JP2000327410A - 誘電体磁器組成物及び非放射性誘電体線路 - Google Patents

誘電体磁器組成物及び非放射性誘電体線路

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JP2000327410A
JP2000327410A JP11143897A JP14389799A JP2000327410A JP 2000327410 A JP2000327410 A JP 2000327410A JP 11143897 A JP11143897 A JP 11143897A JP 14389799 A JP14389799 A JP 14389799A JP 2000327410 A JP2000327410 A JP 2000327410A
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dielectric plate
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Takeshi Okamura
健 岡村
Hirohisa Sechi
啓久 瀬知
Masahiro Sato
政宏 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】比誘電率が4.5〜6.0で60GHzでのQ
値が1000以上であり、抗折強度が向上した誘電体磁
器組成物を得ること。 【解決手段】モル比組成式がxMgO・yAl2 3
zSiO2 (但し、x=10〜40モル%,y=10〜
40モル%,z=20〜80モル%,x+y+z=10
0モル%)で表される複合酸化物を主成分とし、Sr,
In,Ni,Co,Ga,Zr,Tiの一種以上を酸化
物換算で0.1〜15.0重量%、及びSi3 4
0.1〜60.0重量%含有する誘電体磁器組成物とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波信号を導波
伝搬させる誘電体導波路,誘電体線路等用の誘電体磁器
組成物及び非放射性誘電体線路であって、例えばマイク
ロ波集積回路,ミリ波集積回路等のマイクロ波帯域,ミ
リ波帯域で用いられる回路基板、誘電体共振器用支持部
材、誘電体共振器、誘電体線路、誘電体アンテナ等の材
料として有用な誘電体磁器組成物、及びそれを用いた非
放射性誘電体線路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の非放射性誘電体線路(Non Radiat
ive Dielectoric Guide で、以下、NRDガイドとい
う)の基本構成を図1に示す。同図のNRDガイドS1
は、誘電体板2中を伝搬させるミリ波等の高周波信号
(電磁波)の波長λに対して、間隔がλ/2以下である
一対の平行平板導体1,3の間に直線状の誘電体板(誘
電体線路,誘電体導波路等という場合もある)2を介装
して構成されている。このようなNRDガイドS1で
は、平行平板導体1,3の間隔が高周波信号の波長λの
1/2以下のとき電磁波は遮断されて外部から進入でき
ないが、平行平板導体1,3の間に誘電体板2を介装す
ると、誘電体板2に沿ってその内部を電磁波が伝搬で
き、放射波は平行平板導体1,3の遮断効果によって抑
制される。尚、図1において、上側の平行平板導体3は
説明上一部を切り欠いて描いた。
【0003】前記NRDガイドS1の電磁波伝搬モード
としてはLSM(Longitudinal Section Magnetic )モ
ード,LSE(Longitudinal Section Electric )モー
ドの2種類があり、損失の小さいLSMモードが一般的
に使用されている。
【0004】また、図2に示すようなNRDガイドS2
では曲線状の誘電体板4を使用しており、この場合電磁
波を容易に曲線的に伝搬させることができ、ミリ波集積
回路等が小型化されまた自由度の高い回路設計ができる
という利点を有する。尚、図2は説明上内部を透視した
状態を描いたものである。
