JP2000337450A - 伝動ベルト及びその製造方法 - Google Patents
伝動ベルト及びその製造方法Info
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Abstract
ルトにおいて、短繊維の強度を損なうことなくその露出
面積を増大させ、耐摩耗性を向上する。 【解決手段】 合成繊維38の突出部40を塑性変形させ、
先端に向かって末広がり状の扇形に形成する。合成繊維
38の突出部40は、研削加工時に融点以下の温度にまでし
か加熱されず、非溶融状態に維持されている。合成繊維
38の突出部40はVリブ7の側面11から起立し、この側面1
1にはミクロな凹凸が形成されている。合成繊維38は、
20μm以上のフィラメント径を有するナイロンによっ
て形成されている。
Description
の製造方法に係り、特に、底ゴム部に短繊維が混入され
たVリブドベルトやVベルト等の伝動ベルト及びその製
造方法に関する。
7号公報に開示されているように、ベルトの摩擦伝動部
の耐側圧性及び耐摩耗性を向上すると共にベルト走行時
の異音発生を防止することを目的に、短繊維群をベルト
幅方向への配向性を保った状態で底ゴム部に混入し、当
該短繊維群の一部を底ゴム部の表面から突出させるよう
にした伝動ベルトが知られている。
も、底ゴム部の表面に占める短繊維群の突出部の面積が
小さいと、ゴムとプーリとが直接接する面積が大きくな
るため、耐摩耗性はさほど向上しない。
では、研削時の加工温度を高め、研削に際しての発熱に
より短繊維の先端を溶融した状態にしている。これによ
り、図10に示すように、短繊維100の露出部101は花が
咲いたような状態になり、短繊維100の露出面積が増大
する。
状態にすると、繊維の分子構造が変化するため、その強
度は低下する。そのため、上記伝動ベルトでは、短繊維
の露出面積が増大しているにもかかわらず、ベルトの耐
摩耗性が十分に向上しているとは言い難かった。
であり、その目的とするところは、短繊維の強度を保っ
たままその露出面積を増大させることにより、ベルトの
耐摩耗性を向上させることにある。
に、本発明は、短繊維を塑性変形させて偏平形状に形成
することとした。
底ゴム部に短繊維群が所定方向に配向されるように混入
され、該底ゴム部の表面から該短繊維群の一部が突出し
ている伝動ベルトであって、短繊維の突出部は、塑性変
形した状態で偏平に形成されていることとしたものであ
る。
ていないので、短繊維の本来の強度は維持される。ま
た、短繊維の突出部は外力により塑性変形して偏平に形
成されているので、断面が円形である場合に比べて露出
面積が大きくなる。従って、ベルトの耐摩耗性が向上す
る。
り状の扇形に形成されていてもよい。
状の具体的構成が得られる。
た短繊維が底ゴム部の表面に向かって倒れやすいため、
異音の防止に効果的と考えられている表面凹凸が形成さ
れにくかった。そのため、異音が発生しやすかった。
部の表面から起立していることが好ましい。これによ
り、底ゴム部の表面に、起立した突出部を凸部とし、短
繊維の底ゴム部への埋入部分を凹部とするミクロな凹凸
が形成され、異音の発生が防止される。
の合成繊維により構成されていることが好ましい。これ
により、好適な短繊維が得られる。
ゴム部の表面から短繊維群が突出している伝動ベルトの
製造方法であって、短繊維群が所定方向に配向されるよ
うに混入された底ゴム部を、砥粒径の50%〜95%が
突出した超砥粒を有する砥石によって研削する工程を含
んでいることとしたものである。
によって研削方向に傾斜し、超砥粒との干渉によって繊
維の表面に発生した応力が解放されることによって、繊
維の先端が湾曲し、塑性変形を伴って幅方向に広がりな
がら、その一部が引きちぎられるように除去され、偏平
形状となる。また、超砥粒の突出量が大きいため、砥石
のボンド部とベルトの底ゴム部との接触が防止され、摩
擦熱の発生が抑制される。そのため、研削に際して短繊
維の露出部はあまり加熱されず、その溶融が防止され
る。従って、短繊維の突出部が塑性変形した伝動ベルト
を容易に得ることができる。
は、底ゴム部の表面から短繊維群が突出している伝動ベ
ルトの製造方法であって、短繊維群が所定方向に配向さ
れるように混入された底ゴム部を、砥粒密度が3.5%
〜55%の超砥粒を有する砥石によって研削する工程を
含んでいることとしたものである。
