JP2000502694A - ペルフルオロアルカンカルボン酸およびペルフルオロアルカンスルホン酸の調製のための方法 - Google Patents

ペルフルオロアルカンカルボン酸およびペルフルオロアルカンスルホン酸の調製のための方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ペルフルオロアルカンカルボン酸およびペルフルオロアルカンスルホン酸を調製するための新規な方法であり、同方法では、プロトン性環境において、オゾンを、少なくとも1つの化学基を含むペルフルオロアルキル鎖に対し反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】 ペルフルオロアルカンカルボン酸および ペルフルオロアルカンスルホン酸の調製のための方法 本発明は、ペルフルオロアルカンカルボン酸およびペルフルオロアルカンスル ホン酸の調製のための新規な方法に関連する。 ペルフルオロアルカンカルボン酸およびペルフルオロアルカンスルホン酸は、 今日の化学産業界において、重要な役割を果たしている(「有機フッ素化学、原 理と商業的応用」、R.E.バンクス、B.E.スマート、J.C.タットロウ 編、プレナムプレス、ニューヨーク、1994年)(“Organofluorine Chemist ry Principles and Commercial Applications”,R.E.Banks,B.E.Smart,J.C .Tatlow,Eds.,Plenum Press,New York 1994)。 ペルフルオロアルカンカルボン酸およびペルフルオロアルカンスルホン酸は、 合成中間体として、また最終生成物として、広範な用途がある。 長鎖ペルフルオロアルカンカルボン酸およびその塩類は、たとえ低濃度の場合 であっても、水溶液および有機液に含まれる水の表面張力をかなり低減すること ができる、良好な界面活性剤である。これらの酸およびその誘導体は、乳化剤、 分散剤、および起泡剤として使用することもできる。 短鎖ペルフルオロアルカンスルホン酸は、スルホンアミドの調製において、中 間体として使用される。スルホンアミドは、植物の生長調節剤および除草剤とし て使用されている。 ペルフルオロアルカンスルホン酸は、紙や布地等の多孔性の基質の、帯電防止 剤および汚染防止剤としても使用される。 ペルフルオロアルカンカルボン酸およびペルフルオロアルカンスルホン酸の調 製については、既にいくつかの方法が知られている。たとえば、これらの酸は、 一般に、電気化学的フッ素化かまたは強い酸化力を持つ化学薬品の使用により調 製されるかのいずれかである。しかしながら、これらの方法にはいずれも欠点が ある。 電気化学的フッ素化法は、液体フッ化水素を使用するため、危険が伴い、また 媒質により電気分解セルが腐食するため、複雑で費用がかかる。 化学薬品を使用する酸化の経路には、ヨウ化ペルフルオロアルキルに対する熱 発煙硫酸の作用が含まれる。発煙硫酸(三酸化硫黄SO3を含む非常に濃い硫酸 )の使用も、その腐食特性という点から見て危険である。さらに、この方法によ れば、炭素鎖が部分的に劣化し、これにより同族のフルオロ酸の混合物が生成さ れてしまう。 本発明による方法では、ペルフルオロアルカンカルボン酸およびペルフルオロ アルカンスルホン酸の調製に、オゾンを使用する。オゾンによって、出発材料は 緩やかにかつ選択的に酸化され、先行技術の方法に見られた欠点や危険が克服さ れる。 本発明の主題は、したがって、ペルフルオロアルカンカルボン酸およびペルフ ルオロアルカンスルホン酸の調製のための方法であって、オゾンを、少なくとも 1つの酸化可能な化学基を含むペルフルオロアルキル鎖と、プロトン性媒質にお いて反応させることを特徴とする。 本発明において、出発材料をかくして構成するペルフルオロアルキル鎖は、1 から12の炭素原子を含むことが可能でかつ以下の一般式を有する。 CF3(CF2nY ここで、Yは酸化可能な化学基を表わし、同化学基は、以下のいずれかから選 択することができる。 すなわち、式CF2Xで表わす化合物(Xはヘテロ原子、好ましくはハロゲン で、かつより好ましくはヨウ素である)、 ヘテロ原子基、好ましくはは硫黄を含む基、または 芳香族基のいずれかである。 