【0005】従来、NRDガイドの誘電体板の材料とし
ては、加工の容易さ等の理由で、テフロン,ポリスチレ
ンなどの比誘電率2〜4の樹脂材料が使用されてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、テフロ
ン,ポリスチレン等の樹脂材料から成る誘電体を用いた
誘電体板によりNRDガイドを構成すると、誘電体板の
曲線部での曲げ損失や、誘電体板同士の接合部での損失
が大きいという問題があった。このため、誘電体板に急
峻な曲線部を形成することができず、その結果NRDガ
イドが大型化するという問題があった。一方、誘電体板
に緩やかな曲線部を形成した場合には、高周波信号の損
失を抑制するために前記曲線部の曲率を精密に決定する
必要があった。
【0007】更に、曲げ損失が小さい状態で使用できる
周波数範囲が、例えば60GHz付近では1〜2GHz
の幅しかなく十分ではなかった。これは、比誘電率が2
〜4の誘電体を用いてNRDガイドを構成した場合、L
SMモードとLSEモードの差が3GHz程度と非常に
近いため、LSMモードの電磁波の1部がLSEモード
に変換されてしまうためであった。即ち、図3に示すよ
うに、LSMモードとLSEモードの分散特性について
2つのモードの分散曲線がβ/β0 =0(βは誘電体板
中での高周波信号の伝搬定数、β0 は真空中での高周波
信号の伝搬定数)で3GHz程度しか離れておらず、こ
れがLSMモードの電磁波の1部がLSEモードに変換
される原因であった。また、誘電体板の材料としてアル
ミナ等の比誘電率が10程度のセラミックスを用いたも
のもあるが、50GHz以上の高周波で使用するために
は、誘電体板の幅を非常に細くしなければならず、加工
性及び実装の作業性、即ち製造上実用的ではない。
【0008】また、周波数がより高周波となると誘電体
板の断面もより小さくなる。例えば、断面のサイズが1
mm×2mm程度で長さが10mm程度の誘電体板を磁
器で形成し配置する場合、製造時等に誘電体板を取り扱
う際にきわめて折損し易くなるという問題があった。そ
の上、誘電体板を一対の平行平板導体で挟持する必要が
あるが、この平行平板導体で誘電体板を締めつける際に
破損するという問題が生じていた。
【0009】従って、本発明は上記事情に鑑みて完成さ
れたものであり、その目的は、比誘電率が4.5〜6で
60GHzでのQ値が1000以上であり、しかも抗折
強度が向上した高周波用の誘電体磁器組成物を提供する
ことである。また、前記誘電体磁器組成物から成る誘電
体板を用いてNRDガイドを構成することにより、LS
Mモードの電磁波のLSEモードへの変換が少なく、曲
線部を有する誘電体板を用いた場合、急峻な曲線部とし
ても使用周波数範囲を広くでき、その結果ミリ波集積回
路等を小型化でき、しかも加工が容易で設計の自由度の
高いNRDガイドを得ることができる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の誘電体磁器組成
物は、モル比組成式がxMgO・yAl2 3 ・zSi
2 (但し、x=10〜40モル%,y=10〜40モ
ル%,z=20〜80モル%,x+y+z=100モル
%)で表される複合酸化物を主成分とし、Sr,In,
Ni,Co,Ga,Zr,Tiのうちの一種以上を酸化
物換算で0.1〜15.0重量%、及びSi3 4
0.1〜60.0重量%含有することを特徴とする。
【0011】本発明は、上記構成により、比誘電率が
4.5〜6.0で60GHzにおけるQ値が1000以
上の特性を得ることができ、またヤング率及び抗折強度
が向上する。また、Si3 4 を0.1〜60.0重量
%含有することにより、誘電特性を劣化させることな
く、誘電体磁器の剛性を向上させ得る。
【0012】また、本発明の上記誘電体磁器組成物は、
誘電体磁器の特性を大きく劣化させることなく、焼成条
件を改善することができる。即ち、比誘電率が4.5〜
6.0、測定周波数60GHzでのQ値が1000以上
の低誘電率の特性を得るために、例えば、従来焼成温度
幅を10℃程度で制御していたものを100℃程度まで
