JP2000500866A - 顕微鏡スライド上の組織標本の着色装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 発明は、顕微鏡スライド上の組織標本の着色装置に関し、この装置は、対象標本の顕微鏡スライドの入ったバスケットを浴液内に有する容器(5)を受取る着色台(4)とその他の作業台(1,2,3)、及びプログラム制御された着色プログラムに従って前記容器(5)の上方を移動して前記バスケットを前記容器に出し入れし、かつ、前記バスケットを、前記作業台(1〜4)間で移動させように配された揚げ降し手段(17)を有する搬送機構(17〜20)を備えている。発明の特徴として、前記容器(5)は、透明であり、演壇状階段上に上下に置かれた複数の水平な列に配されており、かつ、前記階段は装置正面の目視点から前記作業台(1〜4)上の個々の前記容器(5)の目視点検ができるように勾配を有している。

Description

【発明の詳細な説明】 顕微鏡スライド上の組織標本の着色装置 〔技術分野〕 本発明は、顕微鏡スライド上の組織標本を着色する着色装置に関する。より詳 しくは、前記着色装置は、対象標本の顕微鏡スライドの入ったバスケットを浴液 内に有する容器を受取る着色台を含む複数の作業台と、プログラム制御された着 色プロセスに従って前記容器の上方を移動して前記バスケットを前記容器に出し 入れし、かつ、前記バスケットを作業台間で移動させるように配された、揚げ降 し手段を有する搬送機構を備えている。 〔背景技術〕 細胞や組織標本の顕微鏡試験を行う場合、標本を互いに関連する手順に従って 調製することが必要である。標本は固定され組み込みが行われた後、切断される 。顕微鏡試験を容易に行うため、組み込まれた媒体は除去しなければならず、そ うしてその後標本の着色を行う。組織学における着色の目的は、組織構造を目視 し、組織構成体間の区別を行うことである。この目的のために、個々の標本材に 相性の良い着色剤を選ぶことが重要である。 上記の型式の従来の着色装置は、組織学及び細胞学の分野における定常的な及 び特殊な着色プロセスを予めプロセス条件をプログラム化することにより自動化 して実施することが可能である。従来の着色装置は、一つの水平面内において列 状又は円形状に配列された複数の作業台を備えている。 このような平面上の作業台配置のために、従来の着色装置は比較的スペースを 要し、操作観察もしづらいものとなっている。個々の容器を装置から手動で取出 さない限りそれらの容器や内容物の液を点検することができない上に、これらの 取出しや取付け作業はやっかいで困難なものである。というのは、容器からの液 のこぼれを回避する必要があり、かつ、特に最も奥の列にある容器の出し入れが 困難であるからである。更に、このような作業では、作業者は容器内の浴液の有 害蒸気に容易に曝されてしまう。 〔発明の開示〕 本発明の目的は、プロセスの進行具合と浴液の目視と観察が最高度に行えるよ うに構成された着色装置を提供することである。 本発明の別の目的は、例えば運転障害の場合に、浴液やバスケットへの接近が 従来の装置に比べて格段にし易くなり、かつ、容器内への液の充填及びそれから の排出のための接近が同様に改善される着色装置を提供することである。 本発明の更なる目的は、構成がコンパクトでかさ張らない着色装置を提供する ことである。 本発明の更なる目的は、生産性が高く機能が効率的で信頼性があり、かつ、コ スト競争力のある着色装置を提供することである。 上記の目的を達成するため、本発明の着色装置は、上に説明した型式の着色装 置において、容器が透明でありかつ演壇状の階段上に互いに上下に置かれた複数 の水平列状に配されており、前記階段は装置正面の目視点から作業台上の各容器 を目視点検できるように勾配を有することを特徴とする。 本発明は、以下の実施の形態の説明と付随する図面とにより更に詳細に説明さ れる。 〔図面の簡単な説明〕 図１は、本発明の着色装置の斜視図である。 図２は、図１の装置の側面断面略図である。 図３は、バスケットとその内部に挿入された顕微鏡スライドの側面図である。 図４は、顕微鏡スライドのバスケットの支持レールとそれに連結された攪拌手 段の一部を構成する偏心手段を示す図である。 図５は、容器内の浴液から顕微鏡スライドのバスケットを取出す時の説明図で ある。 