JP2000336147A - 硬化剤組成物およびその製造方法 - Google Patents

硬化剤組成物およびその製造方法

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JP2000336147A JP11150122A JP15012299A JP2000336147A JP 2000336147 A JP2000336147 A JP 2000336147A JP 11150122 A JP11150122 A JP 11150122A JP 15012299 A JP15012299 A JP 15012299A JP 2000336147 A JP2000336147 A JP 2000336147A
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雅己 藪田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】粉体塗料の硬化剤として用いた際に、艶ぼけ現
象が発生しない塗膜を得ることができる硬化剤組成物お
よびその製造方法を提供することにある。 【解決手段】室温で結晶性固体である多価カルボン酸化
合物(a)、および、上記多価カルボン酸化合物(a)
と種類の異なるカルボン酸化合物(b)とからなる硬化
剤組成物であって、(1)上記硬化剤組成物が、室温で
固体状であり、(2)示差走査型熱量計によって決定し
た上記硬化剤組成物の融点が、上記多価カルボン酸化合
物(a)の融点または上記カルボン酸化合物(b)の融
点より低いことを特徴とする硬化剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉体塗料の硬化剤
として用いた場合に、塗膜外観および貯蔵安定性が非常
に良好である硬化剤組成物およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】粉体塗料は、大気中に放出される有機溶
剤がないことから、環境に対してやさしい塗料として注
目を浴びている。その中でも、塗膜性能、塗膜物性の観
点から、熱硬化性粉体塗料が用いられている。特に近
年、自動車車体の塗装に適用できるような塗膜外観が非
常に良好である熱硬化性粉体塗料が求められている。
【0003】熱硬化性粉体塗料のうち、得られる塗膜の
性能や物性に優れるアクリル樹脂系のものは、艶ぼけ現
象といわれる外観上の問題を有している。この現象は、
硬化剤として多塩基酸を多量に用いた際に発生しやすい
ことがわかっている。この艶ぼけ現象を軽減するために
多塩基酸の使用量を低減すると得られる塗膜の性能や物
性が充分でなくなる。また、得られる塗膜の性能および
物性と艶ぼけ現象とを両立できる多塩基酸はなく、得ら
れる塗膜の性能および物性と艶ぼけ現象とを両立するこ
とは困難であった。
【0004】 〔発明の詳細な説明〕
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、アクリル樹脂系粉体塗料の硬化剤として用いた際
に、艶ぼけ現象が発生しない塗膜を得ることができる硬
化剤組成物およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、室温で結晶性
固体である多価カルボン酸化合物(a)、および、上記
多価カルボン酸化合物(a)と種類の異なるカルボン酸
化合物(b)とからなる硬化剤組成物であって、(1)
上記硬化剤組成物が、室温で固体状であり、(2)示差
走査型熱量計によって決定した上記硬化剤組成物の融点
が、上記多価カルボン酸化合物(a)の融点または上記
カルボン酸化合物(b)の融点より低いことを特徴とす
る硬化剤組成物を提供するものである。
【0007】また、本発明は、室温で結晶性固体である
多価カルボン酸化合物(a)および上記多価カルボン酸
化合物(a)と種類の異なるカルボン酸化合物(b)を
混合する、硬化剤組成物の製造方法であって、(1)上
記硬化剤組成物が、室温で固体状であり、(2)示差走
査型熱量計によって決定した上記硬化剤組成物の融点
が、上記多価カルボン酸化合物(a)の融点または上記
カルボン酸化合物(b)の融点より低いことを特徴とす
る硬化剤組成物の製造方法を提供するものである。
【0008】また、本発明は、エポキシ基含有アクリル
樹脂および硬化剤を含んでいる熱硬化性粉体塗料組成物
であって、上記硬化剤が、先の硬化剤組成物であること
を特徴とする熱硬化性粉体塗料組成物を提供するもので
ある。
【0009】さらに、本発明は、エポキシ基含有アクリ
ル樹脂および硬化剤を原料として用いる湿式法による熱
硬化性粉体塗料組成物であって、上記硬化剤が、先の硬
化剤組成物であることを特徴とする熱硬化性粉体塗料組
成物を提供するものである。
【0010】ならびに、本発明は、下塗りまたは下塗り
および中塗りが施された基板上に、ベース塗料を塗布す
る工程、上記工程で得られたベース塗料が塗布された基
板上に、粉体塗料を塗布する工程、および、上記ベース
塗料および上記粉体塗料が塗布された基板を加熱する工
程からなる複層塗膜形成方法であって、上記粉体塗料が
先の熱硬化性粉体塗料組成物であることを特徴とする複
層塗膜形成方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の態様】硬化剤組成物 本発明の硬化剤組成物は、室温で結晶性固体である多価
カルボン酸化合物(a)、および、上記多価カルボン酸
化合物(a)と種類の異なるカルボン酸化合物(b)か
らなる。
【0012】本発明の硬化剤組成物における多価カルボ
ン酸化合物(a)は、室温で結晶性固体である。本発明
における「室温」とは25℃を意味する。
【0013】上記多価カルボン酸化合物(a)として
は、特に限定されず、具体的には、脂肪族多価カルボン
酸、芳香族多価カルボン酸等の多価カルボン酸化合物、
およびそれらの酸無水物化合物等を挙げることができ
る。
【0014】上記脂肪族多価カルボン酸化合物として
は、例えば、デカンジカルボン酸、アジピン酸、マレイ
ン酸、マロン酸、エチルマロン酸、ブチルマロン酸、ジ
メチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、ジメチル
コハク酸、グルタル酸、メチルグルタル酸、ジメチルグ
ルタル酸、セバチン酸、アゼライン酸、ピメリン酸、ス
ベリン酸、1,11−ウンデカン酸、ドデカンジカルボ
ン酸、ヘキサデカンカルボン酸、3−iso−オクチル
ヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、
ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、クエ
ン酸、トリカルバリン酸等を挙げることができる。芳香
族多価カルボン酸化合物としては、例えば、フタル酸等
を用いることができる。また、これらの酸無水物化合物
としては、例えば、コハク酸無水物、テトラヒドロ無水
フタル酸、フタル酸無水物等を挙げることができる。
【0015】また、本発明の硬化剤組成物における多価
カルボン酸化合物(a)としては、上記のもの以外に合
成によって得られた多価カルボン酸化合物も、室温で結
晶性固体であれば用いることができる。このような合成
多価カルボン酸化合物としては、具体的には、多価アル
コールと酸無水物との反応によって得られるものを挙げ
ることができ、例えば、ブタンジオールとコハク酸無水
物から得られるブタンジオールスクシネート、ヘキサン
ジオールとコハク酸無水物から得られるヘキサンジオー
ルスクシネート、ノナンジオールとコハク酸無水物から
得られるノナンジオールスクシネート、およびネオペン
チルグリコールとトリメリット酸無水物とコハク酸無水
物との1対1対1付加物などを挙げることができる。
【0016】本発明の硬化剤組成物における多価カルボ
