JP2000329168A - 車両用ドラムブレーキ - Google Patents

車両用ドラムブレーキ

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JP2000329168A
JP2000329168A JP11138818A JP13881899A JP2000329168A JP 2000329168 A JP2000329168 A JP 2000329168A JP 11138818 A JP11138818 A JP 11138818A JP 13881899 A JP13881899 A JP 13881899A JP 2000329168 A JP2000329168 A JP 2000329168A
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JP
Japan
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brake
cam
drum
brake shoes
shoes
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JP11138818A
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English (en)
Inventor
Goro Uda
五郎 右田
Kazumasa Nakaya
一正 中屋
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Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブレーキライニングを新しいものと交換した
場合でも、交換前後で同じ制動力を得ようとした時に、
それ程操作力の変動が無い車両用ドラムブレーキをを提
供する。 【解決手段】 回動側と共に回転するブレーキドラムを
設け、該ブレーキドラムの内側で、その回転中心回りに
一対の半円弧状のブレーキシューを配設し、互いに対向
する両ブレーキシューの各一端側を固定側に設けたアン
カーピンに係合させる一方、各他端側間に長円形状のカ
ム9を介在させて、該カム9を前記固定側に回動操作可
能に支承し、前記カム9の回動で、該カム9に前記ブレ
ーキシューの各他端側がカム係合して両ブレーキシュー
が拡開し、これら各ブレーキシューの外周面に設けられ
たブレーキライニングがブレーキドラムの内周面に摩擦
係合するようにした車両用ドラムブレーキにおいて、前
記カム9は、長円形状を呈し、両端部に前記ブレーキシ
ューに摺動するR形状部9a,9bが形成され、該R形
状部9a,9bは、長円形状の幅Aを直径とする円弧よ
りも外側に突出する形状である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動二輪車や三
輪車等の車両の制動用として用いられる車両用ドラムブ
レーキに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からこの種のものとしては、例えば
特開昭56ー160438号公報に開示されたものがあ
る。
【0003】これによれば、回動側と共に回転するブレ
ーキドラムの内側に一対の半円形状のブレーキシューが
円形に配置されている。そして、互いに対向する両ブレ
ーキシューの各一端側が固定側に突設されたアンカーピ
ンに係合させられる一方、各他端側間には長円形状のカ
ムが介在している。このカムは、前記固定側に回動操作
可能に支承され、その回動中心を中心として対称形をな
している。
【0004】そして、ブレーキ操作により、そのカムを
回動させると、これに両ブレーキシューの各他端側がカ
ム係合し、これら両ブレーキシューがアンカーピン廻り
に互いに反対方向に回動することにより拡開されるよう
に構成されている。これら各ブレーキシューの外周面に
設けられたブレーキライニングがブレーキドラムの内周
面に摩擦係合し、これによって、回動側の制動がなされ
るようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のものにあっては、長円形状のカムを所定の方
向に回動させて一対のブレーキシューを拡開させている
が、この場合には、ブレーキシューからカムに作用する
反力の回転モーメントがカムの回動角度に応じて大きく
