JP2000320182A - 免震装置 - Google Patents

免震装置

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JP2000320182A
JP2000320182A JP11126508A JP12650899A JP2000320182A JP 2000320182 A JP2000320182 A JP 2000320182A JP 11126508 A JP11126508 A JP 11126508A JP 12650899 A JP12650899 A JP 12650899A JP 2000320182 A JP2000320182 A JP 2000320182A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、免震装置における信頼性の向上と
製造・設置コストの低減を課題とする。 【解決手段】 球1と球1をその上下から挟持する一対
の球転動面2,3より成る単位免震手段Sと、上記単位
免震手段Sの複数を同一平面上に配設して成る水平免震
層Hと、上記水平免震層Hに配設された複数の球1を保
持する円盤状の球保持体4を備え、しかも、上記球転動
面2,3が円錐状の凹部として形成されている免震装置
において、上記同一平面上に配設された複数の球転動面
2,3の周囲に対し、これらを取り囲むようにしてリン
グ状ストッパー8が形成され、このリング状ストッパー
8によって、上記円盤状の球保持体4の変位量を制限す
ることにより、上記球1の転動が球転動面2,3の範囲
内で行われるようにしたことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免震装置に係り、
さらに詳しくは、優れた信頼性を有すると共に、製造・
設置コストを低く抑えることのできる免震装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】周知の通り、地震による建物の倒壊や破
損、あるいは、建物内に配置された家具等の転倒を防止
し、地震による被害の発生を防止するために、地震によ
る地面の揺れや振動を吸収・減衰する免震装置が用いら
れている。
【0003】上記免震装置は、建物と建物の基礎との間
に配設され、地震による地面の揺れや振動が建物に対し
て直接的に伝わることを防止すると同時に、その揺れや
振動を吸収・減衰するものであり、以前から様々な方式
ものが提案されている。
【0004】そして、その中のひとつとして、本出願人
は先に、球と球を上下から挟持する一対の球転動面より
成る単位免震手段と、上記単位免震手段の複数を同一平
面上に配設して成る水平免震層を備え、この水平免震層
を積層すると共に、水平免震層を構成する球転動面を円
錐状の凹部として形成し、さらに、水平免震層に配設さ
れた複数の球を球保持体にて保持して成る免震装置を提
案した。
【0005】上記免震装置は、球が円錐状の凹部として
形成された球転動面上を転動することにより、地震によ
る水平方向の振動や揺れを吸収・減衰するものであり、
優れた免震性能を有するものであるが、この球が球転動
面から外れてしまうと、球が球転動面上を転動すること
によって行われる免震機能が損なわれてしまうので、こ
れを防止するための限界安全止め手段が設けられてい
る。
【0006】そして、上記限界安全止め手段は、上記積
層された水平免震層を間にして建物の下面に取り付けら
れる上基板と、建物の基礎の上面に取り付けられる下基
板との間を所定の長さを有する鎖で繋ぎ、この鎖によっ
て免震装置全体における水平方向の変位を制限すること
で、球が球転動面から外れてしまうという不具合を防止
しているものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術による
と、地震による地面の揺れや振動を吸収・減衰すること
ができるものであるが、上記従来の免震装置に設けられ
ている限界安全止め手段は、免震装置全体における水平
方向の変位を制限するように成されているため、上記免
震装置を構成する積層された水平免震層が各層毎に均一
に変位せず、各層毎の変位に偏りが生じ、しかも、この
