JP2000353425A - 弛度抑制電線及びその製造方法 - Google Patents

弛度抑制電線及びその製造方法

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JP2000353425A
JP2000353425A JP11162443A JP16244399A JP2000353425A JP 2000353425 A JP2000353425 A JP 2000353425A JP 11162443 A JP11162443 A JP 11162443A JP 16244399 A JP16244399 A JP 16244399A JP 2000353425 A JP2000353425 A JP 2000353425A
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steel core
aluminum
sag
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JP11162443A
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English (en)
Inventor
Koji Nagano
宏治 長野
Takeki Matsumori
荘樹 松森
Yuji Hase
祐児 長谷
Kazutomo Iwai
一智 岩井
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Chubu Electric Power Co Inc
Hitachi Cable Ltd
Original Assignee
Chubu Electric Power Co Inc
Hitachi Cable Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼心とアルミ素線との間に介在物層を必要と
しないギャップ型の弛度抑制電線、及びそのギャップ型
の弛度抑制電線を、安価に、かつ、容易に製造する方法
を提供するものである。 【解決手段】 鋼心1の周りにアルミ素線2を撚り合せ
てなり、張力を鋼心1のみに負荷させる弛度抑制電線に
おいて、回復可能な伸びが長さ方向に付与された上記鋼
心1の周りに、上記アルミ素線2を撚り合せたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弛度抑制電線及び
その製造方法に係り、特に、低弛度・大容量送電のため
の弛度抑制電線及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】架空送電線としては、一般に、鋼心の周
りにアルミ素線を撚り合せてなる鋼心アルミ撚り線が用
いられている。
【0003】近年の電力需要の急増に伴って架空送電線
の送電容量の増大が図られているが、従来と比較して、
送電時における送電線の温度が上昇してしまうという問
題が生じてしまう。
【0004】この場合、アルミ素線材料として、例え
ば、耐熱Al合金を使用することで、温度上昇に対応す
ることは可能であるが、温度上昇に伴うアルミ素線の線
膨張の増大、それによる架線弛度の増加が問題となって
しまう。すなわち、架空送電線は、送電容量に応じて対
地絶縁間隔を一定距離確保する必要があるため、架空送
電線に許容される弛度には上限が存在し、既設鉄塔を用
いて送電容量の増大を図るには、対地絶縁間隔の確保の
関係から上限が存在する。
【0005】よって、架線張力を線膨脹係数の小さい鋼
心のみに負荷させることで、アルミ素線の弛度増加を抑
えることを可能とした弛度抑制電線の需要が高まってい
る。
【0006】弛度抑制電線としては、ルーズ型(LAC
SR)と、ギャップ型(GTACSR)の2種類が挙げ
られる。
【0007】ルーズ型としては、通常の鋼心アルミ撚線
を製造した後、架線時に鋼心部とアルミ撚り線部との間
に機械的に間隙(ギャップ)を設けるものであり、例え
ば、架線状態で、電線に回転力を負荷する(又は電線上
に走行ローラを走らせる)ことで、アルミ素線に塑性変
形を与えて鋼心部とアルミ撚り線部との間にギャップを
設け、結果として、鋼心に張力分担を移行させた弛度抑
