JP2000344595A - 酸化物単結晶の製造方法及び装置 - Google Patents

酸化物単結晶の製造方法及び装置

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JP2000344595A JP2000083448A JP2000083448A JP2000344595A JP 2000344595 A JP2000344595 A JP 2000344595A JP 2000083448 A JP2000083448 A JP 2000083448A JP 2000083448 A JP2000083448 A JP 2000083448A JP 2000344595 A JP2000344595 A JP 2000344595A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貴金属るつぼを用いた回転引き上げ式の酸化
物単結晶製造において、貴金属るつぼは変形しやすく、
かつ非常に高価であるために、できる限り小型のるつぼ
を用いて大形で長尺の結晶を育成する技術や、るつぼの
耐使用回数を増やすための育成技術の開発が工業的な面
で解決すべき大きな課題の一つとされている。 【解決手段】 貴金属るつぼを用いた回転引き上げ式の
酸化物単結晶製造において、貴金属からなる外側るつぼ
内に、るつぼ内の融液表面をさえぎり、融液底部で融液
が連絡するようにした円筒状の内側るつぼを配置した二
重るつぼを用い、育成中の結晶の重量を直接計測しなが
ら単結晶を前記内側るつぼの中から引き上げ育成し、こ
れと同時に密封容器内にガスを供給し、該密封容器内に
保管した粉体原料を結晶の成長重量と同じ重量だけ前記
外側るつぼと内側るつぼの間に供給管より連続的に供給
し、前記二重るつぼを回転させながら結晶を育成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二重るつぼ構造か
らなる貴金属るつぼを用いた酸化物単結晶の製造方法お
よび装置に関し、特に、回転引き上げ法により高品位
で、かつ長尺の結晶を安定に成長させる酸化物単結晶の
製造方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】大型で良質な単結晶を育成する方法とし
ては、従来からチョクラルスキー法が知られている。こ
のチョクラルスキー法は、一致溶融組成の大型結晶を育
成するのに適した単結晶製造方法であり、るつぼの中に
充填した融液に種結晶を接触させ、この種結晶を回転さ
せながら上方に引き上げることにより、種結晶の下方に
単結晶を育成する方法である。
【0003】この方法は、現在、酸化物単結晶、半導体
単結晶を問わず、工業的に最もよく用いられている方法
であるが、より大口径で、かつ長尺の単結晶を低価格で
育成しようとする場合、るつぼの容量には制限があるの
で、単結晶を引き上げながらるつぼ内に原料を供給する
連続引き上げ法が考案され、これまで種々の方法が試み
られ、その一つに二重るつぼ法と称されるものがある。
【0004】この方法は、具体的には、通常のるつぼの
内側に融液の流通口を開口した内径の小さな、もう一つ
のるつぼまたは円筒体を設けた構造によって結晶を育成
する方法であり、外側のるつぼは原料供給用で、内側の
るつぼから単結晶を引き上げて成長させる単結晶の製造
方法である(例えば、特開昭57−183392号公
報、特開昭47−10355号公報等)。
【0005】SiやGaAsなどの半導体結晶の育成に
おいては、引き上げる単結晶が所定の直径(直胴部)ま
で成長したところで、成長量に見合った量の原料を外側
るつぼ内に投入する方式が提案され、実用化も検討され
ているが、これらは、主として半導体単結晶の製造にお
ける単結晶の長尺化や材料特性の均質化のためのドーパ
ントの均一添加を目的としている(例えば、特開昭63
−95195号公報、特許2729243号公報等)。
【0006】酸化物単結晶の場合にも、半導体単結晶の
場合と同様の二重るつぼを用いた結晶製造方法がこれま
でに提案されており、主な目的は、チョクラルスキー法
では原理的に育成が困難な、融液組成と育成する結晶が
同一でない組成の結晶を育成するためであり、優れた方
法として期待され開発されている。
【0007】例えば、溶液引き上げ法の一種であるTS
SG法における問題点であるとされている結晶育成の進
行に必要な融液の高さおよび温度の低下に伴う結晶育成
条件の変動や低い育成効率を改善するために、原料ぺレ
ットを外るつぼと内るつぼとの間に供給することで、原
料融液の組成および温度を一定に保って一定速度で結晶
を製造する方法が知られている(例えば、特開平4−2
70191号公報等)。
【0008】図2は、原料ペレット10を外るつぼ2と
内るつぼ3との間に一定の速度で供給することにより、
上昇・下降ヘッド7の結晶引き上げ軸6による引き上げ
速度や融液9の降下速度を一定にできることを目的とし
て開発された原料供給型二重るつぼ法を模式的に示した
断面図である。この方法では、TSSG法でのいくつか
の問題を解決している。二重るつぼ1の外側にはヒータ
−4が配置されており、内るつぼ3には孔12が設けら
れており、外るつぼ2と内るつぼ3との間の原料融液9
に供給管5を通して原料ペレット10を落下させなが
ら、種結晶8から単結晶11を育成する方法となってい
る。
【0009】また、原料供給は行わないが、融液組成と
育成結晶の組成が同じ、いわゆる一致溶融組成の結晶育
成中の温度変動の問題を解決するために、高周波誘導加
熱により発熱する容器を兼ねる貴金属るつぼを二重構造
とすることにより、るつぼの高周波誘導による加熱によ
ってもたらされる融液の温度変動を少なくし、高品質の
酸化物単結晶を製造する方法が知られている(例えば、
特開平4−74790号公報等)。
【0010】図3は、その方法を模式的断面図で示した
ものであり、貴金属製の二重るつぼを用いている。外る
つぼ13の中に酸化物の溶融物15が収納されており、
この外るつぼ13の中には、この外るつぼ13の内径よ
りも小さい径の円筒14が配置されているが、これは融
液の温度安定を目的としたものであって、長尺結晶を育
成するための原料供給手段は配置されていない。また、
できるだけ長尺の結晶を育成するように、外るつぼ13
の形状は、高さは直径とほぼ同じか、それより高いもの
を使用している。
【0011】また、通常のチョクラルスキー法では育成
ができないLi2O /(Nb2O5+Li2O)のモル分率が0.50であ
る化学量論組成のLiNbO3単結晶を育成するために、予め
内側のるつぼ内にLi2O /(Nb2O5+Li2O)のモル分率が0.5
8〜0.60のLi成分過剰な組成の融液を準備し、ここから
化学量論組成の結晶を析出させ、それと同時に析出した
組成と同じ化学量論組成に調製した原料粉末を連続的に
供給する装置を備えた二重るつぼ単結晶製造方法が開発
され、結晶全体にわたり均質な組成で化学量論組成に近
い組成のLiNbO3単結晶が育成されている(例えば、K. K
itamura et al.,Journal of Crystal Growth,第116巻,1
992年発行,第327〜332項,または応用物理,第65巻,第9
号,1996年発行,第931〜935項)。
【0012】図4および図5は、その方法を模式的断面
図で示したもので、結晶重量を検知するロードセル(図
4の52、図5の27)によって育成重量の単位時間当
たりの変化量を測定し、これに見合った量の原料粉末を
外るつぼ(図4の56、図5の19)と内るつぼ(図4
の55、図5の20)との間に、鉛直角度が65〜76
゜となるよう設置した原料供給管(図4の53、図5の
22)を通して供給している。いずれの図の装置も、原
料供給は自動で行い、原料保管容器内に設置した供給用
原料の供給量を、図4ではピエゾ振動子54で制御して
おり、図5ではスクリューで制御する方式となってい
る。
【0013】また、ここで育成する結晶の大きさは約1
〜l.5インチ直径で、育成に用いる内るつぼと外るつ
ぼの形状は,内るつぼ直径/外るつぼ直径の比が0.5
としたものを用いている。また、図4では、るつぼの回
転は行わないが、図5では、供給原料と融液の均質化を
目的として、約0.1〜0.3rpmの低速で結晶の回
転と反対方向に非常にゆっくりとしたるつぼの回転を行
いながら結晶育成を行っている。
【0014】また、化学量論組成のLiTaO3またはLiNbO3
単結晶を二重るつぼ法を用いて育成する際に、供給用粉
体原料は、予め1ton/cm2の静水圧でラバープレス成形
し、1050℃で焼結された化学量論組成原料を用いること
が知られている(例えば、特許第2931960号、特開平11-
35393号公報等)。
【0015】また、貴金属るつぼを用いて酸化物単結晶
を育成する際に、貴金属るつぼ自体またはるつぼの上部
に連続して設置した貴金属円筒等をアフターヒータとし
て使用することで、冷却中の結晶の熱歪みによるクラッ
クの発生を防ぐ方法がとられている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従来から知られている
