JP2000318988A - クローラ式作業車 - Google Patents

クローラ式作業車

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JP2000318988A
JP2000318988A JP11129493A JP12949399A JP2000318988A JP 2000318988 A JP2000318988 A JP 2000318988A JP 11129493 A JP11129493 A JP 11129493A JP 12949399 A JP12949399 A JP 12949399A JP 2000318988 A JP2000318988 A JP 2000318988A
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gravity
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JP11129493A
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Norihisa Takahashi
典久 高橋
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Aichi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 段差を降りるときに転倒することのない安全
なクローラ式作業車を提供する。 【解決手段】 クローラ装置12を備えて走行自在に構
成された走行体11と、走行体上に旋回動、起伏動、伸
縮動が自在に取り付けられたブーム14と、ブームの先
端部に取り付けられた作業装置15とを有するクローラ
式作業車1であって、段差のある路面を段差を降りる方
向に走行移動させたときに、段差を降りる直前状態での
段差下段面からクローラ式作業車の重心G1までの高さ
をh1、段差の下段面に接地直後に於ける重心G2の高さ
をh2、接地直後のクローラ式作業車の重心G2を段差の
下段面に接地した側のクローラ軸を中心軸として転倒支
線Lまで回転移動させたときの重心G3の高さをh3、と
したときに、(h3−h2)>(h1−h2)なる関係を有
するように車両重心位置を設定してクローラ式作業車を
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クローラ装置を備
えて走行自在な走行体上に、旋回動、起伏動、伸縮動が
自在に取り付けられたブームを有し、このブームの先端
部に作業台やクレーン装置等の作業装置が取り付けられ
てなるクローラ式作業車に関し、更に詳しくは該作業車
の転倒防止を目的とした重心配置に関する。
【0002】
【従来の技術】クローラ式作業車は、クローラ装置を備
えて不整地盤や軟弱地盤等を走行自在に構成された走行
体に、旋回動、起伏動、伸縮動が自在なブームが配設さ
れ、ブーム先端部に作業者搭乗用の作業台やクレーン装
置などの作業装置が取り付けられて構成されている。そ
して、車両を所望の場所に走行移動させた後、ブームを
旋回動、起伏動、伸縮動等させて前記作業装置を目的の
高所位置に移動させ、所望の作業を行うことが可能とな
っている。また、所定のブーム作動範囲内ではブームを
伸長等させた状態で走行体を駆動して走行させることも
可能であり、これ等両作動を組み合わせて作業を行うこ
とにより、作業装置の移動を迅速且つ効率的に移動させ
ることができるよう構成されている。
【0003】上記の様なクローラ式作業車では、ブーム
を伸長等させた状態でクローラ装置を駆動して走行する
ときに、作業台上に搭乗する作業者が高所で不安定な体
勢とならないように、あるいは、走行する車体が転倒す
る等の危険状態とならないように、安全装置を備えたも
のがある。例えば、車体に傾斜角度センサ等を設け、車
体が所定の傾斜角を超えて傾いたときに転倒モーメント
増加方向へのブームの作動規制を行い、あるいはクロー
ラ装置による走行を規制するなどの安全装置が提案され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
様な安全装置を有するクローラ式作業車は、車体の姿勢
