JP2000503942A - レトルト処理可能な長期貯蔵期間食品用容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明のレトルト処理可能な多層容器は、収納部および蓋を有してなり、それら部分は少なくとも、ＬＣＰフィルムを有する障壁層および１以上の熱可塑性材料を含む内側食品接触層を有する。収納部は、底部と該底部から延びた側壁部を有し、それらによって保存区画が決定されている。保存区画は約０．０３〜約２０リットルの充填容量を有する。収納部は、トレー、カップ、ボールまたはバケツの形状であることができる。トレーは簡単なトレーとして作製するか、あるいは複数区画のトレーとして作製することができる。収納部はさらに、側壁から延びて蓋を乗せるための領域を提供する縁部を有することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】 レトルト処理可能な長期貯蔵期間食品用容器 本発明は、契約番号ＤＡＡＫ６０−９３−００４１およびＤＡＡＫ６０−９２ −００１４下での政府支援を受けて行われたものである。本発明については、政 府が一定の権利を有する。発明の属する技術分野 本発明は、長期貯蔵期間食品の保存容器に関する。詳細には本発明は、電子レ ンジでの使用に好適なレトルト処理可能な長期貯蔵期間食品保存容器に関するも のである。ある種の実施態様では、容器は両形態でオーブン使用可能である。す なわち、従来のオーブンと電子レンジのいずれでも加熱可能である。発明の背景 熱安定化食品は、作りたての標準的な食堂の食品が使えない任地で兵士を養う のに使用されて役立ってきた。そのような食事は現在、１種類の食品１００〜１ ２０オンスが入るよう設計されたエポキシを裏材とする密封金属トレーに包装さ れている。各トレーで１２〜１８名分の食料を提供することができ、冷蔵せずに 最低３年間の貯蔵寿命が得られるように作られている。 そのトレーには、多くの制限がある。主要な制限は、容器の固有の大きさおよび 構造材料、すなわち金属に関係するものである。そのためトレーは重く、しかも 電子レンジでの使用に適さないものとなっている。 熱安定化食品は、市場でも人気が高まりつつあり、１人分および複数人数分の レトルト処理可能な（すなわち、２７５°Ｆで３０分間蒸気中でオートクレーブ 処理して耐えることができる）長期貯蔵期間食品容器に対する関心が高まってき ている。さらには、熱安定化されておらず空気および水への曝露に対する感受性 の高い食品用の長期貯蔵期間容器の開発にも関心が寄せられている。そのような 食品には例えば、パン、クラッカーおよびクッキーなどがある。 そのような容器の主要なカテゴリとしては、（１）トレーおよび（２）カップ 、缶およびバケツの２つがある。トレーは矩形であり、約７〜３０オンスを入れ ることができ、アントレー、野菜の盛り合わせおよび栄養補助食品、ならびにペ ットフードに使用される。プラスチックトレーでは、ＰＥＴまたはＰＰの構造物 と食品との間に挟むＥＶＯＨまたはＰＶＤＣの障壁層が用いられる。金属トレー はアルミニウム製である。金属と比較 したプラスチックの主要な利点は、プラスチックが電子レンジで使えること、な らびにプラスチックに入れることを消費者が好み、軽いという点である。 カップ、缶およびバケツは円柱形であるか、あるいは線対称の円錐形であるの が普通である。大きさは約６〜１６オンスの範囲である。貯蔵安定なプラスチッ ク缶は主として栄養補助食品用に使用され、プラスチックのカップおよびバケツ は、スープ、シチューおよびベビーフードに使用される。金属缶は、スープ、野 菜およびペットフードに広く使用される。