JP2000341075A - 積層型圧電部品 - Google Patents
積層型圧電部品Info
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Abstract
振周波数の変化量を抑え、かつ、ばらつきを減らすこと
ができる積層型圧電部品を得る。 【解決手段】 積層型圧電フィルタ21は、振動電極を
表裏面に設けた圧電体基板1,2と、外装基板10,1
1と、圧電体基板1,2と外装基板10,11との間に
それぞれ介在している接着剤7,9等を備えている。そ
して、接着剤7,9の弾性率や厚みを適当に選択するこ
とによって、リフローの際に圧電体基板1,2にかかる
熱による中心周波数Foの変化を、外装基板10,11
と接着剤7,9とが圧電体基板1,2へ与える合成応力
による中心周波数Foの変化で打ち消す。
Description
特に、発振器やフィルタ等として使用される積層型圧電
部品に関する。
動電極を表面に設けた圧電セラミックス基板を、接着剤
を介して2枚の外装基板にて挟んで封止するものがあっ
た。ここに、接着剤は、圧電部品の構造や特性、並び
に、接着強度等を考慮して種々のものが使用されてい
る。そして、接着剤の厚みは、振動空間の密封性や外部
電極の断線等の観点から、比較的薄く設定されている。
電部品はリフロー等のような高温での熱処理をされる
と、リフロー時の熱によって圧電セラミックス基板の一
部結晶構造が変わり、共振周波数(圧電フィルタの場合
には中心周波数であり、発振子の場合には発振周波数で
ある。以下、同様とする。)Foがリフロー前後で変化
する。そのため、従来は、リフロー時の熱による共振周
波数Foの変化分をマージンとして確保する必要があ
り、リフロー後の圧電部品の共振周波数Foのばらつき
も大きいという問題があった。
うな高温での熱処理前後の共振周波数の変化量を抑え、
かつ、ばらつきを減らすことができる積層型圧電部品を
提供することにある。
するため、本発明に係る積層型圧電部品は、(a)振動
電極を表面に設けた圧電体基板と、(b)前記圧電体基
板と共に積層体を構成する外装基板と、(c)前記圧電
体基板と前記外装基板との間に介在して、前記圧電体基
板と前記外装基板を固着する接着剤とを備え、(d)前
記圧電体基板にかかる熱による共振周波数の変化を、前
記外装基板と前記接着剤とが前記圧電体基板へ与える合
成応力による共振周波数の変化で打ち消すように、前記
接着剤の弾性率と厚みとを設定したこと、を特徴とす
る。ここに、共振周波数は、例えば、圧電フィルタの場
合には中心周波数であり、発振子の場合には発振周波数
とすればよい。
圧電体基板へ与える合成応力は、接着剤の弾性率と厚み
によって制御される。具体的には、前記外装基板の熱膨
張係数をa1(/℃)、厚みをb1(μm)とし、前記接
着剤の熱膨張係数をa2(/℃)、厚みをb2(μm)、
弾性率をc(MPa)とし、前記圧電体基板の熱膨張係
数をa3(/℃)、厚みをb3(μm)としたとき、条件
式 a2×b2−a3×b3−a1×b1×exp{−(b2/
c2)×107} の値が略零になるように、接着剤の弾性率cと厚みb2
を設定する。
板へ与える合成応力による共振周波数の変化が、圧電体
基板にかかる熱による共振周波数の変化を打ち消し、リ
フロー等のような高温での熱処理前後の共振周波数の変
化量が抑えられる。
外装基板が圧電体基板へ与える応力を接着剤で吸収さ
せ、圧電体基板へ与えられる合成応力を、接着剤が圧電
体基板へ与える応力のみになるように、接着剤の弾性率
cと厚みb2を設定する。具体的には、条件式 a2×b2−a3×b3−a1×b1×exp{−(b2/
c2)×107} において、exp{−(b2/c2)×107}の係数で
ある(b2/c2)を5.0×10-7以上に設定する。こ
れにより、外装基板による影響がなくなり、圧電体基板
へ与えられる合成応力は、接着剤による一定の応力のみ
となる。従って、リフロー等のような高温での熱処理前
後の共振周波数の変化量が抑えられるだけではなく、そ
のばらつきも少なくなる。
品の実施形態について添付図面を参照して説明する。本
実施形態では、フィルタを例にして説明するが、発振子
等であってもよいことは言うまでもない。
