JP2000331720A - 色素増感型太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

色素増感型太陽電池およびその製造方法

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electrode
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Hiroyuki Endo
博之 遠藤
Masatoshi Shibata
雅敏 柴田
Satoshi Hachiya
聡 蜂屋
Takashi Arakane
崇士 荒金
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高性能で長期安定性の高い色素増感型太陽電
池の製造方法の提供。 【解決手段】 半導体表面に付着させる増感色素を事前
に溶解させた電解質溶液を用いて色素増感型太陽電池を
製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光エネルギーを電気
エネルギーに変換する太陽電池、特に色素増感型太陽電
池に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球温暖化に代表されるように地
球環境問題が顕在化してきている。そのような中で温暖
化の原因とされるCO2 ガスを排出しない、あるいは排
出が少ない、いわゆるクリーンエネルギーに対するニー
ズが高まっている。クリーンエネルギーとして最も期待
が高い太陽電池についてみると、現在、商品化されてい
るものは主に結晶(単結晶型、多結晶型)シリコンのp
n接合を利用したものである。この太陽電池に使用され
るシリコンは非常に高純度である必要があり、不純物を
取り除くための精製工程に多大なエネルギーと複雑な工
程を要するため、製造にコストがかかることなどの問題
があり、結果的に太陽電池システム全体としては非常に
高価なものになっている。そのため、既存の商用電源か
らの電力に比べて太陽光発電システムでは発電コストが
高くなり、広く普及するためには問題があった。また、
アモルファスシリコンの太陽電池も実用化はされている
が、耐久性の点などから電卓などには好適であるが電力
源としては不向きとされている。
【0003】一方、シリコン系以外の太陽電池の開発も
行われており、グレッツエルらは表面積を大きくした多
孔質酸化チタン膜にルテニウム錯体系の有機色素を吸着
させ、光電極とした色素増感型の太陽電池を考案し、変
換効率もシリコン系太陽電池なみに大きくなることを示
した(J.Am.Chem.Soc.第115巻、 63
82〜6390頁、 1993年)。この色素増感型太陽
電池では使用する材料が安価であること、簡単なプロセ
スで製造できることなどから低コストの太陽電池ができ
ると期待されている。
【0004】このグレッツエル型と言われる太陽電池で
は表面積の非常に大きい多孔質膜の上に色素を吸着して
いるので発電に寄与する色素の量が多くなり、従来の色
素増感型の太陽電池に比べて変換効率が向上すると考え
られている(従来1%以下であったものが数%になった
と報告されている。)。グレッツエル型太陽電池の構造
は金属酸化物半導体の多孔質膜を一方の電極とし、対向
電極との間に電解質溶液が充填されている。太陽電池の
周囲は前記電解質溶液が漏れないようにシール材でシー
ルされている。この太陽電池は色素を吸着させた酸化チ
タン膜と対向電極の間に電解質溶液を封入した湿式太陽
電池であり、電解質溶液の溶媒は酸化チタン微粒子表面
に吸着した色素を溶解しないものを選択する。しかしな
がら、現実には電解質溶液に完全に溶解しない好適な色
素はなく、長期間には若干の色素の溶解が生じ、酸化チ
タン上の色素量が減少し、半導体電極への色素の付着状
態も不安定になる。このため発電性能(変換効率)の低
下が問題となる。すなわちグレッツエル型太陽電池では
現状では長期安定性に問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は安定した性能
を長期間維持できる色素増感型太陽電池、およびそれを
製造する方法の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意研究の結
果、色素増感型光半導体電極と対向電極を電解質溶液を