偏りが大きい場合には、水平免震層における球が球転動
面から外れ、免震装置の免震機能が損なわれてしまうと
いう不具合が発生しており、そのため、免震装置におけ
る信頼性の向上が求められるようになった。
【0008】さらに、上記免震装置の普及を促進させる
ためには、免震装置における製造コスト及び設置コスト
の低減が不可欠であるが、上記限界安全止め手段は、免
震装置に隣接した位置に免震装置自体とは別に設けられ
るものであり、製造・設置コストの低減には限界があ
り、しかも、免震装置の製造・設置コストの低減に欠か
せない免震装置のコンパクト化には不向きであるので、
製造・設置コストの低減を実現できる免震装置が求めら
れている。
【0009】よって、本発明は、上記の要請に応え、信
頼性の向上と、製造・設置コストの低減を実現できる免
震装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決する為の手段】上記目的を達成する為に本
発明は次の技術的手段を有する。即ち、建物と建物の基
礎との間に配設され、地震による地面の揺れや振動を吸
収・減衰する免震装置であって、球1と球1をその上下
から挟持する一対の球転動面2,3より成る単位免震手
段Sと、上記単位免震手段Sの複数を同一平面上に配設
して成る水平免震層Hと、上記水平免震層Hに配設され
た複数の球1を保持する円盤状の球保持体4を備え、し
かも、上記球転動面2,3が円錐状の凹部として形成さ
れている免震装置において、上記同一平面上に配設され
た複数の球転動面2,3の周囲に対し、これらを取り囲
むようにしてリング状ストッパー8が形成され、このリ
ング状ストッパー8によって、上記円盤状の球保持体4
の水平方向Xへの変位量を制限することにより、上記球
1の転動が球転動面2,3の範囲内で行われるようにし
たことを特徴とする免震装置である。
【0011】本発明は、上記技術的手段より成り、免震
装置が水平方向Xに変位した際の水平免震層Hにおける
球1の球転動面2,3に対する転動量が、上記円盤状の
球保持体4の変位量を制限するリング状ストッパー8に
よって、球転動面2,3の範囲内に制限されるので、球
1が球転動面2,3から外れることはなく、よって、免
震装置の機能が損なわれる心配がなく、優れた信頼性を
得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づき詳細に説明する。図1,図2に示したよう
に、本発明の免震装置は、球1と球1を上下から挟持す
る一対の球転動面2,3より成る単位免震手段Sと、上
記単位免震手段Sの複数を同一平面上に配設して成る水
平免震層Hと、この水平免震層Hに配設された複数の球
1における互いの位置関係を一定に保つための円盤状の
球保持体4と、上記水平免震層Hを間にして建物の下面
31側及び建物の基礎の上面32側に位置し、免震装置
を建物と建物の基礎との間に取り付けるための上基板5
及び下基板6を備え、さらに、上記上基板5と建物の下
面31との間には、垂直免震手段Vが配設されている。
【0013】そして、本実施の形態では、4組の単位免
震手段Sが所定のピッチ円上に配設された水平免震層H
を上下2層に積層した場合を示しており、上記水平免震
層Hの積層は、積層板7を介して行われ、上記上基板5
の下面と下基板6の上面と積層板7の上下両面には、上
記水平免震層Hを構成する球1をその上下から挟持する
ための球転動面2,3が形成されている。
【0014】そして、上記上基板5及び下基板6並びに
積層板7に形成される球転動面2,3の各々は、円錐状
の凹部として形成されており、これによって、一対の球
転動面2,3に挟持された球1には球1を上記円錐状の
凹部の中心に位置させようとする力が常に働くこととな
り、地震による水平方向Xの揺れや振動が吸収・減衰さ
れる。
【0015】さらに、上記球転動面2,3が形成された
上基板5及び下基板6並びに積層板7には、球転動面
2,3の周囲を取り囲むと共に、球転動面2,3が形成
されている面から立ち上がるリング状ストッパー8が形
成されており、このリング状ストッパー8は、水平免震
層Hを構成する複数の球1を保持する円盤状の球保持体
