JP2000338621A - ハロゲン化銀写真乳剤とそれを含んだ感光材料、およびその感光材料を用いたカラー画像形成方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤とそれを含んだ感光材料、およびその感光材料を用いたカラー画像形成方法

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JP2000338621A
JP2000338621A JP2000082973A JP2000082973A JP2000338621A JP 2000338621 A JP2000338621 A JP 2000338621A JP 2000082973 A JP2000082973 A JP 2000082973A JP 2000082973 A JP2000082973 A JP 2000082973A JP 2000338621 A JP2000338621 A JP 2000338621A
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Masahiro Asami
正弘 浅見
Tadanobu Sato
忠伸 佐藤
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度でありながら、高コントラストが得ら
れ、良好な粒状性を与えるハロゲン化銀写真乳剤を提供
する。 【解決手段】 含まれるハロゲン化銀粒子の投影面積の
50%以上がアスペクト比2以上で且つ粒子厚み0.2
μm以下の平板状粒子で占められ、該粒子は臭化銀含有
率が10%以上の相を有し、さらに該相中に金属錯体ド
ーパントを転位密度を増加させるのに必要な量含有して
いるハロゲン化銀写真乳剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は撮影用として好適な
高感度、高コントラストな特性を有するハロゲン化銀乳
剤と、それを用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料、
さらに、その感光材料を用いた簡易、迅速なカラー画像
形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀を利用した写真感光材料−
銀塩写真システムは近年ますます発展し、現在では簡易
に高画質のカラー画像を入手することが可能となってい
る。通常利用されるカラー写真のプロセスは近年高度に
発達し、大量のカラープリントを高効率で生産する大規
模な集中拠点であるカラーラボあるいは店舗に設置され
た小型、簡易のプリンタプロセッサである所謂ミニラボ
の普及により誰でもがカラー写真を手軽に楽しめるよう
になっている。さらに最近では、磁性体を塗布した支持
体を利用して様々な情報を磁気記録として記録可能なカ
ラーネガティブフィルムを用いた新しい概念のAPSシ
ステムが市場導入されている。このシステムでは、フィ
ルム取り扱いの簡易性や、撮影時に情報を記録すること
でプリントサイズを変更できるなどの写真の楽しみを提
案している。また、処理後のネガフィルムから簡便なス
キャナにより画像情報を読み取ることで画像の編集や加
工を行うツールも提案されている。こうした方法によっ
て、銀塩写真の高画質な画像情報を簡易にデジタル化す
ることが可能となり、従来の写真としての楽しみ方の範
疇を越えて広範囲の応用が身近なものになりつつある。
【0003】一方で、CCDを撮像素子として利用し
た、所謂ディジタルスチルカメラの進歩が急激に進んで
いる。ここ数年、写真に近い画質を得るために、画素数
百万以上のCCD素子を搭載したカメラがアマチュア向
けに市場導入されている。ディジタルスチルカメラは、
通常のカラー写真システムのように撮影したフィルムを
現像する工程を必要とせず、直接にディジタイズされた
画像情報を得ることができる。したがって、撮影時に即
時に画像を液晶モニター上で確認したり、得られたディ
ジタル情報を様々に活用することが容易にできる。これ
らの画像情報は、プリンターに転送して手軽にプリント
を作成することも可能であり、パーソナルコンピュータ
を用いて画像情報を様々に加工したり、インターネット
を通じた画像転送なども容易に行なうことができる。最
近のCCDの高密度化と、大容量のディジタルデータを
取り扱う機器の能力の進歩から、写真としての鑑賞に耐
えうる画質の画像も得られるようになってきており、一
般の写真撮影が、これらのディジタルスチルカメラで代
替される可能性も論議されている。
【0004】こうした状況の中で、ディジタルスチルカ
メラシステムに対抗し、銀塩写真システムをさらに発展
させる観点から、銀塩感光材料の持つ高感度、高ラチチ
ュードをさらに追及することが望まれている。ディジタ
ルスチルカメラの撮像素子であるCCDの性能改良には
著しいものがあるが、限られたサイズの素子中に画素を
増やしつつ、高い感度を付与することには限界があり、
また、安価で簡易なカメラシステムの制約の中で、高ラ
チチュードを付与することは原理的に困難である。した
がって、銀塩感光材料がさらに高感度、高ラチチュード
を達成し、レンズ付フィルムのような安価でかつ取り扱
いの手軽な商品に搭載できるならば、ユーザーにとって
魅力のあるシステムを提供できるであろう。銀塩感光材
料の高感度化は、通常、受光素子として用いるハロゲン
化銀粒子の粒子サイズを大きくすることで達成される
が、粒子サイズの増大とともに粒状性が悪化することが
問題となる。粒状性を損なわずに感度を高める手段とし
て、粒子投影径に比べて粒子厚みの小さい、平板状粒子
からなる乳剤を用いることが米国特許第4434226
号あるいは同第4439520号明細書などに開示され
ている。写真乳剤粒子を記述するのに、粒子投影径を粒
子厚みで除した値をアスペクト比と称して用いる。これ
らの明細書には、高アスペクト比粒子はそうでない粒子
に比べて良好な感度/粒状比を示すことが記載されてい
る。粒子投影径の等しい粒子で比較した場合、アスペク
ト比を高めることで、同じ塗布銀量でも粒子数を増加さ
せることが可能になり、粒状を良化させることができる
と考えられる。しかしながら、粒子のアスペクト比を高
めて、粒子厚みを薄く設計すると、高感度を得るのが困
難になり、さらに最大発色濃度の低下によるコントラス
トの劣化が生じることが明らかになった。
【0005】こうした現象は、乳剤粒子の組成やサイズ
によって現れ方が異なるが、概ね、粒子厚みが0.2μ
m以下で問題となり始め、0.15μm以下で著しくな
ってくる。この問題を解決する試みとして、種々の技術
が報告されている。米国特許第5536632号、同第
5576168号明細書に開示されているような、粒子
の外表面、特に頂点部にハロゲン組成の異なるエピタキ
シャル微結晶部位を形成させる、あるいは6−シアノ鉄
族錯体をドープする等の技術をその例として挙げること
ができる。しかしながら、これらの技術を用いても、感
度の改善は見られるものの、十分ではなく、また往々に
してコントラストの低下は改良されないことがわかっ
た。
【0006】一方でまた、銀塩感光材料の弱点である現
像処理工程をさらに簡易、迅速に行なえるようにするこ
とも急務の課題である。ディジタルスチルカメラの強み
は、何といっても液現像処理が不要な点である。これに
対して、現状では銀塩感光材料の現像処理は、専用の処
理設備と注意深い管理を必要としており、限られた拠点
でしか利用することができない。この理由は、第一に
は、上述した発色現像および漂白、定着処理を行うため
の処理浴は、その組成や温度を精密に制御する必要があ
り、専門的な知識と熟練した操作を必要とする。第二
に、これらの処理液中には発色現像主薬や漂白剤である
鉄キレート化合物など環境的にその排出の規制が必要な
物質が含有されており、現像機器類の設置には専用の設
備を必要とする場合が多い。第三に、近年の技術開発に
よって短縮されたとはいえ、これらの現像処理には時間
を要し、迅速に記録画像を再現する要求に対しては未だ
不十分といわざるを得ない。これらの観点に鑑み、多く
の改良技術の提案がなされている。例えば、IS&T’
s 48th Annual Conference
Proceedings 180頁には、現像反応で生
成した色素を媒染層に移動させた後、剥離することで現
像銀や未反応のハロゲン化銀を除去し、従来カラー写真
処理に必須であった漂白定着浴を不要にするシステムが
開示されている。しかしながら、ここで提案されている
技術では発色現像主薬を含有する処理浴での現像処理は
依然として必要であり、環境上の問題は解決されている
とは言い難い。
【0007】発色現像主薬を含む処理液の不要なシステ
ムとして、富士写真フイルム株式会社よりピクトログラ
フィーシステムが提供されている。この方式は、先に述
べた処理浴を用いない点で環境上有利であるが、このシ
ステムは、現像反応により生じた拡散性の色素を受像材
料に転写させ、プリント画像を得るためのものであり、
そのままでは本発明のような超高感度の撮影用感光材料
を処理するのには適さない。撮影用感光材料を、上述の
ピクトログラフィーシステムと同様の簡易、迅速な処理
で現像可能とする技術が、特開平9−204031号あ
るいは特開平9−274295号特許明細書に開示され
ている。しかしながら、これらに開示されたような、現
像主薬を内蔵させ、小量の水の存在下に塩基プレカーサ
ーを含有する処理材料と重ね合わせ、60℃以上に加熱
する熱現像処理では、先に述べたような高アスペクト比
平板を用いた場合の問題、特にコントラストの低下はさ
らに顕著になることが明らかになった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これまでに述べてきた
ことから明らかなように、本発明の第一の目的は、高感
度でありながら、高コントラストが得られ、良好な粒状
性を与えるハロゲン化銀写真乳剤と、それを用いた高画
質の撮影用感光材料、さらにそれによる簡易なカラー画
像形成方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題は、下記(1)
〜(13)の手段によって効果的に達成された。 (1)含まれるハロゲン化銀粒子の投影面積の50%以
上がアスペクト比2以上で、且つ、粒子厚み0.2μm
以下の平板状粒子で占められ、該粒子は臭化銀含有率が
10%以上の相を有し、さらに該相中に金属錯体ドーパ
ントを転位密度を増加させるに必要な量だけ含有してい
ることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 (2)前記投影面積の50%以上が粒子厚み0.15μ
m以下であることを特徴とする、(1)項記載のハロゲ
ン化銀写真乳剤。 (3)該臭化銀含有率が10%以上で、かつ金属錯体ド
ーパントを含有する相が、さらに1mol%以上の沃化
銀を含有することを特徴とする、(1)または(2)項
記載のハロゲン化銀写真乳剤。 (4)含有される金属錯体ドーパントが、金属原子の配
位数の半分を超える数の複素環化合物(該複素環化合物
がキレート化合物の場合にはその配位原子数)を配位子
として有することを特徴とする、(1)、(2)または
(3)項記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0010】(5)含有される金属錯体ドーパントが、
中心金属としてマグネシウム、カルシウム、ストロンチ
ウム、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバ
ルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、
オスミウム、イリジウム、白金、金、銅、亜鉛、カドミ
ウムまたは水銀を有する錯体であることを特徴とする、
(1)、(2)、(3)または(4)項記載のハロゲン
化銀写真乳剤。 (6)(1)〜(5)のいずれか1項記載のハロゲン化
銀乳剤を支持体上に有することを特徴とするハロゲン化
銀写真感光材料。 (7)現像主薬を含有することを特徴とする、(6)項
記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。 (8)支持体上に、ハロゲン化銀乳剤および現像主薬を
含有するカラー写真感光材料であって、該ハロゲン化銀
乳剤の少なくとも1種が、含まれるハロゲン化銀粒子の
投影面積の50%以上がアスペクト比2以上で、且つ、
粒子厚み0.2μm以下の平板状粒子で占められ、該粒
子は臭化銀含有率が10%以上の相を有し、さらに、金
属原子の配位数の半分を超える数の、電荷をもたず、か
つ、中心金属以外の金属または金属イオンと配位結合を
形成しない有機化合物(配位子が多座配位子の場合は、
中心金属の配位数の半分を超える数の配位原子が、電荷
をもたず、かつ、中心金属以外の金属または金属イオン
と配位結合を形成しない有機化合物)を、配位子として
有する金属錯体ドーパントを粒子中に含有することを特
徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。 (9)支持体上に、ハロゲン化銀乳剤、現像主薬を含有
するカラー写真感光材料であって、該ハロゲン化銀乳剤
の少なくとも1種が、含まれるハロゲン化銀粒子の投影
面積の50%以上がアスペクト比2以上で、且つ、粒子
厚み0.2μm以下の平板状粒子で占められ、該粒子は
臭化銀含有率が10%以上の相を有し、さらに、下記一
般式A、BまたはCのいずれかで表される金属錯体ドー
パントを粒子中に含有することを特徴とするハロゲン化
銀カラー写真感光材料。
【0011】一般式A
【化5】
【0012】一般式B
【化6】
【0013】一般式C
【化7】
【0014】式中のMは任意の中心金属または中心金属
イオンを表す。L、L’およびL”は鎖式または環式の炭
化水素を母体構造とするか、またはその母体構造の一部
の炭素または水素原子が他の原子または原子団によって
置き換えられた化合物を表し、L、L’およびL”はそれ
ぞれのうち少なくとも一つの化合物が2つ以上の金属イ
オンに同時に配位することが出来る化合物を表す。但
し、Lは中心金属または中心金属イオンに単座で配位す
る化合物、L’は中心金属または中心金属イオンに2座
で配位する化合物、L”は中心金属または中心金属イオ
ンに3座で配位する化合物をそれぞれ表し、各々の一般
式においてL、L’およびL”がそれぞれ複数のときは全
て同一の化合物であっても異なる化合物であってもよ
い。中心金属または中心金属イオンにXは任意の配位子
を表す。Cは4または6であり、Cが6の時、nは4、5
または6、mは2または3であり、Cが4の時、nは3ま
たは4、mは2を表す。zは−6から+4までの整数(電
荷数)を表す。
【0015】(10)支持体上に、ハロゲン化銀乳剤、
現像主薬を含有するカラー写真感光材料であって、該ハ
ロゲン化銀乳剤の少なくとも1種が、含まれるハロゲン
化銀粒子の投影面積の50%以上がアスペクト比2以上
で、且つ、粒子厚み0.2μm以下の平板状粒子で占め
られ、該粒子は臭化銀含有率が10%以上の相を有し、
さらに、金属原子の配位数の半分を超える数の、負電荷
を持つことが可能である部位を有する有機化合物を、配
位子として有する金属錯体ドーパントを粒子中に含有す
ることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。 (11)含有される金属錯体ドーパントが、中心金属と
してマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリ
ウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッ
ケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウ
ム、イリジウム、白金、金、銅、亜鉛、カドミウムまた
は水銀を有する錯体であることを特徴とする、(8)、
(9)または(10)項記載のハロゲン化銀カラー写真
感光材料。 (12)現像主薬として下記一般式(I)、(II)、
(III)または(IV)で表される化合物を含有すること
を特徴とする、(7)〜(11)のいずれか1項記載の
ハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0016】
【化8】
【0017】式中、R1〜R4は水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、アリール基、アルキルカルボンアミド
基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミ
ド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリ
ールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アル
キルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、カルバ
モイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルフ
ァモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルス
ルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボ
ニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボ
ニル基、アリールカルボニル基またはアシルオキシ基を
表し、R5はアルキル基、アリール基または複素環基を
表す。Zは(複素)芳香環を形成する原子群を表し、Z
がベンゼン環を形成するのに必要な原子群である場合、
その置換基のハメット定数(σ)の合計値は1以上であ
る。R6はアルキル基を表す。Xは酸素原子、硫黄原
子、セレン原子またはアルキル置換もしくはアリール置
換の3級窒素原子を表す。R7、R8は水素原子または置
換基を表し、R7、R8が互いに結合して2重結合または
環を形成してもよい。さらに、一般式(I)〜(IV)の
各々には分子に油溶性を付与するため、炭素数8以上の
バラスト基を少なくとも1つ含む。 (13)(6)〜(12)項のいずれか1項記載の感光
材料を像様露光した後、支持体上に塩基および/または
塩基プレカーサーを含有する処理層を含む構成層を塗設
した処理材料を用い、感光材料と処理材料の全塗布膜の
最大膨潤に要する水の1/10から1倍に相当する水を
感光材料と処理材料との間に存在させた状態で重ね合わ
せて60℃以上100℃以下の温度で且つ5秒以上60
秒以内で加熱することにより感光材料中に画像を形成さ
せることを特徴とするカラー画像形成方法。
【0018】なお、「金属原子の配位数の半分を超える
数の、負電荷を持つことが可能である部位を有する有機
化合物を、配位子として有する」とは、該配位子に負電
荷を持つことが可能である部位を有すればよく、その部
位は配位原子であっても、配位原子以外であってもよい
ことを意味する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明のハロゲン化銀乳剤のある
実施形態においては、含まれるハロゲン化銀粒子は、粒
子中に臭化銀含有率が10mol%以上の相を有し、該
相中に金属錯体ドーパントを転位密度を増加させる量だ
け含有していることが必要である。本発明のハロゲン化
銀粒子は塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃化
銀、塩沃臭化銀などを目的に応じて用いることができる
が、沃臭化銀乳剤において本発明の効果は最も著しい。
ハロゲン化銀組成中の臭化銀以外のハロゲン化銀の含有
量としては、AgI約20モル%までのAgBrI、A
gCl 50モル%以上の高塩化銀などがあげられる。
沃臭化銀乳剤の場合、固溶体を形成する限度は通常の写
真乳剤を調製する温度領域では高々40mol%に満た
ないので、本発明の錯体ドーパントをドープする領域の
組成は、大部分が臭化銀よりなる。本発明の効果は臭化
銀含有量の高い領域にドープする方が顕著であり、該領
域のハロゲン組成は、好ましくは臭化銀70mol%以
上、最も好ましくは80mol%以上である。本発明の
感光材料に用いるハロゲン化銀乳剤は、粒子厚みが0.
2μm以下である平板状粒子によって全投影面積の50
%が占められる。粒子厚みは0.15μm以下がさらに
好ましく、0.10μm以下が最も好ましい。乳剤中に
含まれる粒子の形状を記述するのに、粒子の投影径を粒
子厚みで除した、所謂アスペクト比を用いることが常用
される。本発明の乳剤は、このアスペクト比が5以上で
あることが好ましく、8以上であることがさらに好まし
く、12以上が最も好ましい。粒子と同体積の球の直径
で表した粒子サイズが約0.5μm以下の、比較的粒子
サイズの小さい粒子を用いる場合には、アスペクト比を
さらに粒子厚みで除した平板度で25以上の粒子が好ま
しい。
【0020】本発明の乳剤のように、粒子厚みの薄い高
アスペクト比平板状粒子よりなる写真乳剤の感度を高め
るには、平板状粒子のフリンジ部に転位を形成すること
が有効であることが知られている。転位は、結晶学でい
う刃状転位として導入される。こうした転位の密度は、
ハロゲン化銀粒子を冷却した状態での電子顕微鏡観察で
容易に確認することができる。例えば、ハロゲン化銀乳
剤中のゼラチンを酵素分解してハロゲン化銀粒子を取り
出し、これを電子顕微鏡観察用のメッシュ上に載せ、電
子線による試料の損傷を防ぐために液体窒素で冷却した
状態で透過法により観察する。このとき、電子線の透過
率を高めるため、200KV以上の高い加速電圧を用い
ることが好ましい。転位による回折コントラストの高い
配置を探すために、試料を10度程度の範囲で傾けるこ
とが効果的である。公知技術に開示された転位の導入法
の例としては、沃度含有率の低い核を高沃度含有率の第
一殻で覆い、この上に低沃度含有率の第二殻を沈積させ
る技術が知られている。このとき、高沃度相の上に沈積
させた殻(平板状粒子では粒子外縁のフリンジ部に相当
する)には結晶不整に基づく転位線が形成され、高感度
を得るのに寄与する。高沃度相の沈積には、沃化カリウ
ムのような水溶性沃化物溶液を単独あるいは硝酸銀等の
水溶性銀塩溶液と同時に添加する方法、沃化銀微粒子を
系内に導入する方法、アルカリや求核剤との反応で沃化
物イオンを放出する化合物(例えばp−沃化アセトアミ
ドベンゼンスルホン酸ナトリウム等)を添加する方法な
どを好ましく用いることができる。しかしながら、こう
した方法では、往々にして転位の導入に多量の沃化銀を
導入することが必要となり、種々の問題を生じる。第一
には、沃化銀の導入量が増加すると、化学増感阻害を引
き起こし、感度を著しく低下させる。すなわち、転位導
入と増感阻害がトレードオフの関係となり、高感化の妨
げとなっていた。
【0021】本発明者らは、ある種の金属錯体ドーパン
トを臭化銀10mol%以上の相中にドープすること
で、上述の弊害なしに転位密度を高め、高感度を付与で
きることを見出した。本発明にいう臭化銀10mol%
以上の相は、粒子中の部位を問わないが、平板状粒子の
フリンジ部に転位を導入する目的からすると、粒子外周
部とすることが好ましい。さらに、該相の比率は、粒子
の体積の50%以下が好ましく、40%以下がさらに好
ましい。粒子厚みが0.15μm以下では30%以下が
好ましく、20%以下がさらに好ましい。また、該層は
1mol%以上の沃化銀を含有していることが好まし
い。本発明において金属錯体ドーパントは、金属原子の
配位数の半分を超える数の複素環化合物を配位子として
有することが好ましい。特に、5員もしくは6員の含窒
素複素環化合物を配位子として有する金属錯体が好まし
い。本発明における転位密度を増加させるに必要な金属
錯体ドーパントの使用量は、銀1モル当り10-9〜10
-3モルが好ましく、10-8〜10-4モルがより好まし
く、最も好ましくは10-6〜10-4モルである。本発明
において錯体ドーパントが転位密度を増加させる機構の
詳細については不明であるが、転位近傍の歪みの緩和と
関連していることが推定される。すなわち、高沃度相に
連続して低沃度相を成長させる際に、格子定数の差に起
因して刃状転位が発生するが、転位線近傍は、格子の歪
みにより、エネルギーが増加していると考えられる。ド
ープされた本発明の錯体は、こうした転位線近傍に組み
込まれ、結晶格子の歪みを緩和することで転位を安定化
する作用を呈する可能性を有する。写真特性を向上させ
る目的で、ハロゲン化銀乳剤粒子中にドーパントとして
重金属不純物を添加する技術は公知である。例えば、
R.S.Eachus,M.T.Olm,Cryst.
