JP2000328381A - 低収縮性ポリエステル繊維および布帛 - Google Patents

低収縮性ポリエステル繊維および布帛

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JP2000328381A
JP2000328381A JP11130199A JP13019999A JP2000328381A JP 2000328381 A JP2000328381 A JP 2000328381A JP 11130199 A JP11130199 A JP 11130199A JP 13019999 A JP13019999 A JP 13019999A JP 2000328381 A JP2000328381 A JP 2000328381A
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shrinkage
yarn
polyester fiber
low
stretching
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Takashi Ochi
隆志 越智
Masayuki Sato
正幸 佐藤
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の自発伸長糸が有していた寸法安定性不良
を改善し、ふくらみ感、ソフト感、反発感に優れ、さら
に染色斑も小さなポリエステル布帛を製造するための低
収縮性ポリエステル繊維およびポリエステル混繊糸なら
びに低収縮性ポリエステル繊維の製造方法を提供するも
のである。 【解決手段】下記(a)〜(e)の特性を同時に満足す
る低収縮性ポリエステル繊維。 (a)構造一体性パラメータ(ε0.2 )≦30% (b)沸騰水収縮率(BWSL)≦3% (c)沸騰水収縮率(BWSL)≧乾熱収縮率(DS
L) (d)ウースター斑(U%)≦2.0% (e)糸長手方向の収縮率の標準偏差≦0.40

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はふくらみ、ソフト、
反発感に優れた織編物を提供できる低収縮性ポリエステ
ル繊維およびポリエステル混繊糸ならびに低収縮性ポリ
エステル繊維の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは機械的特性をはじめ様々
な優れた特性を有しているため、衣料用途をはじめ各種
分野に利用されている。衣料用途では天然繊維をターゲ
ットとして品質の改良が行われてきているが、特にふく
らみ、ソフト感のある風合いの実現のための手段とし
て、熱による収縮特性の異なる繊維を混繊する、いわゆ
る収縮差混繊糸が広く用いられている。そして最近、熱
により伸長する自発伸長糸を用いた収縮差混繊糸が注目
を集めている。しかしながら、特開平8−60471号
公報等に記載されているように、自発伸長糸は非常にソ
フトな性質を有している反面、繊維のクリープ特性であ
る構造一体性パラメータ(ε0.2 )が45%以上とクリ
ープし易く寸法安定性に劣るものであった。このため、
製織時のヒケや布帛の高次加工工程で異常伸びやシワが
発生しやすく、工程トラブルとなっていた。また、この
ようなトラブルは布帛の染色斑欠点という形で顕在化
し、布帛の品質低下を招いていた。なお、ε0.2 は繊維
のクリープ特性を測定するものであるが、繊維の配向結
晶化状態を反映した値であり、ε0.2 が低いほど配向結
晶化が進行しており繊維が剛直となり、ε0.2 が大きい
ほど配向結晶化が進行しておらず繊維がソフトになるも
のである。
【0003】また、これらの糸の製造方法は、例えば特
開平4−352836号公報、特開平2−293410
号公報、特開平8−60471号公報等に記載されてい
るとおり、弛緩熱処理工程を要するものが一般的であ
る。そのため、製糸工程でも工程安定性が悪く、また糸
