JP3386667B2 - ドラムブレーキ装置 - Google Patents

ドラムブレーキ装置

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JP3386667B2
JP3386667B2 JP25440796A JP25440796A JP3386667B2 JP 3386667 B2 JP3386667 B2 JP 3386667B2 JP 25440796 A JP25440796 A JP 25440796A JP 25440796 A JP25440796 A JP 25440796A JP 3386667 B2 JP3386667 B2 JP 3386667B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のパーキン
グブレーキや、自転車のサービスブレーキとして有用な
ドラムブレーキ装置に関し、特にその機械操作系の改良
提案に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ドラムブレーキ装置の機械操作系は従
来、例えば図6に示すごとくに構成するのが普通であっ
た。
【0003】一対のブレーキシュー51,52を、図中
上方に位置する一方の隣接端がそれぞれ固定のアンカー
部材53に当接するよう、また他方の隣接端がそれぞれ
シュー間隙調整アジャスター54の両端に当接するよう
向き合わせに設け、ブレーキ操作レバー55の基端55
aを一方のブレーキシュー51のアンカー部材側の端部
にピン56で枢支すると共に、該ブレーキ操作レバー5
5の基端55aから操作端55b寄りにずれた箇所55
c、および他方のブレーキシュー52間にストラット5
7をピン58,59で回動可能にして架設する。
【0004】かかる構成においては、ブレーキ操作レバ
ー55の操作端55bへ、図7にWで示す操作力を付与
すると、両ブレーキシュー51,52がシュー間隙調整
アジャスター54との当接部を支点にして相互に遠去か
る方向に拡開し、その結果、両ブレーキシュー51,5
2がブレーキドラム60の内周面に摩擦接触して所定の
制動を行うことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上記の制動操
作中におけるドラムブレーキ装置の更に詳細な動作を、
図7に基づいて以下に説明する。この図に示すように、
ブレーキ操作レバー55の操作端55bをブレーキ操作
力Wで引くと、ブレーキ操作レバー55の基端55aお
よびブレーキシュー51間におけるピン56が、ブレー
キ操作レバー55およびストラット57間におけるピン
58を中心とする半径rの軌跡を描いて移動する。
【0006】これがため、ブレーキ操作レバー55の基
端55aにおけるピン56は、ドラムブレーキ中心Oを
中心とする半径Rの円弧よりも径方向外方へ移動するこ
ととなり、その結果、先ず対応するブレーキシュー51
がシュー間隙調整アジャスター54との当接部を支点に
して、ブレーキシュー52から遠去かる方向に拡開す
る。これによりブレーキシュー51がブレーキドラム6
0の内周面に接触すると、その反力がストラット57を
介して他方のブレーキシュー52に作用し、このブレー
キシューがシュー間隙調整アジャスター54との当接部
を支点にしてブレーキシュー51から遠去かる方向に拡
開され、ブレーキシュー52もブレーキドラム60の内
周面に接触するに至る。
【0007】以上により両ブレーキシュー51,52は
ブレーキドラム60の内周面に摩擦接触して所定の制動
を行うが、この制動状態で、両ブレーキシュー51,5
2とアンカー部材53との間に生ずる隙間はそれぞれ、
非制動状態での両ブレーキシュー51,52とブレーキ
ドラム60との間におけるシュー間隙がそれぞれ同じで
あれば当然、図7にδで示すように共に等しくなる。
【0008】しかして、一方のシュー間隙が小さくな
り、他方のシュー間隙が大きくなった場合、シュー間隙
が小さくなった方のブレーキシューとアンカー部材53
