JPH07117114B2 - ドラムブレ−キのｓ−カム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、回転Ｓ−カム内拡式シュードラムブレーキに
関するものであり、特に内拡式シュードラムブレーキ用
の改良型Ｓ−カムに関するものである。

（従来の技術） Ｓ−カム内拡式シュードラムブレーキは先行技術として
すでに公知のものであり、米国特許第2,369,259号、同
第2,710,076号、同第3,096,856号、同第3,275,103号、
同第3,398,814号、同第4,206,834号、同第4,260,042
号、同第4,526,254号、及び同第4,552,254号に記載があ
る。これらの特許の開示は参考として本明細書に組み入
れてある。

先行技術のＳ−カムドラムブレーキは商業的には成功し
ているが、ライニングの摩耗の増加、ライニング交換の
必要性を車両使用者に示唆することの向上、カムのフリ
ップの発生防止の向上および／または銘柄の異なるブレ
ーキの互換性の向上が望まれているため、継続的な改良
が行われている。

（発明の概要） 本発明によれば、従来のＳ−カムドラムブレーキの性能
が改良型Ｓ−カムを取付けることで向上する。この改良
型Ｓ−カムはブレーキライニングの交換までより多くの
ライニング摩耗を可能にし、ライニング交換が必要であ
ると運転者に指示するのを容易とし、カムフリップまた
はカムロールオーバの発生の可能性を最小限にし、銘柄
の異なるブレーキ間の互換性を促進するものである。

上記の点は、３つの部分から成るブレーキシューカムフ
ォロアと係合する作用面を備えたＳ−カムを設けること
により達成される。第１部分はカムが回転していない状
態時にカムフォロアと係合し、一般にカムフォロア通常
はローラの形状に適合させ、高い揚程率を生じさせる。
このため、完全な放射状に復帰した状態のシュー（輪止
め）を拡げるので、より厚いライニングを使用できる。
また、ゆるみを取るために必要とする使用可能Ｓ−カム
の回転使用が最小限で済む。第２部分は第１部分から伸
びていて、使用可能作用面のほとんど全てを含み、横断
面は実質的に内巻き螺旋で形成され、最も良好なブレー
キの作動を提供する。

第３部分の作用面は第２部分から広がりそこから急に外
側へ放射状に伸び、非常に高い上昇を示し、作用面がカ
ムフォロアに対して作用するカムの機械的利益、即ち、
カムを回転させるためのてこの力）が少ない区域を形成
する。カムの作用面における機械的利益が少なく、多き
な上昇高は、ブレーキをかけるのに要する力が増大した
ことを感知させて、使用者にブレーキライニングの交換
が必要であることを警告する。そして、シューライニン
グの利用をより許容し、カムのロールオーバやフリップ
を生じるほどライニング、ドラムおよび／またはシュー
を摩耗させないようになっている。

従って、本発明の目的は、内拡式シュードラムブレーキ
用の新規で改良されたＳ−カムロータリアクチュエータ
を提供することである。

（実施例） 本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

以下に説明に用いる用語の中で「上方へ」、「下方
へ」、「右方向へ」、「左方向へ」、「時計回り」、
「反時計回り」は参照する図中での方向を示し、用語
「内方向へ」および「外方向へ」は、装置およびその指
定部品の幾何学的中心方向および反対方向をそれぞれ示
している。

本明細書中に使用する用語「ブレーキ」には、クラッ
チ、ブレーキなどの各種の摩擦式結合装置を含む。

従来の代表的なＳ−カム式拡張シュードラムブレーキア
センブリ10が第１図に示してある。ドラムブレーキアセ
ンブリ10は、一般に回転式ドラム12（断面を図示）、通
しボルト用円形孔16で受けるボルトなど（図示せず）の
複数の適当な固定具により車両の一部に固定するブレー
キ支持部材またはスパイダ部材14、スパイダ14に固着し
たブレーキシューピボットまたはアンカーピン18、一般
に弓形で、ブレーキライニングサポートまたはテーブル
22を含めた相対する一組のブレーキシュー20、適当な摩
擦材のブレーキライニング24、ウェブ26、ブレーキシュ
ーもどしばね28、ブレーキシュー保持ばね30、およびＳ
−カムエレメント32で構成されている。このＳ−カム32
は、ピボットまたはアンカピン18を軸にしてブレーキシ
ュー20とブレーキライニング24をほぼ放射状に外方向へ
旋回移動させ、ブレーキドラム12と摩耗係合させること
により公知の方法で車両を減速させる。