上記の酸化物単結晶製造方法において、半導体単結晶製
造方法の場合と大きく異なる点は、結晶育成のために融
液と反応しない貴金属るつぼを使用するということと、
結晶の単位時間当たりの成長量が小さいので外るつぼに
自動的に供給する原料重量のより精密な制御が必要とさ
れるということである。
【0017】そのため、貴金属るつぼは変形しやすく、
かつ非常に高価であるために、できる限り小型のるつぼ
を用いて大形で長尺の結晶を育成する技術や、るつぼの
耐使用回数を増やすための育成技術の開発が工業的な面
で解決すべき大きな課題の一つとされている。
【0018】従来の技術でも示したように、図3に示し
た方法のように原料の供給を行わないで結晶を育成する
場合には、結晶の長尺化には限界がある。あえて長尺の
結晶を育成しようとするならば、予め、大口径のるつぼ
を準備し、大量の原料を融解しておく必要があるが、予
め投入した原料重量以上の結晶の長尺化は不可能である
し、貴金属製のるつぼは非常に高価であるため、結晶は
かえってコスト高になり長尺化による低価格化のメリッ
トは相殺されてしまうという問題があった。
【0019】また、この場合、育成の進行に伴い融液面
の高さが低下し、熱的な育成環境が徐々に変化するた
め、結晶成長界面が変化し、好ましくない結晶欠陥が導
入されたり、結晶がねじれたりするという品質劣化の問
題があった。このような問題は成長結晶重量に応じた原
料供給を行わない場合には、たとえ、貴金属るつぼを二
重構造としても解決できない問題であった。
【0020】そこで、図4や図5に示したような、原料
供給を伴う二重るつぼ法が上記の問題を解決する方法と
して開発されたが、ここでもいくつかの問題が見られ
た。例えば、るつぼを二重るつぼ構造にすることで、内
るつぼ内の融液の温度変動を小さくできるため、得られ
る単結晶に見られる成長縞等の欠陥が低減できるという
有利性がある反面、内るつぼ内の融液の径方向の温度勾
配が極端に緩くなり、結晶育成界面の形状が従来の一つ
のるつぼを用いた場合と大きく異なり、良質な結晶を育
成するために重要な結晶成長界面や結晶径の制御が難し
くなるという問題も新たに生じていた。
【0021】図5には、結晶成長界面が融液に対して凸
で、結晶径制御が良好な例を示しているものの、成長界
面は、育成する結晶のサイズと内るつぼのサイズの相対
関係、結晶の熱伝導率、あるいはドーパントの有無など
にも密接に関係するため、内るつぼ内の融液の径方向の
温度勾配が極端に緩くなった場合には、結晶成長界面を
融液に対して平坦か、もしくは凸になるようにその形状
を制御するための何らかの工夫が必要である。しかし、
従来の、融液の均質化を目的としたるつぼの回転を行っ
ても、結晶の回転と反対方向への約0.1〜0.3pp
mの非常にゆっくりとした低速回転では成長界面を強制
的に制御できる効果は見られなかった。
【0022】また、これまで知られている図2および図
3に示したような、二重るつぼを用いた単結晶製造方法
に関する実施例の場合には、外るつぼの形状は、その直
径がるつぼの高さとほぼ同じものを用い、この中に外る
つぼより直径および高さの小さな形状の内るつぼとよば
れる孔の開いたるつぼまたは円筒体を設置している。
【0023】一般に、るつぼの直径に対して育成可能な
良質結晶の直径の比率は約1/2程度が最適であること
が知られていることから、同じ直径の結晶を育成するた
めに必要なるつぼのサイズを単純に比較すると、一つの
るつぼしか使わない場合に比べて二重るつぼを使用する
場合には高価な貴金属の使用量がかえって増えることに
なる。さらに、加熱方式や二重るつぼの形状によって
は、結晶育成後における貴金属るつぼの変形が著しいた
め、数回〜数十回の使用毎に高価な貴金属るつぼの改鋳
が必要とされることになる。したがって、よりサイズの
大きな二重るつぼを用いた場合には、貴金属が原料に比
べて遥かに高価であるため単結晶は逆にコスト高になっ
てしまうという問題があった。
【0024】さらに、従来から報告されている二重るつ
ぼを用いた単結晶製造方法における原料の供給方法に関
してもいくつかの問題点があった。図2に示したぺレッ
ト状の原料を供給する場合には、ぺレットの重量は粉末
重量に比べて大きい。このため、供給管を通しての原料
の供給、すなわち原料の落下は比較的スムースに行わ
れ、供給管の途中で詰まるという問題はないものの、連
続的な粉末状原料の供給に比べると断続的になるため、
原料供給に伴う温度変動が大きいという問題がある。
【0025】一方、図4と図5に示した方法で粉末原料
を供給する場合には、原料供給に伴う断続的な温度変動
の問題は少ないが、粉末の大きさや粒成長化状態によっ
ては、供給の途中で原料が供給管に付着しやすくなるた
め原料が詰まりやすいという問題があった。供給管は育
成炉内に設置され、しかも透明ではないので管内部での
原料の詰まりは育成中の観察は困難であるために、育成
後まで気がつかないといった問題もあった。
【0026】さらには、一般的に、融液からの引き上げ
による結晶育成が難しい結晶ほど、成長速度を遅く、結
晶直径を小さくすることが必要とされ、このような単位
時間当たりの結晶成長量が小さい場合には、それに見合
った粒径の小さな粉末供給原料を少量で供給しなければ
ならないが、このような場合には、粉末原料はるつぼ内
に落下せずに、逆に上方に舞い上がってしまうという問
題もあった。また、図2、図3および図4に示したよう
に、るつぼの回転を行わない場合には、供給した原料が
常に外るつぼと内るつぼのある一定の場所に供給された
場合に、そこから結晶が析出したり、また、原料の溶解
と均質化が十分に行われないため、育成結晶の品質不均
一性をひき起こすという問題があった。
【0027】また、このように融液内の温度勾配が緩く
対流による融液の均質化が不十分であるような場合やフ
ラックスを用いる融液成長で融液粘性が大きい場合に
は、融液内に撹拌治具を挿入するアイデアも知られてい
る。
【0028】回転引き上げ式の単結晶製造方法におい
て、育成中に常に、るつぼと育成結晶の隙間に十分なス
ペースを確保して治具を挿入し撹拌することは困難であ
るため、通常は育成開始前に治具を融液内に挿入して強
制的に回転させて融液を均質化することが行われてい
る。撹拌治具を挿入する隙間は確保するために結晶直径
よりもより大きな貴金属るつぼを使用すると高価な貴金
属を大量に使用しなければならないという問題が生じ
る。
【0029】このような問題は、従来の回転引き上げ式
の単結晶製造方法において、るつぼの回転ができない装
置の構造になっている場合に特に大きな問題となる。そ
の理由は、単に治具を挿入するだけでは撹拌の効果は得
られず、治具を強制的に回転させるための機構が新たに
必要となるからである。
【0030】また、貴金属二重るつぼを用いた回転引き
上げ式の単結晶製造方法を用いて、育成結晶と異なる組
成の融液から化学量論組成のLiTaO3またはLiNbO3単結晶
を育成する場合には、結晶成長後の融液からの成長結晶
の切り離しに際して、結晶の底面に融液フラックス成分
が付着しやすい。結晶とは異なる組成を持つ成分が付着
すると冷却中に結晶に歪みをもたらすために、冷却中に
結晶中に機械的な双晶が入りやすいという問題があっ
た。
【0031】このような双晶は、育成する結晶の直径が
大きくなる程発生しやすく、いったん結晶内に導入され
るとこれを除去するのは困難であった。機械的な双晶
は、結晶下部の切り離し近傍付近から特定の結晶方位に
伝搬し、これが結晶の上部まで到達する場合も見られ
た。双晶部分は他の部分と方位がずれた結晶であり、双
晶が入った部分からは均質な単結晶基板を作成すること
ができないため単結晶基板の製造歩留まりを著しく劣化
させるという問題があった。
【0032】さらに、従来から報告されている貴金属る
つぼを用いた酸化物単結晶の育成において、冷却中の結
晶のクラックの発生を防ぐために、貴金属るつぼ自体ま
たはるつぼの上部に連続して設置した貴金属円筒等をア
フターヒータとして使用する場合には、融液表面近傍の
温度分布が結晶成長に伴い徐々に変化するため、一定の
温度環境で結晶成長をすることは困難である。
【0033】このため、育成途中で結晶が捻れが発生し
たりするため長尺の単結晶を高い歩留まりで製造するこ
とが出来なかった。特に、現在でも大量に生産されてい
る一致溶融組成のLiTaO3単結晶の製造において、多結晶
化やクラックを発生させることなしに高品質の単結晶を
育成するためには、アフターヒータを用いて予め緩い融
液表面の温度勾配の環境のもとで単結晶育成を開始する
ことが重要である。
【0034】このため、育成途中で融液温度勾配はさら
に緩くなり育成途中で温度環境が大きく変化してしまう
ため100mm程度の長さの結晶を成長したところで結晶育
成を中断しなければならず、長尺の単結晶を安定に高い
歩留まりで製造することが出来ないという問題が残され
ていた。
【0035】
【課題を解決するための手段】これまで酸化物単結晶の
育成において用いられてきた二重るつぼを用いた単結晶
の製造方法は、原理的には、従来のチョクラルスキー法
の問題を解決できるいくつかの利点を備えているにもか
かわらず、成長結晶の重量に見合った重量の原料の供給