ン酸化合物(a)と種類の異なるカルボン酸化合物
(b)としては、特に限定されず、上記多価カルボン酸
化合物(a)のところで述べた室温で結晶性固体である
多価カルボン酸化合物の他に、室温で非晶質固体および
液体である多価カルボン酸化合物や室温での形態が限定
されないモノカルボン酸化合物等を挙げることができる
が、具体的には、ラウリル酸、ステアリル酸や8−エチ
ルオクタデカン酸等の脂肪族モノカルボン酸化合物、ノ
ナンジオールとヘキサヒドロフタル酸無水物との1対2
付加物等の室温で液体のものを用いることができる。上
記カルボン酸化合物(b)は、2種類以上であってよ
い。
【0017】本発明の硬化剤組成物は、室温で固体状で
ある。本発明の硬化剤組成物が室温で固体状でなけれ
ば、実質的に粉体塗料に配合することが困難である。な
お、本発明における「固体状」とは、結晶性固体および
非晶質固体の状態を含み、一定の体積と形状を有してい
る状態を意味する。
【0018】本発明の硬化剤組成物は、その融点が、上
記多価カルボン酸化合物(a)の融点または上記カルボ
ン酸化合物(b)の融点より低いものである。
【0019】ここで、本発明の硬化剤組成物およびそれ
に含まれる上記多価カルボン酸化合物(a)およびカル
ボン酸化合物(b)の融点は、DSCによって決定され
るものである。
【0020】上記多価カルボン酸化合物(a)、上記カ
ルボン酸化合物(b)および本発明の硬化剤組成物につ
いて、それぞれのDSC吸収曲線の一例を図1に示す。
図1は、上記多価カルボン酸化合物(a)としてデカン
ジカルボン酸、また、上記カルボン酸化合物(b)とし
てセバチン酸、そして本発明の硬化剤組成物としてデカ
ンジカルボン酸とセバチン酸とを50:50の重量比で
含んでいるものについてのそれぞれのDSC吸収曲線で
ある。
【0021】本発明における融点は、上記化合物のDS
C吸収曲線において、急激に熱吸収を始める部分のうち
の最低温度で決定される。また、上記化合物のDSC吸
収曲線が緩やかな傾斜しか持たない場合は、最初の熱吸
収が始まる温度を融点と決定する。例えば、図1のそれ
ぞれのDSC吸収曲線から、多価カルボン酸化合物
(a)の融点は125℃、カルボン酸化合物(b)の融
点は130℃、そして、硬化剤組成物の融点は110℃
と決定することができる。なお、本発明においては、融
点の相対的な関係を把握することが重要であり、この融
点が多少の誤差を含んでいてもよい。
【0022】本発明の硬化剤組成物のDSC吸収曲線
は、例えば、図1に示されるように、その構成成分であ
る多価カルボン酸化合物(a)およびカルボン酸化合物
(b)のDSC吸収曲線とは異なるものであり、単に2
つの化合物のDSC吸収曲線が合わさったものではな
い。また、本発明の硬化剤組成物の融点は、多価カルボ
ン酸化合物(a)の融点またはカルボン酸化合物(b)
の融点よりも低くなっている。これらのことから、本発
明の硬化剤組成物が、多価カルボン酸化合物(a)およ
びカルボン酸化合物(b)を単に混合しただけの状態で
はないことを意味している。本発明の硬化剤組成物の融
点が、多価カルボン酸化合物(a)の融点またはカルボ
ン酸化合物(b)の融点よりも低くなるのは、融点の低
い一方の化合物が液体になった場合、融点の高いもう一
方の化合物の表面自由エネルギーが低くなることによる
と考えられる。また、別の理由として、液体になった化
合物の原子の振動が大きくなるに従って、融点の高いも
う一方の化合物の表面にある原子も大きく振動して液体
化するため、固体を維持するための臨界振動に達する温
度が低くなることが考えられる。
【0023】DSCによって決定した本発明における硬
化剤組成物の融点が、上記多価カルボン酸化合物(a)
の融点および上記カルボン酸化合物(b)の融点よりも
低くない場合は、得られる塗膜の外観向上が充分でな
い。
【0024】本発明の硬化剤組成物の融点としては、特
に限定されないが、60〜180℃であることが好まし
く、80〜150℃であることがさらに好ましい。上記
融点が60℃より低い場合は、貯蔵安定性が低下する恐
れがあり、180℃より高い場合は、得られる塗膜の平
滑性および外観が充分でない恐れがある。また、得られ
る塗膜の平滑性および外観の観点から、上記多価カルボ
ン酸化合物(a)の融点および上記カルボン酸化合物
(b)の融点よりも低いことがさらに好ましい。
【0025】本発明の硬化剤組成物における上記多価カ
ルボン酸化合物(a)と上記カルボン酸化合物(b)と
の重量比率としては、特に限定されず、当業者によって
任意に設定されるものであるが、上記多価カルボン酸化
合物(a)と上記カルボン酸化合物(b)との重量比が
50:50〜99:1であることが好ましい。上記多価
カルボン酸化合物(a)の重量比が50より少ない場合
は、得られる硬化剤組成物が室温で固体状にならない恐
れがあり、99より多い場合は、塗料に配合した場合、
得られる塗膜の外観向上が充分でない恐れがある。
【0026】硬化剤組成物の製造方法 本発明の硬化剤組成物の製造方法は、室温で結晶性固体
である多価カルボン酸化合物(a)および上記多価カル
ボン酸化合物(a)と種類の異なるカルボン酸化合物
(b)を混合する、硬化剤組成物の製造方法であって、
(1)上記硬化剤組成物が、室温で固体状であり、
(2)示差走査型熱量計によって決定した上記硬化剤組
成物の融点が、上記多価カルボン酸化合物(a)の融
点、または、上記カルボン酸化合物(b)の融点より低
いことを特徴とするものである。
【0027】本発明における硬化剤組成物の製造方法で
用いられる、室温で固体状の多価カルボン酸化合物
(a)および多価カルボン酸化合物(a)と種類の異な
るカルボン酸化合物(b)は、上記硬化剤組成物の項で
述べた多価カルボン酸化合物(a)およびカルボン酸化
合物(b)と同じものである。
【0028】上記混合する方法としては、これによって
得られる硬化剤組成物が上記(1)および(2)の条件
を満たすことができるものであれば特に限定されない。
しかし、市販されている状態の多価カルボン酸化合物
(a)およびカルボン酸化合物(b)をスパチュラ等で
軽く混ぜるといったような、簡単な混合操作を行うだけ
では、目的とする硬化剤組成物を得ることは困難であ
る。すなわち、上記(1)および(2)の条件を満たす
ためには、混合が充分に行われている必要がある。この
混合を充分に行うためには、2つの方法があって、1つ
は、本発明の硬化剤組成物の構成成分である多価カルボ
ン酸化合物(a)およびカルボン酸化合物(b)の粒径
を小さくして混合する方法であり、もう1つは、液状に
して混合する方法である。混合性および硬化剤組成物を
粉体塗料に用いた場合に得られる塗膜の平滑性の観点か
ら、液状にして混合する方法が好ましい。
【0029】多価カルボン酸化合物(a)およびカルボ
ン酸化合物(b)の粒径を小さくして混合する場合、混
合によって最終的に得られる硬化剤組成物の体積平均粒
子径が15μm以下になるようにすることが好ましく、
10μm以下になるようにすることがさらに好ましい。
【0030】粒径を小さくするためには、粉砕を行う必
要があるが、この粉砕は混合と同時に行うこともできる
し、混合する前に行っておくこともできる。また、予備
的に粉砕を行った後、混合時にさらに粉砕を行うことも
可能である。このような粉砕には、固体を粉砕するため
の通常よく知られている手段が利用できる。例えば、乳
鉢を用いることも可能であるが、工業的な見地からする
と、ヘンシェルミキサーやサンドグラインドミルなどの
粉体塗料分野において用いられている機器を目的に応じ
て選択することが好ましい。このように粒径を小さくす
ることによって、多価カルボン酸化合物(a)およびカ
ルボン酸化合物(b)とを充分に混合することが可能に
なる。なお、本発明の硬化剤組成物を分散液の形で使用
する場合には、上記粉砕時に溶剤を共存させることによ