を検出してブーム規制や走行規制を行っているため、連
続的に地盤の傾斜角が変化するときや段差に乗り上げる
ときなどの様に車体の姿勢が徐々に変化する場合には、
その作動を規制して転倒防止機能を発揮させることがで
きるが、水平路面から段差を下降するときや、段差の頂
部を乗り越えたときなどの様に車体姿勢が急変するとき
には転倒防止機能を発揮させることができないという問
題がある。
【0005】また、欧州では、高所作業車についての車
両安全規格に於いて段差昇降試験が規定されているが、
高所作業車についての国内の高所作業車構造規格にはこ
の様な規定が無く、安定度の計算のみで車両の重心バラ
ンスの設定が行われていた。このため段差のある路面を
走行して下降するときや、段差の頂部を乗り越えるとき
の車両の重心バランスについては、転倒に対して明確か
つ充分な考え方が提案されていなかった。
【0006】本発明は、上記のような課題に鑑みて成さ
れたものであり、段差のある路面を走行して下降する場
合にも、車両の安定性を確保して転倒を防止することの
できる重心位置をもつクローラ式作業車を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明ではクローラ装置を備えて走行自在に構成さ
れた走行体と、走行体上に旋回動、起伏動、伸縮動が自
在に取り付けられたブームと、ブームの先端部に取り付
けられた作業装置(例えば実施形態に於ける作業台1
5)とを有し、任意の位置に移動して作業を行うクロー
ラ式作業車であって、段差のある路面を段差を降りる方
向に走行移動させた場合に於いて、段差を降りる直前状
態での段差下段面からクローラ式作業車の重心(例えば
実施形態に於ける重心G1)までの高さをh1、段差の下
段面に接地直後に於ける段差下段面からクローラ式作業
車の重心(例えば実施形態に於ける重心G2)までの高
さをh2、接地直後のクローラ式作業車の重心を段差の
下段面に接地した側のクローラ軸を中心軸として転倒支
線上まで回転移動させたときの段差の下段面から重心
(例えば実施形態に於ける重心G3)まで高さをh3、と
したときに、(h3−h2)>(h1−h2)なる関係を有
するように車両重心位置を設定してクローラ式作業車を
構成する。
【0008】クローラ式作業車が下り段差のある路面を
走行するときには、車両重心の水平方向位置が段差角部
に至るまでは段差上段部を走行し、車両重心の水平方向
位置が段差角部の直上を越えたときに車体全体が傾いて
段差下段に向け落下する。このとき、車両重心は段差角
部を回転中心として回転移動することとなるが、この落
下前後での重心高さの変化量h1−h2よりも、落下後さ
らに転倒させるために重心を転倒支線上まで移動させる
ときの高さ方向移動量h3−h2の方が大となるようにク
ローラ式作業車の重心位置を設定する。
【0009】上記構成は、車体の落下による位置エネル
ギーの変化量よりも落下後さらに転倒させるために必要
な位置エネルギーの方が大となることを意味し、この様
に車両の重量バランスを構成することにより車体の転倒
を未然に防止して安全なクローラ式作業車を提供するこ
とができる。
【0010】なお、走行体上の作業装置については、所
定の走行姿勢のときに前記関係式を満たすよう構成する
ことが望ましい。
【0011】所定の走行姿勢は、例えば、クローラ式作
業車について走行可能なブーム姿勢として予め定められ
た作業範囲規制領域内で、作業装置に最大負荷が作用し
ているときとして規定することができる。そして、この
様な条件で重心位置を設定することにより、ブームの位
置や作業装置への負荷状態によらず車体の転倒を未然に
防止する安全なクローラ式作業車を提供することができ
る。
【0012】また、前記段差の大きさは、高所作業車に
ついて車両規格等で定められた所定の大きさとし、規格
で定められた所定の段差を通過するときに前記関係式を
満たすように車両重心位置を設定することが好ましい。
この様な車両規格としては、例えば前述した欧州での高
所作業車についての車両規格に規定された試験方法を採
用して定めることができ、この方法で車両の重心位置を
設定することにより、現実的な範囲内で合理的に車体の
転倒を未然に防止する安全なクローラ式作業車を構成す
ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について図面を参照しながら説明する。まず、図5に
は、本発明により重心位置の設定が成されたクローラ式
高所作業車(以降単に「作業車」と表記する。)1を示
しており、まずこの作業車の構成から説明する。作業車
1は、左右一対のクローラ装置12を有して走行自在に
構成された走行体11の上部に、旋回モータ16の作動
により走行体11に対して水平面内で旋回動自在に構成
された旋回体13が配設されている。
【0014】旋回体13の上部には、ブーム14が起伏
シリンダ19の伸縮作動により旋回体13に対して垂直
面内で起伏動自在に枢支されている。ブーム14は旋回
体13に枢支された基端ブーム14aと、中間ブーム1
4b、先端ブーム14cとからなり、基端ブーム14a
内に順次テレスコープ状に緩挿支持されるとともに、ブ
ーム14内部に配設された伸縮シリンダ17の伸縮作動
により、基端ブーム14aに対して伸縮動自在に構成さ
れている。
【0015】ブーム14の先端部には、図示しないレベ
リング機構によりブーム14の起伏角度の如何に拘わら
ず常時垂直に維持される垂直ポスト(不図示)が配設され
ており、この垂直ポストを介して作業台15が該ポスト
廻りに水平面内で首振り自在に取り付けられている。こ
のため、作業台15の床面は上記レベリング機構によっ
てブーム14の起伏角や作業台の首振り角などブーム姿
勢の如何に拘わらず常時水平に保持されるよう構成され
ている。
【0016】左右一対のクローラ装置12,12の各々
は、走行体11に固定配設される油圧モータ(不図示)に
よって回転駆動される起動輪12aと、駆動力を有せず
自由に回転できる遊動輪12bと、これ等両輪の間に掛
け渡されて地盤に接地し、回転駆動力を地盤に伝達する
クローラベルト12cとを有して構成されている。
【0017】そして、作業車を前方に直進させるときに
は、左右の油圧モータを同一回転数で正転させ、進行方
向を左右に変化させるときには、左右の油圧モータの回
転数を異なる回転数とし、また後退させるときには両方
の油圧モータを逆転作動させるなど、油圧モータの回転
方向と回転数とを制御することにより、所望の方向に向
けて作業車を移動させることができる。
【0018】以上のように構成された作業車1では、作
業台15に搭乗する作業者が作業台上に配設された操作
装置20を操作することにより、クローラ装置12を作
動させて作業車1を所望の場所に移動走行させ、あるい
は旋回モータ16や起伏シリンダ19、伸縮シリンダ1
7等のブーム作動手段を作動させて作業台15を所望の
位置に移動させる。そして、これ等の作動を組み合わせ
て行わせることによって、作業台15を迅速且つ効率的
に所望の高所に移動させて目的の作業を行うことができ
る。
【0019】ところで、上記のようなブームを有する高
所作業車では、ブーム14を旋回動や起伏動、伸長動等
させて作業台15を高所に移動させたときに、車体を転
倒させようとする方向に、いわゆる転倒モーメントが作
用する。そしてこの転倒モーメントは、作業台15の位
置と作業台に作用する荷重に応じて変化する。そこで、
ブームの作動によって車体が転倒することを防止するた
め、車体に作用する転倒方向モーメントを検出し危険な
ブーム作動や走行作動に対して警報作動を行う安全装置
(転倒防止装置)が備えられている。
【0020】この安全装置は、起伏角度検出器31、伸
長量検出器32、旋回角度検出器33などから成り走行
体11に対する作業台15の位置を検出するブーム位置
検出器と、起伏シリンダ19にかかる軸方向荷重を検出
する軸力検出器と、作業台15の位置データとブーム1
4に作用する荷重データとから車体に作用する転倒モー
メントを算出し、作業台15の位置に対応して予め設定
され記憶されている許容モーメント以下にあるか否かを
演算処理する。そして、ブームの作動により、または作
業台への負荷重量(荷重)の増加により実測される転倒モ
ーメントが許容モーメントを超えたと判断されるとき
に、例えばブザーや表示灯などにより警報を発し、また
転倒モーメント増加方向へのブームの作動を規制する警
報作動を行うよう構成されている。
【0021】また、ブーム14に作用する転倒モーメン
トが、上記許容モーメント以下であっても、走行路面の