Latt.Def.and Amorph.Mat.,
18,297−313(1989)には、写真用ハロゲ
ン化銀粒子中へドープされた金属錯体の写真作用が、露
光時に発生する光電子との相互作用から説明されてい
る。該報文中に取り上げられているヘキサクロロイリジ
ウム(IV)酸錯体は、そうした金属錯体ドーパントの中
でも典型的に用いられており、多数の報告がなされてい
る。前述の報告にもあるように、従来のこれら金属錯体
ドーパントの役割は、乳剤粒子が露光されたときに発生
する光電子と相互作用を行い、過渡的、一時的あるいは
永久的な電子トラップとして働くとされていた。この観
点から、種々の金属錯体が報告されているが、中心金属
のd電子軌道の分裂や電子状態と写真作用が議論される
ことが多く、用いられる錯体種もハロゲノ錯体やシアノ
錯体がほとんどであった。本発明では、ある種の有機配
位子錯体が従来とは異なる写真作用を呈し、同時に高ア
スペクト比平板乳剤の粒子周縁部の転位密度を増加させ
ることを見出し、発明をなすに至ったものである。
【0022】本発明と類似の技術が、特開平7−128
769号特許明細書に開示されている。該特許明細書に
は95mol%以上の高塩化銀乳剤粒子に、金属原子と
結合している原子、分子または配位子との距離が、ハロ
ゲン化銀結晶の格子定数の0.45以下あるいは0.5
5倍以上の距離である金属化合物を粒子形成途中に添加
することで、転位を導入することができ、高感度が得ら
れる旨の記載がある。しかしながら、本発明者らの検討
によると、撮影材料用乳剤のように高感度が必要な乳剤
では期待する程度の効果が得られないことがわかった。
高感度を付与する目的で塩化銀乳剤に臭化銀を混晶とし
て導入したり、沃臭化銀よりなる乳剤を用いたり、臭化
銀含有率が10mol%以上の相を有する粒子では、上
述の規定を満足する金属錯体をドープしても、期待する
程度の転位は発生しないことがわかった。一つには、分
極率の高い臭化物イオンが導入されることで格子歪の緩
和が容易になり、転位を生じ難くなる効果が考えられ
る。また、金属原子と配位子の結合距離だけでは、結晶
格子間距離の変化を規定できないとも考えられる。すな
わち、結合距離が等しくても、どのような大きさ(イオ
ン半径、ファンデルワールス半径)の配位子を結合させ
るか、さらにはどのような分極率を有する配位子を結合
させるかによって、金属錯体が組込まれたときの格子間
距離は変化するであろう。
【0023】上記特許明細書に開示された技術と本発明
との差異は、以下のようにまとめられる。該特許の技術
は、 塩化銀95mol%以上の高塩化銀粒子に転位線を導
入することで、反射支持体上に塗設した感光材料の68
0nmにおける光学反射濃度を高めても、高感度を維持
するための技術であること。 金属原子と結合している原子、分子または配位子との
距離がハロゲン化銀結晶の格子定数の0.45以下ある
いは0.55倍以上と規定されていること。 金属化合物はハロゲン化銀粒子の中心近くに含有させ
ることが好ましく、本発明のように臭化銀を10mol
%以上有する粒子外周相中にドープすることで効果を得
るものではないこと。 粒子の好ましい形状は立方体であり、本発明のように
粒子厚み0.2μm以下の平板状粒子とは異なること。 したがって、本発明の技術とはその目的や達成手段が全
く異なる別個の技術であることがわかる。また、該特許
明細書に開示されている具体的な錯体は、配位子がC
l、CN、NO2のものが記載されているが、本発明で
効果のある有機配位子、特に複素環よりなる配位子は全
く記載されていない。本発明における錯体は、金属原子
の配位数の半分を超える数の複素環化合物を配位子とし
て有することが好ましく、特に、5員もしくは6員の含
窒素複素環化合物を配位子として有する金属錯体が好ま
しい。
【0024】また、本発明で用いる錯体としては、金属
原子の配位数の半分を超える数の、電荷をもたず、か
つ、中心金属以外の金属または金属イオンと配位結合を
形成しない有機化合物(配位子が多座配位子の場合は、
中心金属の配位数の半分を超える数の配位原子が、電荷
をもたず、かつ、中心金属以外の金属または金属イオン
と配位結合を形成しない有機化合物)を配位子として有
する金属錯体を用いることが好ましい。本発明において
有機化合物とは、鎖式または環式の炭化水素を母体構造
とするか、またはその母体構造の一部の炭素または水素
原子が他の原子または原子団によって置き換えられた化
合物を指す。前述の様に配位子場効果の大きさを考える
と、錯体の配位子としての有機化合物として好ましくは
芳香族化合物もしくは複素環化合物である。芳香族化合
物としては隣り合った2つの炭素原子にそれぞれ配位サ
イトとなる置換基を持った化合物が好ましく、これらの
例として、1,2-ジメトキシベンゼン、カテコール、(+/
-)-ハイドロベンゾイン、1,2-ベンゼンジチオール、2-
アミノフェノール、o-アニシジン、1,2-フェニレンジア
ミン、2-ニトロナフトール、2-ニトロアニリン、1,2-ジ
ニトロベンゼンが挙げられる。また、隣り合う2つの炭
素原子に配位サイトとなる置換基が芳香環に結合した化
合物ではないが、配位部位(配位サイト)となる2つの
置換基が一つの金属に配位できる距離にある芳香族化合
物も好ましく、ジフェニルジケトン、1,8-ジニトロナフ
タレン、1,8-ナフタレンジオール等が具体的化合物とし
て挙げられる。ここで挙げた芳香族化合物は2座配位子
の好ましい例となる。単座で配位する複素環化合物とし
ては、ヘテロ原子として酸素原子、硫黄原子、セレン原
子、テルル原子、窒素原子を配位子中に持っていること
が好ましく、燐原子を持っていることも好ましい。2座
または3座で金属または金属イオンに配位する複素環化
合物としては、これらの単座で配位する複素環化合物が
連結した環集合複素環化合物であることが好ましい。具
体的な単座配位子の好ましい例は、フラン、チオフェニ
ン、2H-ピロール、ピラン、ピリジン、及びこれらの誘
導体である。2座配位子として好ましくは上記単座配位
子として好ましい化合物が連結した化合物であり、特
に、2,2’-ビチオフェン及びその誘導体が好ましい。ま
た、これらの2座配位子の骨格に縮合環を伴った2,2’-
ビキノリン、1,10-フェナンスロリン、及びそれらの誘
導体も好ましい。さらに、3座配位子として好ましくは
2,2’:5’,2”-ターチオフェン、2,2’:5’,2”-ターピ
リジン、及びそれらの誘導体である。これらの誘導体中
の置換基としては金属イオンと相互作用しないものが好
ましいが、金属に配位できる置換基を持った場合でも、
置換基内のドナー原子が中心金属に配位し、配位子全体
として2座配位子もしくは3座配位子となることが出来
るものはまた好ましいと言える。置換基として具体的に
好ましくは、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基
(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル
基、n-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、オクチル
基、2-エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル
基、t-オクチル基、イソデシル基、イソステアリル基、
ドデシルオキシプロピル基、トリフルオロメチル基
等)、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、シ
クロアルキル基(シクロヘキシル基、4-t-ブチルシクロ
ヘキシル基等)、置換もしくは非置換アリール基(フェニ
ル基、p-トリル基、p-アニシル基、p-クロロフェニル
基、4-t-ブチルフェニル基、2, 4-ジ-t-アミノフェニル
基等)、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シア
ノ基、メルカプト基、ヒドキシ基、アルコキシ基(メト
キシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、ドデシルオ
キシ基、2-エチルヘキシルオキシ基等)、アリールオキ
シ基(フェノキシ基、p-トリルオキシ基、4-t-ブチルフ
ェノキシ基等)、アルキルチオ基、アリールチオ基、ア
シルオキシ基、スルホニルオキシ基、置換もしくは非置
換アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミ
ノ基、アニリノ基、N-メチルアニリノ基等)、アシル基
(ホルミル基、アセチル基等)である。また、ここで、こ
れらの分子中で隣接する置換基は、閉環して飽和炭素
環、芳香族炭素環またはヘテロ芳香環を形成してもよ
い。但し、本発明においては、以上に挙げた骨格及び置
換基で構成される錯体中の配位子は、錯形成時にも電荷
を持たずかつ中心金属以外の金属または金属イオンと相
互作用することのない有機化合物に限る。
【0025】本発明において金属錯体の中心金属として
は特に制限はないが、J. Phys.: Condens. Matter 9 (1
997) 3227-3240 をはじめとする多くの文献や特許に記
載される様に、6配位八面体錯体がドーパントとしてハ
ロゲン化銀粒子に組み込まれる時には、ハロゲン化銀粒
子中の[AgX6]5- (X- = ハロゲンイオン) を一つのユニ
ットとして粒子の一部とドーパントが置き換わると考え
ると、金属周りの配位構造が4配位構造をとるもの、ま
たは、6配位構造をとるものが好ましい。より好ましく
は、金属または金属イオンが不対電子を持たないもの、
もしくは、金属のd軌道が配位子場分裂を起こした時に
安定化した軌道が全て電子で満たされているものが好ま
しい。具体的に好ましくは、アルカリ土類金属、鉄、ル
テニウム、マンガン、コバルト、ロジウム、イリジウ
ム、銅、ニッケル、パラジウム、白金、金、亜鉛、チタ
ン、クロム、オスミウム、カドミウム、水銀の各金属イ
オンであり、中でも特に好ましくは、鉄、ルテニウム、
マンガン、コバルト、ロジウム、イリジウム、チタン、
クロム、オスミウムであり、最も好ましくは鉄、ルテニ
ウム、コバルトの各イオンである。
【0026】以下に本発明で用いることのできる錯体の
具体例(請求項8で規定する金属錯体に該当するもの)
を示すが、発明の化合物はこれらに限定されるものでは
ない。
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】ドープする錯体分子が陽イオンで、陰イオ
ンと塩を成した時には、その対陰イオンとしては、水に
溶解しやすくハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合してい
るものが好ましい。具体的にはハロゲンイオン、硝酸イ
オン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、
ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イ
オン、ヘキサフルオロケイ酸イオン、トリフルオロメタ
ンスルホン酸を用いることが好ましい。なお、対陰イオ
ンとして、シアノイオン、チオシアノイオン、亜硝酸イ
オン、しゅう酸イオン等の配位性の強い陰イオンを用い
ると、錯体の配位子と配位子交換反応を起こし本発明の
錯体の組成及び構造を保持出来ない可能性があるため、
これらの陰イオンを用いることは好ましくない。
【0031】また、本発明においては、配位子として少
なくとも一つの化合物が2つ以上の金属イオンに同時に
配位することが出来る化合物を有する錯体を用いること
も好ましい。ここで、「2つ以上の金属イオン」とは、
1つが金属錯体の中心金属または中心金属イオンであ
り、他はそれ以外の金属イオンである。この目的のため
に、配位子に導入されるAg+イオンと相互作用(錯形成)
出来る原子または置換基はComprehensive Coordination
Chemistry, Vol. 5, 775-851やCoord. Chem. Rev., 35
(1981)253、45(1982)307、67(1985)297、115(1992)14
1、131(1994)1、および、146 Part 1 (1996) 211に記載
されている様に、アルコール、カルボン酸、過オキシ
酸、スルホン酸、スルフィン酸、イソシアン酸、ヒドロ
ペルオキシド、アミドカルボン酸、アミン、イミン、ヒ
ドラジン、ケトン、アルデヒド、エーテル、エステル、
ペルオキシド、酸無水物、酸ハロゲン化物、アミド、ヒ
ドラジド、イミド、ニトリル、シアン酸エステル、チオ
シアン酸エステル、ニトロ基、ニトロソ基、硝酸アルキ
ル、亜硝酸アルキル、アシルアミン、ニトリルオキシ
ド、ヒドロキシルアミン、アゾ基、アゾメチン、オキシ
ム、ホスフィン、ヒ素、アンチモン等、多岐に渡る。こ
のうち無電荷であることが好ましいと考えると、アミ
ン、イミン、ヒドラジン、ケトン、アルデヒド、エーテ
ル、エステル、ペルオキシド、酸無水物、酸ハロゲン化
物、アミド、ヒドラジド、イミド、ニトリル、シアン酸
エステル、チオシアン酸エステル、ニトロ基、ニトロソ
基、硝酸アルキル、亜硝酸アルキル、アシルアミン、ま
たは、ニトリルオキシドを置換基とすることが好まし
い。また、前述の様に配位子の大きさが錯体分子を取り
込む際の障害になりにくくするためには、配位子として
は分子サイズが小さい化合物、即ち、5員環もしくは6
員環の複素環化合物であることが好ましい。合成上の利
点や分子設計上の利点から、全ての配位サイトに同じ化
合物を配位子として持つ錯体を好ましいが、ドープする
錯体を少しでもハロゲン化銀粒子の環境に近づけるため
には1つないしは2つのハロゲンイオンを配位子として
用いることも好ましい。また、錯体の電子状態と銀イオ
ンとの相互作用を同時に考え、2,2’:6’,2”−ターピ
リジンと、銀イオンと相互作用出来る部位を持った配位
子を同時に用いることも好ましい。
【0032】銀イオンと相互作用する配位子としては骨
格自身に相互作用するサイトを持ったものが最も好まし
い。具体的に好ましくは、オキサゾリン、オキサゾー
ル、イソオキサゾール、チアゾリン、チアゾール、イソ
チアゾール、チアジアゾール、フラザン、ピリダジン、
ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジアジン、
チアジアジン、および、ジチアジンであり、特に好まし
くはオキサゾール、チアゾール、ピラジンである。これ
らの化合物はその環の中で2つの配位可能な原子が向か
い合って存在するため、ドープされた時には最もAg+
相互作用しやすい構造を持つ錯体となることが予測され
るため好ましい化合物であると言える。また、それらの
誘導体を配位子とすることも好ましい。その誘導体中の
置換基としては、水素原子、置換もしくは非置換アルキ
ル基(メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピ
ル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、オクチル
基、2-エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル
基、t-オクチル基、イソデシル基、イソステアリル基、
ドデシルオキシプロピル基、トリフルオロメチル基、メ
タンスルホニルアミノメチル基等)、アルケニル基、ア
ルキニル基、アラルキル基、シクロアルキル基(シクロ
ヘキシル基、4-t-ブチルシクロヘキシル基等)、置換も
しくは非置換アリール基(フェニル基、p-トリル基、p-
アニシル基、p-クロロフェニル基、4-t-ブチルフェニル
基、2, 4-ジ-t-アミノフェニル基等)、ハロゲン(フッ
素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基、ニトロ基、メル
カプト基、ヒドキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、ブ
トキシ基、メトキシエトキシ基、ドデシルオキシ基、2-
エチルヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノ
キシ基、p-トリルオキシ基、p-クロロフェノキシ基、4-
t-ブチルフェノキシ基等)、アルキルチオ基、アリール
チオ基、アシルオキシ基、スルホニルオキシ基、置換も
しくは非置換アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、ジ
メチルアミノ基、アニリノ基、N-メチルアニリノ基
等)、アンモニオ基、カルボンアミド基、スルホンアミ
ド基、オキシカルボニルアミノ基、オキシスルホニルア
ミノ基、置換ウレイド基(3-メチルウレイド基、3-フェ
ニルウレイド基、3,3-ジブチルウレイド基等)、チオウ
レイド基、アシル基(ホルミル基、アセチル基等)、オキ
シカルボニル基、置換もしくは非置換カルバモイル基
(エチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ド
デシルオキシプロピルカルバモイル基、3-(2,4-ジ-t-ア
ミノフェノキシ)プロピルカルバモイル基、ピペリジノ
カルボニル基、モルホリノカルボニル基等)、チオカル
ボニル基、チオカルバモイル基、スルホニル基、スルフ
ィニル基、オキシスルホニル基、スルファモイル基、ス
ルフィノ基、スルファノ基、カルボン酸またはその塩、
スルホン酸またはその塩、ホスホン酸またはその塩であ
ることが好ましい。また、置換基同士が閉環して飽和炭
素環、芳香族炭素環またはヘテロ芳香環を形成してもよ
い。
【0033】銀イオンと相互作用する配位子としては骨
格自身には相互作用するサイトを持たずに置換基のみに
相互作用するサイトを持つものも好ましい。これらの化
合物において具体的に好ましい基本骨格はフラン環、チ
オフェン環、ピリジン環、および/またはベンゼン環を
含む構造であり、この時相互作用するサイトとして好ま
しい置換基は、アミン、イミン、ヒドラジン、ケトン、
アルデヒド、エーテル、エステル、ペルオキシド、酸無
水物、酸ハロゲン化物、アミド、ヒドラジド、イミド、
ニトリル、シアン酸エステルもしくはチオシアン酸エス
テルの残基、ニトロ基、ニトロソ基、硝酸アルキル、亜
硝酸アルキル、アシルアミンの残基、または、ニトリル
オキシドの残基である。
【0034】この種の錯体の中心金属としては特に制限
はないが、金属周りの配位構造が4配位構造をとるも
の、または、6配位構造をとるものが好ましい。より好
ましくは、金属または金属イオンが不対電子を持たない
もの、もしくは、金属のd軌道が配位子場分裂を起こし
た時に安定化した軌道が全て電子で満たされているもの
であり、中でも+2価の金属イオンであることがさらに
好ましい。特に好ましくは、アルカリ土類金属、鉄(I
I)、ルテニウム(II)、オスミウム(II)、亜鉛、カドミウ
ム、水銀の各金属イオンを用いることが好ましく、これ
らの中でもマグネシウム、鉄(II)、ルテニウム(II)、亜
鉛の各金属イオンを用いることが最も好ましい。上記