1は、矩形板状の圧電体基板1,2と、この圧電体基板
1,2を挟んで振動空間を形成する外装基板10,11
等で構成されている。圧電体基板1,2は、チタン酸ジ
ルコン酸鉛(PZT)系セラミックス等からなる。ただ
し、圧電体基板1,2はPZT以外に、水晶、LiTa
O3等であってもよい。
構造を説明する。なお、図2では、下面の電極を下方に
投影して図示している。圧電体基板1の上下面には、そ
れぞれ振動電極3a,3b及び振動電極3cが設けられ
ている。これらの振動電極3a〜3cが対向する部分に
てエネルギー閉じ込め型厚み縦振動モードの振動が生
じ、第1のフィルタ部3が形成される。
5a,5bに電気的に接続し、振動電極3cは引出し電
極5c〜5fに電気的に接続している。引出し電極5b
と引出し電極5fは、圧電体基板1を介して対向し、中
継容量としてのコンデンサを構成している。また、圧電
体基板1の上面には、電極6a,6b,6cが、それぞ
れ引出し電極5c,5d,5eと厚み方向に重なる位置
に形成されており、最終的に、引出し電極5c〜5eと
電気的に接続される。電極3a〜3c,5a〜5f,6
a〜6cは、Ag,Cu等をスパッタリングや蒸着等に
より形成している。そして、圧電体基板1において、点
線B,Cで囲まれた領域が未分極とされており、その他
の部分が厚み方向に分極処理されている。
基板1を左右方向に裏返して上下逆にして配置したもの
と同様のものである。従って、圧電体基板2において
も、厚み縦振動モードを利用したエネルギー閉じ込め型
の第2のフィルタ部と、中継容量としてのコンデンサが
構成されている。
ックス材からなり、この2枚の外装基板10,11にて
圧電体基板1,2を間に挟んで固着し、積層体とする。
すなわち、圧電体基板1と2は、接着剤8を介して厚み
方向に積層され、かつ接着される。さらに、圧電体基板
1の上方には、接着剤7を介して外装基板10が積層さ
れ、かつ接着される。同様に、圧電体基板2の下方に
は、接着剤9を介して外装基板11が積層され、かつ接
着される。これら接着剤7〜9は、圧電体基板1,2に
形成されている第1,第2のフィルタ部の振動空間を確
保する必要から、振動空間形成用穴7a,8a,9aが
形成されている。接着剤7,9については、後で詳しく
説明する。
に、得られた圧電フィルタ21の表面には、外部電極が
スパッタリングや塗布乾燥等の方法により形成される。
外部電極22dは圧電体基板1の引出し電極5aに接続
され、出力端子として用いられる。外部電極22aは、
圧電体基板2の引出し電極5aに接続されており、入力
端子として用いられる。外部電極22bは、圧電体基板
1の電極6bと、圧電体基板2の引出し電極5c及び電
極6aに接続されている。外部電極22cは、圧電体基
板1の引出し電極5bに接続されている。外部電極22
eは、圧電体基板1の電極6aと、圧電体基板2の引出
し電極5d及び電極6bに接続されている。外部電極2
2fは、圧電体基板2の引出し電極5bに接続されてい
る。図3(c)に示すように、外部電極22cと22f
は接続導電部23cを介して接続され、外部電極22b
と22eは接続導電部23aを介して接続されている。
接続導電部23aは電極延長部23bを有し、この電極
延長部23bを入出力用外部電極22a,22d間に配
置することにより、入出力間の分離度が高められてい
る。
の圧電フィルタ21が得られる。図4は、得られた圧電
フィルタ21の断面図である。ただし、振動電極や外部
電極等は図示していない。
電フィルタ21をリフロー等のような高温での熱処理を
した際、圧電体基板1,2にかかる熱によって中心周波
数Foがリフローの前後で変化する。同時に、熱膨張係
数の違いから、圧電体基板1,2は、外装基板10,1
1や接着剤7,9から応力を受ける。圧電体基板1,2
がセラミックス基板の場合、熱膨張係数は、圧電体基板
1,2<外装基板10,11<接着剤7,9の順で大き
くなる。従って、接着剤7,9の弾性率が大きいとき、
又は、接着剤7,9の厚みが薄いときには、圧電体基板
1,2にかかる応力は、外装基板10,11による応力
が支配的となる。この場合、リフローの熱で外装基板1
0,11の方が圧電体基板1,2より膨張するため、リ
フロー後、圧電体基板1,2はそれぞれ外装基板10,