との間には殆ど隙間が生じない反面、シュー間隙が大き
くなった方のブレーキシューとアンカー部材53との間
に2δもの大きな隙間が生ずる。
【0009】ところで当該大きな隙間2δが、ブレーキ
操作レバー55を枢支していない方のブレーキシュー5
2とアンカー部材53との間に発生すると、以下の問題
を生ずる。例えば、坂道での停車を考察するに、この場
合、先ずフートブレーキで車両を停止させ、この状態で
上記のブレーキ操作力Wによりパーキングブレーキを作
動させ、その後にフートブレーキを釈放して停車状態に
する。
【0010】しかし、フートブレーキの釈放により、坂
道上の車両に掛かる重力の作用で車輪がブレーキドラム
60と共に、図6および図7において反時計方向に回転
されようとする時、当該回転の方向がブレーキ操作力W
とは順方向であるため、上記のようにブレーキシュー5
2とアンカー部材53との間に大きな隙間2δが存在し
ていると、この隙間分だけ大きく両ブレーキシュー5
1,52がブレーキドラム60に連れ回されるし、その
分、操作力Wを付与するためのブレーキケーブルが張力
を緩められてパーキングブレーキ力そのものが大きく低
下する。
【0011】この場合、運転者は上記の現象に伴う車輪
の転動、つまり車両の思わぬ移動に驚いて、再度パーキ
ングブレーキレバー(図示せず)を引き直したり、フー
トブレーキの再踏み込み後に当該パーキングブレーキレ
バーの引き直しを行わなければならない、という煩わし
さがあった。
【0012】本発明は、制動時常に一方のブレーキシュ
ーとアンカー部材との間のみに隙間が生ずるようにする
と共に、この隙間が必ずや上記の問題を生ずることのな
い側に発生するようドラムブレーキ装置を構成すること
で上述の問題解決を実現することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この目的のため、請求項
1に記載の第1発明によるドラムブレーキ装置は、一対
のブレーキシューを、一方の隣接端がそれぞれ固定のア
ンカー部材に当接するよう、また他方の隣接端がそれぞ
れシュー間隙調整アジャスターの両端に当接するよう向
き合わせて具え、ブレーキ操作レバーの基端を一方のブ
レーキシューのアンカー部材側の端部に枢支すると共
に、該ブレーキ操作レバーの基端から操作端寄りにずれ
た箇所、および他方のブレーキシュー間にストラットを
回動可能に架設し、ブレーキ操作レバーによりストラッ
トを介し両ブレーキシューを拡開させることで制動作用
を行うようにしたドラムブレーキ装置において、ブレー
キ操作レバーに対するストラットの架設点を、前記一方
のブレーキシューに対するブレーキ操作レバーの枢支点
とドラムブレーキ中心とを結ぶ線上、若しくは、この線
よりも前記他方のブレーキシューに近い側に位置させた
ことを特徴とするものである。
【0014】また、請求項2に記載の第2発明によるド
ラムブレーキ装置は、上記第1発明において、前記一方
のブレーキシューの拡開抗力に比し、前記他方のブレー
キシューの拡開抗力を大きくしたことを特徴とするもの
である。
【0015】更に、請求項3に記載の第3発明によるド
ラムブレーキ装置は、上記第2発明において、前記一方
のブレーキシューのリターンスプリング力に比し、前記
他方のブレーキシューのリターンスプリング力を大きく
することで、両ブレーキシューの拡開抗力の前記大小関
係を実現したことを特徴とするものである。
【0016】請求項4に記載の第4発明によるドラムブ
レーキ装置は、上記第2発明または第3発明において、
固定のバックプレートに対する前記一方のブレーキシュ
ーの弾支力に比し、前記他方のブレーキシューの弾支力
を大きくすることで、両ブレーキシューの拡開抗力の前
記大小関係を実現したことを特徴とするものである。
【0017】請求項5に記載の第5発明によるドラムブ
レーキ装置は、一対のブレーキシューを、一方の隣接端
がそれぞれ固定のアンカー部材に当接するよう、また他
方の隣接端がそれぞれシュー間隙調整アジャスターの両
端に当接するよう向き合わせて具え、ブレーキ操作レバ