4の変位を所定の領域内に制限するものであって、これ
により、球転動面2,3上を転動する球1が球転動面
2,3の範囲内でのみ転動を行うように制限している。
【0016】そして、上記上基板5及び下基板6に形成
されるリング状ストッパー8は、球転動面2,3が形成
された面に対して取り付けられるリング状部材より成
り、積層板7の上下面に形成されるリング状ストッパー
8は、円盤状に形成された積層板7の外周に沿って取り
付けられる幅広のリング状部材9により一体的に成され
ているものであり、これらのリング状ストッパー8は、
水平免震層Hにおける複数の単位免震手段Sのピッチ円
と同心であり、しかも、上記リング状ストッパー8の各
々の頂部には、ダストシール11が設けられており、こ
のリング状ストッパー8の頂部に設けられたダストシー
ル11は、免震装置が作動していない状態(図1)のと
き、互いに所定の隙間を有して向い合うように位置して
いる。
【0017】そして、上記リング状ストッパー8の各々
の頂部に設けられ、互いに向い合うダストシール11間
の隙間には、円盤状の球保持体4の周縁に取り付けら
れ、その周囲に向かって延出するフランジ状ダストカバ
ー10が位置し、このフランジ状ダストカバー10は、
免震装置における水平方向Xの最大変位量と同じかそれ
よりも大きな幅を有するリング状の板状部材より成り、
免震装置が水平方向Xに変位した際(図3)に開口する
部分(上方開口部分18及び下方開口部分19)を覆い
塞ぐものである。
【0018】さらに、上記フランジ状ダストカバー10
は、球保持体4の周縁に対する取り付け部分から斜め下
方に向かって延出しており、取り付け部分よりもその先
端部分が下方に位置するように形成され、しかも、その
先端部分は、下方に向かって折り曲げられており、免震
装置が水平方向Xに変位した際に生じ、ゴミや埃、砂利
等の異物が侵入し易く、また、侵入した異物が残留し易
い上方開口部分18を確実に覆うことができるように構
成されている。
【0019】また、上記ダストシール11は、ゴム等の
弾性材料より成り、リング状ストッパー8の頂部に形成
された溝部15に圧入されており、この溝部15は、図
3に示したように、開口部の幅が底部の幅よりも小さく
なるように傾斜する側壁16を有し、溝部15に圧入さ
れるダストシール11を確実に保持できるように構成さ
れている。
【0020】さらに、上記ダストシール11の先端部に
は、ダストシール11の柔軟性とシール性を両立させる
ための溝17が形成されており、ダストシール11がフ
ランジ状ダストカバー10に対して密着し易いように構
成されている。尚、この形状は一例であり、ダストシー
ル11の断面形状は、様々なものが考慮される。
【0021】そして、上記球1と、球転動面2,3が形
成される上基板5及び下基板6並びに積層板7の各々
は、建物の荷重を支えることができる強度を備えた材
料、例えば、鋳鉄や鋼鉄等の鉄系材料によって形成する
ことが考慮され、好ましくは、ステンレス材料によって
形成することが考慮され、これにより、錆による作動不
良を防止できるので、メンテナンスフリーの免震装置が
提供されると共に、免震装置の長寿命化とランニングコ
ストの低減が実現される。
【0022】さらに、上記球転動面2,3及びリング状
ストッパー8が形成されている上基板5及び下基板6
は、これらの間に位置する水平免震層Hに対して対称な
形状に成されており、これは、実質的に同一形状である
ので、上基板5と下基板6を共用することができ、免震
装置の製造・設置コストを低減することができる。
【0023】また、上記上基板5及び下基板6並びに積
層板7の強度を高めるために焼き入れ加工を施すことが
考慮され、この場合、図10に示したように、上基板5
及び下基板6並びに積層板7に形成された球転動面2,
3の範囲12のみに焼入れを施す部分焼入れ加工を行う
ことにより、上基板5及び下基板6並びに積層板7の製
造コストを低減することができる。
【0024】加えて、図11に示したように、上基板5
及び下基板6並びに積層板7に対して球転動面2,3が
形成された球受け皿13を圧入することも考慮され、こ
の場合には、球受け皿13に焼き入れ加工を施すことで
