に、それは1以上のマンガン酸化物(好ましくはMn34で、随意にMn2 3またはMnOも同伴される) を与える。特に使用されるマンガン化合物が既に結晶化した形でない場合、例え ば本発明のエナメルを加熱処理することによって、この化合物内で例えば結晶型 の、構造的な転位を得るようマンガン化合物を処理することが一般的に有利であ り(エナメルを焼成する間に転位を起こすことも時々はあるが、一般に焼成前の 独立した加熱処理によって起こす)、この転位は特に不透明度、色彩および/ま たは付着防止性の点で改善された特性を持つエナメル層の形成を促進する。 本発明の組成物のフリット/顔料の組み合わせにおける顔料(有利にはマンガ ン化合物)の量は、特にエナメル層の不透明度および結着性の理由で(フリット および顔料の組み合わせに関して)一般に10〜50重量%、好ましくは15〜 40重量%、特に好ましくは20〜35重量%である。 本発明のガラスフリットは、エナメルフリットで一般に採用される酸化物から 特に選ばれる、例えば酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化ナトリウム、 酸化ホウ素、酸化リチウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム 、酸化マグネシウムなどから、または酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化 アンチモンなどから選ばれる酸化物を含むガラス化できる混合物である。好まし くは(特にリサイクルに関連した理由で)、ガラスフリットは酸化鉛を1重量% 未満(有利には0.1重量%未満、特に有利には0.05重量%未満)を含み、 特に好ましくは酸化鉛を含まないフリットである。酸化カドミウム、フッ素など のように他の好ましくない元素を含んでいないことも好ましい。 特に有利には、これは網目形成酸化物としてSiO2を含むフリットである。 やはり好ましくは、それはBi23および/またはZnOを修飾中間酸化物とし て含む(特に好ましくは主な修飾中間 酸化物として)。 「網目形成酸化物」、「網目修飾酸化物」および「修飾中間酸化物」という用 語はガラス製造の当業者によく知られている。網目形成酸化物はシリカSiO2 、B23などのような酸化物であり、これらはガラス網目構造の本質的な成分を 形成している。網目修飾酸化物はCaO、K2O、Na2O、BaOなどのような 酸化物で、これらはガラス網目構造を修飾すること並びに粘度若しくは融解温度 のような特性に影響を与えることができる。修飾中間酸化物はAl23、PbO ,,ZnO,,Bi23のような酸化物で、それらの環境およびそれらが存在す る割合に依存して、網目形成酸化物および/または網目修飾酸化物として機能す る。 本発明のエナメル組成物は、異なる特性(特に異なる融解温度)を持ち、一緒 に混合されたいくつかのガラスフリットを含むことができる。好ましい態様にで は、本発明のエナメル組成物はフリット(顔料は考慮に入れない)として、以下 の成分の混合物を以下の重量%(この混合物に関して)で表される比率で含む。 Bi23 50〜70% SiO2 15〜30% B23 1〜13% Na2O 0.5〜7% Al23 0.5〜7% であって、好ましくは、 B23+Na2O+Al23 7.5〜18% この組成物は、特に非常によいリサイクル能力を持つ特に有益なエナメルを得 ることを可能にする。 本発明のエナメル組成物は、エナメルを基板に適用してそれを基材へ結合させ るための所望の粘度を得ることを可能にするビヒクル を含んでもよい。このビヒクルは、従来のエナメル組成物で普通に使用される任 意のビヒクルでよく、特に溶媒、希釈剤、パインオイルおよび他の植物系オイル のようなオイル、アクリル樹脂のような樹脂、石油留分、セルロース材のような 膜形成物質などを含んでもよい。付着させる用意のできた組成物中のビヒクルの 割合は、好ましくは上記組成物の15〜40重量%である。 