11から圧縮応力を受ける。これにより、中心周波数F
oは低周波側へ移行する。
き、又は、接着剤7,9の厚みが厚いときには、外装基
板10,11による応力は接着剤7,9で吸収され、圧
電体基板1,2にかかる応力は接着剤7,9による応力
が支配的となる。接着剤7,9は、図1に示すように、
圧電体基板1,2の振動電極3a,3bの周囲に配設さ
れているため、熱膨張係数の大きい接着剤7,9がリフ
ロー後に収縮しようとすると、振動電極3a,3bが配
設されている圧電体基板1,2の振動部分はそれぞれ接
着剤7,9から引張り応力を受ける。これにより、中心
周波数Foは高周波側へ移行する。つまり、接着剤7,
9の弾性率や厚みによって、圧電体基板1,2に加わる
応力を制御して、リフロー後の中心周波数Foの変化を
制御することができる。
当に選択することによって、リフローの際に圧電体基板
1,2にかかる熱による中心周波数Foの変化を、外装
基板10,11と接着剤7,9が圧電体基板1,2へ与
える合成応力による中心周波数Foの変化で打ち消すこ
とができる。この結果、リフロー等のような高温での熱
処理前後の中心周波数Foの変化量を抑えることができ
る積層型圧電フィルタ21が得られる。
膨張係数をa1(/℃)、厚みをb1(μm)とし、接着
剤7,9の熱膨張係数をa2(/℃)、厚みをb2(μ
m)、弾性率をc(MPa)とし、圧電体基板1,2の
熱膨張係数をa3(/℃)、厚みをb3(μm)としたと
き、以下の条件式(1)の値が略零になるような弾性率
cと厚みb2を有する接着剤7,9を選択する。数値と
しては、条件式(1)の値が0±1.0×10-4の範囲
内に入るようにするのが好ましい。 a2×b2−a3×b3−a1×b1×exp{−(b2/c2)×107}…(1)
1,2へ与える応力を接着剤7,9で吸収させると、圧
電体基板1,2へ与えられる合成応力は、接着剤7,9
が圧電体基板1,2へ与える応力のみになる。従って、
圧電体基板1,2には、常に、略一定の応力がかかるこ
とになり、リフロー前後の中心周波数Foの変化量が抑
えられるだけでなく、そのばらつきも少なくできる。よ
り具体的には、条件式(1)において、外装基板10,
11の影響を少なくするため、外装基板10,11に関
係したパラメタa1,b1を含む項を小さくする。すなわ
ち、exp{−(b2/c2)×107}の係数である
(b2/c2)が以下の条件式(2)を満足するような弾
性率cと厚みb2を有する接着剤7,9を選択する。 (b2/c2)≧5.0×10-7…(2)
実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で
種々に変更することができる。圧電体基板は、必らずし
も2枚以上である必要はなく、図5に示すように、1枚
の圧電体基板1を2枚の外装基板10,11によって挟
着して封止するものであってもよい。また、前記実施形
態の圧電部品は、外装基板に振動空間形成用凹部を設け
ているが、このような凹部を設けないで、接着剤の厚み
を利用して振動空間を形成するものであってもよい。
を、外装基板10,11の厚みが500(μm)、圧電
体基板1,2の厚みが200(μm)、そして、接着剤
7,9として、弾性率が3000(MPa)、6000
(MPa)の2種類の接着剤を用いて製作した。外装基
板10,11の熱膨張係数は7.8×10-6(/℃)、
圧電体基板1,2の熱膨張係数は2.0×10-6(/
℃)、接着剤7,9の熱膨張係数は、弾性率が3000
(MPa)のものは6.3×10-5(/℃)、弾性率が
6000(MPa)のものは4.8×10-5(/℃)で
あった。
小さくする場合、前記条件式(1)の値を零に近づける
必要がある。従って、接着剤7,9の弾性率cが300
0(MPa)の場合、条件式(1)の値が0±1.0×
10-4の範囲内に入るように、接着剤7,9の厚みb2
の目標値を6(μm)とすればよい。同様に、接着剤
7,9の弾性率cが6000(MPa)の場合には、接
着剤7,9の厚みb2の目標値を12(μm)とすれば
よい。
合の、また、図7は弾性率cが6000(MPa)の場
合の、接着剤7,9の厚みb2が5〜15(μm)のと
きの、接着剤7,9の厚みb2に対するリフロー前後の