好ましい具体例によれば、硫黄を含む基は、アリールチオエーテルから選択さ れ、このアリール基は、水素、直鎖または枝分かれ鎖のアルキル基およびハロゲ ン、アルコキシ、アリールオキシ、カルボン酸金属、アシルオキシ、フルオロア ルキルチオ、フルオロアルコキシ、ならびにカルボン酸の基から選択された少な くとも1つの置換基を含み得る、単環式または二環式の基から選択される。 本発明のもう1つの好ましい具体例によれば、この芳香族基は、水素、直鎖ま たは枝分かれ鎖のアルキル基およびハロゲン、エーテル、アルコキシ、アリール オキシ、カルボン酸金属、アシルオキシ、フルオロアルキル、フルオロアルコキ シ、ならびにカルボン酸の基から選択される少なくとも1つの置換基を含み得る 単環式または二環式芳香族基である。 本発明の方法によれば、出発材料をオゾンを含む蒸気に接触させるだけで反応 を行なうことができる。オゾンは、フッ素に次いで最も強力な酸化化学元素を構 成し、標準水素電極に対するその標準酸化電位は、2.07Vである。 本発明による反応は、プロトン性媒質において実行される。有利な具体例によ れば、このプロトン性媒質は、水、アルコール、またはカルボン酸からなり、フ ッ素またはその混合物を含んでいないことが好ましい。 反応温度は、−100℃から100℃であり、好ましくは0℃から40℃の範 囲である。さらにより好ましくは、この反応は室温に近い温度で実行される。 圧力の条件に関しては、この反応は一般に10バールを下回る圧力で行なわれ 、より好ましくは大気圧に近い圧力で行なわれる。 一般に、本発明による方法は、かくして、室温および大気圧といった緩やかな 条件下で、効率よく行なうことができる。 有利な具体例によれば、本発明による反応は、比表面積が大きい不溶性固体生 成物、たとえばシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、酸化チタン、活性炭、泥 炭、粘土およびゼオライトの存在下で実行することもできる。この場合、オゾン とペルフルオロ化合物との相互作用をかなり高めることができる。 式CF3(CF2nYで表わす出発材料が、フッ素原子によつて極めて電子が 乏しい状態にされることを考えれば、この酸化が何らかの特定の活性化を伴わず に、室温に近い温度で起こり得ることは、極めて驚くべきかつ意外なことである 。 硫黄を含有する出発材料に関し、先行技術は、これら出発材料が熱酸化クロム 等の非常に強い試薬の助けを借りてのみ対応のスルホンに酸化され得ると教示し ている(R.M.スクリブナー、J.Org.Chem,1996年,31、3 671)(R.M.Scribner J.Org.Chem 31,3671)。この変換は芳香族環に作 用せずかつペルフルオロアルカンスルホン酸を生成しない。また、一般的な硫化 物がオゾンで酸化されてスルホキシドになり、その後スルホンになる。こうして 、硫化メチルフェニルが定量的収率で対応のスルホンに変換される(D.バーナ ー ド、J.Chem.Soc.,1957年、4547)(D.Barnard,J.Chem Soc. ,1957,4547)。したがって、本発明による、オゾンを用いる硫化アリールペル フルオロアルキルの酸化が、それらの硫黄原子が硫化メチルフェニルのものより も酸化されにくいにもかかわらず、ペルフルオロアルカンスルホン酸の形成まで 進行することは、特に驚くべき点である。 この理論を限定的にとらえることなく、オゾンがまず、硫黄を含有する基を含 む出発材料中の硫黄原子ではなく芳香族環を攻撃することも可能である。 本発明の好ましい具体例によれば、オゾン/出発材料のモル比は、ペルフルオ ロアルカンカルボン酸については1から20の範囲でありかつ好ましくは2から 5の範囲であり、またペルフルオロアルカンスルホン酸については3から8の範 囲である。 共役溶媒を有利に添加して、出発材料を溶解することができる。この共役溶媒 は、非プロトン性溶媒、たとえばニトリル、特にアセトニトリル、有機塩素化合 物、特にテトラクロロメタン、ならびに第二級または第三級アミン、特にジエチ ルアミン、トリエチルアミンおよびトリブチルアミンおよび1または2以上のよ り長いアルキル鎖を有するアミンから選択することができる。 本発明による反応の持続時間は、およそ30分から7日の範囲にわたることが 可能である。 以下に挙げる例により、本発明をより明瞭に示す。例1 20gのヨウ化ペルフルオロオクチル(C817I)および150mlのプロ ピオン酸をガラスの反応器に導入する。