ーの基端を一方のブレーキシューのアンカー部材側の端
部に枢支すると共に、該ブレーキ操作レバーの基端から
操作端寄りにずれた箇所、および他方のブレーキシュー
間にストラットを回動可能に架設し、ブレーキ操作レバ
ーによりストラットを介し両ブレーキシューを拡開させ
ることで制動作用を行うようにしたドラムブレーキ装置
において、前記一方のブレーキシューの拡開抗力に比
し、前記他方のブレーキシューの拡開抗力を大きくした
ことを特徴とするものである。
【0018】請求項6に記載の第6発明によるドラムブ
レーキ装置は、上記第5発明において、前記一方のブレ
ーキシューのリターンスプリング力に比し、前記他方の
ブレーキシューのリターンスプリング力を大きくするこ
とで、両ブレーキシューの拡開抗力の前記大小関係を実
現したことを特徴とするものである。
【0019】請求項7に記載の第7発明によるドラムブ
レーキ装置は、上記第5発明または第6発明において、
固定のバックプレートに対する前記一方のブレーキシュ
ーの弾支力に比し、前記他方のブレーキシューの弾支力
を大きくすることで、両ブレーキシューの拡開抗力の前
記大小関係を実現したことを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。図1〜図5は本発明の一実施
の形態になるドラムブレーキ装置を示し、先ず、図1〜
図3によりドラムブレーキ装置の全般を説明する。
【0021】1は、図示せざる車体に取り付けられた固
定のバックプレートで、このバックプレート1は、車輪
と共に回転するブレーキドラム2(図1では、周壁部分
のみを2点鎖線で示す)の軸線方向開口端(図1の向こ
う側)を塞いで、ブレーキドラム2との間に空所を画成
し、この空所内に以下に説明するようにブレーキ部品を
組み込む。
【0022】すなわち先ず図1および図2に明示するよ
うに、ブレーキドラム2の内周面に対向するよう配置し
て一対のブレーキシュー3,4を設け、これらブレーキ
シュー3,4をそれぞれ、ブレーキシュー保持機構5,
6により、制限範囲内で変位し得るようバックプレート
1上に弾支する。そしてこれらブレーキシュー3,4
は、一方の隣接端がそれぞれ、バックプレート1に植設
した固定のアンカー部材7に当接するよう、また他方の
隣接端がそれぞれ、シュー間隙調整アジャスター8の両
端に当接するよう向かい合わせに配置する。
【0023】ブレーキシュー3,4と、アンカー部材7
との間にそれぞれ、シューリターンスプリング9,10
を張設し、これらシューリターンスプリング9,10の
張力によりブレーキシュー3,4をそれぞれ、対応する
隣接端においてアンカー部材7に当接させる。
【0024】また、ブレーキシュー3,4の他方の隣接
端間にはアジャスタースプリング11を緊張状態で掛け
渡すことにより、これら他方の隣接端をそれぞれ、シュ
ー間隙調整アジャスター8の両端に当接させておくと共
に、アジャスタースプリング11の外周線輪をシュー間
隙調整アジャスター8の調整ねじ8aに押圧させること
で、当該調整ねじ8aが調整位置から盲動してずれるの
を防止する。
【0025】ドラムブレーキ装置には更に、ブレーキ操
作レバー12を設け、これを一方のブレーキシュー3の
側に配置する。そして該ブレーキ操作レバー12の基端
12aをブレーキシュー3のアンカー部材7側の端部に
ピン13で枢支すると共に、該ブレーキ操作レバー12
の基端12aから操作端12b寄りにずれた箇所12
c、および他方のブレーキシュー4間にストラット14
を、ピン15,16で回動可能に架設する。
【0026】図3に明示するように、ブレーキ操作レバ
ー12の操作端12bにブレーキケーブル17の一端を
連結し、このブレーキケーブル17をバックプレート1
に貫通させて、その先端を運転席の図示せざるパーキン
グブレーキレバーに連結する。ここで運転者が、駐停車
のために上記のパーキングブレーキレバーを操作する
と、図3にWで示した操作力がブレーキケーブル17に
伝達され、これがブレーキ操作レバー12の操作端12
bに達するものとする。