より強度の高い球転動面2,3が得られ、上基板5及び
下基板6並びに積層板7の他の部分については、加工が
容易で安価な材料を使用することができるので、この場
合にも、上基板5及び下基板6並びに積層板7の製造コ
ストを低減することができる。
【0025】さらに、上記球保持体4も、上記球1や上
基板5、下基板6、積層板7と同様に鉄系の材料で形成
することが考慮され、また、上記球保持体4は、水平免
震層Hを構成する複数の球1の位置を一定に保持するた
めのものであり、上記球1や上基板5、下基板6、積層
板7ほどに荷重に対する強度を必要としないので、プラ
スチック等の樹脂材料にて形成することも可能であり、
この場合、球保持体4が非常に軽量となるので、球1の
転動がスムーズに行われることとなり、より信頼性の高
い免震装置が得られる。
【0026】さらに、上記円盤状の球保持体4の周縁
は、上記水平免震層Hを構成する複数の単位免震手段S
のピッチ円と同心であり、同じく上記水平免震層Hを構
成する複数の単位免震手段Sのピッチ円と同心であるリ
ング状ストッパー8によって、免震装置における水平方
向Xの変位量が水平面上の何れの方向に対しても均一に
行われることとなる。
【0027】そして、上記上基板5の上部に配設される
垂直免震手段Vは、建物の下面31に取り付けられる上
部取付板21と、上記上基板5の上面に取り付けられる
下部取付板22を備え、この上部取付板21と下部取付
板22の間に地震による垂直方向Yの揺れや振動を吸収
・減衰するための弾性部材25、例えば、皿バネや板バ
ネ、コイルスプリング等を配設して成るものであり、本
実施の形態では、皿バネを使用した場合を示している。
【0028】そして、上記弾性部材25(皿バネ)は、
垂直方向Yに沿って互いに摺動可能に嵌合される外筒2
3と内筒24とで囲まれる空間30内に収容されてお
り、上記外筒23は上部取付板21の下面に、上記内筒
24は下部取付板22の上面に各々取り付けられてお
り、上記外筒23と内筒24とで囲まれる空間30内に
収容される弾性部材25(皿バネ)は、上部取付板21
に取り付けられている保持部材26によってその位置が
保持されている。
【0029】さらに、上記外筒23と内筒24とで囲ま
れる空間30は、上記外筒23と内筒24との間の隙間
を介してのみ外部と連なり、空間30内の気密がある程
度保たれているので、垂直免震手段Vが垂直方向Yに変
位し、空間30に容積変化が生じた際の空気の出入りが
制限され、その結果、上記空間30内にある空気がダン
パーとして機能することとなるので、垂直免震手段Vが
ダンパーとしての機能を有することとなり、地震による
垂直方向Yの揺れや振動を効果的に吸収・減衰できる。
【0030】そして、図12は、上述した垂直免震手段
Vが有するダンパーとしての機能を強化した場合を示
し、上記内筒24の外周面に溝部29を形成すると共
に、この溝部29にOリング等のシール部材28を配設
し、上記外筒23と内筒24との間の隙間をシールする
ことにより、垂直方向Yに摺動可能に嵌合される外筒2
3と内筒24とで囲まれる空間30の気密性を高めたも
のであって、しかも、上記空間30と外部とを調整バル
ブ42を備えた接続管41を介して接続し、この接続管
41を介して出入りする空気の量を調整バルブ42で調
整することで、ダンパーのきき具合(ダンピング率)を
調整可能としている。
【0031】そして、上記接続管41の外部側の端部に
は、エアフィルター43が設けられており、接続管41
を介して空間30内へ流入する空気からゴミや埃、砂利
等の異物を除去することによって、垂直免震手段Vにお
ける作動不良の発生が防止されている。
【0032】さらに、図13に示したように、垂直免震
手段Vにおける外筒23と内筒24との間の隙間がシー
ル部材28によってシールされ、その気密性が高められ
た空間30内に油等の液状流体を満たすことにより、垂
直免震手段Vの有するダンパーとしての機能をより充実
させることも考慮され、この場合には、上記空間30と
リザーバタンク44とを接続管41で接続し、空間30
に出入りする油等の液状流体が上記リザーバタンク44
に収容されるように構成されるものであり、この場合に