の、2つ以上の金属イオンに同時に配位できる化合物を
有する金属錯体は、上記一般式A、一般式Bまたは一般
式Cで表わすことができ、式中のL、L’、L”、M、
Xの具体例としては、後記の錯体の具体例中のL、
L’、L”、M、Xが挙げられる。
【0035】以下に本発明において用いることのできる
錯体(請求項9で規定する金属錯体に該当するもの)の
具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。また、ここに挙げた具体例では、配位子としてい
ずれも複素環骨格のみの化合物を示してあるが、上に示
した置換基を配位子内に有することも出来る。
【0036】
【化12】
【0037】
【化13】
【0038】
【化14】
【0039】上記の種類の錯体分子が陽イオンとなり陰
イオンと塩を成した時、その対陰イオンとしては、水に
溶解しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合して
いるハロゲンイオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、テ
トラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオ
ン、テトラフェニルホウ酸イオン、ヘキサフルオロケイ
酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸等を用いるこ
とが好ましい。なお、対陰イオンとして、シアノイオ
ン、チオシアノイオン、亜硝酸イオン、しゅう酸イオン
等の配位性の強い陰イオンを用いると、錯体の配位子と
配位子交換反応を起こし本発明の錯体の組成及び構造を
保持出来ない可能性があるため、これらの陰イオンを用
いることは好ましくない。
【0040】反対に錯体分子が陰イオンとなり陽イオン
と塩を成した時、その対陽イオンとしては、水に溶解し
やすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合しているナ
トリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、
セシウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウム
イオン、4級アルキルアンモニウムイオンを用いること
が好ましい。4級アルキルアンモニウムのアルキル基と
しては、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピ
ル基、n-ブチル基であることが好ましく、中でも4つの
置換基がすべて等しいテトラメチルアンモニウムイオ
ン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピル
アンモニウムイオンおよびテトラ(n-ブチル)アンモニウ
ムイオンが好ましい。また、配位子として用いた化合物
にH+イオンを付加させカチオンとしたものを対陽イオン
とすることも好ましい。
【0041】さらに、本発明においては、金属原子の配
位数の半分を超える数の、負電荷を持つことが可能であ
る部位を有する有機化合物を配位子として有する金属錯
体を用いることも好ましい。ここで、「負電荷を持つこ
とが可能である部位」とは、アニオンとして配位する原
子または原子団を意味している。6配位八面体錯体がド
ーパントとしてハロゲン化銀粒子に組み込まれる時に
は、J. Phys.: Condens. Matter 9 (1997) 3227-3240
をはじめとする多くの文献や特許に記載される様に、ハ
ロゲン化銀粒子中の[AgX6]5- (X- = ハロゲンイオン)
を一つのユニットとして粒子の一部とドーパントが置き
換わるとされている。従って、ドープする錯体の分子サ
イズが大きくなり過ぎるとドーパントには適さなくなる
ことが予測され、また、ドープする錯体の電荷が-5価か
ら離れる程、この置き換えにおいては不利になると考え
られる。分子モデルによる考察からは、ドープされる錯
体が5員環あるいは6員環の化合物を配位子とする場合
には、取り込まれた錯体分子周辺の粒子構造が歪むか、
もしくは[AgBr6]5-に隣接するAg+がさらに置き換わるこ
とで錯体分子が粒子内に取り込まれることが可能になる
と考えられる。一方、ドーパントに用いる錯体につい
て、ハロゲン化銀粒子中のNaCl型の結晶構造に出来る限
り近い状況で錯体分子をハロゲン化銀粒子中に組み込む
ためには、錯体中の配位子には負の電荷を持たせること
が好ましく、少なくとも負の電荷を持つ可能性のある部
位を分子内に持った化合物を配位子と用いることが好ま
しい。これらのことから配位子として好ましくは、分子
サイズが小さく化合物が負電荷を持つことが出来る5員
環もしくは6員環の複素環化合物である。さらにドープ
する錯体において置換される[AgX6]5-ユニットと可能な
限り同じ状況を作り出すためには配位子は-1価の電荷を
持っているか、少なくとも-1価の電荷を持つ可能性のあ
る部位を分子内に持っている化合物であることがより好
ましい。また、金属の配位サイトは全て複素環化合物で
占められた時に最高被占軌道と最低空軌道のエネルギー
ギャップが最も大きくなることから、錯体としては複素
環化合物のみを配位子とする錯体が最も好ましい。錯体
中の配位子は全て同一の化合物である必要はないが、合
成上の利点や分子設計上の利点からは、全ての配位サイ
トに同じ化合物を配位子として持つ錯体が好ましい。こ
れらのことから、過去に用いられた[Fe(EDTA)]2-や[Ir
(C2O4)3]3-より、上記の各錯体が好ましいと考えられ
る。
【0042】配位子として具体的に好ましくは、ピロー
ル、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラ
ゾールである様な脱H+により負電荷を持つことが出来る
化合物であり、その誘導体を配位子とすることも好まし
い。その誘導体中の置換基としては、水素原子、置換も
しくは非置換アルキル基(メチル基、エチル基、n-プロ
ピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ヘ
キシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ドデシル
基、ヘキサデシル基、t-オクチル基、イソデシル基、イ
ソステアリル基、ドデシルオキシプロピル基、トリフル
オロメチル基、メタンスルホニルアミノメチル基等)、
アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、シクロア
ルキル基(シクロヘキシル基、4-t-ブチルシクロヘキシ
ル基等)、置換もしくは非置換アリール基(フェニル基、
p-トリル基、p-アニシル基、p-クロロフェニル基、4-t-
ブチルフェニル基、2, 4-ジ-t-アミノフェニル基等)、
ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基、ニ
トロ基、メルカプト基、ヒドキシ基、アルコキシ基(メ
トキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、ドデシル
オキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基等)、アリールオ
キシ基(フェノキシ基、p-トリルオキシ基、p-クロロフ
ェノキシ基、4-t-ブチルフェノキシ基等)、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、スルホニルオ
キシ基、置換もしくは非置換アミノ基(アミノ基、メチ
ルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N-メチル
アニリノ基等)、アンモニオ基、カルボンアミド基、ス
ルホンアミド基、オキシカルボニルアミノ基、オキシス
ルホニルアミノ基、置換ウレイド基(3-メチルウレイド
基、3-フェニルウレイド基、3,3-ジブチルウレイド基
等)、チオウレイド基、アシル基(ホルミル基、アセチル
基等)、オキシカルボニル基、置換もしくは非置換カル
バモイル基(エチルカルバモイル基、ジブチルカルバモ
イル基、ドデシルオキシプロピルカルバモイル基、3-
(2,4-ジ-t-アミノフェノキシ)プロピルカルバモイル
基、ピペリジノカルボニル基、モルホリノカルボニル基
等)、チオカルボニル基、チオカルバモイル基、スルホ
ニル基、スルフィニル基、オキシスルホニル基、スルフ
ァモイル基、スルフィノ基、スルファノ基、カルボン酸
またはその塩、スルホン酸またはその塩、ホスホン酸ま
たはその塩であることが好ましく、これらの隣り合う置
換基が閉環して飽和炭素環、芳香族炭素環またはヘテロ
芳香環を形成した化合物も好ましく用いることができ
る。また、これら骨格をなすピロール、ピラゾール、イ
ミダゾール、トリアゾール、テトラゾールが幾つか連結
し、金属イオンに2座あるいは3座で配位出来るように
なった化合物も好ましい。中でも2,2”−ビイミダゾー
ルおよびその誘導体は最も好ましい。さらに配位子とし
ては、基本骨格をなす環の一部に負電荷を持たない化合
物でも、その置換基中に負電荷を持つ部位が存在すれば
好ましい化合物である。この場合も前述のように配位子
場効果を考えると配位原子の周囲は芳香族性を持つこと
が好ましいと考えられ、フラン、チオフェン、ピラン、
ピリジン、2,2’-ビチオフェン、および2,2’:6’,2”
−ターピリジンを骨格とした化合物が好ましく、その置
換基としてはアルコール、カルボン酸、過オキシ酸、ス
ルホン酸、スルフィン酸、スルフェン酸、ニトロ基、イ
ソシアン化物、ヒドロペルオキシド、アミドカルボン
酸、アゾキシ基、アゾヒドロキシド、ヒドロキシルアミ
ン、オキシムから選ばれる置換基が好ましい。
【0043】この種の錯体の中心金属としては特に制限
はないが、金属周りの配位構造が4配位構造をとるも
の、または、6配位構造をとるものが好ましく、金属ま
たは金属イオンが不対電子を持たないもの、もしくは、
金属のd軌道が配位子場分裂を起こした時、安定化した
軌道が全て電子で満たされているものが好ましい。中で
も+2価の金属イオンが好ましい。特に好ましくは、ア
ルカリ土類金属、鉄(II)、ルテニウム(II)、オスミウム
(II)、亜鉛、カドミウム、水銀の各金属イオンを用いる
ことが好ましく、これらの中でもマグネシウム、鉄(I
I)、ルテニウム(II)、亜鉛の各金属イオンを用いること
が最も好ましい。
【0044】以下に本発明で用いることのできる錯体
(請求項10で規定する金属錯体に該当するもの)の具
体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、以下に挙げる化合物の中には、請求項10以
外の請求項で規定する金属錯体にも該当するものも含ま
れる。(例えばフラン環、チオフェン環、ピリジン環及
び/又はベンゼン環を有しており、かつ、銀イオンと相
互作用するサイトとして挙げたものを置換基として有す
る化合物は、請求項9で規定する金属錯体にも該当す
る。)
【0045】
【化15】
【0046】
【化16】
【0047】
【化17】
【0048】本発明において、好ましく用いる各配位子
では、H+が付加した状態にあっても、脱H+した状態であ
ってもよい。
【0049】この種の錯体分子は水溶液中で対イオンと
完全に解離し、陰イオンまたは陽イオンの形態で存在す
るため、写真性能の上で対イオンは重要ではない。錯体
分子が陰イオンとなり陽イオンと塩を成した時、その対
陽イオンとしては、水に溶解しやすく、ハロゲン化銀乳
剤の沈澱操作に適合しているナトリウムイオン、カリウ
ムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン等のアル
カリ金属イオン、アンモニウムイオン、4級アルキルア
ンモニウムイオンを用いることが好ましい。4級アルキ
ルアンモニウムのアルキル基としては、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基である
ことが好ましく、中でも4つの置換基がすべて等しいテ
トラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニ
ウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオンおよび
テトラ(n-ブチル)アンモニウムイオンが好ましい。ま
た、配位子として用いた化合物にH+イオンを付加させカ
チオンとしたものを対陽イオンとすることも好ましい。
【0050】この種の錯体分子が陽イオンとなり陰イオ
ンと塩を成した時、その対陰イオンとしては、水に溶解
しやすく、ハロゲン化銀乳剤の沈澱操作に適合している
ハロゲンイオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、テトラ
フルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、
テトラフェニルホウ酸イオン、ヘキサフルオロケイ酸イ
オン、トリフルオロメタンスルホン酸等を用いることが
好ましい。なお、対陰イオンとして、シアノイオン、チ
オシアノイオン、亜硝酸イオン、しゅう酸イオン等の配
位性の強い陰イオンを用いると、錯体の配位子として用
いているハロゲンイオンと配位子交換反応を起こし本発
明の錯体の組成及び構造を保持出来ない可能性が高いの
で、これらの陰イオンを用いることは好ましくない。
【0051】本発明で好ましく用いられる高アスペクト
比平板の使用技術および特性については、米国特許第4
433048号、同第4434226号、同第4439
520号等に開示されている。さらに、粒子厚みが0.
07μmよりも薄い超高アスペクト比平板粒子の技術が
米国特許第5494789号、同第5503970号、
同第5503971号、同第5536632号、欧州特
許第0699945号、同第0699950号、同第0
699948号、同第0699944号、同第0701
165号および同第0699946号等に開示されてい
る。粒子厚みの薄い高アスペクト比平板状粒子を調製す
るには、核形成時のバインダー濃度、温度、pH、過剰
ハロゲンイオン種、同イオン濃度、さらには反応液の供
給速度などを制御することが重要である。形成された平
板核の成長を、厚み方向ではなく、平板の周縁方向に選
択的に行わせるには、粒子成長のための反応液の添加速
度を制御すると同時に、粒子形成時から成長過程におけ
るバインダーとして最適なものを選択していくことも重
要である。このためには、メチオニン含有量の低いゼラ
チンや、アミノ基をフタル酸や、トリメリト酸、あるい
はピロメリト酸などで修飾したゼラチンが有利である。
【0052】本発明に使用し得るハロゲン化銀は、粒子
中に臭化銀10%以上の相を有するものであれば、沃臭
化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、塩臭化銀のいずれをも用い
ることができる。これらの組成は、感光性ハロゲン化銀
に付与すべき特性に応じて選択される。本発明において
は、様々な形状のハロゲン化銀粒子を用いることができ
るが、これらの粒子の粒子サイズ分布は単分散であるこ
とが好ましい。本発明で好ましく用いられるハロゲン化
銀乳剤は、粒子サイズ分布の変動係数で40%以下であ
ることが好ましい。さらに、30%以下であることが好
ましく、20%以下であることが最も好ましい。また、
用いるハロゲン化銀粒子が平板状の形状の場合、粒子厚
みの分布も変動係数が小さいことが好ましい。このとき
にも変動係数で40%以下であることが好ましい。さら
に、30%以下であることが好ましく、20%以下であ
ることが最も好ましい。ハロゲン化銀粒子は、上記のよ
うな形状を工夫する以外に、粒子中に様々な構造を有す
るように調製される。常用されるのは、粒子をハロゲン
組成の異なる複数の層状に構成する方法である。撮影材
料用に用いられる沃臭化銀粒子では、沃度含有量の異な
る層を設けることが好ましい。現像性を制御する目的で
沃度含有率の高い層を核に、沃度含有率の低い殻で覆う
所謂内部高沃度型コアシェル粒子が知られている。ま
た、これとは逆に、沃度含有率の高い殻で覆った、外部
高沃度型のコアシェル粒子も知られている。これは、平
板状粒子の粒子厚みが小さくなったときに形状の安定性
を高めるのに有効である。本発明においては、上記のよ
うな種々のホスト粒子表面に、エピタキシャル突起部を
沈積させて用いることができる。
【0053】本発明のハロゲン化銀粒子中には、本発明
の金属錯体ドーパントと併用して、各種の遷移金属元素
などの多価金属イオンをドープすることが好ましい。こ
れらの多価金属イオンは、粒子形成中にハロゲン化物や
硝酸塩などの形で導入することもできるが、多価金属イ
オンを中心金属とする金属錯体(ハロゲノ錯体、アンミ
ン錯体、シアノ錯体、ニトロシル錯体等)の形で導入す
ることが好ましい。本発明において好ましく併用される
金属錯体は、第一、第二あるいは第三遷移系列に属する
金属イオンにシアン化物イオン等の分光化学系列上d軌
道を大きく分裂させることのできる配位子が配位した錯
体である。これらの錯体の配位形式は、6個の配位子が
八面体型に配位した6配位錯体で、そのうちシアンリガ
ンドの数が4個以上であることが好ましい。好ましい中
心遷移金属としては、鉄、コバルト、ルテニウム、レニ
ウム、オスミウム、イリジウムを挙げることができる。
これらの金属イオンの6個の配位子が全てシアンリガン
ドでない場合には、残りの配位子はフッ化物、塩化物あ
るいは臭化物イオン等のハライドイオン、SCN、NC
S、H2O等の無機配位子、さらにはピリジン、フェナ
ントロリン、イミダゾール、ピラゾール等の有機配位子
から選んで用いることができる。本発明の乳剤には、上
述の金属錯体の他に、ハライドイオンあるいはチオシア
ン酸イオンを配位子とするルテニウム、ロジウム、パラ
ジウムあるいはイリジウムからなる錯体、ニトロシル配
位子を1個以上有するルテニウムからなる錯体、シアン
化物イオン配位子を有するクロムからなる錯体、等を好
ましく併用できる。本発明のハロゲン化銀粒子には、既
に述べた金属錯体以外に硫黄、セレン、テルルのような
所謂カルコゲン元素の2価のアニオンをドープすること
も好ましく行われる。これらのドーパントもまた、高感
度を得たり、露光条件依存性を改良するのに有効であ
る。
【0054】本発明のハロゲン化銀粒子の調製法につい
ては、公知の方法、すなわち、グラフキデ著「写真の物
理と化学」、ポールモンテ社刊(P.Glafkide
s,Chimie et Phisique Phot
ographique,Paul Montel,19
67)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレ
ス社刊(G.F.Duffin,Photograph
ic Emulsion Chemistry,Foc
al Press,1966)、ゼリクマンら著「写真
乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.