広げることができ、製造が容易になり量産性がきわめて
向上する。更に、低誘電率、高Q値、高強度の本発明の
誘電体磁器組成物を、例えば誘電体共振器の支持部材、
回路基板等に用いることにより、高インピーダンスのマ
イクロ波集積回路などの高周波用回路を高い信頼性でも
って製造することができる。
【0013】また本発明において、好ましくは、伝搬さ
せる高周波信号の2分の1以下の間隔で配置した平行平
板導体間に、上記誘電体磁器組成物から成る誘電体板を
設ける。
【0014】本発明は、このような構成により、誘電体
板の比誘電率が、従来のテフロン等の樹脂材料よりも高
くアルミナよりも低い4.5〜6.0程度となり、LS
Mモードの電磁波のLSEモードへの変換による損失を
低減し得る。また、使用周波数60GHzでのQ値が1
000以上の誘電体磁器を用いることにより、伝送損失
が少なく、かつ誘電体板の幅を非常に細くする必要がな
いため製造し易くなり、その結果安価及び高精度に誘電
体板を作製することができる。
【0015】更に、誘電体板の比誘電率がテフロン等の
樹脂材料と比して高いので、これらの樹脂材料を用いて
誘電体板の支持用治具や回路基板等を作製し、誘電体板
近傍に配置しても、その影響を受けにくくなる。このよ
うにして、より製造の自由度が高く、小型で安価なNR
Dガイドを構成できる。また、誘電体板の強度が向上す
るため、誘電体板の取扱時の折損や平行平板導体で挟持
する際の破損が防止され、製造が容易となり量産性も向
上する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の高周波用の誘電体磁器組
成物及びNRDガイドについて以下に説明する。本発明
の誘電体磁器組成物は、各元素の酸化物のモル比組成式
が、xMgO・yAl2 3 ・zSiO2 (但し、x=
10〜40モル%,y=10〜40モル%,z=20〜
80モル%,x+y+z=100モル%)で表される複
合酸化物を主成分とする。
【0017】誘電体磁器組成物の主成分組成比を前記範
囲に限定したのは、次の理由による。即ち、MgOのモ
ル比をx=10〜40モル%としたのは、x<10モル
%では良好な焼結体が得られ難くQ値が低くなる傾向が
あり、またx>40モル%では比誘電率が6.0よりも
高くなるからである。好ましくはx=15〜35モル%
であり、その場合Q値の向上が著しい。Al2 3 のモ
ル比をy=10〜40モル%としたのは、y<10モル
%では良好な焼結体が得られ難くQ値が低くなり、また
x>40モル%では比誘電率が6.0よりも高くなるか
らである。好ましくはy=17〜35モル%であり、そ
の場合Q値の向上が著しい。SiO2 のモル比をz=2
0〜80モル%としたのは、z<20モル%では比誘電
率が6.0よりも高くなり、z>80モル%では良好な
焼結体が得られ難くQ値が低くなる。好ましくはz=3
0〜65モル%であり、その場合Q値の向上が著しい。
【0018】これらMgO,Al2 3 ,SiO2 のモ
ル%x,y,zは、EPMA(Electron Probe Micro A
nalysis )法、XRD(X-ray diffraction :X線回
折)法等の分析方法で特定できる。
【0019】また、本発明は上記主成分に対して、添加
元素としてSr,In,Ni,Co,Ga,Zr,Ti
のうちの一種以上を酸化物換算で0.1〜15重量%含
有させるが、0.1重量%より少ない場合は緻密化焼成
温度は広くなり難く、15重量%より多い場合は誘電損
失が大きくなりQ値が低くなる。前記Sr等の含有量を
増加させるほど緻密化焼成温度は広くなるが、一方比誘
電率が増加しQ値が低下していくため、これらの特性と
緻密化焼成温度との兼ね合いで更に含有量を調整するこ
とが望ましい。
【0020】これらの添加元素のうち、Q値を低下させ
ずに焼成温度幅を広くできるという点からSr,Inが
好ましい。
【0021】更に本発明は、窒化ケイ素(Si3 4
を0.1〜60.0重量%含有させるが、0.1重量%
より少ないとヤング率、抗折強度が向上し難く、60重
