JP2000340267A - パック電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 パック電池に内蔵する電池電圧が大幅に変動
しても、加熱抵抗でヒューズを確実に溶断し、さらに、
加熱抵抗の損傷を確実に防止する。 【解決手段】 パック電池は、電池１が異常な状態にな
ったときにオフからオンに切り換えられるスイッチング
素子３と、このスイッチング素子３と電池１に直列に接
続されて、スイッチング素子３がオンになると加熱電流
が流れる加熱抵抗４と、加熱抵抗４に加熱される位置に
配設されると共に、電池１と直列に接続されて、加熱電
流が流れて高温になる加熱抵抗４に熱溶断されて電池１
に流れる電流を遮断するヒューズ５とを備える。さら
に、パック電池は、スイッチング素子３と電池１との間
に直列に定電流回路７を接続している。スイッチング素
子３がオンに切り換えられた状態で、加熱抵抗４に流れ
る加熱電流を定電流回路７で制御して加熱抵抗４がヒュ
ーズ５を加熱して溶断するようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電池が異常な状態
になると、電池と直列に接続しているヒューズを溶断し
て電流を遮断するパック電池に関する。

【０００２】

【従来の技術】ヒューズを加熱抵抗が加熱して溶断する
パック電池の回路図を図１に示す。このパック電池は、
電池１が異常な状態で使用されるようになると、このこ
とを保護回路２が検出してスイッチング素子３をオンに
切り換える。オンになったスイッチング素子３は、加熱
抵抗４に加熱電流を流してこれを加熱し、加熱された加
熱抵抗４がヒューズ５を熱で溶断する。ヒューズ５が溶
断されると、電池電流が遮断される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この構造のパック電池
は、スイッチング素子３がオンになったときに、加熱抵
抗４に流れる加熱電流が大幅に変動する欠点がある。そ
れは、スイッチング素子３がオンになったときの、電池
電圧が大幅に変動するからである。たとえば、図１に示
すように、電池１を４直列に接続しているパック電池
は、３つの電池１がショートして、ひとつの電池１が過
充電になったとき、１本の電池１で加熱抵抗４を加熱し
てヒューズ５を溶断する必要がある。また、４つの電池
１の全てが過充電されて、加熱抵抗４を加熱するときに
は、４本の電池電圧が加熱抵抗４に過大な加熱電流を流
すことになる。すなわち、この構造のパック電池は、１
本の電池１で加熱抵抗４を加熱してヒューズ５を溶断で
きるように設計する必要がある。このため、複数の電池
電圧が加熱抵抗４に加えられて加熱電流が流れると、加
熱電流は極めて大きくなる。

【０００４】たとえば、図に示すように電池を４直列に
接続するパック電池は、３本の電池がショートして１本
の電池で加熱電流を流すときと、４本の電池で加熱電流
を流すときでは、加熱電流が４倍も変化する。このた
め、加熱抵抗に大電流が流れるときに、ヒューズが溶断
される前に、加熱抵抗が焼損、発煙、発火する危険性が
ある。

【０００５】本発明は、このような欠点を解決すること
を目的に開発されたものである。本発明の重要な目的
は、パック電池に内蔵する電池電圧が大幅に変動して
も、加熱抵抗でヒューズを確実に溶断し、さらに、加熱
抵抗の損傷を確実に防止できるパック電池を提供するこ
とにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明のパック電池は、
電池１が異常な状態になったときにオフからオンに切り
換えられるスイッチング素子３と、このスイッチング素
子３と電池１に直列に接続されて、スイッチング素子３
がオンになると加熱電流が流れる加熱抵抗４と、加熱電
流が流れる加熱抵抗４に加熱される位置に配設されると
共に、電池１と直列に接続されて、加熱電流が流れて高
温になる加熱抵抗４に熱溶断されて電池１に流れる電流
を遮断するヒューズ５とを備える。さらに、パック電池
は、スイッチング素子３と電池１との間に直列に定電流
回路７を接続している。スイッチング素子３がオンに切
り換えられた状態で、加熱抵抗４に流れる加熱電流を定
電流回路７で制御して加熱抵抗４がヒューズ５を加熱し
て溶断するようにしている。

【０００７】さらに、本発明の請求項２のパック電池
は、互いに直列に接続されてなる複数の電池１を内蔵し
ている。

【０００８】さらに、本発明の請求項３のパック電池
は、パック電池の出力端子８と電池１との間に、ふたつ
のヒューズ５を直列に接続しており、各々のヒューズ５
に接近してふたつの加熱抵抗４を配設している。加熱抵
抗４は、互いに並列に接続されて、一端をヒューズ５の
中間接続点９に、他端をスイッチング素子３に接続して
いる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明
の技術思想を具体化するためのパック電池を例示するも
のであって、本発明はパック電池を以下のものに特定し
ない。