り粉砕および混合を行うことができる。
【0031】一方、混合を充分に行うためのもう1つの
方法である液状にして混合する方法としては、2種類を
挙げることができる。1つは、多価カルボン酸化合物
(a)およびカルボン酸化合物(b)を同時に溶融させ
た後、これを冷却して固化させるものであり、もう1つ
は、多価カルボン酸化合物(a)およびカルボン酸化合
物(b)を適当な溶媒に溶解させた後、溶媒を留去して
固化させるものである。それぞれの段階における具体的
な条件は、用いる多価カルボン酸化合物(a)およびカ
ルボン酸化合物(b)の種類によって適宜設定すること
ができる。なお、上記溶解させる場合の適当な溶媒とし
ては、特に限定されず、例えば、ペンタン、ヘキサン、
ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、メチ
ルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類、四
塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等の
ハロゲン化炭化水素類、エチルエーテル、イソプロピル
エーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン等のエーテル類、アセトン、メチルイソブチルケト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフ
ェノン、イソフォロン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸
ブチル等のエステル類、石油エーテル、石油ベンジンを
例示することができる。
【0032】また、このようにして得られた硬化剤組成
物は、上述した粉砕に用いられる手段によって、体積平
均粒子径が15μm以下になるようにすることが好まし
く、10μm以下になるようにすることがさらに好まし
い。
【0033】なお、本発明における体積平均粒子径を求
める方法としては、特に限定されず、レーザー光散乱法
等、当業者によく知られた方法を用いることができる。
【0034】熱硬化性粉体塗料組成物 本発明の熱硬化性粉体塗料組成物は、エポキシ基含有ア
クリル樹脂および硬化剤を含んでおり、上記硬化剤が、
先に述べた硬化剤組成物である。また、上記エポキシ基
含有アクリル樹脂としては、具体的には、1分子内に2
つ以上のエポキシ基を有するアクリル樹脂であれば特に
限定されず、例えば、グリシジルアクリレート、グリシ
ジルメタクリレート、2−メチルグリシジルメタクリレ
ート等のエポキシ基含有モノマーを必須として、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i
so−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルアクリ
レート、スチレン、ビニルトルエン、p−クロロスチレ
ンなどの上記エポキシ基含有モノマーと反応しないモノ
マーを常法に従って重合させたものが用いられる。
【0035】上記エポキシ基含有アクリル樹脂の樹脂固
形分のエポキシ当量は、100〜1000g/eq、好
ましくは150〜600g/eq、さらに好ましくは2
00〜400g/eqである。上記エポキシ当量が10
0g/eqより小さい場合は、得られる塗料の貯蔵安定
性が低下する恐れがある。また、上記エポキシ当量が1
000g/eqより大きい場合は、得られる塗膜の性能
が低下する恐れがある。
【0036】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物における
上記硬化剤組成物のカルボキシル基と上記エポキシ基含
有アクリル樹脂のエポキシ基とのモル比は、5/10〜
11/10、好ましくは7/10〜10/10である。
上記モル比が上記範囲外である場合は、得られた塗膜の
硬化性が充分でない恐れがある。
【0037】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物は、上記
エポキシ基含有アクリル樹脂および上記硬化剤組成物以
外に、必要に応じて、顔料、各種添加剤等のその他の成
分を含むことができる。上記顔料としては、具体的に
は、二酸化チタン、弁柄、黄色酸化鉄、カーボンブラッ
ク、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、
キナクリドン系顔料、アゾ系顔料などの着色顔料、タル
ク、シリカ、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウムなど
の体質顔料などを挙げることができる。
【0038】また、上記添加剤としては、具体的には、
AEROSIL 130、AEROSIL 200(日
本アエロジル株式会社製)等の流動付与剤、ジメチルシ
リコーンやメチルシリコーンなどのシリコーン類および
アクリルオリゴマー、およびベンゾインやベンゾイン誘
導体などのベンゾイン類等の表面調整剤、硬化促進剤
(または硬化触媒)、帯電制御剤、紫外線吸収剤、酸化
防止剤、顔料分散剤などを挙げることができる。
【0039】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物の体積平
均粒子径は、特に限定されないが、製造効率および得ら
れる塗膜の平滑性の観点から、5〜30μmであること
が好ましい。体積平均粒子径が5μmより小さい場合
は、製造効率や塗装時の塗着効率が低下する恐れがあ
る。また、30μmより大きい場合は、得られる塗膜の
平滑性が低下する恐れがある。
【0040】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を得るた
めには、上記エポキシ基含有アクリル樹脂および硬化剤
組成物に、必要に応じてその他の成分を加えたものを溶
融混練し、冷却後これを粉砕分級する、いわゆる乾式法
を利用することができるが、粉体塗料の耐固相反応性や
塗装作業性および得られる塗膜の性能を考慮すると、下
記の湿式法を用いることが好ましい。
【0041】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を得るた
めに好適に用いられる湿式法は、上記エポキシ基含有ア
クリル樹脂および硬化剤組成物を原料とし、上記原料を
有機溶媒に溶解することで原料溶液を製造する工程
(1)、上記工程(1)で得られた原料溶液を、水溶性
高分子を含んだ水溶液に混合して懸濁液を製造する工程
(2)および上記工程(2)で得られた懸濁液中の油滴
を固化して粒子を取り出す工程(3)からなるものであ
る。
【0042】また、上記湿式法は、上記水溶性高分子の
有する曇点を利用するか否かにより、その工程内容に違
いが生じる。 (1)原料溶液を製造する工程 湿式法における第1の工程は、上記原料を有機溶媒に溶
解して原料溶液を製造する工程である。この工程は上記
水溶性高分子の有する曇点利用の有無に関係しない。こ
こで原料の一成分である上記硬化剤組成物は、この第1
の工程で製造される原料溶液中に分散させておく必要が
ある。上記原料溶液中に完全に溶解してしまうと、実質
的に硬化剤組成物として存在しなくなり、目的とする効
果が得られない。なお、上記硬化剤組成物の分散は、後
述の濾過操作においても残渣とならないほどに微分散の
状態にしておくことが好ましい。
【0043】上記原料として用いられるエポキシ基含有
アクリル樹脂としては、上述のものを利用することがで
きるが、以下の条件を満たすエポキシ基含有アクリル樹
脂Aおよびエポキシ基含有アクリル樹脂Bを含むことに
より、耐ブロッキング性および得られる塗膜の平滑性が
さらに良好な熱硬化性粉体塗料組成物を得ることができ
る。すなわち、樹脂Aおよび樹脂Bとして、(I)(樹
脂AのSP値)−(樹脂BのSP値)が0.2〜1.
