JP2000348972A - Lc複合部品 - Google Patents
Lc複合部品Info
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- JP2000348972A JP2000348972A JP11160641A JP16064199A JP2000348972A JP 2000348972 A JP2000348972 A JP 2000348972A JP 11160641 A JP11160641 A JP 11160641A JP 16064199 A JP16064199 A JP 16064199A JP 2000348972 A JP2000348972 A JP 2000348972A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 誘電体セラミック層を含むコンデンサ部分と
磁性体セラミック層を含むインダクタ部分とを一体焼成
して得られた部品本体を備えるLC複合部品において、
焼成時に生じるコンデンサ部分とインダクタ部分との接
合界面での応力を緩和でき、クラックの発生や特性の劣
化のない、信頼性の高いLC複合部品を提供する。 【解決手段】 誘電体セラミック層と磁性体セラミック
層とを960℃以下の温度で焼結可能とし、コンデンサ
部分2とインダクタ部分3との接合性を、誘電体セラミ
ック層および/または磁性体セラミック層に0.5〜9
0重量%の含有量をもって添加したガラスによって得る
ようにしながら、このガラスとして、結晶融解温度が6
00〜900℃の結晶化ガラスを用いる。
磁性体セラミック層を含むインダクタ部分とを一体焼成
して得られた部品本体を備えるLC複合部品において、
焼成時に生じるコンデンサ部分とインダクタ部分との接
合界面での応力を緩和でき、クラックの発生や特性の劣
化のない、信頼性の高いLC複合部品を提供する。 【解決手段】 誘電体セラミック層と磁性体セラミック
層とを960℃以下の温度で焼結可能とし、コンデンサ
部分2とインダクタ部分3との接合性を、誘電体セラミ
ック層および/または磁性体セラミック層に0.5〜9
0重量%の含有量をもって添加したガラスによって得る
ようにしながら、このガラスとして、結晶融解温度が6
00〜900℃の結晶化ガラスを用いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、積層チップ型の
LC複合部品に関するもので、特に、コンデンサ部分と
インダクタ部分とを一体焼結させて得られるLC複合部
品に関するものである。
LC複合部品に関するもので、特に、コンデンサ部分と
インダクタ部分とを一体焼結させて得られるLC複合部
品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば、テレビジョン受像機、ビデオ
テープレコーダもしくはラジオ受信機等の入力用高周波
回路等において、あるいは、テレビゲーム機もしくはパ
ーソナルコンピュータ等におけるEMI除去用フィルタ
等の各種フィルタとして、インダクタとコンデンサとを
組み合わせて積層チップ型としたLC複合部品が用いら
れている。
テープレコーダもしくはラジオ受信機等の入力用高周波
回路等において、あるいは、テレビゲーム機もしくはパ
ーソナルコンピュータ等におけるEMI除去用フィルタ
等の各種フィルタとして、インダクタとコンデンサとを
組み合わせて積層チップ型としたLC複合部品が用いら
れている。
【0003】このようなLC複合部品は、磁性体グリー
ンシートおよび誘電体グリーンシートのそれぞれを積層
して得られる積層体、すなわちインダクタとなる磁性体
セラミック部分とコンデンサとなる誘電体セラミック部
分とを互いに重ね合わせた上で一体焼結させてなる部品
本体を備えている。
ンシートおよび誘電体グリーンシートのそれぞれを積層
して得られる積層体、すなわちインダクタとなる磁性体
セラミック部分とコンデンサとなる誘電体セラミック部
分とを互いに重ね合わせた上で一体焼結させてなる部品
本体を備えている。
【0004】しかしながら、種々ある誘電体セラミック
材料のうち、磁性体セラミック材料と直接に一体焼結し
得るものは限られている。それにも関わらず、LC複合
部品の需要者は、多様な用途に応えるため、あらゆる誘
電体セラミック材料が、LC複合部品における誘電体セ
ラミック部分において用いられ得ることを望んでいる。
材料のうち、磁性体セラミック材料と直接に一体焼結し
得るものは限られている。それにも関わらず、LC複合
部品の需要者は、多様な用途に応えるため、あらゆる誘
電体セラミック材料が、LC複合部品における誘電体セ
ラミック部分において用いられ得ることを望んでいる。
【0005】誘電体セラミック部分と磁性体セラミック
部分とを一体焼結させる技術を採用しながらも、上述の
要望に応えるためには、種類の異なる材料を組み合わせ
ても常に良好な接合が達成されるよう、焼結挙動および
拡散種を制御するとともに、一体焼結温度から常温に戻
す際等において接合界面に生じる応力を、誘電体セラミ
ックおよび磁性体セラミックの双方の破壊強度以下に制
御する必要がある。
部分とを一体焼結させる技術を採用しながらも、上述の
要望に応えるためには、種類の異なる材料を組み合わせ
ても常に良好な接合が達成されるよう、焼結挙動および
拡散種を制御するとともに、一体焼結温度から常温に戻
す際等において接合界面に生じる応力を、誘電体セラミ
ックおよび磁性体セラミックの双方の破壊強度以下に制
御する必要がある。
【0006】これに関して、興味ある技術として、特公
平8−8201号公報には、誘電体セラミックおよび/
または磁性体セラミックに、アルカリ土類酸化物を含有
するホウケイ酸ガラスを含有させて、誘電体セラミック
層と磁性体セラミック層との各々の線膨張率を互いに近
似させることが記載されている。この場合のガラスの添
加は、熱膨張係数の差によってもたらされる残留応力の
緩和を目的としている。
平8−8201号公報には、誘電体セラミックおよび/
または磁性体セラミックに、アルカリ土類酸化物を含有
するホウケイ酸ガラスを含有させて、誘電体セラミック
層と磁性体セラミック層との各々の線膨張率を互いに近
似させることが記載されている。この場合のガラスの添
加は、熱膨張係数の差によってもたらされる残留応力の
緩和を目的としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、誘電