斑が発生しやすく、染め斑が発生する等品質面で問題が
あった。
【0004】さらに、加工速度が低いため生産性が低
く、さらに弛緩熱処理が可能な特別な延伸機が必要であ
るため設備費がかさむという問題もあった。すなわち、
これらの諸問題のためコスト高となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来自発伸
長糸が有していた寸法安定性不良を改善し、ふくらみ
感、ソフト感、反発感に優れ、さらに染色斑も小さなポ
リエステル布帛を製造することが可能な低収縮性ポリエ
ステル繊維およびポリエステル混繊糸ならびに低収縮性
ポリエステル繊維の製造方法を提供することを目的とす
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、以下の構成を採用する。すなわち、 (1)下記(a)〜(e)の特性を同時に満足すること
を特徴とする低収縮性ポリエステル繊維。 (a)構造一体性パラメータ(ε0.2 )≦30% (b)沸騰水収縮率(BWSL)≦3% (c)沸騰水収縮率(BWSL)≧乾熱収縮率(DS
L) (d)ウースター斑(U%)≦2.0% (e)糸長手方向の収縮率の標準偏差≦0.40 (2)前記(1)記載の低収縮性ポリエステル繊維と下
記(f)〜(h)の特性を同時に満足する高収縮性ポリ
エステル繊維とが混繊されてなることを特徴とするポリ
エステル混繊糸。 (f)沸騰水収縮率(BWSH)≧7% (g)収縮応力(STH)≧0.25cN/dtex (h)ΔS70≦5% (ただし、ΔS70:高収縮性ポリエステル繊維と低収
縮性ポリエステル繊維の70℃温水中での収縮率差) (3)前記(1)または(2)項記載の低収縮性ポリエ
ステル繊維またはポリエステル混繊糸を用いてなること
を特徴とするポリエステル布帛。
【0007】(4)構造一体性パラメータ(ε0.2 )が
15〜85%であるポリエステル未延伸糸を延伸、熱セ
ットするに際し、延伸倍率を自然延伸倍率(NDR)×
0.70〜0.85とし、延伸温度が85℃以上、熱セ
ット温度が110℃以上で、熱セットをホットローラー
で行うことを特徴とする低収縮性ポリエステル繊維の製
造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明でいうポリエステルとはポ
リエチレンテレフタレート(以下PETと略す)、ポリ
プロピレンテレフタレート(以下PPTと略す)、ポリ
ブチレンテレフタレート(以下PBTと略す)等が挙げ
られるが、PETが最も汎用的であり好ましい。また、
ジオール成分および酸成分の一部が各々15mol%以
下の範囲で他の共重合可能な成分で置換されたものであ
ってもよい。ただし、ポリエチレングリコールの場合は
10重量%以下が好ましい。また、これらは他のポリマ
や、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料などの添加物を
含有していてもよい。以下、PETを例として低収縮性
ポリエステル繊維について説明する。
【0009】本発明の低収縮性ポリエステル繊維の沸騰
水収縮率(BWSL)は3%以下であるものである。B
WSLが3%より高いと布帛にした際、ふくらみ感、ソ
フト感が不足してしまう。また、BWSLの下限値は特
に限定されるものではないが、BWSLが低いというこ
とは繊維構造がルーズであることを意味しており、BW
SLが低いほど寸法安定性が低下する傾向がある。その
ため、BWSLは−2%以上であることが好ましい。B
WSLはより好ましくは0〜2%、さらに好ましくは0
〜1%である。
【0010】また、本発明の低収縮性ポリエステル繊維
は沸騰水収縮率(BWSL)≧乾熱収縮率(DSL)の
特性を有するものである。BWSL<DSLとなると、
布帛のリラックス精練で形成されたクリンプや糸長差が
中間セット等の高次加工工程で減少し、布帛のふくらみ
感、ソフト感が不十分となってしまうからである。