変化してしまうため、ブレーキライニングを新しいもの
と交換した場合には、交換前後で同じ制動力を得ようと
すると、カムの回動角度が異なることから、操作力も大
きく変化してしまうため、操作フィーリングが良くな
い、という問題がある。
【0006】そこで、この発明は、ブレーキライニング
を新しいものと交換した場合でも、交換前後で同じ制動
力を得ようとした時に、それ程操作力の変動が無い車両
用ドラムブレーキを提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる課題を達成するた
めに、請求項1に記載の発明は、回動側と共に回転する
ブレーキドラムを設け、該ブレーキドラムの内側で、そ
の回転中心回りに一対の半円弧状のブレーキシューを配
設し、互いに対向する両ブレーキシューの各一端側を固
定側に設けたアンカーピンに係合させる一方、各他端側
間に長円形状のカムを介在させて、該カムを前記固定側
に回動操作可能に支承し、前記カムの回動で、該カムに
前記ブレーキシューの各他端側がカム係合して両ブレー
キシューが拡開し、これら各ブレーキシューの外周面に
設けられたブレーキライニングがブレーキドラムの内周
面に摩擦係合するようにした車両用ドラムブレーキにお
いて、前記カムは、長円形状を呈し、両端部に前記ブレ
ーキシューに摺動するR形状部が形成され、該R形状部
は、長円形状の幅を直径とする円弧よりも外側に突出す
る形状である車両用ドラムブレーキとしたことを特徴と
する。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
構成に加え、前記R形状部は、半径Rの2つの円弧部が
滑らかに連続して形成され、前記カムの長円形状の幅を
A,長さをBとすると、これらの寸法関係は、B/A>
3で、且つ、R>A/2となるように形成されているこ
とを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて説明する。
【0010】図1乃至図17には、この発明の実施の形
態を示す。
【0011】まず構成を説明すると、図2中符号1はド
ラムブレーキで、このドラムブレーキ1は自動二輪車の
後輪5側に装備されている。この自動二輪車はシュープ
レート2を有し、このシュープレート2に上記後輪5の
車軸3が支承されている。
【0012】詳しくは、そのドラムブレーキ1は、後輪
5と共に回転するブレーキドラム4を有しており、この
ブレーキドラム4の内側には、図1等に示すように、半
円弧状をなす上下一対のブレーキシュー6,7が設けら
れ、これらはブレーキドラム4の回転中心回りに配設さ
れている。
【0013】そして、両ブレーキシュー6,7の互いに
対向する各一端側6a,7aは、固定側たる前記シュー
プレート2側に設けたアンカーピン8に係合させられて
おり、このアンカーピン8の軸心8a回りに回動自在と
されている。また、前記両ブレーキシュー6,7の互い
に対向する他端側6b,7b間には、長円形状のカム9
が介在され、このカム9は前記シュープレート2側に回
動操作可能に支承されている。このカム9とアンカーピ
ン8とはブレーキドラム4の径方向対称位置に配設され
ている。
【0014】また、前記両ブレーキシュー6,7には、
アンカーピン側コイルスプリング15及びカム側コイル
スプリング16が架設され、これらの付勢力により、両
ブレーキシュー6,7は互いに引き合うように構成され
ている。そして、これによって、アンカーピン8に対
し、各ブレーキシュー6,7の一端側6a,7aが係合
状態に保たれており、又、カム9に対し前記各ブレーキ
シュー6,7の他端側6b,7bが圧接状態に保たれて
いる。そのカム側コイルスプリング16は、アンカーピ
ン側コイルスプリング15より巻き数が多くバネ定数が
小さく形成されている。そして、図1及び図6に示すよ
うに、アンカーピン側コイルスプリング15は、両端部
に形成されたフック部15aが両ブレーキシュー6,7
のアンカーピン側係止孔6e,7eに両方とも表側から
引掛けられる一方、カム側コイルスプリング16は、両
端部に形成されたフック部16aが逆向きに形成され、
右側端部に形成されたフック部16aがトレーリングシ
ュー7の表側からカム側係止孔7fに引掛けられ、左側
端部に形成されたフック部16aがリーディングシュー
6の裏側からカム側係止孔6fに引掛けられている。
【0015】この両ブレーキシュー6,7の外周面に