体セラミックおよび/または磁性体セラミックにホウケ
イ酸ガラスを添加することによって得ようとする効果
は、誘電体セラミックおよび磁性体セラミックの各熱膨
張係数とホウケイ酸ガラスの熱膨張係数とを合成するこ
とによって、コンデンサ部分とインダクタ部分との熱膨
張係数を制御しようとすることである。
体セラミックおよび/または磁性体セラミックにホウケ
イ酸ガラスを添加することによって得ようとする効果
は、誘電体セラミックおよび磁性体セラミックの各熱膨
張係数とホウケイ酸ガラスの熱膨張係数とを合成するこ
とによって、コンデンサ部分とインダクタ部分との熱膨
張係数を制御しようとすることである。
【0008】しかしながら、幅広い熱膨張係数に対応す
るには、ガラスの熱膨張係数を変化させる手法だけに頼
ることには無理ないしは限界がある。ホウケイ酸ガラス
の熱膨張係数を変化させるには、まず、ホウケイ酸ガラ
スの組成および組成比を変化させる必要がある。ホウケ
イ酸ガラスの組成および組成比を変化させると、ガラス
の物理的および化学的特性が変化し、その結果、コンデ
ンサ部分およびインダクタ部分の焼結性が変化する。こ
のため、熱膨張係数だけでなく、焼結温度までが変化し
ていまい、一体焼成したときには、かえって部品本体に
剥がれや反りなどの欠陥が生じやすくなってしまうこと
がある。
るには、ガラスの熱膨張係数を変化させる手法だけに頼
ることには無理ないしは限界がある。ホウケイ酸ガラス
の熱膨張係数を変化させるには、まず、ホウケイ酸ガラ
スの組成および組成比を変化させる必要がある。ホウケ
イ酸ガラスの組成および組成比を変化させると、ガラス
の物理的および化学的特性が変化し、その結果、コンデ
ンサ部分およびインダクタ部分の焼結性が変化する。こ
のため、熱膨張係数だけでなく、焼結温度までが変化し
ていまい、一体焼成したときには、かえって部品本体に
剥がれや反りなどの欠陥が生じやすくなってしまうこと
がある。
【0009】また、コンデンサ部分とインダクタ部分と
の接合界面に生じ得る応力は、上述したようなコンデン
サ部分とインダクタ部分との熱膨張係数の差にのみ起因
するわけではない。BaTiO3 やTiO2 等の誘電体
セラミック材料とフェライト等の磁性体セラミック材料
とは、焼成時の収縮曲線、特に収縮開始温度が異なるた
め、各材料をそれぞれ含む層を積層して同時に焼成しよ
うとすると、焼成時の収縮差(収縮開始温度の差)が現
れる。この収縮開始温度の差によっても、コンデンサ部
分とインダクタ部分との接合界面に応力を生じさせるこ
とになり、これが原因となっても、部品本体に反りが生
じたり、コンデンサ部分とインダクタ部分と間の接合界
面で剥離が生じたりして、不良品を多発させている。
の接合界面に生じ得る応力は、上述したようなコンデン
サ部分とインダクタ部分との熱膨張係数の差にのみ起因
するわけではない。BaTiO3 やTiO2 等の誘電体
セラミック材料とフェライト等の磁性体セラミック材料
とは、焼成時の収縮曲線、特に収縮開始温度が異なるた
め、各材料をそれぞれ含む層を積層して同時に焼成しよ
うとすると、焼成時の収縮差(収縮開始温度の差)が現
れる。この収縮開始温度の差によっても、コンデンサ部
分とインダクタ部分との接合界面に応力を生じさせるこ
とになり、これが原因となっても、部品本体に反りが生
じたり、コンデンサ部分とインダクタ部分と間の接合界
面で剥離が生じたりして、不良品を多発させている。
【0010】そこで、この発明の目的は、上述した問題
を解決し得るLC複合部品を提供しようとすることであ
る。
を解決し得るLC複合部品を提供しようとすることであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、誘電体セラ
ミック層と電極層との積層構造を有するコンデンサ部分
と、磁性体セラミック層と電極層との積層構造を有する
インダクタ部分とを一体焼成して得られた部品本体を備
える、LC複合部品に向けられるものであって、上述し
た技術的課題を解決するため、次のような構成を採用し
たことを特徴としている。
ミック層と電極層との積層構造を有するコンデンサ部分
と、磁性体セラミック層と電極層との積層構造を有する
インダクタ部分とを一体焼成して得られた部品本体を備
える、LC複合部品に向けられるものであって、上述し
た技術的課題を解決するため、次のような構成を採用し
たことを特徴としている。
【0012】すなわち、この発明は、上述した技術的課
題を解決するため、誘電体セラミック層と磁性体セラミ
ック層との各々の熱膨張係数を互いに近似させる手段に
よるのではなく、むしろ、各々の焼成時の収縮開始温度
を互いに近似させる手段によることを特徴としていて、
より詳細には、誘電体セラミック層および磁性体セラミ
ック層は、ともに、960℃以下の温度で焼結が可能で
あり、誘電体セラミック層および磁性体セラミック層の
少なくとも一方に、誘電体セラミック層と磁性体セラミ
ック層との各々の焼成時の収縮開始温度を互いに近似さ
せるため、結晶融解温度が600〜900℃の結晶化ガ
ラスを含有させることを特徴としている。
題を解決するため、誘電体セラミック層と磁性体セラミ
ック層との各々の熱膨張係数を互いに近似させる手段に
よるのではなく、むしろ、各々の焼成時の収縮開始温度
を互いに近似させる手段によることを特徴としていて、
より詳細には、誘電体セラミック層および磁性体セラミ
ック層は、ともに、960℃以下の温度で焼結が可能で
あり、誘電体セラミック層および磁性体セラミック層の
少なくとも一方に、誘電体セラミック層と磁性体セラミ
ック層との各々の焼成時の収縮開始温度を互いに近似さ
せるため、結晶融解温度が600〜900℃の結晶化ガ
ラスを含有させることを特徴としている。
【0013】上述のように、誘電体セラミック層および
磁性体セラミック層が、ともに、960℃以下の温度で
焼結が可能であるとされたのは、LC複合部品の電極層
は、たとえば、金、銀または銅を主成分とする比抵抗の
低い金属をもって構成する必要があるが、このことを可
能にするためには、誘電体セラミック層および磁性体セ
ラミック層の双方が960℃以下の温度で焼成されなけ
ればならない、との理由による。
磁性体セラミック層が、ともに、960℃以下の温度で
焼結が可能であるとされたのは、LC複合部品の電極層
は、たとえば、金、銀または銅を主成分とする比抵抗の
低い金属をもって構成する必要があるが、このことを可
能にするためには、誘電体セラミック層および磁性体セ