焼成後に得られエナメルは、マスク(例えば、自動車の接着ビードを保護する ための)として特に使用することを可能にする良好な不透明度を持つ。光学濃度 が少なくとも2.8、好ましくは少なくとも3である場合、エナメルは良い不透 明性を持つと考えられる。光学濃度(OD)は、例えばGRETAG(商標)D 200装置(550nmのフィルターを使用する)であるデンシトメーターを使 用して測定し、以下の関係によって光透過率TLに関係付けられる。 OD=log 1/TL 更に、本発明のエナメル組成物の最初の色(焼成前)に関わらず、焼成(いっ ぱんに550〜750℃の温度での)後に、それは一般に自動車用途向けに適し た色のエナメルを与える。好ましくは、本発明のエナメル組成物は、焼成後に特 にそのような用途で人気がある黒いエナメルを与える(これは一般に本発明の組 成物が、マンガン塩、特に炭酸マンガンおよび/またはMnO2、Mn23およ び/またはMn34のようなマンガン酸化物を含む場合、および/または本発明 の組成物が前述の好ましくない化合物を含まず、および/または上記のフリット を表示した重量%で含む場合などである)ように選択される。「黒いエナメル」 という表現は以後、焼成後に黒い色を持つエナメルを意味すると理解される。 特に好ましくは、本発明のエナメル組成物は、絶対値で以下の色 座標(colorimetric coordinate)を持つ黒いエナメル を得るように選択する。 L*≦5、|a*|≦2および|b*|:≦2 (好ましくは、|a*|≦1および|b*|≦1) 色座標L*、a*およびb*は1931年に国際照明委員会(Commissi on Internationale de I’Eclairage(CIE ))によって定義および提案され、1976年のCIEの公式の推薦の主題を形 成した(Commission Internationale de I’E clairage, Colorimetry−Recommandation s Offcielles−Publication CIE No.15−2 ,Vienne,1986(CIE))。上記の色座標は、約90%の光透過率 および4mmの厚さを持つ無着色のガラス基材上のエナメルの反射について、D 65光原下でMinolta CM 2002分光彩色計で測定された。 本発明のエナメルで被膜した基板は、顔料の全てまたはいくらかとしてマンガ ン化合物を使用しているので、優れたリサイクル能力も持つ。従って、本発明の 組成を持つエナメルで被膜された基板をカレット状で、ガラス板製造用のバッチ 材料融解炉(一般的に温度は約1350〜1500℃)に再導入する場合、エナ メルの色は一般的に消えて使用したバッチ材料から結果としてもたらされるガラ スの着色を妨げない。先に示したように、エナメル組成物が10%未満の銀粒子 、または10%未満の銀粒子および任意の他の銀に基づく化合物、または10% 未満の伝導性粒子を含む場合、特に、組成物が上記銀粒子および/または上記伝 導性粒子および/または上記銀に基づく化合物を全く含まない場合(特に銀はリ サイクルのときに問題を起こし、エナメルに非常に好ましくない栗茶色の色彩を 与えることがあるので)、本発明の組成物のリサイクル能力並びにその不透明性 および色の特性は特に改善される。同様に、組成物が上記の好ましくない化合物 (鉛、クロム、銅、コバルト、ニッケル、鉄、カドミウム、またはこれらの金属 の少なくとも1つを含む化合物、例えば金属酸化物等)の1つ以上を1%未満含 む、またはそれらの1以上を含まない場合、エナメルのリサイクル能力および/ または不透明性および色の特性および/または場合によってはエナメルを施され たガラスの機械的特性は更に改善する。 リサイクル並びに不透明性および色彩に関して得られる満足な特性と結び付い た利点とは別に、本発明のエナメル組成物は簡単に使用できエナメル組成物にお いて顔料として通常使用される化合物よりも安価なマンガン化合物を使用するこ とによって、より経済的であることを指摘してもよい。