は、それぞれ摩擦材としてのブレーキライニング10,
11が貼り付けられている。
【0016】これら両ブレーキライニング10,11の
前記カム9側の端縁10a,11aの位置が、該各ブレ
ーキシュー6,7の、前記カム9が摺動する摺動面6
c,7cの前記アンカーピン8側の端縁6d,7dの位
置よりも、前記アンカーピン8寄りに設定されている。
その端縁6dの位置は、図1に示す位置となっており、
又、トレーリングシュー7側の端縁7dの位置は、ここ
ではカム9が時計回りに回動されるため、カム9の最大
回動角度によって異なり、最大回動角度が40°では図
10に示すような位置となっている。
【0017】また、両ブレーキシュー6,7のブレーキ
ライニング10,11は、アンカーピン8側の端縁10
b,11bの位置が、前記アンカーピン8の前記カム側
端8bより、前記カム9寄りに設定されている。
【0018】そして、上記カム9には図2及び図3に示
すように、カム軸18を介して操作アーム12が連結さ
れ、この操作アーム12の回動端は、図示省略のワイヤ
を介してブレーキレバー(図示せず)に連結されてい
る。そして、このブレーキレバーによるブレーキ操作時
には、ワイヤにより操作アーム12が、図3中矢印F方
向に引かれて回動され、この回動に伴って、カム9が図
1中矢印に示すように反時計回りに回動され、両ブレー
キシュー6,7が拡開されるように構成されている。
【0019】このカム9は、長円形状を呈し、両端部に
前記両ブレーキシュー6,7に摺動する外側R形状部9
a及び内側R形状部9bが形成され、これらR形状部9
a,9bは、長円形状の幅Aを直径とする円弧(図4中
二点鎖線に示す)よりも外側に突出する形状に形成され
ている。
【0020】より詳しくは、それらR形状部9a,9b
は、それぞれ半径Rの2つの円弧部9c,9dが滑らか
に連続して形成され、上記のようにカム9の長円形状の
幅をA,長さをBとすると、これらの寸法関係は、B/
A>3で、且つ、R>A/2となるように形成されてい
る。
【0021】さらに、前記ブレーキシュー6,7と前記
シュープレート2との間に「逆組防止手段」が設けら
れ、前記両ブレーキシュー6,7を所定の位置関係で組
み付けようとした時には組み付けを許容し、逆の位置関
係で組み付けようとした時には組み付けを阻止するよう
に構成されている。
【0022】この「逆組防止手段」は、図5に示すよう
に、前記シュープレート2の、カム9側に「突部」とし
てのボス部2aが突設されており、このボス部2aに
は、前記カム9のカム軸18が挿通されている。また、
前記ブレーキシュー6,7の一方の面側には、前記両ブ
レーキシュー6,7を所定の位置関係で組み付けようと
した時に、前記ボス部2aが挿入されて組み付けを許容
する凹部6g,7gが形成され、前記ブレーキシュー
6,7の他方の面側には、逆の位置関係で組み付けよう
とした時に、前記ボス部2aが当接して組み付けを阻止
する組付け阻止部6hが形成されている。
【0023】次に、作用について説明する。
【0024】自動二輪車走行中にブレーキを掛けるのに
ブレーキレバーを握るとワイヤを介して、図3中、操作
アーム12が矢印F方向に引かれて反時計回りに回動さ
れる。これにより、図1中、カム9が時計回りに回動さ
れると、このカム9の外側R形状部9aがトレーリング
シュー7の摺動面7cを摺動して押圧する一方、前記カ
ム9の内側R形状部9bがリーディングシュー6の摺動
面6cを摺動して押圧することとなる。これにより、両
ブレーキシュー6,7が図7,8,9,10で示すよう
に拡開し、これら両ブレーキシュー6,7の外周面のブ
レーキライニング10,11が前記ブレーキドラム4の
内周面に摩擦係合して、後輪5の制動がなされる。
【0025】この際には、図7等に示すように、カム9
の回転中心O1から、カム9とブレーキシュー6,7と
の接地点の法線までの距離をL1(カムレバー長L
1)、又、図3等に示すように、カム9の回転中心O1
から、操作アーム12を回動させるワイヤまでの距離を
L2とすると、レバー比がL1/L2となる。例えば、
図7では、カムレバー長L1は、リーディングシュー6
側で5.53mm、トレーリングシュー7側で5.51
mmとなる。
【0026】このレバー比(L1/L2)の、ブレーキ
レバーストローク(カム回転角)に対する変化の状態
は、従来のものとこの実施の形態のものにおいて、図1
5に示すグラフ図のようになる。すなわち、従来のもの