ラミック層の双方が960℃以下の温度で焼成されなけ
ればならない、との理由による。
【0014】また、誘電体セラミック層と磁性体セラミ
ック層との各々の焼成時の収縮開始温度を互いに近似さ
せるために添加される結晶化ガラスとして、結晶融解温
度が600〜900℃のものを用いるとされたのは、次
の理由による。
ック層との各々の焼成時の収縮開始温度を互いに近似さ
せるために添加される結晶化ガラスとして、結晶融解温
度が600〜900℃のものを用いるとされたのは、次
の理由による。
【0015】まず、結晶融解温度が900℃以下の結晶
化ガラスを用いることによって、前述したように、誘電
体セラミック層および磁性体セラミック層の双方が96
0℃以下の温度で焼成されることが可能となる。他方、
結晶融解温度が600℃未満の結晶化ガラスを用いる
と、電極層に含まれる金属材料が当該結晶化ガラス中に
拡散してしまい、それによって、誘電体セラミック層お
よび/または磁性体セラミック層において比抵抗の不所
望な増大を招き、そのため、LC複合部品の信頼性を低
下させる。したがって、添加される結晶化ガラスの結晶
融解温度は、600〜900℃でなければならない。
化ガラスを用いることによって、前述したように、誘電
体セラミック層および磁性体セラミック層の双方が96
0℃以下の温度で焼成されることが可能となる。他方、
結晶融解温度が600℃未満の結晶化ガラスを用いる
と、電極層に含まれる金属材料が当該結晶化ガラス中に
拡散してしまい、それによって、誘電体セラミック層お
よび/または磁性体セラミック層において比抵抗の不所
望な増大を招き、そのため、LC複合部品の信頼性を低
下させる。したがって、添加される結晶化ガラスの結晶
融解温度は、600〜900℃でなければならない。
【0016】なお、一般的に、固相反応接合では、たと
えば、約10mm角の接合面を900℃で接合しようとし
たとき、接合されるべき材料のヤング率やポアソン比に
よって若干の違いがあるが、熱膨張係数の差が0.5×
10-6/℃より大きくなると、接合界面にクラックが生
じやすいことがわかっている。これに関連して、この発
明において添加される結晶融解温度が600〜900℃
の結晶化ガラスは、コンデンサ部分とインダクタ部分と
の熱膨張係数の差が0.5×10-6/℃よりも大きくて
も、焼成後の残留応力を緩和して、これらコンデンサ部
分とインダクタ部分との接合界面でのクラックの発生を
抑制するようにも作用する。
えば、約10mm角の接合面を900℃で接合しようとし
たとき、接合されるべき材料のヤング率やポアソン比に
よって若干の違いがあるが、熱膨張係数の差が0.5×
10-6/℃より大きくなると、接合界面にクラックが生
じやすいことがわかっている。これに関連して、この発
明において添加される結晶融解温度が600〜900℃
の結晶化ガラスは、コンデンサ部分とインダクタ部分と
の熱膨張係数の差が0.5×10-6/℃よりも大きくて
も、焼成後の残留応力を緩和して、これらコンデンサ部
分とインダクタ部分との接合界面でのクラックの発生を
抑制するようにも作用する。
【0017】このような作用をより確実に働かせるよう
にするには、上述したような結晶融解温度が600〜9
00℃の結晶化ガラスは、誘電体セラミック層および磁
性体セラミック層の少なくとも一方に0.5〜90重量
%の含有量をもって含有されるのが好ましい。
にするには、上述したような結晶融解温度が600〜9
00℃の結晶化ガラスは、誘電体セラミック層および磁
性体セラミック層の少なくとも一方に0.5〜90重量
%の含有量をもって含有されるのが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】図1には、この発明の一実施形態
によるLC複合部品1の外観が斜視図で示されている。
LC複合部品1は、コンデンサ部分2とインダクタ部分
3とを一体焼成して得られた部品本体4を備え、部品本
体4の端面上には、複数の外部電極5が形成されてい
る。
によるLC複合部品1の外観が斜視図で示されている。
LC複合部品1は、コンデンサ部分2とインダクタ部分
3とを一体焼成して得られた部品本体4を備え、部品本
体4の端面上には、複数の外部電極5が形成されてい
る。
【0019】詳細には図示しないが、コンデンサ部分2
は、誘電体セラミック層と電極層との積層構造を有し、
インダクタ部分3は、磁性体セラミック層と電極層との
積層構造を有している。
は、誘電体セラミック層と電極層との積層構造を有し、
インダクタ部分3は、磁性体セラミック層と電極層との
積層構造を有している。
【0020】上述した誘電体セラミック層および/また
は磁性体セラミック層には、誘電体セラミック層と磁性
体セラミック層との各々の焼成時の収縮開始温度を互い
に近似させるための結晶化ガラスが含有されている。
は磁性体セラミック層には、誘電体セラミック層と磁性
体セラミック層との各々の焼成時の収縮開始温度を互い
に近似させるための結晶化ガラスが含有されている。
【0021】このような構成のLC複合部品1におい
て、コンデンサ部分2とインダクタ部分3との接合性
は、主に誘電体セラミック層および/または磁性体セラ
ミック層に添加された上述した結晶化ガラスによって得
ることができる。
て、コンデンサ部分2とインダクタ部分3との接合性
は、主に誘電体セラミック層および/または磁性体セラ
ミック層に添加された上述した結晶化ガラスによって得
ることができる。
【0022】また、LC複合部品1のコンデンサ部分2
およびインダクタ部分3にそれぞれ備える電極層は、
金、銀または銅を主成分とする比抵抗の低い金属をもっ
て構成される。そのため、誘電体セラミック層および磁
性体セラミック層は、ともに、960℃以下の温度で焼
結可能である。
およびインダクタ部分3にそれぞれ備える電極層は、
金、銀または銅を主成分とする比抵抗の低い金属をもっ
て構成される。そのため、誘電体セラミック層および磁
性体セラミック層は、ともに、960℃以下の温度で焼
結可能である。
【0023】また、このように960℃以下といった比
較的低い温度で誘電体セラミック層および磁性体セラミ
ック層の焼結を可能とすれば、コンデンサ部分2とイン
ダクタ部分3との間で熱膨張係数にある程度の差があっ
ても、焼成後の残留応力を緩和することができ、焼成後
の部品本体4にクラックを発生することを防止できる。
また、比較的低い温度での焼成は、電極層の金属材料の
拡散または蒸発を抑制する効果も期待でき、これによる