顔料はフリット/顔料の 組み合わせの10〜50重量%に相当しているので、費用の節約は特に大きくな ることがある。 本発明のエナメル組成物は、特に粉末状のマンガン化合物(および随意に他の 顔料)をガラスフリットの粉末(フリットは場合によっては既にビヒクル中に懸 濁されている)に加えて得ることができる。 この場合、粉末状のフリット/顔料の組み合わせの粒度は、好ましくは、粉末 を形成する粒子の少なくとも90重量%が40μmより小さい、特に好ましくは 20μmより小さい直径を持つように選ばれ、そのような粒度の選択は焼成後に 得られるエナメルの不透明性を更に改良することを可能にする。 本発明の組成物のフリット/顔料の組み合わせは、以下の方法(以後「直接法 」と言う)を使用して得てもよい。望ましいフリット/顔料の組み合わせを得る のにふさわしい原料の混合物(例えば、 上で重量%によって表される組成のフリットを含み、顔料としてMnO2を含ん でいるフリット/顔料の組み合わせを得ることが望ましい場合、酸化ビスマス、 シリカ、ホウ酸および/またはホウ砂、炭酸ナトリウムおよび/または硝酸ナト リウム、アルミナ、および炭酸マンガンおよび/またはMnO2の混合物)を約 1000℃〜1300℃の温度で融解して、好ましくは続いて混合物内で(特に 顔料内で)構造転位、および場合によっては結晶種を生じさせるために、約48 0〜500℃よりも低い温度でアニールのような処理をする。次に、粉末状のフ リット/顔料の組み合わせを与えるために混合物を粉砕する。好ましくは、行わ れる粉砕は細かい粉砕で、得られる粉末を形成する粒子の少なくとも90重量% が、40μmより小さい、好ましくは20μmより小さい、特に好ましくは10 μmより小さい直径を持つようにする(この細かい粉砕は、エナメルの不透明性 の点においてよりよい結果を得ることを可能にする)。次に、一般的には400 〜600℃で粉末を随意に加熱処理して、混合物を安定化させ、この粉末から得 られるエナメルの色彩を強化する(例えば、「より黒い」色彩を与える)ように する。 直接法は特に有利である。特にそれはエナメル組成物を製造する通常の方法よ りも単純で、素早くおよび経済的である。一般にそれは、ガラスフリットの粉末 およびマンガン化合物の粉末を混合することによって得られるエナメルよりもよ り黒い色彩を持つエナメルを得ることを可能にし、特にそれは一般に上記の色座 標(すなわち、L*≦5、|a*|≦2および|b*|≦2)を持つエナメルを得 ることを可能にする。 一般に組成物のフリット/顔料の組み合わせをビヒクルに懸濁させて、基板上 に付着させることができる組成物を得るようにする。本発明のエナメル処理する 方法によれば、ガラス基材の少なくとも 一部分を本発明のエナメル組成物で被覆し、このエナメル被覆した基板を加熱処 理してエナメルを焼成しするようにし、また適切な場合には、結晶種を発生させ または顔料内の構造的な転位を得る。 エナメル組成物を付着させる基板は、剥き出しのガラス基材、または、1以上 のエナメル層で、好ましくは1以上の本発明のエナメル層で既に被覆されている ガラス基材である。この基板は1枚以上のガラス板からなっていでもよく、ある いは向上した機械的強度および耐熱性を持つように強化されてもよい。例えば、 本発明のエナメルで被覆された基板は、本発明の組成を持つエナメルの少なくと も1つの層で、その面の1つの少なくとも1部を被覆された少なくとも1枚のガ ラス板を含む。本発明のエナメルは、他のタイプの基板を被膜するのにも使用で きる。 ガラス基材、特に板ガラスをエナメル処理する本発明の方法では、エナメル組 成物を好ましくはスクリーン印刷によって基板に付着させてその後焼成し、この 焼成は、適切な場合には、基板の曲げおよび/または強化と結び付いた加熱処理 の間に行われ、焼成温度は一般に約550℃から750〜800℃である。これ に関して、本発明のエナメルは特に自動車での応用において、実用されている従 来のエナメルに通常使用する装置の助けを借り、且つ従来のエナメルに通常使用 する温度および圧力条件下で有利に実施できると言うことができる。 