〔発明を実施するための最良の実施の形態〕 図１に示した着色装置は、組織学及び細胞学の分野における定常的な及び特殊 なあらゆる形態の着色プロセスを実施できるように構成されている。図示の実施 の形態による装置は36個の作業台を有するが、この数は例えば50個に増やすこと ができる。作業台は、例えば、4,5 台の搬入／搬出台、4,5 台の待機／加熱台、 4,5 台の水洗台及び20〜30台の着色台で構成される。図１において、上記の台は 記述の順序に従って、符号1,2,3 及び４で示されている。各着色台４上には、着 色浴液６（図２）を有する容器５が配されており、この着色浴液６内に、対象の 組織標本を含む顕微鏡スライドの入ったバスケット７が浸される。同様にして、 バスケットの搬入、搬出を行う容器８が搬入／搬出台１上に配されており、また 、水洗台３上には洗浄水の容器９が配されている。洗浄水は、水入口11に連通す る水供給管10から容器９内に供給される。更に、容器９には、洗浄後の洗浄水の 排出を行う排水ホース12が配されている。この排水ホース12は水出口13に連通し ている。 待機／加熱台２は、図示のように、上縁部が開口したケーシング14により形成 されており、個々の台に対応する複数の加熱位置において顕微鏡スライドのバス ケット７を支持する。この台は、加熱部材と組み合わされたファン15から供給さ れる加熱空気により加熱される。 着色台には、実際に着色するのではなく、組織を調製する薬剤浴をもつ処理台 を備えることもできる。従って、着色台という表現は着色又は染色調製を行う薬 剤を含む液台を意味する。 本発明による装置は、演壇のような階段16の基部上に互いに重ねて配された複 数の水平列をなす容器5,8,9 により構成される。これらの容器は透明な材料、例 えばガラス、により作られている。演壇状階段は装置正面の目視点から個々の容 器の目視検査ができるように勾配を有している。この配置は、従来の平面構成の ものに比べて、作業者が各浴液の観察をより良く行い、従って全体としてプロセ スの観察をよく行うことができると共に、透明な容器は個々の浴内における液状 況を簡単な方法で観察できるという効果を有する。加えて、各浴液を手動により 装置内に搬入しかつそれから搬出するに際して人間工学上の利点が達成される。 装置内の搬送機構として、予めプログラム化された着色プロセスに従って、各容 器の上方を移動してバスケットを容器内に納め及びそれから取出し、これを作業 台間において、搬送するように配された揚げ降し手段17が設けられている。搬送 機構は、階段16の各側部の上端と下端の間に延びて、階段の勾配と同じ勾配を有 する一対の案内レール18を有している。各案内レール18は、横方向ねじ及び軸手 段によりレールに沿って駆動される搬送腕木19を支持しており、これにより揚げ 降し手段17は支持されかつ横方向に移動させられる。搬送腕木19の駆動手段は図 示されていないが、これは従来のねじ式又は歯付ベルト式手段で構成することが できる。このような搬送手段によりバスケットは、図１に示したように、Ｘ方向 、Ｙ方向及びＺ方向に移動することができる。 図１に示した実施の形態による着色装置は、傾斜階段式のものであるが、階段 基部を円錐台形状にして、階段部が互いに重なり合って配される複数の円状の列 で構成されるような実施の形態も考えられる。このような実施の形態では、階段 基部が円錐軸周りに回転し、搬送機構は揚げ降し手段を上記のＸ方向に移動させ る必要はなく、Ｙ及びＺ方向にのみ移動させるだけでよい。 顕微鏡スライド上の組織標本を効率的に着色し洗浄するために、着色浴／薬剤 浴及び洗浄浴中の顕微鏡スライドのバスケット７内を攪拌する手段が設けられて いる。本発明においては、攪拌手段はこれらすべてのバスケットに共通のもので ある。この攪拌手段は、上方に向う容器5,9 の列の各側部にそれに沿って延びか つ各列においてバスケット７を支持するように配された複数の支持レール21（図 ２では省略）を有するフレーム構造で構成される。支持レール21の一部が図４に 示されている。図示のように、レールの上縁部には複数のＶ字形切込みが設けて あり、ここにバスケット７の頂部に取付けられたワイヤ式懸垂具23（例えば、ス テンレス製の）が支持される。ワイヤ式懸垂具23の実施の形態が図３に示されて いる。図３にはまた、バスケット７中に挿入された複数の顕微鏡スライド24が示 されている。ここに示されたバスケットはまた、カセットで作ることもでき、こ の場合顕微鏡スライドはカセットの両側及び底部の保持溝25内に納められる。 