量%より多いと比誘電率が6.0より大きくなる。窒化
ケイ素の含有量を増加させるほどヤング率、抗折強度は
大きくなるが、一方比誘電率が増加していくため、これ
らの特性の兼ね合い更に含有量を調整することが望まし
い。
【0022】前記Sr等の添加物及びSi3 4 の重量
%は、EPMA法、XRD法等の分析方法で特定でき
る。
【0023】また、焼結体(セラミックス)である誘電
体磁器組成物は、主相はコージェライト(2MgO・2
Al2 3 ・5SiO2 )であり、他の結晶相としてム
ライト(3Al2 3 ・2SiO2 )、スピネル(Mg
O・Al2 3 )、プロトエンスタタイト{メタ珪酸マ
グネシウム(MgO・SiO2 )を主成分とするステア
タイトの一種}、クリノエンスタタイト{メタ珪酸マグ
ネシウム(MgO・SiO2 )を主成分とするステアタ
イトの一種}、フォルステライト(2MgO・Si
2 )、クリストバライト{珪酸(SiO2 )の一
種}、トリジマイト{珪酸(SiO2 )の一種}、サフ
ァリン(Mg,Alの珪酸塩の一種)、クオーツ(Si
2 )、Si3 4 、シリコンオキシナイトライド(S
iON)等が析出し、更に添加物と主成分元素との酸化
化合物、例えばSrAlSi2 7 が析出する場合があ
るが、組成によってその析出相が異なる。
【0024】本発明の誘電体磁器組成物は以下のように
して作製される。原料粉末として、例えばMgCO3
末、Al2 3 粉末、SiO2 粉末、Yb2 3 粉末を
用い、これらを所定の割合に秤量し、湿式混合した後乾
燥し、その混合物を大気中において1100〜1300
℃で仮焼した後粉砕したものを用いる。得られた原料粉
末にSi3 4 粉末を所定の割合で秤量混合し、適量の
有機樹脂バインダを加えて線路状等に成形し、この成形
体を窒素雰囲気中1200〜1450℃で焼成すること
により得られる。
【0025】尚、本発明の誘電体磁器組成物は、金属元
素としてMg,Al,Si,Sr,In,Ni,Co,
Ga,Zr,Ti,N等を含むが、粉砕ボールや原料粉
末の不純物としてCa,Ba,Fe,Cr,P,Na等
が微量混入する場合があり、この場合も、上記組成範囲
を満足する限り低誘電率で高Q値の誘電体磁器組成物を
得ることができる。
【0026】また、本発明の誘電体磁器組成物は低誘電
率及び高Q値が求められる各種電子部品等に応用できる
ものであり、例えば電子回路基板,誘電体共振器の誘電
体磁器,誘電体導波路,誘電体アンテナ等に適用でき
る。
【0027】本発明のNRDガイドは、図1で示したよ
うに、高周波信号の波長λに対してλ/2以下の間隔で
配置した平行平板導体1,3の間に、上記誘電体磁器組
成物から成る誘電体板2を設ける構成としている。誘電
体板2の材料として、上記誘電体磁器組成物を用いてお
り、この誘電体磁器組成物は比誘電率が4.5〜6.0
である。比誘電率が4.5より小さいと、LSMモード
の電磁波のLSEモードへの変換が大きくなり損失が増
大し、比誘電率が6.0よりも大きくなると、50GH
z以上の周波数で使用する際、誘電体板2の幅をきわめ
て細くしなければならず、加工が困難になると共に強度
が劣化するといった問題が生じる。また、誘電体板2の
特性としては、周波数60GHzでのQ値が1000以
上が望ましく、これは近年におけるマイクロ波帯域、ミ
リ波帯域で使用される伝送線路として十分な低損失特性
である。
【0028】本発明のNRDガイドは数10〜数100
GHz帯の高周波信号を利用する高周波回路であれば適
用でき、特に50GHz以上、更には70GHz以上の
高周波帯域で好適に使用できる。具体的には、本発明の
NRDガイドSは携帯電話、自動車のミリ波レーダ等に
使用されるものであり、例えば自動車の周囲の障害物及
び他の自動車に対しミリ波を第一の誘電体板で導波して
照射し、反射波を第二の誘電体板からの元の高周波信号
と合成してビート信号を得、このビート信号を分析する
ことにより前記障害物及び他の自動車までの距離、それ
らの移動速度、移動方向等が得られる。
【0029】本発明の前記平行平板導体1,3は、高い