いためにチップポケットが大きくなり、研削切り粉が排
出されやすくなる。そのため、切り粉による目詰まりが
起こりにくいので、研削に際しての発熱が抑制される。
従って、短繊維の突出部が非溶融状態に維持されるとと
もに塑性変形した伝動ベルトを容易に得ることができ
る。
は、底ゴム部の表面から短繊維群が突出している伝動ベ
ルトの製造方法であって、短繊維群が所定方向に配向さ
れるように混入された底ゴム部を、砥粒径の50%〜9
5%が突出し且つ砥粒密度が3.5%〜55%の超砥粒
を有する砥石によって研削する工程を含んでいることと
したものである。
ため、砥石のボンド部とベルトの底ゴム部との接触が防
止され、摩擦熱の発生が抑制される。加えて、超砥粒の
砥粒密度が小さいことからチップポケットが大きくな
り、研削切り粉が排出されやすくなる。そのため、切り
粉による目詰まりが防止され、研削に際しての発熱が抑
制される。従って、短繊維の突出部が非溶融状態に維持
されるとともに塑性変形した伝動ベルトを容易に得るこ
とができる。
に基づいて説明する。
伝動ベルト10の断面形状を示している。本伝動ベルト10
は、自動車の補機類の駆動装置やその他の一般産業用途
に用いられるVリブドベルトである。
る抗張体2が、ベルト幅方向(図1の左右方向)に等間
隔に並んだ状態で埋設されている。接着ゴム層4の上面
側、すなわちベルト外面側には、帆布層5が設けられて
いる。接着ゴム層4の下面側、すなわちベルト内面側に
は、ベルト長さ方向に延びるVリブ7が、ベルト幅方向
に複数設けられている。なお、このVリブ7は、本発明
で言うところの「底ゴム部」に対応する。接着ゴム層4
及びVリブ7は、例えばクロロプレンゴム、H−NBR
ゴム、CSMゴム、天然ゴム、SBRゴム、ブタジエン
ゴム、EPM、EPDMなどから形成することができ
る。
所定方向への配向性を保った状態で埋設されている。具
体的には、合成繊維38,38,…はベルト幅方向への配向性
を保ったまま埋設されている。合成繊維38としては、塑
性変形しやすい繊維、例えば、20μm以上のフィラメ
ント径を有するナイロン、ビニロン、ポリエステル等を
好適に用いることができる。
設された合成繊維38の一部は、Vリブ7の側面11から突
出している。合成繊維38の突出部40は、先端に向かって
末広がり状の扇形に形成され、偏平になっている。この
扇形の角部は丸みを帯びており、滑らかな曲面状に形成
されている。また、合成繊維38の突出部40は、非溶融状
態に維持され、その先端は波形に形成されている。図3
に示すように、合成繊維38の突出部40の根元は、Vリブ
7の側面11から起立している。言い換えると、合成繊維3
8は、Vリブ7の側面11に対してほぼ直立した状態になっ
ている。これにより、Vリブ7の側面11には、起立した
根元部分から先端側を凸部とし、Vリブ7への埋入部分
を凹部とするミクロな凹凸が形成されている。なお、突
出部40の長さは、例えば5μm〜30μmである。
ト、抗張体2となるコード、及び合成繊維38を混合した
未加硫ゴムシート等を順に積層し、これらを加熱加硫し
て円筒状のベルト成形体を得る。
形体19を駆動機構20の主ロール22とテンションロール23
との間に巻き掛け、当該駆動機構20により走行させる。
なお、24Aはガイドロールである。そして、砥石21を回
転駆動しつつ、走行中の上記ベルト成形体19に押しつけ
ることにより、ベルト成形体19の研削加工を行う。これ
により、埋設した合成繊維38の一部は、偏平形状となっ
てVリブ7の側面11から突出する。具体的には、合成繊
維38が砥粒との干渉によって研削方向に傾斜し、砥粒と
の干渉によって繊維の表面に発生した応力が解放される
ことによって繊維の先端が湾曲し、塑性変形を伴って幅
方向に広がりながら、その一部が引きちぎられるように
除去される。
力等を調節することにより、合成繊維38の突出部40の偏
平の程度や、先端の波形状を調節することが可能であ
る。
の周面に、ダイヤモンド砥粒24を電気メッキ、ろう付
け、焼き付け等により固定した構造のものを使用するこ
とが好ましい。ただし、砥粒はダイヤモンド砥粒に限定
されるものではなく、CBN等の他の超砥粒を用いるこ
とも可能である。図5(a)は、研削ホイール25の周面
の一部を垂直方向から投影した図であり、図5(b)は
図5(a)のA−A線断面図である。これら図5(a)
及び(b)に示すように、研削ホイール25(図4参照)