制電線などが挙げられる。
【0008】ギャップ型としては、電線製造時に鋼心部
とアルミ撚り線部との間にギャップを設けるものであ
り、鋼心の周りに介在物を設けた状態でアルミ素線を撚
り合せた後、架線後、通電(又は雨水)により介在物を
溶解除去し、鋼心に張力分担させた弛度抑制電線、ま
た、図10に示すように、複数本(図10中では7本)
の鋼線92からなる鋼心93を囲繞するようにアルミセ
グメント94からなる導電内層95を設け、その導電内
層95の周りにアルミ素線96を撚り合せてなる導電外
層97を設けた弛度抑制電線91などが挙げられる。
尚、鋼心93と導電内層95との間には、耐熱防食剤が
充填されている(介在物層が設けられている)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ルーズ型の弛度抑制電
線においては、架線時に鋼心に張力分担を移行させる方
法・手段として、鉄塔上で電線に所定の張力を印加する
工法が採られてきた。
【0010】しかしながら、この場合、電線の架線作業
が複雑になると共に、張力印加作業が鉄塔上での高所作
業となるため作業者の安全を確保するのが難しく、ま
た、正確な張力管理は困難であった。
【0011】この点について、ギャップ型の弛度抑制電
線は、電線製造時に鋼心とアルミ素線との間に介在物層
を設けることで、鋼心とアルミ素線との間にギャップを
形成しているため、その結果、ルーズ型の弛度抑制電線
の場合と比較して架線作業および架線時における作業者
の安全確保が容易となると共に、鋼心とアルミ素線との
間に所定のギャップを正確に設けることが可能となる
が、電線製造時に鋼心の周りに設けられた介在物層を、
架線後に溶解除去させるため材料的に無駄が多い。ま
た、図10に示したようなセグメントを用いたタイプの
弛度抑制電線は、製造工程が複雑であるため、製造コス
トの上昇を招いてしまう。
【0012】そこで本発明は、上記課題を解決し、鋼心
とアルミ素線との間に介在物層を必要としないギャップ
型の弛度抑制電線、及びそのギャップ型の弛度抑制電線
を、安価に、かつ、容易に製造する方法を提供すること
にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1の発明は、鋼心の周りにアルミ素線を撚り合
せてなり、張力を鋼心のみに負荷させる弛度抑制電線に
おいて、回復可能な伸びが長さ方向に付与された上記鋼
心の周りに、上記アルミ素線を撚り合せたものである。
【0014】請求項2の発明は、鋼心の周りにアルミ素
線を撚り合せてなり、張力を鋼心のみに負荷させる弛度
抑制電線において、上記鋼心の周りに、回復可能な縮み
が長さ方向に付与された上記アルミ素線を撚り合せたも
のである。
【0015】以上の構成によれば、撚り合せ時、鋼心に
伸び(又はアルミ素線に縮み)が付与されているため、
撚り合せ後に得られる弛度抑制電線において、アルミ素
線が余長を有する。
【0016】請求項3の発明は、撚り合された上記アル
ミ素線間に間隙を有する請求項1又は請求項2記載の弛
度抑制電線である。
【0017】以上の構成によれば、弛度抑制電線の振動
時における振動エネルギを、アルミ素線間の摩擦により
熱エネルギに変換することができる。
【0018】請求項4の発明は、電線の両端部およびそ
の中途部に、上記鋼心と上記アルミ素線とを固着する固
着具を設けた請求項1乃至請求項3いずれかに記載の弛
度抑制電線である。
【0019】以上の構成によれば、弛度抑制電線の運搬
時および架線時などに、アルミ素線の余長が喪失するお
それがない。
【0020】請求項5の発明は、鋼心の周りにアルミ素
線を撚り合せると共に、張力を鋼心のみに負荷させる弛
度抑制電線を製造する方法において、回復可能な伸びが
長さ方向に付与された上記鋼心の周りに、上記アルミ素
線を撚り合せた後、鋼心に付与された伸びを除去して鋼
心を元の長さに戻すものである。
【0021】請求項6の発明は、鋼心の周りにアルミ素
線を撚り合せると共に、張力を鋼心のみに負荷させる弛
度抑制電線を製造する方法において、上記鋼心の周り
に、回復可能な縮みが長さ方向に付与された上記アルミ
素線を撚り合せた後、アルミ素線に付与された縮みを除
去してアルミ素線を元の長さに戻すものである。
【0022】以上の方法によれば、撚り合せ時に鋼心