Zelikman et al.,Making an
d Coating of Photographic
Emulsion,Focal Press,196
4)等に記載の方法を基本に行うことができる。すなわ
ち、酸性法、中性法、アンモニア法等の種々のpH領域
で調製することができる。また、反応液である水溶性銀
塩と水溶性ハロゲン塩溶液の供給方法として、片側混合
法や同時混合法等を単独あるいは組み合わせて用いるこ
とができる。さらに、反応中のpAgを目標値に保つよ
うに反応液の添加を制御するコントロールドダブルジェ
ット法を用いることも好ましい。また、反応中のpH値
を一定に保つ方法も用いられる。粒子形成に際しては、
系の温度、pHあるいはpAg値を変えてハロゲン化銀
の溶解度を制御する方法を用いることもできるが、チオ
エーテルやチオ尿素類、ロダン塩等を溶剤として用いる
こともできる。これらの例は、特公昭47−11386
号、特開昭53−144319号明細書等に記載されて
いる。本発明のハロゲン化銀粒子の調製は、通常、ゼラ
チンのような水溶性バインダー水溶液中に硝酸銀等の水
溶性銀塩溶液と、ハロゲン化アルカリ等の水溶性ハロゲ
ン塩溶液とを制御された条件で供給することで行われ
る。ハロゲン化銀粒子形成後、過剰の水溶性塩類を除去
することが好ましい。これは例えば、ハロゲン化銀粒子
を含むゼラチン溶液をゲル化、ひも状に裁断し、冷水で
水溶性塩を洗い流すヌーデル水洗法や、多価アニオンよ
りなる無機塩類(例えば硫酸ナトリウム)、アニオン性
界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えばポリスチレン
スルホン酸ナトリウム)、あるいはゼラチン誘導体(例
えば脂肪族アシル化ゼラチン、芳香族アシル化ゼラチ
ン、芳香族カルバモイル化ゼラチンなど)などを添加し
てゼラチンを凝集させて過剰塩類を除去する沈降法を用
いても良い。沈降法を用いた場合には過剰塩類の除去が
迅速に行われ、好ましい。
【0055】本発明には、通常、一般的に知られている
増感法を単独にあるいは種々組み合わせて化学増感を施
したハロゲン化銀乳剤を用いることが好ましい。化学増
感は、調製されたハロゲン化銀粒子に高感度を付与し、
露光条件安定性や保存安定性を付与するのに寄与する。
化学増感法として、硫黄、セレンあるいはテルル化合物
を用いるカルコゲン増感法が好ましく用いられる。これ
らの増感剤としては、ハロゲン化銀乳剤に添加された際
に、上記のカルコゲン元素を放出して銀カルコゲナイド
を形成する化合物が用いられる。さらに、これらを併用
することも、高感度を得、カブリを低く押さえる上で好
ましい。また、金、白金、イリジウム等を用いる貴金属
増感法も好ましい。特に、塩化金酸を単独に、あるいは
金のリガンドとなるチオシアン酸イオン等と併用して用
いる金増感法は、高感度が得られる。金増感とカルコゲ
ン増感を併用すると、さらに高感度を得ることができ
る。また、粒子形成中に適度な還元性を有する化合物を
用いて、還元性の銀核を導入することで高感度を得る、
所謂還元増感法も好ましく用いられる。芳香環を有する
アルキニルアミン化合物を化学増感時に添加して行う還
元増感法も好ましい。化学増感を行う際に、ハロゲン化
銀粒子に吸着性を有する種々の化合物を用いてその反応
性を制御することも好ましい。カルコゲン増感や金増感
に先立って、含窒素複素環化合物やメルカプト化合物、
シアニンやメロシアニン類の増感色素類を添加する方法
が特に好ましい。化学増感を施す際の反応条件は目的に
応じて異なるが、温度は30℃〜95℃、好ましくは4
0℃〜75℃、pHは5.0〜11.0、好ましくは
5.5〜8.5、pAgは6.0〜10.5、好ましく
は6.5〜9.8である。化学増感技術については、特
開平3−110555号、特開平5−241267号、
特開昭62−253159号、特開平5−45833
号、特開昭62−40446号明細書等に記載されてい
る。化学増感工程において、エピタキシャル突起部を形
成することも好ましい。本発明では、感光性ハロゲン化
銀乳剤に所望の光波長域に感度を付与する、所謂分光増
感を施すことが好ましい。特に、カラー写真感光材料で
は、オリジナルに忠実な色再現を行うため、青、緑、赤
に感光性を有する感光性層が組み込まれている。これら
の感光性は、ハロゲン化銀を所謂分光増感色素により分
光増感することで付与される。これらの色素の例として
は、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色
素、複合メロシアニン色素、ホロポーラー色素、ヘミシ
アニン色素、スチリル色素あるいはヘミオキソノール色
素等を挙げることができる。これらの例は、米国特許第
4617257号、特開昭59−180550号、同6
4−13546号、特開平5−45828号、同5−4
5834号明細書等に記載されている。分光増感色素
は、単独で用いられる他に、複数種の色素を併用して用
いられる。これは、分光感度の波長分布の調節や、強色
増感の目的で行われる。強色増感作用を呈する色素の組
合せでは、単独で達成できる感度の和を大きく超える感
度を得ることができる。
【0056】また、それ自身では分光増感作用を持たな
い色素、あるいは可視光を実質的に吸収しない化合物で
あって、強色増感作用を呈する化合物を併用することも
好ましい。ジアミノスチルベン化合物類などを強色増感
剤の例として挙げることができる。これらの例として
は、米国特許第3615641号、特開昭63−231
45号明細書等に記載されている。これらの分光増感色
素や強色増感剤のハロゲン化銀乳剤への添加は、乳剤調
製のいかなる時期でも良い。化学増感の終了した乳剤に
塗布液調製時に添加する、化学増感終了時に添加する、
化学増感途中に添加する、化学増感に先立って添加す
る、粒子形成終了後脱塩前に添加する、粒子形成中に添
加する、あるいは粒子形成に先立って添加するなどの種
々の方法を単独あるいは組み合わせて用いることができ
る。化学増感よりも前の工程で添加するのが、高感度を
得るのに好ましい。分光増感色素や強色増感剤の添加量
は、粒子の形状や粒子サイズあるいは付与したい写真特
性によって多岐にわたるが、概ねハロゲン化銀1モル当
たり10-8〜10-1モル、好ましくは10-5〜10-2
ルの範囲である。これらの化合物は、メタノールやフッ
素アルコール等の有機溶媒溶液として、あるいは界面活
性剤やゼラチンとの水中分散物で添加できる。ハロゲン
化銀乳剤には、カブリを防止したり、保存時の安定性を
高める目的で種々の安定剤を添加することが好ましい。
好ましい安定剤としては、アザインデン類、トリアゾー
ル類、テトラゾール類、プリン類等の含窒素複素環化合
物類、メルカプトテトラゾール類、メルカプトトリアゾ
ール類、メルカプトイミダゾール類、メルカプトチアジ
アゾール類等のメルカプト化合物類等を挙げることがで
きる。これらの化合物の詳細は、ジェームズ著「写真過
程の理論」、マクミラン社刊(T.H.James,T
he Theory of the Photogra
phic Process,Macmillan,19
77)第396頁〜399頁およびその引用文献に記載
されている。
【0057】本発明では、これらのカブリ防止剤の中で
も、炭素原子数4以上のアルキル基や、複数の芳香族基
を置換基として有するメルカプトアゾール類を特に好ま
しく用いることができる。これらのカブリ防止剤あるい
は安定剤のハロゲン化銀乳剤への添加は、乳剤調製のい
かなる時期でも良い。化学増感終了後塗布液調製時、化
学増感終了時、化学増感途中、化学増感前、粒子形成終
了後脱塩前、粒子形成中、あるいは粒子形成に先立って
添加するなどの種々の方法を単独あるいは組み合わせて
用いることができる。これらのカブリ防止剤あるいは安
定剤の添加量はハロゲン化銀乳剤のハロゲン組成や目的
に応じて多岐にわたるが、概ねハロゲン化銀1モル当た
り10-6〜10-1モル、好ましくは10-5〜10-2モル
の範囲である。以上述べてきたような本発明の感光材料
に使用される写真用添加剤は、リサーチ・ディスクロー
ジャー誌(以下RDと略記)No17643(1978
年12月)、同No18716(1979年11月)お
よび同No307105(1989年11月)に記載さ
れており、その該当箇所を下記にまとめる。
【0058】 添加剤の種類 RD17643 RD18716 RD307105 化学増感剤 23頁 648頁右欄 866頁 感度上昇剤 648頁右欄 分光増感剤 23〜24頁 648頁右欄 866〜868頁 強色増感剤 〜649頁右欄 増白剤 24頁 648頁右欄 868頁 カブリ防止剤 24〜26頁 649頁右欄 868〜870頁 安定剤 光吸収剤 25〜26頁 649頁右欄 873頁 フィルター染料 〜650頁左欄 紫外線吸収剤 色素画像安定剤 25頁 650頁左欄 872頁 硬膜剤 26頁 651頁左欄 874〜875頁 バインダー 26頁 651頁左欄 873〜874頁 可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 876頁 塗布助剤 26〜27頁 650頁右欄 875〜876頁 界面活性剤 スタチック防止剤 27頁 650頁右欄 876〜877頁 マット剤 878〜879頁
【0059】本発明においては、感光性ハロゲン化銀と
共に、有機金属塩を酸化剤として併用することもでき
る。このような有機金属塩の中で、有機銀塩は、特に好
ましく用いられる。上記の有機銀塩酸化剤を形成するの
に使用し得る有機化合物としては、米国特許第4,50
0,626号第52〜53欄等に記載のベンゾトリアゾ
ール類、脂肪酸その他の化合物がある。また米国特許第
4,775,613号記載のアセチレン銀も有用であ
る。有機銀塩は、2種以上を併用してもよい。以上の有
機銀塩は、感光性ハロゲン化銀1モルあたり0.01〜
10モル、好ましくは0.01〜1モルを併用すること
ができる。
【0060】感光材料や構成層のバインダーには親水性
のものが好ましく用いられる。その例としては前述のリ
サーチ・ディスクロージャーおよび特開昭64−13,
546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたものが
挙げられる。具体的には、透明か半透明の親水性バイン
ダーが好ましく、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体等の
蛋白質またはセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、
デキストラン、プルラン等の多糖類のような天然化合物
とポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール
(例えば、(株)クラレ製の末端アルキル変成ポバール
MP103,MP203等)、ポリビニルピロリドン、
アクリルアミド重合体等の合成高分子化合物が挙げられ
る。また、米国特許第4,960,681号、特開昭6
2−245260号等に記載の高吸水性ポリマー、すな
わち−COOMまたは−SO3M(Mは水素原子または
アルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体ま
たはこのビニルモノマー同士もしくは他のビニルモノマ
ーとの共重合体(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタ
クリル酸アンモニウム、住友化学(株)製のスミカゲル
L−5H)も使用される。これらのバインダーは2種以
上組み合わせて用いることもできる。特にゼラチンと上
記バインダーの組み合わせが好ましい。またゼラチン
は、種々の目的に応じて石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラ
チン、カルシウムなどの含有量を減らしたいわゆる脱灰
ゼラチンから選択すれば良く、組み合わせて用いる事も
好ましい。本発明において、バインダーの塗布量は1〜
20g/m2、好ましくは2〜15g/m2、更に好まし
くは3〜12g/m2が適当である。この中でゼラチン
は50%〜100%、好ましくは70%〜100%の割
合で用いる。本発明の感光材料に現像主薬を内蔵せしめ
ることで、本発明の効果をさらに高めることができる。
内蔵させる現像主薬としては、前述の一般式(I)〜
(IV)で表される化合物を用いることが好ましい。
【0061】一般式(I)で表される化合物はスルホン
アミドフェノールと総称される化合物である。式中、R
1〜R4は各々水素原子、ハロゲン原子(例えばクロル
基、ブロム基)、アルキル基(例えばメチル基、エチル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基)、
アリール基(たとえばフェニル基、トリル基、キシリル
基)、アルキルカルボンアミド基(例えばアセチルアミ
ノ基、プロピオニルアミノ基、ブチロイルアミノ基)、
アリールカルボンアミド基(例えばベンゾイルアミノ
基)、アルキルスルホンアミド基(例えばメタンスルホ
ニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基)、アリール
スルホンアミド基(例えばベンゼンスルホニルアミノ
基、トルエンスルホニルアミノ基)、アルコキシ基(例
えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基)、アリール
オキシ基(例えばフェノキシ基)、アルキルチオ基(例
えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基)、ア
リールチオ基(例えばフェニルチオ基、トリルチオ
基)、アルキルカルバモイル基(例えばメチルカルバモ
イル基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル
基、ジエチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル
基、ピペリジルカルバモイル基、モルホリルカルバモイ
ル基)、アリールカルバモイル基(例えばフェニルカル
バモイル基、メチルフェニルカルバモイル基、エチルフ
ェニルカルバモイル基、ベンジルフェニルカルバモイル
基)、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基(例
えばメチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル
基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル
基、ジブチルスルファモイル基、ピペリジルスルファモ
イル基、モルホリルスルファモイル基)、アリールスル
ファモイル基(例えばフェニルスルファモイル基、メチ
ルフェニルスルファモイル基、エチルフェニルスルファ
モイル基、ベンジルフェニルスルファモイル基)、スル
ファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基(例え
ばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基)、アリー
ルスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基、4−ク
ロロフェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル
基)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボ
ニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル
基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシ
カルボニル基)、アルキルカルボニル基(例えばアセチ
ル基、プロピオニル基、ブチロイル基)、アリールカル
ボニル基(例えばベンゾイル基、アルキルベンゾイル
基)、またはアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ
基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ基)を表
す。R1〜R4の中で、R2およびR4は好ましくは水素原
子である。また、R1〜R4のハメット定数σp値の合計
は0以上となることが好ましい。
【0062】R5はアルキル基(例えばメチル基、エチ
ル基、ブチル基、オクチル基、ラウリル基、セチル基、
ステアリル基)、アリール基(例えばフェニル基、トリ
ル基、キシリル基、4−メトキシフェニル基、ドデシル
フェニル基、クロロフェニル基、トリクロロフェニル
基、ニトロクロロフェニル基、トリイソプロピルフェニ
ル基、4−ドデシルオキシフェニル基、3,5−ジ−
(メトキシカルボニル)フェニル基)、または複素環基
(例えばピリジル基)を表す。
【0063】一般式(II)で表される化合物はカルバモ
イルヒドラジンと総称される化合物である。また、一般
式(IV)で表される化合物はスルホニルヒドラジンと総
称される化合物である。
【0064】式中、Zは芳香環(複素芳香環も含む)を
形成する原子群を表す。Zによって形成される芳香環
は、上記化合物に銀現像活性を付与するため、十分に電
子吸引的であることが必要である。このため、含窒素芳
香環を形成するか、或いはベンゼン環に電子吸引性基を
導入したような芳香環が好ましく使用される。このよう
な芳香環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジ
ン環、キノリン環、キノキサリン環等が好ましい。
【0065】ベンゼン環の場合、その置換基としては、
アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、エ
タンスルホニル基)、ハロゲン原子(例えばクロル基、
ブロム基)、アルキルカルバモイル基(例えばメチルカ
ルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバ
モイル基、ジエチルカルバモイル基、ジブチルカルバモ
イル基、ピペリジルカルバモイル基、モルホリルカルバ
モイル基)、アリールカルバモイル基(例えばフェニル
カルバモイル基、メチルフェニルカルバモイル基、エチ
ルフェニルカルバモイル基、ベンジルフェニルカルバモ
イル基)、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基
(例えばメチルスルファモイル基、ジメチルスルファモ
イル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモ
イル基、ジブチルスルファモイル基、ピペリジルスルフ
ァモイル基、モルホリルスルファモイル基)、アリール
スルファモイル基(例えばフェニルスルファモイル基、
メチルフェニルスルファモイル基、エチルフェニルスル
ファモイル基、ベンジルフェニルスルファモイル基)、
スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基
(例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基)、
アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基、
4−クロロフェニルスルホニル基、p−トルエンスルホ
ニル基)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカ
ルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニ
ル基)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキ
シカルボニル基)、アルキルカルボニル基(例えばアセ
チル基、プロピオニル基、ブチロイル基)、またはアリ
ールカルボニル基(例えばベンゾイル基、アルキルベン
ゾイル基)等が挙げられるが、上記置換基のハメット定
数σ値の合計は1以上である。
【0066】一般式(III)で表される化合物はカルバ
モイルヒドラゾンと総称される化合物である。
【0067】式中、R6は置換または無置換のアルキル
基(例えばメチル基、エチル基)を表す。Xは酸素原
子、硫黄原子、セレン原子またはアルキル置換もしくは
アリール置換の3級窒素原子を表すが、アルキル置換の
3級窒素原子が好ましい。R7、R8は水素原子または置
換基を表し、R7、R8が互いに結合して2重結合または
環(置換または無置換のベンゼン環など)を形成しても
よい。
【0068】以下に、一般式(I)〜(IV)で表される
化合物の具体例を示すが、本発明はもちろんこれによっ
て限定されるものではない。
【0069】
【化18】
【0070】
【化19】
【0071】
【化20】
【0072】
【化21】
【0073】
【化22】
【0074】
【化23】
【0075】
【化24】
【0076】
【化25】
【0077】
【化26】
【0078】
【化27】
【0079】
【化28】
【0080】発色現像主薬は、上記の化合物を1種類も
しくは複数種類を組み合わせて用いる。各層で別々の現
像主薬を用いても良い。それらの現像主薬の総使用量は
0.05〜20mmol/m2、好ましくは0.1〜1
0mmol/m2である。本発明のカラー写真感光材料
において、カラー画像形成剤として従来公知のものを使
用しうるが、その代表例としてカプラーが挙げられる。
本発明で用いることのできるカプラーとは、発色現像主
薬の酸化体とカップリング反応し、色素を形成する化合
物である。本発明において、好ましく使用されるカプラ
ーとしては、活性メチレン、5−ピラゾロン、ピラゾロ
アゾール、フェノール、ナフトール、ピロロトリアゾー
ルと総称される化合物である。これらのカプラーはリサ
ーチ・ディスクロージャー(以下RDと略す) No.38957(19
96年9月),616〜624頁,”x.Dye image formersand
modifiers”に引用されているの化合物を好ましく使用
することができる。
【0081】これらのカプラーはいわゆる2当量カプラ
ーと4当量カプラーとに分けることができる。2当量カ
プラーのアニオン性離脱基として作用する基としては、
ハロゲン原子(例えばクロル基、ブロム基)、アルコキ
シ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)、アリールオキ