【0027】以下、本発明の実施形態になる特異な要旨
構成を説明する。図4は、図1における非作動状態のド
ラムブレーキ装置を、当該要旨部分のみにつき拡大して
示すもので、ブレーキ操作レバー12に対するストラッ
ト14の架設点、つまりピン15の中心点を、前記一方
のブレーキシュー3に対するブレーキ操作レバー12の
枢支点(ピン13の中心点)とドラムブレーキ中心Oと
を結ぶ線α上、若しくは図示しなかったが、この線αよ
りも前記他方のブレーキシュー4に近い側に位置させ
る。
【0028】上記実施の形態になるドラムブレーキ装置
の作用を、ブレーキ作動状態を示す図5を併せ参照しつ
つ以下に説明する。この図5に示すように、ブレーキ操
作レバー12の操作端12bにブレーキ操作力Wが入力
されると、ブレーキ操作レバー12の基端12aおよび
ブレーキシュー3間におけるピン13が、ブレーキ操作
レバー12およびストラット14間におけるピン15を
中心とする半径rの軌跡(図4参照)を描いて移動しよ
うとする。
【0029】しかして、ストラット14を介したクラン
ク機構により、ピン13はドラムブレーキ中心Oを中心
とする半径Rの円弧(図4参照)に沿って移動すると共
に、ピン15は、半径rの円弧と半径Rの円弧との差分
だけ径方向外方に移動する。ところで、ブレーキ操作レ
バー12の基端12aにこじり力が作用しないので、前
記一方のブレーキシュー3は、シュー間隙調整アジャス
ター8(図1参照)との衝接部を支点にして拡開方向に
回動し、ブレーキドラム2の内周面に摩擦接触する。
【0030】この時ブレーキシュー3は、シュー間隙調
整アジャスター8をその軸線方向に押動し、ブレーキド
ラム2の円周方向に変位しつつ、上記の通りブレーキド
ラム2の内周面に摩擦接触する。よってシュー間隙調整
アジャスター8は、その軸線方向移動により他方のブレ
ーキシュー4を、アンカー部材7に当接させたまま、当
該当接部を支点にして拡開方向に回動させ、他方のブレ
ーキシュー4もブレーキドラム2の内周面に摩擦接触さ
れる。
【0031】以上により両ブレーキシュー3,4はブレ
ーキドラム2の内周面に摩擦接触して所定の制動を行う
が、この制動状態では図5に示すように、ブレーキシュ
ー4とアンカー部材7との間に隙間が発生せず、ブレー
キシュー3とアンカー部材7との間のみに隙間が生ず
る。この隙間は、ブレーキ非作動中における両ブレーキ
シュー3,4とブレーキドラム2の内周面との間のシュ
ー間隙に対応した隙間の和値2δとなり、また、両ブレ
ーキシュー3,4のシュー間隙が如何なるものであって
も、上記のように隙間2δはブレーキシュー3とアンカ
ー部材7との間のみに生ずる。
【0032】以上のように、ブレーキシュー4とアンカ
ー部材7との間に隙間が発生しないことで、以下の作用
効果が得られる。つまり登坂路または降坂路での駐停車
に際し、フートブレーキで車両を停止させ、この状態で
上記のブレーキ操作力Wによりパーキングブレーキを作
動させ、その後にフートブレーキを釈放した場合につき
説明するに、当該フートブレーキの釈放により、坂道上
の車両に掛かる重力の作用で車輪がブレーキドラム2と
共に、図1、図4および図5において反時計方向または
時計方向に回転されようとする。
【0033】車輪がブレーキドラム2と共に、図1、図
4および図5において反時計方向に回転しようとする場
合は、当該回転の方向がブレーキ操作力Wとは順方向で
あるにもかかわらず、ブレーキシュー4とアンカー部材
7との間に隙間が存在しないために、ブレーキシュー4
がアンカー部材7との当接部において、上記車輪および
ブレーキドラム2の回転を阻止する機能を果たし、結果
として、ブレーキケーブルに緩みが生じないから、制動
力の低下はない。
【0034】車輪がブレーキドラム2と共に、図1、図
4および図5において時計方向に回転しようとする場合
は、当該回転の方向がブレーキ操作力Wとは逆方向であ
るために、ブレーキケーブルの張力が増大して制動力は
増大する。
【0035】よって本実施の形態になるドラムブレーキ