(又はアルミ素線)に付与しておいた伸び(又は縮み)
を撚り合せ後に除去することで、鋼心(又はアルミ素
線)が元の長さに戻るため、鋼心とアルミ素線との間に
介在物層を設けることなく、容易にギャップ型の弛度抑
制電線を得ることができる。
【0023】請求項7の発明は、鋼心の周りにアルミ素
線を撚り合せると共に、張力を鋼心のみに負荷させる弛
度抑制電線を製造する方法において、回復可能な伸びが
長さ方向に付与された上記鋼心の周りに、回復可能な縮
みが長さ方向に付与された上記アルミ素線を撚り合せた
後、鋼心に付与された伸びを除去して鋼心を元の長さに
戻すと共に、アルミ素線に付与された縮みを除去してア
ルミ素線を元の長さに戻すものである。
【0024】以上の方法によれば、撚り合せ時に鋼心に
付与しておいた伸び及びアルミ素線に付与しておいた縮
みを、撚り合せ後に除去することで、鋼心およびアルミ
素線がそれぞれ元の長さに戻るため、鋼心とアルミ素線
との間に介在物層を設けることなく、容易にギャップ型
の弛度抑制電線を得ることができる。
【0025】請求項8の発明は、上記鋼心を長さ方向に
引張り、鋼心に弾性伸びを付与する請求項5又は請求項
7記載の弛度抑制電線の製造方法である。
【0026】請求項9の発明は、上記鋼心を加熱し、鋼
心に熱膨張による伸びを付与する請求項5又は請求項7
記載の弛度抑制電線の製造方法である。
【0027】以上の方法によれば、アルミ素線の撚り合
せ時に鋼心に伸びを付与することができ、撚り合せ後は
鋼心にプレストレッチが付与された状態となる。
【0028】請求項10の発明は、上記アルミ素線を冷
却し、アルミ素線に熱収縮による縮みを付与する請求項
6又は請求項7記載の弛度抑制電線の製造方法である。
【0029】以上の方法によれば、アルミ素線の撚り合
せ時にアルミ素線に縮みを付与することができ、撚り合
せ後は鋼心にプレストレッチが付与された状態となる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適一実施の形態
を添付図面に基いて説明する。
【0031】本発明の弛度抑制電線11における撚り合
せ状態の原理を示す概念図を図1に示す。
【0032】図1(a),(b)に示すように、本発明
の弛度抑制電線11は、弾性領域内で長さ方向(図1
(a)中では左右方向)に張力を負荷することで弾性伸
びを付与した鋼心1の周りにアルミ素線2を撚り合せ、
アルミ素線2の撚り合せ後、鋼心1に負荷された張力を
除去して鋼心1を元の長さに戻したものである。ここ
で、撚り合されたアルミ素線2間には、間隙(図示せ
ず)が形成されている。
【0033】次に、本発明の弛度抑制電線の製造方法を
添付図面に基いて説明する。
【0034】本発明の弛度抑制電線11の製造工程の概
略図を図4に示す。尚、図1と同様の部材には同じ符号
を付している。
【0035】図4に示すように、弛度抑制電線11の製
造装置41は、巻き取られた鋼心1を送り出すためのペ
イオフ(送出機)42と、走行する鋼心1に張力を負荷
するための張力負荷手段と、張力が負荷された鋼心1の
周りにアルミ素線2を撚り合せるための撚線機45,4
6と、弛度抑制電線11を巻き取るための巻取機47と
で構成される。
【0036】張力負荷手段としては、走行する鋼心1に
ブレーキをかけることができるものであれば特に限定す
るものではなく、例えば、延線作業に使用される延線車
43とダブルキャプスタン44の組み合わせ等が挙げら
れる。
【0037】延線車43と撚線機45,46との間に
は、延線車43とダブルキャプスタン44との間に負荷
される張力を計測するための張力計48が設けられてい
る。
【0038】先ず、本発明の弛度抑制電線11の製造に
先立って、電線11を架線する区間の各支持点間の距離
と高低差をmm単位の精度で求めておき、この区間に必
要な電線長さを算出しておく。
【0039】ペイオフ42から送出された鋼心1を、延
線車43に巻き回した後、第1撚線機45に供給する。
この時、鋼心1には、ブレーキ代わりとして使用する延
線車43によって、鋼線の弾性領域内の範囲で鋼心1に
張力(応力換算でσst(kgf/mm2 (約9.8 ×106 P
a)))が負荷されているため、鋼心1に弾性伸びεst
((%);εst=σ/E,σst:応力,E:弾性係数)