手段を備えていないものであったり、あるいは、たとえ
原料供給手段が備えてあっても、高品質で、かつ安定に
低コストで酸化物単結晶を工業的に製造するまでの方法
には至っていなかった。
【0036】本発明者らは、前記目的を達成すべく、鋭
意研究の結果、二重るつぼ構成からなる貴金属るつぼを
用いた回転引き上げ式の酸化物単結晶の製造方法におい
て、原料供給管の設置方法や原料の供給方法、原料粉体
の調製方法、二重るつぼの形状や内るつぼと外るつぼと
の相対関係、るつぼの回転などを詳細に制御することに
より、従来困難であるとされていた一致溶融組成や、そ
れにかぎらない不定比組成の結晶に関して、高品質で、
かつ大口径で長尺の結晶育成を安定なものとし、しかも
低コストでの結晶育成が可能となることを初めて見い出
し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
【0037】すなわち、本発明は、上記の課題を解決す
るものとして、貴金属るつぼを用いた回転引き上げ式の
単結晶製造方法において、貴金属からなる外側るつぼ
(以下「外るつぼ」という)内に、るつぼ内の融液表面
をさえぎり、融液底部で融液が連絡するようにした円筒
状の内側るつぼ(以下「内るつぼ」という)を配置した
二重るつぼを用い、育成中の結晶の重量を直接計測しな
がら単結晶を前記内るつぼの中から引き上げ育成し、こ
れと同時に密封容器内にガスを供給し、前記密封容器内
に保管した粉体原料を結晶の成長重量と同じ重量だけ前
記外るつぼと内るつぼとの間に供給管を通して供給し、
前記二重るつぼを回転させながら結晶を育成することを
特徴とする酸化物単結晶の製造方法を提供するものであ
る。
【0038】前記粉体原料の供給は、鉛直角度が76゜
より大きくなるよう設置したセラミックスもしくは貴金
属からなる供給管を通して原料保管用密封容器から二重
るつぼ内へ行い、密封容器から供給管を通して毎分50
cc以上500cc以下の範囲でガスを流すことで、予
め高温で粒成長化処理を施し、粗粒化した粉体で、大き
さが50ミクロン以上のサイズの範囲で分級された粉体
原料を用いて、詰まりのないスムースな原料供給を行う
ことができる。原料のスムースな供給は、原料供給管の
微妙な調節角度に影響を受けやすいため、鉛直角度を7
6°より小さくした場合には本発明のように密閉容器に
ガスを供給した場合でも原料供給がスムースに行かない
という欠点がある。
【0039】前記二重るつぼは、内るつぼの高さが外る
つぼと比べて同じか、それよりも高くなるように配置
し、結晶引き上げ終了後の融液冷却過程において前記融
液を内るつぼの壁に付着させて固化させることで、貴金
属からなる外るつぼの変形を最小限に抑えることができ
る。
【0040】前記二重るつぼの回転は、供給した粉体原
料と融液との均質化と同時に強制的に結晶成長界面の形
状を制御するよう1rpm以上20rpm以下の範囲で
行うことが好ましい。
【0041】また、前記酸化物単結晶の製造方法におい
ては、前記粗粒化された供給用粉体原料は、高温で粒成
長化する前に、予め1.5 ton/cm2より大きな圧力下でプ
レス成形された化学量論組成原料であることが好まし
い。
【0042】また、前記粗粒化された供給用粉体原料は
化学量論組成のLiTaO3またはLiNbO3であって、Liの蒸発
を押さえるために密封された容器内において高温下で粒
成長処理をされたものであることが好ましい。
【0043】また、前記貴金属二重るつぼを用いた回転
引き上げ式による化学量論組成のLiTaO3またはLiNbO3単
結晶の製造方法においては、結晶成長後の融液からの成
長結晶の切り離しに際して、結晶の底面に融液フラック
ス成分が付着しないように結晶またはるつぼを育成時よ
りも高速に回転させることが好ましい。
【0044】また、前記貴金属二重るつぼを用いた回転
引き上げ式による化学量論組成のLiTaO3またはLiNbO3単
結晶の製造方法においては、双晶発生による単結晶基板
製造の歩留まり低下を防ぐために、結晶直径を一定で成
長させる結晶直胴部の育成後は、徐々に結晶直径を小さ
くしながら結晶を成長させ、直胴部よりも小さな結晶直
径で融液からの成長結晶の切り離しを行うことが好まし
い。
【0045】また、前記貴金属二重るつぼを用いた回転
引き上げ式の単結晶製造方法においては、貴金属からな
る撹拌治具を用いて内るつぼ内の融液の撹拌を行うこと
が好ましい。
【0046】また、前記貴金属二重るつぼを用いた回転
引き上げ式による酸化物単結晶の製造方法においては、
融液から引き上げた単結晶を単結晶育成装置内でアニー
リングを行うために、内るつぼとは独立したアフターヒ
ータを設けることが好ましい。
【0047】本発明の製造方法は、特に、直径2インチ
以上のLiTaO3 またはLiNbO3 の酸化物単結晶
の製造に適する。
【0048】さらに、本発明は、粉体原料の連続供給を
伴う貴金属るつぼを用いた回転引き上げ式の単結晶製造
装置において、貴金属からなる外るつぼと、外るつぼ内
の融液表面をさえぎり、融液底部で融液が連絡するよう
にした筒状の貴金属からなる内るつぼは、外るつぼの形
状が、高さ/直径の比が0.3以上1以下の範囲であ
り、前記内るつぼと外るつぼの形状が、内るつぼ直径/
外るつぼ直径の比が0.55以上0、9以下の範囲にあ
ることを特徴とする酸化物単結晶の製造装置を提供す
る。
【0049】さらに、本発明は、密封容器に付設した重
量測定センサと密封容器へのガス供給手段を有する粉体
原料供給システムを備えた上記の酸化物単結晶の製造装
置を提供する。
【0050】また、本発明の酸化物単結晶の製造装置
は、原料加熱手段として高周波加熱装置を用いることが
好ましい。
【0051】本発明によって、これまで問題があった、
供給する原料の状態や形状、円滑な原料供給方法、ある
いは、るつぼの形状や回転方法を大幅に改善し、供給し
た原料と融液との均質化や育成界面を最適化することに
よって、従来、課題とされていた育成される結晶の高品
質化や大口径化、長尺化、低コスト化を達成できた。
【0052】
【発明の実施の形態】定比組成LN結晶を育成する二重
るつぼ法の原理について、図6を用いて簡単に説明す
る。図6は、LNの相図を示す。相図に見られるよう
に、LN単結晶の一致溶融組成は、Li2 O/(Nb2
O5 +Li2 O)のモル分率が0.485であるため、
一致溶融組成の融液から通常の引き上げ法で得られるL
N単結晶は、Nb成分過剰となるが、融液の組成を著し
くLi成分過剰(例えばLi2 O/(Nb2 O5 +Li
2 O)のモル分率が0.56〜0.60)にした融液か
ら結晶を育成すると、化学量論組成に近い(Li2 O/
(Nb2 O5 +Li2 O)のモル分率が0.50)、す
なわち不定比欠陥濃度を極力抑えた単結晶を得ることが
できる。
【0053】しかし、成長する結晶組成と融液組成とが
異なると、通常の引き上げ法では育成が進むにつれ、融
液と結晶の組成がより離れるため結晶育成は困難とな
る。そこで、不定比欠陥の密度や構造を精密に制御する
ために、図1に示した本発明の二重るつぼ法による単結
晶育成装置が必要となる。
【0054】本発明は、回転引き上げ式の単結晶製造方
法において、貴金属からなる二重るつぼを用い、育成中
の結晶重量を天秤またはロードセルにより直接計測しな
がら、単結晶を前記るつぼの中から引き上げ育成し、育
成炉体上部に設置した重量測定センサを兼ね備えた密封
容器内にガスを供給し、前記密封容器内に保管した粉体
原料を結晶の成長量と同じ量だけ外るつぼと内るつぼと
の間に供給管から連続的に供給する。
【0055】粉体原料を入れた容器と粉体原料の排出用
のスクリュー装置は、密封容器内に設置した重量測定セ
ンサ、例えば天秤の上に設置することにより粉体原料の
減少量を測定できるようにし、コンピュータ制御される
原料供給システムにより結晶の成長量と同じ量だけの粉
体原料の供給を行うことができる。
【0056】粉体原料は、炉体上部に設置した原料保管
用の密封容器からスクリュー方式で排出され、鉛直角度
が76゜より大きくなるように設置したセラミックスま
たは貴金属からなる供給管を通して行う。密封容器に毎
分50〜500ccの範囲でガスを流入することで、供
給管にガスが流れ、これまで解決すべき課題とされてい
た供給管内の粉体原料の詰まりのない連続的で円滑な原
料供給を行うことがはじめて可能となった。なお、密封
容器は、著しく漏れが大きくない限り必ずしも完全密封
でなくてもよい。また、ガスとしては、育成雰囲気と同
じ雰囲気のガスが好ましく、イリジウムるつぼの場合
は、不活性ガスとして純窒素ガスが好ましく、白金るつ
ぼの場合は、酸素と窒素の混合ガスが好ましい。
【0057】原料粉体は、予め高温で粒成長化処理を施
し、粗粒化した粉体の大きさが50ミクロン以上、好ま
しくは500ミクロン以下のサイズの範囲で分級するこ
とで、制御性がよく、より円滑な原料供給を行うことが
実現できた。
【0058】また、目的とする所定の口径の結晶育成に
は、結晶直径よりも口径の大きなるつぼが必要なことは
勿論であるが、従来は、貴金属からなる外るつぼとして
高さと直径がほとんど同じ形状ものを使用していたが、
本発明では、貴金属外るつぼの形状が、高さ/直径の比