装置によれば、登坂路、降坂路を問わず、坂道での駐停
車に際してのパーキングブレーキ時に、制動力が低下し
て車輪が回転し、車両が動いてしまうような、前記従来
装置で生じていた問題を皆無にすることができる。
【0036】なお上記の実施形態において、シューリタ
ーンスプリング9のばね力に比べ、シューリターンスプ
リング10のそれを大きくし、これによりブレーキシュ
ー3の拡開抗力に比し、ブレーキシュー4の拡開抗力を
大きくすれば、制動状態で図5に示すように、ブレーキ
シュー3とアンカー部材7との間のみに隙間2δが生じ
るのを、一層確実なものにすることができ、前記の作用
効果を更に確実に達成することができる。
【0037】ここでシューリターンスプリング9のばね
力に比べ、シューリターンスプリング10のそれを大き
くするに際しては、シューリターンスプリング10のば
ね力自身を大きくする他に、これに別のシューリターン
スプリングを並設することによっても対処可能であるこ
と、勿論である。
【0038】また、ブレーキシュー3の拡開抗力に比
し、ブレーキシュー4の拡開抗力を大きくする方法とし
ては、上記のようにシューリターンスプリング9,10
のばね力を異ならせるだけでなく、バックプレート1に
ブレーキシュー3,4を弾性的に取り付けるためのブレ
ーキシュー保持機構5,6の弾性係数を相互に、ブレー
キシュー保持機構5の弾性係数に比べ、ブレーキシュー
保持機構6のそれが大きくなるよう異ならせ、これによ
りバックプレート1に対するブレーキシュー3の弾支力
に比し、ブレーキシュー4の弾支力を大きくすることに
よっても、両ブレーキシューの拡開抗力に関する前記の
大小関係を実現することができる。
【0039】なお上記のように、シューリターンスプリ
ング9,10のばね力を異ならせる対策や、バックプレ
ート1に対するブレーキシュー3,4の弾支力を異なら
せる対策は、個々に上記実施の形態と組み合わせるだけ
でなく、両者を共に上記実施の形態と組み合わせること
ができ、この場合、制動状態で図5に示すように、ブレ
ーキシュー3とアンカー部材7との間のみに隙間2δが
生じるのを、一層確実なものにすることができ、前記の
作用効果を更に確実に達成することができる。
【0040】更に上記のごとき、シューリターンスプリ
ング9,10のばね力を異ならせる対策や、バックプレ
ート1に対するブレーキシュー3,4の弾支力を異なら
せる対策は、上記実施の形態と組み合わせず、それ単独
で用いるだけでも、若しくは、両者を併用するだけで
も、制動状態で図5に示すように、ブレーキシュー3と
アンカー部材7との間のみに隙間2δを生じさせること
ができるのは言うまでもなく、この場合、上記実施の形
態よりも遙に安価に前記実施の形態におけると同様の作
用効果を達成することができる点で大いに有利である。
【0041】また、上記ではいずれも、フートブレーキ
が図外に別途存在することとして説明したが、アンカー
部材7の代わりに周知のホイールシリンダをバックプレ
ート1に取着した、所謂パーキングブレーキ内蔵型ドラ
ムブレーキ装置に対しても、上記に例示した本発明の着
想は同様にして適用可能であること、勿論である。
【0042】
【発明の効果】かくして第1発明のドラムブレーキ装置
は、ブレーキ操作レバー12の基端12aを一方のブレ
ーキシュー3のアンカー部材7側の端部に枢支すると共
に、該ブレーキ操作レバー12の基端12aから操作端
12b寄りにずれた箇所12c、および他方のブレーキ
シュー4間にストラット14を回動可能に架設した構成
において、ブレーキ操作レバー12に対するストラット
14の架設点15を、上記一方のブレーキシュー3に対
するブレーキ操作レバー12の枢支点13とドラムブレ
ーキ中心Oとを結ぶ線α上、若しくは、この線αよりも
上記他方のブレーキシュー4に近い側に位置させたこと
から、前記の作用説明に照らして明らかなように、制動
時は常に、ブレーキ操作レバー12が枢支された方のブ
レーキシュー3とアンカー部材7との間のみに隙間が生
じ、従って、他方のブレーキシュー4とアンカー部材7