LC複合部品1の直流抵抗の増加や断線不良を生じにく
くすることができる。
較的低い温度で誘電体セラミック層および磁性体セラミ
ック層の焼結を可能とすれば、コンデンサ部分2とイン
ダクタ部分3との間で熱膨張係数にある程度の差があっ
ても、焼成後の残留応力を緩和することができ、焼成後
の部品本体4にクラックを発生することを防止できる。
また、比較的低い温度での焼成は、電極層の金属材料の
拡散または蒸発を抑制する効果も期待でき、これによる
LC複合部品1の直流抵抗の増加や断線不良を生じにく
くすることができる。
【0024】また、上述のように、誘電体セラミック層
および磁性体セラミック層の双方が960℃以下の温度
で焼成されることを可能にするため、誘電体セラミック
層および/または磁性体セラミック層に添加される結晶
化ガラスとしては、結晶融解温度が900℃以下のもの
が用いられる。
および磁性体セラミック層の双方が960℃以下の温度
で焼成されることを可能にするため、誘電体セラミック
層および/または磁性体セラミック層に添加される結晶
化ガラスとしては、結晶融解温度が900℃以下のもの
が用いられる。
【0025】また、上述のように、結晶化ガラスは、結
晶融解温度が900℃以下でなければならないと言って
も、結晶融解温度が600℃未満であると、電極層に含
まれる金属材料が結晶化ガラス中に拡散してしまい、そ
れによって、誘電体セラミック層および/または磁性体
セラミック層の比抵抗の不所望な増大を招き、そのた
め、LC複合部品の信頼性を低下させるので、結晶融解
温度は、600℃以上でなければならない。
晶融解温度が900℃以下でなければならないと言って
も、結晶融解温度が600℃未満であると、電極層に含
まれる金属材料が結晶化ガラス中に拡散してしまい、そ
れによって、誘電体セラミック層および/または磁性体
セラミック層の比抵抗の不所望な増大を招き、そのた
め、LC複合部品の信頼性を低下させるので、結晶融解
温度は、600℃以上でなければならない。
【0026】また、上述したような結晶融解温度が60
0〜900℃の範囲にある結晶化ガラスは、誘電体セラ
ミック層および/または磁性体セラミック層において、
0.5〜90重量%の範囲で含有するように添加される
のが好ましい。このように、結晶化ガラスを0.5〜9
0重量%の範囲で含有するように添加することにより、
結晶化ガラスは、コンデンサ部分2とインダクタ部分3
との熱膨張係数の差による焼成後の残留応力を確実に緩
和するように作用して、コンデンサ部分2とインダクタ
部分3との熱膨張係数の差がたとえ0.5×10-6/℃
よりも大きくても接合界面にクラックが生じにくくする
ことができる。
0〜900℃の範囲にある結晶化ガラスは、誘電体セラ
ミック層および/または磁性体セラミック層において、
0.5〜90重量%の範囲で含有するように添加される
のが好ましい。このように、結晶化ガラスを0.5〜9
0重量%の範囲で含有するように添加することにより、
結晶化ガラスは、コンデンサ部分2とインダクタ部分3
との熱膨張係数の差による焼成後の残留応力を確実に緩
和するように作用して、コンデンサ部分2とインダクタ
部分3との熱膨張係数の差がたとえ0.5×10-6/℃
よりも大きくても接合界面にクラックが生じにくくする
ことができる。
【0027】
【実施例1】誘電体セラミック材料として、BaTiO
3 系材料を用い、磁性体セラミック材料として、Ni−
Zn−Cuフェライト材料を用いた。これらBaTiO
3 系材料および/またはNi−Zn−Cuフェライト材
料に添加するガラスとして、以下の表1に示すようなガ
ラスA〜Lを用意した。ここで、ガラスAおよびF〜K
は、この発明の比較例として用意されたこの発明の範囲
外のものであり、より具体的には、ガラスA、F、Hお
よびKは、結晶融解温度が600〜900℃の範囲から
外れ、また、ガラスG、IおよびJは、結晶化されない
ものである。
3 系材料を用い、磁性体セラミック材料として、Ni−
Zn−Cuフェライト材料を用いた。これらBaTiO
3 系材料および/またはNi−Zn−Cuフェライト材
料に添加するガラスとして、以下の表1に示すようなガ
ラスA〜Lを用意した。ここで、ガラスAおよびF〜K
は、この発明の比較例として用意されたこの発明の範囲
外のものであり、より具体的には、ガラスA、F、Hお
よびKは、結晶融解温度が600〜900℃の範囲から
外れ、また、ガラスG、IおよびJは、結晶化されない
ものである。
【0028】
【表1】
【0029】次に、BaTiO3 系誘電体セラミック材
料には、適当量のバインダ、可塑剤および溶剤ととも
に、ガラスA〜Lの各々を、表2に示す割合で添加し、
これらを混練して誘電体材料のスラリーを得た。また、
Ni−Zn−Cuフェライト材料には、適当量のバイン
ダ、可塑剤および溶剤とともに、ガラスA〜FおよびL
の各々を、同じく表2に示す割合で添加し、これらを混
練して磁性体材料のスラリーを得た。
料には、適当量のバインダ、可塑剤および溶剤ととも
に、ガラスA〜Lの各々を、表2に示す割合で添加し、
これらを混練して誘電体材料のスラリーを得た。また、
Ni−Zn−Cuフェライト材料には、適当量のバイン
ダ、可塑剤および溶剤とともに、ガラスA〜FおよびL
の各々を、同じく表2に示す割合で添加し、これらを混
練して磁性体材料のスラリーを得た。
【0030】このようにして得られた誘電体スラリーお
よび磁性体スラリーのそれぞれを、ドクターブレード法
により厚さ100μm以下のシート状に成形した。成形
されたセラミックグリーンシートを縦12mm、横12mm
の寸法にカットし、誘電体グリーンシートには静電容量
取得のための内部電極パターンを、磁性体グリーンシー
トにはインダクタンス取得のためのコイル電極パターン
を、それぞれ、Agペーストで印刷した。
よび磁性体スラリーのそれぞれを、ドクターブレード法
により厚さ100μm以下のシート状に成形した。成形
されたセラミックグリーンシートを縦12mm、横12mm
の寸法にカットし、誘電体グリーンシートには静電容量
取得のための内部電極パターンを、磁性体グリーンシー
トにはインダクタンス取得のためのコイル電極パターン
を、それぞれ、Agペーストで印刷した。
【0031】次いで、コンデンサ部分とインダクタ部分
とからなる部品本体を得るべく、誘電体グリーンシート
と磁性体グリーンシートとをそれぞれ積み重ね、この積
層体を3mmの厚さになるようにプレスした。このと