カム32はカムシャフト（図示せず）に回転しないように
固定または一体になっている。カムシャフトは、従来技
術で周知の自動または手動式緩み調整装置のレバー本体
などのブレーキ作動レバー部材39で回転するように取付
けられている。ブレーキ作動支持ブラケット40は、エア
モータなどのブレーキアクチュエータ41を取付けるため
ブレーキスパイダ14に固定されている。技術上周知のご
とく、作動エアモータの振動運動は、緩み調整装置のレ
バー本体およびカムシャフトによってカム32へ伝達され
る。以上簡単に記載したカム作動式拡張シュードラムブ
レーキ、緩み調整装置およびアクチュエータの全体構造
および作動については技術上公知であり、詳細について
は米国特許第3,497,037号、同第3,096,857号及び同第3,
507,369号に開示されている。これら米国特許の開示は
本明細書に参考として加えてある。

カムフォロア42はローラ形状が好ましく、ブレーキシュ
ーウェブ26の端部に回転可能に設けてあり、圧縮もどり
ばね28のバイアスによってカム32の作用面の周辺に当接
している。第１図に示す位置からのカム32の反時計回り
の回転によりカムフォロア42が働きブレーキシューが放
射状に外方向に押され、ほぼ弓状のブレーキシュー20が
アンカーピン18を軸として放射状に外方向へ旋回してブ
レーキ摩擦材24をブレーキドラム12と摩擦係合させる。
カム32がさらに時計回りに回転することで、ブレーキシ
ューを第１図に示すブレーキ解除位置まで放射状に内方
向へ旋回させる。

本発明のＳ−カム100とＳ−カムシャフトアセンブリ102
はそれぞれ第２図と第３図に参考に示してある。第３図
では、Ｓ−カムシャフトアセンブリ102にはカムシャフ
ト部材104とＳ−カム100があり、Ｓ−カム100はカムシ
ャフト部材104と一体にして、回転しないように固定し
てある。カムシャフト104の内側端部106は、スプライン
108などが設けてあり、カムシャフトアセンブリ102とア
クチュエータレバー39を回転しないように固定しカム軸
110を中心にカムアセンブリを回転させる。寸法を正確
にすることで、本発明のＳ−カム100を従来のＳ−カム
の代わりにそのまま使用し、第１図に示すドラムブレー
キアセンブリ10などのＳ−カム式拡張シュードラムブレ
ーキアセンブリに使える。

アセンブリ10のような拡張式シュードラムブレーキアセ
ンブリに使用した場合、Ｓ−カム100は矢印112で示すよ
うに反時計回り方向に回転し、ブレーキシューを放射状
に外方向へ拡張させてブレーキアセンブリ10と係合させ
る。あるいは矢印114で示すように時計回り方向に回転
し、ブレーキシューを放射状に復帰させてブレーキアセ
ンブリ10との係合状態を解く。Ｓ−カム100は技術上周
知のごとく事実上相互に反鏡像になっている一組の作用
面116を形成する。それぞれの作用面116は３つの部分11
8,120,122で構成するのが好ましく、その詳細を以下に
述べる。

ローラ型カムフォロアを第２図に想像線でＳ−カム100
が完全に時計回りに回転した位置すなわち完全に解放さ
れた位置で示してある。点124は作用面116とローラフォ
ロア42との接点を示している。カム100が反時計回り方
向へ回転すると、ローラフォロア42の回転軸44が旋回軸
18を中心にしてライン126に沿って放射状に外側へ旋回
する。点124の大体上方に位置するＳ−カムの部分128は
普通ローラ42の外周に適合するもので、ブレーキシュー
を完全に放射状に内側へ復帰させるので放射状に厚いブ
レーキライニング24を使用でき、さらにその上にブレー
キドラムを組み立てることができる点が注目される。カ
ムの上昇高または揚程率は、一定量の回転をするカムの
作用面116から回転軸110までの距離の変化で定義する。
周知のごとく、カムの上昇高または揚程率が増大するに
つれて、その機械的利益が少なくなる。