が1より小さく0.3より大きい範囲にあっても高品質
な結晶育成が可能となった。この二重るつぼは、るつぼ
内に充填して溶解された融液は、外るつぼ内に設置した
内るつぼによってその融液表面がさえぎられており、外
るつぼの融液は上部からは内るつぼ内へは流れず、内る
つぼの下部壁面に設けられた孔によって内るつぼと外る
つぼの融液が連絡する構造となっている。
【0059】さらに、内るつぼと外るつぼの形状は、従
来のように、内るつぼ/外るつぼの直径比が0.5であ
る必要はなく、むしろ、内るつぼ直径/外るつぼ直径の
比を0.55以上0.9以下の範囲にすることで、高価
な貴金属の使用量を少なく抑えて、かつ大口径で長尺、
かつ低コストの酸化物単結晶を製造することが実現でき
た。ここで、貴金属からなる外るつぼの形状が、高さ/
直径の比は0.5から0.7の範囲にあると融液の均質
化や育成の安定化の面でより好ましく、さらに、内るつ
ぼ直径/外るつぼ直径の比は一定である必要はなく、育
成する結晶の直径に応じて0.55から0.9の範囲で
変えるのが良く、育成する結晶径が大きくなればなるほ
ど、内るつぼ/外るつぼの直径比は0.9に近付けるの
が好ましい。
【0060】この理由は、原料供給に必要な外るつぼと
内るつぼとの間隔の大きさは、原料供給管が安定に設置
でき、かつ原料がスムースに落下できるだけのある一定
のスペースがあればよいからであって、育成する結晶径
が大きくなるに従って、内るつぼ直径/外るつぼ直径の
比を変えてやり、0.9に近付けることで、小さな外径
の外るつぼでも大口径の結晶育成が可能となるからであ
る。
【0061】さらに、従来から用いられてきた二重るつ
ぼでは、図2および図3に示したように、貴金属るつぼ
は、内るつぼの高さは外るつぼの高さよりも低い配置の
ものが用いられていたが、このような場合には、るつぼ
に近い供給管の下部が発熱部であるるつぼによって局所
的に過熱されることで、供給原料粉末が供給管に付着し
て詰まる原因となったり、あるいは、結晶成長後の結晶
冷却過程の融液の固化により、特に外るつぼが応力を受
けて大きく変形してしまうため、るつぼを数十回の育成
に使用することが困難であるという問題も見られた。
【0062】これに対して、本発明は、内るつぼの高さ
が外るつぼと比べて同じか、それよりも高くなるように
配置することで、高周波誘導加熱による内るつぼ上部の
加熱温度を外るつぼより低温とし、結晶引き上げ終了後
の融液冷却過程において前記融液が内るつぼの壁に付着
して固化することで、貴金属外るつぼの変形を最小限に
抑えることができることが明らかになり、高価な貴金属
を使用する酸化物単結晶の製造において低コスト化に大
きな改善が見られた。
【0063】さらに、貴金属二重るつぼを回転させるこ
とによって、供給した粉体原料の融液との均質化と同時
に、結晶成長界面の形状を液面に対して強制的にフラッ
ト、もしくは凸になるよう融液の対流を制御することに
より、従来から知られている二重るつぼ法による酸化物
の単結晶製造方法で育成される結晶よりも欠陥の少ない
高品質の結晶を、大口径でかつ長尺で低コストで製造す
ることを実現したものである。
【0064】すなわち、結晶成長界面を融液に対して平
坦、もしくは凸にすることが欠陥の少ない良質な結晶育
成に重要であることは知られているが、二重るつぼ構造
とすると、内るつぼ内の融液の径方向の温度勾配が極端
に緩くなった場合に成長界面が凹になりやすいという問
題があるが、るつぼの回転を行うことで成長界面を強制
的に凸に制御することが可能であることを見い出した。
【0065】成長界面は育成する結晶のサイズと内るつ
ぼのサイズの相対関係、結晶の熱伝導率、ドーパントの
有無などにも密接に関係するため、材料や育成条件によ
ってるつぼの回転は最適化を図ることが必要である。な
お、ここでのるつぼを回転させることの目的は、供給し
た粉体原料の融液との均質化は勿論であるが、成長界面
を積極的に平坦、もしくは凸になるよう制御するという
目的においては、るつぼの回転は結晶方向と同じでも、
あるいは反対方向であっても、どちらでもその効果があ
る。
【0066】均質化だけを目的とするならば、従来の公
知例のように、結晶の回転と反対方向へ約0.1〜0.
3rpmで非常にゆっくりと低速回転させてやればよ
い。結晶とるつぼを同じ方向に同じ回転数で回転した場
合には、相対的な回転数はゼロとなるので、るつぼも結
晶もどちらも回転しない場合と相対的回転数は同じよう
に見えるものの、るつぼを回転した場合にのみ融液の対
流を制御する効果が得られることが確認された。
【0067】なお、LN単結晶およびLT単結晶を育成
する場合において、るつぼの回転は左右どちらの方向へ
の回転でも良く、10rpm以上の高速で回転させても
よいが、その場合には、結晶とるつぼ、および回転軸と
の中心軸を高精度で合わせてやることが大切である。一
般的には、るつぼの回転数はl〜20rpmが好まし
い。また、るつぼの回転を周期的に反転させても対流を
誘起する効果は見られたが、成長界面を安定に制御する
目的においては一定方向に回転させるのが望ましい。
【0068】貴金属からなる二重るつぼを用いて高品質
な酸化物単結晶を育成することは従来からいくつかのア
イデアがあり、育成方法についても検討されてきた。さ
らに最近では原料を連続に供給する装置を備えた二重る
つぼを用いた回転引き上げ法について育成条件の検討が
詳細に行われてきた。しかしながら、工業的な意味で結
晶を低コストで安定に供給するための製造方法の実用化
検討は不十分であった。
【0069】本発明は、原料を連続に供給する装置を備
えた二重るつぼを用いた回転引き上げ法において、育成
中に連続的にるつぼ内に供給する粉体原料の調製方法、
結晶成長後の融液からの成長結晶の切り離し方法、るつ
ぼ内の融液の均質化の為の撹拌方法、および、融液から
引き上げた単結晶のアニーリング方法について、詳細な
検討を行いより高度な単結晶製造方法を実現し、結晶組
成均質性、結晶完全性に優れたクラックのない酸化物単
結晶を安定に低コストで製造することができる
【0070】
【実施例】以下、添付した図面に沿って実施例を示し、
本発明についてさらに詳しく説明する。
【0071】(実施例1)市販の高純度Li2 CO3 、
Nb2 O5 (それぞれ純度99.99%)の原料粉末を
準備し、Li成分過剰原料としてLi2 CO:Nb2 O
5 の比が0.56〜0.60:0.44〜0.40の割
合で混合した。また、化学量論比組成原料としてLi2
CO:Nb2 O5 =0.50:0.50の割合で混合し
た。次に、1.5ton/cm2 の静水圧でラバープレ
ス成形し、それぞれを約1050℃の大気中で焼結し、
原料を作成した。連続供給用粉末原料として混合済みの
化学量論比組成原料は、さらに約1150℃の大気中で
焼結し、粉砕し、大きさが50ミクロン以上500ミク
ロン以下のサイズの範囲で分級した。
【0072】次に、得られたLi成分過剰原料を内るつ
ぼおよび外側るつぼに予め充填し、次に、るつぼを加熱
してLi成分過剰な融液を作成した。この実施例の二重
るつぼの構造は、回転引上げ炉体47内に設置した外る
つぼ35の内部に外るつぼ35より高さが7.5mm高
い円筒(内るつぼと呼ぶ)36を設置した構造となって
おり、内るつぼ36の底に外るつぼ35から内るつぼ3
6に通じる孔を設けた。この孔は、約20mm×30m
mの大きさで、内るつぼ36の中心軸に対称の位置に3
か所設けてある。この実施例では、内るつぼ36および
外るつぼ35として白金製るつぼを用いた。
【0073】用いた二重るつぼの形状は、外るつぼ35
の高さ/直径の比を0.45としており、内るつぼ/外
るつぼの直径比は0.8とした。その大きさは、外るつ
ぼ35が直径150mm、高さ67.5mm、内るつぼ
36が直径120mm、高さ75mmとした。内るつぼ
36と外るつぼ35との間は、片側約15mmのスペー
スがあり、ここに原料がスムースに落下できるよう原料
供給管37を安定に設置した。
【0074】るつぼを高周波発信コイル43により加熱
して融液41表面の様子をビデオカメラで観察した。る
つぼを回転しないと融液41表面の対流はほとんど見ら
れないが、るつぼ回転機構50によってるつぼの回転数
を徐々に上げて行くと強制的な融液41の対流が強くな
る様子が見られ、るつぼの回転の効果が確認された。
【0075】次いで、Li2 O/(Nb2 O5 +Li2
O)のモル分率が0.59のLi成分過剰の融液41か
ら結晶を成長させた。融液41の温度を所定の温度に安
定化した後、Z軸方位に切り出した5mm×5mm×長
さ70mmの単一分域状態にあるLN単結晶を種結晶4
0として結晶引上げ軸38に取り付けて融液41につ
け、融液41の温度を制御しながら種結晶40を回転さ
せて上方向に上昇・下降ヘッド39によって引き上げる
ことで単結晶を成長させた。育成雰囲気は大気中とし
た。結晶の回転速度は2rpmで一定とし、引き上げ速
度は3.0〜0.5mm/hの範囲で変化させた。
【0076】育成結晶42から2インチ径のウエハが作
成できるよう結晶の直胴部の直径は約60mmになるよ
うに種付け直後から直径制御システム48を用いて自動
直径制御を行った。育成結晶42の成長重量を重量セン