おいても、上記接続管41に調整バルブ42を設けてお
くことでダンパーのきき具合(ダンピング率)を調整可
能とすることができる。
【0033】また、上記上基板5及び下基板6には、こ
れらを建物の下面や建物の基礎の上面に取り付けるため
の取付穴14が設けられており、さらに、上記垂直免震
手段Vの上部取付板21及び下部取付板22にも同様に
取付穴(図示せず)が設けられ、ボルト等によって、そ
の取り付けを行うことができる。
【0034】次に、上記構成に基づいて、本発明の免震
装置の作動を説明する。先ず、通常時、免震装置におけ
る水平免震層Hの周囲は、リング状ストッパー8及びそ
の頂部に設けられたダストシール11並びに球保持体4
の周縁から延出するフランジ状ダストカバー10によっ
て、外部と隔離された状態(図1)にあり、免震装置内
へのゴミや埃、砂利等の異物の侵入が防止されている。
【0035】さらに、上記垂直免震手段Vの弾性部材2
5(皿バネ)も、外筒23及び内筒24に囲まれた空間
30内に収容されているので、ゴミや埃、砂利等の異物
から守られている。
【0036】次に、地震による水平方向Xの揺れや振動
は、上記水平免震層Hを構成する単位免震手段Sによっ
て、その吸収・減衰が行われるものであり、円錐状の凹
部として形成された球転動面2,3上を球1が転動する
際に球1に働く力、即ち、球1を上記円錐状の凹部の中
心に位置させようとする力により、地震による水平方向
Xの揺れや振動が吸収・減衰される。
【0037】そして、図3に示したように、免震装置が
水平方向Xに変位(図では上基板5が下基板6に対して
右方向に変位した場合を示している)した際の各水平免
震層Hにおける球転動面2,3上を転動する球1の転動
量が、上記球保持体4の変位量を制限するリング状スト
ッパー8によって、球転動面2,3の範囲内に制限され
るので、仮に、上下2層の水平免震層Hの各々が均一に
変位せず、何れか一方に変位が偏ったとしても、一方の
水平免震層Hの変位量が上記リング状ストッパー8で制
限された時点で他方の水平免震層Hに変位が生じること
となり、球1が球転動面2,3から外れることはなく、
免震装置の機能が損なわれる心配がないので、優れた信
頼性を有することとなる。
【0038】さらに、免震装置が水平方向Xに変位した
際に開口する上方開口部分18及び下方開口部分19
は、上記フランジ状ダストカバー10によって覆われる
こととなるので、ゴミや埃、砂利等の異物の侵入が防止
され、免震装置の機能が損なわれる心配がなく、しか
も、上記フランジ状ダストカバー10は、従来から用い
られている蛇腹式のカバーのように変形を必要としない
ので、高い耐久性と信頼性が得られる。
【0039】次いで、地震による垂直方向Yの揺れや振
動は、上記垂直免震手段Vの弾性部材25(皿バネ)の
弾性によって、吸収・減衰されるものであり、しかも、
上記弾性部材25(皿バネ)は、垂直方向Yに沿って摺
動可能に嵌合する外筒23と内筒24に囲まれた空間3
0内に収容されていると共に、保持部材26によって保
持されているので、垂直方向Yのみに変位可能であり、
その結果、垂直方向Yの揺れや振動を確実かつ効率良く
吸収・減衰することができる。
【0040】さらに、上記垂直免震手段V自体がダンパ
ーとしての機能を有しているので、地震による垂直方向
Yの揺れや振動をより効果的に吸収・減衰でき、加え
て、垂直免震手段Vにおける外筒23と内筒24とで囲
まれる空間30の気密性を高めると共に、上記空間30
に出入りする空気の量を調整したり、あるいは、気密性
が高められた空間30内に油等の液状流体を満たすと共
に、上記空間30に出入りする油等の液状流体の量を調
整することによって、ダンピング率を容易に調整するこ
とが可能であるので、垂直方向Yの揺れや振動をより一
層効果的に吸収・減衰できる。
【0041】また、図5に示したように、本発明の免震
装置の設置は、垂直免震手段Vを分離した状態で行うこ
とができ、しかも、上記免震装置は、免震装置を構成す
る下部の部品から順に積み上げていくことで、その組み
立てや設置を行うことが可能であり、その結果、免震装
置の組み立てや設置をより容易に行うことができると共