挟んで配置された色素増感型太陽電池において、電解質
溶液中にあらかじめ増感色素を溶解しておくことによ
り、初期に光半導体電極(酸化チタン層)に吸着させた
増感色素の電解質溶液への溶出を防ぎ、初期性能を長期
間にわたって維持することができることを見出し本発明
を完成したものである。
【0007】すなわち、本発明の要旨は以下の通りであ
る。 (1) 色素増感型光半導体電極と対向電極の間に電解
質溶液を配置する色素増感型太陽電池の製造方法におい
て、溶液中に光半導体電極に付着させた増感色素を溶解
させた電解質溶液を用いることを特徴とする色素増感型
太陽電池の製造方法。
【0008】(2) 電解質溶液中に溶解させた増感色
素の濃度が0.005mmol/L以上で当該電池の使
用状態における飽和溶解度以下の範囲である(1)記載
の色素増感型太陽電池の製造方法。 (3) 電解質溶液中に溶解させた増感色素の濃度が
0.005〜1mmol/Lの範囲である(1)記載の
色素増感型太陽電池の製造方法。
【0009】(4) 色素増感型光半導体電極と対向電
極の間に電解質溶液を配置した色素増感型太陽電池にお
いて、電解質溶液中に増感色素が0.005mmol/
L以上溶解していることを特徴とする色素増感型太陽電
池。 (5) 電解質溶液中への増感色素の溶解量が1mmo
l/L以下である(4)記載の色素増感型太陽電池。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説
明する。まず、典型的な色素増感型太陽電池(グレッツ
ェル型太陽電池)について簡単に説明する。〔図1〕は
グレッツエルらが考案した色素増感型太陽電池の構成の
一例を示すものである。光電極の部分は透明電極付きガ
ラス基板上に金属酸化物半導体(酸化チタン)の多孔質
膜(半導体電極)を形成させ、四塩化チタン水溶液等で
酸化チタン多孔質膜を処理し、その表面に増感色素を付
着させたものである。これを一方の電極とし、対向電極
との間に電解質溶液を置く。太陽電池の周囲は前記電解
質溶液が漏れないようにシール材でシールしたものが典
型的なグレッツェル型太陽電池である。この太陽電池は
色素を吸着させた酸化チタン膜と対向電極の間に電解質
溶液を封入する湿式の太陽電池であり、使用する電解質
溶液と増感色素の組み合わせはできるだけ電解質溶液に
増感色素が溶解しないものを選択する。
【0011】しかしながら、現実には電解質溶液に完全
に溶解しない好適な色素はなく、長期間には若干色素の
溶解が生じ、酸化チタン(半導体電極)上の色素量が減
少する。また、色素の酸化チタン(半導体電極)上への
付着状態も好ましくないものへと変化することもある。
このため発電性能(変換効率)の低下が起こる。すなわ
ちグレッツエル型太陽電池では現状では長期安定性に問
題となる。そこで、本発明の方法では電解質溶液中にあ
らかじめ半導体電極上に付着させた増感色素と同じ色素
を溶解させておき、この電解質溶液を半導体電極と対向
電極の間に挿入して電池を製造する。色素を電解質溶液
中に所定量以上溶解させてある電池においてはあらかじ
め半導体電極上に付着させた増感色素は電解質溶液中に
溶け出し難くなる。これにより、半導体電極上に付着さ
せた増感色素の電解質溶液への溶解を防ぎ、初期性能を
長期間にわたって維持することができる。
【0012】以上が本発明の色素増感型太陽電池の製造
方法および本発明の色素増感型太陽電池の概略である。
本発明の電池の製造方法は電解質層中にあらかじめ半導
体電極上に付着させる増感色素を溶解させておき、これ
を電解質として使用する以外は従来のグレッツェル型太
陽電池と同じでよく、通常の構成の色素増感型太陽電池
の製造方法をとれば良い。以下にそれらを含めて本発明
の色素増感型太陽電池の構成、材料、製造方法等につい
て詳細に説明する。
【0013】[透明基板(通称ガラス基板)]シリコン
太陽電池、液晶パネル等に用いられる透明基板を用いれ
ばよい。具体的には透明なガラス基板、ガラス基板表面
を適当に荒らすなどして光の反射を防止したもの、すり
ガラス状の半透明のガラス基板など光を透過するものが
透明基板材料として挙げられる。なお、光を透過するも
のであれば材質はガラスでなくてもよく、透明プラスチ
ック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体などで
もよい。
【0014】[透明電極]シリコン太陽電池、液晶パネ
ル等に用いられる透明電極を用いればよい。たとえば、
