JP2000328381A - 低収縮性ポリエステル繊維および布帛 - Google Patents
低収縮性ポリエステル繊維および布帛Info
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Abstract
を改善し、ふくらみ感、ソフト感、反発感に優れ、さら
に染色斑も小さなポリエステル布帛を製造するための低
収縮性ポリエステル繊維およびポリエステル混繊糸なら
びに低収縮性ポリエステル繊維の製造方法を提供するも
のである。 【解決手段】下記(a)〜(e)の特性を同時に満足す
る低収縮性ポリエステル繊維。 (a)構造一体性パラメータ(ε0.2 )≦30% (b)沸騰水収縮率(BWSL)≦3% (c)沸騰水収縮率(BWSL)≧乾熱収縮率(DS
L) (d)ウースター斑(U%)≦2.0% (e)糸長手方向の収縮率の標準偏差≦0.40
Description
反発感に優れた織編物を提供できる低収縮性ポリエステ
ル繊維およびポリエステル混繊糸ならびに低収縮性ポリ
エステル繊維の製造方法に関するものである。
な優れた特性を有しているため、衣料用途をはじめ各種
分野に利用されている。衣料用途では天然繊維をターゲ
ットとして品質の改良が行われてきているが、特にふく
らみ、ソフト感のある風合いの実現のための手段とし
て、熱による収縮特性の異なる繊維を混繊する、いわゆ
る収縮差混繊糸が広く用いられている。そして最近、熱
により伸長する自発伸長糸を用いた収縮差混繊糸が注目
を集めている。しかしながら、特開平8−60471号
公報等に記載されているように、自発伸長糸は非常にソ
フトな性質を有している反面、繊維のクリープ特性であ
る構造一体性パラメータ(ε0.2 )が45%以上とクリ
ープし易く寸法安定性に劣るものであった。このため、
製織時のヒケや布帛の高次加工工程で異常伸びやシワが
発生しやすく、工程トラブルとなっていた。また、この
ようなトラブルは布帛の染色斑欠点という形で顕在化
し、布帛の品質低下を招いていた。なお、ε0.2 は繊維
のクリープ特性を測定するものであるが、繊維の配向結
晶化状態を反映した値であり、ε0.2 が低いほど配向結
晶化が進行しており繊維が剛直となり、ε0.2 が大きい
ほど配向結晶化が進行しておらず繊維がソフトになるも
のである。
開平4−352836号公報、特開平2−293410
号公報、特開平8−60471号公報等に記載されてい
るとおり、弛緩熱処理工程を要するものが一般的であ
る。そのため、製糸工程でも工程安定性が悪く、また糸
斑が発生しやすく、染め斑が発生する等品質面で問題が
あった。
く、さらに弛緩熱処理が可能な特別な延伸機が必要であ
るため設備費がかさむという問題もあった。すなわち、
これらの諸問題のためコスト高となっていた。
長糸が有していた寸法安定性不良を改善し、ふくらみ
感、ソフト感、反発感に優れ、さらに染色斑も小さなポ
リエステル布帛を製造することが可能な低収縮性ポリエ
ステル繊維およびポリエステル混繊糸ならびに低収縮性
ポリエステル繊維の製造方法を提供することを目的とす
るものである。
達成するため、以下の構成を採用する。すなわち、 (1)下記(a)〜(e)の特性を同時に満足すること
を特徴とする低収縮性ポリエステル繊維。 (a)構造一体性パラメータ(ε0.2 )≦30% (b)沸騰水収縮率(BWSL)≦3% (c)沸騰水収縮率(BWSL)≧乾熱収縮率(DS
L) (d)ウースター斑(U%)≦2.0% (e)糸長手方向の収縮率の標準偏差≦0.40 (2)前記(1)記載の低収縮性ポリエステル繊維と下
記(f)〜(h)の特性を同時に満足する高収縮性ポリ
エステル繊維とが混繊されてなることを特徴とするポリ
エステル混繊糸。 (f)沸騰水収縮率(BWSH)≧7% (g)収縮応力(STH)≧0.25cN/dtex (h)ΔS70≦5% (ただし、ΔS70:高収縮性ポリエステル繊維と低収