サー44としてロードセルを用いることにより測定し、
結晶化した成長量に見合った量のLi2 O/(Nb2O
5 +Li2 O)のモル分率が0.50の化学量論組成比
の原料粉末45を外るつぼ35に供給管37を通して原
料供給システム49を用いて自動的に供給した。ここで
は、結晶の成長量変化がコンピュータにより求められて
いるので、これと同量の原料の供給は、結晶が直胴部に
なる前(種付け後、直径制御が安定化した時点)から開
始した。従って、このときの原料の供給速度は約60〜
2500mg/分の間で制御した。
【0077】原料の供給は、回転引上げ炉体47の上部
に設置した重量測定センサを兼ね備えた密封容器46内
に保管した粉体原料45をセラミックスまたは貴金属か
らなる供給管37を通して行った。供給管37は鉛直角
度が76゜より大きくなるよう設置した。供給管37お
よび密封容器46に毎分50〜500ccの範囲でガス
を流入した。ガスの流量は供給する原料の単位時間当た
りの量(約60〜2500mg/分)と粒径(50〜5
00ミクロン)によって毎分50〜500ccの範囲で
最適化した。2インチ径のLN単結晶の育成の場合に
は、粉体原料45の粒径が80〜100ミクロンの範囲
でできるだけ一定になるよう選定したものを使用し、ガ
スの流量を200cc/分とすることで、原料粉体の飛
散や供給管37内での詰まりのない円滑な原料供給を行
うことが実現できた。
【0078】この方法により、るつぼ内への連続的なス
ムースな原料供給ができ、常に一定深さで一定組成を保
った融液41から結晶を育成できるため、均質組成で直
径が2インチ以上の大型単結晶育成が容易となった。
【0079】また、育成中、貴金属二重るつぼを回転さ
せることで、供給した粉体原料45と融液41との均質
化と同時に、結晶成長界面を融液面に対して強制的にフ
ラットまたは凸になるよう融液41の対流を制御した。
特に、2インチ以上の直径の結晶を育成する場合、二重
るつぼ構造とすると、内るつぼ内の融液の径方向の温度
勾配が極端に緩くなった場合に成長界面が凹になりやす
いが、るつぼを約2〜4rpmで回転させることで成長
界面形状を平坦に、るつぼを約7〜8rpmで回転させ
ることで凸にすることが可能となった。
【0080】2インチ径の良質なLN単結晶を育成する
場合において、二重るつぼ全体をアルミナセラミックス
耐火物の内部に設置し、これら全体を回転可能な台の上
に設置し回転させた。るつぼの回転は結晶の回転方向と
同じであっても、あるいは反対方向であっても融液41
の対流の効果は見られ、良質な結晶を長尺で、安定に引
き上げることができた。約1.5週間の育成により、直
径60mm、長さ110mmで、クラックのない無色透
明のLN結晶体を得た。得られたアズグロウン結晶を種
々の方位に切断し、内部の分域状態を観察したところ、
結晶の表面近傍のごく一部を除いて内部は均一に単一分
域状態になっていることが認められた。
【0081】さらに、内るつぼ36の高さが外るつぼ3
5と比べて同じか、それよりも高くなるように配置した
場合、内るつぼ36上部の加熱温度が外るつぼ35に比
べてより低温となり、結晶引き上げ終了後の融液41の
冷却過程において、融液41の殆どが内るつぼ36の壁
に固化するため、貴金属からなる外るつぼ35の壁は固
化物からフリーの状態になり、これによって応力を受け
てるつぼが変形するのが最小限に抑えられた。
【0082】10回の連続育成後に、るつぼをアルミナ
セラミックス耐火物内から取り出し、外観を検査したと
ころ、形状は新品の状況から殆ど変形しておらず、30
回の連続育成後もほとんど外るつぼ35の変形がないこ
とを確認した。これによって、同一るつぼの繰り返し使
用回数を大きくし、高価な貴金属を使用する酸化物単結
晶の製造における低コスト化に大きな改善が見られた。
【0083】(実施例2)市販の高純度Li2 CO3 、
Ta2 O5 (それぞれ純度99.99%)の原料粉末を
準備し、Li成分過剰原料としてLi2 CO3 :Ta2
O5 の比が0.56〜0.60:0.44〜0.40の
割合で混合し、また、化学量論組成原料としてLi2 C
O3 :Ta2 O5 =0.50:0.50の割合で混合し
た。次に、1.5ton/cm2 の静水圧でラバープレ
ス成形し、それぞれを約1050℃の大気中で粒成長化
し、原料棒を作成した。連続供給用粉末原料として混合
済みの化学量論組成原料は、さらに約1350℃の大気
中で粒成長化し、粉砕し、大きさが50ミクロン以上5
00ミクロン以下のサイズの範囲で分級した。
【0084】次に、得られたLi成分過剰原料を内るつ
ぼおよび外るつぼに予め充填し、るつぼを加熱してLi
成分過剰な融液を作成した。ここで、化学量論組成LT
結晶を育成する場合に必要とされる詳細な相図は明らか
にされていないが、LN結晶とほぼ類似の相図を示すと
想定し、融液の組成を著しくLi成分過剰(例えば、L
i2 /(Ta2 O5 +Li2 O)のモル分率が0.56
〜0.60)にした融液から結晶を育成すると、化学量
論組成に近い(Li2 /(Ta2 O5 +Li2O)のモ
ル分率が0.50)、すなわち不定比欠陥濃度を極力抑
えた単結晶を得ることができる。成長する結晶組成と融
液の組成とが異なると、通常の引き上げ法では育成が進
むにつれ、融液の組成と結晶の組成とがより離れるため
結晶育成は困難となるので、不定比欠陥の密度や構造を
精密に制御するために図1に概観図を示した本発明の二
重るつぼ法による単結晶育成装置による単結晶の製造方
法を用いた。
【0085】この実施例の二重るつぼの構造は、外るつ
ぼ35の内部に外るつぼ35より高さが5mm高い内る
つぼ36を設置した構造となっており、内るつぼ36の
底に外るつぼ35から内るつぼ36に通じる孔を設け
た。この孔は、約15mm×20mmの大きさで、実施
例1と同じく3か所に設けてある。この実施例では、内
るつぼ36および外るつぼ35としてイリジウム製るつ
ぼを用いた。用いた二重るつぼの形状は、外るつぼ35
の高さ/直径の比を0.50とし、内るつぼ/外るつぼ
の直径比は0.8とした。その大きさは、外るつぼ35
が直径150mm、高さ75mm、内るつぼ36が直径
120mm、高さ80mmとした。内るつぼ36と外る
つぼ35との間は片側約15mmのスペースがあり、こ
こに原料がスムースに落下できるよう原料供給管37を
安定に設置した。
【0086】融液41の表面の様子をビデオカメラで観
察した。るつぼを回転しないと融液41の表面に弱い対
流がわずかに見られるが、るつぼの回転数を徐々に上げ
て行くと融液41の強制的な対流が強くなる様子が見ら
れ、るつぼの回転の効果が確認された。
【0087】次いで、Li2 /(Ta2 O5 +Li
2 O)のモル分率が0.60のLi成分過剰の融液41
から結晶を成長させた。融液41の温度を所定の温度に
安定化した後、Y軸方位に切り出した5mm×5mm×
長さ50mmのLT単結晶を種結晶40として融液41
につけ、融液41の温度を制御しながら結晶を回転させ
て上方向に引き上げることで単結晶を成長させた。るつ
ぼに近い位置に設置した熱電対で測定した種付け温度は
約1450℃近傍であった。高温からの育成であるた
め、Irるつぼを用いるので育成雰囲気は還元雰囲気と
した。
【0088】結晶の回転速度は2〜4rpmの範囲で変
化させ、引き上げ速度は3.0〜0.5mm/hの範囲
で変化させた。育成結晶42から2インチ径のウエハが
作成できるよう結晶の直胴部の直径は約60mmになる
よう種付け直後から自動直径制御を行った。育成結晶4
2の成長重量をロードセルにより測定し、結晶化した成
長量に見合った量のLi2 /(Ta2 O5 +Li2 O)
のモル分率が0.50の化学量論組成比の原料を外るつ
ぼ35に自動的に供給した。ここでは、結晶の成長量変
化がコンピュータにより求められているので、これと同
量の原料の供給は結晶が直胴部になる前(種付け後、直
径制御が安定化した時点)から開始した。従って、この
ときの原料の供給速度は約120〜5000mg/分の
間で制御した。
【0089】原料の供給は、回転引上げ炉体47の上部
に設置した重量測定センサを兼ね備えた密封容器46内
に保管した粉体原料45をセラミックスまたは貴金属か
らなる供給管37を通して行った。供給管37は鉛直角
度が80゜以上となるよう設置した。供給管37および
密封容器46に毎分50〜500ccの範囲でガスを流
入した。ガスの流量は粉体原料の単位時間当たりの量
(約120〜5000mg/分)と粒径(50〜500
ミクロン)によって毎分50〜500ccの範囲で最適
化した。
【0090】2インチ径のLT単結晶の育成の場合に
は、供給原料の粒径が100〜200ミクロンの範囲で
できるだけ一定になるよう選定したものを使用し、ガス
の流量を150cc/分とすることで、粉体原料の飛散
や供給管37内での詰まりのない円滑な原料供給を行う
ことが実現できた。この方法により、るつぼ内への連続
的なスムースな原料供給ができ、常に一定深さで一定組
成を保った融液41から結晶を育成できるため、均質組
成で、直径が2インチ以上の大型単結晶育成が容易とな
った。
【0091】また、貴金属二重るつぼを回転させること