シ基(例えばフェノキシ基、4−シアノフェノキシ基、
4−アルコキシカルボニルフェニル基)、アルキルチオ
基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ
基)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ基、トリル
チオ基)、アルキルカルバモイル基(例えばメチルカル
バモイル基、ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモ
イル基、ジエチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイ
ル基、ピペリジルカルバモイル基、モルホリルカルバモ
イル基)、アリールカルバモイル基(例えばフェニルカ
ルバモイル基、メチルフェニルカルバモイル基、エチル
フェニルカルバモイル基、ベンジルフェニルカルバモイ
ル基)、カルバモイル基、アルキルスルファモイル基
(例えばメチルスルファモイル基、ジメチルスルファモ
イル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモ
イル基、ジブチルスルファモイル基、ピペリジルスルフ
ァモイル基、モルホリルスルファモイル基)、アリール
スルファモイル基(例えばフェニルスルファモイル基、
メチルフェニルスルファモイル基、エチルフェニルスル
ファモイル基、ベンジルフェニルスルファモイル基)、
スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基
(例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基)、
アリールスルホニル基(例えばフェニルスルホニル基、
4−クロロフェニルスルホニル基、p−トルエンスルホ
ニル基)、アルキルカルボニルオキシ基(例えばアセチ
ルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ
基)、アリールカルボニルオキシ基(例えばベンゾイル
オキシ基、トルイルオキシ基、アニシルオキシ基)、含
窒素複素環基(例えばイミダゾリル基、ベンゾトリアゾ
リル基)等が挙げられる。
【0082】また、4当量カプラーのカチオン性離脱基
として作用する基としては、水素原子、ホルミル基、カ
ルバモイル基、置換基を有するメチレン基(置換基とし
ては、アリール基、スルファモイル基、カルバモイル
基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基等)、アシル基、
スルホニル基等が挙げられる。
【0083】上記RD No.38957に記載の化合物以外に
も、以下に記載のカプラーを好ましく用いることができ
る。
【0084】活性メチレン系カプラーとしては、EP 50
2,424A の式(I),(II)で表わされるカプラー; EP 513,49
6A の式(1),(2) で表わされるカプラー ; EP 568,037A
のクレーム1の式(I) で表わされるカプラー; US 5,06
6,576のカラム1の45〜55行の一般式(I) で表わされる
カプラー; 特開平4-274425の段落0008の一般式(I) で表
わされるカプラー; EP 498,381A1の40頁のクレーム1に
記載のカプラー; EP 447,969A1 の4頁の式(Y) で表わ
されるカプラー; US 4,476,219のカラム7の36〜58行の
式(II)〜(IV)で表わされるカプラーを用いることができ
る。
【0085】5−ピラゾロン系マゼンタカプラーとして
は、特開昭57−35858号および特開昭51−20
826号に記載の化合物が好ましい
【0086】ピラゾロアゾール系カプラーとしては、米
国特許第4,500,630号に記載のイミダゾ〔1,
2−b〕ピラゾール類、米国特許第4,540,654
号に記載のピラゾロ〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリ
アゾール類、米国特許第3,725,067号に記載の
ピラゾロ〔5,1−c〕〔1,2,4〕トリアゾール類
が好ましく、光堅牢性の点で、これらのうちピラゾロ
〔1,5−b〕〔1,2,4〕トリアゾール類が好まし
い。
【0087】フェノール系カプラーの好ましい例として
は、米国特許第2,369,929号、同第2,80
1,171号、同第2,772,162号、同第2,8
95,826号、同第3,772,002号等に記載の
2−アルキルアミノ−5−アルキルフェノール系、米国
特許第2,772,162号、同第3,758,308
号、同第4,126,396号、同第4,334,01
1号、同第4,327,173号、西独特許公開第3,
329,729号、特開昭59−166956号等に記
載の2,5−ジアシルアミノフェノール系、米国特許第
3,446,622号、同第4,333,999号、同
第4,451,559号、同第4,427,767号等
に記載の2−フェニルウレイド−5−アシルアミノフェ
ノール系等を挙げることができる。
【0088】ナフトールカプラーの好ましい例として
は、米国特許第2,474,293号、同第4,05
2,212号、同第4,146,396号、同第4,2
28,233号、同第4,296,200号等に記載の
2−カルバモイル−1−ナフトール系および米国特許
4,690,889号等に記載の2−カルバモイル−5
−アミド−1−ナフトール系等を挙げることができる。
【0089】ピロロトリアゾール系カプラーの好ましい
例としては、欧州特許第488,248A1号、同第4
91,197A1号、同第545,300号に記載のカ
プラーが挙げられる。
【0090】その他、縮環フェノール、イミダゾール、
ピロール、3−ヒドロキシピリジン、活性メチン、5,
5−縮環複素環、5,6−縮環複素環といった構造を有
するカプラーが使用できる。
【0091】縮環フェノール系カプラーとしては、米国
特許第4,327,173号、同第4,564,586
号、同第4,904,575号等に記載のカプラーが使
用できる。
【0092】イミダゾール系カプラーとしては、米国特
許第4,818,672号、同第5,051,347号
等に記載のカプラーが使用できる。
【0093】ピロール系カプラーとしては特開平4−1
88137号、同4−190347号等に記載のカプラ
ーが使用できる。
【0094】3−ヒドロキシピリジン系カプラーとして
は特開平1−315736号等に記載のカプラーが使用
できる。
【0095】活性メチン系カプラーとしては米国特許第
5,104,783号、同第5,162,196号等に
記載のカプラーが使用できる。
【0096】5,5−縮環複素環系カプラーとしては、
米国特許第5,164,289号に記載のピロロピラゾ
ール系カプラー、特開平4−174429号に記載のピ
ロロイミダゾール系カプラー等が使用できる。
【0097】5,6−縮環複素環系カプラーとしては、
米国特許第4,950,585号に記載のピラゾロピリ
ミジン系カプラー、特開平4−204730号に記載の
ピロロトリアジン系カプラー、欧州特許第556,70
0号に記載のカプラー等が使用できる。
【0098】本発明には前述のカプラー以外に、西独特
許第3,819,051A号、同第3,823,049
号、米国特許第4,840,883号、同第5,02
4,930号、同第5,051,347号、同第4,4
81,268号、欧州特許第304,856A2号、同
第329,036号、同第354,549A2号、同第
374,781A2号、同第379,110A2号、同
第386,930A1号、特開昭63−141055
号、同64−32260号、同64−32261号、特
開平2−297547号、同2−44340号、同2−
110555号、同3−7938号、同3−16044
0号、同3−172839号、同4−172447号、
同4−179949号、同4−182645号、同4−
184437号、同4−188138号、同4−188
139号、同4−194847号、同4−204532
号、同4−204731号、同4−204732号等に
記載されているカプラーも使用できる。これらのカプラ
ーは各色0.05〜10mmol/m2、好ましくは0.1
〜5mmol/m2用いる。
【0099】また、以下のような機能性カプラーを含有
しても良い。発色色素が適度な拡散性を有するカプラー
としては、US 4,366,237、GB 2,125,570、EP 96,873B、
DE 3,234,533に記載のものが好ましい。発色色素の不要
な吸収を補正するためのカプラーとして、EP456,
257A1号に記載のイエローカラードシアンカプラ
ー、該EPに記載のイエローカラードマゼンタカプラ
ー、US4,833,069号に記載のマゼンタカラー
ドシアンカプラー、US4,837,136号の(2) 、
WO92/11575のクレーム1の式(A)で表わさ
れる無色のマスキングカプラー(特に36−45頁の例
示化合物)等を使用しうる。
【0100】現像主薬酸化体と反応して写真的に有用な
化合物残査を放出する化合物(カプラーを含む)として
は、以下のものが挙げられる。現像抑制剤放出化合物:
EP378,236A1号の11頁に記載の式(I)〜
(IV)で表わされる化合物、EP436,938A2号
の7頁に記載の式(I)で表わされる化合物、EP 568,0
37A の式(1) で表わされる化合物、EP 440,195A2の5 〜
6 頁に記載の式(I),(II),(III)で表わされる化合物。漂
白促進剤放出化合物:EP 310,125A2の5 頁の式(I),(I')
で表わされる化合物及び特開平6-59411号の請求項1の
式(I) で表わされる化合物。リガンド放出化合物:US
4,555,478のクレーム1に記載のLIG-X で表わされる化
合物。ロイコ色素放出化合物:US 4,749,641のカラム3
〜8の化合物1〜6;蛍光色素放出化合物:US 4,774,181
のクレーム1のCOUP-DYEで表わされる化合物。現像促進
剤又はカブラセ剤放出化合物:US 4,656,123のカラム3
の式(1) 、(2)、(3)で表わされる化合物及びEP 450,637
A2の75頁36〜38行目のExZK-2。離脱して初めて色素とな
る基を放出する化合物: US 4,857,447のクレーム1の式
(I) で表わされる化合物、特開平5−307248号の
式(1) で表わされる化合物、EP440,195A2の
5、6頁に記載の式(I)(II)(III)で表わされる
化合物、特開平6−59411号の請求項1の式(I)
で表わされる化合物−リガンド放出化合物、US4,5
55,478号のクレーム1に記載のLIG−Xで表わ
される化合物。このような機能性カプラーは、先に述べ
た発色に寄与するカプラーの0.05〜10倍モル、好
ましくは0.1〜5倍モル用いることが好ましい。
【0101】カプラー、発色現像主薬などの疎水性添加
剤は米国特許第2,322,027号記載の方法などの
公知の方法により感光材料の層中に導入することができ
る。この場合には、米国特許第4,555,470号、
同4,536,466号、同4,536,467号、同
4,587,206号、同4,555,476号、同
4,599,296号、特公平3−62,256号など
に記載のような高沸点有機溶媒を、必要に応じて沸点5
0℃〜160℃の低沸点有機溶媒と併用して、用いるこ
とができる。またこれら色素供与性カプラー、高沸点有
機溶媒などは2種以上併用することができる。高沸点有
機溶媒の量は用いられる疎水性添加剤1gに対して10
g以下、好ましくは5g以下、より好ましくは1g〜
0.1gである。また、バインダー1gに対して1ml
以下、更には0.5ml以下、特に0.3ml以下が適
当である。特公昭51−39,853号、特開昭51−
59,943号に記載されている重合物による分散法や
特開昭62−30,242号等に記載されている微粒子
分散物にして添加する方法も使用できる。水に実質的に
不溶な化合物の場合には、前記方法以外にバインダー中
に微粒子にして分散含有させることができる。疎水性化
合物を親水性コロイドに分散する際には、種々の界面活
性剤を用いることができる。例えば特開昭59−15
7,636号の第(37)〜(38)頁、前記のリサーチ・ディ
スクロージャー記載の界面活性剤として挙げたものを使
うことができる。また、特願平5−204325号、同
6−19247号、西独公開特許第1,932,299
A号記載のリン酸エステル型界面活性剤も使用できる。
【0102】本発明の感光材料は、支持体上に少なくと
も3種の互いに異なる感光域を付与された感光性層を設
ける必要がある。典型的な例としては、支持体上に、実
質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロ
ゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも3種有す
るハロゲン化銀写真感光材料である。該感光性層は青色
光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単
位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材
料においては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側
から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置
される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であって
も、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたよ
うな設置順をもとり得る。上記のハロゲン化銀感光性層
の間および最上層、最下層には非感光性層を設けてもよ
い。これらには、前述のカプラー、現像主薬、及びDI
R化合物、混色防止剤、染料等が含まれていてもよい。
各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層
は、DE 1,121,470あるいはGB923,045に記載されている
ように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層を、支持体に
向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好まし
い。また、特開昭57-112751号、同62-200350号、同62-2
06541号、同62-206543号に記載されているように支持体
より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度
乳剤層を設置してもよい。
【0103】具体例として支持体から最も遠い側から、
低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)/高
感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(GL) /高感
度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層(RL)の順、ま
たはBH/BL/GL/GH/RH/RLの順、またはBH/BL/GH/
GL/RL/RHの順等に設置することができる。また特公昭
55-34932号公報に記載されているように、支持体から最
も遠い側から青感光性層/GH/RH/GL/RLの順に配列す
ることもできる。また特開昭56-25738号、同62-63936号
に記載されているように、支持体から最も遠い側から青
感光性層/GL/RL/GH/RHの順に配列することもでき
る。また特公昭49-15495号に記載されているように上層
を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層をそれよ
りも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層を中層より
も更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置し、支持
体に向かって感光度が順次低められた感光度の異なる3
層から構成される配列が挙げられる。このような感光度
の異なる3層から構成される場合でも、特開昭59-20246
4号に記載されているように、同一感色性層中において
支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/
低感度乳剤層の順に配置されてもよい。
【0104】その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/中
感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/高
感度乳剤層の順に配置されていてもよい。また、4層以
上の場合にも、上記の如く配列を変えてよい。本発明に
おいては、同一の波長領域に感光性を有しかつ平均粒子
投影面積の異なる少なくとも二種類のハロゲン化銀乳剤
を含有させることが好ましい。本発明にいう同一の波長
領域に感光性を有するというのは、実効的に同一の波長
領域に感光度を有することを指す。従って、分光感度分
布が微妙に異なる乳剤であっても主たる感光領域が重な
っている場合には同一の波長領域に感光性を有する乳剤
と見なす。このとき、乳剤間の平均粒子投影面積の差は
少なくとも1.25倍の差を有するように使用すること
が好ましい。さらに好ましくは1.4倍以上である。最
も好ましくは1.6倍以上である。用いる乳剤が3種類
以上の場合は、最も平均粒子投影面積の小さい乳剤と最
も大きい乳剤との間で上記の関係を満足することが好ま
しい。本発明においてこれらの同一の波長領域に感光性
を有し、かつ平均粒子投影面積の異なる複数の乳剤を含
有させるには、乳剤ごとに別個の感光層を設けてもよい
し、一つの感光層に上記複数の乳剤を混合して含有せし
めてもよい。
【0105】これらの乳剤を別個の層に含有させた場合
は、平均粒子投影面積の大きい乳剤を上層(光の入射方
向に近い位置)に配置することが好ましい。これらの乳
剤を別個の感光層中に含有させた場合、組み合せるカラ
ーカプラーは同一の色相を有するものを用いるのが好ま
しいが、異なる色相に発色するカプラーを混合して感光
層ごとの発色色相を異なるものとしたり、それぞれの感
光層に発色色相の吸収プロファイルの異なるカプラーを
用いることもできる。本発明においては、これらの同一
の波長領域に感光性を有する乳剤を塗布するに当たっ
て、これらの乳剤の感光材料の単位面積当たりのハロゲ
ン化銀粒子個数の比が、平均粒子投影面積の大きい乳剤
ほど、乳剤の塗布銀量をその乳剤に含まれるハロゲン化
銀粒子の平均粒子投影面積の3/2乗で除した値の比よ
りも大きくなるように構成することが好ましい。こうし
た構成をとることで高温に加熱した現像条件においても
良好な粒状性を有する画像を得ることができる。また、
高い現像性と広い露光ラチチュードを同時に満足するこ
ともできる。本発明の効果を得るために規定した感光材
料の総塗布銀量とは、これらのハロゲン化銀乳剤中に含
まれるハロゲン化銀の他に、感光性層や非感光性層に含
有させた非感光性のハロゲン化銀乳剤、酸化剤として併
用される有機金属塩、さらには、アンチハレーション層
やイエローフィルター層に用いるコロイド銀等を総合し
た銀量を金属銀換算で表した量である。従来写真撮影に
用いられてきたカラーネガティブフィルムにおいては、
目的の粒状度を達成するためにハロゲン化銀乳剤の改良
もさることながら、現像主薬の酸化体とのカップリング
反応に際して現像抑制性の化合物を放出する所謂DIR
カプラーを用いるなどの技術を組み込んできた。本発明
の感光材料においては、DIRカプラーを用いない場合
でも優れた粒状度が得られる。さらにDIR化合物を組
み合わせるならば粒状度はますます優れたものになる。
【0106】色再現性を改良するために、US 4,663,27
1、同 4,705,744、同 4,707,436、特開昭62-160448号、
同63-89850号の明細書に記載の、BL,GL,RLなどの主感光
層と分光感度分布が異なる重層効果のドナー層(CL) を
主感光層に隣接もしくは近接して配置することが好まし
い。本発明においては、ハロゲン化銀と色素供与性カプ
ラー及び発色現像主薬は同一層に含まれていても良い
が、反応可能な状態であれば別層に分割して添加するこ
ともできる。例えば発色現像主薬を含む層とハロゲン化
銀を含む層とを別層にすると感材の生保存性の向上がは
かれる。本発明においてオリジナルのシーンを記録し、
カラー画像として再現するのに用いる感光材料を構成す
るには、基本的に減色法の色再現を用いることができ
る。すなわち、青、緑そして赤の領域に感光性を有する
少なくとも3種の感光層を設置し、各感光層には自身の
感光波長領域とは補色の関係であるイエロー、マゼンタ
そしてシアンの色素を形成しうるカラーカプラーを含有
させることで原シーンのカラー情報を記録することがで
きる。このようにして得られた色素画像を通して同様の
感光波長と発色色相の関係を有するカラー印画紙に露光
することでオリジナルのシーンを再現することができ
る。また、オリジナルのシーンの撮影によって得られた
色素画像の情報をスキャナー等によって読み取り、この
情報を基に観賞用の画像を再現することもできる。
【0107】本発明の感光材料として、3種以上の波長
領域に感光度を有する感光層を設けることも可能であ
る。また、感光波長領域と発色色相との間に上記のよう
な補色以外の関係を持たせることも可能である。このよ
うな場合には、上述のように画像情報を取り込んだ後、
色相変換等の画像処理を施すことでオリジナルの色情報
を再現することができる。各層の分光感度及びカプラー
の色相の関係は任意であるが、赤色感光性層にシアンカ
プラー、緑色感光性層にマゼンタカプラー、青色感光性
層にイエローカプラーを用いると、従来のカラーペーパ
ー等に直接投影露光できる。感光材料には、上記のハロ
ゲン化銀乳剤層の間および最上層、最下層には、保護
層、下塗り層、中間層、黄色フィルター層、アンチハレ
ーション層などの各種の非感光性層を設けても良く、支
持体の反対側にはバック層などの種々の補助層を設ける
ことができる。具体的には、上記特許記載のような層構