縮性ポリエステル繊維の70℃温水中での収縮率差) (3)前記(1)または(2)項記載の低収縮性ポリエ
ステル繊維またはポリエステル混繊糸を用いてなること
を特徴とするポリエステル布帛。
15〜85%であるポリエステル未延伸糸を延伸、熱セ
ットするに際し、延伸倍率を自然延伸倍率(NDR)×
0.70〜0.85とし、延伸温度が85℃以上、熱セ
ット温度が110℃以上で、熱セットをホットローラー
で行うことを特徴とする低収縮性ポリエステル繊維の製
造方法である。
リエチレンテレフタレート(以下PETと略す)、ポリ
プロピレンテレフタレート(以下PPTと略す)、ポリ
ブチレンテレフタレート(以下PBTと略す)等が挙げ
られるが、PETが最も汎用的であり好ましい。また、
ジオール成分および酸成分の一部が各々15mol%以
下の範囲で他の共重合可能な成分で置換されたものであ
ってもよい。ただし、ポリエチレングリコールの場合は
10重量%以下が好ましい。また、これらは他のポリマ
や、艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料などの添加物を
含有していてもよい。以下、PETを例として低収縮性
ポリエステル繊維について説明する。
水収縮率(BWSL)は3%以下であるものである。B
WSLが3%より高いと布帛にした際、ふくらみ感、ソ
フト感が不足してしまう。また、BWSLの下限値は特
に限定されるものではないが、BWSLが低いというこ
とは繊維構造がルーズであることを意味しており、BW
SLが低いほど寸法安定性が低下する傾向がある。その
ため、BWSLは−2%以上であることが好ましい。B
WSLはより好ましくは0〜2%、さらに好ましくは0
〜1%である。
は沸騰水収縮率(BWSL)≧乾熱収縮率(DSL)の
特性を有するものである。BWSL<DSLとなると、
布帛のリラックス精練で形成されたクリンプや糸長差が
中間セット等の高次加工工程で減少し、布帛のふくらみ
感、ソフト感が不十分となってしまうからである。
0.2 が30%以下のものである。ε0. 2 が30%より大
きくなると、微小な力でもクリープし易くなり、従来の
自発伸長糸で問題となっていたトラブルが発生してしま
うからである。ただし、ε0.2が低すぎると布帛に充分
なソフト性を付与し難くなるため、ε0.2 は好ましくは
5〜20%である。
維は初期引っ張り抵抗度が40cN/dtex以下であ
れば、布帛にした際のソフト性が増し好ましい。
安定性の改善とともに、布帛の品質を高めるため糸斑を
制御することが重要である。糸の太細斑を表すウースタ
ー斑(U%)は2.0%以下のものである。ウースター
斑が2.0%より大きくなると布帛にした際、染色斑が
目立ってしまうからである。低収縮性ポリエステル繊維
のU%は好ましくは1.5以下である。
め、繊維の長手方向の収縮率の標準偏差(σ)は0.4
0以下であるものである。σが0.40を超えると布帛
にした際、収縮斑が発生し染色斑欠点となってしまうか
らである。σは好ましくは0.15以下である。
繊度は何等限定されるものではなく、0.2dtex程
度の極細糸から5dtex程度の太繊度糸まで任意に採
用可能である。単糸繊度を1.2dtex程度以下の極
細とすると、布帛に繊細なピーチタッチを付与すること
ができ好ましい。また、単糸断面形態も特に限定される
ものではなく、丸断面の他、ドライ感や光沢感を得るた
め三葉断面等の多葉断面を、軽量感を得るため中空断面
等を任意に採用することができる。
方法は何等限定されるものではないが、例えば以下のよ
うに、ポリエステル高配向未延伸糸(POY)を特定の
低倍率で延伸し、ホットローラーで110℃以上で熱セ
ットすることにより得ることができる。以下、本発明の
低収縮性ポリエステル繊維の製造方法について説明す
る。
5%であることが好ましい。ε0.2が15%以上であれ