【0011】本発明の低収縮性ポリエステル繊維はε
0.2 が30%以下のものである。ε0. 2 が30%より大
きくなると、微小な力でもクリープし易くなり、従来の
自発伸長糸で問題となっていたトラブルが発生してしま
うからである。ただし、ε0.2が低すぎると布帛に充分
なソフト性を付与し難くなるため、ε0.2 は好ましくは
5〜20%である。
【0012】さらに、本発明の低収縮性ポリエステル繊
維は初期引っ張り抵抗度が40cN/dtex以下であ
れば、布帛にした際のソフト性が増し好ましい。
【0013】本発明の低収縮性ポリエステル繊維は寸法
安定性の改善とともに、布帛の品質を高めるため糸斑を
制御することが重要である。糸の太細斑を表すウースタ
ー斑(U%)は2.0%以下のものである。ウースター
斑が2.0%より大きくなると布帛にした際、染色斑が
目立ってしまうからである。低収縮性ポリエステル繊維
のU%は好ましくは1.5以下である。
【0014】また、布帛にした際の収縮斑を防止するた
め、繊維の長手方向の収縮率の標準偏差(σ)は0.4
0以下であるものである。σが0.40を超えると布帛
にした際、収縮斑が発生し染色斑欠点となってしまうか
らである。σは好ましくは0.15以下である。
【0015】本発明の低収縮性ポリエステル繊維の単糸
繊度は何等限定されるものではなく、0.2dtex程
度の極細糸から5dtex程度の太繊度糸まで任意に採
用可能である。単糸繊度を1.2dtex程度以下の極
細とすると、布帛に繊細なピーチタッチを付与すること
ができ好ましい。また、単糸断面形態も特に限定される
ものではなく、丸断面の他、ドライ感や光沢感を得るた
め三葉断面等の多葉断面を、軽量感を得るため中空断面
等を任意に採用することができる。
【0016】本発明の低収縮性ポリエステル繊維の製造
方法は何等限定されるものではないが、例えば以下のよ
うに、ポリエステル高配向未延伸糸(POY)を特定の
低倍率で延伸し、ホットローラーで110℃以上で熱セ
ットすることにより得ることができる。以下、本発明の
低収縮性ポリエステル繊維の製造方法について説明す
る。
【0017】本発明に用いるPOYはε0.2 が15〜8
5%であることが好ましい。ε0.2が15%以上であれ
ば、POYの配向結晶化が過度に進行していないため、
低倍率延伸による低収縮化が容易となる。また、ε0.2
が85%以下であれば、POYが十分配向結晶化してい
るため、延伸の際ホットローラー上での糸揺れが減少す
るため工程が安定化し、糸斑も小さくなる。本発明に用
いるPOYのε0.2 は好ましくは45〜70%である。
【0018】また、本発明では延伸の際の温度条件が重
要である。本発明では延伸温度は延伸直前の糸条の予熱
温度を意味し、ホットローラー延伸機の場合、延伸直前
の第1ホットローラー温度を指すものである。本発明に
おいては、この延伸温度を85℃以上とすることが好ま
しい。延伸温度が85℃以上であると、延伸前に分子鎖
の運動性が十分向上し、不均一延伸による糸斑を抑制す
ることができるのである。さらに、延伸温度を110℃
以下とすることが好ましい。これにより、延伸前のPO
Yの過度の結晶化を防止し、低収縮化に有利となり、第
1ホットローラー上での糸揺れが減少し、糸斑が抑制さ
れ、また工程が安定化するのである。
【0019】本発明では熱セット温度は延伸後の糸条の
熱処理温度を意味し、ホットローラー延伸機の場合、延
伸後の第2ホットローラー温度を指すものである。本発
明においては、この熱セット温度を110℃以上とする
ことが好ましい。熱セット温度を110℃以上とするこ
とで延伸糸の結晶化が十分進行し、配向非晶分子鎖の固
定が十分となり、低収縮化に有利となる。ただし、熱セ
ット温度が145℃より高くなると、熱セットの際の糸
揺れが大きくなる場合があるので、熱セット温度は14
5℃以下であることが好ましい。
【0020】また、本発明では延伸の際の温度条件に加