の周面には、接着剤(メタルボンド、ニッケルボンド
等)が層状に薄く引き伸ばされて塗布され、ボンド部26
が形成されている。
均等に配置され、接着されている。砥粒24の粒径は、#
30〜#200が好ましく、本実施形態では#140に
設定されている。ボンド部26からの砥粒24の突出量は、
砥粒24の全体高さの50%〜95%とすることが好まし
い。なお、本実施形態では砥粒24の突出量は80%に設
定されている。砥粒24の砥粒密度(研削面に占める砥粒
の表面積の割合)は3.5%〜55%が好ましく、本実
施形態では45%に設定されている。
00〜2000m/minの周速で回転させることが好
ましく、本実施形態では周速は1000m/minとし
た。砥石21の周速Vsに対するベルトの周速Vwの比で
ある研削速度比Vs/Vwは、0.002〜0.04が
好ましく、本実施形態では0.004とした。
突出部40が偏平形状に形成されているので、Vリブ7の
側面11に対する合成繊維38の見かけ上の面積は、突出部
の断面形状が円形である場合に比べて大きい。また、合
成繊維38の突出部40の先端が波形に形成されていること
から、先端が平坦である場合に比べて、合成繊維38の表
面積は更に増大している。従って、本Vリブドベルト10
は耐摩耗性が大きい。
溶融状態に維持されているので、突出部40において合成
繊維本来の強度が維持されている。従って、合成繊維38
の突出部40は摩耗しにくく、ベルトの耐摩耗性は更に向
上している。
に形成されているので、Vリブ7の側面11に対する面圧
が大きい場合であっても、また、面圧が不均一な場合で
あっても、安定した摺動抵抗を得ることができる。
側面11に対して起立しているため、ベルトとプーリとの
間の摺動部に水や油等が混入した場合であっても、それ
らは突出部40の根元の間を伝って容易に排出される。そ
のため、摺動部に水等が混入した場合であっても、摺動
抵抗は安定する。
粒径の50%〜95%が突出した超砥粒を用いて行うこ
ととしたので、研削に際してボンド部26とVリブ7との
接触が起こりにくい。そのため、摩擦による発熱が少な
い。また、砥粒24は比較的熱伝導率の高いダイヤモンド
で形成されているので、研削時に生じる熱は研削ホイー
ル25側に逃げやすい。従って、合成繊維38の突出部40の
温度は溶融する程度(融点)にまでは上昇せず、合成繊
維38の非溶融状態は維持される。
5%と比較的粗いので、砥粒の間の隙間、すなわちチッ
プポケットは大きくなる。そのため、研削に際して切り
粉による目詰まりが起こりにくい。従って、目詰まりに
起因する発熱が抑制され、合成繊維38の突出部40の非溶
融状態は維持されやすくなる。
ブドベルトとを比較した性能比較試験について説明す
る。なお、Vリブドベルト10の合成繊維38としては、2
0〜25phrのナイロンを用いた。従来のVリブドベ
ルトとしては、短繊維の露出部を花が咲いたように溶融
状態にしたものを用いた。
ち、、図6に示すように、試料ベルト32に案内ローラ33
を介して重量Wのウエイトを垂下させ、ロードセル31の
ロードセル値を検出することによってベルトの張り側の
張力T1及び緩み側の張力T2を検出し、これらの比
(張力比)T1/T2の経時変化を算出することにより
行った。なお、張力比T1/T2は、摩擦係数μ=(1
/π)ln(T1/T2)の大小を示すものである。案
内ローラ33の回転数は43rpmとし、重量Wは1.7
5kgとした。
ベルト10では、初期状態(新品時)と24時間連続走行
後の状態(走行劣化時)との間で張力比T1/T2はほ
とんど変動せず、従来に比べて変動量が著しく減少する
ことが明らかになった。また、100℃の高温条件及び
高荷重条件下においても同様の測定を行った結果、従来
のベルトでは、通常条件下の場合に比べて張力比T1/
T2が相当大きくなるのに対し、本Vリブドベルト10で
は張力比T1/T2はあまり増加せず、また、その経時
変化も少ないことが明らかになった。これは、従来のベ
ルトでは、短繊維が溶融部分から急速に摩耗し、その表
面積が著しく減少するのに対し、本Vリブドベルト10で
は、合成繊維38の突出部40が非溶融状態にあるので、高
温及び高負荷条件下においても合成繊維38の強度は維持
され、その表面積があまり減少しないことが主な原因で
あると考えられる。
ムの屈折率の経時変化を示す。図8より、本Vリブドベ
ルト10では、従来のベルトに比べて屈折率の経時変化が