透明基板上に付着させた酸化すず、インジウム・ すず酸
化物(ITO)などの金属酸化物が好適な透明電極とな
る。また、メッシュ状、ストライプ状など光が透過でき
る構造にした金属電極を前記ガラス基板上に設けたもの
でもよい。
【0015】[半導体電極]金属酸化物半導体、たとえ
ばチタン、ニオブ、亜鉛、すず、インジウム、ジルコニ
ウム、イットリウム、ランタン、タンタルなどの酸化物
やSrTiO3 やCaTiO3 などのペロブスカイト系
酸化物の半導体が好適に使用される。前記半導体を薄膜
状にしたものが好適である。特に酸化チタン膜が好まし
い半導体電極となる。
【0016】[半導体電極(多孔質膜)の形成]前記金
属酸化物半導体(酸化チタンなど)の微粒子(粒子サイ
ズ[ 平均粒径]は1〜1000nm程度、好ましくは1
〜100nm)を分散させた分散液を調製する。分散液
の溶媒は水、有機溶媒、または両者の混合溶媒など前記
微粒子を分散できるものなら特に限定しない。また、分
散液中には必要に応じて界面活性剤、粘度調節剤を加え
てもよい。次に、前記分散液を透明電極付きガラス基板
上に塗布、乾燥する。塗布法としてはバーコーター法、
印刷法などを用いることができる。これを空気中あるい
は不活性ガス、窒素中で加熱、焼成して金属酸化物半導
体膜(多孔質膜)を形成する。焼成温度は300〜80
0℃が適している。焼成温度が上記より低いと金属酸化
物半導体の微粒子間の固着、基板への付着力が弱くなり
十分な強度がでなくなる。焼成温度が高すぎると微粒子
間の固着が進み、多孔質膜の表面積が小さくなる。膜厚
は0.1 〜100 μm、好ましくは1〜50μmが適してい
る。これより薄いと表面に吸着させる色素の量が少なく
なり、光の吸収が少なくなる。これより厚いと膜の電気
抵抗が大きくなり出来上がった太陽電池の性能が悪化す
る。
【0017】[増感色素]本発明における増感色素と
は、可視光領域および/または赤外光領域に吸収を持つ
色素であればよい。本発明の製造方法においては電解質
溶液(特に、その溶媒)への溶解性の小さいものが好ま
しい。また、電池の製造時および太陽電池として使用し
たり、保管したりする時の温度等の状態の変化の範囲内
での溶解性の変化の小さいものがよい。
【0018】以下に本発明の増感色素として好適なもの
につき具体的に説明する。増感色素としては金属錯体や
有機色素を用いることができる。金属錯体としては銅フ
タロシアニン、チタニルフタロシアニン等の金属フタロ
シアニン、クロロフィルまたはその誘導体、ヘミン、特
開平1−220380号公報や特表平5−504023
号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄及び亜鉛の
錯体(例えばシス−ジシアネート−ビス(2、2’−ビ
ピリジル−4、4’−ジカルボキシレート)ルテニウム
(II))があげられる。有機色素としては、メタルフ
リーフタロシアニン、シアニン系色素、メタロシアニン
系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素
等を用いることができる。
【0019】増感色素は前記金属酸化物半導体の多孔質
膜の表面に付着(化学吸着、物理吸着など、または堆積
などどのような形態の付着でもよい。)させればよい。
付着方法は例えば色素を含む溶液中に前記多孔質膜を浸
漬するなどの方法を用いることができる。この際、溶液
を加熱し還流させるなどして増感色素の付着を促進する
ことができる。
【0020】[電解質溶液]I/I3 系、Br/Br3
系、キノン/ハイドロキノン系などのレドックス電解質
をアセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネ
ートなどの電気化学的に不活性な溶媒(およびこれらの
混合溶媒)に溶かしたものが使用できる。具体的には、
例えば、I/I3 系の電解質はヨウ素のアンモニウム塩
あるいはヨウ化リチウムとヨウ素を混合したものを用い
て得ることができる。電解質溶液としては、前記したよ
うに使用する増感色素の溶解性や溶解性の変化の小さい
ものを選ぶことが好ましい。
【0021】本発明の方法ではさらにこの電解質溶液中
に増感色素を溶解させておく。増感色素の溶解濃度とし
ては飽和溶解度とすることが好ましい。特に、この電池
の使用状態(発電に使用している時および発電していな