この混合物を室温で撹拌し、容器の雰囲 気にオゾン/酸素の混合物(6/94v/v)を2日間流す。形成された沈殿物 を濾過して取除く。濾液に含まれるペルフルオロオクタン酸(C715COOH )をペンタンで析出させ、ブフナー漏斗上で濾過しかつ乾燥させて、5グラムの 白い固体を得る。ペルフルオロオクタン酸を得る収率はたとえば30%である。 この収率は、CDCl3中300MHzで19FNMR分析の後計算したもので、 この分析によれば以下のような結果が得られる。 δ(ppm)−80.9(3F,CF3);−119.4(t,2F,CF2 );−121.8(2F,CF2);−122.2(2F,CF2);−122. 9(s,2F,CF2);−126.3(d,2F,CF2CF3例2 方法は、例1で行なったものと同じように実行される。室温で12時間反応さ せた後、残渣を分析したところ、収率25%で、ペルフルオロヘキサン酸(C5 11COOH)が形成されたことが明らかになった。この収率は、CDCl3中 282MHzで19FNMR分析の後計算されたもので、同分析によれば以下のよ うな結果が得られる。 δ(ppm)−80.8(t,3F,CF3);−116.5(2F,CF2) ;−122.1(qd,4F,2CF2);−125.7(t,2F,CF2CF3例3 1gすなわち2.52mモルのトリデカフルオロヘキシルベンゼン(PhC6 13)を20mlのエタノールとガラス管中で混合する。 この混合物を室温で撹拌し、オゾン/酸素混合物(6/94v/v)をこの溶 液に12時間添加する。混合物を分析すると、ペルフルオロヘプタン酸(C61 3 COOH)の形成が明らかになった。 CDCl3中で282MHzの19FNMR分析では、以下の結果が得られた。 δ(ppm)−80.54(t,3F,CF3);−116.2(d,2F, CF2COOH);−121.16(d,2F,CF2);−121.9(d,2 F,CF2);−122.15(d,2F,CF2);−125.6(2F,CF2 CF3例4 0.95gの硫化ペルフルオロブチルフェニル(2.89mモル)を20ml のメタノールと混合し、1等量のトリエチルアミン、すなわち0.4mlを添加 する。オゾン/酸素混合物(6/94v/v)をこの液体に7時間吹き込む。次 に、さらにもう1等量分のアミンを添加して、オゾン分解を室温でさらに7時間 継続する。カルボン酸(C37COOH)と、スルホン酸(C49SO3H)の 50/50混合物を得る。 CDCl3中で、282MHzでの19FNMR分析では、以下の結果が得られ た。 49SO3 δ(ppm)−80.6(3F,CF3);−114.1(2F,CF2SO3) ;−120.9(2F,CF2);−125.4(2F,CF2CF337CO2 δ(ppm)−80.6(3F,CF3);−117.0(2F,CF2COO H);−125.5(2F,CF2CF3例5 1gすなわち5.6mモルの硫化フェニルトリフルオロメチルを、20mlの メタノール/水混合物(8/2v/v)に溶解させる。オゾン/酸素混合物(6 /94v/v)を、6時間この反応液に吹き込む。 この混合液を分析すれば、メチルトリフルオロメタンスルホン酸(CF3SO3 Me)および対応の酸が3/1の比で形成されていることがわかる。 バリタの存在下に、12時間エステルの加水分解を行なう。余分なバリタはp Hがわずかに酸性になるまで、希硫酸を加えることによって中和し析出させる。 結果として得られるトリフルオロメタンスルホン酸は、炭酸バリウムを用いて析 出させる。 溶媒を蒸発させて取除き、6時間アセトンで固体を連続的に抽出する。 CD3OD中で、282MHzでの19FNMR分析では、以下のような結果が 得られた。 CF3SO3 δ(ppm) −78.2(3F,CF3CF3SO2Me δ(ppm) −74.63(3F,CF3(CF3SO32Ba δ(ppm) −78.35(3F,CF3例6 1gすなわち5.6mモルの硫化トリフルオロメチルフェニル(PhSCF3 )を20mlのメタノールに溶解させる。スパチュラの先端に載る量(5から1 0mg)の二酸化チタンをこの反応混合物に添加する。オゾン/酸素混合物(6 /94v/v)をこの反応液に4時間吹き込む。 形成された生成物の相対百分率を、フッ素NMRにより求める。