ば、POYの配向結晶化が過度に進行していないため、
低倍率延伸による低収縮化が容易となる。また、ε0.2
が85%以下であれば、POYが十分配向結晶化してい
るため、延伸の際ホットローラー上での糸揺れが減少す
るため工程が安定化し、糸斑も小さくなる。本発明に用
いるPOYのε0.2 は好ましくは45〜70%である。
要である。本発明では延伸温度は延伸直前の糸条の予熱
温度を意味し、ホットローラー延伸機の場合、延伸直前
の第1ホットローラー温度を指すものである。本発明に
おいては、この延伸温度を85℃以上とすることが好ま
しい。延伸温度が85℃以上であると、延伸前に分子鎖
の運動性が十分向上し、不均一延伸による糸斑を抑制す
ることができるのである。さらに、延伸温度を110℃
以下とすることが好ましい。これにより、延伸前のPO
Yの過度の結晶化を防止し、低収縮化に有利となり、第
1ホットローラー上での糸揺れが減少し、糸斑が抑制さ
れ、また工程が安定化するのである。
熱処理温度を意味し、ホットローラー延伸機の場合、延
伸後の第2ホットローラー温度を指すものである。本発
明においては、この熱セット温度を110℃以上とする
ことが好ましい。熱セット温度を110℃以上とするこ
とで延伸糸の結晶化が十分進行し、配向非晶分子鎖の固
定が十分となり、低収縮化に有利となる。ただし、熱セ
ット温度が145℃より高くなると、熱セットの際の糸
揺れが大きくなる場合があるので、熱セット温度は14
5℃以下であることが好ましい。
えて延伸倍率を特定の範囲とすることが重要である。す
なわち、未延伸糸の配向度に合わせ、延伸倍率は自然延
伸倍率(以下NDRと略す)×0.70〜0.85とす
ることが好ましい。延伸倍率をNDR×0.70以上と
することで、ホットローラー上での糸揺れを抑制し、工
程安定性を向上し、糸斑を抑制できるのである。また、
延伸倍率をNDR×0.85以下とすることで延伸によ
る歪みを抑制し低収縮化に有利となる。好ましくはND
R×0.75〜0.80である。ここでNDRとは“1
+定応力伸長領域長”で定義されるものである。
とにより、低収縮性ポリエステル繊維を得ることができ
るが、本発明では熱セットをホットローラーで行うこと
が好ましい。これにより、熱セット時の糸道が安定し、
断糸が減少し大幅に工程安定性が向上するのである。ま
た、糸斑のレベルも大幅に低下し、布帛にした際、染色
斑やシワの発生が抑制され品位が大幅に向上するのであ
る。また、熱セットローラーを梨地表面とすることでさ
らに糸道が安定する。梨地表面とは表面にミクロオーダ
ーの微細凹凸や溝が多数存在している状態を意味するも
のである。そしてその程度(表面粗度)は、JIS B
0601に記載されている“S”表示で定義でき、値
が大きいほど表面粗度の程度が大である。本発明の梨地
表面ローラーの表面粗度は2〜8Sであることが好まし
い。
伸優等率とは延伸仕掛け錘数に対するトラブル無しに巻
き上がった錘数の比をいうものであり、延伸優等率が高
いほど工程安定性が良好である。本発明の方法を用いれ
ば延伸優等率は95.0%以上を達成することができ
る。
ラーで行うことのできるものが使用できる。少なくとも
1対のホットローラーを有する延伸機を使用すれば、さ
らに工程が安定化する。上記の1対のホットローラーと
しては、例えば、延伸前の予熱のための第1ホットロー
ラーと延伸後の熱セットのための第2ホットローラーな
どが採用できる。これに、コールドドローローラー、多
段延伸のためのホットローラーが付属していても差し支
えない。なお、予熱装置として熱ピンや熱板を使用する
ことも可能であるが、予熱装置/糸条の擦過により糸切
れが発生したり、予熱装置と糸条のスティックスリップ
により糸斑が発生しやすくなるため、ホットローラーの
方が好ましいのである。
水収縮率(BWSH)が7%以上である高収縮性ポリエ
ステル繊維と交絡混繊し、収縮差混繊糸として用いるこ