に、設置作業を効率良く行うことができるので、免震装
置を設置する際の工期の短縮と、設置コストの低減を実
現できる。
【0042】さらに、図6は、免震装置における垂直免
震手段Vによって支える荷重に応じて弾性部材25を成
す皿バネの厚さを薄くして弾性係数を小さくした場合を
示しており、この場合、弾性部材25を成す皿バネを薄
くした分をスペーサ27によって補うことで垂直免震手
段Vの高さ(免震装置自体の高さ)を変えることなく荷
重の変化に対応させることができるので、免震装置の製
造・設置コストをより低減することができる。
【0043】次に、図7,図8,図9に基づき本発明の
免震装置における第2の実施の形態を説明する。本実施
の形態では、免震装置における水平免震層Hを単層とし
た場合を示しており、上述した第1の実施の形態と同様
な部分に関してはその説明を省略している。
【0044】本実施の形態において、免震装置における
水平免震層Hを単層としたことで問題となるのが、免震
装置の水平方向Xへの変位量の確保であるが、本発明の
免震装置は、従来のような大掛かりな限界安全止め手段
を必要とせず、その設置スペースを有効に利用できるの
で、球転動面2,3を大きく設定することができ、しか
も、図8に示したように、下基板6に形成される球転動
面3の各々を、互いが隣接するまで密に配設することに
よって、必要十分な変位量を確保すると同時に省スペー
ス化を実現し、上記の問題を解決している。尚、下基板
6と上基板5は対称な形状を備えた共用可能な部品とし
て形成されるので、図示はしていないが上基板5に形成
される球転動面2についても同様である。
【0045】そして、上記免震装置における水平免震層
Hを単層とすることにより、免震装置自体の高さを低く
することが可能となり、様々な建物、特に、既存の建物
等、免震装置の設置スペースの確保が困難な建物にも適
用することができ、加えて、部品点数が少なく、その構
造も簡素となるので、その設置は非常に容易かつ簡単に
行うことができ、免震装置の設置コストを低減すること
ができる。
【0046】しかも、免震装置における水平免震層Hを
単層とすることにより、水平免震層Hを積層した場合に
懸念される免震装置作動時の座屈の心配がなく、より信
頼性の高い免震装置が得られるものである。
【0047】さらに、球保持体4の周囲に設けられるフ
ランジ状ダストカバー10を、球保持体4の周縁から水
平に延出する単純なものとすることによって、より低コ
ストで免震装置を提供することができ、この場合、図9
に示したように免震装置が水平方向Xに変位(図では上
基板5が下基板6に対して右方向に変位した場合を示し
ている)した際、フランジ状ダストカバー10とリング
状ストッパー8に設けられたダストシール11との間に
隙間が生じるものであるが、球転動面2,3を成す円錐
状の凹部の傾斜角は、非常に小さな角度(1.5度程
度)であるので、上記隙間は非常に小さく、よって、免
震装置の機能に影響するような異物(ゴミや埃、砂利
等)が免震装置内に侵入する心配はない。
【0048】また、本実施の形態では、垂直免震手段V
を図示していないが、上述した第1の実施の形態と同
様、免震装置を構成する上基板5の上方に垂直免震手段
Vを配設することも考慮され、この場合においても、従
来あるいは第1の実施の形態で示した免震装置に比して
高さが低く、様々な建物、特に、既存の建物に対する設
置を容易に行うことができる。
【0049】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明によると次の
様な効果を奏する。即ち、請求項1によると、免震装置
が水平方向に変位した際の水平免震層における球の球転
動面に対する転動量が、円盤状の球保持体の変位量を制
限するリング状ストッパーによって、球転動面の範囲内
に制限されるので、球が球転動面から外れることはな
く、よって、免震装置の機能が損なわれる心配がなく、
優れた信頼性を有する免震装置が提供され、しかも、従
来のように免震装置自体とは別に限界安全止め手段を設
ける必要がないので、免震装置のコンパクト化、製造・
設置コストの低減を実現できる免震装置が提供される。