は、図11乃至図14に示すように、カム9の長円形状
の両端部のR形状部9a,9bが、カム9の幅(A)を
直径とする半円形状を呈している。これに対して、この
実施の形態のものは、カム9の長円形状の両端部のR形
状部9a,9bが、前記のようにB/A>3で、且つ、
R>A/2となるように形成されている。これによれ
ば、図16に示すように、従来のものは、カム回転角が
大きくなるのに伴ってカムレバー長L1が短くなるのに
対して、この実施の形態のものは、カム回転角が変化し
てもカムレバー長L1はそれ程変化しない。
【0027】このことは図7乃至図14で明らかであ
る。つまり、図7乃至図10はこの発明の実施の形態の
カム9を10°,20°,30°,40°回転させた状
態を示すもの、図11乃至図14は従来例のカム9を1
0°,20°,30°,40°回転させた状態を示すも
のである。してみれば、図16に示すグラフ図のよう
に、この発明の実施の形態の図7乃至図10において、
カムレバー長L1を比較すると、それ程変化が無いのに
対して、従来例の図11乃至図14において、カムレバ
ー長L1を比較すると、カム9回転角が大きくなるに従
ってL1が小さくなり、変化が大きいことが分かる。
【0028】その結果、前記図15に示すグラフ図のよ
うに、従来のものはブレーキレバーストローク(カム回
転角)に対するレバー比(L1/L2)の変化が大きい
のに対して、この実施の形態のものはカム回転角に対す
るレバー比の変化が小さい。
【0029】従って、この実施の形態によれば、ブレー
キライニング10,11を新しいものと交換した場合で
も、操作力がそれ程変化することなく、交換前と略同様
な制動力を得ることができる。すなわち、ブレーキレバ
ーストローク(カム回転角)が大きくなるのに伴ってレ
バー比が従来のように大きくなるものにあっては、例え
ばストロークが40mmで所定のブレーキ制動力が得ら
れていたとした場合、この状態から新しいブレーキライ
ニング10,11に交換すると、そのストロークは40
mm以下で所定のブレーキ制動力が得られることにな
る。この場合、従来のものでは、レバー比が大きく変化
することから、同じ制動力を得ようとするときの操作力
が変化し、運転者はブレーキライニング10,11の交
換前後で同じ操作力でもブレーキの制動力が相違するこ
とから、操作フィーリングが良くなかった。これに対し
て、この実施の形態のように、ブレーキレバーストロー
クを変化させてもレバー比がそれ程変化しないものにお
いては、ブレーキライニング10,11の交換前後にお
いても略同じ操作力で略同じブレーキの制動力が得ら
れ、操作フィーリングが向上する。
【0030】また、カム9回転時には、カム9から両ブ
レーキシュー6,7に押圧力が作用するが、この作用位
置は、カム9が摺動面6c,7cを摺動する位置により
変化する。そして、この押圧力がブレーキシュー6,7
に作用すると、円弧形状の曲率半径が大きくなる方向に
多少弾性変形する。従って、例えば、ブレーキライニン
グ10,11が図1中二点鎖線に示すような位置まで形
成されていると、上記弾性変形により、この二点鎖線に
示す部分がブレーキドラム4に強く当たることとなる。
その結果、図17に示すように従来例(カム側)の特性
曲線においては、摩擦係数が小さい段階(摩擦係数0.
3〜0.45)で、BEF値が大きく変化することとな
る。その摩擦係数の範囲(0.3〜0.45)は、ブレ
ーキライニング10,11で通常使用される範囲であ
り、湿度等の影響によりその摩擦係数が変化したときに
はブレーキの効きが大きく変化してしまい、同じ制動力
を得ようとすると、操作力も大きく変化してしまうた
め、操作フィーリングが良くない。
【0031】これに対して、この実施の形態では、ブレ
ーキライニング10,11の前記カム9側の端縁10
a,11aの位置が、該各ブレーキシュー6,7の、前
記カム9が摺動する摺動面6c,7cの前記アンカーピ
ン8側の端縁6d,7d位置よりも前記アンカーピン8
寄りに設定され、押圧力が作用する位置よりも、ブレー
キライニング10,11の前記カム9側の端縁10a,
11aの位置がアンカーピン8側にズラされている。従
って、ブレーキライニング10,11の端縁10a,1
1aがブレーキドラム4内面に従来のように強く当たる
ことが無い。その結果、図17に示すように実施の形態
(カム側)の特性曲線においては、摩擦係数が従来より
大きい段階(摩擦係数0.5〜0.65)で、BEF値