支持レール21は一端を偏心円板手段26により支持されている。この偏心円板手 段26はモータ駆動される軸27により回転されると共に、アーム28の一端に連結さ れている。アーム28の他端は支持レール21に関節式に連結されており、アーム28 が偏心円板の回転により上下動させられると、同時に支持レールに往復動を与え るようになっている。支持レール21の他方端は、前記偏心円板手段26と同期回転 する別の偏心円板手段29により支持されている。こうして偏心円板手段の回転に より、レール21及びそれに伴いバスケット７は上下動を繰り返す。 装置内の駆動部及び作動部のあらゆる自動運動は、図示されない小型電気モー タにより実施される。 着色台における液で満たされた容器５には、適切なモータ手段により自動的に 開閉される蓋（図示なし）が設けてある。容器の蓋は個々のものでもよく、また は容器の水平列について共通のものでもよい。このような蓋を用いることにより 、バスケットから使われていない浴液内に液がたれるのが防止され、更に浴液の 蒸発が抑えられる。 図５に示したように、着色台において揚げ降し手段17がその最高点にある時、 この揚げ降し手段17はその着色台上の容器５に対していくらか横方向に変位して いる。そのため、スライドのバスケット７は予約プログラムの完了後浴液６から 搬出される時、容器５又はその蓋の側縁に沿って案内され、この側縁に顕微鏡ス ライド24の対応する側縁が当たり顕微鏡スライドについた余剰液はかき取られ再 び容器内に流入する。このようにする目的は、浴液を保全し、同時に一つの浴液 から他の浴液への液の混入を防止することである。 使用後の浴液を排出するために、装置には吸引排出手段が設けられている。こ の手段は、図１のように、吸引端部30とホース31とからなる。浴液はこの手段に より通常充分に排出することができるので、作業者は薬剤に直接触れるリスクな しに全ての浴液を取出すことができる。ホースは、液の再生、廃液処理、等の目 的に応じて個々の容器に継ぐことができるように配されている。このような配置 により、有害な種々の薬剤を環境に優しく操作し易い方法で収集し分類すること を可能とし、また、手作業で容器をからにする時のように薬剤に直接触れること がなくなる。更に、階段式の設計は、容器内の液レベル、容器底部の沈澱物、等 の観察を容易にすることができる。容器の底部はいくらか傾斜しそこに液溜め部 が形成されているため、吸引端部による液の排出を効率的に行うことができる。 図１、図２に示したように、装置にはまた、換気ファンを有する吸引手段32が 設けてあり、この吸引手段には溶剤から出るガスを吸収するフィルターシステム が結合されている。また、装置の上縁部には蝶番式の主カバー33があり、この主 カバーには一対のガス式制動シリンダ34が取付けられている。更に、正面カバー 35と操作盤36が設けられており、操作盤中央部には表示板37がある。これにより 操作が容易になると共に作業者によるプログラム操作が容易化される。 更に、階段式設計の結果として、装置の正面部分の高さが低くなり、また、機 械部品、電気電子部品といった装置の構成部品が階段部の上面でなく階段部下部 の空間内に配置されるため、全体構成がコンパクトにまとめられる。この空間内 には、図２に示すように、接続箱38が装置後部壁に固定されており、ここに装置 の電力入力手段、電子ユニット、等が納められている。装置は主電源(110V 交流 、60Hz又は230V交流、50Hz）に継がれ、この電圧をトランスにより作動電圧24Ｖ に下げている。電子ユニットは、マイクロプロセッサによるものであり、プログ ラムに従って装置を作動させる。装置はメモリー(EEPROM)を備えており、32のプ ログラムを蓄積することができる。３種以内のプログラムを同時作動させること ができる。電子ユニットは着色又は染色プログラムと浴液条件を出力することが できる。更に、着色浴液の状態について自動的に警告を発することもできる。こ の目的のために、顕微鏡スライドのバスケットを所定回数浴液内に浸漬した後は 浴液を取換えるよう信号を発する装置を取付けることができる。この場合の信号 は、個々の着色浴液についてプログラム化された損耗ファクターに基づいて発せ られる。こうして、容器内で使用される着色浴液の種類毎に損耗の度合を選ばれ たプログラムにより制御できるという実質的利点が得られる。必要に応じて、着 色時間をこの損耗ファクターにより自動的に変動させることもできる。