その結果、ト リフルオロメタンスルホン酸(CF3SO3H)のメチルエステルが約15%の比 率で存在しかつトリフロオロメタンスルホン酸が約15%の比率で存在している 。例7 1g、すなわち5.6mモルの硫化トリフルオロメチルフェニル(PhSCF3 )を、20mlのメタノール/水混合物(9/1v/v)に溶解させる。スパチュ ラの先端に載る量のシリカをこの反応混合物に添加する。オゾン/酸素混合物( 6/4v/v)をこの反応液に5時間30分吹き込む。 形成された生成物の相対百分率は、フッ素NMRにより求める。その結果、ト リフルオロメタンスルホン酸のメチルエステルが約60パーセントの比率で存在 し、かつトリフルオロメタンスルホン酸が約30パーセントの比率で存在してい る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 プティ,ローラン フランス国、エフ―77300 フォンテンブ ロー、リュ・オーギュスト―バルビエ、30 (72)発明者 トルドゥ,マルク フランス国、エフ―92330 ソー、リュ・ ドゥ・サイニュレイ、2 (72)発明者 ベレシバー,アマヤ フランス国、エフ―92160 アントニー、 アベニュ・レイモン―アロ、1 (72)発明者 ワクスルマン,クロードゥ フランス国、エフ―75016 パリ、リュ・ シャヌ、5

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ペルフルオロアルカンカルボン酸およびペルフルオロアルカンスルホン酸を 調製するための方法であって、 プロトン性媒質中で、オゾンを、少なくとも1つの酸化可能な化学基を含むペ ルフルオロアルキル鎖と反応させ、その酸化可能な化学基が、 式CF2Xで表わされる基(Xはヘテロ原子、好ましくはハロゲン、より好ま しくはヨー素である)と、 ジスルフィド基を除く、ヘテロ原子基、好ましくは硫黄を含有する基と、 芳香族基とから選択されることを特徴とする、方法。 2.前記硫黄を含有する基が、アリールチオエーテルから選択され、そのアリー ル基が、水素、直鎖または枝分かれ鎖のアルキル基およびハロゲン、エーテル、 アルコキシ、アリールオキシ、カルボン酸金属、アシルオキシ、フルオロアルキ ルチオ、フルオロアルコキシならびにカルボン酸の基から選択される少なくとも 1つの置換基を含み得る、単環式または二環式の基から選択される、請求項1に 記載の方法。 3.芳香族基が、水素、直鎖または枝分かれ鎖のアルキル基およびハロゲン、エ ーテル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボン酸金属、アシルオキシ、フルオ ロアルキル、フルオロアルコキシ、ならびにカルボン酸の基から選択される少な くとも1つの置換基を含み得る単環式または二環式芳香族基である、請求項2に 記載の方法。 4.前記プロトン性媒質が、好ましくはフッ素を含まない水、アルコールもしく はカルボン酸、またはそれらの組合せからなる、請求項1から3のいずれかに記 載の方法。 5.ニトリル、特にアセトニトリル、有機塩素化合物、特に四塩化炭素、ならび に第二級または第三級アミン、特にジエチルアミン、トリエチルアミンおよびト リブチルアミンから選択される非プロトン性共役溶媒が、前記媒質に添加される 、請求項1から4のいずれかに記載の方法。 6.温度が、−100℃から100℃の範囲内、好ましくは0℃から40℃の範 囲内、より好ましくは室温に近い温度である、請求項1から5のいずれかに記載 の方法。 7.圧力が、10バールを下回り、好ましくは大気圧に近い圧力である、請求項 1から6のいずれかに記載の方法。 8.オゾン/基質のモル比が、ペルフルオロアルカンカルボン酸については1か ら20の範囲、好ましくは2から5の範囲にあり、かつペルフルオロアルカンス ルホン酸については3から8の範囲にある、請求項1から7のいずれかに記載の 方法。 9.特に、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、酸化チタン、活性炭、泥炭、 粘土およびゼオライトから選択された、比表面積の大きい不溶性固体物が添加さ れる、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
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