とが好ましい。BWSHは13%以上であれば、さらに
ふくらみ感が優れているため好ましい。そして、織物中
で大きなクリンプを発現させ、ふくらみ感を高めるため
には高収縮性ポリエステル繊維の収縮応力(STH)は
0.25cN/dtex以上であることが好ましい。S
THは好ましくは0.35cN/dtexである。
が沸騰水収縮率(BWSH)≧乾熱収縮率(DSH)で
あれば、さらにソフトでしかも反発感のある風合いとな
り好ましい。また、本発明の低収縮性ポリエステル繊維
とサイドバイサイド型に複合紡糸された複合繊維よりな
る潜在捲縮糸と混繊すると、上記高収縮糸とは異なった
質感のふくらみ感、反発感、ストレッチ性が得られ好ま
しい。
PPTやPBT等のストレッチ性に優れる繊維を使用す
ると、PETとはまた異なったソフトで反発感のある風
合いとなり好ましい。
与するために、該混繊糸に撚をかけて使用すると糸の取
り扱い性が向上するが、撚り止めセットの際に低収縮性
ポリエステル繊維と高収縮性ポリエステル繊維の収縮率
差が大きくなると、低収縮性ポリエステル繊維が混繊糸
糸条表面から突出し、逆に糸の取り扱い性が低下してし
まう。撚り止めセットは通常70℃スチーム等、ポリエ
ステルのガラス転移温度以上で行われるため、低収縮性
ポリエステル繊維と高収縮性ポリエステル繊維の70℃
温水中での収縮率差(ΔS70)は5%以下とすること
が好ましい。ΔS70は好ましくは2%以下である。
は、ブラウス、スーツ、パンツ、コート等の衣料用途に
好適に用いられる。
る。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。 A.極限粘度[η] オルソクロロフェノール中25℃で測定した。 B.沸騰水収縮率、乾熱収縮率および70℃温水収縮率 沸騰水収縮率(%)=[(L0 −L1 )/L0 )]×1
00(%) 乾熱収縮率(%)=[(L0 −L2 )/L0 )]×10
0(%) 70℃温水収縮率(%)=[(L0 −L3 )/L0 )]
×100(%) L0 :延伸糸をかせ取りし、初荷重0.18cN/dt
ex(0.2gf/d)下で測定したかせの原長 L1 :L0 を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態
で沸騰水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.18c
N/dtex下でのかせ長 L2 :L1 を測定したかせを風乾後さらに乾熱160℃
で荷重フリーの状態で15分間処理し、風乾後初荷重
0.18cN/dtex下でのかせ長 L3 :L0 を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態
で70℃温水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.1
8cN/dtex下でのかせ長 C.構造一体性パラメーター(ε0.2 ) 特開昭48−35112号公報記載のように、0.18
cN/dtex荷重下で沸騰水中2分間処理を行い、処
理前後の糸の寸法変化から下記式で算出した。
0 ’)]×100 L0 ’:糸をかせ取りし、初荷重0.18cN/dte
x下で測定したかせの原長 L1 ’:L0 ’を測定したかせを0.18cN/dte
x荷重下の状態で沸騰水中で2分間処理し、風乾後初荷
重0.18cN/dtex下でのかせ長 D.ローラー表面粗度(S) JIS B 0601記載の方法で定義した。 E.糸長手方向の沸騰水収縮率の標準偏差(σ) 東レエンジニアリング社製FTA−500を用いて、低
収縮糸の糸長手方向の沸騰水収縮率の連続測定を行っ
た。この時、糸の供給速度20m/分、走行糸応力0.
01cN/dtexで長さ15.5cmの100℃に加
熱した湿熱処理装置に通した。そして10分間測定を行
い、収縮率の標準偏差を求めた。この時、測定糸長3.