が与えられている。
【0040】本発明の弛度抑制電線11における伸びと
応力との関係を図9に示す。図9中における実線は本発
明の弛度抑制電線(アルミ総断面積410mm2 )を、
点線は従来のACSR線(アルミ総断面積410m
2 )を示している。尚、図9中の直線Aは鋼心のみに
架線張力が負荷される領域であり、直線B,Cは鋼心お
よびアルミ素線に架線張力が負荷される領域を示してい
る。
【0041】ここで、図9に示すように、本発明の弛度
抑制電線において、架線張力が鋼心のみに負荷される領
域から鋼心およびアルミ素線に負荷される領域に変化す
る際の応力は、約8.7kgf/mm2 (約8.5 ×107
Pa) であり、この時の応力が延線車43による最大使
用張力となる。この最大使用張力時における鋼心の伸び
量(プレストレッチ量)は0.4%であることが伺え
る。
【0042】次に、弾性伸びを保持した(プレストレッ
チした)鋼心1の周りにアルミ素線2を撚り合せ、第1
撚線11aを作製する。この時、アルミ素線2には張力
が負荷されていないため、アルミ素線2には伸びが与え
られていない。
【0043】その後、この第1撚線11aを第2撚線機
46に供給し、第1撚線11aの周りに更にアルミ素線
2を撚り合せて第2撚線11bを作製する。尚、第2撚
線11bの作製時においても、鋼心1はプレストレッチ
したままとする。また、第2撚線機46は必要に応じて
適宜設けられるものであり、不要であれば省略してもよ
いことは言うまでもない。さらに、必要に応じて、適
宜、第3撚線機,第4撚線機,…を設けてもよいことは
言うまでもない。
【0044】最後に、第2撚線11bをダブルキャプス
タン44に巻き回した後、巻取機47に巻き取る。
【0045】この時、第2撚線11bは、ダブルキャプ
スタン44に巻き回された後に鋼心1に負荷されていた
張力が除去され、鋼心1の張力がゼロとなる。これによ
って、図5(a)に示す第2撚線11bにおいて、図5
(b)に示すように、鋼心1が弾性伸び分(ε
st(%))だけ収縮して元の長さに戻ると共に、相対的
にアルミ素線2がεst(%)伸びた状態となって、鋼心
部とアルミ撚り線部との間に間隙(ギャップ)が設けら
れた弛度抑制電線11が得られる。また、図6に示すよ
うに、弛度抑制電線11の製造時に、電線実長および補
正計算に基づいて、電線11の両端部に引留クランプ
(固着具)51を設けると共に、電線11の中途部に圧
縮スリーブ(固着具)52を所定の間隔を有して設け
(図6中では1個のみ図示)、鋼心1とアルミ素線2と
を固着しておくことで、架線現場でのクランプ取り付け
作業が不要となると共に、電線11の運搬時および架線
時などにアルミ素線2の余長が喪失するおそれがなくな
る。
【0046】尚、弛度抑制電線11の中途部において鋼
心1とアルミ素線2とを固着する固着具としては、圧縮
スリーブ52に限定するものではなく、他にもジャンパ
スリーブなどが挙げられる。
【0047】従来のルーズ型の弛度抑制電線が製造後ま
たは架線状態で鋼心部とアルミ撚り線部との間にギャッ
プを設け、従来のギャップ型の弛度抑制電線が鋼心部の
周りに介在物層を設ける必要があったのに対して、本発
明の弛度抑制電線11は、製造時に安全、かつ、確実に
鋼心部とアルミ撚り線部との間にギャップを設けること
ができ、また、その時におけるアルミ素線2の弛度(鋼
心1のプレストレッチ量)を正確に管理・調節すること
ができる。
【0048】また、弛度抑制電線11は架線状態におい
て、余長を有するアルミ素線2には架線張力が負荷され
ず、全ての架線張力は鋼心1のみに負荷されることにな
る。したがって、弛度抑制電線11の許容温度は、アル
ミ素線2の軟化に依存せず、鋼心1を形成する鋼線(図
示せず)の軟化値で決定される。よって、例えば、本発
明の弛度抑制電線11と、同サイズの従来のACSR線
とを比較すると、許容温度が90℃から210℃にまで
飛躍的に高まって、電流値は約2倍となり、インバ電線
(XTACIR)と同等の電流容量を確保することがで
きるようになると共に、アルミ素線2の弛度増加は従来
比の95%となり大幅な性能向上が達成される。
【0049】さらに、本発明の弛度抑制電線11は、各
アルミ素線2間に間隙を有するため各アルミ素線2が動
