JPH1017361A - 高周波用誘電体磁器組成物および誘電体共振器 - Google Patents

高周波用誘電体磁器組成物および誘電体共振器

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JPH1017361A
JPH1017361A JP8169529A JP16952996A JPH1017361A JP H1017361 A JPH1017361 A JP H1017361A JP 8169529 A JP8169529 A JP 8169529A JP 16952996 A JP16952996 A JP 16952996A JP H1017361 A JPH1017361 A JP H1017361A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低誘電率で、かつ、測定周波数10GHzにお
いて高Q値を有するとともに、焼成条件を改善できる高
周波用誘電体磁器組成物および誘電体共振器を提供す
る。 【解決手段】金属元素としてMg,Al,Siからなる
複合酸化物であって、各金属元素の酸化物によるモル比
組成式をxMgO・yAl2 3 ・zSiO2 と表した
時、前記x,y,zが10≦x≦40、10≦y≦4
0、20≦z≦80、x+y+z=100を満足する組
成を主成分100重量部に対して、ZrまたはScをZ
rO2 換算またはSc2 3 換算で0.1〜15重量部
添加含有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波、ミリ
波等の高周波で用いられる高周波用誘電体組成物に係わ
り、例えば、マイクロ波、ミリ波集積回路等で用いられ
る回路素子用基板、誘電体共振器用支持台、誘電体共振
器、誘電体導波路、誘電体アンテナ等の材料として有用
な高周波用誘電体磁器組成物、並びに誘電体磁器を支持
部材を介して基板に固定した誘電体共振器に関するもの
である。
【0002】
【従来技術】マイクロ波、ミリ波集積回路をはじめとす
る高周波回路素子では、誘電体共振磁器を支持部材を介
して基板に固定する構造が採用される場合がある。例え
ば、誘電体共振器制御型マイクロ波発信器は、図1に示
すように、誘電体磁器1を支持部材2を介して磁器基板
3に取り付け、誘電体磁器1の外部に漏れ出る磁界Hを
利用して磁器基板3に設けたストリップライン4に結合
させ、これらを金属ケ−ス5に収容させた構造を有して
いる。
【0003】この種の高周波回路においては、誘電体磁
器1の電磁界が支持部材2を介して漏れるのを制御する
ことによって、無負荷Qの高い共振系が構成されること
になるため、支持部材2には比誘電率が低く誘電損失
(tanδ)が小さい(Q値が大きい)材料を使用する
必要がある。このため、従来、支持部材2の材料として
は比誘電率が約7、測定周波数10GHzでのQ値が約
15000のフォルステライトが採用され、また、磁器
基板の材料としては主として比誘電率が約10、測定周
波数10GHzでのQ値が20000以上のアルミナ磁
器が採用されていた(例えば、特開昭62−10390
4号公報等参照)。
【0004】一方、比誘電率が低い材料としては、従
来、コ−ディエライトが知られているが、焼成温度範囲
がきわめて狭いことから緻密な焼結体が得がたく、ガラ
ス材を添加することによって得られる、比誘電率が4〜
6、測定周波数10GHzでのQ値が1000程度のガ
ラスセラミックが知られている(例えば、特開昭61−
234128号公報等参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来用
いられていたアルミナ、及びフォルステライトでは測定
周波数10GHzでのQ値が20000以上、1500
0であるものの、比誘電率はそれぞれ約10及び約7程
度であり、近年における高周波数帯の誘電体共振器の普
及にともない、より低い比誘電率の材料が求められてい
た。
【0006】一方、低誘電率材料として用いられている
ガラスセラミック等の磁器は比誘電率が約4〜6と小さ
いが、Q値が10GHzで1000程度であり、近年に
おける高周波数帯の誘電体共振器の普及に伴い、より高
いQ値の低誘電率材料が求められていた。
【0007】また、共振器の磁器基板に主として使用さ
れているアルミナ磁器は比誘電率が約10と比較的高
く、高インピーダンスのストリップラインを形成しよう
とすると、ライン幅が小さくなりすぎて(通常1μm以
下)、断線が生じたり、相対的なライン幅のばらつきが
大きくなり、マイクロ波集積回路の不良率が増大すると
いう問題があった。
【0008】他方、この種の磁器基板におけるストリッ
プラインのインピ−ダンスは、基板の厚さが一定であれ