3cm毎に生の収縮率をポイントデータとして取り込
み、これを6点合わせて平均し1データとした。そして
それを1000データ集め標準偏差を計算した。このよ
うにして、ノイズの測定値への影響を抑制した。 F.ウースター斑(U%) Zellweger社製 USTER TESTER
1 ModelCを使用し、25m/分の速度で糸を給
糸しながらノーマルモードで測定を行った。 G.自然延伸倍率(NDR) 初期試料長=50mm、引っ張り速度=400mm/分
とし、JIS L1013にしたがい荷重−伸長曲線を
求めた。次に、荷重−伸長曲線において、降伏点以後の
一定荷重値を示す領域を定応力伸長領域とし、その一定
荷重値を初期の繊度で割り定応力伸長領域応力、定応力
伸長領域の終了点の伸度を100%で割り、定応力伸長
領域長とした。そしてNDR=1+定応力伸長領域長と
した。 H.初期引張抵抗度 初期試料長=50mm、引っ張り速度=400mm/分
とし、JIS L1013にしたがい測定した荷重−伸
長曲線から求めた。 I.工程安定性 144錘延伸機で3kg巻き延伸を5回行い、その時の
糸切れ錘数をnとして下記式で延伸優等率(%)を計算
した。
(144×5) J.布帛評価 実施例、比較例で得られた繊維を経糸および緯糸に用い
て平織りを製織した。これに、98℃でリラックス精錬
を施し、180℃で中間セットした。さらに常法により
10重量%のアルカリ減量処理を施した後、染色し、1
80℃で仕上げセットを行った。このようにして得られ
た布帛を、ふくらみ感、ソフト感、反発感、染め斑につ
いて1〜5級で官能評価した。3級以上を合格とした。 実施例1 極限粘度0.63、ホモPET(酸化チタン0.4重量
%含有)を285℃で溶融し、絶対濾過径20μのステ
ンレス製不織布フィルターを用い濾過を行った後、丸吐
出孔から吐出した。紡糸温度285℃、紡糸速度300
0m/分で69dtex、36フィラメントの未延伸糸
(POY)を巻き取った。ε0.2 =62%、NDR=
1.58(図1)であった。
ーを有する延伸機を用い、第1ホットーローラー(1H
R)3の温度95℃、延伸倍率1.25倍(NDR×
0.79)、延伸速度(第2ホットローラー4の周速
度)900m/分として、第2ホットローラー4の温度
を表1の如く変化させて延伸を行った(実験No.1〜
3)。第2ホットローラー(2HR)4は4Sの梨地表
面ローラーとした。
とにより、十分低収縮で寸法安定性、糸斑にも優れた低
収縮性ポリエステル繊維を得ることができた。また、実
験No.2の低収縮性ポリエステル繊維の強伸度曲線を
図1に示すが、降伏点を有しているもののPOYに比べ
降伏点応力が高く、製織の際のヒケ等のトラブルは発生
しないものであった。また、延伸時の糸揺れ、糸切れ等
もなく問題なく延伸可能であり、延伸優等率は98.6
%以上であった。
=21.5%、DSH=19.5%、STH=0.37
cN/dtexである33dtex、12フィラメント
の高収縮性ホモポリエステル繊維をインターレースノズ
ルを用いエア混繊し、収縮差混繊糸を得た。得られた混
繊糸の70℃温水収縮率差(ΔS70)は0.6〜1.
0%であった。これに300ターン/mのS撚りを施
し、布帛評価を行った。いずれの水準もふくらみ、ソフ
ト、反発感に優れ、染色斑も少ないものであった。 比較例1 2HRの温度を100℃とした以外は実施例1と同様の
条件で延伸を行った(実験No.4)。物性値を表1に
示すが、低収縮化が不充分であった。また、得られた繊
維を用い、実施例1と同様に収縮差混繊糸を作製し布帛
評価を行ったが、ふくらみ感、ソフト感に欠けるもので
あった。 比較例2 実施例1で得たPOYを200℃の非接触ヒーターを用
い、弛緩率45%で弛緩熱処理した。この時の加工速度
は200m/分、ヒーター滞留時間は0.18秒であっ
た。得られた繊維はBWSL=−1.2%、DSL=−
6.2%、ε0. 2 =60%の自発伸長糸であった。これ
とBWSH=15.2%、DSH=17.1%、STH
=0.40cN/dtexである33dtex、12フ
ィラメントの高収縮性ホモポリエステル繊維を実施例1
と同様に収縮差混繊糸を作製し布帛評価を行ったが、染