えて延伸倍率を特定の範囲とすることが重要である。す
なわち、未延伸糸の配向度に合わせ、延伸倍率は自然延
伸倍率(以下NDRと略す)×0.70〜0.85とす
ることが好ましい。延伸倍率をNDR×0.70以上と
することで、ホットローラー上での糸揺れを抑制し、工
程安定性を向上し、糸斑を抑制できるのである。また、
延伸倍率をNDR×0.85以下とすることで延伸によ
る歪みを抑制し低収縮化に有利となる。好ましくはND
R×0.75〜0.80である。ここでNDRとは“1
+定応力伸長領域長”で定義されるものである。
【0021】以上のような特定の延伸条件を採用するこ
とにより、低収縮性ポリエステル繊維を得ることができ
るが、本発明では熱セットをホットローラーで行うこと
が好ましい。これにより、熱セット時の糸道が安定し、
断糸が減少し大幅に工程安定性が向上するのである。ま
た、糸斑のレベルも大幅に低下し、布帛にした際、染色
斑やシワの発生が抑制され品位が大幅に向上するのであ
る。また、熱セットローラーを梨地表面とすることでさ
らに糸道が安定する。梨地表面とは表面にミクロオーダ
ーの微細凹凸や溝が多数存在している状態を意味するも
のである。そしてその程度(表面粗度)は、JIS B
0601に記載されている“S”表示で定義でき、値
が大きいほど表面粗度の程度が大である。本発明の梨地
表面ローラーの表面粗度は2〜8Sであることが好まし
い。
【0022】工程安定性は延伸優等率で評価できる。延
伸優等率とは延伸仕掛け錘数に対するトラブル無しに巻
き上がった錘数の比をいうものであり、延伸優等率が高
いほど工程安定性が良好である。本発明の方法を用いれ
ば延伸優等率は95.0%以上を達成することができ
る。
【0023】延伸装置としては熱セットを梨地表面ロー
ラーで行うことのできるものが使用できる。少なくとも
1対のホットローラーを有する延伸機を使用すれば、さ
らに工程が安定化する。上記の1対のホットローラーと
しては、例えば、延伸前の予熱のための第1ホットロー
ラーと延伸後の熱セットのための第2ホットローラーな
どが採用できる。これに、コールドドローローラー、多
段延伸のためのホットローラーが付属していても差し支
えない。なお、予熱装置として熱ピンや熱板を使用する
ことも可能であるが、予熱装置/糸条の擦過により糸切
れが発生したり、予熱装置と糸条のスティックスリップ
により糸斑が発生しやすくなるため、ホットローラーの
方が好ましいのである。
【0024】本発明の低収縮性ポリエステル繊維は沸騰
水収縮率(BWSH)が7%以上である高収縮性ポリエ
ステル繊維と交絡混繊し、収縮差混繊糸として用いるこ
とが好ましい。BWSHは13%以上であれば、さらに
ふくらみ感が優れているため好ましい。そして、織物中
で大きなクリンプを発現させ、ふくらみ感を高めるため
には高収縮性ポリエステル繊維の収縮応力(STH)は
0.25cN/dtex以上であることが好ましい。S
THは好ましくは0.35cN/dtexである。
【0025】また、混繊する高収縮性ポリエステル繊維
が沸騰水収縮率(BWSH)≧乾熱収縮率(DSH)で
あれば、さらにソフトでしかも反発感のある風合いとな
り好ましい。また、本発明の低収縮性ポリエステル繊維
とサイドバイサイド型に複合紡糸された複合繊維よりな
る潜在捲縮糸と混繊すると、上記高収縮糸とは異なった
質感のふくらみ感、反発感、ストレッチ性が得られ好ま
しい。
【0026】また、高収縮性ポリエステル繊維として、
PPTやPBT等のストレッチ性に優れる繊維を使用す
ると、PETとはまた異なったソフトで反発感のある風
合いとなり好ましい。
【0027】なお、これらの収縮差混繊糸に集束性を付
与するために、該混繊糸に撚をかけて使用すると糸の取
り扱い性が向上するが、撚り止めセットの際に低収縮性
ポリエステル繊維と高収縮性ポリエステル繊維の収縮率
差が大きくなると、低収縮性ポリエステル繊維が混繊糸
糸条表面から突出し、逆に糸の取り扱い性が低下してし