が大きく変化することとなる。その摩擦係数の範囲
(0.5〜0.65)は、ブレーキライニング10,1
1の摩擦係数としては殆ど使用されない範囲であり、湿
度等の影響により摩擦係数が変化したとしても、その摩
擦係数の範囲(0.5〜0.65)より小さな範囲で摩
擦係数が変化することから、ブレーキの効きが大きく変
化することがなく、同じ制動力を得ようとする場合で
も、操作力が大きく変化することがなく、操作フィーリ
ングが向上する。
【0032】なお、ブレーキライニング10,11の中
央部については、図17に示すように、通常使用される
摩擦係数の範囲(0.3〜0.45)では、従来例、実
施の形態とも殆ど同じBEF値となる。
【0033】一方、トレーリングシュー7のブレーキラ
イニング11は、前記アンカーピン8側の端縁11bの
位置を、前記アンカーピン8の前記カム側端8bより、
前記カム9寄りに設定したため、アンカーピン8に対す
るトレーリングシュー7の浮き上がりを抑制することが
できる。すなわち、例えば図1中二点鎖線に示す位置ま
でブレーキライニング11の端縁11bが延びている
と、ブレーキドラム4側からは、図1に示すようにブレ
ーキシュー6,7の半径方向に作用する力N1と摩擦力
により生じる力N2との合力N3が、ブレーキライニン
グ11を介してブレーキシュー7に作用する。すると、
この合力N3は、トレーリングシュー7をカム9側の当
接位置を中心に回転させようとする力として作用し、ア
ンカーピン8に対してトレーリングシュー7が浮き上が
り易くなる。浮き上がった場合には、ブレーキ制動力が
急激に変化するため、ブレーキ操作力を調整しなければ
ならず、操作フィーリングが良くなかった。これに対し
て、ブレーキライニング11の前記アンカーピン8側の
端縁11bの位置が、上記図1中実線に示すように設定
されていると、合力N3の方向が、上記の場合よりも、
トレーリングシュー7をカム9側の当接位置を向くた
め、トレーリングシュー7をカム9側の当接位置を中心
に回転させようとする力が小さくなる。これにより、ト
レーリングシュー7の浮き上がりを抑制でき、ブレーキ
制動力の急激な変化を防止することで、ブレーキ操作力
を調整する必要が無く、操作フィーリングを向上させる
ことができる。なお、トレーリングシュー7側と同様に
リーディングシュー6側のブレーキライニング10の端
縁10bの位置もカム9寄りに設定して、両ブレーキラ
イニング10,11を同一部品とし、コストを低減する
ことができる。
【0034】また、カム軸18の内側にはOリング19
が、又、カム軸18の外側にはオイルシール20が設け
られているため、雨の浸入だけでなく、高圧洗車による
水入りを防ぎ、そのカム軸18に塗布されたグリスの流
出を防止できる。
【0035】ところで、ドラムブレーキ1廻りの点検・
保守を行う際、両ブレーキシュー6,7を外して、再度
組み付ける場合がある。この再度組み付ける際に、リー
ディングシュー6とトレーリングシュー7とを適正な位
置に組み付けようとした場合には、シュープレート2側
に形成されたボス部2aが、リーディングシュー6とト
レーリングシュー7との凹部6g,7gに挿入されて組
み付けが可能となる(図5参照)。一方、図5に示す状
態に対して、リーディングシュー6とトレーリングシュ
ー7とを逆の位置に取り付けようとした場合には、シュ
ープレート2側に形成されたボス部2aが、リーディン
グシュー6とトレーリングシュー7の組付け阻止部6
h,7hに当たり組み付けることができず、いわゆる逆
組を防止することができる。従って、ドラムブレーキ1
廻りの点検・保守の前後でブレーキの制動力が大きく異
なるようなことがない。
【0036】一方、カム側コイルスプリング16は、ア
ンカーピン側コイルスプリング15より巻き数が多くバ
ネ定数が小さく形成されているため、両ブレーキシュー
6,7を拡開し易く、塑性変形を起こし難い。つまり、
カム側コイルスプリング16は、両ブレーキシュー6,
7をカム9に追従させるもので、それ程、大きなバネ定
数にする必要がなく、逆に、極力小さい方がブレーキ操
作力が小さく済み、操作性が良好であると共に、両ブレ
ーキシュー6,7のカム9側はアンカーピン8側より変
位量が大きいためカム側コイルスプリング16の巻き数
を多くしてバネ定数を小さくすることで、塑性変形を起
こし難くすることができる。これに対して、アンカーピ
ン側コイルスプリング15は、比較的大きなバネ定数と