エナメル組成物の付着は、噴霧によって、流し塗りまたはローラー塗りなどに よっても行うことができ、一般に付着に続いて例えば赤外線を使用して乾燥工程 を行って、例えばエナメルを基板に適用するのに有益なビヒクルから希釈剤を除 去して、エナメルを一時的に固定する。いくつかの層を基板に付着させる場合、 次の層を付着させる前に好ましくは各層を乾燥させ、全ての層について焼成を行 う。 ガラス基材の随意の曲げおよび強化は、既知の方法を使用して行なう。特に、 曲げは重力下で(特に、積層ガラスを製造することを目的とする1組のガラス基 材の曲げ)またはダイの補助で行うことができ、基板を曲げかつ強化す場合は、 強化操作はエナメル処理された基板を曲げた後で、随意に同じ装置内で行うこと ができる。 積層ガラスの窓ガラスを製造する目的でガラス基材に同時の曲げ加工を行わな ければならない場合、基材の少なくとも1つにエナメルを付着させて基板を一緒 にしてその後で曲げるが、ガラス基材は、異なる材料の少なくとも1つの中間層 フィルムを挿入するため十分に離され、その後の熱および圧力の適用でこれら全 ての部品を一緒にして積層ガラスの窓ガラスを得る。 本発明による一部のエナメル組成物は付着防止性(粘着防止性)を持ち、これ らの組成物は他のガラス板または、曲げ操作の間にそれらに接触するダイに接着 しないことを指摘することができる。 本発明のエナメルで被覆されたガラス基材、特に板ガラスは改良されたリサイ クル能力を持ち、これらの基材は一般に、ガラス板製造用の炉において、特にフ ロート法または「フロート」を使用してガラス板を製造するための、最も広く使 用される炉において、炉の装填量の15重量%程度、または少なくとも50重量 %になる量で、ことにカレットの形で、リサイクルさせることができる(エナメ ルは一般にガラスカレットの0.1〜0.5重量%を構成する)。 本発明のエナメルで被覆された基板は更に、自動車用途で使用するのに十分な機 械的特性を持つ。 本発明の他の利点および特徴は以下の例で明らかになるが、これらは本発明を 限定することなく説明するものである。 [例1] この例によれば、エナメル組成物は以下のように製造する。11重量%のB2 3、65重量%のBiO3、17.4重量%のSiO2、2.6%のNa2Oおよ び4%のAl23を含む100重量部のフリット(粉末状)を、43重量部の炭 酸マンガン(粉末状)と混合し、その後この混合物を3重量%のアクリル樹脂を 含む27重量部のパインオイルに基づくビヒクルの懸濁液に入れ、すぐに基板に 付着させることができるエナメル組成物を得る。 組成物を厚さ4mmのガラス板に付着させ、その後で約620〜750℃で焼 成する。光学濃度が3である黒いエナメルの層で被覆された基板を得る。そのよ うな基板は強化することもできる。 次に基板を粉砕して、フロート法を使用するガラス板製造用融解バッチ材料の 炉に導入し、この基板は炉の装填量の50重量%に相当する(またエナメルはこ の基板の0.5重量%に相当する)。炉の温度は1250〜1500℃である。 エナメルの脱色および炉に残るバッチストーンの不在が観察された。 [例2] 炭酸ナトリウム、アルミナ、ホウ酸、シリカ、酸化ビスマスおよびMnO2( または炭酸マグネシウム)の約1200℃での融解、続く約450℃でのアニー ル(従って、そのままでこの混合物に構造的な転位を行う)、および粉砕によっ て得られるフリット/顔料の組み合わせの143部を使用して、エナメル組成物 を製造した。得られた組み合わせは以下の組成を持っている。B23が7.7重 量%、Bi23が45.5重量%、SiO2が12.2重量%、Na2Oが1.8 重量%、Al23が2.8重量%およびMnO2が30重量%。この組成物を、 例1で使用した27部のビヒクルに加え、その後このように得られたエナメル組 成物をガラス板に 付着させ、例1のように処理した。 