ここで、機械的利益とは、カムを回転させるために必要
となる回転モーメント、即ち、てこの力のことを意味す
る。

このカム100によるてこの力は、回転するカムの作用面1
16とカムフォロア42との接触により、カムの両側に位置
するカムフォロア42,42の間隔を広げさせ、ブレーキシ
ュー20,20を外側に広げることによりブレーキライニン
グ24の摩耗を生じさせる。この結果、ブレーキの制動ト
ルクが働くことになる。

そして、てこの力は、カムの上昇高（揚程率）が高くな
ると、カムを回転させるために加えられたトルクの増力
を低くするので、ブレーキをかけるために要する力が増
大することになる。

したがって、以下で説明するように、本発明では、カム
の作用面を３つの部分に分け、第３部分を第２部分より
もカムの上昇高が高くなるようにして、カムが第２部分
から第３部分に移行したときに、ブレーキをかける力が
増大したことを運転者に感知させて、車両のブレーキの
ライニング交換の時期に達したことを知らせるようにな
っている。

カムの作用面116の第１部分118は点124から点130までわ
たり、比較的高い上昇を示している。作用面の部分118
の目的は摩擦ライニング124をブレーキドラム12と摩耗
係合、あるいはほぼ摩擦係合させること（すなわち、そ
の両部材間のゆるみを取ること）であって、その両部材
間に摩擦係合力を加えるものではなく、カム100の可能
な限り少ない利用可能回転運動を利用している。実際に
は、必要なカムローラフォロアの寸法および製造上の必
要条件により、約160゜の有効表面積がそれぞれのカム
作用面116に使用される。従って、重要なことは、部分1
18がライニングを素早くブレーキドラムとほぼ接触させ
ることであり、このブレーキシューの放射状の外方向へ
の動きで摩擦ライニングが摩耗しなかったり車両の制動
をしない場合は、大きい機械的利益を要求することなく
素早い上昇または揚程率が望ましい。

作用面116の第２部分120は点130から点132までわたり、
全使用可能作用面116の大部分で構成されている。部分1
20はそのほぼ全体が実質的に内巻き螺旋の断面になって
いて、適度で実質的に一定した揚程率を有している。作
用面の第２部分120に生じるフォロア42とカム表面116と
の接触点でのカム100の作動中は、ブレーキライニング
が摩耗して制動トルクが一定の設計選択したカムの力の
機械的利益で発生する。作用面の第２部分120の横断面
形は、フォロア42と第２部分120との接触中のカムの機
械的利益が実質上一定になるように選んである。さら
に、作用面116の第２部分120で作動中のカムの機械的利
益は、銘柄の異なるＳ−カムブレーキ間の互換性を拡大
するため、他のＳ−カムブレーキの機械的利益と事実上
同一であることが好ましい。

作用面116の第３部分122は点132から点134にわたり、内
巻き螺旋の形成部分120よりも大きい率で放射状に外方
向へ伸びる直線傾科部で一般に形成されている。単に比
較のため、点線136で部分120を定義する内巻き螺旋形の
連続を示してある。第３部分122は第２部分120よりも相
当高い揚程率であって、カム100を回転させるために加
えるトルクの増力を相当低くできる。この増力低下また
は機械的利益が少ないことに運転者が気付く。このよう
に第３部分122は「警告傾斜部」の働きがあり車両のブ
レーキのライニング交換の必要があることをドライバー
に示唆する。さらに、カムの上昇高により摩擦材24を使
用量が増大し、また機械的利益の低下によりカムのロー
ルオーバまたはフリップを生じさせる程のブレーキライ
ニング、ブレーキシューおよび／またはブレーキドラム
の摩耗の可能性を最小限にする。