【００１０】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を
理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する
番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決
するための手段の欄」に示される部材に付記している。
ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材
に特定するものでは決してない。

【００１１】図２の回路図に示すパック電池は、電池１
の異常を検出する制御回路６と、この制御回路６の出力
信号でオンオフに切り換えられるスイッチング素子３
と、スイッチング素子３がオンの時に流れる電流を制御
する定電流回路７と、スイッチング素子３がオンになる
ときに加熱電流が流れてヒューズ５を加熱する加熱抵抗
４と、この加熱抵抗４に加熱、溶断されるヒューズ５と
を備える。

【００１２】制御回路６は、電池１が異常な状態になる
ことを検出し、電池１が異常な状態になると、スイッチ
ング素子３をオンにする信号を出力する。制御回路６が
検出する電池１の異常な状態とは、たとえば、電池１に
過電流が流れる状態である。ただ、本発明は、電池の異
常な状態を、電池に過電流が流れる状態に特定しない。
電池の異常な状態とは、過電流のみでなく、たとえば、
電池が過充電された状態、あるいは電池温度が異常な温
度に上昇した状態等、パック電池を安全または正常に使
用できない状態を意味するものとする。複数の電池１を
内蔵するパック電池は、各々の電池１の異常な状態を検
出し、いずれかの電池１が異常な状態で使用されると、
スイッチング素子３をオンにする信号を出力する。制御
回路６は、全ての電池１が正常な状態にあるとき、スイ
ッチング素子３をオンにする信号を出力せずに、スイッ
チング素子３をオフに保持する。

【００１３】スイッチング素子３はＦＥＴである。ＦＥ
Ｔは、ゲートを制御回路６の出力端子に接続して、ソー
スをアース側に、ドレインを定電流回路７を介して加熱
抵抗４に接続している。スイッチング素子には、ＦＥＴ
に代わってトランジスターも使用できる。トランジスタ
ーは、ベースを制御回路に接続して、エミッターをアー
スにコレクターを定電流回路を介して加熱抵抗に接続す
る。スイッチング素子をトランジスターとするパック電
池は、電池が異常な状態になると、トランジスターをオ
ンにする信号を制御回路が出力する。さらに、スイッチ
ング素子にはリレーも使用できる。リレーはノーマルオ
ープン側の接点をアースと定電流回路との間に接続し、
励磁コイルをアースと制御回路の出力側とに接続する。
このパック電池は、電池が異常な状態になると、リレー
の励磁コイルに通電して、ノーマルオープン側の接点を
閉じて、定電流回路を介して加熱抵抗に加熱電流を流
す。

【００１４】定電流回路７は、スイッチング素子３がオ
ンになったときに、電池電圧が変動しても、加熱抵抗４
に流れる加熱電流を一定の範囲に制御する。定電流回路
７が制御して加熱抵抗４に流す加熱電流は、加熱抵抗４
が加熱されて、ヒューズ５を熱溶断できる電流に設定さ
れる。

【００１５】図のパック電池は、パック電池の出力端子
８と電池１との間に、ふたつのヒューズ５を直列に接続
している。一方のヒューズ５は電池１に、他方のヒュー
ズ５はパック電池の出力端子８に接続され、ヒューズ５
の中間接続点９は、加熱抵抗４に接続される。

【００１６】ヒューズ５に接近してふたつの加熱抵抗４
を配設している。加熱抵抗４は二つあって、各々の加熱
抵抗４は、各々のヒューズ５に接近して配設される。加
熱抵抗４は、互いに並列に接続されて、一端をヒューズ
５の中間接続点９に、他端をスイッチング素子３に接続
している。

【００１７】この構造のパック電池は、電池１が正常な
状態にあるときに、制御回路６でスイッチング素子３を
オフとする。スイッチング素子３がオフ状態にあると、
加熱抵抗４には電流が流れない。したがって、ヒューズ
５が加熱抵抗４に加熱されることがなく、ヒューズ５が
溶断されることはない。したがって、電池１はヒューズ
５を介してパック電池の出力端子８に接続される。この
状態で、パック電池は充電され、あるいは放電される。

【００１８】電池１が異常に状態になると、制御回路６
はスイッチング素子３をオフからオンに切り換える。オ
ンになったスイッチング素子３は、加熱抵抗４に加熱電
流を流す。加熱電流は、定電流回路７に制御されて、電
池電圧に影響を受けない。定電流回路７は、加熱電流を
設定された電流に制御する。加熱抵抗４は、加熱電流に
よるジュール熱で加熱されて、ヒューズ５を溶断する。
ヒューズ５が溶断されると、電池１はパック電池の出力
端子８から切り離されて、電流が遮断される。