まう。撚り止めセットは通常70℃スチーム等、ポリエ
ステルのガラス転移温度以上で行われるため、低収縮性
ポリエステル繊維と高収縮性ポリエステル繊維の70℃
温水中での収縮率差(ΔS70)は5%以下とすること
が好ましい。ΔS70は好ましくは2%以下である。
【0028】本発明により得られた繊維を用いた織編物
は、ブラウス、スーツ、パンツ、コート等の衣料用途に
好適に用いられる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明す
る。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。 A.極限粘度[η] オルソクロロフェノール中25℃で測定した。 B.沸騰水収縮率、乾熱収縮率および70℃温水収縮率 沸騰水収縮率(%)=[(L0 −L1 )/L0 )]×1
00(%) 乾熱収縮率(%)=[(L0 −L2 )/L0 )]×10
0(%) 70℃温水収縮率(%)=[(L0 −L3 )/L0 )]
×100(%) L0 :延伸糸をかせ取りし、初荷重0.18cN/dt
ex(0.2gf/d)下で測定したかせの原長 L1 :L0 を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態
で沸騰水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.18c
N/dtex下でのかせ長 L2 :L1 を測定したかせを風乾後さらに乾熱160℃
で荷重フリーの状態で15分間処理し、風乾後初荷重
0.18cN/dtex下でのかせ長 L3 :L0 を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態
で70℃温水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.1
8cN/dtex下でのかせ長 C.構造一体性パラメーター(ε0.2 ) 特開昭48−35112号公報記載のように、0.18
cN/dtex荷重下で沸騰水中2分間処理を行い、処
理前後の糸の寸法変化から下記式で算出した。
【0030】ε0.2 (%)=[(L1 ’−L0 ’)/L
0 ’)]×100 L0 ’:糸をかせ取りし、初荷重0.18cN/dte
x下で測定したかせの原長 L1 ’:L0 ’を測定したかせを0.18cN/dte
x荷重下の状態で沸騰水中で2分間処理し、風乾後初荷
重0.18cN/dtex下でのかせ長 D.ローラー表面粗度(S) JIS B 0601記載の方法で定義した。 E.糸長手方向の沸騰水収縮率の標準偏差(σ) 東レエンジニアリング社製FTA−500を用いて、低
収縮糸の糸長手方向の沸騰水収縮率の連続測定を行っ
た。この時、糸の供給速度20m/分、走行糸応力0.
01cN/dtexで長さ15.5cmの100℃に加
熱した湿熱処理装置に通した。そして10分間測定を行
い、収縮率の標準偏差を求めた。この時、測定糸長3.
3cm毎に生の収縮率をポイントデータとして取り込
み、これを6点合わせて平均し1データとした。そして
それを1000データ集め標準偏差を計算した。このよ
うにして、ノイズの測定値への影響を抑制した。 F.ウースター斑(U%) Zellweger社製 USTER TESTER
1 ModelCを使用し、25m/分の速度で糸を給
糸しながらノーマルモードで測定を行った。 G.自然延伸倍率(NDR) 初期試料長=50mm、引っ張り速度=400mm/分
とし、JIS L1013にしたがい荷重−伸長曲線を
求めた。次に、荷重−伸長曲線において、降伏点以後の
一定荷重値を示す領域を定応力伸長領域とし、その一定
荷重値を初期の繊度で割り定応力伸長領域応力、定応力
伸長領域の終了点の伸度を100%で割り、定応力伸長
領域長とした。そしてNDR=1+定応力伸長領域長と
した。 H.初期引張抵抗度 初期試料長=50mm、引っ張り速度=400mm/分