傾斜角が変化し、あるいは段差に乗り上げたときなどの
場合には、実測検出される転倒モーメントは殆ど変化し
ないが、現実には車体の重心が移動しいるため、転倒の
おそれが生じる場合がある。そこで、本実施形態に示し
たクローラ式高所作業車のような自走式の作業車では、
走行可能な作業台の位置を規制する作業範囲規制を行う
とともに、車体の傾斜角を検出する傾斜角度検出器を有
し、検出される傾斜角が所定の値(例えば3度)を超えた
ときに、車両の走行を規制する警報作動を行い、あるい
は、ブームの作動を規制する警報作動を行うよう安全装
置が構成されている。
【0022】しかし、上記のような安全装置(転倒防止
装置)のみでは、走行体11を停止させた状態での高所
作業や、平坦地盤もしくは傾斜角が徐々に変化する地盤
上をクローラ装置で走行移動するときには転倒防止機能
を発揮させることができるが、水平路面から段差を降り
るときや段差の頂部を乗り越えたときなどの様に、車体
姿勢が急変するときには転倒防止機能を充分に発揮させ
ることができず、これ等安全装置に依拠した重量バラン
ス設定では転倒を生じるおそれがあった。
【0023】そこで、本発明に係るクローラ式作業車1
では、下降段差のある路面を走行移動させた場合に於い
て、段差を降りる直前状態での段差下段面から作業車の
重心までの高さをh1、段差下段面に接地直後に於ける
段差下段面から作業車の重心までの高さをh2、接地直
後の作業車の重心を、段差の下段面に接地した側のクロ
ーラ軸を中心軸として転倒支線上まで回転移動させたと
きの段差の下段面からの重心高さをh3、としたとき
に、(h3−h2)>(h1−h2)なる関係を有するよう
に車両重心位置を設定してクローラ式作業車を構成す
る。
【0024】具体的には、図4に示すクローラ式高所作
業車を構成する各構成要素、例えば旋回体13に配設さ
れるカウンターウェイト21、エンジン22、油圧ポン
プ及び作動油タンク23、燃料タンク24、油圧制御装
置その他の補機類(不図示)、走行体本体11、走行体ウ
ェイト25などの各構成要素の重量や配設位置を、走行
方向やブーム姿勢、作業台への荷重(例えばウィンチ等
が使用可能な作業車では、その吊り上げ荷重等も含めた
荷重)等を考慮して、作業車が走行可能な範囲内で転倒
し対して最もバランスが厳しくなる条件を設定し、この
条件下で上記関係式を満足するよう設定する。
【0025】図1及び図2は、上記方法により重量配分
がなされ、重心位置の設定が成されたクローラ式高所作
業車1について、段差を降りるときの車体の重心位置G
がどのように変化するかを、車両の前進時(図1)と後退
時(図2)とに分けて、走行体11と重心位置Gの変化の
みを各々模式的に示したものである。ここで、これ等の
実施例では、段差の高さHを欧州の車両安全規格(EN28
0)に基づいて100mmとし、作業台15の位置及び作業
台への荷重条件は、走行可能なブーム姿勢の中で、各走
行方向について最も厳しいバランス条件(転倒し易い条
件)を適用して示している。
【0026】まず、図1(b)は、図1(a)にその概要姿勢
を示す様に、ブーム14を略水平状態として車両前方に
向けて全伸長させ、作業台15上に許容最大荷重WMAX
を作用させた状態(前進走行時に於ける最厳条件)で、
段差上面を前進走行させて段差を落下させたときの、車
両重心Gの移動状況を示したものである。作業車は、車
両重心の水平方向位置が段差の角部Pに至るまではクロ
ーラベルト12cの前端部が浮いた状態で段差上段面を
走行し(図中一点鎖線で示す)、車両重心の水平方向位
置が段差角部Pの直上を越えたときに車体全体が一気に
傾いて段差下段面に向け落下する(図中実線で示す)。
このとき、車両重心Gは落下する直前の重心位置G1
ら落下直後の重心位置G2に向け段差角部を回転中心と
して回転移動する。
【0027】図中に示すG3は、段差を落下した車体を
さらに転倒させるために、落下直後の重心G2を、接地
したクローラ軸を中心軸として転倒支線Lまで回転移動
させたときの重心位置(すなわち転倒に至るときの重心
の移動位置)を示している。
【0028】ここで、図1(b)中には、段差を落下する
直前状態での段差下面から重心G1までの高さh1から落
下直後の重心G2の高さh2を減算したh1−h2と、転倒