ば、その比誘電率及びストリップラインの幅にそれぞれ
反比例するため、ライン幅を小さくする代わりに、比誘
電率の低い基板材料を使用することによってもインピ−
ダンスを高めることができ、このため、より低誘電率材
料が求められていた。
【0009】本出願人は上記問題を解決する一手段とし
て、金属元素としてMg、Al、Siからなる複合酸化
物であって、各金属元素の酸化物によるモル比組成式を
xMgO・yAl2 3 ・zSiO2 と表した時、前記
x、y、zが10≦x≦40、10≦y≦40、20≦
z≦80、x+y+z=100を満足し、比誘電率が6
以下、かつ、測定周波数10GHzでのQ値が2000
以上である高周波用誘電体磁器組成物、および誘電体共
振器をすでに提案した(特願平7−195211号)。
【0010】この高周波誘電体磁器組成物はアルミナ、
フォルステライトよりも低い比誘電率を有し、ガラスセ
ラミックよりも高いQ値を有する優れたものであった。
【0011】しかしながら、従来、コ−ジェライトは焼
成温度範囲が極めて狭いことから、緻密な焼結体が得が
たく、上記発明者が先に出願した高周波用誘電体磁器組
成物も例外ではなかった。
【0012】本発明は、低誘電率で、かつ、測定周波数
10GHzにおいて高Q値を有するとともに、焼成条件
を改善できる高周波用誘電体磁器組成物および誘電体共
振器を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の高周波用誘電体
磁器組成物は、金属元素としてMg、Al、Siからな
る複合酸化物であって、各金属元素の酸化物によるモル
比組成式をxMgO・yAl2 3 ・zSiO2 と表し
た時、前記x,y,zが、10≦x≦40、10≦y≦
40、20≦z≦80、x+y+z=100を満足する
主成分100重量部に対して、ZrまたはScをZrO
2 換算またはSc2 3 換算で0.1〜15重量部添加
含有するものである。また、基板上に支持部材を介して
誘電体磁器を固定してなる誘電体共振器において、前記
基板および/または前記支持部材を、前述した誘電体磁
器組成物により構成したものである。
【0014】
【作用】本発明の誘電体磁器組成物では、上記した主成
分100重量部に対して、ZrまたはScをZrO2
算またはSc2 3 換算で0.1〜15重量部添加含有
することにより、焼成温度等の焼成条件を厳密に制御し
て得られた特性を大きく劣化させることなく、焼成条件
を改善できる。即ち、比誘電率が4〜6、測定周波数1
0GHzでのQ値が2000以上の低誘電率高Q値の誘
電体磁器を得ることができるとともに、例えば、焼成温
度幅が10℃程度であったものを50℃程度まで広げる
ことができ、製造を容易にし、量産性を向上することが
できる。
【0015】また、このような低誘電率、高Q値の誘電
体磁器を、例えば、誘電体共振器の支持部材および/ま
たは基板に用いることにより、高インピ−ダンスのマイ
クロ波用集積回路などの高周波用回路素子を信頼性を損
なうことなく製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の高周波用磁器組成物は、
モル比の組成式をxMgO・yAl2 3 ・zSiO2
と表した時に、x、y、zが、10≦x≦40、10≦
y≦40、20≦z≦80、x+y+z=100を満足
するものを主成分とする。
【0017】本発明の高周波用磁器組成物の主成分組成
を前記範囲に限定したのは、次の理由による。すなわ
ち、MgOのモル百分率を示すxを10〜40モル%と
したのは10モル%未満では良好な焼結体が得られずQ
値が低く、また40モル%を越えると比誘電率が高くな
るからである。特にMgO量を示すxは、Q値を500
0以上とするという点から15〜35モル%が望まし
い。
【0018】また、Al2 3 のモル百分率を示すyを
10〜40モル%としたのはAl23 量yが10モル
%よりも小さい場合には、良好な焼結体が得られず、ま
たQ値が低くなり、40モル%を越えると比誘電率が高
くなるからである。Al2 3 量を示すyは、Q値を5
000以上とするという点から17〜35モル%が望ま
しい。
【0019】SiO2 のモル百分率zを20≦z≦80
モル%としたのは、zが20モル%よりも小さい場合に
は比誘電率が大きくなり、80モル%を越えると良好な
焼結体が得られずQ値が低くなる。SiO2 量を示すz
はQ値を5000以上とするという点から30〜65モ
ル%が望ましい。
【0020】本発明によれば、上記主成分100重量部
に対してZrをZrO2 換算で0.1〜15重量部、ま
たはScをSc2 3 換算で0.1〜15重量部添加含
有するものであるが、これは、ZrまたはScの含有量
