JP2003202055A - Vリブドベルト - Google Patents

Vリブドベルト

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JP2003202055A
JP2003202055A JP2002001655A JP2002001655A JP2003202055A JP 2003202055 A JP2003202055 A JP 2003202055A JP 2002001655 A JP2002001655 A JP 2002001655A JP 2002001655 A JP2002001655 A JP 2002001655A JP 2003202055 A JP2003202055 A JP 2003202055A
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ribbed belt
short fibers
weight
parts
belt
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JP2002001655A
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Eijiro Nakajima
栄二郎 中嶋
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Bando Chemical Industries Ltd
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Bando Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 心線4が埋設されたベルト本体1の下面にベ
ルト長さ方向に延びる複数のリブ部3a,3a,…が一
体的に形成されたVリブドベルトBを回転変動や負荷の
大きい自動車エンジンの補機駆動用として使用した場合
に、降雨等の注水によって発生する異音を小さくするよ
うにする。 【解決手段】 VリブドベルトBの少なくとも各リブ部
3aに、綿短繊維と、各リブ部3aを構成する主体ゴム
の弾性率及び綿短繊維の弾性率の中間の弾性率を有する
ナイロン短繊維と、亜鉛粉末とを含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Vリブドベルトに
関し、特に注水時の異音を小さくする技術分野に属す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車に掲載されるエンジンによ
りその補機で駆動するための伝動用ベルトとして、高伝
動能力を有しかつ長寿命であるとの理由によりVベルト
に代えてVリブドベルトが一般に用いられている。この
Vリブドベルトは、心線が埋設されたベルト本体の下面
にベルト長さ方向に延びる複数のリブ部が一体的に接合
されたものである。
【0003】このようなVリブドベルトを回転変動や負
荷の大きいエンジンの補機駆動系に使用した場合には、
降雨等による注水時にベルトとプーリとが滑り、異音を
発することがある。これは、注水直後のベルトの動摩擦
係数μ’(以下、単に摩擦係数という)は通常時に比べ
非常に低下するが、ある程度時間が経過して乾き始める
と、かえって摩擦係数が高くなるために発生すると考え
られている。すなわち、注水直後にはベルトとプーリと
の間に水が介在して摩擦係数が低下するが、それが乾き
始めると急激に摩擦係数が上がり、水が介在する摩擦係
数の非常に低い状態と、水が乾いて摩擦係数の非常に高
い状態とが混在して滑りと密着とを交互に繰り返すステ
ィックスリップ現象が生じるため、上記異音が発生する
のである。
【0004】そこで、従来、例えば特開2001−16
5244号公報に示されるように、クロロプレンゴム
(CR)を主体ゴムとするVリブドベルトのリブ部に、
綿短繊維、パラ系アラミド短繊維、ナイロン短繊維等を
含有させて、これらの短繊維をリブ部側面から突出さ
せ、この突出したパラ系アラミド短繊維をフィブリル化
させることで、注水時の微小滑りを抑え、異音の発生を