プラスチックトレーの場合同様、プラ スチックバケツは電子レンジで使用することができ、ある種の用途では、プラス チックのカップおよび缶の方が、金属より消費者に受け入れられている。 プラスチック容器のこれら主要カテゴリのいずれも、多層シートを熱成形する ことで得られる。その工程で、多層シートを共押出または積層し、次に冷却し、 ロールに巻いて保管する。次の操作では、シートを加熱し、当業界で公知の多く の技術のいずれかによって、トレー、カップ、缶またはバケツを熱成形する。あ るメーカー（American National Can; ANC）は、熱成形とは異なる特許取得の方 法を報告している。そのＡＮＣの方 法は、障壁用プラスチックなどのいくつかの種類のプラスチックを閉鎖した鋳型 に射出し、その段階で多層構造を作ることでカップ、缶またはバケツを成形する 多層射出成形を用いるものである（Blow Molding Handbook，Rosato and Rosato ，Hancer1989，pp.49-50）。 従来の長期貯蔵期間容器より生産コストが低い長期貯蔵期間食品容器の開発が 望まれている。さらには、消費者が食品調理方法を選択できるようにするため、 両形態でオーブン使用可能でもある、すなわち従来のオーブンと電子レンジでの 加熱が可能である長期貯蔵期間食品容器が望まれている。 多くの電子レンジ使用可能な両形態オーブン使用可能トレーが知られている（ 例：米国特許４９９６０８６号および４８９６７７２号参照）。しかしながらそ れらの容器は、生産コストが高く、好適な貯蔵期間を提供するものがない。 レトルト処理可能で、電子レンジ処理可能で、１年以上の貯蔵期間を提供し、 従来の長期貯蔵期間容器より低い単位コストで製造可能な食品保存容器を得るこ とが望ましいと考えられる。 ３年以上の貯蔵期間を提供する上記の食品保存容器を得ることが望ましいと考 えられる。 さらには、従来のオーブンで使用することも可能な上記の食品保存容器を得る ことが望ましいと考えられる。発明の概要 本発明は、先行技術の容器と比較して大幅に貯蔵期間が改善された電子レンジ での使用に好適なレトルト処理可能な多層食品保存容器に関するものである。好 ましい実施態様においては、本発明の多層食品保存容器は両形態のオーブンで使 用可能である。 発明者らは、３年間の貯蔵期間を得る上で必要な液晶ポリマー（ＬＣＰ）フィ ルムを有してなる本発明の多層容器の障璧層の厚さは、従来のエチレン−ビニル アルコール障壁層の約２〜約５倍の薄さであり、従来のポリ塩化ビニリデン障壁 層の１０倍を超える薄さであることを発見した。この大幅な薄層化によって、加 工性が高くなり、単位容器コストが低下する。さらに、本発明の容器構造は従来 の多層障壁構造よりはるかに簡単で、容器の経済性がさらに向上している。 本発明のレトルト可能な多層容器は収納部と蓋を有し、それらの部分はＬＣＰ フィルムを有する障壁層と１以上の熱可塑性材料を含む内側食品接触層を少なく とも有してなる。収納部は、 底部と該側部から延びる側壁部を有し、それらが保存区画を決定している。保存 区画は、約０．０３〜約２０リットルの充填容量を有する。収納部はトレー、カ ップ、ボール、桶またはバケツの形態であることができる。トレーは、簡単なト レーあるいは複数に区画されたトレーとして作製することができる。収納部はさ らに、側壁部分から延びて蓋を乗せるための領域を提供する縁部を有することが できる。 収納部は、それに相当する構造を有する蓋とともに使用することができるか、 あるいは好ましいものではないが、従来の長期貯蔵期間食品用蓋とともに使用す ることができる。同様に、蓋を別個に製造して、従来の容器とともに使用するこ ともできる。 