き易くなっている。このため、弛度抑制電線11に吹き
付ける風による振動エネルギは、アルミ素線2間の摩擦
エネルギにすぐに変換され、電線11で発生した振動は
すぐに収束する。すなわち、振動が持続しないことか
ら、従来の送電線(例えば、ACSR線)に取り付けら
れていたダンパは不要となり、送電線路の建設コストの
低減を図ることができる。
【0050】また更に、鋼心1に張力を負荷する張力負
荷手段として用いる延線車43は、従来から延線作業等
に使用されている装置であるため、延線車43を製造ラ
インに設置・適用することは容易であると共に、鋼心1
の張力制御を安定して行うことができる。
【0051】次に、本発明の他の実施の形態を添付図面
に基いて説明する。
【0052】第1の実施の形態の弛度抑制電線21にお
ける撚り合せ状態の原理を示す概念図を図2に示す。
尚、図1と同様の部材には同じ符号を付している。
【0053】図2(a),(b)に示すように、本実施
の形態の弛度抑制電線21は、加熱することで熱膨張に
よる伸びを付与した鋼心1の周りにアルミ素線2を撚り
合せ、アルミ素線2の撚り合せ後、鋼心1を常温に戻す
ことで元の長さに戻したものである。ここで、撚り合さ
れたアルミ素線2間には、間隙(図示せず)が形成され
ている。
【0054】本実施の形態の弛度抑制電線21の製造方
法は、先ず、ペイオフから送出された鋼心1を、図7に
示すように、第1撚線機65に供給する。この時、鋼心
1は加熱手段(例えば、2分割可能な高周波加熱コイル
62)により加熱されているため、熱膨張により、鋼心
1に線膨張伸びεst((%);εst=αst・Δt,
αst:鋼線の線膨脹係数(12.9×10-6/℃),Δt:常
温に対する温度上昇)が与えられている。
【0055】ここで、本実施の形態の弛度抑制電線21
において、線膨張伸びεstの最大値は、図9に示した最
大使用張力(約8.7kgf/mm2 (約8.5 ×107 Pa
))時における鋼心1の伸び率(0.4%)であり、
常温を20℃とした時、鋼心1の伸び量(プレストレッ
チ量)を0.4%とするには330℃まで加熱すればよ
い。すなわち、常温を20℃とした時における鋼心1の
加熱温度の上限は330℃となる。
【0056】次に、線膨張伸びを保持した(プレストレ
ッチした)鋼心1、およびアルミ素線2を、撚り合せダ
イス63に通すことで、鋼心1の周りにアルミ素線2が
撚り合され、第1撚線21aが得られる。この時、アル
ミ素線2は常温であるため、アルミ素線2には線膨張伸
びが与えられていない。
【0057】その後、この第1撚線21aを第2撚線機
(図示せず)に供給し、第1撚線21aの周りに更にア
ルミ素線2を撚り合せることで第2撚線(図示せず)が
得られる。尚、第2撚線機は必要に応じて適宜設けられ
るものであり、不要であれば省略してもよいことは言う
までもない。また、必要に応じて、適宜、第3撚線機,
第4撚線機,…を設けてもよいことは言うまでもない。
【0058】最後に、この第2撚線を巻取機(図示せ
ず)に巻き取る。尚、第2撚線機と巻取機との間に、必
要に応じて、適宜、第2撚線冷却手段を設けてもよいこ
とは言うまでもない。
【0059】この時、第2撚線における鋼心1が常温に
戻ることで、鋼心1の線膨張伸びがゼロとなる。これに
よって、第2撚線における鋼心1が線膨張伸び分(εst
(%))だけ収縮して元の長さに戻ると共に、相対的に
アルミ素線2がεst(%)伸びた状態となって、鋼心部
とアルミ撚り線部との間にギャップが設けられた弛度抑
制電線21が得られる。
【0060】本実施の形態の弛度抑制電線21において
も、本発明の弛度抑制電線11と同様の作用効果を奏す
ることは言うまでもない。
【0061】また、鋼心1の加熱手段として高周波加熱
コイル62を用いることで、高周波コイル62に印加す
る電圧を制御するだけで、瞬時に、鋼心1の温度を所望
温度に調節することが可能となる。
【0062】さらに、高周波加熱コイル62は、2分割
可能であり取り扱いが容易であると共に、既存設備の配
置を殆ど変更することなく適用することが容易である。
【0063】第2の実施の形態の弛度抑制電線31にお
ける撚り合せ状態の原理を示す概念図を図3に示す。
【0064】図3(a),(b)に示すように、本実施