き、コンデンサ部分の厚さとインダクタ部分の厚さとは
同等とした。
とからなる部品本体を得るべく、誘電体グリーンシート
と磁性体グリーンシートとをそれぞれ積み重ね、この積
層体を3mmの厚さになるようにプレスした。このと
き、コンデンサ部分の厚さとインダクタ部分の厚さとは
同等とした。
【0032】このようにして得られた積層体を、次い
で、960℃以下の温度で2時間焼成し、部品本体を得
た。なお、焼成温度が960℃を超える場合には、部品
本体の内部の電極層に含まれるAg(融点=960℃)
が融解または蒸発してしまい、断線または比抵抗不良が
発生した。
で、960℃以下の温度で2時間焼成し、部品本体を得
た。なお、焼成温度が960℃を超える場合には、部品
本体の内部の電極層に含まれるAg(融点=960℃)
が融解または蒸発してしまい、断線または比抵抗不良が
発生した。
【0033】次いで、この部品本体の端面に外部電極を
付与した。この外部電極の付与にあたっては、Ag粉末
にガラスフリットおよび有機ビヒクルを加えた導電性ペ
ーストを塗布し、800℃で30分間焼き付けることを
行なった。
付与した。この外部電極の付与にあたっては、Ag粉末
にガラスフリットおよび有機ビヒクルを加えた導電性ペ
ーストを塗布し、800℃で30分間焼き付けることを
行なった。
【0034】このようにして、図1に示すような外観を
有するLC複合部品を得た。このLC複合部品に関し
て、焼結性、ならびに、接合性、熱膨張係数差Δα(=
α2 −α1 :α1 は誘電体セラミック材料の熱膨張係
数、α2 は磁性体セラミック材料の熱膨張係数)、収縮
開始温度差ΔT(=|T1−T2|:T1は誘電体セラ
ミック材料の収縮開始温度、T2は磁性体セラミック材
料の収縮開始温度)、および接合界面でのクラックの有
無といった機械的特性、さらには、断線または直流抵抗
の不良率といった電気的特性をそれぞれ評価し、これら
を表2に併せて示した。
有するLC複合部品を得た。このLC複合部品に関し
て、焼結性、ならびに、接合性、熱膨張係数差Δα(=
α2 −α1 :α1 は誘電体セラミック材料の熱膨張係
数、α2 は磁性体セラミック材料の熱膨張係数)、収縮
開始温度差ΔT(=|T1−T2|:T1は誘電体セラ
ミック材料の収縮開始温度、T2は磁性体セラミック材
料の収縮開始温度)、および接合界面でのクラックの有
無といった機械的特性、さらには、断線または直流抵抗
の不良率といった電気的特性をそれぞれ評価し、これら
を表2に併せて示した。
【0035】
【表2】
【0036】表2において、誘電体セラミック材料にの
みガラスを添加した試料1〜12について参照すると、
試料2〜5および12では、焼結性および接合性がとも
に良好(「○」)であり、また、クラックが「なし」
で、かつ、電気的特性についても良好(断線または直流
抵抗の不良率が「0%」)であった。
みガラスを添加した試料1〜12について参照すると、
試料2〜5および12では、焼結性および接合性がとも
に良好(「○」)であり、また、クラックが「なし」
で、かつ、電気的特性についても良好(断線または直流
抵抗の不良率が「0%」)であった。
【0037】これら試料2〜5および12は、この発明
の範囲内にある、ガラスB〜EまたはLを18重量%添
加したものである。試料2〜5および12では、誘電体
セラミック層と磁性体セラミック層との間での焼成時の
収縮開始温度差ΔTが比較的小さくなっている。
の範囲内にある、ガラスB〜EまたはLを18重量%添
加したものである。試料2〜5および12では、誘電体
セラミック層と磁性体セラミック層との間での焼成時の
収縮開始温度差ΔTが比較的小さくなっている。
【0038】他方、結晶融解温度が900℃を超えるガ
ラスA、FまたはHを添加した試料1、6および8で
は、焼結性および接合性がそれほど良好でない
(「△」)か悪く(「×」)、特に、結晶融解温度が9
00℃を大幅に超えるガラスFまたはHを添加した試料
6および8では、コンデンサ部分とインダクタ部分との
接合界面にクラックが発生した。
ラスA、FまたはHを添加した試料1、6および8で
は、焼結性および接合性がそれほど良好でない
(「△」)か悪く(「×」)、特に、結晶融解温度が9
00℃を大幅に超えるガラスFまたはHを添加した試料
6および8では、コンデンサ部分とインダクタ部分との
接合界面にクラックが発生した。
【0039】これら試料1、6および8では、誘電体セ
ラミック層と磁性体セラミック層との間での焼成時の収
縮開始温度差ΔTが比較的大きくなっている。特に、試
料6および8では、収縮開始温度差ΔTだけでなく、熱
膨張係数差Δαも比較的大きくなっているが、試料1で
は、熱膨張係数差Δαが試料2〜5および12とほぼ同
等であるにも関わらず、収縮開始温度差ΔTが比較的大
きくなっており、それほど良好な接合性が得られていな
い。
ラミック層と磁性体セラミック層との間での焼成時の収
縮開始温度差ΔTが比較的大きくなっている。特に、試
料6および8では、収縮開始温度差ΔTだけでなく、熱
膨張係数差Δαも比較的大きくなっているが、試料1で
は、熱膨張係数差Δαが試料2〜5および12とほぼ同
等であるにも関わらず、収縮開始温度差ΔTが比較的大
きくなっており、それほど良好な接合性が得られていな
い。
【0040】このことから、誘電体セラミック層と磁性
体セラミック層との間で良好な接合性を得るためには、
誘電体セラミック層と磁性体セラミック層との各々の熱
膨張係数を互いに近似させることよりは、むしろ、各々
の焼成時の収縮開始温度を互いに近似させることがより
重要であることがわかる。
体セラミック層との間で良好な接合性を得るためには、
誘電体セラミック層と磁性体セラミック層との各々の熱
膨張係数を互いに近似させることよりは、むしろ、各々
の焼成時の収縮開始温度を互いに近似させることがより
重要であることがわかる。
【0041】また、結晶融解温度が600℃未満のガラ
スKを添加した試料11では、焼結性および接合性やク
ラック有無のような機械的特性は良好であったが、内部
の電極層のAgがガラス中へ拡散してしまい、直流抵抗
不良や断線不良が30%の試料において発生した。
スKを添加した試料11では、焼結性および接合性やク
ラック有無のような機械的特性は良好であったが、内部
の電極層のAgがガラス中へ拡散してしまい、直流抵抗
不良や断線不良が30%の試料において発生した。
【0042】このことから、LC複合部品の電気的特性