電気伝導度及び加工性の点で、Cu,Al,Fe,SU
S(ステンレス),Ag,Au,Pt等の導体板、ある
いはこられの導体層を表面に形成した絶縁板でもよい。
【0030】また、本発明の誘電体板の用途はNRDガ
イドに限らず、高周波信号伝送用の誘電体線路を利用し
た各種電子部品,電子回路,光電子回路等に適用でき
る。尚、NRDガイドとしては平行平板導体1,3の間
隔がλ/2よりも小さいことが必要であるが、通常の誘
電体線路として使用する場合、誘電体板を一基板上に形
成しても良く、また一対の平行平板導体を用いてもその
間隔をλ/2よりも大きくしても構わない。
【0031】かくして、本発明の誘電体磁器組成物は、
比誘電率が4.5〜6.0で60GHzにおけるQ値が
1000以上の特性を得ることができ、またヤング率及
び抗折強度が向上する。また、誘電体磁器の特性を大き
く劣化させることなく焼成条件を改善することができ、
製造が容易になり量産性がきわめて向上する。更に、本
発明の誘電体磁器組成物はマイクロ波集積回路などの高
周波用回路を高い信頼性でもって製造することができ
る。また本発明のNRDガイドは、LSMモードの電磁
波のLSEモードへの変換による損失を低減し得、伝送
損失が少なく、かつ誘電体板の幅を非常に細くする必要
がないため製造し易くなり、その結果安価及び高精度に
誘電体板を作製することができる。更に、誘電体板の強
度が向上するため、誘電体板の取扱時の折損や平行平板
導体で挟持する際の破損が防止され、更に製造が容易と
なり量産性も向上する。
【0032】尚、本発明は上記実施形態に限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば
種々の変更を行っても何等差し支えない。
【0033】
【実施例】本発明の実施例を以下の説明する。
【0034】(実施例)本発明の誘電体磁器組成物を以
下の工程〔1〕〜〔3〕により作製した。
【0035】〔1〕原料粉末として、純度99.0%の
MgCO3 、純度99.7%のAl23 、純度99.
4%のSiO2 粉末、純度99.9%のSr,In,N
i,Co,Ga,Zr,Tiの酸化物粉末を用い、これ
らを焼結体が下記表1,表2に示す組成となるように秤
量し、15時間湿式混合した後乾燥し、この混合物を1
200℃で2時間仮焼した後粉砕した。
【0036】〔2〕得られた粉末に対し、純度99.0
%の窒化ケイ素粉末を焼結体が下記表1,表2に示す組
成と成るように秤量し、15時間湿式混合した後乾燥
し、適量の有機樹脂バインダを加えて造粒し、これを1
000kg/cm2 の圧力の下で成形して、直径12m
m、厚さ(高さ)8mmの円柱状の成形体を得た。
【0037】〔3〕この成形体を窒素雰囲気中で2時間
焼成して焼結体を得、更に直径5mm、厚さ2.25m
mの円柱状となるように研磨し、誘電体磁器組成物の試
料を得た。
【0038】前記試料について、誘電体円柱共振器法に
より周波数約60GHzでの比誘電率及びQ値を測定し
た。更に、室温(約25℃)でのヤング率を測定し、抗
折強度をJISR1601に基づき4点曲げ抗折強度試
験により求めた。
【0039】また、上記工程〔1〕〜〔3〕と同様にし
て板状のセラミックス板を作製し、そのセラミックス板
を切削加工することにより、断面が幅1.0mm×高さ
2.25mmであり、その中途に曲率半径3.9mmで
90°に折り曲がる曲線部を有する誘電体板を作製し
た。この誘電体板と、表面を鏡面加工したCu板から成
り縦100mm×横100mm×厚さ8mmの2枚の平
行平板導体を用いて、図2に示すようなNRDガイドS
2を作製した。このNRDガイドS2について、比誘電
率と誘電体板の形状により決定されるLSMモードとL
SEモードの分散特性に関し、2つのモードの分散曲線
がβ/β0 =0(βは誘電体板中での高周波信号の伝搬
定数、β0 は真空中での高周波信号の伝搬定数)でどの
程度離れているかについて求めた。その結果も表1,表
2に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】表1及び表2に示すように、本発明の誘電