色斑が大きく品位の劣った布帛しか得られなかった。ま
た、製糸工程での延伸優等率は88.8%と糸切れが頻
発した。
更した以外は実施例1と同様の条件で延伸を行った(実
験No.6、7)。物性値を表2に示す。1HRの温度
を90〜110℃とすることで十分低収縮で寸法安定
性、糸斑にも優れた低収縮性ポリエステル繊維を得るこ
とができた。また、延伸時の糸揺れ、糸切れ等もなく問
題なく製糸可能であり、延伸優等率は97.2%以上で
あった。また、得られた繊維とBWSH=15.2%、
DSH=17.1%、STH=0.40cN/dtex
である33dtex、6フィラメントの高収縮性ホモポ
リエステル繊維を実施例1と同様に収縮差混繊糸を作製
し布帛評価を行ったが、いずれの水準もふくらみ、ソフ
ト、反発感に優れ、染色斑も少ないものであった。 比較例3 1HR温度を70℃とした以外は実施例2と同様の条件
で延伸を行った(実験No.8)。物性値を表2に示す
が、糸斑が過大となった。また、得られた繊維を用い、
実施例2と同様に収縮差混繊糸を作製し布帛評価を行っ
たが、染色斑が大きくなった。
糸を行い、69dtex、72フィラメント、ε0.2 =
55%、NDR=1.50のPOYを巻き取った。第2
ホットローラー4の温度を130℃、延伸倍率を1.0
5(NDR×0.70)、1.28(NDR×0.8
5)に変更した以外は実施例1と同様の条件で延伸を行
った(実験No.9、10)。物性値を表3に示す。延
伸倍率がNDR×0.70〜0.85であれば十分低収
縮で寸法安定性、糸斑にも優れた低収縮性ポリエステル
繊維を得ることができた。また、延伸時の糸揺れ、糸切
れ等もなく問題なく延伸可能であり、延伸優等率は9
8.6%以上であった。また、得られた繊維を用い、実
施例1と同様に収縮差混繊糸を作製し布帛評価を行った
が、いずれの水準もふくらみ、ソフト、反発感に優れ、
染色斑も少ないものであった。延伸倍率NDR×0.7
0の水準ではふくらみ感、ソフト感、反発感が特に優れ
ていた。また、極細による繊細なピーチタッチが得られ
た。 比較例4 延伸倍率を1.01倍(NDR×0.67)、1.34
倍(NDR×0.89)とした以外は実施例3と同様の
条件で延伸を行った(実験No.11、12)。物性値
を表3に示す。延伸倍率がNDR×0.67の場合は、
糸斑が過大となり、延伸優等率も94.0%と低いもの
であった。一方、延伸倍率がNDR×0.89の場合は
低収縮化が不充分であった。また、得られた繊維を用
い、実施例1と同様に収縮差混繊糸を作製し布帛評価を
行ったが、実験No.11(延伸倍率=NDR×0.6
7)は染色斑が発生し、実験No.12(延伸倍率=N
DR×0.89)はふくらみ感、ソフト感に欠けてい
た。
ol%共重合した極限粘度0.65の共重合PET(酸
化チタン0.05重量%含有)とし、紡糸温度を300
℃、吐出量と紡糸速度を調整した以外は実施例1と同様
の条件で紡糸を行い、未延伸糸を得た。この時、吐出量
は延伸後56dtex、紡糸速度は表4に示すε0.2 と
なるよう調整した。これを2HRの温度130℃、延伸
倍率をNDR×0.77とした以外は実施例1と同様の
条件で延伸を行った(実験No.13、14)。物性値
を表4に示す。未延伸糸のε0.2 を30〜80%とする
ことで十分低収縮で寸法安定性、糸斑にも優れた低収縮
性ポリエステル繊維を得ることができた。また、延伸時
の糸揺れ、糸切れ等もなく問題なく製糸可能であり、延
伸優等率は97.9%であった。また、得られた繊維を
用い、実施例1と同様に収縮差混繊糸を作製し布帛評価
を行ったが、いずれの水準もふくらみ、ソフト、反発感
に優れ、染色斑も少ないものであった。また、低収縮性
ポリエステル繊維がカチオン可染可能となったため鮮明
発色性に優れるものとなった。 比較例5 未延伸糸のε0.2 を100%および10%となるように
吐出量と紡糸速度を調整した以外は実施例4と同様の条
件で紡糸を行い、未延伸糸を得た。これを実施例4と同
様の条件で延伸を行った(実験No.15、16)。物
性値を表4示す。実験No.15(未延伸糸のε0.2 が
100%)では糸斑が過大となり、延伸優等率も94.