との間に隙間が発生しないこととなり、ブレーキ操作レ
バー12による制動時において、この制動が登坂路で行
われたか、降坂路で行われたかを問わず、制動力が低下
して車輪が回転し、車両が動いてしまうような、前記従
来装置で生じていた問題を皆無にすることができる。
【0043】第2発明によるドラムブレーキ装置におい
ては、上記第1発明に以下の構成、つまり、上記一方の
ブレーキシュー3の拡開抗力に比し、上記他方のブレー
キシュー4の拡開抗力を大きくしたことから、ブレーキ
操作レバー12が枢支された方のブレーキシュー3とア
ンカー部材7との間のみに隙間を生じさせるという、前
記の作用を一層確実にすることができ、第1発明の効果
を更に確実なものにし得る。
【0044】両ブレーキシュー3,4の拡開抗力に関し
ての第2発明のごとき大小関係を実現するに際しては、
第3発明のように、上記一方のブレーキシュー3のリタ
ーンスプリング9によるシューリターン力に比し、上記
他方のブレーキシュー4のリターンスプリング10によ
るシューリターン力を大きくしたり、第4発明のよう
に、固定のバックプレート1に対する上記一方のブレー
キシュー3の弾支力に比し、上記他方のブレーキシュー
3の弾支力を大きくする対策が有効であり、何れの場合
も、安価に第2発明の作用効果を達成することができ
る。
【0045】第5発明によるドラムブレーキ装置は、ブ
レーキ操作レバー12の基端12aを一方のブレーキシ
ュー3のアンカー部材7側の端部に枢支すると共に、該
ブレーキ操作レバー12の基端12aから操作端12b
寄りにずれた箇所12c、および他方のブレーキシュー
4間にストラット14を回動可能に架設した構成におい
て、上記一方のブレーキシュー3の拡開抗力に比し、上
記他方のブレーキシュー4の拡開抗力を大きくしたか
ら、これらブレーキシュー3,4間における拡開抗力の
差分のみにより、制動時において、ブレーキ操作レバー
12が枢支された方のブレーキシュー3とアンカー部材
7との間には隙間を生じさせも、他方のブレーキシュー
4とアンカー部材7との間には隙間が発生しないように
することができ、第1発明におけると同様の作用効果を
一層安価に達成することができる。
【0046】両ブレーキシュー3,4の拡開抗力に関し
ての第5発明のごとき大小関係を実現するに際しては、
第6発明のように、上記一方のブレーキシュー3のリタ
ーンスプリング9によるシューリターン力に比し、上記
他方のブレーキシュー4のリターンスプリング10によ
るシューリターン力を大きくしたり、第7発明のよう
に、固定のバックプレート1に対する上記一方のブレー
キシュー3の弾支力に比し、上記他方のブレーキシュー
3の弾支力を大きくする対策が有効であり、何れの場合
も、安価に第5発明の作用効果を達成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態になるドラムブレーキ装
置を、ブレーキドラムが除去された状態で示す正面図で
ある。
【図2】図1のA−A線上で断面とし、矢の方向に見て
示す、ドラムブレーキ装置の断面図である。
【図3】図1のB−B線上で断面とし、矢の方向に見
て、ドラムブレーキ装置の操作ケーブルを示す断面図で
ある。
【図4】図1におけるドラムブレーキ装置の要部を拡大
して示す詳細拡大部分図である。
【図5】図4におけると同様な要部を、ブレーキ作動状
態で示す動作説明用の詳細拡大部分図である。
【図6】従来の構成になるドラムブレーキ装置を、ブレ
ーキドラムが除去された状態で示す正面図である。
【図7】同ドラムブレーキ装置の要部を、ブレーキ作動
状態で示す、図5に対応する詳細拡大部分図である。
【符号の説明】
1 バックプレート 2 ブレーキドラム 3 一方のブレーキシュー 4 他方のブレーキシュー 5 ブレーキシュー保持機構 6 ブレーキシュー保持機構 7 アンカー部材 8 シュー間隙調整アジャスター 9 シューリターンスプリング 10 シューリターンスプリング 11 アジャスタースプリング 12 ブレーキ操作レバー 12a 基端 12b 操作端 13 ブレーキ操作レバー枢支ピン 14 ストラット 15 ストラット架設ピン 16 ストラット架設ピン 17 ブレーキ操作ケーブル