本発明のレトルト処理可能多層容器は、２７５°Ｆの蒸気中、３０分以上のオ ートクレーブ処理に耐えることができる。充填製品の滅菌後、貯蔵期間中におけ る容器中での酸素拡散や容器からもしくは容器中へのＨ₂Ｏ拡散による望ましく ない変化がなければ、それを容器中で１年以上、好ましくは２年以上、最も好ま しくは３年以上保存することができる。 別の実施態様では、収納部および蓋が１以上の熱可塑性材料 を含む外側層を有し、該層の配置は、障壁層が食品接触層と該外側層の間に入る ようなものとする。 外側層および内側食品接触層はそれぞれ好ましくは、約２ｍｍ〜約５０ｍｍの 厚さを持つ。最も好ましくは、約７ｍｍ〜約２５ｍｍである。 ＬＣＰフィルムは２３℃で約０．００８〜約０．１００ｃｃ−ｍｉｌ／１００ ｉｎ²・２４時間−ａｔｍの範囲の酸素透過率を有する。最も好ましくは、２３ ℃で約０．００８〜約０．０４０ｃｃ−ｍｉｌ／１００ｉｎ²・２４時間−ａｔ ｍである。ＬＣＰフィルムはさらに、約０．００８〜約０．１０ｇ−ｍｉｌ／１ ００ｉｎ²・２４時間−ａｔｍの範囲の水蒸気透過率を有する。最も好ましくは ＬＣＰフィルムは、約０．００８〜約０．０５ｇ−ｍｉｌ／１００ｉｎ²・２４ 時間−ａｔｍの範囲の水蒸気透過率を有する。障壁層の厚さは、ＬＣＰフィルム の酸素透過率および水蒸気透過率によって決まり、約０．２５ｍｉｌｓ〜約２０ ｍｉｌｓの範囲を取り得る。好ましくは、約１ｍｉｌ〜約１０ｍｉｌｓである。 ＬＣＰフィルムは好ましくは、多軸配向性である。 本発明での使用に好適な熱可塑性材料には、ポリプロピレン、 ポリエチレン、ポリ（エチレンテレフタレート）（ＰＥＴ）（ホモポリマーおよ び共重合体）、ポリ（ブチレンテレフタレート）（ＰＢＴ）、ＰＥＴＧ（シクロ ヘキサンジメタノール（ＣＨＤＭ）変性ＰＥＴ）、ＰＣＴＡ共重合体（ＣＨＤＭ およびテレフタル酸とのポリマーで、テレフタル酸の一部が別の酸に置き換わっ たもの）、ＡＰＥＴ（非晶質ポリエチレン）テレフタレート、ＣＰＥＴ（結晶化 可能なＰＥＴ）、ＰＣＰＴ（プロピレングリコールを含む共重合ポリエステル） 、ＰＥＮ（ポリエチレンナフタレート）およびＰＢＮ（ポリブチレンナフタレー ト）などがある。好ましい熱可塑性材料には、ＰＥＴのホモポリマーならびにテ レフタル酸およびイソテレフタル酸を含む共重合体、そしてＰＣＴＡなどがある 。特に好ましい熱可塑性材料には、 ９９２１ＷおよびＥａｓｔｍａｎ^TM１３３９；シェル（Shell）のＴｒａｙｔｕ ｆｆ^TM８００６；デュポン（DuPont）のＣｒｙｓｔａｒ^TM１９２７およびＳｅｌ ａｒ^TMＰＴ７０６７；なら びにシェルのＴｒａｙｔｕｆｆ^TMＣＰＥＴなどがある。結晶ポリ（エチレンテレ フタレート）および非晶質ポリ（エチレンテレフタレート）の組み合わせも使用 できる。熱可塑性材料の混合物および固溶体（alloy）も使用可能である。 本発明の両形態オーブン処理可能な実施態様を製造する場合、従来のオーブン 温度に耐えることができる熱可塑性材料を選択する必要がある。そのような用途 には、結晶ＰＥＴ（ＣＰＥＴ）が好ましい熱可塑性材料である。 ＬＣＰフィルムを製造するのに使用される好ましいサーモトロピックＬＣＰに は、全体または一部が芳香族のポリエステルまたは共重合ポリエステルを含有さ せる。特に好ましい共重合 ＸＹＤＡＲ^TM（Amoco Performance Products）およびＺＥＮＩＴＥ^TM（E.I.duPo nt de Nemours）などがある。 他の好ましいサーモトロピック液晶ポリマーには、ＳＵＭＩ ＲＡＮＬＡＲ^TM（Granmont）などがある。図面の簡単な説明 図１は、本発明の多層容器の１実施態様の断面図である。 図２は、本発明の主題である多層収納部の一部の断面図である。 