5、(II)(樹脂AのTg)−(樹脂BのTg)が1
0℃以上、(III)樹脂AのTgが40〜100℃か
つ樹脂Bが20〜50℃を満たしているものを選択す
る。
【0044】(樹脂AのSP値)−(樹脂BのSP値)
が0.2より小さい場合は、貯蔵時の耐ブロッキング性
が低下し、1.5より大きい場合には得られる塗膜の外
観が低下する。
【0045】上記樹脂Aおよび樹脂BのSP値は、上記
の関係を満たしている必要があるが、通常9.0〜1
2.0であり、好ましくは9.0〜11.0、さらに好
ましくは9.5〜11.0である。なお、本発明におけ
るSP値は、濁度法などの当業者によってよく知られた
方法によって求められるものである。
【0046】これに対して、(樹脂AのTg)−(樹脂
BのTg)が10℃より小さい場合は、耐ブロッキング
性が低下する。このとき樹脂AのTgは40〜100℃
であり、かつ、樹脂BのTgは20〜50℃である。樹
脂AのTgが40℃よりも小さい場合は、貯蔵時の耐ブ
ロッキング性が低下し、100℃より大きい場合は塗膜
の平滑性が低下する恐れがある。また、樹脂BのTgが
20℃以下の場合は貯蔵時の耐ブロッキング性が低下
し、50℃より大きい場合は塗膜の平滑性が低下する恐
れがある。
【0047】上記原料として用いられる硬化剤組成物
は、上述のものを利用することができる。また、上記原
料中のエポキシ基含有アクリル樹脂と上記硬化剤組成物
との比率は、上記硬化剤組成物のカルボキシル基と上記
エポキシ基含有アクリル樹脂のエポキシ基とのモル比
が、5/10〜11/10、好ましくは7/10〜10
/10になるように設定することができる。
【0048】また、必要に応じて、顔料、各種添加剤等
のその他の成分を原料として用いることができる。
【0049】上記有機溶剤としては、実質的に水不混和
性すなわち水に対する溶解度が10%以下のものを用い
ることができ、例えば、キシレン、トルエン、シクロヘ
キサン、酢酸エチル等を例示することができる。
【0050】なお、原料溶液中の上記原料の固形分重量
は、特に限定されないが、例えば、10〜90重量%と
なるように調整することができる。上記原料に含まれる
エポキシ基含有アクリル樹脂が、既に有機溶剤溶液であ
る場合、固形分重量が目的とする範囲にあれば、改めて
有機溶剤を添加しなくてもいい。
【0051】また、上記原料そのものに含まれていた、
あるいは原料溶液製造時に混入したゴミやホコリなどの
上記有機溶剤不溶成分を取り除くために、必要に応じ
て、濾過操作を行うことができる。この濾過操作として
は、フィルタ濾過など、当業者によってよく知られた方
法を用いることができる。 (2)懸濁液製造工程 上記湿式法における第2の工程は、上記第1の工程で得
られた原料溶液を、水溶性高分子を含んだ水溶液に混合
して懸濁液を製造する工程である。この工程は、上記水
溶性高分子の有する曇点を利用するか否かにより、その
工程内容に違いが生じる。
【0052】この第2の工程で用いられる水溶性高分子
としては、2種に分別される。一方が曇点を示さない水
溶性高分子であり、もう一方が30〜90℃の範囲内に
曇点を示す水溶性高分子である。上記曇点を示さない水
溶性高分子としては、特に限定されず、具体的には、完
全ケン化ポリビニルアルコール、ケン化度が85%以上
の部分ケン化ポリビニルアルコールや、エチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコ
ール等、その水溶液を加温しても、100℃以下で曇点
現象を示さないものを挙げることができる。上記曇点を
示さない水溶性高分子は、1種類だけで用いてもよい
し、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】一方、上記30〜90℃の範囲内に曇点を
示す水溶性高分子としては、特に限定されず、具体的に
は、ケン化度が85%より小さいポリビニルアルコール
部分ケン化物、部分ホルマー化物、エチレンービニルア
ルコール共重合体などの部分的に疎水性基を含有するポ
リビニルアルコール系重合体、メチルセルロース、ヒド
ロキシプロピルセルロースのようなセルロース誘導体、
ポリエチレングリコールアルキルエーテルおよび、エチ
レングリコールプロピレングリコールブロック共重合体
等、その水溶液を加温して30〜90℃の範囲内で曇点
現象を示すものを挙げることができる他、上記曇点を示
さない水溶性高分子に対して電解質を添加することによ
って30〜90℃の範囲内に曇点を付与したものを挙げ
ることができる。
【0054】この工程では、まず、撹拌機を備えた容器
に、上記30〜90℃の範囲内に曇点を示す水溶性高分
子を含む水溶液を用意する。上記水溶液の水溶性高分子
濃度としては、混合性の観点から、0.02〜20重量
%であることが好ましい。
【0055】上記水溶性高分子の有する曇点を利用する
場合には、上記30〜90℃の範囲内に曇点を示す水溶
性高分子を用いる。この曇点を示す水溶性高分子は、1
種類だけ用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用
いてもよい。また、粒径制御の観点から、上記曇点を示
さない水溶性高分子を組み合わせて用いることが好まし
い。この場合、上記曇点を示さない水溶性高分子の固形
分重量/30〜90℃の範囲内に曇点を示す水溶性高分
子の固形分重量の比率は99/1〜10/90の範囲に
あることが好ましい。この範囲を外れると、後述する二
次油滴の粒径制御が困難になる恐れがある。
【0056】一方、水溶性高分子の有する曇点を利用し
ない場合には、曇点を示さない水溶性高分子であって
も、30〜90℃の範囲内に曇点を示す水溶性高分子で
あっても構わない。
【0057】次にこの水溶性高分子水溶液に、第1の工
程において得られた原料溶液を加え、混合する。曇点を
利用する場合には、上記水溶性高分子の有する曇点未満
の温度で撹拌を行う。なお、30〜90℃の範囲内に曇
点を示す水溶性高分子を2種類以上混合して用いる場合
には、温度の低い方の曇点が支配的になる。従って、以
下の工程における温度は、使用する水溶性高分子のうち
最も低い曇点により規定される。
【0058】曇点を利用しない場合、曇点を示さない水
溶性高分子を用いた時には、その温度は限定されない
が、30〜90℃の範囲内に曇点を示す水溶性高分子を
用いた時には、曇点未満の温度にて撹拌を行う必要があ
る。
【0059】第1の工程の段階において、すべての原料
溶液を混合して1つにせず、各原料をそれぞれ別々で原
料溶液化した場合は、この第2の工程においてこれら原
料溶液をこの水溶性高分子水溶液に対して別々に加えて
もよいが、得られる油滴の成分の均一性の観点から、す
べての原料溶液を混合して1つにした後、この水溶性高
分子水溶液に対して加えることが好ましい。
【0060】ここでの水溶性高分子を含む水溶液に対す
る原料溶液の混合比は、混合性の観点から、水溶性高分
子を含む水溶液の重量/原料溶液の固形分重量が0.5
/1〜3/1になるように設定されることが好ましい。
得られた混合液は撹拌され、必要に応じてイオン交換水
によって希釈されて、最終的に上記原料の固形分重量が
10〜50重量%である油滴を含んだ懸濁液が形成され
る。なお、撹拌には、混合液の粘度に応じて当業者によ
ってよく知られた撹拌機を用いることができる。
【0061】上記油滴の体積平均粒子径は、15μm以
下になることが好ましい。上記油滴の粒径は、任意にサ
ンプリングして粒径を測定することによって求めること
ができる。