の形態の弛度抑制電線31は、鋼心1の周りに、冷却す
ることで熱収縮による縮みを付与したアルミ素線2を撚
り合せ、アルミ素線2の撚り合せ後、アルミ素線2を常
温に戻すことで元の長さに戻したものである。ここで、
撚り合されたアルミ素線2間には、間隙(図示せず)が
形成されている。
【0065】本実施の形態の弛度抑制電線31の製造方
法は、先ず、ペイオフから送出された鋼心1を、図8に
示すように、第1撚線機75に供給する。この時、アル
ミ素線2は冷却手段(例えば、液体窒素を冷却媒体と
し、第1撚線機本体75aを囲繞して設けられた冷却ジ
ャケット72)により冷却されているため、熱収縮によ
り、アルミ素線2に線膨張縮みεal((%);εal=α
al・Δt,αal:アルミの線膨脹係数(23.0×10-6
℃),Δt:常温に対する温度効果)が与えられてい
る。
【0066】ここで、本実施の形態の弛度抑制電線31
において、線膨張縮みεalの最大値は、図9に示した最
大使用張力(約8.7kgf/mm2 (約8.5 ×107 Pa
))時における鋼心1の伸び率(0.4%)であり、
常温を20℃とした時、アルミ素線2の線膨張縮み量を
0.4%とするには−154℃まで冷却すればよい。す
なわち、常温を20℃とした時におけるアルミ素線2の
冷却温度の下限は−154℃となる。
【0067】次に、鋼心1、および線膨張縮みを保持し
たアルミ素線2を、撚り合せダイス73に通すことで、
鋼心1の周りにアルミ素線2が撚り合され、第1撚線3
1aが得られる。この時、鋼心1は常温であるため、鋼
心1には線膨張縮みが与えられていない。
【0068】その後、この第1撚線31aを第2撚線機
(図示せず)に供給し、第1撚線機75と同様にして、
第1撚線21aの周りに、冷却されたアルミ素線2を再
び撚り合せることで第2撚線(図示せず)が得られる。
尚、第2撚線機は必要に応じて適宜設けられるものであ
り、不要であれば省略してもよいことは言うまでもな
い。また、必要に応じて、適宜、第3撚線機,第4撚線
機,…を設けてもよいことは言うまでもない。
【0069】最後に、この第2撚線を巻取機(図示せ
ず)に巻き取る。尚、第2撚線機と巻取機との間に、必
要に応じて、適宜、第2撚線加熱手段を設けてもよいこ
とは言うまでもない。
【0070】この時、第1撚線および第2撚線における
アルミ素線2が常温に戻ることで線膨張縮みがゼロとな
る。これによって、アルミ素線2が線膨張縮み分(εal
(%))だけ伸びて元の長さに戻り、鋼心部とアルミ撚
り線部との間にギャップが設けられた弛度抑制電線31
が得られる。
【0071】本実施の形態の弛度抑制電線31において
も、本発明の弛度抑制電線11と同様の作用効果を奏す
ることは言うまでもない。
【0072】また、アルミ素線2の冷却手段として、比
較的安価に入手可能な液体窒素を冷却媒体とする冷却ジ
ャケット72を用いることで、液体窒素の流量をコント
ロールするだけでアルミ素線2の冷却温度を調節するこ
とが可能である。
【0073】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、弛度抑制
電線の製造時に、アルミ素線に所定の弛度を与えること
で、安全、かつ、確実に鋼心部とアルミ撚り線部との間
にギャップを設けることができ、また、製造時における
アルミ素線の弛度を正確に管理・調節することができる
という優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の弛度抑制電線11における撚り合せ状
態の原理を示す概念図である。
【図2】第1の実施の形態の弛度抑制電線21における
撚り合せ状態の原理を示す概念図である。
【図3】第2の実施の形態の弛度抑制電線31における
撚り合せ状態の原理を示す概念図である。
【図4】本発明の弛度抑制電線11の製造工程の概略図
である。
【図5】張力除去前および除去後の第2撚線11bの概
念図である。
【図6】本発明の弛度抑制電線11に固着具を取り付け
た状態の模式図である。
【図7】第1の実施の形態の弛度抑制電線21の製造工
程における第1撚線機の斜視図である。
【図8】第2の実施の形態の弛度抑制電線31の製造工
程における第1撚線機の斜視図である。
【図9】本発明の弛度抑制電線11における伸びと応力