【００１９】以上のパック電池は、互いに直列に接続し
ている複数の電池１を内蔵する。複数の電池１を内蔵す
るパック電池は、全体の電池電圧の変動幅が大きい。こ
のため、定電流回路７は電池電圧が変動しても、加熱抵
抗４に流す加熱電流を所定の範囲に制御する。本発明
は、複数の電池を内蔵するパック電池には特定しない。
ひとつの電池を内蔵するパック電池も、電池の充放電状
態によって電池電圧は変動する。したがって、本発明の
パック電池は、複数の電池を内蔵するものに特定しな
い。

【００２０】図３の回路図は、本発明の他の実施例のパ
ック電池を示す。この図のパック電池は、パック電池の
出力端子８と電池１との間に、ひとつのヒューズ５を接
続している。さらに、パック電池の出力端子８に定電流
回路７を介してスイッチング素子３を接続している。こ
のパック電池は、電池１が異常な状態になると、スイッ
チング素子３がオンになって、加熱抵抗４に加熱電流が
流れる。加熱電流は、定電流回路７に制御されて、一定
の電流値に制御される。加熱電流が流れる加熱抵抗４
は、ジュール熱で加熱されて、ヒューズ５を熱溶断して
電流を遮断する。

【００２１】

【発明の効果】本発明のパック電池は、パック電池に内
蔵する電池電圧が大幅に変動しても、加熱抵抗でヒュー
ズを確実に溶断し、さらに、加熱抵抗の損傷を確実に防
止できる特長がある。それは、本発明のパック電池が、
電池が異常な状態になったときにオフからオンに切り換
えられるスイッチング素子と電池との間に直列に定電流
回路を接続しており、スイッチング素子がオンに切り換
えられた状態で、加熱抵抗に流れる加熱電流を定電流回
路で制御しているからである。このパック電池は、電池
電圧が大きく変動しても、定電流回路が加熱抵抗に流れ
る加熱電流を一定の範囲に制御するので、加熱電流を最
適な電流値にできる。このため、本発明のパック電池
は、内蔵する電池電圧が大幅に変動しても、加熱抵抗で
ヒューズを確実に加熱して溶断でき、さらに、過大な加
熱電流が流れて加熱抵抗が焼損、発煙、発火等の危険な
状態になるのを有効に防止して、安全に使用できる特長
が実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来のパック電池の回路図

【図２】本発明の実施例のパック電池の回路図

【図３】本発明の他の実施例のパック電池の回路図

【符号の説明】

１…電池 ２…保護回路 ３…スイッチング素子 ４…加熱抵抗 ５…ヒューズ ６…制御回路 ７…定電流回路 ８…出力端子 ９…中間接続点

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 孝史 大阪府守口市京阪本通２丁目５番５号 三 洋電機株式会社内 Ｆターム(参考） 5H030 AA06 AS06 FF21 FF51

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電池(1)が異常な状態になったときにオ
   フからオンに切り換えられるスイッチング素子(3)と、
   このスイッチング素子(3)と電池(1)に直列に接続され
   て、スイッチング素子(3)がオンになると加熱電流が流
   れる加熱抵抗(4)と、加熱電流が流れる加熱抵抗(4)に加
   熱される位置に配設されると共に、電池(1)と直列に接
   続されて、加熱電流が流れて高温になる加熱抵抗(4)に
   熱溶断されて電池(1)に流れる電流を遮断するヒューズ
   (5)とを備えるパック電池において、 スイッチング素子(3)と電池(1)との間に直列に定電流回
   路(7)を接続しており、スイッチング素子(3)がオンに切
   り換えられた状態で、加熱抵抗(4)に流れる加熱電流を
   定電流回路(7)で制御して加熱抵抗(4)がヒューズ(5)を
   加熱して溶断するようにしてなることを特徴とするパッ
   ク電池。
2. 【請求項２】 互いに直列に接続されてなる複数の電池
   (1)を内蔵する請求項１に記載されるパック電池。
3. 【請求項３】 パック電池の出力端子(8)と電池(1)との
   間に、ふたつのヒューズ(5)を直列に接続しており、各
   々のヒューズ(5)に接近してふたつの加熱抵抗(4)を配設
   しており、加熱抵抗(4)は互いに並列に接続されて、一
   端をヒューズ(5)の中間接続点(9)に、他端をスイッチン
   グ素子(3)に接続している請求項１に記載されるパック
   電池。