抑えるようにしたVリブドベルトが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記提案のも
のでは、パラ系アラミド短繊維は非常に弾性率が高く
(約70000MPa)、その含有率を大きくするとベ
ルト自体の剛性が大きくなりすぎ、かえってスリップや
鳴きが生じるという問題があった。
【0006】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、Vリブドベルトのリブ
部の構成を工夫することにより、注水時の濡れた状態か
ら乾燥した状態への移行に伴う摩擦係数をスムーズに変
化させることにより、回転変動や負荷の大きいエンジン
の補機駆動系等にVリブドベルトを使用した場合であっ
ても、その注水時の異音を小さくせんとすることにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明では、Vリブドベルトのリブ部に綿短繊
維と、リブ部を構成する主体ゴムの弾性率及び綿短繊維
の弾性率の中間の弾性率を有する短繊維とを含有させる
ようにした。
【0008】具体的には、請求項1の発明では、心線が
埋設されたベルト本体の下面にベルト長さ方向に延びる
複数のリブ部が一体的に形成されたVリブドベルトであ
って、少なくとも各リブ部には、綿短繊維と、各リブ部
を構成する主体ゴムの弾性率及び綿短繊維の弾性率の中
間の弾性率を有する中間短繊維とが含有される構成とす
る。
【0009】上記の構成によると、Vリブドベルトの各
リブ部に綿短繊維が含有されているため、注水時に低下
した摩擦係数が回復するときに、この綿短繊維により水
を吸収させて濡れた状態から乾燥した状態への移行に伴
う摩擦係数の変化がスムーズに行われる。また、各リブ
部には、綿短繊維の他に、綿短繊維とリブ部の主体ゴム
との間の弾性率を持つ中間短繊維が含有されており、各
リブ部は、主体ゴムを含めて3種類以上の摩擦係数を有
するものからなっているため、急激なスティックスリッ
プ現象を抑制し、滑りと密着との繰り返しを防いで異音
の発生を抑えることができる。
【0010】請求項2の発明では、各リブ部には、主体
ゴム100重量部に対して綿短繊維が5〜20重量部
(5重量部以上でかつ20重量部以下)含有され、かつ
中間短繊維が1〜15重量部(1重量部以上でかつ15
重量部以下)含有される構成とする。
【0011】上記構成によると、主体ゴム100重量部
に対して綿短繊維が5重量部以上含有され、かつナイロ
ン短繊維が1重量部以上含有されているため、Vリブド
ベルトの注水異音を抑えることができる一方、含有率の
上限が綿短繊維については20重量部に、またナイロン
短繊維については15重量部にそれぞれ抑えられている
ため、Vリブドベルトの成形時に各短繊維を均一に分散
させることができる。従って、各リブ部における各短繊
維の含有率を上記のように特定することで、上記請求項
1の発明の作用効果を奏し得るVリブドベルトが安定し
て得られる。
【0012】請求項3の発明では、各リブ部の主体ゴム
はEPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)とす
る。この構成によると、EPDMは耐熱性及び耐候性に
優れ、かつ低コストであるため、注水時の異音の発生を
抑えることができるのに望ましいVリブドベルトが容易
に得られる。
【0013】請求項4の発明では、中間短繊維はナイロ
ン短繊維とする。この構成によると、安価なナイロン短
繊維を使用しているため、製造コストを削減できる。
【0014】請求項5の発明では、少なくとも各リブ部
に亜鉛粉末が含有される構成とする。この構成による
と、少なくとも各リブ部には亜鉛粉末が含有されている
ため、Vリブドベルト自体の比重を重くすることで、V
リブドベルトの固有振動数を下げることができる。従っ
て、固有振動数をずらせることにより、Vリブドベルト
の共振を避けることができ、異音の発生がさらに有効に
抑えられる。
【0015】請求項6の発明では、上記亜鉛粉末は、各
リブ部の主体ゴム100重量部に対して5〜20重量部
(5重量部以上でかつ20重量部以下)含有される構成
とする。この構成によると主体ゴム100重量部に対し