小さいことが分かる。
定されるものではなく、他の種類のVリブドベルトであ
ってもよい。例えば、図9に示すような結合型Vリブド
ベルト10Aであってもよい。また、Vベルト等の他の伝
動ベルトであってもよい。
の突出部が塑性変形した状態で偏平に形成されているの
で、短繊維の本来の強度を維持することができると共に
露出面積を大きく確保することができるので、ベルトの
耐摩耗性を向上させることができる。
状の扇形に形成することにより、短繊維の突出部を露出
面積の大きな偏平形状に形成することができる。
表面から起立するように形成することにより、底ゴム部
の表面にミクロな凹凸を形成することができ、これによ
り異音の発生を防止することができる。
合成繊維で構成することにより、上記効果を奏する好適
な具体的構成を得ることができる。
を有する砥石によって、短繊維が混入された底ゴム部を
研削することにより、ボンド部とベルトの底ゴム部との
接触を防止することができ、摩擦熱の発生を抑制するこ
とができる。従って、短繊維を塑性変形させ、非溶融状
態を保ったまま底ゴム部表面から突出させることが容易
になる。
が3.5%〜55%の超砥粒を有する砥石によって研削
することにより、切り粉による目詰まりを防止し、研削
に際しての発熱を抑制することができる。従って、短繊
維を塑性変形させ、非溶融状態を保ったまま底ゴム部表
面から突出させることが容易になる。
50%〜95%が突出し且つ砥粒密度が3.5%〜55
%の超砥粒を有する砥石によって研削することにより、
ボンド部と底ゴム部との摩擦熱及び切り粉の目詰まりに
よる発熱を抑制することができる。従って、短繊維を塑
性変形させ、非溶融状態を保ったまま底ゴム部表面から
突出させることが容易になる。
る。
る。
示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線断面図で
ある。
Claims (7)
- 【請求項1】 底ゴム部に短繊維群が所定方向に配向さ
れるように混入され、該底ゴム部の表面から該短繊維群
の一部が突出している伝動ベルトであって、 短繊維の突出部は、塑性変形した状態で偏平に形成され
ている伝動ベルト。 - 【請求項2】 短繊維の突出部は、先端に向かって末広
がり状の扇形に形成されている請求項1に記載の伝動ベ
ルト。 - 【請求項3】 短繊維の突出部は、根元が底ゴム部の表
面から起立している請求項1又は2のいずれか一つに記
載の伝動ベルト。 - 【請求項4】 短繊維は、フィラメント径が20μm以
上の合成繊維により構成されている請求項1〜3のいず
れか一つに記載の伝動ベルト。 - 【請求項5】 底ゴム部の表面から短繊維群が突出して
いる伝動ベルトの製造方法であって、 短繊維群が所定方向に配向されるように混入された底ゴ
ム部を、砥粒径の50%〜95%が突出した超砥粒を有
する砥石によって研削する工程を含んでいる伝動ベルト
の製造方法。 - 【請求項6】 底ゴム部の表面から短繊維群が突出して
いる伝動ベルトの製造方法であって、 短繊維群が所定方向に配向されるように混入された底ゴ
ム部を、砥粒密度が3.5%〜55%の超砥粒を有する
砥石によって研削する工程を含んでいる伝動ベルトの製
造方法。 - 【請求項7】 底ゴム部の表面から短繊維群が突出して
いる伝動ベルトの製造方法であって、 短繊維群が所定方向に配向されるように混入された底ゴ
ム部を、砥粒径の50%〜95%が突出し且つ砥粒密度
が3.5%〜55%の超砥粒を有する砥石によって研削
する工程を含んでいる伝動ベルトの製造方法。
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US09/932,967 US6679962B2 (en) | 1999-05-24 | 2001-08-21 | Method for fabricating power transmission belt including grinding with specified grinding wheel |
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CN111788093A (zh) * | 2018-02-06 | 2020-10-16 | 费阿玛股份公司 | 驶上装置 |
-
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