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Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．顕微鏡スライド上の組織標本の着色装置であって、対象標本の顕微鏡スラ イド(24)の入ったバスケット(7)を浴液内に有する容器(5)を受取る着色台(4)を 含む複数の作業台(1〜4)と、プログラム制御された着色プログラムに従って前記 容器(5)の上方を移動して前記バスケット(7)を前記容器(5)に出し入れし、かつ 、前記バスケット(7)を前記作業台(1〜4)間で移動させるように配された揚げ降 し手段(17)を有する搬送機構（17〜20）を備えた装置において、前記容器(5)は 、透明であり、演壇状階段(16)上に上下に置かれた複数の水平な列に配されてな り、かつ、前記階段(16)は装置正面の目視点から前記作業台(1〜4)上の個々の前 記容器(5)の目視点検ができるように勾配を有してなることを特徴とする着色装 置。 ２．前記階段(16)は、下方から上方に連続しており、前記バスケット(7)の搬 入搬出用容器(8)を受取る複数の作業台(1)を有する下部列、複数の着色台(4)列 及び複数の洗浄台(3)を含む列を備えてなり、かつ、前記顕微鏡スライド(24)上 の組織標本を乾燥する複数の加熱台(2)が、前記階段(16)の上端部に配されてな ることを特徴とする請求の範囲１記載の着色装置。 ３．前記着色台(4)における前記容器(5)は浴液で満たされ、かつ、自動開閉さ れるように配された蓋を備えてなることを特徴とする請求の範囲１又は２記載の 着色装置。 ４．前記着色装置は更に、それぞれの前記作業台における容器(5,8,9)内に配 された前記バスケット(7)のすべてに共通する攪拌手段(21,26〜29)を備えてなる ことを特徴とする請求の範囲１〜３のいずれかに記載の着色装置。 ５．前記攪拌手段は、前記容器(8,5,9)の上向する列に沿いかつその両側部に 延びる複数の支持レール(21)を有し、前記上向する各列において前記バスケット (7)を支持するように配されたフレーム構造を備えてなり、前記支持レール(21) はその各端部において、互いに同期駆動される偏心円板手段(26,29)に連結され 、かつ、前記偏心円板手段(26,29)の回転により前記支持レール(21)と前記バス ケット(7)は上下動を繰返すようにされてなることを特徴とする請求の範囲４記 載の着色装置。 ６．前記搬送機構は、前記階段(16)の両側部においてその上方端及び下方端の 間 に延びて前記階段の勾配に相当する勾配を有する一対の案内レール(18)を有する 揚げ降し手段を備えてなり、かつ、前記各案内レール(18)は横方向ねじ及び軸手 段(20)により前記案内レールに沿って駆動され、前記揚げ降し手段(17)を支持し これを横方向に移動させる搬送腕木(19)を支持するようにしてなることを特徴と する請求の範囲１〜５のいずれかに記載の着色装置。 ７．前記揚げ降し手段(17)は、前記着色台(4)におけるその停止位置において その台列内の前記容器(5)に対して横方向にいくらか変位し、前記バスケット(7) は、それぞれの前記容器(5)から取出される時、前記容器又は前記容器の蓋の側 縁に沿って案内され、この側縁に前記顕微鏡スライド(24)の対応する側縁が当た り、それによって前記顕微鏡スライド上の余剰液が前記容器(5)内に再び流入す るようにしてなることを特徴とする請求の範囲１〜６のいずれかに記載の着色装 置。 ８．前記着色装置は更に、それぞれの前記作業台(4,3)における前記容器(5,9) から液を取り出し排出する吸引及び排出手段(30,31)を備えてなることを特徴と する請求の範囲１〜７のいずれかに記載の着色装置。 ９．装置の機械、電気及び電子構成部品(32,38)であって前記階段(16)の上面 に配されないものは前記階段下部の空間内に配置されてなることを特徴とする請 求の範囲１〜８のいずれかに記載の着色装置。 10．前記着色装置は更に、前記バスケット(7)を所定の回数浸漬した後浴液(6) の交換信号を発する手段を備えてなり、かつ、前記信号は種々の前記容器(5)内 の浴液(6)に対し個々にプログラム化された損耗ファクターにより発せられるよ うにしてなることを特徴とする請求の範囲１〜９のいずれかに記載の着色装置。