て亜鉛粉末が5重量部以上含有されているため、Vリブ
ドベルトの固有振動数を効果的に変化させることができ
る。一方、その含有率が主体ゴム100重量部に対して
20重量部以下に限定されているため、Vリブドベルト
の成形時に各構成要素の分散を妨げることはなく、しか
も各リブ部を研削加工する際の硬度の上昇による研削性
の低下を防ぐことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係
るVリブドベルトBを示す。このVリブドベルトBは、
図示しないが、例えば自動車に搭載されるエンジンによ
りその補機を駆動する補機駆動系に用いられるもので、
ベルト本体1と、このベルト本体1の上面(背面)側に
一体的に形成された背面帆布層2とを備え、上記ベルト
本体1のベルト厚さ方向中心には、略ベルト長さ方向に
延びかつベルト幅方向に所定ピッチをあけて並ぶように
螺旋状に巻かれた心線4が埋設されている。また、ベル
ト本体1の下面(底面)側にはリブゴム層3が形成さ
れ、このリブゴム層3の下面側にはそれぞれベルト長さ
方向に延びる3つのリブ部3a,3a,…がベルト幅方
向に所定ピッチで並んだ状態で一体的に設けられてい
る。
【0017】上記ベルト本体1は、エチレンプロピレン
ジエンモノマー(EPDM)等のゴム組成物からなり、
心線4を保持するゴム層としての役割を担っている。
【0018】また、上記背面帆布層2は、ナイロンや綿
等の織布にゴムを溶剤に溶かしたゴム糊による接着処理
が施されてベルト本体1背面に貼付されており、ベルト
背面がフラットなプーリに当接するように巻き掛けられ
た場合の動力伝達の一端を担っている。
【0019】そして、上記心線4はポリビニルアルコー
ル(PVA)繊維等からなる。心線4の総デニール数は
5000〜8000であり、構成は特に限定されるもの
ではないが、例えば1000de/2×3構成の撚り糸
等が用いられる。
【0020】上記各リブゴム層3は、主体ゴムとしてE
PDMを含むゴム組成物からなる。このEPDMは耐熱
性及び耐候性に優れ、かつコスト面で有利である。そし
て、例えばVリブドベルトBが上記補機駆動系の補機駆
動用プーリ(図示せず)に巻き掛けられた際、このリブ
ゴム層3の各リブ部3aがプーリに当接し、動力伝達の
主体となる。
【0021】そして、本発明の特徴として、上記各リブ
部3aを含むリブゴム層3には、短繊維3b,3b,…
がベルト幅方向に配向された状態で含有され、この短繊
維3b,3b,…は綿繊維及び中間短繊維としてのナイ
ロン繊維を混在させたものである。また、各リブ部3a
には、上記短繊維3b,3b,…に加え、亜鉛粉末(図
示せず)が混入されている。
【0022】具体的には、各リブ部3aに短繊維3b,
3b,…として、主体ゴム100重量部に対して弾性率
9000〜13000MPaの綿短繊維が5〜20重量
部含有され、かつ弾性率700〜3000MPaのナイ
ロン短繊維が1〜15重量部含有されている。さらに、
亜鉛粉末は主体ゴム100重量部に対して5〜20重量
部含有されている。ここで、各リブ部3aの主体ゴムを
構成するEPDMの弾性率が100〜500MPaであ
ることから、ナイロン短繊維の弾性率700〜3000
MPaは主体ゴムの弾性率100〜500MPaと綿短
繊維の弾性率9000〜13000MPaとの中間の値
となっている。
【0023】従って、この実施形態においては、Vリブ
ドベルトBの各リブ部3aに短繊維3bの一部をなす綿
短繊維が適量含有されているため、VリブドベルトBに
降雨等による注水が発生して低下した摩擦係数が回復す
るときに、この綿短繊維により水を吸収させて濡れた状
態から乾燥した状態への移行に伴う摩擦係数の変化がス
ムーズに行われる。また、各リブ部3aには、上記綿短
繊維の他に、残りの短繊維3bとして該綿短繊維とリブ
部3aの主体ゴムとの間の弾性率を持つナイロン短繊維
が含有されており、各リブ部3aは、その主体ゴムを含
めて3種類以上の摩擦係数を有するものからなっている
ため、上記注水後の急激なスティックスリップ現象を抑
制し、滑りと密着との繰り返しを防いで異音の発生を抑
えることができる。
【0024】また、VリブドベルトBの主体ゴム100