図３は、本発明の１実施態様のトレー寸法を示す図である。 図４は、シートの厚さに応じた寸法を有する、実施例で使用の超音波スポット 溶接ホーンを示す図である。発明の詳細な説明 本発明によるレトルト処理可能多層容器について、図面を参照しながら説明す る。図１に示したように、本発明の多層容器１０は、収納部１２および蓋１４を 有し、それら各部は、サーモトロピック液晶ポリマー（ＬＣＰ）フィルムを有す る障壁層１６および１以上の熱可塑性材料を含む内側食品接触層１８を有する。 収納部１２は、底部２０と底部から延長する側壁部２２とを有し、それらによっ て保存区画２４が決定されている。縁部２６が側璧部２２から延びて、蓋１４が 乗って収納部１２に取り付けられるようにする領域２８を提供している。 本発明の多層容器の別の実施態様では、保存区画への酸素の浸透をさらに防止 するため、図２に示したように、収納部１２には１以上の熱可塑性材料を含む外 側層３０がある。外側層３０ の配置は、障壁層１６が食品接触層１８と外側層３０との間に来るようなものと する。接着層３２が障壁層１６および外側層３０を重ね合わせ、第２の接着層３ ４が障璧層１６と食品接触層１８とを重ね合わせる。接着層３２および３４は、 積層物を形成するだけではなく、酸素が障壁層１６を迂回して侵入するのを防止 する封着材として働く。 酸素が障壁層１６を迂回して侵入するのをさらに防止するため、図２に示した ように、食品接触層１８および外側層３０より小さい外側フランジ寸法を有する ように障壁層１６を形成して、例えばスポット溶接部３６を用いてそれらの層間 に障壁層１６を包み込めるようにすることができる。対応する蓋を、類似の構造 を持つように形成する。 蓋は、当業界で公知の多くの方法を用いて収納部に取り付けることができ、そ の方法には、通電、誘導（ＲＦ）封着、インパルス抵抗線、超音波、振動、ＩＲ その他の公知の加熱封着装置による加熱封着の使用などがある。別法として、接 着剤またはスポット溶接を使用することができる。 本発明での使用に好適な熱可塑性材料は、レトルト処理条件、すなわち蒸気中 ２７５°Ｆで３０分間のオートクレーブ処理に 耐えることができるものでなければならない。そのような材料は、当業界で公知 の方法によって得られる。好適なＰＥＴのホモポリマーおよび共重合体の各種製 造方法が、当業界では公知である。例えば、本発明での使用に好適なあるＰＥＴ は、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとの反応 によって得られる。ＰＥＴの各種共重合体が開発されており、それらも当業者に は公知の方法によって得られる。好適な熱可塑性芳香族ポリエステルも、多くの 販売者から市販されている。特に好ましい市販の熱可塑性芳香族ポリエステルに ^TM１３３９；シェルのＴｒａｙｔｕｆｆ^TM８００６；デュポンのＣｒｙｓｔａｒ^TM １９２７およびＳｅｌａｒ^TMＰＴ７０６７；ならびにシェルのＴｒａｙｔｕｆ ｆ^TMＣＰＥＴなどがある。明での使用に好適なＰＣＴＡ共重合体は、テレフタル酸および イソフタル酸とシクロヘキサンジメタノールとの反応によって 本発明での使用に好ましい市販のＰＣＴＡである。好ましい市 ７３５２などのテレフタル酸ジメチルおよびエチレングリコールから製造される ＰＥＴホモポリマー；シェルのＴｒａｙｔｕｆｆ^TM８００６などのテレフタル酸 、イソテレフタル酸およびエチレングリコールを含むＰＥＴ共重合体；ならびに シェルのＴｒａｙｔｕｆｆ^TMＣＰＥＴなどのＣＰＥＴなどがある。結晶ポリ（エ チレンテレフタレート）および非晶質ポリ（エチレンテレフタレート）の組み合 わせも使用することができる。 