に関する信頼性を維持するためには、結晶融解温度が6
00℃以上のガラスを添加しなければならないことがわ
かる。
に関する信頼性を維持するためには、結晶融解温度が6
00℃以上のガラスを添加しなければならないことがわ
かる。
【0043】また、結晶化しないガラスG、IまたはJ
を添加した試料7、9および10では、上述のガラスK
を添加した試料11よりもさらに多量に内部の電極層の
Agがガラス中へ拡散してしまい、直流抵抗不良や断線
不良が100%の試料において発生した。また、これら
試料7、9および10では、収縮開始温度差ΔTも大き
い値を示した。
を添加した試料7、9および10では、上述のガラスK
を添加した試料11よりもさらに多量に内部の電極層の
Agがガラス中へ拡散してしまい、直流抵抗不良や断線
不良が100%の試料において発生した。また、これら
試料7、9および10では、収縮開始温度差ΔTも大き
い値を示した。
【0044】この発明の範囲内にある試料2〜5および
12における熱膨張係数差Δαは、この発明の範囲外に
ある試料1、7および9〜11とほぼ同等で、0.5×
10 -6/℃よりも大きい。それにも関わらず、この発明
の範囲内にある試料2〜5および12が、前述のよう
に、良好な接合性が得られかつクラックも発生しなかっ
た。このことは、上述したような結晶融解温度が600
〜900℃の範囲にある結晶化ガラスが誘電体セラミッ
ク層において0.5〜90重量%の範囲で含有するよう
に添加されたことによる焼成後の残留応力緩和の効果を
も実証するもので、結晶化ガラスはコンデンサ部分とイ
ンダクタ部分との熱膨張係数の差による焼成後の残留応
力を確実に緩和するようにも作用していることがわか
る。
12における熱膨張係数差Δαは、この発明の範囲外に
ある試料1、7および9〜11とほぼ同等で、0.5×
10 -6/℃よりも大きい。それにも関わらず、この発明
の範囲内にある試料2〜5および12が、前述のよう
に、良好な接合性が得られかつクラックも発生しなかっ
た。このことは、上述したような結晶融解温度が600
〜900℃の範囲にある結晶化ガラスが誘電体セラミッ
ク層において0.5〜90重量%の範囲で含有するよう
に添加されたことによる焼成後の残留応力緩和の効果を
も実証するもので、結晶化ガラスはコンデンサ部分とイ
ンダクタ部分との熱膨張係数の差による焼成後の残留応
力を確実に緩和するようにも作用していることがわか
る。
【0045】なお、表2の残りの部分において示すよう
に、以上のような傾向と同様の傾向が、磁性体セラミッ
ク材料にガラスを添加した試料13〜24においても現
れることが確認できた。
に、以上のような傾向と同様の傾向が、磁性体セラミッ
ク材料にガラスを添加した試料13〜24においても現
れることが確認できた。
【0046】
【実施例2】誘電体セラミック材料として、Al2 O3
系材料を用いた。他方、磁性体セラミック材料として
は、実施例1と同様、、Ni−Zn−Cuフェライト材
料を用いた。また、Al2 O3 系材料およびNi−Zn
−Cuフェライト材料にそれぞれ添加するガラスとして
は、前の表1に示すようなガラスA〜Lを用いた。
系材料を用いた。他方、磁性体セラミック材料として
は、実施例1と同様、、Ni−Zn−Cuフェライト材
料を用いた。また、Al2 O3 系材料およびNi−Zn
−Cuフェライト材料にそれぞれ添加するガラスとして
は、前の表1に示すようなガラスA〜Lを用いた。
【0047】次に、Al2 O3 系誘電体セラミック材料
には、適当量のバインダ、可塑剤および溶剤とともに、
ガラスA〜Lの各々を、表3に示す割合で添加し、これ
らを混練して誘電体材料のスラリーを得た。また、Ni
−Zn−Cuフェライト材料には、適当量のバインダ、
可塑剤および溶剤とともに、ガラスA〜FおよびLの各
々を、同じく表3に示す割合で添加し、これらを混練し
て磁性体材料のスラリーを得た。
には、適当量のバインダ、可塑剤および溶剤とともに、
ガラスA〜Lの各々を、表3に示す割合で添加し、これ
らを混練して誘電体材料のスラリーを得た。また、Ni
−Zn−Cuフェライト材料には、適当量のバインダ、
可塑剤および溶剤とともに、ガラスA〜FおよびLの各
々を、同じく表3に示す割合で添加し、これらを混練し
て磁性体材料のスラリーを得た。
【0048】このようにして得られた誘電体スラリーお
よび磁性体スラリーをそれぞれ用いて、実施例1と同様
の手法により、内部電極パターンが印刷された誘電体グ
リーンシートおよびコイル電極パターンが印刷された磁
性体グリーンシートをそれぞれ作製し、これらグリーン
シートを積み重ね、プレスして、積層体を得た。
よび磁性体スラリーをそれぞれ用いて、実施例1と同様
の手法により、内部電極パターンが印刷された誘電体グ
リーンシートおよびコイル電極パターンが印刷された磁
性体グリーンシートをそれぞれ作製し、これらグリーン
シートを積み重ね、プレスして、積層体を得た。
【0049】次いで、この積層体を、900℃の温度で
2時間焼成し、部品本体を得た。そして、この部品本体
の端面に、実施例1と同様、外部電極を付与して、図1
に示すような外観を有するLC複合部品を得た。このL
C複合部品に関して、実施例1と同様、焼結性、ならび
に、接合性、熱膨張係数差Δα、収縮開始温度差ΔT、
および接合界面でのクラックの有無といった機械的特
性、さらには、断線または直流抵抗の不良率といった電
気的特性をそれぞれ評価し、これらを表3に併せて示し
た。
2時間焼成し、部品本体を得た。そして、この部品本体
の端面に、実施例1と同様、外部電極を付与して、図1
に示すような外観を有するLC複合部品を得た。このL
C複合部品に関して、実施例1と同様、焼結性、ならび
に、接合性、熱膨張係数差Δα、収縮開始温度差ΔT、
および接合界面でのクラックの有無といった機械的特
性、さらには、断線または直流抵抗の不良率といった電
気的特性をそれぞれ評価し、これらを表3に併せて示し
た。
【0050】
【表3】
【0051】表3において、誘電体セラミック材料にの
みガラスを添加した試料25〜36について参照する
と、試料26〜29および36では、焼結性および接合
性がともに良好(「○」)であり、また、クラックが
「なし」で、かつ、電気的特性についても良好(断線ま
たは直流抵抗の不良率が「0%」)であった。
みガラスを添加した試料25〜36について参照する
と、試料26〜29および36では、焼結性および接合
性がともに良好(「○」)であり、また、クラックが