とし、JIS L1013にしたがい測定した荷重−伸
長曲線から求めた。 I.工程安定性 144錘延伸機で3kg巻き延伸を5回行い、その時の
糸切れ錘数をnとして下記式で延伸優等率(%)を計算
した。
【0031】延伸優等率(%)=(144×5−n)/
(144×5) J.布帛評価 実施例、比較例で得られた繊維を経糸および緯糸に用い
て平織りを製織した。これに、98℃でリラックス精錬
を施し、180℃で中間セットした。さらに常法により
10重量%のアルカリ減量処理を施した後、染色し、1
80℃で仕上げセットを行った。このようにして得られ
た布帛を、ふくらみ感、ソフト感、反発感、染め斑につ
いて1〜5級で官能評価した。3級以上を合格とした。 実施例1 極限粘度0.63、ホモPET(酸化チタン0.4重量
%含有)を285℃で溶融し、絶対濾過径20μのステ
ンレス製不織布フィルターを用い濾過を行った後、丸吐
出孔から吐出した。紡糸温度285℃、紡糸速度300
0m/分で69dtex、36フィラメントの未延伸糸
(POY)を巻き取った。ε0.2 =62%、NDR=
1.58(図1)であった。
【0032】上記POYを図2の1対のホットーローラ
ーを有する延伸機を用い、第1ホットーローラー(1H
R)3の温度95℃、延伸倍率1.25倍(NDR×
0.79)、延伸速度(第2ホットローラー4の周速
度)900m/分として、第2ホットローラー4の温度
を表1の如く変化させて延伸を行った(実験No.1〜
3)。第2ホットローラー(2HR)4は4Sの梨地表
面ローラーとした。
【0033】2HRの温度を110〜140℃とするこ
とにより、十分低収縮で寸法安定性、糸斑にも優れた低
収縮性ポリエステル繊維を得ることができた。また、実
験No.2の低収縮性ポリエステル繊維の強伸度曲線を
図1に示すが、降伏点を有しているもののPOYに比べ
降伏点応力が高く、製織の際のヒケ等のトラブルは発生
しないものであった。また、延伸時の糸揺れ、糸切れ等
もなく問題なく延伸可能であり、延伸優等率は98.6
%以上であった。
【0034】上記低収縮性ポリエステル繊維とBWSH
=21.5%、DSH=19.5%、STH=0.37
cN/dtexである33dtex、12フィラメント
の高収縮性ホモポリエステル繊維をインターレースノズ
ルを用いエア混繊し、収縮差混繊糸を得た。得られた混
繊糸の70℃温水収縮率差(ΔS70)は0.6〜1.
0%であった。これに300ターン/mのS撚りを施
し、布帛評価を行った。いずれの水準もふくらみ、ソフ
ト、反発感に優れ、染色斑も少ないものであった。 比較例1 2HRの温度を100℃とした以外は実施例1と同様の
条件で延伸を行った(実験No.4)。物性値を表1に
示すが、低収縮化が不充分であった。また、得られた繊
維を用い、実施例1と同様に収縮差混繊糸を作製し布帛
評価を行ったが、ふくらみ感、ソフト感に欠けるもので
あった。 比較例2 実施例1で得たPOYを200℃の非接触ヒーターを用
い、弛緩率45%で弛緩熱処理した。この時の加工速度
は200m/分、ヒーター滞留時間は0.18秒であっ
た。得られた繊維はBWSL=−1.2%、DSL=−
6.2%、ε0. 2 =60%の自発伸長糸であった。これ
とBWSH=15.2%、DSH=17.1%、STH
=0.40cN/dtexである33dtex、12フ
ィラメントの高収縮性ホモポリエステル繊維を実施例1
と同様に収縮差混繊糸を作製し布帛評価を行ったが、染
色斑が大きく品位の劣った布帛しか得られなかった。ま
た、製糸工程での延伸優等率は88.8%と糸切れが頻
発した。
【0035】
【表1】
【0036】実施例2 2HRの温度を130℃、1HRの温度を表2の如く変
更した以外は実施例1と同様の条件で延伸を行った(実
験No.6、7)。物性値を表2に示す。1HRの温度
を90〜110℃とすることで十分低収縮で寸法安定
性、糸斑にも優れた低収縮性ポリエステル繊維を得るこ
とができた。また、延伸時の糸揺れ、糸切れ等もなく問