支線上の重心G3の高さh3から落下直後の重心G2の高
さh2を減算したh3−h2を合わせて示しており、この
値は前記条件下で、h1−h2=13mm、h3−h2=15
1mm、すなわち、(h3−h2)>(h1−h2)なる関係
が満足されている。
【0029】このことは、車体が段差部を落下するとき
の位置エネルギーの変化量(落下時に有する運動エネル
ギー)よりも、落下点に於いて車体を転倒させるために
必要な位置エネルギーの方が大であることを意味してお
り、水平移動速度一定としたときには、エネルギー保存
則に従って車両が転倒に至ることがない。
【0030】次に、図2(b)は、図2(a)に概要姿勢を示
す様に、ブーム14を全縮状態で最大起伏角度とし、作
業台15には搭乗者1人分の荷重Wminだけを作用させ
た状態(後退走行時に於ける最厳条件)で、前記同様の
段差上面を後退走行させて段差を落下させたときの、車
両重心Gの移動状況を示したものである。
【0031】作業車は、前述の前進走行時と同様に、車
両重心の水平方向位置が段差の角部Pに至るまではクロ
ーラベルト12cの後端部が浮いた状態で段差上段面を
走行し(図中一点鎖線で示す)、車両重心の水平方向位
置が段差角部Pの直上を越えたときに車体全体が一気に
傾いて段差下段面に向け落下する(図中実線で示す)。
このとき、車両重心Gは、落下する直前の重心位置G1
から落下直後の重心位置G2に向け段差角部を回転中心
として回転移動する。また図中のG3は、段差を落下し
た車体をさらに転倒させるために、落下直後の重心G2
を、接地したクローラ軸を中心軸として転倒支線Lまで
回転移動させたときの重心位置を示している。
【0032】そして、図2(b)中の段差を落下する直前
状態での段差下面から重心G1までの高さh1から落下直
後の重心G2の高さh2を減算したh1−h2の値と、転倒
支線上の重心G3の高さh3から落下直後の重心G2の高
さh2を減算したh3−h2の値は、この条件の下で、h1
−h2=25mm、h3−h2=47mmとなる。従って、後
退走行の条件に於いても前記(h3−h2)>(h1
2)なる関係が満足されており、車両が転倒に至るこ
とがない。
【0033】発明者は、上記関係式による車両の転倒判
断の的確性を確認するため、車両の重心位置を適宜に変
更可能な試験車両を製作し、該車両を用いて重心位置を
種々変更して車両の転倒試験を実施している。その結
果、前述の図1及び図2に示した様な前記関係式を満足
する車両については、路面状況や走行速度によらず段差
下降時に転倒することが無かった。
【0034】一方、前述の各重心位置の関係が(h3
2)<(h1−h2)となるように重心位置を変更した
車両の場合、例えば、図3に示す様に、段差を落下した
点での重心位置G2が転倒支線Lを越えておらず、静的
な重心バランス上は転倒しない条件であるが、前述の関
係式を満足しない重心位置となる場合には、現実の転倒
試験に於いて車両が転倒することが確認されている。こ
れは、車体が段差部を落下するときの運動エネルギー
(位置エネルギーの変化量)の方が、落下後に車体を転
倒させる位置エネルギーよりも大であるために、水平移
動速度一定としたときに鉛直方向のエネルギー保存則に
より転倒に至るものと考えられる。
【0035】これ等から、前述の関係式(h3−h2)>
(h1−h2)を満足するように作業車の重心位置を設定
することにより、車両の転倒を未然に防止して安全なク
ローラ式作業車を提供することが確認される。
【0036】なお、以上の説明では、車両の前後方向に
段差を下降する場合について実例を挙げて説明したが、
車両の左右方向(例えば、左右のクローラ装置の片方の
みが段差を下降する場合)についても、車両の左右方向
について同様に前記関係式を満足するよう重心位置を設
定することによって、前後方向と同様に転倒を防止する
ことができる。
【0037】また、本実施例では、クローラ式作業車の
一例として、ブーム14の先端部に作業台15を備える
高所作業車を例に取り説明したが、ブーム先端部に備え
る作業装置は作業台でなくともよく、例えば作業台に変
えてクレーン装置を備えるものであっても同様の効果を
奏することができる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、クロ