【0050】そして、請求項2によると、免震装置にお
ける水平免震層を構成する複数の球転動面とリング状ス
トッパーが、免震装置を建物と建物の基礎との間に取り
付けるための上基板及び下基板に形成されているので、
簡素な構成の免震装置が形成され、免震装置における製
造・設置コストの低減を実現できると共に、上記水平免
震層が積層されていることにより、高い免震性能を備え
た免震装置が提供される。
【0051】さらに、請求項3によると、免震装置にお
ける水平免震層を構成する複数の球転動面とリング状ス
トッパーが、免震装置を建物と建物の基礎との間に取り
付けるための上基板及び下基板に形成され、しかも、水
平免震層が単層であるので、非常に簡素な構成の免震装
置が形成され、免震装置における製造・設置コストの低
減を実現できると共に、免震装置自体の高さが低く、非
常にコンパクトな免震装置が提供され、様々な建物、特
に、既存の建物等、免震装置の設置スペースの確保が困
難な建物にも適用することができ、加えて、水平免震層
を積層した場合に懸念される免震装置作動時の座屈の心
配がなく、より信頼性の高い免震装置が得られる。
【0052】そして、請求項4によると、リング状スト
ッパー及びその頂部に設けられたダストシール並びに球
支持体の周縁から延出するフランジ状ダストカバーによ
り、免震装置の非作動時において水平免震層の周囲が外
部と隔離され、免震装置内へのゴミや埃、砂利等の異物
の侵入が防止され、さらに、免震装置の作動時において
は、免震装置が水平方向に変位した際に生じる上方開口
部分及び下方開口部分がフランジ状ダストカバーによっ
て覆われることとなり、この場合にも、ゴミや埃、砂利
等の異物の侵入が防止されるので、免震装置の機能が損
なわれる心配がなく、より信頼性の高い免震装置が提供
され、しかも、上記フランジ状ダストカバーは、非常に
簡素な形状であるので、免震装置の製造・設置コストの
低減を実現できる。
【0053】そして、請求項5によると、球転動面及び
リング状ストッパーが形成される上基板と下基板が、実
質的に同一形状といえる対称な形状に成されているの
で、上基板と下基板を共用することができ、免震装置に
おける部品点数が低減され、免震装置の製造・設置コス
トを低減することができる。
【0054】そして、請求項6によると、免震装置にお
ける水平免震層の上方に位置する上基板と建物の下面と
の間に独立した垂直免震手段が配設されているので、免
震装置の設置を、垂直免震手段を分離した状態で行うこ
とができ、その結果、免震装置の組み立てや設置をより
容易に行うことができると共に、設置作業を効率良く行
うことができるので、免震装置の製造・設置コストを低
減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の免震装置の構成を示す縦断面図であ
る。
【図2】図1におけるA−A’線に沿う断面図である。
【図3】リング状ストッパー及びダストシールの形状を
示す断面図である。
【図4】本発明の免震装置の作動状態を示す縦断面図で
ある。
【図5】本発明の免震装置の設置手順を示す縦断面図で
ある。
【図6】本発明の免震装置に対して取り付けられる垂直
免震手段の他の例を示す図である。
【図7】本発明の免震装置における第2の実施の形態を
示す縦断面図である。
【図8】図7におけるB−B’線に沿う断面図である。
【図9】第2の実施の形態で示した免震装置の作動状態
を示す縦断面図である。
【図10】球転動面の部分拡大図である。
【図11】球転動面の他の例を示す部分拡大図である。
【図12】垂直免震手段の応用例を示す図である。
【図13】垂直免震手段の他の応用例を示す図である。
【符号の説明】
1 球 2,3 一対の球転動面 4 球保持体 5 上基板 6 下基板 7 積層板 8 リング状ストッパー 9 リング状部材 10 フランジ状ダストカバー 11 ダストシール 18 上方開口部分 19 下方開口部分 21 上部取付板 22 下部取付板 23 外筒 24 内筒 25 弾性部材 26 保持部材 27 スペーサ 31 建物の下面 32 基礎の上面 S 単位免震手段 H 水平免震層 V 垂直免震手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16F 15/04 F16F 15/04 E 15/06 15/06 G