によって、供給した粉体原料45と融液41との均質化
と同時に、結晶成長界面を液面に対して強制的にフラッ
ト、もしくは凸になるよう融液41の対流を制御した。
特に、2インチ以上の直径を育成する場合、二重るつぼ
構造とすると、内るつぼ内の融液の径方向の温度勾配が
極端に緩くなった場合に成長界面が凹になりやすいが、
るつぼを約1〜3rpmで回転させることで成長界面を
平坦または凸にすることが可能となった。LT単結晶育
成の場合には、LN単結晶育成の場合よりも、るつぼの
回転数は少なくても成長界面が凸になりやすい傾向が見
られた。
【0092】2インチ径の良質なLT単結晶を育成する
場合において、二重るつぼ全体をジルコニア製の耐火物
の内部に設置し、これら全体を回転可能な台の上に設置
し回転させた。るつぼの回転は結晶の回転方向と同じで
あっても、あるいは反対方向であっても融液41の対流
の効果は見られ、良質な結晶を長尺で、安定に引き上げ
ることができた。約1.5週間の育成により直径60m
m、長さ90mmでクラックのない無色透明のLT結晶
体を得た。
【0093】さらに、イリジウム製の二重るつぼの形状
を内るつぼ36の高さが外るつぼ35と比べて同じか、
それよりも高くなるように配置した。これにより、内る
つぼ36上部の加熱温度が外るつぼ35より低温とな
り、結晶引き上げ終了後の融液41の冷却過程において
融液41が内るつぼ36の壁に固化するため、貴金属か
らなる外るつぼ35が固化物によって応力を受けて変形
するのが最小限に抑えられ、8回の連続育成後に、るつ
ぼをジルコニア製の耐火物内から取り出し、外観を検査
したところ、形状は新品の状況から殆ど変形しておら
ず、20回の連続育成後もほとんど変形がないことを確
認した。これによって、特に高価な貴金属を使用する酸
化物単結晶の製造において、低コスト化に大きな改善が
見られた。イリジウム貴金属は白金貴金属よりも変形に
弱く、加工性が悪く、しかも非常に高価であるので、二
重るつぼ法による変形の改善は低コスト化にとってより
大きなメリットがある。
【0094】(実施例3)次に、従来からチョクラルス
キー法でも製造されている一致溶融組成の大口径LT単
結晶育成に二重るつぼ法を適用して単結晶育成を試み
た。市販のLi2 CO3 、Ta2 O5 (それぞれ純度9
9.9%)の原料粉末を準備し、一致溶融組成の原料と
してLi2 CO3 :Ta2 Oの比が0.485の割合で
混合した。次に、1ton/cm2 の静水圧でラバープ
レス成形し、約1050℃の大気中で焼結し、原料棒を
作成した。また、連続供給用粉末原料として混合済みの
化学量論比組成原料を約1350℃の大気中で焼結し、
粉砕し、大ききが200ミクロン以上500ミクロン以
下のサイズの範囲で分級した。
【0095】次に、準備した一致溶融組成の原料を内る
つぼおよび外るつぼに予め充填し、次に、るつぼを加熱
して融液を作成した。一致溶融組成の場合には、原料全
体が融解する温度は約1650℃で、定比組成の結晶育
成の場合よりも200℃近く高温であった。
【0096】ここでの二重るつぼの構造は、外るつぼ3
5の内部に外るつぼ35より高さが6mm高い内るつぼ
36を設置した構造となっており、内るつぼ36の底に
外るつぼ35から内るつぼ36に通じる孔を設けた。こ
の孔は、約15mm×30mmの大きさで、実施例1と
同じく3か所に設けてある。
【0097】この実施例では、イリジウム製るつぼを用
いた。用いた二重るつぼの形状は、外るつぼ35の高さ
/直径の比を0.40とし、内るつぼ/外るつぼの直径
比は0.8とした。その大きさは、外るつぼ35が直径
160mm、高さ64mm、内るつぼ36が直径128
mm、高さ70mmとした。内るつぼ36と外るつぼ3
5との間は片側約16mmのスペースがあり、ここに原
料がスムースに落下できるよう原料供給管37を安定に
設置した。
【0098】融液41の表面の様子をビデオカメラで観
察した。るつぼを回転しないと融液41の表面に弱い対
流がわずかに見られるが、るつぼの回転数を徐々に上げ
て行くと融液41の強制的な対流が強くなる様子が見ら
れ、るつぼの回転の効果が確認された。
【0099】次いで、Li2 /(Ta2 O5 +Li
2 O)のモル分率が0.485の一致溶融組成の融液4
1から結晶を成長させた。融液41の温度を所定の温度
に安定化した後、Y軸方位に切り出した8mm×8mm
×長さ70mmのLT単結晶を種結晶40として融液4
1につけ、融液41の温度を制御しながら結晶を回転さ
せて上方向に引き上げることで単結晶を成長させた。育
成雰囲気は若干の酸素を含む窒素雰囲気とした。結晶の
回転速度は5rpm、引き上げ速度は7〜3mm/hと
した。
【0100】育成結晶42から3インチ径のウエハが作
成できるよう結晶の直胴部の直径は約85mmになるよ
うに種付け直後から自動直径制御を行った。育成結晶4
2の成長重量をロードセルにより測定し、結晶化した成
長量に見合った量の一致溶融組成比の原料を外るつぼ3
5内に自動的に供給した。ここでは、成長する結晶組成
も融液41の組成も供給原料組成も、いずれも同じ一致
溶融組成であるので、原料の供給は、直径制御が安定化
した直胴部から開始した。従って、このときの原料の供
給速度は約2000〜5500mg/分の間で制御し
た。
【0101】原料の供給は、回転引上げ炉体47の上部
に設置した重量測定センサを兼ね備えた密封容器46内
に保管した粉体原料45をセラミックスまたは貴金属か
らなる供給管37を通して行った。供給管37は鉛直角
度が約78゜となるよう設置した。供給管37および密
封容器46に毎分100〜500ccの範囲でガスを流
入して円滑な原料供給を行った。ガスの流量は粉体原料
の単位時間当たりの量(約2000〜550Omg/
分)と粒径(200〜500ミクロン)によって毎分1
00〜200ccの範囲で最適化した。
【0102】3インチ径のLT単結晶の育成の場合に
は、供給原料の粒径が200ミクロン以上と大きいもの
を選定しているので、ガスの流量は200cc/分程度
で、粉体原料の飛散や供給管37内での詰まりのない円
滑な原料供給を行うことが実現できた。この方法によ
り、るつぼ内への連続的なスムースな原料供給ができ、
常に一定深さで融液41から結晶を育成できるため、均
質組成で、長尺の大型単結晶育成が容易となった。
【0103】また、育成中、貴金属二重るつぼを回転さ
せることで結晶成長界面を液面に対して強制的にフラッ
ト、もしくは凸になるよう融液41の対流を制御した。
特に、3インチ以上の直径の結晶を育成する場合、二重
るつぼ構造とすると、内るつぼ内の融液の径方向の温度
勾配が極端に緩くなった場合に成長界面が凹になりやす
いが、るつぼを回転させることで成長界面を平坦または
凸にすることが可能となった。
【0104】LT単結晶育成の場合には、るつぼの回転
数はLN単結晶育成の場合よりも少なくても成長界面が
凸になりやすい傾向が見られた。一致溶融組成結晶の場
合には、成長速度が大きく、直径も大きいので、供給し
た粉体原料45の量が大きく、るつぼの回転による供給
原料と融液41との均質化はより重要であった。約1週
間の育成により直径85mm、長さ100mmでクラッ
クのない無色透明のLT結晶体を容易に得られた。
【0105】次いで、イリジウム製の二重るつぼの冷却
時のるつぼの変形を観察した。形状を内るつぼ36の高
さが外るつぼ35と比べて同じか、それよりも高くなる
ように配置することにより、結晶引き上げ終了後の融液
41の冷却過程において、融液41が内るつぼ36の壁
に付着して固化するため、貴金属からなる外るつぼ35
が固化物によって応力を受けて変形するのが最小限に抑
えられ、数回の連続育成後に耐火物内からるつぼを取り
出し外観を検査したところ、形状は新品の状況から全く
変形がないことを確認した。
【0106】これによって、特に高価な貴金属を使用す
る、しかも大口径の酸化物単結晶の製造において、低コ
スト化に大きな改善が期待できる。イリジウム貴金属は
白金貴金属よりも変形に弱く、加工性が悪く、しかも非
常に高価であるので、二重るつぼ法による変形の改善は
低コスト化にとって非常に大きなメリットがあると考え
られる。
【0107】(実施例4)原料連続供給二重るつぼ法を
用いた化学量論組成のLiTaO3またはLiNbO3単結晶育成に
おいて、供給用の粗粒化された化学量論組成の粉体原料
を作製した。LiNbO3単結晶育成用供給原料は、市販の高
純度Li2CO3、Nb2O5(それぞれ純度99.99%)の原料粉末
をLi2CO3:Nb2O5の比が0.50:0.50の割合で混合し、次
に1.8ton/cm2の静水圧でラバープレス成形し、白金容
器内に密閉し、約1080〜1180℃の大気中で粒成長化する
ことで結晶化した粗粒原料を作製し、粉砕し大きさが50
ミクロン以上500ミクロンのサイズの範囲で分級した。
【0108】供給用原料を作製するには、プレスの圧力
と組成の管理が重要であった。LiNbO3単結晶育成用供給
原料はプレス圧力が1.0ton/cm2と低い場合でも結晶粒
成長が見られるが、結晶粒は成形体の一部分でしか得ら
れなかった。また、Li成分が蒸発しやすい環境でも良好
な結果は得られず、密閉容器内で処理することが重要で
あった。