【0062】なお、第1の工程と同様に、この工程もし
くはそれ以前に混入したゴミやホコリなどの上記有機溶
剤不溶成分を取り除くために、必要に応じて、濾過操作
を行うことができる。なお、この濾過操作は、次の工程
の油滴を固化するまでに少なくとも一度は行っておくこ
とが好ましい。
【0063】曇点を利用しない場合には、この第2の工
程はここで終了するが、曇点を利用する場合には、続い
て油滴を含んだ懸濁液の温度を上記曇点以上の温度に加
熱し、上記油滴を凝集させて二次油滴を形成する。この
温度は用いられる水溶性高分子の種類や上記原料溶液の
性質により決定することができる。
【0064】この加熱した懸濁液から二次油滴をサンプ
リングして粒径を測定し、目的とする粒径となった時点
で第2の工程を終了することができる。
【0065】得られる二次油滴を目的とする粒径にする
ためには、曇点を示さない水溶性高分子と30〜90℃
の範囲内に曇点を示す水溶性高分子との重量比率を調整
する方法の他に、二次油滴が所望の粒径に形成された時
点で懸濁液を水溶性高分子の曇点より低い温度に冷却
し、凝集による二次油滴の成長を停止させる方法を用い
ることができる。
【0066】ここで、上記30〜90℃の範囲内に曇点
を示す水溶性高分子は、上記油滴の凝集による二次油滴
の形成に作用すると考えられる。さらに水溶性高分子と
して曇点を示さない水溶性高分子を併用した場合、この
曇点を示さない水溶性高分子は、油滴の粒径制御のため
に作用すると考えられる。
【0067】曇点を利用する場合、最終的に得られる熱
硬化性粉体塗料組成物の性質の観点から、この第2の工
程で上記有機溶剤の一部を系外に留去しておくことが好
ましい。この有機溶剤の留去は、懸濁液の温度を上記曇
点未満の一定温度に維持して行うこともできるが、二次
油滴の形成のための加熱を利用して行うことが効率的で
ある。この有機溶剤の留去は、上記原料溶液が熱硬化性
を有することを考慮すると、系を減圧にすることによ
り、有機溶剤を留去する温度を低くして行うことが好ま
しい。なお、有機溶剤の留去を、懸濁液の温度を上記曇
点未満の一定温度に維持して行う場合には、油滴内に残
存する有機溶剤量が、30重量%以下、好ましくは10
重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下になるよう
に行うことができる。 (3)油滴の固化および粒子の取り出し工程 上記湿式法における第3の工程は、上記第2の工程によ
って得られた懸濁液中の油滴または二次油滴を固化して
粒子を得た後、取り出す工程である。この工程は上記水
溶性高分子の有する曇点利用の有無に関係しない。
【0068】この第3の工程における懸濁液中の油滴の
固化は、油滴に含まれる有機溶剤を留去することで行わ
れる。この有機溶剤の留去は、油滴が固化したことを確
認できるまで行うことが好ましい。
【0069】有機溶剤の留去は、昇温および/または減
圧によって行いうるが、固化して得られる粒子が熱硬化
性を有しているため、有機溶剤を留去する温度を低くす
るために、系を減圧して有機溶剤を留去する温度を低く
して行うことが好ましい。また、この有機溶剤の留去
は、油滴が固化するまで行うことが好ましい。
【0070】固化して得られた粒子は、濾過やまたは遠
心分離のような通常の固液分離の方法を用いて単離され
る。これを水洗・乾燥することにより、最終的に粉体塗
料組成物を得ることができる。
【0071】このようにして得られた熱硬化性粉体塗料
組成物の体積平均粒子径は5〜40μm、好ましくは5
〜30μm、さらに好ましくは5〜20μmである。上
記湿式法において曇点を利用した場合には、曇点を利用
しない場合と比べて、体積平均粒子径/個数平均粒子径
の値を2以下にすることができる。この値が1に近いほ
ど粒径分布幅の狭いシャープな熱硬化性粉体塗料組成物
である。
【0072】さらに、得られた熱硬化性粉体塗料組成物
の表面に、AEROSIL 130、AEROSIL
200(日本アエロジル株式会社製)等の流動付与剤を
外添してもよい。上記流動付与剤は、粉体塗料自体に流
動性を与えるだけでなく、耐ブロッキング性も向上させ
ることができる。上記流動付与剤は、上記製造方法によ
って得られた熱硬化性粉体塗料組成物と混合することに
よって粉体粒子表面に付着させることができる。
【0073】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を用いた
塗膜形成方法は、被塗装物に対して、上記熱硬化性粉体
塗料組成物を静電塗装法等により、通常、塗装膜厚40
〜80μmとなるよう塗布し、これを加熱することで塗
膜を形成することができる。上記被塗装物としては、プ
ラスチックおよび鉄板、鋼板、アルミニウム板およびそ
れらに表面処理を施したもの等を挙げることができる。
また、加熱温度は、用いる熱硬化性粉体塗料組成物に応
じて適宜設定されるが、100〜200℃である。ま
た、加熱時間は、上記加熱温度により適宜調節すること
ができる。
【0074】複層塗膜形成方法 本発明の複層塗膜形成方法は、下塗りまたは下塗りおよ
び中塗りが施された被塗装物上に、ベース塗料を塗布す
る工程、上記工程で得られたベース塗料が塗布された被
塗装物上に、上記熱硬化性粉体塗料組成物を塗布する工
程、および、ベース塗料および上記熱硬化性粉体塗料組
成物が塗布された基板を加熱する工程からなる複層塗膜
形成方法である。
【0075】本発明の複層塗膜形成方法に用いられる被
塗装物は、下塗りまたは下塗りおよび中塗りが施されて
いるものである。上記被塗装物としては、プラスチック
および鉄板、鋼板、アルミニウム板およびそれらに表面
処理を施したもの等をあげることができる。上記下塗り
および中塗りを施すために用いられる下塗り塗料および
中塗り塗料としては、電着塗料やプライマーなどの公知
のものを用いることができる。
【0076】上記ベース塗料としては、溶剤系、水性
等、特に限定されないが、環境保護の観点から水性のも
のを用いることが好ましい。上記ベース塗料は、上記下
塗りまたは下塗りおよび中塗りが施された基板に静電塗
装機等により、塗装膜厚10〜20μmとなるように塗
布される。
【0077】上記ベース塗料が塗布された基板を赤外線
もしくは熱風により、60〜100℃で約5〜10分間
予備的に加熱した後、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物
を静電塗装法等により、塗装膜厚40〜80μmとなる
ように塗布し、これを加熱する。加熱温度は、熱硬化性
粉体塗料組成物に応じて適宜設定されるが、100〜2
00℃、好ましくは120〜180℃、さらに好ましく
は140〜160℃である。また、加熱時間は、上記加
熱温度により適宜調節することができるが、好ましくは
5〜40分、さらに好ましくは10〜25分である。
【0078】このように本発明の複層塗膜形成方法によ
って、複層塗膜を得ることができる。
【0079】
【実施例】製造例1 エポキシ基含有アクリル樹脂R1
の調製 攪拌装置、温度調節器、還流管を備えた反応容器にキシ
レン63重量部を仕込み、130℃に加温し、窒素雰囲
気下で3時間かけて以下の配合による混合物を滴下し
た。 グリシジルメタクリレート 45重量部 スチレン 20重量部 メチルメタクリレート 20重量部 イソブチルメタクリレート 10重量部 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5重量部 t−ブチルパーオクトエート 7重量部 滴下後3時間保温した後、室温まで冷却し、樹脂固形分