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建物と建物の基礎との間に配設され、地
    震による地面の揺れや振動を吸収・減衰する免震装置で
    あって、球1と球1をその上下から挟持する一対の球転
    動面2,3より成る単位免震手段Sと、上記単位免震手
    段Sの複数を同一平面上に配設して成る水平免震層H
    と、上記水平免震層Hに配設された複数の球1を保持す
    る円盤状の球保持体4を備え、しかも、上記球転動面
    2,3が円錐状の凹部として形成されている免震装置に
    おいて、 上記同一平面上に配設された複数の球転動面2,3の周
    囲に対し、これらを取り囲むようにしてリング状ストッ
    パー8が形成され、このリング状ストッパー8によっ
    て、上記円盤状の球保持体4の水平方向Xへの変位量を
    制限することにより、上記球1の転動が球転動面2,3
    の範囲内で行われるようにしたことを特徴とする免震装
    置。
  2. 【請求項2】 上記水平免震層Hを構成する複数の球転
    動面2,3と、上記複数の球転動面2,3の周囲を囲む
    ようにして形成されるリング状ストッパー8が、水平免
    震層Hを間にして建物の下面31側及び建物の基礎の上
    面側32に位置し、免震装置を建物と建物の基礎との間
    に取り付けるための上基板5及び下基板6に形成され、
    さらに、上記上基板5及び下基板6の間には、その上下
    面に水平免震層Hを構成する球転動面2,3が形成され
    ていると共に、その周囲にリング状ストッパー8が形成
    された積層板7を介して積層された水平免震層Hが位置
    していることを特徴とする請求項1記載の免震装置。
  3. 【請求項3】 上記水平免震層Hを構成する複数の球転
    動面2,3と、上記複数の球転動面2,3の周囲を囲む
    ようにして形成されるリング状ストッパー8が、水平免
    震層Hを間にして建物の下面31側及び建物の基礎の上
    面側32に位置し、免震装置を建物と建物の基礎との間
    に取り付けるための上基板5及び下基板6に形成され、
    さらに、上記上基板5及び下基板6の間には、単層の水
    平免震層Hが位置していることを特徴とする請求項1記
    載の免震装置。
  4. 【請求項4】 上記リング状ストッパー8の各々の頂部
    には、ダストシール11が設けられており、このリング
    状ストッパー8の頂部に設けられたダストシール11
    は、免震装置が作動していない状態のとき、互いに所定
    の隙間を有して向い合うように位置しており、さらに、
    上記互いに向い合うダストシール11間の隙間には、上
    記円盤状の球保持体4の周縁から延出するフランジ状ダ
    ストカバー10が位置しており、上記フランジ状ダスト
    カバー10は、免震装置における水平方向Xの最大変位
    量と同じかそれよりも大きな幅を有するリング状の板状
    部材によって構成され、免震装置が水平方向Xに変位し
    た際に生じる上方開口部分18及び下方開口部分19を
    覆い塞ぐことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の
    免震装置。
  5. 【請求項5】 上記球転動面2,3が形成される上基板
    5と下基板6は、それらの間に位置する水平免震層Hに
    対して対称な形状に成されていることを特徴とする請求
    項2又は請求項3記載の免震装置。
  6. 【請求項6】 上記免震装置は、水平免震層Hの上方に
    位置する上基板5と建物の下面31との間に配設される
    独立した垂直免震手段Vを備えて成ることを特徴とする
    請求項2又は請求項3記載の免震装置。
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