いで保存等している時の温度、圧力)での溶解濃度を飽
和溶解度とすることが好ましい。しかし、一般に色素は
電解質溶液に溶解しにくいので飽和溶解度まで達し難い
ことも多い。通常は増感色素の溶解濃度は0.005m
mol/L以上、さらには0.01mmol/L以上と
しておけば半導体電極に付着させてある色素は電解質溶
液中に溶出し難くなり好適な電池が製造できる。これよ
り少ないと初期に半導体電極層に付着させた増感色素の
電解質溶液への溶解を防ぐ効果がなくなる場合がある。
また、飽和溶解度が不明確なときや大きいときはは通常
1mmol/L程度以下とするとよい。増感色素が電解
質溶液にあまり多くあるとこれが光電変換反応を起こ
し、光を有効に利用できなくなる虞れがある。これによ
り電池の発電効率が下がってしまうこともある。
【0022】[対向電極]シリコン太陽電池、液晶パネ
ル等に用いられる対向電極と同じものを用いればよい。
すなわち、前記「透明電極」と同じもの、前記「透明電
極」に白金を少量付着させたもの、白金などの金属薄
膜、炭素などの導電性膜などが使用できる。 〔電池の組立〕前記色素増感型光半導体電極と対向電極
とを端部にスペーサー材を配置して重ね、エポキシ等の
シール材により周囲をシールしセルを組む。セル周囲を
シールする際、電解質溶液の注入口を残しておく。この
セルに上記で説明した増感色素を溶解させた電解質溶液
を注入したのち、注入口をエポキシ等の封止材で封止し
太陽電池とする。本発明では電解質溶液中にあらかじめ
増感色素を溶解してあるため、太陽電池セルの状態で、
金属酸化物半導体電極の表面に吸着している増感色素が
電解質溶液中に溶け出すことがなく初期の状態が保た
れ、初期の発電性能を長期間にわたって維持できる。以
上で、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法、および
本発明の色素増感型太陽電池についての説明をした。こ
の方法により、効率がよく耐久性の高い太陽電池を提供
することができる。
【0023】
〔実施例1〕
1.チタニア基板の作製 日本エアロゾル製超微粒子チタニア(P−25)1重量
部を界面活性剤(和光純薬Triton X- 100)を0、
5wt%含む水20重量部に分散させた。この分散液を
フッ素をドープした酸化スズ透明電極付きガラス基板
(50×50mm)にバーコーターで塗布し、100℃
で1時間乾燥させた後450℃で1時間焼成した。これ
に上記と同じ塗布、乾燥、焼成をもう一度繰り返し厚さ
10μmの多孔質の基板をとした。さらに、この基板を
濃度1wt%の四塩化チタン水溶液に一晩浸漬し、その
後水洗して100℃で1時間乾燥させた後450℃で1
時間焼成し、多孔質チタニア基板を作製した。
【0024】2.増感色素の付着 増感色素(シス−ジシアネート−ビス(2,2’−ビピ
リジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム
(II))を0.3mmol含むエタノール溶液に上記
チタニア基板を浸漬し、溶液の沸点まで加熱して2時間
還流条件で色素を付着させ増感色素付きチタニア基板を
得た。
【0025】3.太陽電池の作製 上記表面被覆処理した色素付きチタニア基板を一方の電
極とし、対向電極としてドープした酸化スズ透明電極付
きガラス基板に白金をスパッタによりコートしたものを
用いた。対向電極上に宇部日東化成製ハイプレシリカス
ペーサー(直径10.3μmの球状)を乾式噴霧して付
着させた。その後、両基板を重ね合わせ、注入口2個所
を残し、周りをエポキシ系の接着剤でシールした。注入
口より電解質溶液を大気圧下で注入し、注入後注入口を
エポキシ系の接着剤で封止した。この後電極にリード線
を取り付けて太陽電池を作製した。なお、前記の電解質
溶液は体積比が1:4であるメトキシプロピオニトリル
/エチレンカーボネートの混合液を電解質溶媒としてこ
れに電解質(ヨウ化テトラプロピルアンモニウムおよび
ヨウ素をそれぞれ電解質溶液中の濃度を0.46mol
/L、0.06mol/Lとする)を溶解したものを用
いた。さらに上記で増感色素付きチタニア基板に付着さ
せた増感色素(シス−ジシアネート−ビス(2,2’−
ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウ
ム(II))を0.07mmol/Lの濃度になるよう
溶解し電解質溶液とした。このセルに前記電解質溶液を