本発明の両形態オーブン処理可能な実施態様を製造する場合、従来のオーブン 温度に耐えることができる熱可塑性材料を選択する必要がある。そのような用途 には、結晶ＰＥＴ（ＣＰＥＴ）が好ましい熱可塑性材料である。 外側層および内側食品接触層は好ましくは、厚さ約２ｍｉｌｓ〜約５０２ｍｉ ｌｓとする。最も好ましくは、約７２ｍｉｌｓ〜約２５２ｍｉｌｓである。 本発明での使用に好適なサーモトロピックＬＣＰには、米国 特許３９９１０１４号、４０６７８５２号、４０８３８２９号、４１３０５４５ 号、４１６１４７０号、４３１８８４２号および４４６８３６４号に開示のよう な、全体または一部が芳香族のポリエステルおよび共重合ポリエステルを含有さ せる。 好ましいサーモトロピックＬＣＰには、全体または一部が芳香族のポリエステ ルまたは共重合ポリエステルを含有させる。 （Hoechst-Celanese）、ＸＹＤＡＲ^TM（Amoco PerformanceProducts）およびＺ ＥＮＩＴＥ^TM（E.I.duPont de Nemours）などがある。他の好ましいサーモトロ ピック液晶ポリマーには、 ならびにＧＲＡＮＬＡＲ^TM（Granmont）などがある。 Summit，New Jersey が販売）が、好ましい全芳香族共重合体である。このポリ マーは、米国特許４４６８３６４号の実施例４およびカルンダンらの報告（G.W. Calundann et al.,”Anisotropic Polymers，Their Synthesis and Properties ”，Robert A.Welch Conferences on Chemical Research，XXVI Synthetic Polymers，November 15-17，1982，Houston，Texasの議事録からの 再版、pp.247-291（特にpp.263-265参照））に記載のように、約２５〜２７％の ６−オキシ−２−ナフトイル部分と約７３〜７５％のｐ−オキシベンゾイル部分 からほぼ成ることが報告されている。 別の特に好ましいサーモトロピックＬＣＰはＺＥＮＩＴＥ^TMである。このポリ マーは、ヒドロキシ安息香酸単位／フェニルハイドロキノン単位／ジメチルナフ チレンジカルボキシレート単位から成ることが報告されている。 上記のポリマーからＬＣＰフィルムを製造する場合、例えばスロットダイス、 円形逆回転ダイスまたは円形回転３モードダイスによって、そのポリマーを溶融 押出成形する。 多軸配向ＬＣＰフィルムを使用することが好ましい。そのようなフィルムは、 米国特許４９６６８０７号および５２８８５２９号に記載の方法によって、サー モトロピックＬＣＰから得ることができる。 ３年間の貯蔵期間を得る上で要求される総酸素容器透過率（ＧＴＲ）は、容器 の障壁性能、頂部間隙に残留する酸素、食品の種類、トレーの幾何形状および蓋 （lidstock）の性能など の多くの因子によって決まる。理論に基づくと、３年間の貯蔵期間は通常は、容 器酸素透過率０．３ｃｃ／年とすることで達成できる。そこで例えば、内部寸法 が４．７５×３×１．２５（深さ）インチで実用収容能力７．５液量オンスを有 するデンプン／野菜もしくはデザート用の大きさのトレーの場合、ＬＣＰ透過率 を０．００５〜０．０１ｃｃ−ｍｉｌ／１００ｉｎ²・日−ａｔｍと仮定すると 、３年間の貯蔵期間を得るには、ＬＣＰフィルムの厚さは約３．５〜７ｍｉｌｓ となると考えられる。 障壁層の厚さは、ＬＣＰフィルムの酸素および水蒸気透過率によって決まる。 ＬＣＰフィルムは２３℃で約０．００８〜約０．１００ｃｃ−ｍｉｌ／１００ｉ ｎ²・２４時間−ａｔｍの範囲の酸素透過率を有する。最も好ましくは、２３℃ で約０．００８〜約０．