重量部に対して上記綿短繊維が5重量部以上含有され、
かつナイロン短繊維が1重量部以上含有されているた
め、VリブドベルトBの注水異音を抑えることができる
一方、含有率の上限が綿短繊維については20重量部
に、またナイロン短繊維については15重量部にそれぞ
れ抑えられているため、VリブドベルトBの成形時に各
短繊維を均一に分散させることができる。このように、
各リブ部3aにおける各短繊維の含有率を特定すること
で、本願発明の作用効果を奏し得るVリブドベルトBが
安定して得られる。
【0025】また、上記短繊維3bの一部をなすナイロ
ン短繊維は安価であるため、VリブドベルトBの製造コ
ストを削減できる。
【0026】さらに、各リブ部3aに亜鉛粉末が含有さ
れているため、VリブドベルトB自体の比重を重くする
ことで、VリブドベルトBの固有振動数を下げることが
できる。従って、固有振動数をずらせることで、Vリブ
ドベルトBの共振を避けることができ、上記短繊維3
b,3b,…の効果と相俟って異音の発生がさらに有効
に抑えられる。
【0027】そして、亜鉛粉末は、主体ゴム100重量
部に対して5重量部以上含有されているため、ベルトの
固有振動数を効果的に変化させることができる。一方、
その含有率が主体ゴム100重量部に対して20重量部
以下に限定されているため、成形時に各構成要素の分散
を妨げることはなく、しかも各リブ部3aを研削加工す
る際の硬度の上昇による研削性の低下を防ぐことができ
る。
【0028】
【実施例】次に、具体的に実施した実施例について説明
する。
【0029】(摩擦係数評価)まず、VリブドベルトB
に短繊維を含有させることによる摩擦係数の違いを評価
した。実施例1のVリブドベルトBとして、上記実施形
態と同様の含有率で各リブ部3aに綿短繊維及びナイロ
ン短繊維を含有するものを使用した。同様に比較例1と
して、上記実施例1とは各リブ部3aに綿短繊維が含有
されていない点以外はすべて同じ条件で成形されたVリ
ブドベルトBを使用した。これらのVリブドベルトBを
図2に示す実験装置に装着して荷重をかけた状態で注水
し、摩擦係数の時間的な変化を測定した。
【0030】具体的には、有端のVリブドベルトBを、
エンジンの補機駆動系をなすVリブドプーリからなる外
径140mmのクランクプーリ10にVリブドベルトB
に水平部と垂直部とが形成されるように90°の角度で
巻き掛け、このVリブドベルトBの垂直部の下端に荷重
W=17.2Nのウェイト11を吊下げ、水平部の先端
にロードセル12を接続し、そのプーリ10をVリブド
ベルトBの水平部の張力が増大するように回転数20r
pmにて回転させた。そして、回転を開始して1分経過
後にプーリ10に注水し摩擦係数の時間的な変化を調べ
た。
【0031】図3には、そのときの実施例1及び比較例
1のVリブドベルトBにかかる摩擦力F[N]の時間的変
化がそれぞれ示されている。このデータより摩擦係数を
次式より求めることができる。 μ’=ln(F/W)×(2/π)
【0032】図3に示すように、比較例1のVリブドベ
ルトBでは注水後、低下した摩擦係数が1分強経過した
後で回復し始めてその後に一気に増大しているのに対
し、実施例1のVリブドベルトBでは2分強経過した後
に摩擦係数が回復し始め、さらに一定時間摩擦係数が一
定に保持された後(図3の「中間段階」)、増大してい
ることが判る。このことにより、実施例1のVリブドベ
ルトBが濡れた状態から乾燥した状態へ摩擦係数が緩や
かに移行できることが判明した。
【0033】すなわち、摩擦係数は弾性率が大きいほど
小さくなる傾向があるため、実施例1のVリブドベルト
Bが綿短繊維と、各リブ部3aを構成する主体ゴムの弾
性率及び綿短繊維の弾性率の中間の弾性率を有するナイ
ロン短繊維とを含むことにより、各リブ部3aにはゴム
を含めて3種類以上の摩擦係数を有するものからなるこ
ととなる。このため、VリブドベルトBがプーリ10と
の急激なスティックスリップ現象を抑制し、滑りと密着
との繰り返しを防いで異音の発生を抑えることができる
ことが判った。
【0034】(短繊維含有率評価)次に、Vリブドベル
トBにおける短繊維の含有率による注水時の異音レベル
の差違を評価した。上記実施形態のVリブドベルトBに