との関係を示す図である。
【図10】従来のギャップ型弛度抑制電線の横断面図で
ある。
【符号の説明】
1 鋼心 2 アルミ素線 11,21,31 弛度抑制電線 51 引留クランプ(固着具) 52 圧縮スリーブ(固着具)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松森 荘樹 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日立 電線株式会社豊浦工場内 (72)発明者 長谷 祐児 愛知県名古屋市東区東新町1番地 中部電 力株式会社内 (72)発明者 岩井 一智 愛知県名古屋市東区東新町1番地 中部電 力株式会社内 Fターム(参考) 3B153 AA10 AA19 AA32 CC52 CC54 CC80 EE02 EE11 EE18 FF35 GG40 5G307 EB01 ED07 EE01 EF07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼心の周りにアルミ素線を撚り合せてな
    り、張力を鋼心のみに負荷させる弛度抑制電線におい
    て、回復可能な伸びが長さ方向に付与された上記鋼心の
    周りに、上記アルミ素線を撚り合せたことを特徴とする
    弛度抑制電線。
  2. 【請求項2】 鋼心の周りにアルミ素線を撚り合せてな
    り、張力を鋼心のみに負荷させる弛度抑制電線におい
    て、上記鋼心の周りに、回復可能な縮みが長さ方向に付
    与された上記アルミ素線を撚り合せたことを特徴とする
    弛度抑制電線。
  3. 【請求項3】 撚り合された上記アルミ素線間に間隙を
    有する請求項1又は請求項2記載の弛度抑制電線。
  4. 【請求項4】 電線の両端部およびその中途部に、上記
    鋼心と上記アルミ素線とを固着する固着具を設けた請求
    項1乃至請求項3いずれかに記載の弛度抑制電線。
  5. 【請求項5】 鋼心の周りにアルミ素線を撚り合せると
    共に、張力を鋼心のみに負荷させる弛度抑制電線を製造
    する方法において、回復可能な伸びが長さ方向に付与さ
    れた上記鋼心の周りに、上記アルミ素線を撚り合せた
    後、鋼心に付与された伸びを除去して鋼心を元の長さに
    戻すことを特徴とする弛度抑制電線の製造方法。
  6. 【請求項6】 鋼心の周りにアルミ素線を撚り合せると
    共に、張力を鋼心のみに負荷させる弛度抑制電線を製造
    する方法において、上記鋼心の周りに、回復可能な縮み
    が長さ方向に付与された上記アルミ素線を撚り合せた
    後、アルミ素線に付与された縮みを除去してアルミ素線
    を元の長さに戻すことを特徴とする弛度抑制電線の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 鋼心の周りにアルミ素線を撚り合せると
    共に、張力を鋼心のみに負荷させる弛度抑制電線を製造
    する方法において、回復可能な伸びが長さ方向に付与さ
    れた上記鋼心の周りに、回復可能な縮みが長さ方向に付
    与された上記アルミ素線を撚り合せた後、鋼心に付与さ
    れた伸びを除去して鋼心を元の長さに戻すと共に、アル
    ミ素線に付与された縮みを除去してアルミ素線を元の長
    さに戻すことを特徴とする弛度抑制電線の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記鋼心を長さ方向に引張り、鋼心に弾
    性伸びを付与する請求項5又は請求項7記載の弛度抑制
    電線の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記鋼心を加熱し、鋼心に熱膨張による
    伸びを付与する請求項5又は請求項7記載の弛度抑制電
    線の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記アルミ素線を冷却し、アルミ素線
    に熱収縮による縮みを付与する請求項6又は請求項7記
    載の弛度抑制電線の製造方法。
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