上記したとおり、Ｓ−カム100の全使用可能作用面116は
点124から点134にまでわたる。角度138（すなわち角度1
24−110−134）は約160〜165゜に匹敵する。作用面116
の第１部分118は点124から点130にまでわたる。角度140
（すなわち角度124−110−130）は約28〜30゜に匹敵す
る。作用面116の第２部分120は点130から点132にまでわ
たる。角度142（すなわち角度130−110−132）は約124
〜126゜に匹敵する。作用面116の第３部分122は点132か
ら点134にまでわたる。角度142（すなわち角度132−110
−134）は約10゜に匹敵する。

重要な点は、作用面の部分122の平均揚程率が作用面116
の部分120の揚程率の少なくとも２倍であって両者間の
性能特性に有益な差をもたらすことである。

実施例として本発明の好ましい実施態様を１件のみ記載
してあるが、当業者は個々の必要に応じて本発明を修正
および変更できるものである。従って、このような修正
や変更は本発明の記載した主題に取り入れ、本発明に相
当するものとして前記の特許請求の範囲に含むものとす
る。

（発明の効果） 本発明はＳ−カムの作用面の端部に機械的利益の少ない
上昇カーブによる警告傾斜部を設けたのでドライバーに
ブレーキライニングの交換が必要であることを知らせる
こと可能とし、ライニング交換までの期間を延ばすとと
もに、カムフリップ又はカムロールオーバの発生を未然
に防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のＳ−カム内拡式シュードラムブレーキ
の外側面の平面図、 第２図は、本発明のＳ−カムの拡大正面図、 第３図は、本発明のＳ−カムの側面図である。 10……ブレーキアセンブリ、12……ブレーキドラム 20……ブレーキシュー、32,100……Ｓ−カム 42……カムフォロア、116……作用面 118……第１部分、120……第２部分 122……第３部分

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ブレーキドラム（12）の内側に位置する一
   組の旋回可能に取付けたブレーキシュー（20）を含む内
   拡式シューブレーキ（10）のＳ−カム（100）であっ
   て、 前記ブレーキシューのそれぞれには、Ｓ−カムの作用面
   （116）と係合させるカムフォロア（42）が取付けてあ
   り、前記ブレーキの完全に解放された状態から第１回転
   方向（112）へ前記カム部材を回転させて前記ブレーキ
   シューを前記ブレーキドラムに対して放射状に外方向へ
   移動させ、また、反対回転方向（114）へ回転させて前
   記ブレーキドラムに対して前記ブレーキシューを放射状
   に復帰させ、前記作用面がそれぞれ前記フォロアによっ
   て前記Ｓ−カムと完全に解放された状態で係合する第１
   部分（118）と、反対回転方向に前記第１部分から伸び
   ている第２部分（120）とを含み、横断面が内巻き螺旋
   形である前記第２部分が一定した第１揚程率を有してな
   り、 さらに、前記Ｓ−カムは、前記作用面のそれぞれに設け
   た第３部分（122）が前記第２部分から前記反対回転方
   向に伸びており、 しかも、この第３部分は、横断面が真直ぐに放射状に外
   方向へ伸びるラインで形成され、前記第１揚程率より高
   い第２揚程率を有することを特徴とするＳ−カム。
2. 【請求項２】第２揚程率が第１揚程率の少なくとも２倍
   の高さであることを特徴とする特許請求の範囲第１項に
   記載のＳ−カム。
3. 【請求項３】第１部分（118）が第１揚程率より高い第
   ３揚程率を形成し、カムフォロアの前記第１部分での第
   １回転方向への移動により、摩耗していない状態であれ
   ば前記シュー（20）を完全な復帰状態から効果的にブレ
   ーキドラム（12）と初期接触させるようにしたことを特
   徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項に記載のＳ−
   カム。
4. 【請求項４】前記第１回転方向に回転してカムフォロア
   を作用面の第２部分と係合させる場合のＳ−カムの機械
   的利益が、外第１回転方向に回転してカムフォロアを作
   用面（116）の第３部分と係合させる場合のＳ−カムの
   機械的利益より高いことを特徴とする特許請求の範囲第
   １項又は第３項に記載のＳ−カム。
5. 【請求項５】カムフォロアが円形の横断面を有するロー
   ラ部材（42）であり、前記作用面の第１部分（118）の
   形状の一部が前記カムフォロアの外周と密接に適合する
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１項ないし第４項の
   いずれか１つに記載のＳ−カム。