のエポキシ当量180g/eqのエポキシ基含有アクリ
ル樹脂R1溶液(固形分濃度60重量%)を得た。また
樹脂R1溶液の一部を減圧下で加熱しキシレンを留去す
ることで樹脂R1を得た。得られた樹脂R1のTgをD
SC220C(セイコー電子工業社製、昇温条件5℃/
分)で測定したところ60℃であり、またSP値を濁度
法で測定したところ10.6であった。またGPC(ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した数
平均分子量は3500であった。
【0080】製造例2〜5 エポキシ基含有アクリル樹
脂R2〜R5の調製 表1に示す配合に基づき、製造例1と同様にして、エポ
キシ基含有アクリル樹脂R2〜R5溶液を得た後、製造
例1と同様にしてTg、SP値、数平均分子量を測定し
た。なお、測定したTg、SP値、数平均分子量を表1
に示した。
【0081】製造例6 粉砕した硬化剤 1,10−デカンジカルボン酸を超遠心分散機にて粉砕
し、粉砕後の硬化剤の体積平均粒子径をコールターカウ
ンター(コールターエレクトロクトロニクス社製)にて
測定したところ6μmであった。この粉砕後の硬化剤の
融点をDSC220C(セイコー電子工業社製、昇温条
件5℃/分)にて決定したところ、125℃であった。
【0082】製造例7 硬化剤分散液 1,10−デカンジカルボン酸をキシレンに分散させ
て、サンドグラインドミルにて粉砕し、硬化剤単体分散
液(固形分30重量%)を得た。体積平均粒子径をコー
ルターカウンター(コールターエレクトロクトロニクス
社製)にて測定したところ6μmであった。
【0083】実施例1 硬化剤組成物H1 1,10−デカンジカルボン酸50重量部およびセバチ
ン酸50重量部を混合した後、超遠心分散機にて粉砕
し、硬化剤組成物H1を得た。得られた硬化剤組成物H
1の融点をDSC220C(セイコー電子工業社製、昇
温条件5℃/分)にて決定したところ、120℃であっ
た。また、体積平均粒子径をコールターカウンター(コ
ールターエレクトロクトロニクス社製)にて測定したと
ころ6μmであった。
【0084】実施例2 硬化剤組成物H1分散液 1,10−デカンジカルボン酸50重量部およびセバチ
ン酸50重量部を混合し、キシレンに分散させた後、サ
ンドグラインドミルにて粉砕して硬化剤組成物H1分散
液(固形分30重量%)を得た。得られた硬化剤組成物
H1分散液の一部について減圧しキシレンを除去した
後、融点をDSC220C(セイコー電子工業社製、昇
温条件5℃/分)にて決定したところ、120℃であっ
た。また、体積平均粒子径をコールターカウンター(コ
ールターエレクトロクトロニクス社製)にて測定したと
ころ6μmであった。
【0085】実施例3 硬化剤組成物H2分散液 1,10−デカンジカルボン酸50重量部およびセバチ
ン酸50重量部をそれぞれ超遠心分散機にて粉砕した
後、ヘンシェルミキサーにて混合し、さらに、キシレン
に分散させた後、サンドグラインドミルにて粉砕して硬
化剤組成物H2分散液(固形分30重量%)を得た。得
られた硬化剤組成物H2分散液の一部について減圧しキ
シレンを除去した後、実施例2と同様にして融点を測
定、決定したところ、120℃であり、また、体積平均
粒子径は6μmであった。
【0086】実施例4 硬化剤組成物H3分散液 1,10−デカンジカルボン酸50重量部およびセバチ
ン酸50重量部を混合した後、セパラブルフラスコに入
れ、窒素雰囲気下で120℃にて加熱溶融させた。その
後冷却し得られた固体を、キシレンに分散させ、サンド
グラインドミルにて粉砕して硬化剤組成物H3分散液
(固形分30重量%)を得た。得られた硬化剤組成物H
3分散液の一部について減圧しキシレンを除去した後、
実施例2と同様にして融点を測定、決定したところ、1
10℃、また、体積平均粒子径は6μmであった。
【0087】実施例5〜8 硬化剤組成物H4〜H7分
散液 表2の配合に基づき、実施例3と同様にして、硬化剤組
成物H4〜H7分散液を得た。得られた硬化剤組成物H
4〜H7分散液を減圧してキシレンを除去し、実施例2
と同様にして融点および体積平均粒子径を測定した。な
お、測定、決定した融点および体積平均粒子径を表2に
示した。さらに、キシレンに分散させて硬化剤組成物H
4〜H7の各分散液(固形分30重量%)を得た。
【0088】 実施例9 乾式法によって製造された熱硬化性粉体塗料組成物C1 エポキシ基含有アクリル樹脂R1 70重量部 硬化剤組成物H1 20重量部 YF−3919 0.53重量部 (東芝シリコーン社製ポリシロキサン系表面調整剤) ベンゾイン 0.45重量部 アクリル樹脂系表面調整剤 0.11重量部 紫外線吸収剤 1.2重量部 ヒンダードアミン系酸化防止剤 1.0重量部 上記成分を原料として、ヘンシェルミキサーを用いて約
3分間混合し、さらに溶融混練機コニーダー(ブス社
製)を用いて設定温度約95℃で溶融混練した。その
後、得られた溶融混練物を室温まで冷却して再びヘンシ
ェルミキサーで粗砕し、次いでハンマーミルで粉砕した
後、ジェットミルを用いて微粉砕した。得られた粉体を
200メッシュの篩を用いて分級し、微小粒子と粗大粒
子を除去することで、熱硬化性粉体塗料組成物C1を得
た。コールターカウンター(コールターエレクトロクト
ロニクス社製)によって測定したところ、得られた粉体
塗料組成物は、体積平均粒子径が12.8μm、個数平
均粒子径が3.1μmであった。従って、体積平均粒子
径/個数平均粒子径の値は4.1であった。
【0089】比較例1 乾式法によって製造された熱硬
化性粉体塗料組成物C2 硬化剤組成物H1の代わりに、製造例6で得られた粉砕
した硬化剤を用いたこと以外は、実施例9と同様にし
て、熱硬化性粉体塗料組成物C2を得た。得られた粉体
塗料組成物を実施例9と同様にして測定したところ、体
積平均粒子径が13.5μm、個数平均粒子径が3.8
μmであった。従って、体積平均粒子径/個数平均粒子
径の値は3.6であった。
【0090】 実施例10 湿式法によって製造された熱硬化性粉体塗料組成物C3 エポキシ基含有アクリル樹脂R1溶液 130重量部 (樹脂固形分60重量%) 硬化剤組成物H1分散液 75重量部 (固形分30重量%) YF−3919 0.1重量部 (東芝シリコーン社製ポリシロキサン系表面調整剤) ベンゾイン 0.3重量部 紫外線吸収剤 1.2重量部 ヒンダードアミン系酸化防止剤 1.0重量部 上記原料をサンドグラインドミルにて混合し、原料溶液
を調製した。次に、ゴーセノールGH−20(日本合成
化学社製ポリビニルアルコール、ケン化度88%、曇点
なし)6重量部、ゴーセノールKL−05(日本合成化
学社製ポリビニルアルコール、ケン化度80%、曇点約
80℃)3重量部及びヒドロキシプロピルセルロース
(曇点約50℃)1重量部、イオン交換水90重量部か
らなる高分子水溶液に上記の原料溶液を加えた。得られ
た混合物をホモジナイザーを用いて25℃にてさらに混
合することで体積平均粒子径が5.0μmの油滴を含む
懸濁液を調製した。得られた懸濁液にイオン交換水30
0重量部を加えて希釈し、これを攪拌装置、温度調節
器、還流管、減圧装置を備えた容器に移した。
【0091】この懸濁液を30Torrまで減圧した後
35℃まで加熱した。その後さらに140Torrまで
減圧した後、60℃まで加熱して二次油滴を得た後、分
散相中の溶剤を系外に完全に留去することによって固化
し粒子を得た。この懸濁液を冷却した後、吸引濾過によ
り得られた粒子を真空乾燥器を用い30℃で乾燥して熱