体磁器組成物は、比誘電率が4.5〜6であり、測定周
波数60GHzでのQ値が1000以上と高く、更にL
SMモードとLSEモードの分散特性について2つのモ
ードの分散曲線がβ/β0 =0で13GHz以上離れて
いることが判明した。また、Si3 4 が増加するにつ
れてヤング率及び抗折強度が向上することが判った。
【0043】
【発明の効果】本発明は、xMgO・yAl2 3 ・z
SiO2 (但し、x=10〜40モル%,y=10〜4
0モル%,z=20〜80モル%,x+y+z=100
モル%)で表される複合酸化物を主成分とし、Sr,I
n,Ni,Co,Ga,Zr,Tiのうちの一種以上を
酸化物換算で0.1〜15.0重量%、及びSi3 4
を0.1〜60.0重量%含有する誘電体磁器組成物と
することにより、比誘電率が4.5〜6.0で60GH
zにおけるQ値が1000以上の特性を得ることがで
き、またヤング率及び抗折強度が向上する。また、誘電
体磁器の特性を大きく劣化させることなく焼成条件を改
善することができ、製造が容易になり量産性がきわめて
向上する。更に、低誘電率、高Q値、高強度の上記誘電
体磁器組成物を、誘電体共振器の支持部材、回路基板等
に用いることにより、高インピーダンスのマイクロ波集
積回路等の高周波用回路を高い信頼性でもって製造し得
る。
【0044】また本発明は、伝搬させる高周波信号の波
長の2分の1以下の間隔で配置した平行平板導体の間
に、上記誘電体磁器組成物から成る誘電体板を設けたこ
とにより、LSMモードの電磁波がLSEモードに変換
されることで損失が生じるのを少なくでき、誘電体板に
急峻な曲線部を形成しても伝送損失が小さく、その結果
小型化できる。また、50GHz以上の高周波信号伝送
用としても、伝送損失が少なくかつ微細な幅の誘電体板
とする必要がないため製造し易くなり、その結果安価及
び高精度な誘電体板を用いたNRDガイドを作製するこ
とができる。更に、テフロン等の樹脂材料で誘電体板の
支持用治具や回路基板等を作製し、誘電体板近傍に配置
しても、その影響を受けにくくなる。このようにして、
より設計及び製造の自由度が高く、小型で安価なNRD
ガイドを構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の一般的なNRDガイドの基本構成を示す
部分切欠斜視図である。
【図2】従来の曲線部を有する一般的なNRDガイドの
基本構成を示すものであり、内部を透視した斜視図であ
る。
【図3】従来のNRDガイドを伝搬するLSMモードと
LSEモードの分散特性を示し、周波数に関するLSM
モードとLSEモードの分散曲線のグラフである。
【符号の説明】
1:平行平板導体 2:誘電体板 3:平行平板導体
フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA07 AA09 AA16 AA17 AA28 AA29 AA34 AA36 AA37 AA52 BA09 GA03 GA05 GA14 GA22 GA23 PA21 5J014 HA06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モル比組成式がxMgO・yAl2 3
    zSiO2 (但し、x=10〜40モル%,y=10〜
    40モル%,z=20〜80モル%,x+y+z=10
    0モル%)で表される複合酸化物を主成分とし、Sr,
    In,Ni,Co,Ga,Zr,Tiのうちの一種以上
    を酸化物換算で0.1〜15.0重量%、及びSi3
    4 を0.1〜60.0重量%含有することを特徴とする
    誘電体磁器組成物。
  2. 【請求項2】伝搬させる高周波信号の波長の2分の1以
    下の間隔で配置した平行平板導体間に、請求項1記載の
    誘電体磁器組成物から成る誘電体板を設けたことを特徴
    とする非放射性誘電体線路。
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