おいて、綿短繊維及びナイロン短繊維のそれぞれの含有
率を変えたものを用意した。これを回転変動や負荷の大
きい自動車用エンジン(図示せず)の補機駆動系に装着
して注水による異音レベルの変化を調べた。尚、異音の
発生はエンジンの低回転時に最もよく目立つため、アイ
ドリング状態で試験を行った。
【0035】具体的には、ナイロン短繊維の含有率を主
体ゴム100重量部に対して0,5,10,15重量部
の4通りに分け、その各々について綿短繊維の含有率を
0,5,10,15,20の5通りに分けてVリブドベ
ルトBを成形した。そして、それらのVリブドベルトB
をそれぞれ上記エンジンの補機駆動系に装着し、アイド
リング状態で注水を行って、そのときの異音レベルを比
較した結果を図4に示す。
【0036】図4に示すように、ナイロンの含有率ごと
に綿短繊維の含有率の違いによる注水時の異音レベルに
差違が見られた。尚、異音レベルは0(なし)〜5(特
大)に分けて観測した。
【0037】これによると、ナイロン短繊維の含有率は
0重量部よりも大きければ、注水時の異音レベルがほぼ
同等に下がっていることが判る。また、綿短繊維の含有
率は5重量部以上あれば、異音レベルが顕著に下がって
いることが判る。
【0038】従って、VリブドベルトBの各リブ部3a
が、主体ゴム100重量部に対して綿短繊維を5〜20
重量部含有し、かつ中間短繊維を1〜15重量部含有す
ることで、注水時の異音を効果的に抑え得ることが裏付
けられた。
【0039】尚、各繊維の主体ゴム100重量部に対す
る含有率の上限は、綿短繊維については20重量部に、
またナイロン短繊維については15重量部に抑えている
ため、成形時に各短繊維を均一に分散させることができ
た。
【0040】(亜鉛評価)さらに、VリブドベルトBに
亜鉛を含有させることによる注水時の異音レベルの違い
を評価した。実施例2のVリブドベルトBとして、上記
実施形態と同様の含有率で綿短繊維、ナイロン短繊維及
び亜鉛粉末を含有するものを使用した。比較例2とし
て、ナイロン繊維のみが含有されたものを、また比較例
3としてナイロン短繊維及び綿短繊維が含有されたもの
を、さらに比較例4としてナイロン短繊維及び亜鉛粉末
が含有されたものをそれぞれ使用した。これらをそれぞ
れ回転変動や負荷の大きい自動車用エンジンの補機駆動
系に装着し、アイドリング状態でベルト張力を変化させ
て注水を行い、そのときの異音レベルを調査した結果を
図5にまとめて示す。
【0041】この図5に示すように、亜鉛粉末及びナイ
ロン短繊維を含む比較例4はナイロン短繊維のみが含有
された比較例2に比べ、同じ異音レベルでのベルト張力
が低下していることが判る。また、亜鉛粉末、ナイロン
短繊維及び綿短繊維を含む実施例2は、ナイロン短繊維
及び綿短繊維のみを含むが亜鉛粉末は含まない比較例3
と比べて、同じ異音レベルでのベルト張力が低下してい
ることが判る。
【0042】通常、張力が下がると異音が発生しやすく
なるため、上記結果より亜鉛粉末を含有させることで異
音の発生が抑えられていることが判った。
【0043】すなわち、主体ゴム100重量部に対して
亜鉛粉末を5〜50重量部含有させることで、Vリブド
ベルトB自体の比重が1〜10重量部増加し、Vリブド
ベルトBの固有振動数が0.5〜5%下がっており、こ
のことでVリブドベルトBの共振点が低下し、エンジン
特有の異音発生回転数を避けることで異音の発生が抑え
られている。
【0044】従って、VリブドベルトBの各リブ部3a
が、主体ゴム100重量部に対して綿短繊維を5〜20
重量部含有し、中間短繊維を1〜15重量部含有し、さ
らに亜鉛粉末を5〜20重量部含有させることで注水時
の異音を最も効果的に抑え得ることが裏付けられた。
【0045】尚、エンジンにより振動の発生回転数や共
振回転数が異なるため、それにあわせて亜鉛粉末の含有
率を変化させてVリブドベルトBの固有振動数をエンジ
ン等の固有振動数に対してずらせると良い。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1のVリブ
ドベルトによると、少なくともその各リブ部に、綿短繊
維と、各リブ部を構成する主体ゴムの弾性率及び上記綿