硬化性粉体塗料組成物C3を得た。得られた粉体塗料組
成物を実施例9と同様にして測定したところ、体積平均
粒子径が12.3μm、個数平均粒子径が7.6μmで
あった。従って、体積平均粒子径/個数平均粒子径の値
は1.6であった。
【0092】比較例2 湿式法によって製造された熱硬
化性粉体塗料組成物C4 硬化剤組成物H1分散液の代わりに、製造例7で得られ
た硬化剤分散液を用いたこと以外は、実施例10と同様
にして熱硬化性粉体塗料組成物C4を得た。なお、油滴
の体積平均粒子径は3.9μmであり、得られた粉体塗
料組成物を実施例9と同様にして測定したところ、体積
平均粒子径が11.1μm、個数平均粒子径が8.6μ
mであった。従って、体積平均粒子径/個数平均粒子径
の値は1.3であった。
【0093】実施例11〜15 湿式法によって製造さ
れた熱硬化性粉体塗料組成物C5〜C9 硬化剤組成物H1分散液の代わりに、それぞれ硬化剤組
成物H3〜H7の各分散液を用いたこと以外は実施例1
0と同様にして、熱硬化性粉体塗料組成物C5〜C9を
得た。なお、それぞれの油滴の体積平均粒子径、得られ
た粉体塗料組成物の体積平均粒子径および個数平均粒子
径を実施例9と同様にして測定し、これから体積平均粒
子径/個数平均粒子径の値を求めた。その結果を表3に
示す。
【0094】実施例16 湿式法によって製造された熱
硬化性粉体塗料組成物C10 エポキシ基含有アクリル樹脂R1溶液130重量部の代
わりに、エポキシ基含有アクリル樹脂R2溶液100重
量部およびエポキシ基含有アクリル樹脂R3溶液30重
量部、および硬化剤組成物H1分散液の代わりに硬化剤
組成物H4分散液を用いたこと以外は、実施例10と同
様にして熱硬化性粉体塗料組成物C10を得た。なお、
油滴の体積平均粒子径は4.5μmであり、得られた粉
体塗料組成物を実施例9と同様にして測定したところ、
体積平均粒子径が9.5μm、個数平均粒子径が6.9
μmであった。従って、体積平均粒子径/個数平均粒子
径の値は1.4であった。
【0095】実施例17 湿式法によって製造された熱
硬化性粉体塗料組成物C11 エポキシ基含有アクリル樹脂R1溶液を130重量部の
代わりに、エポキシ基含有アクリル樹脂R4溶液70重
量部およびエポキシ基含有アクリル樹脂R5溶液60重
量部、および硬化剤組成物H1分散液の代わりに硬化剤
組成物H4分散液を用いたこと以外は、実施例10と同
様にして熱硬化性粉体塗料組成物C11を得た。なお、
油滴の体積平均粒子径は4.1μmであり、得られた粉
体塗料組成物を実施例9と同様にして測定したところ、
得られた粉体塗料組成物C11は体積平均粒子径が1
1.2μm、個数平均粒子径が8.9μmであった。従
って、体積平均粒子径/個数平均粒子径の値は1.3で
あった。
【0096】比較例3 湿式法によって製造された熱硬
化性粉体塗料組成物C12 硬化剤組成物H4分散液の代わりに、製造例7で得られ
た硬化剤分散液を用いたこと以外は、実施例16と同様
にして熱硬化性粉体塗料組成物C12を得た。なお、油
滴の体積平均粒子径は4.1μmであり、得られた粉体
塗料組成物を実施例9と同様にして測定したところ、体
積平均粒子径が10.5μm、個数平均粒子径が7.5
μmであった。従って、体積平均粒子径/個数平均粒子
径の値は1.4であった。
【0097】比較例4 湿式法によって製造された熱硬
化性粉体塗料組成物C13 硬化剤組成物H4溶液の代わりに、製造例7で得られた
硬化剤分散液を用いたこと以外は、実施例17と同様に
して熱硬化性粉体塗料組成物C13を得た。なお、油滴
の体積平均粒子径は4.6μmであり、得られた粉体塗
料組成物を実施例9と同様にして測定したところ、体積
平均粒子径が10.3μm、個数平均粒子径が7.5μ
mであった。従って、体積平均粒子径/個数平均粒子径
の値は1.4であった。
【0098】上記実施例9〜17および比較例1〜4で
得られた各油滴の体積平均粒子径および、各熱硬化性粉
体塗料組成物の体積平均粒子径、個数平均粒子径および
体積平均粒子径/個数平均粒子径の値を表3に示す。
【0099】評価方法 実施例9〜17および比較例1〜4で得られた各熱硬化
性粉体塗料組成物を下記の項目について評価した。結果
を表4に示す。
【0100】<目視外観>各熱硬化性粉体塗料組成物を
静電塗装により鉄板に塗装し、145℃で25分間焼き
付けて膜厚60μmの塗膜を形成した。得られた塗膜の
外観は目視にて観察し、艶ぼけ現象の見られないものを
○、見られるものを×とした。
【0101】<平滑性> 1)鉄板上の塗膜の平滑性 上記目視外観の評価に用いた鉄板上の塗膜の平滑性を、
写像鮮明度測定器(スガ試験機社製)で測定されたNS
IC値(%)で評価し、65%を合格とした。
【0102】2)水性ベース上の平滑性 中塗りを施した基板上にスーパーラックM260シルバ
ー(日本ペイント社製水性メタリックベース塗料)を乾
燥膜厚が10〜20μmとなるように静電塗装し、80
℃の熱風乾燥炉で10分間予備加熱した。基板を室温ま
で冷却した後、各熱硬化性粉体塗料組成物を膜厚50μ
mになるよう静電塗装し、145℃の熱風乾燥炉で25
分間焼き付けた。焼き付け終了後、基板を取り出し、基
板温度が室温になった時点で、得られた塗膜の平滑性
を、写像鮮明度測定器(スガ試験機社製)で測定された
NSIC値(%)で評価した。、60%以上を合格とし
た。
【0103】なお、中塗りを施した基板は、リン酸亜鉛
処理したダル鋼板に、パワートップU−50(日本ペイ
ント社製自動車用カチオン電着塗料)を乾燥膜厚が約2
5μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間焼
き付けた後、オルガP−2(日本ペイント社製溶剤型中
塗り塗料)を乾燥膜厚が約40μmになるように静電塗
装し、140℃で30分間焼き付けることで作製した。
【0104】<貯蔵安定性>各熱硬化性粉体塗料組成物
をインキュベーターにて30℃で2ヶ月貯蔵した後のも
のについて振動篩を用いて篩を行い、150メッシュを
95%以上通過した塗料を合格とした。
【0105】<耐固相反応性>30℃で2ヶ月貯蔵した
各熱硬化性粉体塗料組成物について、重量平均分子量の
変化率をGPCで評価するとともに、上述の鉄板上の塗
膜の平滑性の評価を行い、NSIC(%)の値が65%
以上であるものを合格とした。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【発明の効果】本発明の硬化剤組成物は、室温で結晶性
固体である多価カルボン酸化合物(a)、および、前記
多価カルボン酸化合物(a)と種類の異なるカルボン酸
化合物(b)とからなる硬化剤組成物であって、上記硬
化剤組成物が室温で固体状であり、上記硬化剤組成物の
DSCによって決定した融点が、上記多価カルボン酸化
合物(a)の融点または上記カルボン酸化合物(b)の
融点よりも低いため、この硬化剤組成物を用いた熱硬化
性粉体塗料組成物は、得られる塗膜外観が良好であり、
艶ぼけ現象の発生もない。これは、本発明の硬化剤組成
物を用いることで硬化剤としての凝集性が低下し、塗装
後の加熱溶融の際に、系全体の相溶性が向上することに
よると考えられる。
【0110】また、本発明の硬化剤組成物は、上記多価
カルボン酸化合物(a)や上記カルボン酸化合物(b)
のDSC吸収曲線と異なるDSC吸収曲線を示すことか
ら、塗装後の加熱溶融の際に、上記化合物を単に混合し
て配合した場合とは異なった挙動を示すことにより、外
観が向上したものと考えられる。
【0111】さらに、上記硬化剤組成物は、上記多価カ