ーラ装置を備えて走行自在に構成されたクローラ式作業
車に於いて、段差を降りる直前状態での段差下段面から
の重心高さをh1、段差の下段面に接地直後に於ける重
心高さをh2、接地直後の重心を段差下段面に接地した
側のクローラ軸を中心軸として転倒支線上まで回転移動
させたときの重心高さをh3、としたときに(h3
2)>(h1−h2)なる関係を有するように車両重心
位置を設定してクローラ式作業車を構成する。
【0039】この様にクローラ式作業車の重量バランス
を構成することによれば、車体の転倒を未然に防止して
安全なクローラ式作業車を提供することができる。
【0040】また、前記段差の大きさは、クローラ式作
業車について車両規格等で定められた所定の大きさと
し、走行体上の作業装置については走行可能な条件等を
考慮した所定の走行姿勢で通過するときに、前記関係式
を満たすように車両重心位置を設定することが好まし
い。
【0041】上記方法で車両の重心位置を設定すること
によれば、ブームの位置や作業装置への負荷状態を考慮
して、合理的に車体の転倒を未然に防止する安全なクロ
ーラ式作業車を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクローラ式作業車の前進時に於け
るブーム姿勢(a)の条件、及びこの条件下での重心移動
状況(b)を説明するための説明図である。
【図2】上記クローラ式作業車の後退時に於けるブーム
姿勢(a)の条件、及びこの条件下での重心移動状況(b)を
説明するための説明図である。
【図3】本発明に係るクローラ式作業車の関係式を満足
しない場合に於ける重心移動状況を説明するための説明
図である。
【図4】本発明に係るクローラ式作業車の関係式を満足
させるための、具体的手法を説明するための説明図であ
る。
【図5】本発明に係るクローラ式作業車の全体構成を説
明する側面図である。
【符号の説明】
1 クローラ式作業車 11 走行体 12 クローラ装置 14 ブーム 15 作業台(作業装置) G1 クローラ式作業車の段差を降りる直前に於ける重
心位置 G2 クローラ式作業車の段差を降りた直後に於ける重
心位置 G3 段差を降りた直後の重心を転倒支線上まで回転移
動させたときの重心位置 L 転倒支線

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クローラ装置を備えて走行自在に構成さ
    れた走行体と、 前記走行体上に旋回動、起伏動、伸縮動が自在に取り付
    けられたブームと、 前記ブームの先端部に取り付けられた作業装置とを有
    し、任意の位置に移動して作業を行うクローラ式作業車
    であって、 段差のある路面を、前記段差を降りる方向に走行移動さ
    せた場合に於いて、 前記段差を降りる直前に於ける前記段差下段面から前記
    クローラ式作業車の重心までの高さをh1、前記段差の
    下段面に接地直後に於ける前記段差下段面からクローラ
    式作業車の重心までの高さをh2、前記接地直後のクロ
    ーラ式作業車の重心を前記段差の下段面に接地した側の
    クローラ軸を中心軸として転倒支線上まで回転移動させ
    たときの前記段差の下段面からの重心高さをh3、とし
    たときに、 (h3−h2)>(h1−h2)なる関係を有するように車
    両重心位置を設定したことを特徴とするクローラ式作業
    車。
  2. 【請求項2】 前記作業装置について所定の走行姿勢の
    ときに前記関係式を満たすことを特徴とする請求項1に
    記載のクローラ式作業車。
JP11129493A 1999-05-11 1999-05-11 クローラ式作業車 Pending JP2000318988A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016172963A (ja) * 2015-03-16 2016-09-29 住友重機械工業株式会社 ショベル
JP2021024720A (ja) * 2019-08-07 2021-02-22 北越工業株式会社 作業車の安全装置

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