【0109】LiTaO3単結晶育成用供給原料は、市販の高
純度Li2CO3、Ta2O5(それぞれ純度99.99%)の原料粉末
をLi2CO3:Ta2O5の比が0.50:0.50の割合で混合し、次
に2.5ton/cm2の静水圧でラバープレス成形し、約1300〜
1400℃の大気中で粒成長化することで結晶化した粗粒原
料を作製し、粉砕し大きさが50ミクロン以上500ミクロ
ンのサイズの範囲で分級した。組成と粒径のそろった粉
体原料が作製には、プレス圧力、粒成長温度、粒成長時
間、雰囲気の条件管理が重要であった。
【0110】LiTaO3単結晶育成用供給原料はプレス圧力
が1.0ton/cm2と低い場合には、粒成長温度を高く、粒
成長時間を長くしても結晶粒は成形体の一部分でしか得
られなかった。プレスの成形圧力を1.5 ton/cm2より大
きくし、かつ密閉した容器内で焼結することにより、供
給用原料として重要である供給時に供給管への付着や飛
散がしにくく、かつ組成と粒径のそろった粉体原料が安
定に作製できた。
【0111】次に、二重るつぼ法によるLiTaO3またはLi
NbO3単結晶育成に際して、Li成分過剰原料を貴金属から
なる内側および外側るつぼに予め充填し、るつぼを加熱
してLi成分過剰な融液を作成した。用いた二重るつぼの
形状は外るつぼが直径180mm高さ67.5mm、内るつぼが直
径150mm高さ75mmとした。内るつぼと外るつぼの間は片
側約15mmのスペースがあり、ここに原料がスムーズに落
下できるよう原料供給管を安定に設置した。融液表面の
様子をビデオカメラで観察した。るつぼを回転しないと
融液表面の対流はほとんど見られないが、るつぼの回転
数を徐々に上げて行くと強制的な融液対流が強くなる様
子が見られ、るつぼの回転の効果が確認された。
【0112】ここでは、さらに、原料の均質化を行うた
めに、るつぼと同じ貴金属材質の撹拌治具を融液内に挿
入した。るつぼの中心から見て撹拌治具の挿入位置は、
育成しようとする単結晶の半径より外側でかつ内るつぼ
の半径より内側とした。ここでは撹拌治具として、貴金
属からなる幅15mm、厚み2mm、長さ80mmの板、または太
さ10mm長さ80mmの貴金属丸棒に縦20mm横25mmの大きさの
羽を3枚溶接して作成したプロペラを用いた。二重るつ
ぼ自体を回転して育成を行うため、撹拌治具自体は必ず
しも回転させなくても十分な融液の撹拌ができた。
【0113】次いで、Li成分過剰の内側るつぼの融液か
ら定比組成のLiTaO3またはLiNbO3単結晶を成長させた。
融液の温度を所定の温度に安定化した後、Y軸およびZ軸
方位に切り出した5mm×5mm×長さ50mmのLiTaO3ま
たはLiNbO3単結晶を種結晶として融液に付け、融液温度
を制御しながら結晶を回転させて上方向に引き上げるこ
とで単結晶を成長させた。結晶の回転速度は2〜4rpmの
範囲で変化させ、引き上げ速度は3.0〜0.5mm/hの範囲で
変化させた。育成した結晶から2インチ径のウエハが作
成できるよう結晶の直胴部の直径は約60mmになるよう種
付け直後から自動直径制御を行った。
【0114】育成結晶成長重量をロードセルにより測定
し、結晶と同組成で結晶化した成長量に見合った量の化
学量論組成比の原料を外側るつぼに自動的に供給した。
ここでは結晶の成長量変化がコンピュータにより求めら
れているので、これと同量の原料の供給は結晶が直胴部
になる前(種付け後、直径制御が安定化した時点)から
開始した。
【0115】原料の供給は、予め育成炉体上部に設置し
た重量測定センサを兼ね備えた密封容器内に保管した粉
体原料をセラミックスあるいは貴金属からなる供給管を
通じて行った。供給管は鉛直角度が80°以上となるよう
設置した。供給管及び保管容器に毎分50〜500ccの範囲
でガスを流入することで、より円滑な原料供給ができ
た。この方法により、るつぼ内への原料供給ができ結晶
を常に一定深さで一定組成を保った融液から育成できる
ため、均質組成で直径が2インチ以上の大型単結晶育成
が容易となった。
【0116】特筆すべきことは、本単結晶製造方法では
一定の温度環境で結晶成長が行われるために、結晶直胴
部の育成において、通常の自動直径制御による融液の温
度制御を行わなくても、融液の温度をほぼ一定に保った
ままで一定の直径の長尺結晶が育成できたことである。
【0117】すなわち、従来の単結晶育成においては、
育成に従い融液の量あるいは融液表面近傍の温度環境が
徐々に変化するので、育成する結晶の直径を一定にコン
トロールするためには直径自動制御による融液温度制御
を用いて少しずつ温度を下げてやることが必要であった
が、本方法ではこれを必要とせず、融液の温度を結晶成
長にあわせて変化させてやる必要がない。このため、育
成した結晶はより均一な温度環境下で育成されることに
より、従来結晶で見られたストリエーションやボイドな
どマクロな結晶欠陥がまったくない高品質な結晶育成が
可能となった。
【0118】さらに化学量論組成のLiTaO3またはLiNbO3
単結晶の製造方法においては、従来の一致溶融組成の結
晶育成とは異なる方法で、結晶成長後の融液からの成長
結晶の切離しを行った。育成される化学量論組成結晶は
融液組成とは異なるため、結晶切離し時に結晶の底面に
融液フラックス成分が付着したり、あるいは急激な融液
からの結晶の切離しを行うと結晶内に機械的双晶やクラ
ックが入りやすい。
【0119】そこで、結晶の切離し時に結晶の回転数を
2rpmから10rpmへと高速に回転させることで、融液フラ
ックス成分が結晶下部に付着するのを除くことができ
た。また、結晶の切離し時にるつぼの回転数を7rpmから
20rpmへと高速に回転させることで、融液フラックス成
分が結晶下部に付着するのを除くこともできた。特に、
るつぼを高速回転させると予め設置した撹拌治具によっ
て融液の均質化による融液粘性の低下が促進されるた
め、フラックスの除去にはより大きな効果が見られた。
【0120】さらに、結晶の切り離し時の熱的なストレ
スによる結晶下部における双晶発生による歩留まり低下
を防ぐために、結晶直径が一定の直胴部の成長後は、徐
々に結晶直径を小さくしながら結晶を成長させ、融液か
らの成長結晶の切り離しを行った。直径60mmで直胴部を
1~0.5mm/hの低速で成長させた後、徐々に融液温度およ
び結晶引き上げ速度を上げていき、結晶直径を30mm以下
まで絞った形の結晶を成長させた後、毎分1mm程度の高
速引き上げで結晶を融液から切り離した。これによっ
て、切り離し時による結晶下部における双晶の発生の問
題を解決することができた。
【0121】育成した結晶を注意深く観察すると、育成
する結晶の方位を変えると機械的双晶の分布は異なり、
機械的双晶は必ず結晶の結晶の特定方向に入ることが分
かった。このため、Z軸方位に単結晶を育成した場合に
は、結晶のZ軸から37.8°と57°ずれた2つの方向に双
晶が発生し伝搬した。従って、Z軸方位に育成した場合
には結晶下部の結晶形状(すなわち結晶の絞り角度)を
Z軸から57°よりきつい角度で成長させることで、結晶
下部から発生した機械的双晶は上部に伝搬するが結晶の
直胴部に達しないうちに結晶の外側に逃がしてやること
ができることが分かった。このような方法で機械的双晶
の問題を解決することも可能であるが、前述したように
結晶の切り離し時による熱的なストレスを低減すること
でも問題は解決できた。
【0122】また、貴金属二重るつぼを用いた回転引き
上げ式による酸化物単結晶の製造方法において、融液か
ら引き上げた単結晶を単結晶育成装置内でアニーリング
を行うために、るつぼの上方に直径150mm内るつぼとは
独立した内径1400mm長さ140mmのアフターヒータを設け
た。育成する結晶の直径と長さに応じてアフターヒータ
加熱方法を高周波加熱および抵抗加熱を用いた。アフタ
ーヒータとしてるつぼと同材質の貴金属を用いた場合に
は、高周波誘導によって十分な加熱が行えるようにワー
クコイルの長さを従来よりも70mm長くした。
【0123】ここでは、アフターヒータはるつぼの上方
にるつぼとは独立に設けてあるため、従来のように貴金
属るつぼ自体またはるつぼの上部に連続して設置した貴
金属円筒等をアフターヒータとして使用する場合で見ら
れた、融液表面近傍の温度分布が結晶成長に伴い徐々に
変化するため、一定の温度環境で結晶成長をすることは
困難で、育成途中で結晶が捻れるという問題は見られな
かった。
【0124】また、抵抗加熱を用いた場合には、抵抗加
熱装置を新たに設けた。抵抗加熱はより均質な温度勾配
下でのアフターヒータの効果が得られることと、るつぼ
への高周波加熱とは全く独立に温度勾配や温度を設定で
きるため自由度が高く、かつ、融液表面の温度環境への
影響が殆どないため、一定の温度環境で結晶成長をする
ができた。このため、育成途中で結晶が捻れることな
く、高品質で長尺の単結晶を高い歩留まりで製造するこ
とが出来た。
【0125】この発明は、以上の例に限定されるもので
はなく、細部については様々な態様が可能であることは
言うまでもない。
【0126】
【発明の効果】以上、詳しく述べたように、本発明によ
れば、高周波誘導加熱を用いた単結晶育成において、貴
金属るつぼを二重るつぼとし、その形状を最適化し、回