ルボン酸化合物(a)および上記カルボン酸(b)を液
状にして混合したものを用いることによって、得られる
塗膜の外観をさらに向上させることができる。これは、
液状にして混合することによって得られた硬化剤組成物
の凝集力は、通常の混合によって得られた硬化剤組成物
よりも分子レベルでの充分な混合が行われていることに
よると考えられる。
【0112】本発明の硬化剤組成物は、その融点を低く
することが可能であるため、種々の酸/エポキシ硬化系
熱硬化性粉体塗料に用いることで、低温硬化可能な熱硬
化性粉体塗料を得ることができる。
【0113】本発明の熱硬化性粉体塗料組成物は、得ら
れる塗膜に艶ぼけ現象の発生がないため、先の硬化剤組
成物を多量に含めることが可能となり、得られる塗膜の
架橋密度を向上することができる。
【0114】また、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物
は、薄膜塗装した際にも平滑性に優れた塗膜を得ること
ができる。
【0115】さらに、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物
が湿式法によって製造された場合、熱硬化性粉体塗料組
成物を水性媒体中で製造されるため、原料成分に対する
加熱が少なく、得られた熱硬化性粉体塗料組成物は耐固
相反応性にも優れている。また、上記湿式法によって製
造された熱硬化性粉体塗料組成物は、粉体形状が球形で
整っており、粒径分布が狭いことから、微粉の量が極め
て少なく、回収粉も新しい塗料と同様に使用可能でき、
さらに搬送性や塗着効率等の塗装作業性も優れている。
【0116】本発明の複層塗膜形成方法は、先の熱硬化
性粉体塗料組成物を使用するため、硬化剤組成物を多量
に含んでも得られる塗膜に艶ぼけ現象の発生がなく、平
滑性かつ性能および物性に優れた複層塗膜を得ることが
できる。従って、本発明の複層塗膜形成方法によって得
られる複層塗膜は、高外観が要求される自動車車体に適
用することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年7月14日(1999.7.1
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の硬化剤組成物のDSC吸収曲線の一例
を示す図である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AE03 BB21Z CA48 EA02 EB22 EB33 EB45 EC07 EC37 EC52 EC54 4J002 CD191 EF066 EF076 EF106 EF116 EH097 EH147 GH01 HA09 4J036 AK11 DB18 DB20 DB21 DB22 DB24 JA03 4J038 CG141 CH171 DB221 JA36 JA39 KA03 MA13

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】室温で結晶性固体である多価カルボン酸化
    合物(a)、および、前記多価カルボン酸化合物(a)
    と種類の異なるカルボン酸化合物(b)とからなる硬化
    剤組成物であって、(1)前記硬化剤組成物が、室温で
    固体状であり、(2)示差走査型熱量計によって決定し
    た前記硬化剤組成物の融点が、前記多価カルボン酸化合
    物(a)の融点または前記カルボン酸化合物(b)の融
    点より低いことを特徴とする硬化剤組成物。
  2. 【請求項2】前記硬化剤組成物の融点が、60〜180
    ℃である請求項1に記載の硬化剤組成物。
  3. 【請求項3】前記硬化剤組成物の融点が、前記多価カル
    ボン酸化合物(a)の融点および前記カルボン酸化合物
    (b)の融点よりも低い請求項1または2に記載の硬化
    剤組成物。
  4. 【請求項4】前記多価カルボン酸化合物(a)と前記カ
    ルボン酸化合物(b)との重量比が50:50〜99:
    1である請求項1ないし3に記載の硬化剤組成物。
  5. 【請求項5】前記多価カルボン酸化合物(a)がデカン
    ジカルボン酸である請求項1ないし4に記載の硬化剤組
    成物。
  6. 【請求項6】室温で結晶性固体である多価カルボン酸化
    合物(a)および前記多価カルボン酸化合物(a)と種
    類の異なるカルボン酸化合物(b)を混合する、硬化剤
    組成物の製造方法であって、(1)前記硬化剤組成物
    が、室温で固体状であり、(2)示差走査型熱量計によ
    って決定した前記硬化剤組成物の融点が、前記多価カル
    ボン酸化合物(a)の融点または前記カルボン酸化合物
    (b)の融点より低いことを特徴とする硬化剤組成物の
    製造方法。
  7. 【請求項7】前記混合が、前記多価カルボン酸化合物
    (a)および前記カルボン酸化合物(b)を液状にして
    混合するものである請求項6に記載の硬化剤組成物の製
    造方法。
  8. 【請求項8】前記液状にする方法が、前記多価カルボン
    酸化合物(a)および前記カルボン酸化合物(b)を同
    時に溶媒に溶解させるものである請求項7に記載の硬化
    剤組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】前記液状にする方法が、前記多価カルボン
    酸化合物(a)および前記カルボン酸化合物(b)を同
    時に溶融させるものである請求項7に記載の硬化剤組成
    物の製造方法。
  10. 【請求項10】エポキシ基含有アクリル樹脂および硬化
    剤を含んでいる熱硬化性粉体塗料組成物であって、前記
    硬化剤が、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の硬
    化剤組成物であることを特徴とする熱硬化性粉体塗料組
    成物。
  11. 【請求項11】エポキシ基含有アクリル樹脂および硬化
    剤を原料として用いる湿式法によって得られる熱硬化性
    粉体塗料組成物であって、前記硬化剤が、請求項1ない
    し5のいずれか1つに記載の硬化剤組成物であることを
    特徴とする熱硬化性粉体塗料組成物。
  12. 【請求項12】前記湿式法が、前記原料を有機溶媒に溶
    解することで原料溶液を製造する工程(1)、前記工程
    (1)で得られた原料溶液を、水溶性高分子を含んだ水
    溶液に混合して懸濁液を製造する工程(2)および前記
    工程(2)で得られた懸濁液中の油滴を固化して粒子を
    取り出す工程(3)からなるものである請求項11に記
    載の熱硬化性粉体塗料組成物。
  13. 【請求項13】下塗りまたは下塗りおよび中塗りが施さ
    れた基板上に、ベース塗料を塗布する工程、前記工程で
    得られたベース塗料が塗布された基板上に、粉体塗料を
    塗布する工程、および、前記ベース塗料および前記粉体
    塗料が塗布された基板を加熱する工程からなる複層塗膜
    形成方法であって、前記粉体塗料が請求項10ないし1
    2のいずれか1つに記載の熱硬化性粉体塗料組成物であ
    ることを特徴とする複層塗膜形成方法。
  14. 【請求項14】請求項13に記載の複層塗膜形成方法に
    よって得られる複層塗膜。
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