題なく製糸可能であり、延伸優等率は97.2%以上で
あった。また、得られた繊維とBWSH=15.2%、
DSH=17.1%、STH=0.40cN/dtex
である33dtex、6フィラメントの高収縮性ホモポ
リエステル繊維を実施例1と同様に収縮差混繊糸を作製
し布帛評価を行ったが、いずれの水準もふくらみ、ソフ
ト、反発感に優れ、染色斑も少ないものであった。 比較例3 1HR温度を70℃とした以外は実施例2と同様の条件
で延伸を行った(実験No.8)。物性値を表2に示す
が、糸斑が過大となった。また、得られた繊維を用い、
実施例2と同様に収縮差混繊糸を作製し布帛評価を行っ
たが、染色斑が大きくなった。
【0037】
【表2】
【0038】実施例3 フィラメント数を72とした以外は実施例1と同様に紡
糸を行い、69dtex、72フィラメント、ε0.2
55%、NDR=1.50のPOYを巻き取った。第2
ホットローラー4の温度を130℃、延伸倍率を1.0
5(NDR×0.70)、1.28(NDR×0.8
5)に変更した以外は実施例1と同様の条件で延伸を行
った(実験No.9、10)。物性値を表3に示す。延
伸倍率がNDR×0.70〜0.85であれば十分低収
縮で寸法安定性、糸斑にも優れた低収縮性ポリエステル
繊維を得ることができた。また、延伸時の糸揺れ、糸切
れ等もなく問題なく延伸可能であり、延伸優等率は9
8.6%以上であった。また、得られた繊維を用い、実
施例1と同様に収縮差混繊糸を作製し布帛評価を行った
が、いずれの水準もふくらみ、ソフト、反発感に優れ、
染色斑も少ないものであった。延伸倍率NDR×0.7
0の水準ではふくらみ感、ソフト感、反発感が特に優れ
ていた。また、極細による繊細なピーチタッチが得られ
た。 比較例4 延伸倍率を1.01倍(NDR×0.67)、1.34
倍(NDR×0.89)とした以外は実施例3と同様の
条件で延伸を行った(実験No.11、12)。物性値
を表3に示す。延伸倍率がNDR×0.67の場合は、
糸斑が過大となり、延伸優等率も94.0%と低いもの
であった。一方、延伸倍率がNDR×0.89の場合は
低収縮化が不充分であった。また、得られた繊維を用
い、実施例1と同様に収縮差混繊糸を作製し布帛評価を
行ったが、実験No.11(延伸倍率=NDR×0.6
7)は染色斑が発生し、実験No.12(延伸倍率=N
DR×0.89)はふくらみ感、ソフト感に欠けてい
た。
【0039】
【表3】
【0040】実施例4 ホモPETを5−ナトリウムスルホイソフタル酸を2m
ol%共重合した極限粘度0.65の共重合PET(酸
化チタン0.05重量%含有)とし、紡糸温度を300
℃、吐出量と紡糸速度を調整した以外は実施例1と同様
の条件で紡糸を行い、未延伸糸を得た。この時、吐出量
は延伸後56dtex、紡糸速度は表4に示すε0.2
なるよう調整した。これを2HRの温度130℃、延伸
倍率をNDR×0.77とした以外は実施例1と同様の
条件で延伸を行った(実験No.13、14)。物性値
を表4に示す。未延伸糸のε0.2 を30〜80%とする
ことで十分低収縮で寸法安定性、糸斑にも優れた低収縮
性ポリエステル繊維を得ることができた。また、延伸時
の糸揺れ、糸切れ等もなく問題なく製糸可能であり、延
伸優等率は97.9%であった。また、得られた繊維を
用い、実施例1と同様に収縮差混繊糸を作製し布帛評価
を行ったが、いずれの水準もふくらみ、ソフト、反発感
に優れ、染色斑も少ないものであった。また、低収縮性
ポリエステル繊維がカチオン可染可能となったため鮮明
発色性に優れるものとなった。 比較例5 未延伸糸のε0.2 を100%および10%となるように
吐出量と紡糸速度を調整した以外は実施例4と同様の条
件で紡糸を行い、未延伸糸を得た。これを実施例4と同
様の条件で延伸を行った(実験No.15、16)。物
性値を表4示す。実験No.15(未延伸糸のε0.2
100%)では糸斑が過大となり、延伸優等率も94.