が上記酸化物換算で0.1重量部より少ない場合、緻密
化焼成温度は広くならず、15重量部より多い場合は誘
電損失が大きくなり、Q値が低くなるためである。Zr
またはScの含有量を増加させるほど緻密化焼成温度は
広くなるが、一方比誘電率が増加し、またQ値が低下し
ていくため、これらの特性と緻密化焼成温度との兼ね合
いで、ZrまたはScの含有量を決定することが望まし
い。
【0021】本発明の高周波用誘電体磁器組成物は、Z
rおよびScを含有する場合ともに、Q値を5000以
上とするためには15≦x≦35、17≦y≦35、3
0≦z≦65を満足することが望ましい。また、Zrを
含有する場合においては、Q値を7000以上とするた
めには20≦x≦30、17≦y≦30、40≦z≦6
0を満足することが望ましい。本発明では、特に、コ−
ジェライトの組成、即ちx=22.2、y=22.2、
z=55.6である主成分100重量部に対して、Zr
をZrO2 換算で0.1〜10重量部、またはScをS
2 3 換算で0.1〜10重量部含有することが望ま
しい。
【0022】本発明の高周波用誘電体磁器組成物は、測
定周波数10GHzでのQ値が2000以上を満足する
が、これは、Q値が2000以上ある場合には、近年に
おける高周波数帯の誘電体共振器にも十分対応すること
ができるからである。Q値は高ければ高い程望ましい
が、特には、測定周波数10GHzでのQ値が5000
以上であることが望ましい。
【0023】また、本発明の誘電体磁器組成物では、主
結晶相がコ−ディエライトであり、他に結晶相として、
ムライト、スピネル、プロトエンスタタイト、クリノエ
ンスタタイト、クリストバライト、フォルステライト、
トリジマイト、サファリン、およびZrを含有する場合
にはZrSiO4 、Scを含有する場合にはSc2 Si
2 7 等が析出する場合があるが、組成によってその析
出相が異なる。
【0024】また、本発明の誘電体共振器は、図1に示
すように、基板3上に支持部材2を介して誘電体磁器1
を固定してなり、支持部材2または基板3、或いは支持
部材2及び基板3が、上記誘電体磁器組成物からなるも
のである。この場合、誘電体磁器1としては、周知の材
料が用いられる。誘電体磁器1として、本発明の誘電体
磁器組成物を用いても良い。
【0025】本発明の誘電体磁器は、原料粉末として、
例えば、MgCO3 粉末,Al2 3 粉末,SiO2
末、ZrO2 またはSc2 3 粉末を用い、所定の割合
で秤量し、湿式混合した後乾燥し、この混合物を大気中
において1100〜1300℃で仮焼した後、粉砕し
た。得られた粉末に適量のバインダを加えて成形し、こ
の成形体を大気等の酸化性雰囲気、Ar、N2 等の非酸
化性雰囲気中において1270〜1445℃で5分〜1
0時間焼成することにより得られる。
【0026】尚、本発明の誘電体磁器組成物は、金属元
素として、Mg、Al、Si、ZrまたはScからなる
ものであるが、例えば粉砕ボールや原料粉末の不純物と
して、Ca、Ba、Ni、Fe、Cr、P、Na、Ti
等が混入する場合がある。
【0027】また、本発明の誘電体磁器組成物では、低
誘電率および高Q値が求められるものであれば、例え
ば、回路素子用基板,誘電体共振器の誘電体磁器,誘電
体導波路,誘電体アンテナ等、どのようなものでも適用
できるが、上記したように、誘電体共振器の支持部材ま
たは基板に最適である。
【0028】
【実施例】
実施例1 原料粉末として純度99%のMgCO3 、純度99.7
%のAl2 3 、純度99.4%のSiO2 粉末、純度
99.9%のZrO2 を準備し、先ず、MgCO3 、A
2 3 、SiO2 粉末を用い、主成分組成が表1に示
す組成となるように秤量し、この後、主成分100重量
部に対して、ZrO2 を表1に示す量だけ添加し、この
混合粉末をZrO2 ボールを用いたボールミルにより、
15時間湿式混合した後、乾燥し、この混合物を大気中
において1200℃2時間仮焼した後、粉砕した。得ら
れた粉末に適量のバインダを加えて造粒し、これを10
00kg/cm2 の圧力の下でプレス成形して直径12
mm厚さ8mmの成形体を得た。この成形体を大気中1
250〜1550℃で2時間焼成して、直径10mm厚
さ6mmの誘電体磁器試料を得た。
【0029】この試料を用いて誘電体円柱共振器法にて
周波数10GHzにおける比誘電率とQ値を測定し、そ
の結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】表1によれば、本発明に係る高周波用誘電
体磁器組成物は、比誘電率が5.8以下と低く、しかも
測定周波数10GHzでのQ値が2830以上と高い値
を示すことがわかる。