中心周波数Foの変化量(リフロー後24時間での変化
量)を測定した結果を示すグラフである。弾性率cが3
000(MPa)のときの接着剤7,9の厚みb2の目
標値は6(μm)とし、弾性率cが6000(MPa)
のときの接着剤7,9の厚みb2の目標値は12(μ
m)としたが、目標とした厚みでリフロー前後の中心周
波数の変化量が略0になっていることがわかる。
変化量のばらつきを少なくする場合、前記条件式(2)
を満足する必要がある。従って、接着剤7,9の弾性率
cが3000(MPa)の場合、条件式(2)より接着
剤7,9の厚みb2は、4.5(μm)以上に設定する
必要がある。一方、弾性率cが6000(MPa)の場
合、厚みb2は18(μm)以上に設定する必要があ
る。図8は、弾性率cが6000(MPa)の接着剤
7,9を使用して、厚みb2が約40〜45(μm)の
サンプル群Aと、厚みb2が約5〜15(μm)のサン
プル群Bとを製作した後、それぞれのリフロー前後の中
心周波数Foの変化量(リフロー後24時間での変化
量)を測定した結果を示すグラフである。さらに、図9
は厚みb2が約5〜15(μm)のサンプル群Bから、
図10は厚みb2が約40〜45(μm)のサンプル群
Aから任意に10個のサンプルを選び、それらの中心周
波数Foの変化量についての最大値、最小値及び平均値
を経時的に測定した結果を示すグラフである。図9と図
10とを比較すると、厚みb2を厚くすることによっ
て、中心周波数Foの変化量のばらつきが抑えられるこ
とがわかる。
よれば、接着剤の弾性率と厚みとを設定することによ
り、リフロー等の際に圧電体基板にかかる熱による共振
周波数の変化を、外装基板と接着剤とが圧電体基板へ与
える合成応力による共振周波数の変化で打ち消すことが
できる。この結果、リフロー等のような高温での熱処理
前後の共振周波数の変化量を抑えることができる積層型
圧電部品が得られる。さらに、外装基板が圧電体基板へ
与える応力を接着剤で吸収させると、圧電体基板へ与え
られる合成応力は、接着剤が圧電体基板へ与える応力の
みになる。従って、圧電体基板には、常に、略一定の応
力がかかることになり、リフロー前後の共振周波数の変
化量が抑えられるだけでなく、そのばらつきも少なくで
きる。
す分解斜視図。
体基板の電極構造を示す概略的斜視図。
型圧電部品の平面図、左側面図及び底面図。
ときの中心周波数の変化量を示すグラフ。
ときの中心周波数の変化量を示すグラフ。
ときの、中心周波数の変化量と接着剤の平均厚みとの関
係を示すグラフ。
5〜15(μm)の接着剤を用いたときの経時変化を示
すグラフ。
が40〜45(μm)の接着剤を用いたときの経時変化
を示すグラフ。
Claims (4)
- 【請求項1】 振動電極を表面に設けた圧電体基板と、 前記圧電体基板と共に積層体を構成する外装基板と、 前記圧電体基板と前記外装基板との間に介在して、前記
圧電体基板と前記外装基板を固着する接着剤とを備え、 前記圧電体基板にかかる熱による共振周波数の変化を、
前記外装基板と前記接着剤とが前記圧電体基板へ与える
合成応力による共振周波数の変化で打ち消すように、前
記接着剤の弾性率と厚みとを設定したこと、を特徴とす
る積層型圧電部品。 - 【請求項2】 前記外装基板が前記圧電体基板へ与える
応力を前記接着剤で吸収させ、前記圧電体基板へ与えら
れる合成応力を、前記接着剤が前記圧電体基板へ与える
応力のみになるようにしたことを特徴とする請求項1記
載の積層型圧電部品。 - 【請求項3】 前記外装基板の熱膨張係数をa1(/
℃)、厚みをb1(μm)とし、前記接着剤の熱膨張係
数をa2(/℃)、厚みをb2(μm)、弾性率をc(M
Pa)とし、前記圧電体基板の熱膨張係数をa3(/
℃)、厚みをb3(μm)としたとき、条件式 a2×b2−a3×b3−a1×b1×exp{−(b2/
c2)×107} の値が略零であることを特徴とする請求項1記載の積層
型圧電部品。 - 【請求項4】 前記接着剤の厚みをb2(μm)、弾性
率をc(MPa)としたとき、b2/c2が5.0×10
-7以上であることを特徴とする請求項2又は請求項3記
載の積層型圧電部品。
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