０４０ｃｃ−ｍｉｌ／１００ｉｎ²・２４時間−ａｔｍ である。ＬＣＰフィルムはさらに、約０．００８〜約０．１０ｇ−ｍｉｌ／１０ ０ｉｎ²・２４時間−ａｔｍの範囲の水蒸気透過率を有する。最も好ましくはＬ ＣＰフィルムは、約０．００８〜約０．０５ｇ−ｍｉｌ／１００ｉｎ²・２４時 間−ａｔｍの範囲の水蒸気透過率を有する。障壁層の厚さは、約０．１０ｍｉｌ ｓ〜約２０ｍｉｌｓの範囲を取り得る。好ましくは、約０．５ ｍｉｌｓ〜約１０ｍｉｌｓである。最も好ましくは、約１ｍｍ〜約５ｍｍである 。 本明細書に記載のような多層容器では、連結層または粘着層を層間に存在させ ることができる。本発明を用いる積層物では、当業界で公知の好適な連結層また は接着剤を使用することができ、ポリウレタン加硫接着剤、無水マロン酸とエチ レンのグラフト共重合体のような無水物変性ポリオレフィン、エチレン−アクリ ル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、ＰＰおよびＥＶＡの混合 物もしくは共重合体その他の合成接着樹脂などがあり得る。選択される接着剤は 、レトルト処理条件下で安定でなければならない。ＦＤＡ規則２１ＣＦＲ１７５ ．１０５および２１ＣＦＲ１７７．１３９０に適合する食品用接着剤が好ましい 。そのような好ましい接着剤は、ポリエステルに基づく接着剤Ｍｏｒｔｏｎ７６ Ｔ１９８である。 本発明の多層容器は、従来の多層フィルム形成方法のいずれかによって成形す ることができ、その方法には張り合わせ、押出、共押出、ブロー押出、押出コー ティングなど、ならびにそれらの組み合わせなどがある。 例えば、本発明の多層容器の収納部は、例えばその収納部が トレーの場合、収納部の各層を別個の成形トレーとして成形することで製造する ことができる。次に、接着剤を用いたり、あるいは熱的に結合させることで各層 を重ね合わせて、多層容器を形成する。 多層容器の３層の実施態様は、例えば収納部がトレーの場合、３つの別個の成 形トレーとして各収納部層を成形することで製造できる。図２に示したように、 障壁層を形成するトレーは、相対的に小さい外側フランジ寸法を有するようにす ることで、外側層と内側食品接触層との間に障壁層を包み込めるようにして、酸 素が障壁層を迂回して侵入するのを防止できるようにすることができる。 本発明の多層容器は、各層を別個に押出成形し、例えば接着剤もしくは連結層 を用いて各層を重ね合わせることによって製造することもできる。次に、重ね合 わせた層を熱成形することで、最終的な収納部および蓋とする。 本発明の多層容器はさらに、熱可塑性層および障壁層の間に接着層がある構成 となっている積層物を共押出することで製造することもできる。次に、積層物を 冷却し、所望の大きさにカットし、熱成形して最終品のトレーとする。別法とし て、捏ね た状態のままで、共押出積層物を鋳型に押出し、熱成形する。 多層容器を蒸気中、２７５°Ｆで３０分間オートクレーブ処理する場合、容器 は元の全寸法を実質的に保持し、望ましくない座屈、皺および歪みがほとんどな い。そうしてその容器は、食品または液体の滅菌処理に使用することができる。 当該容器は、電子レンジで使用することができる。約４００°Ｆ〜約４５０°Ｆ 以下の従来の（convection）オーブン温度に耐えることができる熱可塑性材料を 用いた実施態様では、容器を従来のオーブンで使用することもできる。 以下、実施例によって本発明を説明するか、本発明はそれによって限定される と考えるべきではない。実施例１ 多層容器製作手順 本発明の多層容器を、容器を透過する酸素を大幅に低減するような形でつなぎ 合わせた３つの別個のトレーを用いて製作した。