注入口より注入した。その後、注入口をエポキシ系接着
剤で封止した。この後電極にリード線を取り付けて太陽
電池セルを完成した。
【0026】4.太陽電池セルの発電性能および寿命試
験 キセノンランプを光源としUVカットフィルターとAM
1.5フィルターを通して500W/m2 の強度の疑似
太陽光を上記太陽電池セルに当てることで発電性能の測
定を行った。また、寿命評価としてセルを冷暗所に一年
間放置(電極は開放状態)した後の発電性能を測定し、
放置前の性能と比較することにより寿命試験を行った。
【0027】5.発電性能および寿命の評価結果 初期の開回路状態の電圧(VOC)は0.66V であ
り、短絡電流(ISC)は7.0mA/cm2 であり、
曲線因子(FF)は0.63であり、変換効率は5.8
%であって太陽電池として有用であることがわかった。
このセルを冷暗所に一年間放置した後に同様の測定を行
ったが、VOC、ISC、FFとも変化せず、変換効率
は5.8%のままだった。
【0028】〔比較例〕電解質溶液に増感色素を溶解し
なかったこと以外は実施例1と同様にして太陽電池セル
を作製した。このセルの初期性能を評価したところ、開
回路状態の電圧(VOC)は0.66V であり、短絡電
流(ISC)は6.9mA/cm2 であり、曲線因子
(FF)は0.63であり、変換効率は5.7%であっ
た。このセルを冷暗所に一年間放置した後に同様の測定
を行ったところ、VOCは0.68V 、ISCは3.0
mA/cm2 、FFは0.55となり、変換効率は2.
2%に低下した。なお、この性能の低下したセル中の電
解質溶液中の色素濃度は0.002mmol/L(IC
PによってRuを測定して算出)であった。
【0029】〔実施例2〜5〕実施例1の「3.太陽電
池セルの作製」の項で電解質溶液の溶媒および増感色素
の添加濃度を表1のように変えた以外は実施例1と同様
にしてセルを作製した。上記太陽電池を実施例1と同様
にして評価した。結果を表2に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】実施例1から実施例6のどの場合でも、初
期性能は良好であり、太陽電池として有用であることが
わかった。また、冷暗所一年間放置後もVOC、IS
C、FF、変換効率とも変化せず長期安定性があること
がわる。
【0033】
【発明の効果】本発明により製造した色素増感型太陽電
池は変換効率等が優れており、長期間安定した性能が持
続できる有効な色素増感型太陽電池を提供できることを
示している。また、作製時の性能のばらつきが少なく、
工業的製造に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 グレッツェル型太陽電池の構成の概念図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F051 AA14 5H032 AA06 AS16 EE16 HH02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色素増感型光半導体電極と対向電極の間
    に電解質溶液を配置する色素増感型太陽電池の製造方法
    において、溶液中に光半導体電極に付着させた増感色素
    を溶解させた電解質溶液を用いることを特徴とする色素
    増感型太陽電池の製造方法。
  2. 【請求項2】 電解質溶液中に溶解させた増感色素の濃
    度が0.005mmol/L以上で当該電池の使用状態
    における飽和溶解度以下の範囲である請求項1記載の色
    素増感型太陽電池の製造方法。
  3. 【請求項3】 電解質溶液中に溶解させた増感色素の濃
    度が0.005〜1mmol/Lの範囲である請求項1
    記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
  4. 【請求項4】 色素増感型光半導体電極と対向電極の間
    に電解質溶液を配置した色素増感型太陽電池において、
    電解質溶液中に増感色素が0.005mmol/L以上
    溶解していることを特徴とする色素増感型太陽電池。
  5. 【請求項5】 電解質溶液中への増感色素の溶解量が1
    mmol/L以下である請求項4記載の色素増感型太陽
    電池。
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