短繊維の弾性率の中間の弾性率を有する中間短繊維とを
含有させたことにより、綿短繊維により注水時の水を吸
収させ、濡れた状態から乾燥した状態への移行に伴う摩
擦係数の変化がスムーズに行われるとともに、主体ゴム
の弾性率及び綿短繊維の弾性率の中間の弾性率を有する
中間短繊維により、急激なスティックスリップ現象を抑
制し、滑りと密着との繰り返しを防いで異音の発生を抑
えることができる。
【0047】請求項2の発明によると、各リブ部に、主
体ゴム100重量部に対して綿短繊維を5〜20重量部
含有させ、かつ中間短繊維を1〜15重量部含有させた
ことにより、上記請求項1の発明の作用効果を奏し得る
Vリブドベルトが安定して得られる。
【0048】請求項3の発明によると、各リブ部の主体
ゴムはEPDMとしたことにより、耐熱性及び耐候性に
優れた低コストなVリブドベルトが得られる。
【0049】請求項4の発明によると、中間短繊維はナ
イロン短繊維としたことにより、Vリブドベルトの製造
コストを削減できる。
【0050】請求項5の発明によると、少なくとも各リ
ブ部に亜鉛粉末を含有させたことにより、Vリブドベル
トの固有振動数を下げることで、Vリブドベルトの共振
を避けて異音の発生をさらに有効に抑えることができ
る。
【0051】請求項6の発明では、亜鉛粉末を各リブ部
の主体ゴム100重量部に対して5〜20重量部含有さ
せたことにより、成形時に各構成要素の分散を妨げず、
しかも各リブ部を研削加工する際の硬度の上昇による研
削性の低下を防ぎながら、Vリブドベルトの固有振動数
を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るVリブドベルトの斜視
図である。
【図2】摩擦係数評価試験を行うための実験装置を示す
図である。
【図3】実施例1及び比較例1に係るVリブドベルトに
おける注水時の摩擦力の時間的変化を示す図である。
【図4】短繊維含有率評価試験において、綿短繊維及び
ナイロン短繊維のそれぞれの含有率を変えたVリブドベ
ルトの異音レベルを示す図である。
【図5】亜鉛評価試験におけるVリブドベルトの注水異
音レベルの変化を示す図である。
【符号の説明】
B Vリブドベルト 1 ベルト本体層 2 背面帆布層 3a リブ部 3b 短繊維 4 心線

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 心線が埋設されたベルト本体の下面にベ
    ルト長さ方向に延びる複数のリブ部が一体的に形成され
    たVリブドベルトであって、 少なくとも上記各リブ部には、綿短繊維と、 上記各リブ部を構成する主体ゴムの弾性率及び上記綿短
    繊維の弾性率の中間の弾性率を有する中間短繊維とが含
    有されていることを特徴とするVリブドベルト。
  2. 【請求項2】 請求項1のVリブドベルトにおいて、 各リブ部には、主体ゴム100重量部に対して綿短繊維
    が5〜20重量部含有され、かつ中間短繊維が1〜15
    重量部含有されていることを特徴とするVリブドベル
    ト。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2のVリブドベルトにおい
    て、 各リブ部の主体ゴムはEPDMであることを特徴とする
    Vリブドベルト。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1つのVリブド
    ベルトにおいて、 中間短繊維はナイロン短繊維であることを特徴とするV
    リブドベルト。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1つのVリブド
    ベルトにおいて、 少なくとも各リブ部には、亜鉛粉末が含有されているこ
    とを特徴とするVリブドベルト。
  6. 【請求項6】 請求項5のVリブドベルトにおいて、 亜鉛粉末は、各リブ部の主体ゴム100重量部に対して
    5〜20重量部含有されていることを特徴とするVリブ
    ドベルト。
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