0%と低いものであった。一方、実験No.16(未延
伸糸のε 0.2 が10%)では低収縮化が不充分となっ
た。また、得られた繊維を用い、実施例1と同様に収縮
差混繊糸を作製し布帛評価を行ったが、実験No.15
(未延伸糸のε0.2 が100%)では染色斑が発生し、
実験No.16(未延伸糸のε0.2 が10%)ではふく
らみ感、ソフト感に欠けていた。
【0041】
【表4】
【0042】実施例5 2HR温度を130℃、2HRを鏡面ローラーとした以
外は実施例1と同様に延伸を行い、低収縮性ポリエステ
ル繊維を得た。十分低収縮で寸法安定性、糸斑にも優れ
ていたが梨地ローラーを用いたものに比べ、問題となる
ほどではないが延伸優等率が97.2%と低くなった。
また、得られた繊維を用い、実施例1と同様に収縮差混
繊糸を作製し布帛評価を行ったが、ふくらみ、ソフト、
反発感に優れ、染色斑も少ないものであった。 比較例6 2HRを長さ50cmの熱板に変更し、熱板温度を15
0℃とし、延伸速度を150m/分としたこと以外は実
施例5と同様に延伸を行った。得られた繊維は糸斑が過
大となった。また熱板上での糸道が変動が大きく、断糸
が多発し延伸優等率が89.6%と工程安定性が劣って
いた。さらに、延伸速度が実施例1の900m/分に比
べ大幅に遅く、生産性に劣るものであった。また、得ら
れた繊維を用い、実施例1と同様に収縮差混繊糸を作製
し布帛評価を行ったが、染色斑が過大となり、また収縮
斑により織物表面にシワが発生し品位の低いものであっ
た。
【0043】
【表5】
【0044】実施例6〜10 実施例1で得た実験No.2の低収縮性ポリエステル繊
維と表6に示す高収縮性ポリエステル繊維を表6に示す
混繊法で混繊し、収縮差混繊糸を得た。これらに300
ターン/mのS撚りを施し実施例1と同様に布帛評価を
行ったが、いずれの水準もふくらみ、ソフト、反発感に
優れ、染色斑も少ないものであった。
【0045】
【表6】
【0046】
【発明の効果】本発明の低収縮性ポリエステル繊維を採
用することにより、従来の自発伸長糸が有していた寸法
安定性不良を改善し、ふくらみ感、ソフト感、反発感に
優れ、さらに染色斑の小さなポリエステル布帛を製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いたポリエステル繊維の強
伸度曲線を示す図である。
【図2】本発明の実施例で用いた延伸装置の概略図であ
る。
【符号の説明】
1:未延伸糸 2:フィードローラー 3:第1ホットローラー 4:第2ホットローラー 5:コールドドローローラー 6:延伸糸
フロントページの続き Fターム(参考) 4L036 MA05 MA33 MA40 PA01 PA03 PA33 PA42 PA46 RA03 UA01 UA30 4L048 AA20 AA21 AA50 AA56 AB08 AB09 AB12 AC07 CA00 CA12 CA13

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(a)〜(e)の特性を同時に満足す
    ることを特徴とする低収縮性ポリエステル繊維。 (a)構造一体性パラメータ(ε0.2 )≦30% (b)沸騰水収縮率(BWSL)≦3% (c)沸騰水収縮率(BWSL)≧乾熱収縮率(DS
    L) (d)ウースター斑(U%)≦2.0% (e)糸長手方向の収縮率の標準偏差≦0.40
  2. 【請求項2】請求項1記載の低収縮性ポリエステル繊維
    と下記(f)〜(h)の特性を同時に満足する高収縮性
    ポリエステル繊維とが混繊されてなることを特徴とする
    ポリエステル混繊糸。 (f)沸騰水収縮率(BWSH)≧7% (g)収縮応力(STH)≧0.25cN/dtex (h)ΔS70≦5% (ただし、ΔS70:高収縮性ポリエステル繊維と低収
    縮性ポリエステル繊維の70℃温水中での収縮率差)
  3. 【請求項3】請求項1または2項記載の低収縮性ポリエ
    ステル繊維またはポリエステル混繊糸を用いてなること
    を特徴とするポリエステル布帛。
  4. 【請求項4】構造一体性パラメータ(ε0.2 )が15〜
    85%であるポリエステル未延伸糸を延伸、熱セットす
    るに際し、延伸倍率を自然延伸倍率(NDR)×0.7
    0〜0.85とし、延伸温度が85℃以上、熱セット温
    度が110℃以上で、熱セットをホットローラーで行う
    ことを特徴とする低収縮性ポリエステル繊維の製造方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010236135A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Nippon Ester Co Ltd ポリエステル糸条の製造方法

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JP2010236135A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Nippon Ester Co Ltd ポリエステル糸条の製造方法

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