成、米国特許第5,051,335号記載のような下塗
り層、特開平1−167,838号、特開昭61−2
0,943号記載のような固体顔料を有する中間層、特
開平1−120,553号、同5−34,884号、同
2−64,634号記載のような還元剤やDIR化合物
を有する中間層、米国特許第5,017,454号、同
5,139,919号、特開平2−235,044号記
載のような電子伝達剤を有する中間層、特開平4−24
9,245号記載のような還元剤を有する保護層または
これらを組み合わせた層などを設けることができる。
【0108】本発明において、イエローフィルター層、
マゼンタフィルター層あるいはアンチハレーション層に
用いる事の出来る染料としては、現像時に染料の成分が
感光材料から処理材料に転写する、あるいは現像時に反
応して無色の化合物に変わるなどで、塗布直前の1/3
以下、好ましくは1/10以下の濃度になり、処理後の
濃度に寄与しないものが好ましい。
【0109】具体的には、欧州特許出願EP549,4
89A号記載の染料や、特開平7−152129号のE
xF2〜6の染料が挙げられる。特開平8−10148
7号に記載されているような、固体分散した染料を用い
ることもできる。また、媒染剤とバインダーに染料を媒
染させておくことも出来る。この場合媒染剤と染料は写
真分野で公知のものを用いることが出来、米国特許第
4,500,626号第58〜59欄や、特開昭61−
88256号32〜41頁、特開昭62−244043
号、特開昭62−244036号等に記載の媒染剤を挙
げることができる。また、還元剤と反応して拡散性色素
を放出する化合物と還元剤を用い、現像時のアルカリで
可働性色素を放出させ、処理材料に転写除去させること
もできる。具体的には、米国特許第4,559,290
号、同4,783,396号、欧州特許第220,74
6A2号、公開技報87−6119号に記載されている
他、特開平8−101487号の段落番号0080〜0
081に記載されている。消色するロイコ染料などを用
いることもでき、具体的には特開平1−150,132
号に有機酸金属塩の顕色剤によりあらかじめ発色させて
おいたロイコ色素を含むハロゲン化銀感光材料が開示さ
れている。
【0110】本発明において感光材料の支持体として
は、透明かつ処理温度に耐えることのできるものが用い
られる。一般的には、日本写真学会編「写真工学の基礎
−銀塩写真編−」、(株)コロナ社刊(昭和54年)(2
23)〜(240)頁記載の紙、合成高分子(フィルム)等の写
真用支持体が挙げられる。具体的には、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボ
ネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレ
ン、ポリイミド、セルロース類(例えばトリアセチルセ
ルロース)等が挙げられる。この中で、特にポリエチレ
ンナフタレートを主成分とするポリエステルが好ましい
が、ここで言う「ポリエチレンナフタレートを主成分と
する」ポリエステルとは、全ジカルボン酸残基中に含ま
れるナフタレンジカルボン酸の含率が50mol%以上
であることが好ましい。より好ましくは、60mol%
以上、さらに好ましくは、70mol%以上である。こ
れは、共重合体であってもよく、ポリマーブレンドであ
ってもよい。共重合の場合、ナフタレンジカルボン酸ユ
ニットとエチレングリコールユニット以外に、テレフタ
ル酸、ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール
等のユニットを共重合させたものも好ましい。これらの
中で力学強度、コストの観点から最も好ましいのがテレ
フタル酸ユニットを共重合したものである。ポリマーブ
レンドの好ましい相手は、相溶性の観点からポリエチレ
ンテレフタレート(PET)、ポリアリレート(PA
r)、ポリカーボネート(PC)、ポリシクロヘキサン
ジメタノールテレフタレート(PCT)等のポリエステ
ルを挙げることができるが、中でも力学強度、コストの
観点から好ましいのがPETとのポリマーブレンドであ
る。特に耐熱性やカール特性の要求が厳しい場合、感光
材料の支持体として特開平6−41281号、同6−4
3581号、同6−51426号、同6−51437
号、同6−51442号、特願平4−251845号、
同4−231825号、同4−253545号、同4−
258828号、同4−240122号、同4−221
538号、同5−21625号、同5−15926号、
同4−331928号、同5−199704号、同6−
13455号、同6−14666号各公報に記載の支持
体が好ましく用いることができる。また、主としてシン
ジオタクチック構造を有するスチレン系重合体である支
持体も好ましく用いることができる。支持体の厚みは、
好ましくは5〜200μm、より好ましくは40〜12
0μmである。
【0111】また、支持体と感材構成層を接着させるた
めに、表面処理することが好ましい。薬品処理、機械的
処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波
処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処
理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性化処理
が挙げられる。表面処理の中でも好ましいのは、紫外線
照射処理、火焔処理、コロナ処理、グロー処理である。
次に下塗法について述べると、単層でもよく2層以上で
もよい。下塗層用バインダーとしては、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル
酸、イタコン酸、無水マレイン酸などの中から選ばれた
単量体を出発原料とする共重合体を始めとして、ポリエ
チレンイミン、エポキシ樹脂、グラフト化ゼラチン、ニ
トロセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、及
びこれらの変成ポリマーが挙げられる。支持体を膨潤さ
せる化合物としてレゾルシンとp−クロルフェノールが
ある。下塗層にはゼラチン硬化剤としてはクロム塩(ク
ロム明ばんなど)、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、
グルタールアルデヒドなど)、イソシアネート類、活性
ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−
s−トリアジンなど)、エピクロルヒドリン樹脂、活性
ビニルスルホン化合物などを挙げることができる。Si
O2、TiO2、無機物微粒子又はポリメチルメタクリレート
共重合体微粒子(0.01〜10μm)をマット剤とし
て含有させてもよい。
【0112】また、フイルム染色に使用する染料につい
ては、色調は感光材料の一般的な性質上グレー染色が好
ましく、フイルム製膜温度領域での耐熱性に優れ、かつ
ポリエステルとの相溶性に優れたものが好ましい。その
観点から染料としては三菱化成製のDiaresin、
日本化薬製のKayaset等ポリエステル用として市
販されている染料を混合することにより目的を達成する
ことが可能である。特に耐熱安定性の観点から、アント
ラキノン系の染料を挙げることができる。例えば、特開
平8―122970号特許に記載されているものを好ま
しく用いることができる。
【0113】また、支持体として例えば、特開平4−1
24645号、同5−40321号、同6−35092
号、同6−317875号記載の磁気記録層を有する支
持体を用い、撮影情報などを記録することが好ましい。
【0114】磁気記録層とは、磁性体粒子をバインダー
中に分散した水性もしくは有機溶媒系塗布液を支持体上
に塗設したものである。磁性体粒子は、γFe2O3などの
強磁性酸化鉄、Co被着γFe2O3、Co被着マグネタイト、C
o含有マグネタイト、強磁性二酸化クロム、強磁性金
属、強磁性合金、六方晶系のBaフェライト、Srフェライ
ト、Pbフェライト、Caフェライトなどを使用できる。Co
被着γFe2O3などのCo被着強磁性酸化鉄が好ましい。形
状としては針状、米粒状、球状、立方体状、板状等いず
れでもよい。比表面積ではSBETで20m2/g以上が好
ましく、30m2/g以上が特に好ましい。強磁性体の飽
和磁化(σs)は、好ましくは3.0×104〜3.0
×105A/m であり、特に好ましくは4.0×104
2.5×1005A/m である。強磁性体粒子を、シリカ
および/またはアルミナや有機素材による表面処理を施
してもよい。さらに、磁性体粒子は特開平6−1610
32号に記載された如くその表面にシランカップリング
剤またはチタンカップリング剤で処理されてもよい。又
特開平4−259911号、同5−81652号に記載
の表面に無機、有機物を被覆した磁性体粒子も使用でき
る。
【0115】次にポリエステル支持体は、巻き癖をつき
にくくするために熱処理温度は40℃以上Tg未満、よ
り好ましくはTg−20℃以上Tg未満で熱処理を行
う。熱処理はこの温度範囲内の一定温度で実施してもよ
く、冷却しながら熱処理してもよい。この熱処理時間
は、0.1時間以上1500時間以下、さらに好ましく
は0.5時間以上200時間以下である。支持体の熱処
理は、ロール状で実施してもよく、またウェブ状で搬送
しながら実施してもよい。表面に凹凸を付与し(例えば
SnO2やSb2O5等)の導電性無機微粒子を塗布する)、面
状改良を図ってもよい。又端部にローレットを付与し端
部のみ少し高くすることで巻芯部の切り口写りを防止す
るなどの工夫を行うことが望ましい。これらの熱処理は
支持体製膜後、表面処理後、バック層塗布後(帯電防止
剤、滑り剤等)、下塗り塗布後のどこの段階で実施して
もよい。好ましいのは帯電防止剤塗布後である。このポ
リエステルには紫外線吸収剤を練り込んでも良い。又ラ
イトパイピング防止のため、三菱化成製のダイアレジン
(Diaresin)、日本化薬製のカヤセット(Kayaset)等
ポリエステル用として市販されている染料または顔料を
練り込むことにより目的を達成することが可能である。
【0116】次に、感光材料を装填することのできるフ
ィルムパトローネについて記す。本発明で使用されるパ
トローネの主材料は金属でも合成プラスチックでもよ
い。更にスプールを回転してフィルムを送り出すパトロ
ーネでもよい。またフィルム先端がパトローネ本体内に
収納され、スプール軸をフィルム送り出し方向に回転さ
せることによってフィルム先端をパトローネのポート部
から外部に送り出す構造でもよい。これらは米国特許第
4,834,306号、同5,226,613号に開示
されている。以上の感光材料は特公平2−32615
号、実公平3−39784号に記載されているレンズ付
フィルムユニットにも好ましく用いることができる。
【0117】レンズ付きフイルムユニットとは、撮影レ
ンズ及びシャッタを例えば射出成型されたプラスチック
筺体内に備えたユニット本体の製造工程において、予め
未露光のカラーあるいはモノクロ写真感光材料を光密に
装填したものである。このユニットは、ユーザが撮影し
た後、現像のためにユニットごと現像所に送られる。現
像所では当該ユニットから写真フイルムを取り出して現
像及び写真プリントの作成が行われる。
【0118】本発明には、少なくとも塩基及び/または
塩基プレカーサーを処理材層中に含む処理材料を用いる
ことが好ましい。塩基としては、無機あるいは有機塩基
を用いることができる。無機の塩基としては、特開昭6
2−209448号記載のアルカリ金属またはアルカリ
土類金属の水酸化物、リン酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、有
機酸塩、特開昭63−25208号記載のアルカリ金属
またはアルカリ土類金属のアセチリド、等が挙げられ
る。また有機の塩基としては、アンモニア、脂肪族ある
いは芳香族アミン類(例えば、1級アミン類、2級アミ
ン類、3級アミン類、ポリアミン類、ヒドロキシルアミ
ン類、複素環状アミン類)、アミジン類、ビスあるいは
トリスあるいはテトラアミジン、グアニジン類、水不溶
性のモノあるいはビスあるいはトリスあるいはテトラグ
アニジン類、4級アンモニウムの水酸化物類などが挙げ
られる。
【0119】塩基プレカーサーとしては、脱炭酸型、分
解型、反応型および錯塩形成型などを用いることができ
る。本発明においては、欧州特許公開210,660
号、米国特許第4,740,445号に記載されている
ように、塩基プレカーサーとして水に難溶な塩基性金属
化合物およびこの塩基性金属化合物を構成する金属イオ
ンと水を媒体として錯形成反応しうる化合物(錯形成化
合物という)の組み合わせで塩基を発生させる方法を採
用するのが効果的である。この場合、水に難溶な塩基性
金属化合物は感光材料に、錯形成化合物は処理材料に添
加するのが望ましいが、この逆も可能である。
【0120】塩基または塩基プレカーサーの使用量は、
0.1〜20g/m2、好ましくは1〜10g/m2である。
処理層のバインダーは、感光材料同様の親水性ポリマー
を用いることができる。処理材料は感光材料と同様の硬
膜剤で硬膜されていることが好ましい。
【0121】処理材料には前に述べたような、感光材料
の黄色フィルター層やアンチハレーション層に用いる染
料を転写除去する等の目的で媒染剤を含ませることがで
きる。媒染剤としては、ポリマー媒染剤が好ましい。そ
の例としては2級および3級アミノ基を含むポリマー、
含窒素複素環部分を持つポリマー、これらの4級カチオ
ン基を含むポリマー等で分子量が5000〜20000
0、特に10000〜50000のものである。媒染剤
の添加量は、0.1g/m2〜10g/m2、好ましくは0.5g/m2〜5g
/m2である。
【0122】本発明においては、処理材料に現像停止剤
あるいは現像停止剤のプレカーサーを含ませておき、現
像と同時あるいはタイミングを遅らせて現像停止剤を働
かせてもよい。現像停止剤は、詳しくは、特開昭62−
190529号の(31)〜(32)頁に記載されている。ま
た、同様にハロゲン化銀のプリントアウト防止剤を処理
材料に含ませておき、現像と同時にその機能を発現させ
てもよい。プリントアウト防止剤の例としては、特公昭
54−164号、特開昭53−46020号、同48−
45228号、特公昭57−8454号等に記載のハロ
ゲン化合物、英国特許第1,005,144号記載の1-
フェニル-5-メルカプトテトラゾール類の化合物、特開
平8−184936号記載のビオローゲン化合物類が挙
げられる。プリントアウト防止剤の使用量は、10-4
1モル/Ag1モル、好ましくは10-3〜10-2モル/
Ag1モルである。
【0123】また、処理材料に物理現像核およびハロゲ
ン化銀溶剤を含ませておき現像と同時に感光材料のハロ
ゲン化銀を可溶化、および処理層に固定してもよい。物
理現像に必要な還元剤は、感光材料の分野で知られてい
るものを用いることができる。また、それ自身は還元性
を持たないが処理過程に求核試薬や熱の作用により還元
性を発現する還元剤プレカーサーも用いることができ
る。還元剤としては、感光材料から拡散してくる感光材
料で現像に用いられなかった現像主薬を利用する事がで
きるし、また還元剤を処理材料にあらかじめ含有させて
おいてもよい。後者の場合、処理材料に含有させておく
還元剤は、感光材料に含まれる還元剤と同じでもよい
し、異なっていてもよい。耐拡散型の現像主薬を使用す
る場合には、必要に応じて、電子伝達剤および/または
電子伝達剤のプレカーサーを組み合わせて用いてもよ
い。電子伝達剤またはそのプレカーサーは、前述した還
元剤またはそのプレカーサーの中から選ぶことができ
る。処理材料に還元剤を添加する場合の添加量は、0.
01〜10g/m2であり、好ましくは、感光材料の銀
のモル数の1/10〜5倍である。
【0124】物理現像核としては、亜鉛、水銀、鉛、カ
ドミウム、鉄、クロム、ニッケル、錫、コバルト、銅、
ルテニウム等の重金属、あるいはパラジウム、白金、
金、銀等の貴金属、あるいはこれら重金属、貴金属の硫
黄、セレン、テルル等のカルコゲン化合物、のコロイド
粒子等の公知のものはすべて利用できる。これらの物理
現像核の大きさは、2〜200nmの粒径のものが好ま
しく用いられる。これらの物理現像核は、処理層に10
-3mg〜10g/m2含有させる。
【0125】ハロゲン化銀溶剤は、公知のものを使用で
きる。例えば、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、チオシアン酸
塩、特公昭47−11386号記載のチオエーテル化合
物、特開平8−179458号記載のウラシル、ヒダン
トインの如き5ないし6員環のイミド基を有する化合
物、特開昭53−144319号記載の炭素−硫黄の2
重結合を有する化合物、アナリティカ・ケミカ・アクタ
(Analytica Chinica Acta)248巻604〜614頁(1991年)
記載のトリメチルトリアゾリウムチオレート等のメソイ
オンチオレート化合物が好ましく用いられる。また、特
開平8−69097号記載のハロゲン化銀を定着して安
定化しうる化合物もハロゲン化銀溶剤として使用しう
る。複数のハロゲン化銀溶剤を併用することも好まし
い。処理層中の、全ハロゲン化銀溶剤の含有量は、0.01
〜100mmol/m2であり、好ましくは、0.1〜50mmol/m2であ
る。感光材料の塗布銀量に対して、モル比で1/20〜
20倍で、好ましくは1/10〜10倍、より好ましく
は1/4〜4倍である。
【0126】処理材料には、感光材料と同様に保護層、
下塗り層、バック層、その他の種々の補助層があっても
よい。処理材料は連続ウェブ上に処理層が設けられてい
ることが好ましい。ここでいう連続ウェブとは、処理材
料の長さが、処理時対応する感光材料の長辺より長さが
十分に長く、処理に使用するときにその一部を裁断する
ことなく使用し、複数の感光材料を処理できる長さを有
する形態をいう。一般には、その処理材料の長さが、巾
の5倍以上10000倍以下のことをいう。処理材料の
巾は任意であるが、対応する感光材料の巾以上であるこ
とが好ましい。
【0127】また、複数の感光材料を並行し、すなわち
感光材料を複数並べて処理するような形態も好ましい。
この場合感光材料の巾は、感光材料の巾×同時処理数以
上であることが好ましい。このような連続ウェブ処理は
送り出しロールから供給され巻き取りロールに巻き取ら
れて廃棄されることが好ましい。特にサイズが大きい感
光材料の場合、廃棄が容易である。以上のように、連続
ウェブの処理材料は従来のシート材料に比べ、取り扱い
性が著しく向上する。
【0128】本発明の処理材料に用いられる支持体の厚
みは任意であるが、薄いほうが好ましく、特に好ましく
は4ミクロン以上120ミクロン以下である。支持体厚
みが100ミクロン以下の処理材料を利用することが好
ましく、さらには60ミクロン以下、特に40ミクロン
以下が好ましい。この場合、単位体積あたりの処理材料
の量が多くなるので、上記の処理材料用ロールをコンパ
クトにできる。支持体の素材についても特に限定はな
く、処理温度に耐えることのできるものが用いられる。
一般的には、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写
真編−」、(株)コロナ社刊(昭和54年)(223〜
240頁)記載の紙、合成高分子(フイルム)等の写真
用支持体が挙げられる。
【0129】支持体用の素材は単独で使用することもで
きるし、ポリエチレン等の合成高分子で片面あるいは両
面をコートあるいはラミネートされた支持体として用い
ることもできる。このほか、特開昭62−253,15
9号(29)〜(31)頁、特開平1−161,236
号(14)〜(17)頁、特開昭63−316,848
号、特開平2−22,651号、同3−56,955
号、米国特許第5,001,033号等に記載の支持体
を用いることができる。また主としてシンジオタクチッ
ク構造を有するスチレン系重合体である支持体も好まし
く用いることができる。
【0130】これらの支持体の表面に親水性バインダー
とアルミナゾルや酸化錫の様な半導性金属酸化物、カー
ボンブラックその他の帯電防止剤を塗布してもよい。ア
ルミニウムを蒸着した支持体も好ましく用いることがで
きる。
【0131】本発明においては、カメラ等で撮影した感
光材料を現像する方法として、感光材料及び処理材料双
方のバック層を除く全塗布膜を最大膨潤させるに要する
量の0.1から1倍に相当する水の存在下で、感光材料
と処理材料を感光層と処理層が向かい合う形で重ね合わ
せ、60℃から100℃の温度で5秒から60秒間加熱
する方法が好ましい。ここで言う水とは一般に用いられ
る水であれば何を用いても良い。具体的には蒸留水、イ
オン交換水、水道水、井戸水、ミネラルウォーター等を
用いることができる。これらの水には水垢発生防止、腐
敗防止などの目的で防腐剤を少量添加したり、活性炭フ
ィルターやイオン交換樹脂フィルターなどにより、水を
循環濾過する方法も好ましく用いられる。本発明では感
光材料及び/または処理材料が水で膨潤した状態で重ね
合わされ、加熱される。この膨潤時の膜の状態は不安定
であり、水の量を上記の範囲に限定することが、局所的
な発色ムラを防ぐのに重要である。最大膨潤に要する水
の量は、用いる水の中に測定するべき塗布膜をもつ感光
材料または処理材料を浸積させ、十分膨潤したところで
膜厚を測定し、最大膨潤量を計算してから塗布膜の重量
を減じれば求めることができる。また、膨潤度の測定法
の例はホトグラフィック・サイエンス・エンジニアリン
グ、16巻、449ページ(1972年)にも記載があ
る。水は感光材料、処理材料またはその両者に付与する
方法を用いることができる。その使用量は感光材料およ
び処理材料の(バック層を除く)全塗布膜を最大膨潤さ
せるのに要する量の1/10〜1倍に相当する量であ
る。水を付与するタイミングとしては、感光材料を露光
した後、加熱現像を行うまでのいずれの時点でも良い。
好ましくは加熱現像を施す直前が選ばれる。本発明に規
定する上記の水量は、感光材料と処理材料とを重ね合わ
せて加熱現像を施す時点において必要な量を規定してい
る。従って、例えば本発明の規定よりも多い量の水をい
ったん感光材料ないしは処理材料に供給した後、重ね合
わせるまでの間にスクイーズ等の手段によって余剰の水
分を除去し、加熱現像を行う方法も本発明の範囲に含め
ることができる。通常は、必要な水量を感光材料あるい