食品接触層、障壁層および外側 層と称する３つの層を、一連の特製鋳型を用いて熱成形した。 結晶ポリ（エチレンテレフタレート）（ＣＰＥＴ）および非晶質ポリ（エチレ ンテレフタレート）（ＡＰＥＴ）からなる共 押出シートストックを用いて、食品接触層および外側層を製作した。食品接触層 および外側層はそれぞれ厚さ２５ｍｉｌｓおよび４３ｍｉｌｓであり、イースト マン（Eastman）のシートストック（１２８２２および９９２１）を用いて製造 した。外側トレーには、内側にＡＰＥＴ表面を持たせた。食品接触層には、外側 にＡＰＥＴ表面を持たせた。障壁層は、液晶ポリマー（ＬＣＰ）（Hoechst-Cela nese Vectra A-950）で作り、厚さ１２ｍｉｌｓ（±１ｍｉｌ）とした。 トレーの寸法を図３に示し、以下の表１にまとめてある。 表１（寸法：インチ単位） 幅０．５インチの縁部を用いて、個々のトレーを封着して一体の容器とした。 食品用接着剤および超音波溶接法を用いて、３層の多層容器を製造した。食品 用接着剤（Morton 76T198）は、ＦＤＡ規則２１ＣＦＲ１７５．１０５および２ １ＣＦＲ１７７．１３９０に 適合するポリエステルに基づく接着剤である。その超音波スポット溶接システム では、図４に示したような可搬超音波銃およびスポット溶接ホーン６２を用いる ものであった。ホーンの寸法は、図４に示したようにプラスチックシートの厚さ （Ｔ）、すなわち点間距離５４に基づいて選択した。５６および５８の厚さはＴ の１．５倍である。６０の厚さはＴの３倍である。 ３層容器の組立手順は以下のようにした。 １．ＬＣＰトレーの縁部を０．２５インチ切り落として、０．２５インチの縁 部を残した。 ２．ＬＣＰトレー上部に幅１インチの帯状に接着剤を塗布して、縁部を覆い、 トレー側壁上まで延長した。 ３．１インチ幅の帯状接着剤を外側トレー上部に塗布して、縁部を覆い、トレ ー側壁上まで延長した。 ４．メーカーの規格に従って、接着剤を２４時間硬化させた。 ５．次に、３個のトレーを組み合わせ、加圧して重ね合わせる。 ６．ＡＰＥＴ表面が接触する外側層および食品接触層のトレー縁部を、前述の 超音波スポット溶接装置を用いて封着した。 溶接部は中央のＬＣＰトレーから約０．０６２５インチとし、 約０．１５インチ離した。 ７．次に、接着剤を７〜１４日間硬化させる。 最終的な形状で、スポット溶接部によって内側トレーと外側トレーの間に結合 強度が得られる。接着剤は主として、ＬＣＰ障壁層周囲での容器中への酸素浸透 に対する密封材としての機能を果たす。 以上の本発明についての説明は、単に本発明を説明するためのものであり、以 下の請求の範囲に示したような本発明の精神または範囲を逸脱しない限り、変更 および改良を行うことができることは明らかである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． レトルト処理可能な多層容器において、 （ａ）サーモトロピック液晶ポリマー（ＬＣＰ）フィルムを有する障壁層と１ 以上の熱可塑性材料を含む内側食品接触層とを有する収納部を有し；該収納部は 底部および該底部から延びた側壁部とを有して、それらによって保存区画が決定 されており； （ｂ）サーモトロピック液晶ポリマー（ＬＣＰ）フィルムを有する障壁層と１ 以上の熱可塑性材料を含む内側食品接触層とを有する蓋を有してなる多層容器。 ２． 前記収納部が、前記側壁部から延びた縁部をさらに有し、前記蓋が少なく とも、前記収納部の該縁部上に乗る請求項１に記載の多層容器。 ３． 前記収納部および縁部がさらに、１以上の熱可塑性材料を含む外側層を有 し；該外側層は、前記障壁層が前記食品接触層と前記外側層の間に入るように配 置されている請求項１に記載の多層容器。 ４． 熱可塑性材料が、ポリプロピレンおよびポリ（エチレン テレフタレート）からなる群から選択される請求項１に記載の多層容器。 ５． 熱可塑性材料が、ポリ（エチレンテレフタレート）である請求項４に記載 の多層容器。 ６． ポリ（エチレンテレフタレート）が結晶ポリ（エチレンテレフタレート） である請求項５に記載の多層容器。 ７． ポリ（エチレンテレフタレート）が結晶ポリ（エチレンテレフタレート） と非晶質ポリ（エチレンテレフタレート）との組み合わせたものである請求項５ に記載の多層容器。 ８． 前記液晶ポリマーフィルムが、１以上の全体または一部が芳香族のポリエ ステルまたは共重合ポリエステルを含有する請求項１に記載の多層容器。 ９． 全体が芳香族のポリエステルまたは共重合ポリエステルが６−オキシ−２ −ナフトイル部分およびｐ−オキシベンゾイル部分を有する請求項８に記載の多 層容器。 １０． 全体が芳香族のポリエステルまたは共重合ポリエステルがＶｅｃｔｒａ^TM Ａ−９５０を含む請求項９に記載の多層容器。 １１． 全体が芳香族のポリエステルまたは共重合ポリエステ ルがヒドロキシ安息香酸単位／フェニルハイドロキノン単位／ジメチルナフチレ ンジカルボキシレート単位を有する請求項８に記載の多層容器。 １２． 全体が芳香族のポリエステルまたは共重合ポリエステルがＺＥＮＩＴＥ^TM を含む請求項８に記載の多層容器。 １３． 全体が芳香族のポリエステルまたは共重合ポリエステルが、ＸＹＤＡＲ^TM 、ＶＥＣＴＲＡ^TM、ＳＵＭＩＫＡＳＵＰ 容器。 １４． サーモトロピック液晶ポリマーフィルムが、０．００８〜０．１００ｃ ｃ−ｍｉｌ／１００ｉｎ²・２４時間−ａｔｍの範囲の酸素透過率を有する請求 項１に記載の多層容器。 １５． サーモトロピック液晶ポリマーフィルムが、約０．００８〜約０．１０ ｇ−ｍｉｌ／１００ｉｎ²・２４時間−ａｔｍの範囲の水蒸気透過率を有する請 求項１に記載の多層容器。 １６． ＬＣＰフィルムが多軸配向性である請求項１に記載の多層容器。 １７． 外側構造層および内側食品接触層の厚さが５ｍｉｌｓ〜 ５０ｍｉｌｓである請求項１または３に記載の多層容器。 １８． 障壁層の厚さが０．２５ｍｉｌｓ〜２０ｍｉｌｓである請求項１に記載 の多層容器。 １９． 収納部保存区画が約０．２リットル〜２０リットルの充填容量を有する 請求項１に記載の多層容器。 ２０． 前記蓋が前記収納部に熱封着されている請求項２に記載の多層容器。 ２１． 障壁層と食品接触層とを重ね合わせる接着層をさらに有してなる請求項 １に記載の多層容器。 ２２． 障壁層と外側層とを重ね合わせる接着層ならびに障壁層と食品接触層と を重ね合わせる接着層をさらに有してなる請求項３に記載の多層容器。 ２３． サーモトロピック液晶ポリマー（ＬＣＰ）フィルムを有する障壁層と１ 以上の熱可塑性材料を含む内側食品接触層とを有する収納部において、底部およ び該底部から延びた側壁部とを有して、それらによって保存区画が決定されてい る収納部。 ２４． サーモトロピック液晶ポリマー（ＬＣＰ）フィルムを有する障壁層と１ 以上の熱可塑性材料を含む内側食品接触層とを有する多層構造物。 ２５． レトルト処理可能な多層で両形態でオーブン処理可能な容器において、 （ａ）ＣＰＥＴを含む外側層、ＣＰＥＴを含む内側食品接触層、ＶＥＣＴＲＡ から形成された液晶ポリマー（ＬＣＰ）フィルムを有する障壁層を有する収納部 を有し；該収納部は底部および該底部から延びた側壁部とを有して、それらによ って保存区画が決定されており； （ｂ）ＣＰＥＴを含む外側層、ＣＰＥＴを含む内側食品接触層、ＶＥＣＴＲＡ から形成された液晶ポリマー（ＬＣＰ）フィルムを有する障壁層を有する蓋を有 してなる容器。