することで、アンカーピン8から両ブレーキシュー6,
7が外れるのを防止するようにしている。
【0037】しかも、図1に示すように、アンカーピン
側コイルスプリング15は、両端部に形成されたフック
部15aが両ブレーキシュー6,7のアンカーピン側係
止孔6e,7eに両方とも表側から引掛けられているの
に対し、カム側コイルスプリング16は、右側端部のフ
ック部16aがトレーリングシュー7の表側からカム側
係止孔7fに引掛けられ、左側のフック部16aがリー
ディングシュー6の裏側からカム側係止孔6fに引掛け
られるようにすることで、両コイルスプリング15,1
6の逆組を防止することができる。
【0038】
【発明の効果】以上説明してきたように、各請求項に記
載された発明によれば、ブレーキライニングを新しいも
のと交換した場合でも、交換前後で同じ制動力を得よう
とした時に、それ程操作力の変更が無く、操作フィーリ
ングを良好にできる、という実用上有益な効果を発揮す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係るドラムブレーキを
示す正面図である。
【図2】同実施の形態に係るドラムブレーキを示す断面
図である。
【図3】同実施の形態に係る操作アーム等を示す側面図
である。
【図4】同実施の形態に係るカムを示す図である。
【図5】同実施の形態に係る図1を矢印A方向から見た
図である。
【図6】同実施の形態に係るコイルスプリングの配設状
態を示す断面図である。
【図7】同実施の形態に係るカムを10°回動させた状
態を示す概略図である。
【図8】同実施の形態に係るカムを20°回動させた状
態を示す概略図である。
【図9】同実施の形態に係るカムを30°回動させた状
態を示す概略図である。
【図10】同実施の形態に係るカムを40°回動させた
状態を示す概略図である。
【図11】従来例を示すカムを10°回動させた状態を
示す概略図である。
【図12】同従来例を示すカムを20°回動させた状態
を示す概略図である。
【図13】同従来例を示すカムを30°回動させた状態
を示す概略図である。
【図14】同従来例を示すカムを40°回動させた状態
を示す概略図である。
【図15】ブレーキレバーストロークとレバー比との関
係を示すグラフ図である。
【図16】カム回転角とカムレバー長との関係を示すグ
ラフ図である。
【図17】摩擦係数とBEF値との関係を示すグラフ図
である。
【符号の説明】
1 ドラムブレーキ 2 シュープレート 3 車軸 4 ブレーキドラム 6 ブレーキシュー(リーディングシュー) 7 ブレーキシュー(トレーリングシュー) 8 アンカーピン 9 カム 9a 外側R形状部 9b 内側R形状部 9c,9d 円弧部 10,11 ブレーキライニング 12 操作アーム

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回動側と共に回転するブレーキドラムを
    設け、該ブレーキドラムの内側で、その回転中心回りに
    一対の半円弧状のブレーキシューを配設し、互いに対向
    する両ブレーキシューの各一端側を固定側に設けたアン
    カーピンに係合させる一方、各他端側間に長円形状のカ
    ムを介在させて、該カムを前記固定側に回動操作可能に
    支承し、前記カムの回動で、該カムに前記ブレーキシュ
    ーの各他端側がカム係合して両ブレーキシューが拡開
    し、これら各ブレーキシューの外周面に設けられたブレ
    ーキライニングがブレーキドラムの内周面に摩擦係合す
    るようにした車両用ドラムブレーキにおいて、 前記カムは、長円形状を呈し、両端部に前記ブレーキシ
    ューに摺動するR形状部が形成され、該R形状部は、長
    円形状の幅を直径とする円弧よりも外側に突出する形状
    であることを特徴とする車両用ドラムブレーキ。
  2. 【請求項2】 前記R形状部は、半径Rの2つの円弧部
    が滑らかに連続して形成され、前記カムの長円形状の幅
    をA,長さをBとすると、これらの寸法関係は、B/A
    >3で、且つ、R>A/2となるように形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の車両用ドラムブレー
    キ。
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