【0032】尚、図2に試料No.12のX線回折チャー
ト図を示す。この図2から、コ−ディエライトの他に、
スピネル、ZrSiO4 が析出していることが判る。
【0033】実施例2 原料粉末として純度99%のMgCO3 、純度99.7
%のAl2 3 、純度99.4%のSiO2 粉末、純度
99.9%のSc2 3 を準備し、先ず、MgCO3
Al2 3 、SiO2 粉末を用い、主成分組成が表2に
示す組成となるように秤量し、この後、主成分100重
量部に対して、Sc2 3 を表2に示す量だけ添加し、
この混合粉末をZrO2 ボールを用いたボールミルによ
り、15時間湿式混合した後、乾燥し、この混合物を大
気中において1200℃2時間仮焼した後、粉砕した。
得られた粉末に適量のバインダを加えて造粒し、これを
1000kg/cm2 の圧力の下でプレス成形して直径
12mm厚さ8mmの成形体を得た。この成形体を大気
中1200〜1550℃で2時間焼成して、直径10m
m厚さ6mmの誘電体磁器試料を得た。
【0034】この試料を用いて誘電体円柱共振器法にて
周波数10GHzにおける比誘電率とQ値を測定し、そ
の結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2によれば、本発明に係る高周波用誘電
体磁器組成物は、比誘電率が5.9以下と低く、しかも
測定周波数10GHzでのQ値が2620以上と高い値
を示すことがわかる。
【0037】尚、図3に試料No.39のX線回折チャー
ト図を示す。この図3から、コ−ディエライトの他に、
スピネル、Sc2 Si2 7 が析出していることが判
る。
【0038】
【発明の効果】本発明の高周波用誘電体磁器組成物で
は、6以下の低い比誘電率を有し、10GHzでのQ値
が2000以上の高いQ値を示す磁器が得られ、例え
ば、誘電体共振器の支持部材または基板に用いることに
より、特性を向上するとともに、高インピーダンスのマ
イクロ波用集積回路などの高周波用回路素子を信頼性を
損なうことなく製造することができる。また、低誘電率
および高Q値であるため、例えば、マイクロ波,ミリ波
集積回路等のマイクロ波,ミリ波帯域で用いられる回路
素子用基板,誘電体共振器用支持台,誘電体共振器,誘
電体導波路,誘電体アンテナ等の材料として最適であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】高周波用回路素子の一例を示す誘電体共振器制
御型マイクロ波発信器の概略断面図である。
【図2】実施例1の試料No.12の結晶構造を示すX
線回折図である。
【図3】実施例2の試料No.39の結晶構造を示すX
線回折図である。
【符号の説明】
1・・・誘電体磁器 2・・・支持部材 3・・・磁器基板

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属元素としてMg、Al、Siからなる
    複合酸化物であって、各金属元素の酸化物によるモル比
    組成式を xMgO・yAl2 3 ・zSiO2 と表した時、前記x、y、zが 10≦x≦40 10≦y≦40 20≦z≦80 x+y+z=100 を満足する主成分100重量部に対して、ZrまたはS
    cをZrO2 換算またはSc2 3 換算で0.1〜15
    重量部添加含有することを特徴とする高周波用誘電体磁
    器組成物。
  2. 【請求項2】基板上に支持部材を介して誘電体磁器を固
    定してなる誘電体共振器において、前記基板および/ま
    たは前記支持部材が、金属元素としてMg、Al、Si
    からなる複合酸化物であって、各金属元素の酸化物によ
    るモル比組成式を xMgO・yAl2 3 ・zSiO2 と表した時、前記x、y、zが 10≦x≦40 10≦y≦40 20≦z≦80 x+y+z=100 を満足する主成分100重量部に対して、ZrまたはS
    cをZrO2 換算またはSc2 3 換算で0.1〜15
    重量部添加含有してなることを特徴とする誘電体共振
    器。
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JP2000327410A (ja) * 1999-05-24 2000-11-28 Kyocera Corp 誘電体磁器組成物及び非放射性誘電体線路
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CN111517771A (zh) * 2020-04-03 2020-08-11 电子科技大学 一种微波介质陶瓷材料及其制备方法

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