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のブレーキシューを、一方の隣接端
    がそれぞれ固定のアンカー部材に当接するよう、また他
    方の隣接端がそれぞれシュー間隙調整アジャスターの両
    端に当接するよう向き合わせて具え、 ブレーキ操作レバーの基端を一方のブレーキシューのア
    ンカー部材側の端部に枢支すると共に、該ブレーキ操作
    レバーの基端から操作端寄りにずれた箇所、および他方
    のブレーキシュー間にストラットを回動可能に架設し、 ブレーキ操作レバーによりストラットを介し両ブレーキ
    シューを拡開させることで制動作用を行うようにしたド
    ラムブレーキ装置において、 ブレーキ操作レバーに対するストラットの架設点を、前
    記一方のブレーキシューに対するブレーキ操作レバーの
    枢支点とドラムブレーキ中心とを結ぶ線上、若しくは、
    この線よりも前記他方のブレーキシューに近い側に位置
    させたことを特徴とするドラムブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記一方のブレーキ
    シューの拡開抗力に比し、前記他方のブレーキシューの
    拡開抗力を大きくしたことを特徴とするドラムブレーキ
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記一方のブレーキ
    シューのリターンスプリング力に比し、前記他方のブレ
    ーキシューのリターンスプリング力を大きくすること
    で、両ブレーキシューの拡開抗力の前記大小関係を実現
    したことを特徴とするドラムブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 請求項2または3において、固定のバッ
    クプレートに対する前記一方のブレーキシューの弾支力
    に比し、前記他方のブレーキシューの弾支力を大きくす
    ることで、両ブレーキシューの拡開抗力の前記大小関係
    を実現したことを特徴とするドラムブレーキ装置。
  5. 【請求項5】 一対のブレーキシューを、一方の隣接端
    がそれぞれ固定のアンカー部材に当接するよう、また他
    方の隣接端がそれぞれシュー間隙調整アジャスターの両
    端に当接するよう向き合わせて具え、 ブレーキ操作レバーの基端を一方のブレーキシューのア
    ンカー部材側の端部に枢支すると共に、該ブレーキ操作
    レバーの基端から操作端寄りにずれた箇所、および他方
    のブレーキシュー間にストラットを回動可能に架設し、 ブレーキ操作レバーによりストラットを介し両ブレーキ
    シューを拡開させることで制動作用を行うようにしたド
    ラムブレーキ装置において、 前記一方のブレーキシューの拡開抗力に比し、前記他方
    のブレーキシューの拡開抗力を大きくしたことを特徴と
    するドラムブレーキ装置。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記一方のブレーキ
    シューのリターンスプリング力に比し、前記他方のブレ
    ーキシューのリターンスプリング力を大きくすること
    で、両ブレーキシューの拡開抗力の前記大小関係を実現
    したことを特徴とするドラムブレーキ装置。
  7. 【請求項7】 請求項5または6において、固定のバッ
    クプレートに対する前記一方のブレーキシューの弾支力
    に比し、前記他方のブレーキシューの弾支力を大きくす
    ることで、両ブレーキシューの拡開抗力の前記大小関係
    を実現したことを特徴とするドラムブレーキ装置。
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