「なし」で、かつ、電気的特性についても良好(断線ま
たは直流抵抗の不良率が「0%」)であった。
【0052】これら試料26〜29および36は、この
発明の範囲内にある、ガラスB〜EまたはLを18重量
%添加したものである。試料26〜29および36で
は、誘電体セラミック層と磁性体セラミック層との間で
の収縮開始温度差ΔTが比較的小さくなっている。
発明の範囲内にある、ガラスB〜EまたはLを18重量
%添加したものである。試料26〜29および36で
は、誘電体セラミック層と磁性体セラミック層との間で
の収縮開始温度差ΔTが比較的小さくなっている。
【0053】他方、結晶融解温度が900℃を超えるガ
ラスA、FまたはHを添加した試料25、30および3
2では、焼結性および接合性がそれほど良好でない
(「△」)か悪く(「×」)、特に、結晶融解温度が9
00℃を大幅に超えるガラスFまたはHを添加した試料
30および32では、コンデンサ部分とインダクタ部分
との接合界面にクラックが発生した。
ラスA、FまたはHを添加した試料25、30および3
2では、焼結性および接合性がそれほど良好でない
(「△」)か悪く(「×」)、特に、結晶融解温度が9
00℃を大幅に超えるガラスFまたはHを添加した試料
30および32では、コンデンサ部分とインダクタ部分
との接合界面にクラックが発生した。
【0054】これら試料25、30および32では、誘
電体セラミック層と磁性体セラミック層との間での焼成
時の収縮開始温度差ΔTが比較的大きくなっている。特
に、試料30および32では、収縮開始温度差ΔTだけ
でなく、熱膨張係数差Δαも比較的大きくなっている
が、試料25では、熱膨張係数差Δαが試料26〜29
および36とほぼ同等であるにも関わらず、収縮開始温
度差ΔTが比較的大きくなっており、それほど良好な接
合性が得られていない。
電体セラミック層と磁性体セラミック層との間での焼成
時の収縮開始温度差ΔTが比較的大きくなっている。特
に、試料30および32では、収縮開始温度差ΔTだけ
でなく、熱膨張係数差Δαも比較的大きくなっている
が、試料25では、熱膨張係数差Δαが試料26〜29
および36とほぼ同等であるにも関わらず、収縮開始温
度差ΔTが比較的大きくなっており、それほど良好な接
合性が得られていない。
【0055】このことから、誘電体セラミック層と磁性
体セラミック層との間で良好な接合性を得るためには、
誘電体セラミック層と磁性体セラミック層との各々の熱
膨張係数を互いに近似させることよりは、むしろ、各々
の焼成時の収縮開始温度を互いに近似させることがより
重要であることがわかる。
体セラミック層との間で良好な接合性を得るためには、
誘電体セラミック層と磁性体セラミック層との各々の熱
膨張係数を互いに近似させることよりは、むしろ、各々
の焼成時の収縮開始温度を互いに近似させることがより
重要であることがわかる。
【0056】また、結晶融解温度が600℃未満のガラ
スKを添加した試料35では、焼結性および接合性やク
ラック有無のような機械的特性は良好であったが、内部
の電極層のAgがガラス中へ拡散してしまい、直流抵抗
不良や断線不良が30%の試料において発生した。
スKを添加した試料35では、焼結性および接合性やク
ラック有無のような機械的特性は良好であったが、内部
の電極層のAgがガラス中へ拡散してしまい、直流抵抗
不良や断線不良が30%の試料において発生した。
【0057】このことから、LC複合部品の電気的特性
に関する信頼性を維持するためには、結晶融解温度が6
00℃以上のガラスを添加しなければならないことがわ
かる。
に関する信頼性を維持するためには、結晶融解温度が6
00℃以上のガラスを添加しなければならないことがわ
かる。
【0058】また、結晶化しないガラスG、IまたはJ
を添加した試料31、33および34では、上述のガラ
スKを添加した試料35よりもさらに多量に内部の電極
層のAgがガラス中へ拡散してしまい、直流抵抗不良や
断線不良が100%の試料において発生した。また、こ
れら試料31、33および34では、収縮開始温度差Δ
Tも大きい値を示した。
を添加した試料31、33および34では、上述のガラ
スKを添加した試料35よりもさらに多量に内部の電極
層のAgがガラス中へ拡散してしまい、直流抵抗不良や
断線不良が100%の試料において発生した。また、こ
れら試料31、33および34では、収縮開始温度差Δ
Tも大きい値を示した。
【0059】この発明の範囲内にある試料26〜29お
よび36における熱膨張係数差Δαは、この発明の範囲
外にある試料25、31および33〜35とほぼ同等
で、0.5×10-6/℃よりも大きい。それにも関わら
ず、この発明の範囲内にある試料26〜29および36
が、前述のように、良好な接合性が得られかつクラック
も発生しなかった。このことは、上述したような結晶融
解温度が600〜900℃の範囲にある結晶化ガラスが
誘電体セラミック層において0.5〜90重量%の範囲
で含有するように添加されたことによる焼成後の残留応
力緩和の効果をも実証するもので、結晶化ガラスはコン
デンサ部分とインダクタ部分との熱膨張係数の差による
焼成後の残留応力を確実に緩和するようにも作用してい
ることがわかる。
よび36における熱膨張係数差Δαは、この発明の範囲
外にある試料25、31および33〜35とほぼ同等
で、0.5×10-6/℃よりも大きい。それにも関わら
ず、この発明の範囲内にある試料26〜29および36
が、前述のように、良好な接合性が得られかつクラック
も発生しなかった。このことは、上述したような結晶融
解温度が600〜900℃の範囲にある結晶化ガラスが
誘電体セラミック層において0.5〜90重量%の範囲
で含有するように添加されたことによる焼成後の残留応
力緩和の効果をも実証するもので、結晶化ガラスはコン
デンサ部分とインダクタ部分との熱膨張係数の差による
焼成後の残留応力を確実に緩和するようにも作用してい
ることがわかる。
【0060】なお、表3の残りの部分において示すよう
に、以上のような傾向と同様の傾向が、磁性体セラミッ
ク材料にガラスを添加した試料37〜48においても現
れることが確認できた。
に、以上のような傾向と同様の傾向が、磁性体セラミッ
ク材料にガラスを添加した試料37〜48においても現
れることが確認できた。
【0061】
【発明の効果】以上のように、コンデンサ部分とインダ
クタ部分との一体焼結体からなる部品本体を備えるLC
複合部品において、この発明によれば、コンデンサ部分