は処理材料、またはそれら両者に供給した後に、あるい
は必要な量となるように上述のような手段で調節した後
に、感光材料と処理材料とを重ね合わせて加熱現像を施
すが、感光材料と処理材料とを重ね合わせた後に、両者
の間の空隙に水分を供給することで必要な水量を存在さ
せることもできる。水分を付与する方法についても様々
な方法を用いることができる。水の付与方法としては、
感光材料または処理材料を水に浸漬し、スクイーズロー
ラーで余分な水を除去する方法がある。ただし、一定量
の水を塗りきりで感光材料または処理材料に付与する方
が好ましい。また、水を噴射する複数のノズル孔が一定
の間隔で感光材料または処理材料の搬送方向と交差する
方向に沿って直線状あるいは複数列をなすように並べら
れたノズルと前記ノズルを搬送経路上の感光材料または
処理材料に向かって変位させるアクチュエータとを有す
るインクジェット方式の記録ヘッドと類似の水塗布装置
により水を噴射する方法が特に好ましい。また、スポン
ジ等により水塗布する方法も装置が簡易であり、好まし
く用いられる。付与する水の温度は、30℃〜60℃が
好ましい。感光材料と処理材料を重ね合わせる方法の例
としては特開昭62−253,159号、特開昭61−
147,244号記載の方法がある。
【0132】現像工程における加熱方法としては、加熱
されたブロックやプレートに接触させたり、熱板、ホッ
トプレッサー、熱ローラー、熱ドラム、ハロゲンランプ
ヒーター、赤外および遠赤外ランプヒーターなどに接触
させたり高温の雰囲気中を通過させる方法などがある。
本発明の処理には種々の熱現像装置のいずれもが使用で
きる。例えば、特開昭59−75,247号、同59−
177,547号、同59−181,353号、同60
−18,951号、実開昭62−25,944号、特願
平4−277,517号、同4−243,072号、同
4−244,693号、同6−164,421号、同6
−164,422号等に記載されている装置などが好ま
しく用いられる。また市販の装置としては富士写真フイ
ルム(株)製ピクトロスタット100、同ピクトロスタ
ット200、同ピクトロスタット300、同ピクトロス
タット330、同ピクトロスタット50、同ピクトログ
ラフィー3000、同ピクトログラフィー2000など
が使用できる。
【0133】本発明に用いる感光材料および/または処
理材料は加熱現像のための加熱手段としての導電性の発
熱体層を有する形態であっても良い。この発明の発熱要
素には、特開昭61−145544号等に記載のものを
利用できる。
【0134】本発明において、現像によって生じた現像
銀や未現像のハロゲン化銀はこれらを除去することなく
画像情報を取り込むこともできるが、除去後に画像を取
り込むこともできる。後者の場合には、現像と同時ある
いは現像後にこれらを除去する手段を適用することがで
きる。現像と同時に感光材料中の現像銀を除去したり、
ハロゲン化銀を錯化ないし可溶化せしめるには、処理材
料に漂白剤として作用する銀の酸化剤や再ハロゲン化
剤、あるいは定着剤として作用するハロゲン化銀溶剤を
含有させておき、熱現像時にこれらの反応を生じさせる
ことができる。また、画像形成の現像終了後に銀の酸化
剤、再ハロゲン化剤あるいはハロゲン化銀溶剤を含有さ
せた第二の材料を感光材料と貼り合わせて現像銀の除去
あるいはハロゲン化銀の錯化ないし可溶化を生じさせる
こともできる。本発明においては、撮影とそれに続く画
像形成現像の後で画像情報を読み取る障害とならない程
度にこれらの処理を施すことが好ましい。特に未現像の
ハロゲン化銀はゼラチン膜中では高いヘイズを生じ、画
像のバックグラウンドの濃度を上昇させるため、上記の
ような錯化剤を用いてヘイズを減少させたり、可溶化さ
せて膜中から全量あるいはその一部を除去することが好
ましい。
【0135】
【実施例】以下実施例に基づき本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 平均分子量15000のゼラチン0.74gおよび臭化
カリウム0.7gを含む蒸留水930mlを反応容器中
に入れ、40℃に昇温した。この溶液に強く攪拌しなが
ら硝酸銀0.34gを含む水溶液30mlと臭化カリウ
ム0.24gを含む水溶液30mlとを20秒間で添加
した。添加終了後1分間40℃に保った後、反応溶液の
温度を75℃に上昇させた。ゼラチン27.0gを蒸留
水200mlと共に加えた後、硝酸銀23.36gを含
む水溶液100mlと臭化カリウム16.37gを含む
水溶液80mlとを添加流量を加速しながら36分間に
わたって添加した。次いで硝酸銀83.2gを含む水溶
液250mlと沃化カリウムを臭化カリウムとのモル比
3:97で含む水溶液(臭化カリウムの濃度26%)と
を添加流量を加速しながら、かつ反応液の銀電位が飽和
カロメル電極に対して−20mVとなるように60分間
で添加した。さらに硝酸銀18.7gを含む水溶液75
mlと臭化カリウムの21.9%水溶液とを10分間に
わたって、かつ反応液の銀電位が飽和カロメル電極に対
して20mVとなるように添加した。添加終了後1分間
75℃に保った後、反応液の温度を40℃に下降させ
た。次いで、p−沃化アセトアミドベンゼンスルホン酸
ナトリウム一水塩10.5gを含む水溶液100mlを
添加し、反応液のpHを9.0に調製した。次いで、亜
硫酸ナトリウム4.3gを含む水溶液50mlを添加し
た。添加終了後、40℃で3分保った後、反応液の温度
を55℃に昇温した。反応液のpHを5.8に調製した
後、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム0.8mg、
臭化カリウム5.5gを加え、55℃で1分間保った
後、さらに硝酸銀44.3gを含む水溶液180mlと
臭化カリウム34.0gを含む水溶液160mlとを3
0分間にわたって添加した。温度を下げ、定法に従って
脱塩を行った。脱塩終了後、ゼラチンを7重量%となる
ように添加し、pHを6.2に調整した。得られた乳剤
は球相当の直径で表した平均粒子サイズ1.29μm、
粒子サイズ分布の変動係数17%、平均粒子厚み0.2
7μm、粒子投影径を粒子厚みで除した比であるアスペ
クト比の平均値8.5の六角平板状粒子よりなる乳剤で
あった。この乳剤を乳剤A−1とした。
【0136】乳剤A−1とは、粒子形成の最後に添加す
る臭化カリウム水溶液中にヘキサトリアゾロルテニウム
(II)酸カリウム四水塩7.38mgを加えたことのみ
が異なる乳剤を調製し、乳剤A−2とした。次に、平均
分子量15000のゼラチン0.37g、酸化処理ゼラ
チン0.37gおよび臭化カリウム0.7gを含む蒸留
水930mlを反応容器中に入れ、40℃に昇温した。
この溶液に強く攪拌しながら硝酸銀0.34gを含む水
溶液30mlと臭化カリウム0.24gを含む水溶液3
0mlとを20秒間で添加した。添加終了後1分間40
℃に保った後、反応溶液の温度を75℃に上昇させた。
アミノ基をトリメリト酸で修飾したゼラチン27.0g
を蒸留水200mlと共に加えた後、硝酸銀23.36
gを含む水溶液100mlと臭化カリウム16.37g
を含む水溶液80mlとを添加流量を加速しながら36
分間にわたって添加した。次いで硝酸銀83.2gを含
む水溶液250mlと沃化カリウムを臭化カリウムとの
モル比3:97で含む水溶液(臭化カリウムの濃度26
%)とを添加流量を加速しながら、かつ反応液の銀電位
が飽和カロメル電極に対して−50mVとなるように6
0分間で添加した。さらに硝酸銀18.7gを含む水溶
液75mlと臭化カリウムの21.9%水溶液とを10
分間にわたって、かつ反応液の銀電位が飽和カロメル電
極に対して0mVとなるように添加した。添加終了後1
分間75℃に保った後、反応液の温度を40℃に下降さ
せた。次いで、p−沃化アセトアミドベンゼンスルホン
酸ナトリウム一水塩10.5gを含む水溶液100ml
を添加し、反応液のpHを9.0に調製した。次いで、
亜硫酸ナトリウム4.3gを含む水溶液50mlを添加
した。添加終了後、40℃で3分保った後、反応液の温
度を55℃に昇温した。反応液のpHを5.8に調製し
た後、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム0.8m
g、臭化カリウム5.5gを加え、55℃で1分間保っ
た後、さらに硝酸銀44.3gを含む水溶液180ml
と臭化カリウム34.0gを含む水溶液160mlとを
30分間にわたって添加した。温度を下げ、定法に従っ
て脱塩を行った。脱塩終了後、ゼラチンを7重量%とな
るように添加し、pHを6.2に調整した。得られた乳
剤は球相当の直径で表した平均粒子サイズ1.29μ
m、粒子サイズ分布の変動係数19%、平均粒子厚み
0.13μm、平均アスペクト比が25.4の六角平板
状粒子よりなる乳剤であった。この乳剤を乳剤A−3と
した。
【0137】乳剤A−3とは、粒子形成の最後に添加す
る臭化カリウム水溶液中にヘキサトリアゾロルテニウム
(II)酸カリウム四水塩7.38mgを加えたことのみ
が異なる乳剤を調製し、乳剤A−4とした。乳剤A−1
に、40℃で沃化カリウム1%水溶液を5.6ml添加
してから、下記の赤感性分光増感色素4.4×10-4
ol、化合物I、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チ
オ硫酸ナトリウムおよびモノ(ペンタフルオロフェニ
ル)ジフェニルホスフィンセレニドを添加して分光増感
および化学増感を施した。化学増感終了後、安定剤Sを
添加した。このとき、化学増感剤の量は乳剤の化学増感
の程度が最適になるように調節した。得られた分光増感
と化学増感済みの乳剤を乳剤A−1rとした。
【0138】
【化29】
【0139】
【化30】
【0140】同様に、乳剤A−2、A−3およびA−4
に対しても、分光増感と化学増感を施し、乳剤A−2
r、A−3rそしてA−4rとした。ただし、分光増感
色素の添加量は乳剤粒子の表面積に比例させて調節し
た。次に、平均分子量15000のゼラチン2.9gお
よび塩化ナトリウム2.78gを含む蒸留水1670m
lを反応容器中に入れ、35℃に昇温した。この溶液に
強く攪拌しながら硝酸銀6.12gを含む水溶液80m
lと塩化ナトリウム2.28gを含む水溶液80mlと
を60秒間で添加した。その後、化合物Aを200m
g、および塩化ナトリウム4.17gを添加し、反応容
器を60℃に昇温した。容器を60℃で15分保った
後、フタル化ゼラチン40gを40℃の水400mlに
溶解したものを添加し、化合物Aを100mg添加し
た。次いで、硝酸銀163.75gを含む水溶液800
mlと塩化ナトリウム59.67gを含む水溶液800
mlとを、それぞれ、添加開始時の添加流量が1.8m
l/分、その後添加流量を加速しながら60分間で添加
した。これらの添加が終了した後、チオシアン酸カリウ
ム1N水溶液を32ml添加、次いで乳剤A−1からA
−4の分光増感に用いた分光増感色素を7.9×10-4
mol添加した。反応容器の温度を75℃に15分間保
ち、その後、温度を下げ、定法に従って脱塩を行った。
脱塩終了後、ゼラチンを7重量%となるように添加し、
pHを6.2に調整した。得られた乳剤は球相当の直径
で表した平均粒子サイズ1.25μm、粒子サイズ分布
の変動係数16%、平均粒子厚み0.13μm、平均粒
子投影径を平均粒子厚みで除した比が24.3の六角平
板状粒子よりなる乳剤であった。この乳剤を乳剤A−5
とした。
【0141】
【化31】
【0142】乳剤A−5とは、粒子形成終了前の7分間
にわたってヘキサトリアゾロルテニウム(II)酸カリウ
ム四水塩7.38mgを水溶液で加えたことのみが異な
る乳剤を調製し、乳剤A−6とした。乳剤A−5とは、
粒子形成が終了する8分前に臭化カリウム4.73gを
10%水溶液で添加したことのみが異なる乳剤を調製
し、乳剤A−7とした。乳剤A−7とは、粒子形成終了
前の7分間にわたってヘキサトリアゾロルテニウム(I
I)酸カリウム四水塩7.38mgを水溶液で加えたこ
とのみが異なる乳剤を調製し、乳剤A−8とした。乳剤
A−5とは、粒子形成終了前の7分間にわたって臭化カ
リウム2.86gを水溶液で添加したことのみが異なる
乳剤を調製し、A−9とした。乳剤A−9とは、粒子形
成終了前の7分間にわたってヘキサトリアゾロルテニウ
ム(II)酸カリウム四水塩7.38mgを水溶液で加え
たことのみが異なる乳剤を調製し、乳剤A−10とし
た。これらの乳剤を58℃に保ち、化合物I、チオシア
ン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウムおよびモ
ノ(ペンタフルオロフェニル)ジフェニルホスフィンセ
レニドを添加して分光増感および化学増感の施された乳
剤を得た。化学増感剤の量は乳剤の化学増感の程度が最
適になるように調節した。得られた乳剤はそれぞれA−
5r、A−6r…A−10rのように表した。
【0143】これらの乳剤から、ハロゲン化銀粒子を取
り出し、液体窒素冷却化で400KVの加速電圧で透過
法による電子顕微鏡を用い、転位線を観察した。臭化銀
含有率10mol%以上の相を有する粒子に、本発明の
金属錯体ドーパントを含有させた、乳剤A−2r、A−
4r、A−8rおよびA−10rでは、いずれの場合で
も転位線密度の増加が顕著に認められた。
【0144】次に塩基プレカーサーとして用いる水酸化
亜鉛の分散物を調製した。一次粒子の粒子サイズが0.
2μmの水酸化亜鉛の粉末31g、分散剤としてカルボ
キシメチルセルロース1.6gおよびポリアクリル酸ソ
ーダ0.4g、石灰処理オセインゼラチン8.5g、水
158.5mlを混合し、この混合物をガラスビーズを
用いたミルで1時間分散した。分散後、ガラスビーズを
濾別し、水酸化亜鉛の分散物188gを得た。
【0145】さらに、カプラーおよび内蔵現像主薬を含
有する乳化分散物を調製した。シアンカプラー(a)1
0.78g、現像主薬(b)8.14g、現像主薬
(c)1.05g、被り防止剤(d)0.15g、高沸
点有機溶媒(e)8.27gおよび酢酸エチル38.0
mlを60℃で溶解した。石灰処理ゼラチン12.2g
および界面活性剤(f)0.8gを溶解した水溶液15
0g中に先の溶液を混合し、ディゾルバー攪拌機を用い
て10000回転で20分間かけて乳化分散した。分散
後、全量が300gとなるように蒸留水を加え、200
0回転で10分間混合した。
【0146】
【化32】
【0147】
【化33】
【0148】さらに、ハレーション防止層として着色す
るためのシアン染料(g)の分散物も同様に調製した。
染料(g)と、それを分散するのに用いた高沸点有機溶
媒(h)とを下記に示す。
【0149】
【化34】
【0150】これらの分散物と、先に調製したハロゲン
化銀乳剤を組み合わせて表1の組成で支持体上に塗布
し、試料101〜110の多層カラー写真感光材料を作
成した。
【0151】
【表1】
【0152】
【化35】
【0153】さらに、表2および表3に示すような処理
材料P−1およびP−2を作成した。
【0154】
【表2】
【0155】
【表3】
【0156】
【化36】
【0157】
【化37】
【0158】これらの感光材料から試料片を切り出し、
写真昼光(色温度約5500K)を光源とし、光学楔を
通して200 luxで1/100秒の露光を施した。
露光後の感光材料の表面に40℃の温水を10ml/m2
付与し、処理材料P−1と互いの膜面どうしを重ね合わ
せた後、ヒートドラムを用いて83℃で17秒間熱現像
した。P−1を剥離した感光材料表面に7ml/m2の水
を塗布し、処理材料P−2と重ね合わせ、さらに50℃
で15秒加熱した。処理材料から剥がした感光材料の試
料片には露光に対応したシアン発色画像が形成されてい
た。熱現像後に得られた発色試料の透過濃度を測定し、
所謂特性曲線を作成し、これから最低濃度(カブリ濃
度)、相対感度、最大発色濃度およびコントラストを求
めた。感度は、処理後の最低濃度より光学濃度で0.1
5高い濃度を与える露光量の逆数をもって感度とし、試
料101の感度を100とした相対値で表した。コント
ラストは、特性曲線上で感度を求めた点と濃度2.0を
与える点の傾き(γ)をもって表した。結果を表4に示
す。
【0159】
【表4】
【0160】表4の結果から本発明の効果が明らかに示
された。すなわち、試料101から104を比べると、
粒子厚みが0.27μmの厚い平板粒子よりなる乳剤A
−1rおよびA−2rを用いた試料101および102
では高感度が得られず、かつ低いコントラストしか得ら
れない。これに対して粒子厚みが0.13μmの乳剤で
は、本発明の金属錯体ドーパントを用いないA−3rを
用いた試料103では低感で、かつコントラストも低い
が、本発明の金属錯体ドーパントを用いたA−4rを用
いた試料104では高感度が得られ、かつ高いコントラ
ストが得られる。また、高塩化銀よりなる平板状粒子を
用いた試料105から110において、臭化銀含有率1
0%以上の相を有さない乳剤A−5rおよびA−6rを
用いた試料105および106では本発明の金属錯体ド
ーパントの使用の有無に関わらず、低感度でかつコント
ラストも低い。これに対して臭化銀10mol%以上の
相を有する乳剤を用いた試料では、本発明の金属錯体ド
ーパントを用いない乳剤A−7rおよびA−9rを用い
た試料107および109では、低感で、かつコントラ
ストも低いが、本発明の金属錯体ドーパントを用いた乳
剤A−8rおよびA−10rを用いた試料108および
110では高感度が得られ、かつ高いコントラストが得
られる。
【0161】実施例2 実施例1で調製した乳剤104とは、粒子形成の最後に
添加する臭化カリウム水溶液中に添加したヘキサトリア
ゾロルテニウム(II)酸カリウム四水塩を等モルの錯体
α、錯体β、錯体γ、錯体δおよび錯体εに置き換えた
ことのみが異なる乳剤を調製し、乳剤A−4α、A−4
β、A−4γ、A−4δおよびA−4εとした。これら
の乳剤を乳剤A−4rを調製したのと同様に分光増感お
よび化学増感を施して、乳剤A−4αr、A−4βr、
A−4γr、A−4δrおよびA−4εrを得た。分光
増感および化学増感はそれぞれの乳剤で最適化した。
【0162】
【化38】
【0163】また、同様に実施例1で調製した乳剤A−
10とは、粒子形成終了前の7分間にわたって添加した
ヘキサトリアゾロルテニウム(II)酸カリウム四水塩を
等モルの錯体α、錯体β、錯体γ、錯体δおよび錯体ε
に置き換えたことのみが異なる乳剤を調製し、乳剤A−
10α、A−10β、A−10γ、A−10δおよびA
−10εとした。これらの乳剤を乳剤A−10rを調製
したのと同様に化学増感を施して、乳剤A−10αr、
A−10βr、A−10γr、A−10δrおよびA−
10εrを得た。化学増感はそれぞれの乳剤で最適化し
た。
【0164】これらの乳剤から、ハロゲン化銀粒子を取
り出し、液体窒素冷却化で400KVの加速電圧で透過
法による電子顕微鏡を用い、転位線を観察した。乳剤A
−4αr、A−4βr、A−4γr、A−4δrおよび
A−4εrでは乳剤A−3rに対して、また、乳剤A−
10αr、A−10βr、A−10γr、A−10δr
およびA−10εrでは、乳剤A−10rに対して、転
位線密度の増加が顕著に認められた。
【0165】続いて、これらの乳剤を用いて、実施例1
と同様に感光材料を作製した。得られた感光材料を試料
201から試料210とした。
【0166】
【表5】
【0167】これらの感光材料を、実施例1と同様に露
光し、加熱現像処理を施し、発色した試料の透過濃度測
定から写真特性を評価した。結果を表6に示す。
【0168】
【表6】
【0169】結果から、錯体α、錯体β、錯体γ、錯体
δおよび錯体εを用いても本発明の顕著な効果が得られ
ることがわかる。
【0170】実施例3 実施例1で調製した乳剤A−3とは、ベンゼンチオスル
フィン酸ナトリウムの添加と同時にヘキサクロロイリジ
ウム(IV)酸カリウム0.04mgを添加したことと、
粒子形成の最後に添加する臭化カリウムの水溶液にヘキ
サシアノ鉄(II)酸カリウム8.9mgを添加したこと
のみが異なる乳剤を調製し、乳剤B−1oとした。乳剤
B−1oとは、粒子形成の最初に添加する硝酸銀と臭化
カリウムの量を変え、形成される核の個数を変えること
で、球相当の直径で表した平均粒子サイズ0.75μ
m、平均粒子厚み0.11μm、平均アスペクト比が1
4.0の六角平板状粒子よりなる乳剤B−1m、およ
び、球相当の直径で表した平均粒子サイズ0.52μ
m、平均粒子厚み0.09μm、平均アスペクト比1
1.3の六角平板状粒子よりなる乳剤B−1uを調製し
た。ただし、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム
およびヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムの添加量は粒子
体積に反比例させて、p−沃化アセトアミドベンゼンス
ルホン酸ナトリウム一水塩の添加量は粒子の周長に比例
させて変化させた。これらの乳剤に、40℃で沃化カリ
ウム1%水溶液を5.6ml添加してから、実施例1で
用いた分光増感色素、化合物I、チオシアン酸カリウ
ム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウムおよびモノ(ペンタ
フルオロフェニル)ジフェニルホスフィンセレニドを添
加して分光増感および化学増感を施した。分光増感色素
の添加量は実施例1の乳剤A−3rを基準に、粒子表面
積に合わせて変え、化学増感剤の添加量はそれぞれの乳
剤で最適になるように調整した。化学増感終了後、安定
剤Sを実施例1の乳剤A−3rを基準に、粒子表面積に
合わせて変え、添加した。得られた乳剤を乳剤B−1o
r、B−1mrそしてB−1urとした。同様に、分光
増感色素を下記の緑感性色素と、青感性色素に変えるこ
とで緑感性乳剤B−1og、B−1mgおよびB−1u
g、青感性乳剤B−1ob、B−1mbおよびB−1u
bを調製した。
【0171】
【化39】
【0172】
【化40】
【0173】次に、実施例1で調製した乳剤A−4と
は、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウムの添加と同時
にヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム0.04m
gを添加したことと、粒子形成の最後に添加する臭化カ
リウムの水溶液にヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム8.