転を行い、さらに原料供給装置を付加し、その供給方法
を改善することで、従来困難であるとされていた化学量
論組成や、それに限らない組成の結晶に関して高品質
で、かつ大口径で、長尺の結晶育成を安定なものとし、
しかも、育成によるるつぼの変形の問題を解決すること
ができ、低コストでの結晶育成が可能な酸化物単結晶の
製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の酸化物単結晶製造装置を示す模式的断
面図である。
【図2】従来方法において使用する原料ペレットを供給
する二重るつぼによる単結晶育成装置を示す模式的断面
図である。
【図3】従来方法において使用する二重るつぼ構造によ
る単結晶育成装置を示す模式的断面図である。
【図4】従来方法において使用する自動原料粉末供給手
段を備えた二重るつぼによる単結晶育成装置を示す模式
的断面図である。
【図5】従来方法において使用する自動原料粉末供給手
段および単結晶の回転方向と反対方向への低速るつぼ回
転機構を備えた二重るつぼによる単結晶育成装置を示す
模式的断面図である。
【図6】LN単結晶の相図を表す図である。
【符号の説明】 33 ガス流入管 34 二重るつぼ 35 外るつぼ 36 内るつぼ 37 原料供給管 38 結晶引き上げ軸 39 上昇・下降ヘッド 40 種結晶 41 融液 42 育成結晶 43 高周波発信コイル 45 粉体原料 46 原料供給用密封容器 47 回転引上げ炉体 48 直径制御システム 49 原料供給システム 50 るつぼ回転機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 599045648 竹川 俊二 茨城県つくば市並木1丁目1番 科学技術 庁無機材質研究所内 (71)出願人 593131080 木村 茂行 茨城県つくば市竹園3−712 (72)発明者 北村 健二 茨城県つくば市並木1丁目1番科学技術庁 無機材質研究所内 (72)発明者 古川 保典 茨城県つくば市並木1丁目1番科学技術庁 無機材質研究所内 (72)発明者 竹川 俊二 茨城県つくば市並木1丁目1番科学技術庁 無機材質研究所内 (72)発明者 木村 茂行 茨城県つくば市並木1丁目1番科学技術庁 無機材質研究所内 Fターム(参考) 4G077 AA02 BC32 BC37 CF07 EC02 EG01 EG29 HA01 HA11 PD08

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貴金属るつぼを用いた回転引き上げ式の
    単結晶製造方法において、貴金属からなる外側るつぼ内
    に、るつぼ内の融液表面をさえぎり、融液底部で融液が
    連絡するようにした円筒状の内側るつぼを配置した二重
    るつぼを用い、育成中の結晶の重量を直接計測しながら
    単結晶を前記内側るつぼの中から引き上げ育成し、これ
    と同時に密封容器内にガスを供給し、前記密封容器内に
    保管した粉体原料を結晶の成長重量と同じ重量だけ前記
    外側るつぼと内側るつぼとの間に供給管を通して供給
    し、前記二重るつぼを回転させながら結晶を育成するこ
    とを特徴とする酸化物単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記粉体原料の供給は、鉛直角度が76
    ゜より大きくなるように設置したセラミックスまたは貴
    金属からなる供給管を通して原料保管用密封容器から二
    重るつぼ内ヘ行い、密封容器から供給管を通して毎分5
    0cc以上500cc以下の範囲でガスを流すことで、
    粉体原料の詰まりのないスムースな原料供給を行うこと
    を特徴とする請求項1記載の酸化物単結晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記二重るつぼは、内側るつぼの高さが
    外側るつぼと比べて同じか、それよりも高くなるように
    配置し、結晶引き上げ終了後の融液冷却過程において前
    記融液を内側るつぼの壁に付着させて固化させること
    で、貴金属からなる外側るつぼの変形を最小限に抑える
    ことを特徴とする請求項1または2記載の酸化物単結晶
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記粉体原料は、予め高温で粒成長化処
    理を施し、粗粒化した粉体で、大きさが50ミクロン以
    上のサイズの範囲で分級されたものであることを特徴と
    する請求項1乃至3記載の酸化物単結晶の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記粗粒化された供給用粉体原料は、高
    温で粒成長化する前に、予め1.5ton/cm2より大きな
    圧力下でプレス成形された化学量論組成原料であること
    を特徴とする請求項1乃至4記載の化学量論組成の酸化
    物単結晶の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記粗粒化された供給用粉体原料は、化
    学量論組成のLiTaO3またはLiNbO3であって、Liの蒸発を
    押さえるために密封された容器内において粒成長化され
    たことを特徴とする請求項1乃至5記載の酸化物単結晶
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記二重るつぼの回転は、供給した粉体
    原料と融液との均質化と同時に強制的に結晶成長界面の
    形状を制御するよう1rpm以上20rpm以下の範囲
    で行うことを特徴とする請求項1乃至6記載の酸化物単
    結晶の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記貴金属二重るつぼを用いた回転引き
    上げ式による化学量論組成のLiTaO3またはLiNbO3単結晶
    の製造方法において、結晶成長後の融液からの成長結晶
    の切り離しに際して、結晶の底面に融液フラックス成分
    が付着しないように結晶またはるつぼを育成時よりも高
    速に回転させることを特徴とする請求項1乃至7記載の
    酸化物単結晶の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記貴金属二重るつぼを用いた回転引き
    上げ式による化学量論組成のLiTaO3またはLiNbO3単結晶
    の製造方法において、双晶発生による単結晶基板製造の
    歩留まり低下を防ぐために、結晶直径を一定で成長させ
    る結晶直胴部の育成後は、徐々に結晶直径を小さくしな
    がら結晶を成長させ、直胴部よりも小さな結晶直径で融
    液からの成長結晶の切離しを行うことを特徴とする請求
    項1乃至8記載の酸化物単結晶の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記貴金属二重るつぼを用いた回転引
    き上げ式の単結晶製造方法において、貴金属からなる撹
    拌治具を用いて内るつぼ内の融液の撹拌を行うことを特
    徴とする請求項1乃至9記載の酸化物単結晶の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記貴金属二重るつぼを用いた回転引
    き上げ式による酸化物単結晶の製造方法において、融液
    から引き上げた単結晶を単結晶育成装置内でアニーリン
    グを行うために、内るつぼとは独立したアフターヒータ
    を設けたことを特徴とする請求項1乃至10記載の酸化
    物単結晶の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記酸化物単結晶は、直径2インチ以
    上のLiTaO3 またはLiNbO3 である請求項1乃
    至11記載の酸化物単結晶の製造方法。
  13. 【請求項13】 粉体原料の連続供給を伴う貴金属るつ
    ぼを用いた回転引き上げ式の単結晶製造装置において、
    貴金属からなる外側るつぼと、前記外側るつぼ内の融液
    表面をさえぎり、融液底部で融液が連絡するようにした
    筒状の貴金属からなる内側るつぼは、外側るつぼの形状
    が、高さ/直径の比が0.3以上1以下の範囲であり、
    前記内側るつぼと外側るつぼの形状が、内側るつぼ直径
    /外側るつぼ直径の比が0.55以上0、9以下の範囲
    にあることを特徴とする酸化物単結晶の製造装置。
  14. 【請求項14】 密封容器に付設した重量測定センサと
    前記密封容器へのガス供給手段を有する粉体原料供給シ
    ステムを備えたことを特徴とする請求項13記載の酸化
    物単結晶の製造装置。
  15. 【請求項15】 高周波加熱装置を備えたことを特徴と
    する請求項13乃至14記載の酸化物単結晶の製造装
    置。
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