とインダクタ部分との接合性は、コンデンサ部分におけ
る誘電体セラミック層およびインダクタ部分における磁
性体セラミック層の少なくとも一方に添加されたガラス
によって得られ、このガラスは、結晶融解温度が600
〜900℃の結晶化ガラスであって、960℃以下の温
度で誘電体セラミック層と磁性体セラミック層との双方
を焼結可能としながら、誘電体セラミック層と磁性体セ
ラミック層との焼成時における各収縮開始温度を互いに
近似させるように作用するので、コンデンサ部分とイン
ダクタ部分との間で熱膨張係数にある程度の差があって
も、焼成後の残留応力を緩和することができる。また、
同時焼成される内部の電極層中のたとえばAgの拡散ま
たは蒸発による直流抵抗の増加や断線不良を生じにくく
することができる。
クタ部分との一体焼結体からなる部品本体を備えるLC
複合部品において、この発明によれば、コンデンサ部分
とインダクタ部分との接合性は、コンデンサ部分におけ
る誘電体セラミック層およびインダクタ部分における磁
性体セラミック層の少なくとも一方に添加されたガラス
によって得られ、このガラスは、結晶融解温度が600
〜900℃の結晶化ガラスであって、960℃以下の温
度で誘電体セラミック層と磁性体セラミック層との双方
を焼結可能としながら、誘電体セラミック層と磁性体セ
ラミック層との焼成時における各収縮開始温度を互いに
近似させるように作用するので、コンデンサ部分とイン
ダクタ部分との間で熱膨張係数にある程度の差があって
も、焼成後の残留応力を緩和することができる。また、
同時焼成される内部の電極層中のたとえばAgの拡散ま
たは蒸発による直流抵抗の増加や断線不良を生じにくく
することができる。
【0062】したがって、一体焼結状態を得るために組
み合わせることが可能な誘電体セラミック材料および磁
性体セラミック材料の幅が広がり、それゆえ、多種類の
複合化されたLC複合部品を得ることがより容易にな
る。
み合わせることが可能な誘電体セラミック材料および磁
性体セラミック材料の幅が広がり、それゆえ、多種類の
複合化されたLC複合部品を得ることがより容易にな
る。
【0063】この発明において、誘電体セラミック層お
よび磁性体セラミック層の少なくとも一方における、上
述したような結晶融解温度が600〜900℃の結晶化
ガラスの含有量を0.5〜90重量%とすれば、コンデ
ンサ部分とインダクタ部分とにおける焼成後の残留応力
を緩和する作用がより確実に働き、したがって、コンデ
ンサ部分とインダクタ部分との熱膨張係数の差がたとえ
0.5×10-6/℃よりも大きくても、これらコンデン
サ部分とインダクタ部分との接合界面でのクラックの発
生をより確実に抑制することができる。
よび磁性体セラミック層の少なくとも一方における、上
述したような結晶融解温度が600〜900℃の結晶化
ガラスの含有量を0.5〜90重量%とすれば、コンデ
ンサ部分とインダクタ部分とにおける焼成後の残留応力
を緩和する作用がより確実に働き、したがって、コンデ
ンサ部分とインダクタ部分との熱膨張係数の差がたとえ
0.5×10-6/℃よりも大きくても、これらコンデン
サ部分とインダクタ部分との接合界面でのクラックの発
生をより確実に抑制することができる。
【図1】この発明の一実施形態によるLC複合部品1の
外観を示す斜視図である。
外観を示す斜視図である。
1 LC複合部品 2 コンデンサ部分 3 インダクタ部分 4 部品本体
Claims (2)
- 【請求項1】 誘電体セラミック層と電極層との積層構
造を有するコンデンサ部分と、磁性体セラミック層と電
極層との積層構造を有するインダクタ部分とを一体焼成
して得られた部品本体を備える、LC複合部品であっ
て、 前記誘電体セラミック層および前記磁性体セラミック層
は、ともに、960℃以下の温度で焼結可能であり、か
つ、 前記誘電体セラミック層および前記磁性体セラミック層
の少なくとも一方には、前記誘電体セラミック層と前記
磁性体セラミック層との各々の焼成時の収縮開始温度を
互いに近似させるため、結晶融解温度が600〜900
℃の結晶化ガラスが含有されていることを特徴とする、
LC複合部品。 - 【請求項2】 前記結晶化ガラスは、前記誘電体セラミ
ック層および前記磁性体セラミック層の少なくとも一方
に0.5〜90重量%含有していることを特徴とする、
請求項1に記載のLC複合部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11160641A JP2000348972A (ja) | 1999-06-08 | 1999-06-08 | Lc複合部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11160641A JP2000348972A (ja) | 1999-06-08 | 1999-06-08 | Lc複合部品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000348972A true JP2000348972A (ja) | 2000-12-15 |
Family
ID=15719337
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11160641A Pending JP2000348972A (ja) | 1999-06-08 | 1999-06-08 | Lc複合部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000348972A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014165307A (ja) * | 2013-02-25 | 2014-09-08 | Murata Mfg Co Ltd | フェライト磁器組成物、及びセラミック電子部品 |
US9905365B2 (en) | 2015-07-21 | 2018-02-27 | Tdk Corporation | Composite electronic device |
-
1999
- 1999-06-08 JP JP11160641A patent/JP2000348972A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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