9mgを添加したことのみが異なる乳剤を調製し、乳剤
B−2oとした。乳剤B−2oとは、粒子形成の最初に
添加する硝酸銀と臭化カリウムの量を変え、形成される
核の個数を変えることで、球相当の直径で表した平均粒
子サイズ0.75μm、平均粒子厚み0.11μm、平
均アスペクト比が14.0の六角平板状粒子よりなる乳
剤B−2m、および、球相当の直径で表した平均粒子サ
イズ0.52μm、平均粒子厚み0.09μm、平均ア
スペクト比11.3の六角平板状粒子よりなる乳剤B−
2uを調製した。ただし、ヘキサクロロイリジウム(I
V)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムおよ
びヘキサトリアゾロルテニウム(II)酸カリウム四水塩
の添加量は粒子体積に反比例させて、p−沃化アセトア
ミドベンゼンスルホン酸ナトリウム一水塩の添加量は粒
子の周長に比例させて変化させた。これらの乳剤に、4
0℃で沃化カリウム1%水溶液を5.6ml添加してか
ら、実施例1で用いた分光増感色素、化合物I、チオシ
アン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウムおよび
モノ(ペンタフルオロフェニル)ジフェニルホスフィン
セレニドを添加して分光増感および化学増感を施した。
分光増感色素の添加量は実施例1の乳剤A−4rを基準
に、粒子表面積に合わせて変え、化学増感剤の添加量は
それぞれの乳剤で最適になるように調整した。化学増感
終了後、安定剤Sを実施例1の乳剤A−4rを基準に、
粒子表面積に合わせて変え、添加した。得られた乳剤を
乳剤B−2or、B−2mrそしてB−2urとした。
同様に、分光増感色素を変えることで緑感性乳剤B−2
og、B−2mgおよびB−2ug、青感性乳剤B−2
ob、B−2mbおよびB−2ubを調製した。
【0174】さらに、実施例2で調製した乳剤A−4δ
とは、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウムの添加と同
時にヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム0.04
mgを添加したことと、粒子形成の最後に添加する臭化
カリウムの水溶液にヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム
8.9mgを添加したことのみが異なる乳剤を調製し、
乳剤B−3oとした。乳剤B−3oとは、粒子形成の最
初に添加する硝酸銀と臭化カリウムの量を変え、形成さ
れる核の個数を変えることで、球相当の直径で表した平
均粒子サイズ0.75μm、平均粒子厚み0.11μ
m、平均アスペクト比が14.0の六角平板状粒子より
なる乳剤B−3m、および、球相当の直径で表した平均
粒子サイズ0.52μm、平均粒子厚み0.09μm、
平均アスペクト比11.3の六角平板状粒子よりなる乳
剤B−3uを調製した。ただし、ヘキサクロロイリジウ
ム(IV)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム
および錯体δの添加量は粒子体積に反比例させて、p−
沃化アセトアミドベンゼンスルホン酸ナトリウム一水塩
の添加量は粒子の周長に比例させて変化させた。これら
の乳剤に、40℃で沃化カリウム1%水溶液を5.6m
l添加してから、実施例1で用いた分光増感色素、化合
物I、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナト
リウムおよびモノ(ペンタフルオロフェニル)ジフェニ
ルホスフィンセレニドを添加して分光増感および化学増
感を施した。分光増感色素の添加量は実施例2の乳剤A
−10δrを基準に、粒子表面積に合わせて変え、化学
増感剤の添加量はそれぞれの乳剤で最適になるように調
整した。化学増感終了後、実施例1で用いたと同じ安定
剤Sを実施例1の乳剤A−10rを基準に、粒子表面積
に合わせて変え、添加した。得られた乳剤を乳剤B−3
or、B−3mrそしてB−3urとした。同様に、分
光増感色素を変えることで緑感性乳剤B−3og、B−
3mgおよびB−3ug、青感性乳剤B−3ob、B−
3mbおよびB−3ubを調製した。
【0175】続いて、実施例1で調製した乳剤A−9と
は、添加が終了する最後の10分間にわたって、ヘキサ
シアノ鉄(II)酸カリウム15.9mgおよびヘキサク
ロロイリジウム(IV)酸カリウム0.03mgを添加し
たことと、添加が終了する最後の2分間にわたって沃化
カリウム1.0gを含む水溶液50mlを添加したこと
のみが異なる乳剤を調製し、乳剤B−4oとした。乳剤
B−4oとは、粒子形成の最初に添加する硝酸銀と塩化
ナトリウムの量を変え、形成される核の個数を変えるこ
とで、球相当の直径で表した平均粒子サイズ0.75μ
m、平均粒子厚み0.11μm、平均アスペクト比が1
4.0の六角平板状粒子よりなる乳剤B−4m、およ
び、球相当の直径で表した平均粒子サイズ0.52μ
m、平均粒子厚み0.09μm、平均アスペクト比1
1.3の六角平板状粒子よりなる乳剤B−4uを調製し
た。ただし、化合物A、チオシアン酸カリウムおよび分
光増感色素の量は粒子表面積に比例させて、また、ヘキ
サクロロイリジウム(IV)酸カリウムおよびヘキサシア
ノ鉄(II)酸カリウムの添加量は粒子体積に反比例させ
て変化させた。
【0176】これらの乳剤に、実施例1で用いた化合物
I、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリ
ウムおよびモノ(ペンタフルオロフェニル)ジフェニル
ホスフィンセレニドを添加して分光増感および化学増感
の施された乳剤を得た。化学増感剤の添加量はそれぞれ
の乳剤で最適になるように調整した。化学増感終了後、
実施例1で用いたと同じ安定剤Sを実施例1の乳剤A−
9rを基準に、粒子表面積に合わせて変え、添加した。
得られた乳剤を乳剤B−4or、B−4mrそしてB−
4urとした。同様に、分光増感色素を変えることで緑
感性乳剤B−4og、B−4mgおよびB−4ug、青
感性乳剤B−4ob、B−4mbおよびB−4ubを調
製した。さらに、実施例1で調製した乳剤A−10と
は、添加が終了する最後の10分間にわたって、ヘキサ
シアノ鉄(II)酸カリウム15.9mgおよびヘキサク
ロロイリジウム(IV)酸カリウム0.03mgを添加し
たことと、添加が終了する最後の2分間にわたって沃化
カリウム1.0gを含む水溶液50mlを添加したこと
のみが異なる乳剤を調製し、乳剤B−5oとした。
【0177】乳剤B−5oとは、粒子形成の最初に添加
する硝酸銀と塩化ナトリウムの量を変え、形成される核
の個数を変えることで、球相当の直径で表した平均粒子
サイズ0.75μm、平均粒子厚み0.11μm、平均
アスペクト比が14.0の六角平板状粒子よりなる乳剤
B−5m、および、球相当の直径で表した平均粒子サイ
ズ0.52μm、平均粒子厚み0.09μm、平均アス
ペクト比11.3の六角平板状粒子よりなる乳剤B−5
uを調製した。ただし、化合物A、チオシアン酸カリウ
ムおよび分光増感色素の量は粒子表面積に比例させて、
また、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム、ヘキ
サシアノ鉄(II)酸カリウムおよびヘキサトリアゾロル
テニウム(II)酸カリウム四水塩の添加量は粒子体積に
反比例させて変化させた。
【0178】これらの乳剤に、実施例1で用いた化合物
I、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリ
ウムおよびモノ(ペンタフルオロフェニル)ジフェニル
ホスフィンセレニドを添加して分光増感および化学増感
の施された乳剤を得た。化学増感剤の添加量はそれぞれ
の乳剤で最適になるように調整した。化学増感終了後、
実施例1で用いたと同じ安定剤Sを実施例1の乳剤A−
10rを基準に、粒子表面積に合わせて変え、添加し
た。得られた乳剤を乳剤B−5or、B−5mrそして
B−5urとした。同様に、分光増感色素を変えること
で緑感性乳剤B−5og、B−5mgおよびB−5u
g、青感性乳剤B−5ob、B−5mbおよびB−5u
bを調製した。
【0179】さらに、実施例2の乳剤A−10δとは、
添加が終了する最後の10分間にわたって、ヘキサシア
ノ鉄(II)酸カリウム15.9mgおよびヘキサクロロ
イリジウム(IV)酸カリウム0.03mgを添加したこ
とと、添加が終了する最後の2分間にわたって沃化カリ
ウム1.0gを含む水溶液50mlを添加したことのみ
が異なる乳剤を調製し、乳剤B−6oとした。乳剤B−
6oとは、粒子形成の最初に添加する硝酸銀と塩化ナト
リウムの量を変え、形成される核の個数を変えること
で、球相当の直径で表した平均粒子サイズ0.75μ
m、平均粒子厚み0.11μm、平均アスペクト比が1
4.0の六角平板状粒子よりなる乳剤B−6m、およ
び、球相当の直径で表した平均粒子サイズ0.52μ
m、平均粒子厚み0.09μm、平均アスペクト比1
1.3の六角平板状粒子よりなる乳剤B−6uを調製し
た。ただし、化合物A、チオシアン酸カリウムおよび分
光増感色素の量は粒子表面積に比例させ、また、ヘキサ
クロロイリジウム(IV)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄
(II)酸カリウムおよびヘキサトリアゾロルテニウム
(II)酸カリウム四水塩の添加量は粒子体積に反比例さ
せて変化させた。これらの乳剤に、実施例1で用いた化
合物I、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナ
トリウムおよびモノ(ペンタフルオロフェニル)ジフェ
ニルホスフィンセレニドを添加して分光増感および化学
増感の施された乳剤を得た。化学増感剤の添加量はそれ
ぞれの乳剤で最適になるように調整した。化学増感終了
後、安定剤Sを実施例1の乳剤A−10rを基準に、粒
子表面積に合わせて変え、添加した。得られた乳剤を乳
剤B−6or、B−6mrそしてB−6urとした。同
様に、分光増感色素を変えることで緑感性乳剤B−6o
g、B−6mgおよびB−6ug、青感性乳剤B−6o
b、B−6mbおよびB−6ubを調製した。
【0180】次に、実施例1のシアンカプラー分散物と
同様にイエローカプラーおよび内蔵現像主薬を含有する
乳化分散物を調製した。イエローカプラー(m)8.9
5g、現像主薬(n)7.26g、現像主薬(c)1.
47g、被り防止剤(d)0.17g、被り防止剤
(o)0.28g、高沸点有機溶媒(p)18.29gお
よび酢酸エチル50.0mlを60℃で溶解した。石灰
処理ゼラチン18.0gおよびドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム0.8gを溶解した水溶液200g中に
先の溶液を混合し、ディゾルバー攪拌機を用いて100
00回転で20分間かけて乳化分散した。分散後、全量
が300gとなるように蒸留水を加え、2000回転で
10分間混合した。同様にマゼンタカプラーの分散物も
調製した。マゼンタカプラー(q)7.65g、マゼン
タカプラー(r)1.12g、現像主薬(b)8.13
g、現像主薬(c)1.05g、被り防止剤(d)0.
11g、高沸点有機溶媒(e)7.52gおよび酢酸エ
チル38.0mlを60℃で溶解した。石灰処理ゼラチ
ン12.2gおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム0.8gを溶解した水溶液150g中に先の溶液を
混合し、ディゾルバー攪拌機を用いて10000回転で
20分間かけて乳化分散した。分散後、全量が300g
となるように蒸留水を加え、2000回転で10分間混
合した。
【0181】
【化41】
【0182】
【化42】
【0183】さらに、フィルター層として中間層を着色
するための染料の分散物も同様に調製した。染料と、そ
れを分散するのに用いた高沸点有機溶媒とを下記に示
す。
【0184】
【化43】
【0185】これらの分散物と、先に調製したハロゲン
化銀乳剤を組み合わせて表7〜9の組成で支持体上に塗
布し、試料301〜306の多層カラー写真感光材料を
作成した。
【0186】
【表7】
【0187】
【表8】
【0188】
【表9】
【0189】これらの感光材料から試料片を切り出し、
実施例1と同じ条件で光学楔を介して200 luxで
1/100秒の露光を施した。露光後の感光材料の表面
に40℃の温水を15ml/m2付与し、処理材料P−1
と互いの膜面どうしを重ね合わせた後、ヒートドラムを
用いて86℃で17秒間熱現像した。P−1を剥離した
感光材料表面に10ml/m2の水を塗布し、処理材料P
−2と重ね合わせ、さらに50℃で30秒加熱した。処
理材料から剥がした感光材料の試料片には露光に対応し
たグレー発色画像が形成されていた。熱現像後に得られ
た発色試料のR、G、B透過濃度を測定し、所謂特性曲
線を作成し、これから青、緑そして赤感層に対応した最
低濃度(カブリ濃度)、相対感度、およびコントラスト
を求めた。感度は、処理後の最低濃度より光学濃度で
0.15高い濃度を与える露光量の逆数をもって感度と
し、試料301の各層の感度を100とした相対値で表
した。コントラストは、特性曲線上で感度を求めた点と
濃度2.0を与える点の傾き(γ)をもって表した。得
られた結果を表10に示す。
【0190】
【表10】
【0191】これらの結果から多層カラー写真感光材料
においても本発明の効果が得られることがわかる。すな
わち、試料301と302あるいは303を比べると、
本発明の金属錯体ドーパントを用いない乳剤で構成した
試料301は低感で、かつコントラストも低いが、本発
明の金属錯体ドーパントを用いた乳剤を用いた試料30
2および303では高感度が得られ、かつ高いコントラ
ストが得られる。また、高塩化銀よりなる平板状粒子を
用いた試料304から306でも、本発明の金属錯体ド
ーパントを用いた効果が顕著に認められる。
【0192】
【発明の効果】本発明のハロゲン化銀写真乳剤は、高感
度でありながら、高コントラストが得られ、良好な粒状
性を与える。このハロゲン化銀写真乳剤を用いた本発明
の感光材料は、上記乳剤の特性を生かした高画質の撮影
用感光材料であり、簡易なカラー画像形成に用いるのに
好適である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03C 1/09 G03C 1/09 1/42 1/42 7/392 7/392 Z 7/407 7/407 7/46 7/46 Fターム(参考) 2H016 AD02 BA00 BB01 BB02 BB03 BB04 BD00 BK00 2H023 AA00 BA02 BA03 BA04 BA05 CD06

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含まれるハロゲン化銀粒子の投影面積の
    50%以上がアスペクト比2以上で、且つ、粒子厚み
    0.2μm以下の平板状粒子で占められ、該粒子は臭化
    銀含有率が10%以上の相を有し、さらに該相中に金属
    錯体ドーパントを転位密度を増加させるに必要な量だけ
    含有していることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
  2. 【請求項2】 前記投影面積の50%以上が粒子厚み
    0.15μm以下であることを特徴とする、請求項1記
    載のハロゲン化銀写真乳剤。
  3. 【請求項3】 該臭化銀含有率が10%以上で、かつ金
    属錯体ドーパントを含有する相が、さらに1mol%以
    上の沃化銀を含有することを特徴とする、請求項1また
    は2記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  4. 【請求項4】 含有される金属錯体ドーパントが、金属
    原子の配位数の半分を超える数の複素環化合物(該複素
    環化合物がキレート化合物の場合にはその配位原子数)
    を配位子として有することを特徴とする、請求項1、2
    または3記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  5. 【請求項5】 含有される金属錯体ドーパントが、中心
    金属としてマグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
    ム、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバル
    ト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オ
    スミウム、イリジウム、白金、金、銅、亜鉛、カドミウ
    ムまたは水銀を有する錯体であることを特徴とする、請
    求項1、2、3または4記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載のハロ
    ゲン化銀乳剤を支持体上に有することを特徴とするハロ
    ゲン化銀写真感光材料。
  7. 【請求項7】 現像主薬を含有することを特徴とする、
    請求項6記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  8. 【請求項8】 支持体上に、ハロゲン化銀乳剤および現
    像主薬を含有するカラー写真感光材料であって、該ハロ
    ゲン化銀乳剤の少なくとも1種が、含まれるハロゲン化
    銀粒子の投影面積の50%以上がアスペクト比2以上
    で、且つ、粒子厚み0.2μm以下の平板状粒子で占め
    られ、該粒子は臭化銀含有率が10%以上の相を有し、
    さらに、金属原子の配位数の半分を超える数の、電荷を
    もたず、かつ、中心金属以外の金属または金属イオンと
    配位結合を形成しない有機化合物(配位子が多座配位子
    の場合は、中心金属の配位数の半分を超える数の配位原
    子が、電荷をもたず、かつ、中心金属以外の金属または
    金属イオンと配位結合を形成しない有機化合物)を、配
    位子として有する金属錯体ドーパントを粒子中に含有す
    ることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  9. 【請求項9】 支持体上に、ハロゲン化銀乳剤、現像主
    薬を含有するカラー写真感光材料であって、該ハロゲン
    化銀乳剤の少なくとも1種が、含まれるハロゲン化銀粒
    子の投影面積の50%以上がアスペクト比2以上で、且
    つ、粒子厚み0.2μm以下の平板状粒子で占められ、
    該粒子は臭化銀含有率が10%以上の相を有し、さら
    に、下記一般式A、BまたはCのいずれかで表される金
    属錯体ドーパントを粒子中に含有することを特徴とする
    ハロゲン化銀カラー写真感光材料。 一般式A 【化1】 一般式B 【化2】 一般式C 【化3】 式中のMは任意の中心金属または中心金属イオンを表
    す。L、L’およびL”は鎖式または環式の炭化水素を母
    体構造とするか、またはその母体構造の一部の炭素また
    は水素原子が他の原子または原子団によって置き換えら
    れた化合物を表し、L、L’およびL”はそれぞれのうち
    少なくとも一つの化合物が2つ以上の金属イオンに同時
    に配位することが出来る化合物を表す。但し、Lは中心
    金属または中心金属イオンに単座で配位する化合物、
    L’は中心金属または中心金属イオンに2座で配位する
    化合物、L”は中心金属または中心金属イオンに3座で
    配位する化合物をそれぞれ表し、各々の一般式において
    L、L’およびL”がそれぞれ複数のときは全て同一の化
    合物であっても異なる化合物であってもよい。中心金属
    または中心金属イオンにXは任意の配位子を表す。Cは4
    または6であり、Cが6の時、nは4、5または6、mは
    2または3であり、Cが4の時、nは3または4、mは2
    を表す。zは−6から+4までの整数(電荷数)を表す。
  10. 【請求項10】 支持体上に、ハロゲン化銀乳剤、現像
    主薬を含有するカラー写真感光材料であって、該ハロゲ
    ン化銀乳剤の少なくとも1種が、含まれるハロゲン化銀
    粒子の投影面積の50%以上がアスペクト比2以上で、
    且つ、粒子厚み0.2μm以下の平板状粒子で占めら
    れ、該粒子は臭化銀含有率が10%以上の相を有し、さ
    らに、金属原子の配位数の半分を超える数の、負電荷を
    持つことが可能である部位を有する有機化合物を、配位
    子として有する金属錯体ドーパントを粒子中に含有する
    ことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  11. 【請求項11】 含有される金属錯体ドーパントが、中
    心金属としてマグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
    ム、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバル
    ト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オ
    スミウム、イリジウム、白金、金、銅、亜鉛、カドミウ
    ムまたは水銀を有する錯体であることを特徴とする、請
    求項8、9または10記載のハロゲン化銀カラー写真感
    光材料。
  12. 【請求項12】 現像主薬として下記一般式(I)、
    (II)、(III)または(IV)で表される化合物を含有
    することを特徴とする、請求項7〜11のいずれか1項
    記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。 【化4】 式中、R1〜R4は水素原子、ハロゲン原子、アルキル
    基、アリール基、アルキルカルボンアミド基、アリール
    カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリー
    ルスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ
    基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルカルバ
    モイル基、アリールカルバモイル基、カルバモイル基、
    アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル
    基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル
    基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、
    アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、
    アリールカルボニル基またはアシルオキシ基を表し、R
    5はアルキル基、アリール基または複素環基を表す。Z
    は(複素)芳香環を形成する原子群を表し、Zがベンゼ
    ン環を形成するのに必要な原子群である場合、その置換
    基のハメット定数(σ)の合計値は1以上である。R6
    はアルキル基を表す。Xは酸素原子、硫黄原子、セレン
    原子またはアルキル置換もしくはアリール置換の3級窒
    素原子を表す。R7、R8は水素原子または置換基を表
    し、R7、R8が互いに結合して2重結合または環を形成
    してもよい。さらに、一般式(I)〜(IV)の各々には
    分子に油溶性を付与するため、炭素数8以上のバラスト
    基を少なくとも1つ含む。
  13. 【請求項13】 請求項6〜12のいずれか1項記載の
    感光材料を像様露光した後、支持体上に塩基および/ま
    たは塩基プレカーサーを含有する処理層を含む構成層を
    塗設した処理材料を用い、感光材料と処理材料の全塗布
    膜の最大膨潤に要する水の1/10から1倍に相当する
    水を感光材料と処理材料との間に存在させた状態で重ね
    合わせて60℃以上100℃以下の温度で且つ5秒以上
    60秒以内で加熱することにより感光材料中に画像を形
    成させることを特徴とするカラー画像形成方法。
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US6723496B2 (en) * 2000-02-22 2004-04-20 Fuji Photo Film Co., Ltd. Silver halide photographic material

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