黒いエナメル層で被膜された基板(この層は例1で得られるものよりもより黒 い)を得るが、これは光学濃度が3.9でL*=2.7、a*=−0.9およびb* =0.3である色座標を持つ。次に基板を粉砕して、例1のような融解炉に導 入する。例1と同じ結果(すなわち、エナメルの脱色および炉に残るバッチスト ーンの不在)が観察される。 [比較例] 例1と同じ手法を行ったが、炭酸マンガンに代わって従来の顔料であるクロム 酸銅を使用した。焼成後に得られるエナメルは黒である。しかしながら、このエ ナメルで被膜されたガラスのカレットを、フロート法を使用するガラス板の製造 用のバッチ材料を融解する炉で1250〜1500℃にして処理した後、特に、 残った緑の色彩が炉を出るガラス板上に観察された。炉の汚染も観察され、これ は酸素の減少による銅の存在と結び付いている。この例のエナメルは、例1のエ ナメルおよび例2のエナメルよりも高価である(約30%高い)。 特に、本発明のエナメルは自動車工業または建設用の板ガラスの被覆に使用で きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ベレ―レマリニエール,アン―バレンタイ ン フランス国,エフ―91570 ビーブル,リ ュ デ マティルー,28

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ガラス基材用のエナメル組成物であって、上記組成物が少なくとも1つの ガラスフリットを含み、かつ、顔料として少なくとも1つ以上のマンガン化合物 を含み、更に750℃より低い融解温度を持つエナメル組成物。 2.主な顔料としてマンガン化合物を含むことを特徴とする請求項1の組成物 。 3.銀粒子を10重量%未満含むことを特徴とする請求項1および2のどちら かの組成物。 4.上記マンガン化合物をマンガン塩および/またはマンガン酸化物の形で供 給することを特徴とする請求項1〜3のうちの1つの組成物。 5.上記顔料の量がフリットおよび顔料の組み合わせの10〜50重量%であ ることを特徴とする請求項1〜4のうちの1つの組成物。 6.鉛酸化物を0.1%未満含むことを特徴とする請求項1〜5のうちの1つ の組成物。 7.上記ガラスフリットが網目形成酸化物としてSiO2を含むことを特徴と する請求項1〜6のうちの1つの組成物。 8.上記ガラスフリットが修飾中間酸化物としてBi23および/またはZn Oを含むことを特徴とする請求項1〜7のうちの1つの組成物。 9.フリットとして、以下の成分の混合物を以下で重量%で表される比率で含 むことを特徴とする請求項1〜8のうちの1つの組成物。 Bi23 50〜70% SiO2 15〜30% B23 1〜13% Na2O 0.5〜7% Al23 0.5〜7% 10.ヒビクルを更に含むことを特徴とする請求項1〜9のうちの1つの組成 物。 11.ガラス基材をエナメル処理する方法であって、少なくとも1つのガラス フリットを含み、かつ、顔料としての少なくとも1以上のマンガン化合物を含み 、更に750℃未満の融解温度を有するエナメル組成物でガラス基材の少なくと も1部を被覆し、そして次にこのエナメル処理された基板をエナメルを焼成する よう加熱処理ガラス基材のエナメル処理方法。 12.原料を約1000〜1300℃の温度で融解して、続いて随意にアニー ル処理し、そして得られた混合物をエナメル組成物のフリット/顔料の組み合わ せを与えるため粉砕する、請求項1〜10のうちの1つのエナメル組成物を製造 するための方法。 13.請求項1〜10のうちの1つの組成物である少なくとも1つのエナメル の層で、面の少なくとも1つの少なくとも1部を被覆した少なくとも1枚のガラ ス板を含む板ガラス。 14.約90%の光透過率および4mmの厚さを持つガラス基材上のエナメル の色座標を測定すると、絶対値においてL*≦5、|a*|≦2および|b*|≦ 2である色座標を持つ黒いエナメルで被覆されていることを特徴とする請求項1 3の板ガラス。
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