0%と低いものであった。一方、実験No.16(未延
伸糸のε 0.2 が10%)では低収縮化が不充分となっ
た。また、得られた繊維を用い、実施例1と同様に収縮
差混繊糸を作製し布帛評価を行ったが、実験No.15
(未延伸糸のε0.2 が100%)では染色斑が発生し、
実験No.16(未延伸糸のε0.2 が10%)ではふく
らみ感、ソフト感に欠けていた。
外は実施例1と同様に延伸を行い、低収縮性ポリエステ
ル繊維を得た。十分低収縮で寸法安定性、糸斑にも優れ
ていたが梨地ローラーを用いたものに比べ、問題となる
ほどではないが延伸優等率が97.2%と低くなった。
また、得られた繊維を用い、実施例1と同様に収縮差混
繊糸を作製し布帛評価を行ったが、ふくらみ、ソフト、
反発感に優れ、染色斑も少ないものであった。 比較例6 2HRを長さ50cmの熱板に変更し、熱板温度を15
0℃とし、延伸速度を150m/分としたこと以外は実
施例5と同様に延伸を行った。得られた繊維は糸斑が過
大となった。また熱板上での糸道が変動が大きく、断糸
が多発し延伸優等率が89.6%と工程安定性が劣って
いた。さらに、延伸速度が実施例1の900m/分に比
べ大幅に遅く、生産性に劣るものであった。また、得ら
れた繊維を用い、実施例1と同様に収縮差混繊糸を作製
し布帛評価を行ったが、染色斑が過大となり、また収縮
斑により織物表面にシワが発生し品位の低いものであっ
た。
維と表6に示す高収縮性ポリエステル繊維を表6に示す
混繊法で混繊し、収縮差混繊糸を得た。これらに300
ターン/mのS撚りを施し実施例1と同様に布帛評価を
行ったが、いずれの水準もふくらみ、ソフト、反発感に
優れ、染色斑も少ないものであった。
用することにより、従来の自発伸長糸が有していた寸法
安定性不良を改善し、ふくらみ感、ソフト感、反発感に
優れ、さらに染色斑の小さなポリエステル布帛を製造す
ることができる。
伸度曲線を示す図である。
る。
Claims (4)
- 【請求項1】下記(a)〜(e)の特性を同時に満足す
ることを特徴とする低収縮性ポリエステル繊維。 (a)構造一体性パラメータ(ε0.2 )≦30% (b)沸騰水収縮率(BWSL)≦3% (c)沸騰水収縮率(BWSL)≧乾熱収縮率(DS
L) (d)ウースター斑(U%)≦2.0% (e)糸長手方向の収縮率の標準偏差≦0.40 - 【請求項2】請求項1記載の低収縮性ポリエステル繊維
と下記(f)〜(h)の特性を同時に満足する高収縮性
ポリエステル繊維とが混繊されてなることを特徴とする
ポリエステル混繊糸。 (f)沸騰水収縮率(BWSH)≧7% (g)収縮応力(STH)≧0.25cN/dtex (h)ΔS70≦5% (ただし、ΔS70:高収縮性ポリエステル繊維と低収
縮性ポリエステル繊維の70℃温水中での収縮率差) - 【請求項3】請求項1または2項記載の低収縮性ポリエ
ステル繊維またはポリエステル混繊糸を用いてなること
を特徴とするポリエステル布帛。 - 【請求項4】構造一体性パラメータ(ε0.2 )が15〜
85%であるポリエステル未延伸糸を延伸、熱セットす
るに際し、延伸倍率を自然延伸倍率(NDR)×0.7
0〜0.85とし、延伸温度が85℃以上、熱セット温
度が110℃以上で、熱セットをホットローラーで行う
ことを特徴とする低収縮性ポリエステル繊維の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11130199A JP2000328381A (ja) | 1999-05-11 | 1999-05-11 | 低収縮性ポリエステル繊維および布帛 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11130199A JP2000328381A (ja) | 1999-05-11 | 1999-05-11 | 低収縮性ポリエステル繊維および布帛 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000328381A true JP2000328381A (ja) | 2000-11-28 |
Family
ID=15028470
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11130199A Pending JP2000328381A (ja) | 1999-05-11 | 1999-05-11 | 低収縮性ポリエステル繊維および布帛 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000328381A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010236135A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Nippon Ester Co Ltd | ポリエステル糸条の製造方法 |
-
1999
- 1999-05-11 JP JP11130199A patent/JP2000328381A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010236135A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Nippon Ester Co Ltd | ポリエステル糸条の製造方法 |
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